説明

電磁波遮蔽フィルムの製造方法及び電磁波遮蔽フィルム

【課題】銀塩方式を用いて、低コストで、生産性高く、フォトリソ方式に対し、同じ抵抗値でも透過率の高い、電磁波遮蔽フィルムを生産可能な電磁波遮蔽フィルムの製造方法を提供することにある。
【解決手段】連続して走行する支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥後、その塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を、順次、連続して行った後、現像処理することにより支持体上に金属メッシュパターンを形成し、次いで、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことによって金属メッシュパターンに導電性を付与して電磁波遮蔽機能を付与する電磁波遮蔽フィルムの製造方法において、搬送する支持体上の塗布層への前記メッシュパターン露光を、隣接するメッシュパターン同士が一部重なるように露光することを特徴とする電磁波遮蔽フィルムの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続して走行する支持体上に、金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布形成した層に、露光、現像、物理現像及び/又はメッキ処理を行い、金属部、光透過部からなる導電性の金属メッシュパターンを支持体上に連続して形成する電磁波遮蔽フィルムの製造方法に関するものであり、また該製造方法により作製された電磁波遮蔽フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の電気設備や電子応用設備の利用の増加に伴い、電磁波障害(Electro−Magnetic Interference:EMI)が急増し、電子電気機器では、電磁波放出の強さを規格又は規制内に抑えることが要求されている。
【0003】
例えば、CRT(陰極線管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、液晶、EL(エレクトロルミネッセンス)などのディスプレイ前面に用いる電磁波シールド材料がある。
【0004】
特に、PDPは、CRT等と比較すると多量の電磁波を発生し強い電磁波シールド能が求められるため、PDP用の透光性電磁波シールド材料では極めて高い導電性が要求されている。
【0005】
透光性電磁波遮蔽材料は何らかの方法で導電性メッシュパターンを支持体上に形成するか、又は金属の超薄膜を支持体上の全面に製膜することにより作製される。
【0006】
導電性メッシュパターンの作製には、これまでにも、種々の材料・方法が提案されている。例えば、金属薄膜のフォトリソグラフィー法を利用したエッチング加工により、透明基体上に金属薄膜のメッシュを形成する方法も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0007】
また、これとは別に、銀塩感光材料を利用し、金属銀の薄膜メッシュパターンを形成する方法が知られている。銀塩微粒子含有感光層を露光し、現像処理し、金属銀部と光透過性部とを形成したのち、物理現像及び/又はメッキ処理することにより金属銀部に導電性金属粒子を担持させ、高い導電性と透光性を同時に満たす導電性金属メッシュパターンを電磁波シールド膜として容易に得ることができる(例えば、特許文献2)。
【0008】
しかしながら、前記のフォトリソを用いた方式(特許文献1)では工程数が多く、工数がかかるため、生産収率が低く、装置コストも高くなり、非常にコストアップしてしまう。
【0009】
また、特許文献2の銀塩微粒子含有感光材料を用いた方式では、銀塩微粒子含有感光層のメッシュパターン露光をデジタルで行っているため装置コストが非常に高価となり、結果的に製造コストがコストアップしてしまう。
【特許文献1】特開2003−46293号公報
【特許文献2】特開2004−221564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明の目的は、銀塩方式を用いて、低コストで、生産性高く、フォトリソ方式に対し、同じ抵抗値でも透過率の高い、電磁波遮蔽フィルムを生産可能な電磁波遮蔽フィルムの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の上記課題は下記の手段により達成される。
【0012】
1.連続して走行する支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥後、その塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を、順次、連続して行った後、現像処理することにより支持体上に金属メッシュパターンを形成し、次いで、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことによって金属メッシュパターンに導電性を付与して電磁波遮蔽機能を付与する電磁波遮蔽フィルムの製造方法において、搬送する支持体上の塗布層への前記メッシュパターン露光を、隣接するメッシュパターン同士が一部重なるように露光することを特徴とする電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0013】
2.隣接するメッシュパターン同士が一部重なるように露光するときの重なりが、マスクにより一度に露光されるメッシュパターンの支持体の長手方向の長さの0.2〜3%の範囲であることを特徴とする前記1記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0014】
3.前記マスクが、メッシュパターンの外枠としてメッシュを形成していない、光透過部を有することを特徴とする前記1または2記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0015】
4.前記マスクが、メッシュパターンの外枠としてメッシュを形成していない、光透過部を有しないことを特徴とする前記1または2記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0016】
5.前記現像処理、物理現像処理及び/又はメッキ処理をロールツウロールで処理することを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0017】
6.前記メッキ処理が、無電解メッキ処理、これに続く電解メッキ処理からなることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0018】
7.前記メッキ処理が、先ず、低い電流値で電解メッキを行った後、高い電流値で電解メッキを行うことからなることを特徴とする前記1〜5のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0019】
8.前記金属塩微粒子が、ハロゲン化金属微粒子であることを特徴とする前記1〜7のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0020】
9.ハロゲン化金属微粒子の金属成分の塗布量が、減圧押し出し塗布により、0.3〜1g/m2であることを特徴とする前記1〜8のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【0021】
10.前記1〜9のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法により製造したことを特徴とする電磁波遮蔽フィルム。
【発明の効果】
【0022】
本発明により銀塩方式を用いて、低コストで、生産性高い、電磁波遮蔽フィルムの製造方法を提供することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0024】
電磁波障害(EMI)に対する電磁波シールド材の、銀塩方式による製造は、基材フィルム上への銀塩塗布、塗布層へのパターン露光、現像、によるメッシュ化、物理現像、及び/又は、メッキによる導電性付与という工程により行われる。
【0025】
製造の上では、連続的に製造工程の組めるように、導電性のあるフィルムが連続的に形成されていることが望まれている。デジタル露光技術を用いると、このように連続的に導電性のある部分が形成可能であるが、デジタル露光機は装置コストが高く、設備投資負担が大きい。
【0026】
本発明は、マスクを使用したパターン露光で、連続的に、導電性のあるフィルムを連続的に形成する技術であり装置コストが安価である。
【0027】
電磁波シールド材の製造においては、導電性のあるフィルムが連続的に形成できていないと、メッキ工程の生産性低下、メッキの収率低下(故障発生)という問題があり、連続的に導電性のあるフィルムを製造することによりコストダウンが可能となる。特に電解メッキ処理を行う場合、顕著となる。
【0028】
従って、本発明は、連続して走行する支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液、具体的には銀塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥して、その銀塩微粒子塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を順次行い、現像処理することにより支持体上に金属メッシュパターンを連続して形成し、次いで、金属メッシュに物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことによって金属メッシュに捕力処理を行って導電性を付与して電磁波遮蔽フィルムを製造するとき、搬送する支持体上の塗布層への前記マスクによるメッシュパターン露光を、隣接するパターン露光する部分が一部重なるように行うことを特徴とする電磁波遮蔽フィルムの製造方法である。
【0029】
マスクを使用したパターン露光で連続的に導電性のある金属部を形成する支持体は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース等のロールフィルムを用いるが、これらに限定されることはない。
【0030】
支持体への、銀塩微粒子含有感光層の形成には、銀塩感光材料の技術を用いることができる。塗布後、連続して乾燥した後、露光、現像と、連続して行うことで支持体上に形成された銀塩微粒子含有感光層に金属メッシュパターンが形成される。強い電磁波シールド能をこれに付与するには、更に、物理現像、及び/又はメッキ処理を行う。物理現像、及び/又はメッキ処理により銀塩微粒子含有感光層の現像によって形成された金属銀は金属メッキにより更に補強され線幅が太ることで導電性が向上する。
【0031】
本発明においては、銀塩微粒子含有感光層を現像した後、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うが、メッキ処理は、無電解メッキ処理、更にこれに続く電解メッキ処理からなることが好ましい。金属銀による金属メッシュに充分な電磁波シールド能を付与するには電解メッキを施すことが好ましい。
【0032】
本発明において、導電性のあるフィルムが連続的に形成されていることは電解メッキ処理の効率を大きく向上させる。
【0033】
無電解メッキと異なり、電解メッキは被メッキ材に電位をかけて、ここに金属を沈積するため、電解メッキ処理の生産性を上げるには、電磁波シールド材を構成する導電性層が連続的に形成されていることが好ましい。
【0034】
以下、本発明の、支持体上に銀塩微粒子含有感光層に対し、マスクを用い連続して露光を行って、連続的な導電性層を形成する方法について説明する。
【0035】
図1は、露光用のマスクM及びマスクにより形成されるメッシュパターンPを概念的に示す。例えば42インチモニターの場合であれば600〜1000mm程度のサイズの、モニター全面をカバーできる面積サイズのメッシュパターン露光が出来る。
【0036】
図1(b)は用いるマスクを模式的に、また、図1(a)はマスク露光によって得られるメッシュパターンの例を示す図である。
【0037】
上記メッシュパターンの線幅は20μm以下、線間隔(ピッチ)は50μm以上〜400μm程度あることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続などの目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。またモアレの観点からは、導電性金属部の線幅は15μm未満であることが好ましく、10μm未満がさらにより好ましく、7μm未満であることが最も好ましい。
【0038】
メッシュパターンにおいて、光透過性部の比率(即ち開口率)は、可視光透過率の点から85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
【0039】
図2には、マスクMを介した露光、及びマスク露光により形成された基材上のパターンを概念的に示した。連続して走行する支持体F上に連続的に銀塩微粒子含有感光液を塗布し銀塩微粒子含有銀感光層を形成した後、これらのマスクを用いてこれに連続的(間欠的)に露光を行うときに通常行われる方法を示した。
【0040】
図2(a)は、マスクMを介して走行する銀塩微粒子含有銀感光層を有する支持体F上に露光を施すところ、また、図2(b)は通常のマスク露光により基材上に連続的にメッシュパターンに対応した露光領域が連続して独立、並置する形で形成されたところを示す。因みに、(c)は露光、現像処理された後、金属銀からなる金属メッシュパターンが支持体上に形成されたところを示す。
【0041】
現像処理後金属銀により形成された金属メッシュパターンは、更に、物理現像或いはメッキ処理等の捕力処理が行われた後、個々のメッシュパターン単位に断裁され電磁波遮蔽フィルムが作製される。
【0042】
本発明に係わるマスク露光方法を図3に模式的に示した。
【0043】
本発明においては各メッシュパターン単位はそれぞれ一部が重なるように露光される。
【0044】
図3(a)にこの様子を示す。図においてn、n−1、n+1、n+2等は順次マスク露光を受けた順序を示す。図中Lはメッシュパターンの単位パターン長である。図においてlは隣接メッシュパターンとの重なり長を表す。この例では両端部に非メッシュ部分があるが、ない場合でも同様である。ここでn番目のパターンが、n−1番目のパターンとl分だけ重なって露光されており、またlは、支持体搬送方向に長さをとっており、メッシュ露光されるパターン長(L)の0.2〜3%の範囲である。n番目のメッシュパターンはn+1ともまた一部が同様に重なり露光される。
【0045】
この例では両端部に非メッシュ部分があるが、この一部を重ねる事で、連続的に導電性を有するフィルムを作製することができ、メッキ処理の効率をあげる上で好ましい。両端部に非メッシュ部分がないマスクを使用した場合も、その一部を重ねる事で、連続的に導電性を有するフィルムを作成することができ、メッキ処理の効率を上げることができる。
【0046】
n番目のパターンとn+1番目のパターンとの重なりは必ずしもn番目のパターンとn−1番目のパターンとの重なり長と同じでなくともよい。前記光透過部のパターン長(Lの)0.2〜3%の範囲であればよい。但し後工程を考えると前後のパターンと同じ重なりであることが工程上は好ましい。
【0047】
このようにすることで、露光、現像処理によって形成した金属メッシュパターン導電部を連続的に形成することが出来、電解メッキする際に、複数のパターンを同時に連続的に電解メッキ処理することが可能となる。支持体の露光領域、金属メッシュ部分の何処に端子を接触させても金属メッシュ全体に一様な電位をかけることが可能となり、電解メッキ処理が複数のパターンに亘って連続的に行える。
【0048】
例えば、図4に電解メッキ装置16の例を示したが、電荷メッキ処理槽36入り口に陰極側給電ロール48Aを設けてロール電位をかければ、走行する支持体F上の金属メッシュパターンは、電解メッキ処理槽36内で陽電極板48Bによりメッキ浴液を介して通電され電解メッキ電流が流れ、金属メッシュパターンには電解メッキが施される。
【0049】
連続的な導電性フィルムであるため支持体上の金属メッシュ部は均一な電位となりこれが電解メッキ槽に入ることで電解槽中で連続してメッキを行うことができる。
【0050】
図2に示したような各パターン毎に独立した金属メッシュは、各パターン毎に電解メッキ処理を行わなければならず処理負担が課題となり連続処理が出来ない。
【0051】
尚、図において、42A、42B、44は支持ロール、62は回転ロールである。
【0052】
マスクは、メッシュパターンの外枠としてメッシュを形成していない、光透過部を有するマスクを例として述べたが、外枠の光透過部は必ずしも必要ではない。図5に、外枠に光透過部をもたないマスクを用いたときのメッシュパターン例を示す。この場合においても、実質的に導通を確保できるメッシュパターン同士の重なりがあればよく、マスクにより一度に露光されるパターンの支持体の長手方向のパターン長(L)の0.2〜3%の範囲で、単位パターン同士が重なればよい。図5(a)はマスク露光により形成されるメッシュパターン、図5(b)は、これを重ねて露光したときのシームレスパターン例を示す。
【0053】
本発明においては、走行する支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥後、その塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を、順次、連続して行った後、現像処理することにより支持体上に金属メッシュパターンを形成し、次いで、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことによって金属メッシュパターンに捕力処理を行って導電性を付与して磁波遮蔽フィルムを製造する。
【0054】
現像処理後、銀現像によって形成された金属銀による金属メッシュのみでは導電性が不充分であり、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行って金属メッシュパターンを補強して導電性を付与する。
【0055】
メッキ処理としては、無電解メッキ処理を行った後に電解メッキ処理を行うことができる。所定時間無電解メッキを行った後、メッキ速度の速い電解メッキ処理を行うことが生産性の面より好ましい。無電解メッキのみではメッキ処理に時間を要する。
【0056】
また、電界メッキのみの処理も可能である。電解メッキ処理のみで行う場合は、先ず、低い電流値で電解メッキを行った後、高い電流値で電解メッキを行うことが好ましい。初期に低い電流値でメッキを行うことでメッキの局所的なムラを最小にすることが出来る。従って、電界メッキのみで処理を行う場合は、電解メッキ処理装置を複数用いて、電流値を徐々に上げメッキ処理を行うことが好ましい。
【0057】
現像済みのメッシュは電気抵抗値が高いため、高い電流値で電解メッキ処理を行うと、メッキ厚さにムラができてしまうため好ましくない。低電流値で電解メッキを行うとメッキ金属の成長速度が遅いという欠点があるが、電気抵抗値が低いメッシュにも均一にメッキ処理することができる。低電流によるメッキ処理をある一定時間行い、ある程度フィルムの電気抵抗値が下がった段階で、電流値を上げ、メッキの成長速度を上げて、最終的に求める電気抵抗値として仕上げることが、品質面、生産効率面から考えて、最も好ましい生産形態となる。
【0058】
低い電流値とは、特に明確に定義することはできないが、メッキ金属の成長速度と品質面から決めればよい。高い電流値についても同様であり、低い電流値で処理する時間と高い電流値で処理する時間配分も同様である。
【0059】
本発明においては、上記現像処理、物理現像処理及び/又はメッキ処理を連続でロールツウロールで連続的に処理することが好ましい。メッキ処理も連続的に処理でき、パターン毎に行わないで済むため効率よく導電性の向上が可能となり電磁波遮蔽能の高い導電性金属メッシュパターンが得られる。
【0060】
以下、本発明で用いられる構成要件について説明する。
【0061】
[支持体]
本発明において用いられる支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラスなどを用いることができるが、好ましいのはプラスチックフィルムである。
【0062】
プラスチックフィルムの原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVAなどのポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)、環状オレフィン系樹脂などであり、ロール状の基材から巻き出されながら連続して塗布、露光、現像処理等が行われる。
【0063】
透明性、耐熱性、取り扱いやすさ及び価格の点から、上記プラスチックフィルムはポリエチレンテレフタレートフィルム、トリアセチルセルロースフィルムであることが好ましい。
【0064】
本発明におけるプラスチックフィルム等は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせ多層フィルムとして用いることも可能である。
【0065】
本発明においては、支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥後、その塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を行う。金属塩微粒子を含有する塗布層は具体的には光センサーとしての銀塩微粒子を含有する層(銀塩微粒子含有感光層)であり、銀塩微粒子含有感光層は、銀塩微粒子のほか、架橋性バインダー樹脂、また、添加剤等が含有され、また、溶媒等を含有することができる。
【0066】
[銀塩微粒子感光層]
用いられる銀塩微粒子としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩及び酢酸銀などの有機銀塩が挙げられるが、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
【0067】
本発明で好ましく用いられるハロゲン化銀についてさらに説明する。
【0068】
本発明で用いられるハロゲン化銀においては、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられるハロゲン化銀技術をそのまま用いることができる。
【0069】
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、AgCl、AgBr、AgIを主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらにAgCl主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。
【0070】
ここで、「AgCl主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める塩化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。このAgClを主体としたハロゲン化銀粒子は、塩化物イオンのほかに沃化物イオン、臭化物イオンを含有していてもよい。
【0071】
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成されるパターン状金属銀層の画像品質の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。尚、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、ハロゲン化銀粒子の投影面積を同面積の円像に換算したときの直径(円相当径)をいう。走査型電子顕微鏡を用い1000個の粒子の平均から求める。
【0072】
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(6角平板状、三角形平板状、4角形平板状など)、八面体状、14面体状など様々な形状であることができる。
【0073】
本発明で用いられるハロゲン化銀においては、硬調な乳剤を得るために金属イオンをドープすることも有用である。特にロジウムイオンやイリジウムイオンなどの遷移金属イオンは、金属銀像の生成の際に露光部と未露光部の差が明確に生じやすくなるため好ましく用いられる。ロジウムイオン、イリジウムイオンに代表される遷移金属イオンは、各種の配位子を有する化合物であることもできる。そのような配位子としては、例えば、シアン化物イオンやハロゲンイオン、チオシアナートイオン、ニトロシルイオン、水、水酸化物イオンなどを挙げることができる。具体的な化合物の例としては、K3Rh2Br9及びK2IrCl6などが挙げられる。
【0074】
本発明において、ハロゲン化銀に含有されるロジウム化合物及び/又はイリジウム化合物の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
【0075】
その他、本発明では、Pd(II)イオン及び/又はPd金属を含有するハロゲン化銀も好ましく用いることができる。Pdはハロゲン化銀粒子内に均一に分布していてもよいが、ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有させることが好ましい。ここで、Pdが「ハロゲン化銀粒子の表層近傍に含有する」とは、ハロゲン化銀粒子の表面から深さ方向に50nm以内において、他層よりもパラジウムの含有率が高い層を有することを意味する。このようなハロゲン化銀粒子は、ハロゲン化銀粒子を形成する途中でPdを添加することにより作製することができ、銀イオンとハロゲンイオンとをそれぞれ総添加量の50%以上添加した後に、Pdを添加することが好ましい。またPd(II)イオンを後熟時に添加するなどの方法でハロゲン化銀表層に存在させることも好ましい。
【0076】
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
【0077】
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
【0078】
使用するPd化合物の例としては、PdCl4やNa2PdCl4等が挙げられる。
【0079】
本発明では、さらに光センサーとしての感度を向上させるため、写真乳剤で行われる化学増感を施すこともできる。化学増感としては、例えば、金増感などの貴金属増感、イオウ増感などのカルコゲン増感、還元増感等を利用することができる。
【0080】
本発明で使用できる乳剤としては、例えば、特開平11−305396号公報、特開2000−321698号公報、特開平13−281815号公報、特開2002−72429号公報の実施例に記載されたカラーネガフィルム用乳剤、特開2002−214731号公報に記載されたカラーリバーサルフィルム用乳剤、特開2002−107865号公報に記載されたカラー印画紙用乳剤などを好適に用いることができる。
【0081】
化学増感されたハロゲン化銀粒子は、また分光増感することができる。好ましい分光増感色素としては、シアニン、カルボシアニン、ジカルボシアニン、複合シアニン、ヘミシアニン、スチリール色素、メロシアニン、複合メロシアニン、ホロポーラー色素等を挙げることができ、当業界で用いられている分光増感色素を単用、あるいは併用して使用することができる。
【0082】
特に有用な色素はシアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素である。これらの色素類には、その塩基性異節環核としてシアニン色素類に通常利用される核のいずれをも通用できる。即ち、ピロリン核、オキサゾリン核、チアゾリン核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジン核及びこれらの核に脂環式炭化水素環が融合した核;及びこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した核、即ちインドレニン核、ベンズインドレニン核、インドール核、ベンズオキサゾール核、ナフトオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キノリン核などである。これらの核は、炭素原子上で置換されてもよい。メロシアニン色素または複合メロシアニン色素には、ケトメチレン構造を有する核として、ピラゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオキサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チオバルビツール酸核などの5から6員異節環核を適用することができる。特に好ましい増感色素は近赤外増感色素である。これらの色素は、特開2000−347343号、同2004−037711号、同2005−134710号の各公報を参考にすることができる。
【0083】
〈バインダー〉
本発明の銀塩微粒子含有感光層において、架橋性バインダー(樹脂)は、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ銀塩微粒子含有感光層と支持体との密着を補助する目的で用いることができる。本発明においては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれも架橋性バインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
【0084】
水溶性の架橋性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
【0085】
ハロゲン化銀粒子として写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤をもちいるため架橋性バインダー(樹脂)としてゼラチンが最も好ましい。
【0086】
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチン、また、フタル化ゼラチン或いはフェニルカルバモイル化ゼラチン等、各種修飾ゼラチンも含むものである。
【0087】
本発明の銀塩微粒子含有感光層中に含有されるバインダーの含有量は、特に限定されず、分散性と密着性を発揮し得る範囲で適宜決定することができる。銀塩微粒子含有感光層中のバインダーの含有量は、Ag/バインダー体積比で1/4〜100であることが好ましく、1/3〜10であることがより好ましく、1/2〜1であることがさらに好ましい。1/1〜2であることが最も好ましい。銀塩微粒子含有感光層中にバインダーをAg/バインダー体積比で1/4以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理工程において金属粒子同士が互いに接触しやすく、高い導電性を得ることが可能であるため好ましい。
【0088】
また、上記架橋性バインダーは、銀塩微粒子含有感光層を形成する際には、架橋剤によって架橋され所定の膜強度を保つように形成されている。
【0089】
架橋性バインダーの架橋剤としては実質的に架橋性バインダーのみを架橋して、水溶性化合物と架橋しない剤であれば、特に限定されない。
【0090】
架橋性バインダーがゼラチンの場合は特開昭61−249045号、同61−245153号公報記載のビニルスルホン型硬膜剤やクロロトリアジン型硬膜剤などを使用することができる。また、その他、必要に応じて増粘剤、また延展剤としての活性剤等主旬汚点化剤を含んでもよい。
【0091】
また、ハロゲン化銀粒子を硬調化する方法として、ヒドラジン化合物等を使用してもよい。また硬調化促進剤等を用いてもよい。
【0092】
〈溶媒〉
本発明のハロゲン化銀粒子含有層において用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。写真用ハロゲン化銀ゼラチン乳剤が用いられることから水を主体とする溶媒が好ましい。水を主体とする溶媒とは水を70質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上含有する溶媒である。水単独も好ましい。
【0093】
[塗布]
ハロゲン化銀粒子層を塗布する方法としては、従来より種々の方法が知られている。例えば、ディップ塗布法、ブレード塗布法、エアーナイフ塗布法、ワイヤーバー塗布法、グラビア塗布法、リバースロール塗布法、エクストリュージョン型塗布法、スライドホッパー塗布法、スロット型カーテン塗布法、スライド型カーテン塗布法等が知られている。
【0094】
本発明においては、減圧チャンバを用いたエクストリュージョン型塗布法による減圧押し出し塗布法を用いることが好ましい。これにより、金属成分の塗布量として、0.3〜1g/m2の範囲になるよう塗布することが好ましい。減圧押し出し塗布法は、支持体の表面性や濡れ性の変化があっても、ビード部を減圧しているため支持体に対する塗布液の接液位置がほとんど変動せず、均一な膜厚の塗布膜が得ることができる。
【0095】
従来の塗布液は塗布液のみにより目標性能を発現するため、ある程度の膜厚で塗布する必要があった。しかし、電磁波遮蔽フィルムに求められる機能は光透過率と電磁波遮蔽機能であり、電磁波遮蔽機能は電気抵抗値に依存する。電気抵抗値は、メッキ処理後の金属膜厚に依存するため、銀塩微粒子含有感光層は薄膜でも構わない。但し、金属成分が多い方、バインダー量が少ない方が物理現像処理、メッキ処理が容易となるため、銀/バインダー比が高いハロゲン化銀微粒子含有感光液を薄膜で塗布するのが最も好ましい。
【0096】
[露光]
本発明では、連続して走行する支持体上に金属塩微粒子含有感光液を均一に塗布、乾燥後、その塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を、順次、支持体の搬送方向に、マスクによる露光部の一部を重ね合わせながら、連続して行った後、現像処理、更に、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことによって、前記のように連続的な導電性金属メッシュパターンを得る。
【0097】
露光は、マスク通したコンタクト露光が好ましいが、他の方法でもよい。露光光源としては、電磁波を用い、電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
【0098】
また、本発明では露光は種々のレーザービームを用いて行うことができる。例えば、本発明における露光は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーまたは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いた走査露光方式を好ましく用いることができ、さらにKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、F2レーザー等も用いることができる。
【0099】
システムをコンパクトで迅速なものにするために、露光は半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組み合わせた第二高調波発生光源(SHG)を用いて行うことが好ましい。特にコンパクトで迅速、さらに寿命が長く、安定性が高い装置を設計するためには、露光は半導体レーザーを用いて行うことが好ましい。
【0100】
レーザー光源としては、具体的には紫外半導体、青色半導体レーザー、緑色半導体レーザー、赤色半導体レーザー、近赤外レーザー等が好ましく用いられる。
【0101】
マスクは金属等遮光性の材料で形成され、公知の種々の方法を用いて作製できるが、例えば、フォトリソグラフィーを用い金属薄膜をエッチングして作製することが出来る。
【0102】
[現像処理]
本発明において現像処理(工程)とは下記のように現像処理から定着処理までをあらわす。
【0103】
本発明では、ハロゲン化銀粒子含有感光層を有する電磁波遮蔽材料用原版を露光した後、現像処理が行われる。現像処理は、発色現像主薬を含有しない、いわゆる黒白現像処理であることが好ましい。
【0104】
現像処理液としては、現像主薬としてハイドロキノン、ハイドロキノンスルホン酸ナトリウム、クロルハイドロキノン等のハイドロキノン類の他に、1−フェニル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4,4−ジメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−4−ヒドロキシメチル−3−ピラゾリドン、1−フェニル−4−メチル−3−ピラゾリドン等のピラゾリドン類及びN−メチルパラアミノフェノール硫酸塩等の超加成性現像主薬と併用することができる。また、ハイドロキノンを使用しないでアスコルビン酸やイソアスコルビン酸等レダクトン類化合物を上記超加成性現像主薬と併用することが好ましい。
【0105】
また、現像処理液には保恒剤として亜硫酸ナトリウム塩や亜硫酸カリウム塩、緩衝剤として炭酸ナトリウム塩や炭酸カリウム塩、現像促進剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルアミノプロパンジオール等を適宜使用できる。
【0106】
現像処理で用いられる現像処理液は、画質を向上させる目的で、画質向上剤を含有することができる。画質向上剤としては、例えば、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾール、5−メチルベンゾトリアゾール等の含窒素へテロ環化合物を挙げることができる。また、リス現像液を利用する場合、特に、ポリエチレングリコールを使用することも好ましい。
【0107】
本発明においては、露光後に行われる現像処理が、定着前物理現像を含んでいることが好ましい。ここで言う定着前物理現像とは、後述の定着処理を行う前に、露光により潜像を有するハロゲン化銀粒子の内部以外から銀イオンを供給し、現像銀を補強するプロセスのことを示す。現像処理液から銀イオンを供給するための具体的な方法としては、例えば予め現像処理液中に硝酸銀等を溶解しておき銀イオンを溶かしておく方法、あるいは現像液中に、チオ硫酸ナトリウム、チオシアン酸アンモニウム等のようなハロゲン化銀溶剤を溶解しておき、現像時に未露光部のハロゲン化銀を溶解させ、潜像を有するハロゲン化銀粒子の現像を補力する方法等が挙げられる。
【0108】
本発明においては、現像液中に予めハロゲン化銀溶剤を溶解しておく処方を用いた方が、未露光部でのカブリ発生による、フィルムの透過率低下を抑制できるため好ましい。
【0109】
本発明における現像処理においては、露光されたハロゲン化銀粒子の現像終了後に、未露光部分のハロゲン化銀粒子を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を行う。本発明における定着処理は、ハロゲン化銀粒子を用いた写真フィルムや印画紙等で用いられる定着液処方を用いることができる。定着処理で使用する定着液は、定着剤としてチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等を使用することができる。定着時の硬膜剤として硫酸アルミウム、硫酸クロミウム等を使用することができる。定着剤の保恒剤としては、現像処理液で述べた亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、アスコルビン酸、エリソルビン酸等を使用することができ、その他にクエン酸、蓚酸等を使用することができる。
【0110】
露光及び現像処理を行うことにより金属銀からなるメッシュパターンが形成されると共に光透過性部も形成される。
【0111】
本発明の電磁波遮蔽材料の製造方法においては、特に、定着液中に水溶性アルミニウム化合物などの硬膜剤を含まない定着液で現像処理をすることが好ましい。
【0112】
最初の現像処理に於いては硬膜は強くない方が好ましい。
【0113】
従って、特に、定着液中に水溶性アルミニウム化合物などの硬膜剤を含まない定着液で現像処理をすることが好ましい。
【0114】
一方、電磁波遮蔽材料としては電磁波遮蔽金属パターンを含む層に一定の強度を持たせる必要があるので、物理現像及び/又はメッキ処理の後では、膜を架橋して膜強度を高める必要があり、金属パターンを含む層中のバインダー樹脂を架橋、硬膜することが好ましく、例えばバインダー樹脂がゼラチンの場合、グルタルアルデヒド、グルタルアルデヒドの亜硫酸付加物などのアルデヒド化合物や塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、カリ明礬などの水溶性アルミニウム塩などで膜を架橋することが好ましい。従って、物理現像やメッキ処理浴の後に、例えば、ゼラチン硬膜剤を含有する硬膜浴を設け、バインダー樹脂を架橋したのち乾燥する。
【0115】
或いは、物理現像及び/又はメッキ処理工程に架橋剤を含有させて硬膜浴とかねても良い。
【0116】
特に、アルミニウムイオンを含有する硬膜浴は、物理現像及び/又はメッキ処理の後、硬膜浴に電磁波遮蔽材料を浸漬するだけでよく、硬膜浴自体の安定性もよく、ゼラチンの架橋によって強固な膜を得ることができるため特に好ましい。
【0117】
本発明における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透明性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープが挙げられる。
【0118】
[物理現像及びメッキ処理]
本発明では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はメッキ処理を行う。
【0119】
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
【0120】
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
【0121】
本発明において、メッキ処理は、無電解メッキ(化学還元メッキや置換メッキ)、電解メッキ、又は無電解メッキと電解メッキの両方を用いることができる。
【0122】
本発明においては、メッキ処理は、無電解メッキ処理を行って、これに続き電解メッキ処理を行うことが好ましい。
【0123】
また、メッキ処理は、先ず、低い電流値で電解メッキを行った後、高い電流値で電解メッキを行ことも好ましい。
【0124】
低い電流値での電解メッキは、高抵抗値のフィルムにも均一なメッキが可能だが、メッキ金属の成長速度が遅く、高い電流値での電解メッキは高抵抗値のフィルムに均一なメッキができないが、メッキ金属の成長速度が速いため、品質面、生産能力の面から、電流値及び各電流値でのメッキ処理時間を決めればよい。
【0125】
本発明における無電解メッキは、公知の無電解メッキ技術を用いることができ、例えば、プリント配線板などで用いられている無電解メッキ技術を用いることができ、無電解メッキは無電解銅メッキであることが好ましい。
【0126】
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
【0127】
本発明におけるメッキ処理時のメッキ速度は、緩やかな条件で行うことができ、さらに5μm/hr以上の高速メッキも可能である。メッキ処理において、メッキ液の安定性を高める観点からは、例えば、EDTAなどの配位子など種々の添加剤を用いることができる。
【0128】
又、電解メッキ処理としては、公知の電解メッキ技術を適用することができ、例えば、プリント配線板等で用いられている電解メッキ技術を適用することができ、電解メッキは電解銅メッキであることが好ましい。メッキ浴液としては、電解銅メッキ浴液を適用することが好ましい。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴、ピロリン酸銅浴、ホウフッ化銅浴等が挙げられる。電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、メッキ液の安定性、導電性を高め、均一電着性の増加を図る硫酸、アノードの溶解促進及び添加剤の補助効果作用の塩素、浴の安定化やメッキ緻密性を向上させるための添加剤としてポリエチレンオキサイド、ビピリジン等が挙げられる。
【0129】
陰電極側給電ロールから被メッキ面である支持体上の金属メッシュ部へ、メッキ用電源から電解メッキ電流を流し、電解メッキを施す。金属メッシュパターンがシームレスに連続しているので連続して電解メッキを行うことができる。
【0130】
なお、電解メッキ処理は、槽を2セット配置し、電流値を変えて行うことが好ましい。また、所望のメッキ膜厚(導電性金属部の厚み)に応じて、これを2以上行ってもよい。
【0131】
その後、電解メッキ処理が施された金属メッシュパターンを有する長尺フィルムは、同一の処理を繰り返した後、付着したメッキ液をエアーナイフ及び吸水ロール等により除去され、更に洗浄槽に搬入され洗浄、また防錆処理等が施され乾燥して巻取られる。
【0132】
このようにして、走行する支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥して塗布層とした感光材料のメッシュパターン状金属銀部にメッキ(導電性金属部)が形成される。ここで、導電性金属部は、導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/またはメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0133】
[導電性金属部]
次に、本発明において形成された導電性金属パターンについて説明する。
【0134】
本発明では、導電性金属部からなる電磁波遮蔽性のメッシュパターンは、前述した露光及び現像処理により形成された金属銀部からなるメッシュパターンを物理現像又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させることにより形成されることが好ましい。
【0135】
前記金属銀部に、物理現像及び/又はメッキ処理により担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることができる。導電性、価格等から、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子が好ましい。また、磁場シールド性を付与する場合、常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
【0136】
上記導電性金属部において、コントラストを高め、かつ導電性金属部が経時的に酸化され退色するのを防止する観点から、導電性金属部に含まれる導電性金属粒子は銅粒子であることが好ましく、その表面が黒化処理されたものであることがさらに好ましい。黒化処理は、プリント配線板分野で行われている方法を用いて行うことができる。例えば、亜塩素酸ナトリウム(31g/l)、水酸化ナトリウム(15g/l)、リン酸三ナトリウム(12g/l)の水溶液中で、95℃で2分間処理することにより黒化処理を行うことができる。
【0137】
上記導電性金属部は、該導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して、銀を50質量%以上含有することが好ましく、60質量%以上含有することがさらに好ましい。銀を50質量%以上含有すれば、物理現像及び/又はメッキ処理に要する時間を短縮し、生産性を向上させ、かつ低コストとすることができる。
【0138】
さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0139】
本発明における導電性金属部は、導電性金属粒子を担持するため良好な導電性が得られる。このため、本発明の透光性電磁波シールド膜(導電性金属部)の表面抵抗率は、103Ω/□以下であることが好ましく、102Ω/□以下であることがより好ましく、10Ω/□以下であることがさらに好ましく、1.0Ω/□以下であることが最も好ましい。
【0140】
透光性電磁波遮蔽材料の用途において、上記導電性金属部の線幅は20μm以下、線間隔は50μm以上であることが好ましい。また、導電性金属部は、アース接続などの目的においては、線幅は20μmより広い部分を有していてもよい。また画像を目立たせなくする観点からは、導電性金属部の線幅は15μm未満であることが好ましく、10μm未満であることがさらに好ましく、7μm未満であることが最も好ましい。
【0141】
メッシュパターンにおいて、光透過性部の比率(即ち開口率)は、可視光透過率の点から85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、メッシュをなす細線のない部分が全体に占める割合であり、例えば、線幅10μm、ピッチ200μmの正方形の格子状メッシュの開口率は、90%である。
【0142】
[光透過率]
本発明において、可視光域の平均透過率とは、400〜700nmまでの可視光領域の透過率を、少なくとも5nm毎に測定して求めた可視光域の各透過率を積算し、その平均値として求めたものと定義する。
【0143】
測定においては、測定アパチャーを、前述のメッシュパターンより十分大きくとっておく必要があり、少なくともメッシュの格子面積よ100倍以上大きな面積で測定して求める。
【0144】
本発明においては、可視光域による平均透過率が、80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
【0145】
[電磁波遮蔽材料の層構成]
本発明の電磁波遮蔽材料における支持体の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
【0146】
物理現像及び/又はメッキ処理前の支持体上に設けられる金属銀部の厚さは、支持体上に塗布されるハロゲン化銀粒子含有層用の塗布液の塗布厚みで適宜決定することができる。金属銀部の厚さは、30μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましく、0.01〜9μmであることがさらに好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。
【0147】
ディスプレイの電磁波シールド材の用途としては、導電性金属部の厚さが薄いほどディスプレイの視野角が広がり好ましい。導電性配線材料としては、薄膜化、高密度化が要求され、このような観点から、導電性金属部に担持された導電性金属からなる層の厚さは、9μm未満であることが好ましく、0.1μm以上5μm未満であることがより好ましく、0.1μm以上3μm未満であることがさらに好ましい。
【0148】
本発明では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はメッキ処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する透光性電磁波シールド膜であっても容易に形成することができる。
【実施例】
【0149】
以下に、本発明の実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
【0150】
なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
【0151】
実施例1
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
水媒体中のAg100gに対してゼラチン100gを含む、球相当径平均0.044μmの沃臭化銀粒子(I=2.5モル%)を含有する乳剤を調製した。この際、Ag/ゼラチン質量比は10/1とし、ゼラチン種としては平均分子量4万のアルカリ処理低分子量ゼラチンを用いた。
【0152】
また、この乳剤中には臭化ロジウム酸カリウム及び塩化イリジウム酸カリウムを濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。
【0153】
この乳剤に塩化パラジウム酸ナトリウムを添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、近赤外増感色素をハロゲン化銀1モル当たり10-4モル添加し、近赤外増感((S−1)を使用)をした後、硬調化剤としてヒドラジン(H−2)、促進剤のアミン化合物(A−10)を加えた。
【0154】
【化1】

【0155】
(H−2):1−トリフロロメチルカルボニル−2−{4−〔2−(2,4−ジ−tert−ペンチルフェノキシ)ブチルアミド〕フェニル}ヒドラジン
(A−10):1−ジメチルアミノ−2−プロパノール
なお、ハロゲン化銀粒子径は、仕込み時の温度(25℃)により44nmとなるように作製した。
【0156】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
支持体としてポリエチレンテレフタレートを使用し、ハロゲン化銀含有液を銀の付量が0.5g/m2となるように、減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。
【0157】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μm、露光長(長手方向のメッシュ露光パターン長(L))2000mm、メッシュ部の外縁部に30mmの光透過部を有するガラスマスクを使用して、露光長さを10mm重ね合わせながら、連続露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)を使用した。
【0158】
その後、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、更に定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0159】
(現像液組成)
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3,3−ジメチルピラゾリドン 1.5g
臭化カリウム 3.0g
亜硫酸ナトリウム 50g
水酸化カリウム 30g
硼酸 10g
N−n−ブチルジエタノールアミン 15g
水を加えて1Lとし、pHは10.20に調節した。
【0160】
(定着液組成)
チオ硫酸アンモニウム72.5%水溶液 240ml
亜流酸ナトリウム 17g
酢酸ナトリウム・3水塩 6.5g
硼酸 6.0g
クエン酸ナトリウム・2水塩 2.0g
酢酸90%水溶液 13.6ml
硫酸50%水溶液 4.7g
硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%質量/容量の水溶液) 26.5g
水を加えて1Lとし、pHを5.0に調節した。
【0161】
《物理現像》
下記物理現像液を用いて、25℃300秒間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。
【0162】
(物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1Lに調節した。
【0163】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25度、3A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、5μmの電解銅メッキ膜を形成し、電磁は遮蔽フィルム1を作成した。
【0164】
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0165】
実施例2
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施例1と同じ、ハロゲン化銀乳剤を使用した。
【0166】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、銀の付量が0.5g/m2なるように減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。
【0167】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μm、露光長さ1800mm、露光部の全長に渡りメッシュが形成されているガラスマスクを使用して、露光長さを5mm重ね合わせながら、連続露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)を使用した。
【0168】
その後、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、更に定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0169】
(現像液組成)
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3,3−ジメチルピラゾリドン 1.5g
臭化カリウム 3.0g
亜硫酸ナトリウム 50g
水酸化カリウム 30g
硼酸 10g
N−n−ブチルジエタノールアミン 15g
水を加えて1Lとし、pHは10.20に調節した。
【0170】
(定着液組成)
チオ硫酸アンモニウム72.5%水溶液 240ml
亜流酸ナトリウム 17g
酢酸ナトリウム・3水塩 6.5g
硼酸 6.0g
クエン酸ナトリウム・2水塩 2.0g
酢酸90%水溶液 13.6ml
硫酸50%水溶液 4.7g
硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%質量/容量の水溶液) 26.5g
水を加えて1Lとし、pHを5.0に調節した。
【0171】
《物理現像》
下記物理現像液を用いて、25℃300秒間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。
【0172】
(物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1Lに調節した。
【0173】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25度、3A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、5μmの電解銅メッキ膜を形成し、電磁は遮蔽フィルム2を作成した。
【0174】
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0175】
実施例3
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施例1と同じ、ハロゲン化銀乳剤を使用した。
【0176】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。銀の付量は、0.8g/m2とした。
【0177】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μm、露光長さ1500mm、露光部の全長に渡りメッシュが形成されているガラスマスクを使用して、露光長さを30mm重ね合わせながら、連続露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)を使用した。
【0178】
その後、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、更に定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0179】
(現像液組成)
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3,3−ジメチルピラゾリドン 1.5g
臭化カリウム 3.0g
亜硫酸ナトリウム 50g
水酸化カリウム 30g
硼酸 10g
N−n−ブチルジエタノールアミン 15g
水を加えて1Lとし、pHは10.20に調節した。
【0180】
(定着液組成)
チオ硫酸アンモニウム72.5%水溶液 240ml
亜流酸ナトリウム 17g
酢酸ナトリウム・3水塩 6.5g
硼酸 6.0g
クエン酸ナトリウム・2水塩 2.0g
酢酸90%水溶液 13.6ml
硫酸50%水溶液 4.7g
硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%質量/容量の水溶液) 26.5g
水を加えて1Lとし、pHを5.0に調節した。
【0181】
《物理現像》
下記物理現像液を用いて、25℃300秒間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。
【0182】
(物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1Lに調節した。
【0183】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25度、3A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、5μmの電解銅メッキ膜を形成し、電磁は遮蔽フィルム3を作成した。
【0184】
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0185】
実施例4
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施例1と同じ、ハロゲン化銀乳剤を使用した。
【0186】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。銀の付量は、0.8g/m2とした。
【0187】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μm、露光長さ2000mm、露光部の全長に渡りメッシュが形成されているガラスマスクを使用して、露光長さを5mm重ね合わせながら、連続露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)を使用した。
【0188】
その後、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、更に定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0189】
(現像液組成)
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3,3−ジメチルピラゾリドン 1.5g
臭化カリウム 3.0g
亜硫酸ナトリウム 50g
水酸化カリウム 30g
硼酸 10g
N−n−ブチルジエタノールアミン 15g
水を加えて1Lとし、pHは10.20に調節した。
【0190】
(定着液組成)
チオ硫酸アンモニウム72.5%水溶液 240ml
亜流酸ナトリウム 17g
酢酸ナトリウム・3水塩 6.5g
硼酸 6.0g
クエン酸ナトリウム・2水塩 2.0g
酢酸90%水溶液 13.6ml
硫酸50%水溶液 4.7g
硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%質量/容量の水溶液) 26.5g
水を加えて1Lとし、pHを5.0に調節した。
【0191】
《物理現像》
下記物理現像液を用いて、25℃300秒間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。
【0192】
(物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1Lに調節した。
【0193】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25℃、1A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、2μmの銅メッキ膜を形成し、3A/cm2の条件に変更し、さらに3μmの銅メッキ膜を形成し、トータル5μmのメッキ膜として、電磁波遮蔽フィルム4を作製した。
【0194】
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0195】
実施例5
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施例1と同じ、ハロゲン化銀乳剤を使用した。
【0196】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。銀の付量は、0.8g/m2とした。
【0197】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μm、露光長さ1800mm、露光部の全長に渡りメッシュが形成されているガラスマスクを使用して、露光長さを40mm重ね合わせながら、連続露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)を使用した。
【0198】
その後、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、更に定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0199】
(現像液組成)
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3,3−ジメチルピラゾリドン 1.5g
臭化カリウム 3.0g
亜硫酸ナトリウム 50g
水酸化カリウム 30g
硼酸 10g
N−n−ブチルジエタノールアミン 15g
水を加えて1Lとし、pHは10.20に調節した。
【0200】
(定着液組成)
チオ硫酸アンモニウム72.5%水溶液 240ml
亜流酸ナトリウム 17g
酢酸ナトリウム・3水塩 6.5g
硼酸 6.0g
クエン酸ナトリウム・2水塩 2.0g
酢酸90%水溶液 13.6ml
硫酸50%水溶液 4.7g
硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%質量/容量の水溶液) 26.5g
水を加えて1Lとし、pHを5.0に調節した。
【0201】
《無電解メッキ》
下記Pd触媒液、無電解メッキ液を用い、無電解メッキを行い、3μmの無電解銅メッキ膜を形成した。
【0202】
(Pd触媒液)
硫酸パラジウム 20mg
水を加えて全量を1リットルとする。
【0203】
(無電解銅メッキ液)
硫酸銅 0.04モル
ホルムアルデヒド(37質量%) 0.08モル
水酸化ナトリウム 0.10モル
トリエタノールアミン 0.05モル
ポリエチレングリコール 100ppm
水を加えて全量を1リットルとする。
【0204】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25℃、3A/cm2の条件でさらに2μmの銅メッキ膜を形成し、トータル5μmのメッキ膜として、電磁波遮蔽フィルム5を作製した。
【0205】
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0206】
実施例6
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施1と同様のハロゲン化銀粒子含有液を使用した。
【0207】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、銀の付量が0.5g/m2なるように減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。
【0208】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μm、露光長さ1500mm、メッシュ部の外縁部に30mmの光透過部を有するガラスマスクを使用して、露光長さを20mm重ね合わせながら、連続露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)を使用した。
【0209】
その後、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、更に定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0210】
(現像液組成)
ハイドロキノン 30g
1−フェニル−3,3−ジメチルピラゾリドン 1.5g
臭化カリウム 3.0g
亜硫酸ナトリウム 50g
水酸化カリウム 30g
硼酸 10g
N−n−ブチルジエタノールアミン 15g
水を加えて1Lとし、pHは10.20に調節した。
【0211】
(定着液組成)
チオ硫酸アンモニウム72.5%水溶液 240ml
亜流酸ナトリウム 17g
酢酸ナトリウム・3水塩 6.5g
硼酸 6.0g
クエン酸ナトリウム・2水塩 2.0g
酢酸90%水溶液 13.6ml
硫酸50%水溶液 4.7g
硫酸アルミニウム(Al23換算含量が8.1%質量/容量の水溶液) 26.5g
水を加えて1Lとし、pHを5.0に調節した。
【0212】
《物理現像》
下記物理現像液を用いて、25℃300秒間の物理現像を行い、ついで水洗処理を行った。
【0213】
(物理現像液)
純水 800ml
クエン酸 5g
ハイドロキノン 7g
硝酸銀 3g
水を加えて全量を1Lに調節した。
【0214】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25度、3A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、5μmの電解銅メッキ膜を形成し、電磁は遮蔽フィルムを作成した。
【0215】
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0216】
比較例1
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施例1と同じ、ハロゲン化銀乳剤を使用した。
【0217】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、銀の付量が0.5g/m2となるように減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。
【0218】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μmの現像銀を与えうる格子状の描画パターンを、露光長さ2000mmのマスクを使用し、間欠的に露光を行った。光源としては、赤色半導体レーザー露光(685nm)し、実施例と同じ現像液、定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0219】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25度、1A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、2μmの銅メッキ膜を形成し、3A/cm2の条件に変更を行い、更に3μmの銅メッキ膜を形成し、トータル5μmのメッキ膜として、比較例1のサンプルを作成した。
【0220】
(電解銅メッキ液)
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0221】
比較例2
《ハロゲン化銀粒子含有液の調製》
実施例1と同じ、ハロゲン化銀乳剤を使用した。
【0222】
《ハロゲン化銀含有液の塗布》
実施例1と同じく、銀の付量が0.5g/m2となるように減圧押し出し塗布方法により塗布を行った。
【0223】
《露光/現像》
ハロゲン化銀含有液を塗布/乾燥させた塗布膜に、ライン/スペース=5μm/245μmの現像銀を与えうる格子状の描画パターンを、赤色半導体レーザー(波長685nm)で、DMD(デジタルミラーデバイス)を使用して、各露光ヘッド毎のレーザー光が結像するように配置して、連続露光を行った。その後、実施例と同じ現像液、定着液を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
【0224】
《電解メッキ》
下記電解メッキ液を用い、25度、1A/cm2の条件で電解メッキ処理を行い、2μmの銅メッキ膜を形成し、3A/cm2の条件に変更を行い、更に3μmの銅メッキ膜を形成し、トータル5μmのメッキ膜として、比較例2のサンプルを作成した。
【0225】
(電解銅メッキ液)
硫酸銅 80g
硫酸 200g
塩素イオン 50ppm
水を加えて全量1Lに調節した。
【0226】
《評価》
このようにして得られた、導電性の金属メッシュ部分を有する透明な電磁波遮蔽フィルム試料各々に対して、表面比抵抗率と透過率をそれぞれ抵抗率計(ロレスタGP(MCP−T610型):(株)ダイヤインスツルメンツ社製)と分光光度計(日立分光光度計U−3210:(株)日立製作所製)を用いて測定した。なお、透過率は400〜700nmまでの可視光領域の透過率を少なくとも5nm毎に測定して求めた可視光域の各透過率を積算しその平均値として求めた。
【0227】
各々の評価項目について、下記のように評価した。
【0228】
○:非常に優れている
△:欠点はあるが、実用下限
×:使用不可。
【0229】
各製造方法について、装置製造コスト、生産収率の面から、下記のように評価を行った。
【0230】
○:安価で収率高い
△:標準的(許容範囲)
×:高価又は収率低く、使用不可
【0231】
【表1】

【0232】
表1より、本発明の製造方法により製造された電磁波遮蔽フィルムは、光透過性、電磁波遮蔽性のいずれにも優れ、また本発明の製造方法では従来の方法に比し、装置コストの面、製造収率の面からも従来法に比し優れている。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】露光用のマスクM及びマスクにより形成されるパターンを示す概念図である。
【図2】マスクMを介した露光、及びマスク露光により形成される基材上のパターンを示す概念図である。
【図3】メッシュパターンの部が重なるように露光される本発明の方法を示す概念図である。
【図4】電解メッキ装置の例を示す概念図である。
【図5】外枠に光透過部をもたないマスクを用いた場合のメッシュパターン例を示す。
【符号の説明】
【0234】
16 電解メッキ装置
36 電荷メッキ処理槽
42A、42B、44 支持ロール
48A 陰極側給電ロール
48B 陽電極板
62 回転ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して走行する支持体上に金属塩微粒子を含有する塗布液を均一に塗布、乾燥後、その塗布層に、マスクを用いて、メッシュパターン露光を、順次、連続して行った後、現像処理することにより支持体上に金属メッシュパターンを形成し、次いで、物理現像処理及び/又はメッキ処理を行うことによって金属メッシュパターンに導電性を付与して電磁波遮蔽機能を付与する電磁波遮蔽フィルムの製造方法において、搬送する支持体上の塗布層への前記メッシュパターン露光を、隣接するメッシュパターン同士が一部重なるように露光することを特徴とする電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項2】
隣接するメッシュパターン同士が一部重なるように露光するときの重なりが、マスクにより一度に露光されるメッシュパターンの支持体の長手方向の長さの0.2〜3%の範囲であることを特徴とする請求項1記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記マスクが、メッシュパターンの外枠としてメッシュを形成していない、光透過部を有することを特徴とする請求項1または2記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記マスクが、メッシュパターンの外枠としてメッシュを形成していない、光透過部を有しないことを特徴とする請求項1または2記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記現像処理、物理現像処理及び/又はメッキ処理をロールツウロールで処理することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記メッキ処理が、無電解メッキ処理、これに続く電解メッキ処理からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記メッキ処理が、先ず、低い電流値で電解メッキを行った後、高い電流値で電解メッキを行うことからなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記金属塩微粒子が、ハロゲン化金属微粒子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項9】
ハロゲン化金属微粒子の金属成分の塗布量が、減圧押し出し塗布により、0.3〜1g/m2であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項記載の電磁波遮蔽フィルムの製造方法により製造したことを特徴とする電磁波遮蔽フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−283029(P2008−283029A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−126577(P2007−126577)
【出願日】平成19年5月11日(2007.5.11)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】