説明

電磁結合を利用する圧力分布検出装置及び物体検出装置

【課題】配線数を減少させることでコストを削減し、信頼性を向上させ、さらには検出領域以外の余分な領域を減らすことが可能な電磁結合を利用する圧力分布検出装置を提供する。
【解決手段】圧力分布検出装置は、複数の駆動側ループ状配線20と、これに直交する方向に配置される複数の検出側ループ状配線30と、これらがそれぞれ電磁結合するように構成される複数の電磁結合部36と、複数の駆動側ループ状配線を駆動する駆動部40と、電磁結合部36の電磁結合の度合いの変化を複数の検出側ループ状配線30から検出する検出部50とからなる。そして、複数の駆動側ループ状配線20及び複数の検出側ループ状配線30が、隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する共通グラウンド線25,35を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電磁結合を利用する圧力分布検出装置及び物体検出装置に関し、特に、配線数を減少させた圧力分布検出装置及び物体検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁結合を利用する圧力分布検出装置としては、本願発明者と同一の発明者による特許文献1や特願2006−011748、特願2006−194895、特願2006−231225等が存在する。また、電磁結合を利用して物体の形状等を測定する物体検出装置としては、本願発明者と同一の発明者による特願2006−169145等が存在する。これらは、いずれも基本構成としては複数の駆動側ループ状配線と検出側ループ状配線を用いており、これらがそれぞれ電磁結合するようにコイル状の電磁結合部や導電体片による電磁結合部が構成され、これらの電磁結合部の電磁結合の変化の度合いを検出部で検出することで、圧力分布や物体の形状等を検出できるものである。
【0003】
これらの従来の検出装置の検出領域の配線は、リード線等の配線を用いることも勿論可能であるが、基板上に配線をパターンニング形成すると、量産化等に有利となる。ここで、図1を用いて従来の圧力分布検出装置の配線の引き回しについて説明する。図1は、従来の圧力分布検出装置の一例を説明するための上面概略図である。図示の通り、スルーホールを用いない基板1の両面にそれぞれ駆動側ループ状配線2、検出側ループ状配線3が配置されることでセンサ部が構成されている。そして、センサ部から駆動部4や検出部5等を有するコントローラ6への接続は、基板1上に設けられたコネクタ7を介して引き出す構成としている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−156474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図1のような構成の従来の検出装置では、コネクタの極数はループ状配線の本数に応じて多くなる。検出装置の空間分解能を上げるためにループ状配線を増やしていくと、そのままコネクタの極数の増大を招くこととなり、コスト増、信頼性低下の原因となり得る。
【0006】
さらに、駆動側ループ状配線2と検出側ループ状配線3は直交する方向に配置されるものであるため、これらの配線からの引き出し線は、検出面に対して2方向に向いてしまう。しかしながら、設置の容易性を考慮すると、コネクタ7からコントローラ6への接続は1方向で行える構成が好ましい。そこで、配線を1方向から引き出すために、一方の駆動側ループ状配線の引き出し線を検出領域の周辺領域を用いて引き回すことになる。このとき、周辺領域のスペースは、引き出し線の本数によって決定されることになる。したがって、上述のように空間分解能を上げるためにループ状配線が増えると、周辺領域に必要なスペースも増えてしまうことになる。しかしながら、検出装置の使い勝手等を考慮すると、検出領域以外の余分な領域は減らすことが好ましい。
【0007】
本発明は、斯かる実情に鑑み、配線数を減少させることでコストを削減し、信頼性を向上させ、さらには検出領域以外の余分な領域を減らすことが可能な電磁結合を利用する圧力分布検出装置又は物体検出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した本発明の目的を達成するために、本発明による電磁結合を利用する圧力分布検出装置は、駆動側信号線及び駆動側グラウンド線からなる駆動側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の駆動側ループ状配線と、複数の駆動側ループ状配線とそれぞれ直交する方向に配置され、検出側信号線及び検出側グラウンド線からなる検出側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の検出側ループ状配線と、複数の駆動側ループ状配線と複数の検出側ループ状配線とがそれぞれ電磁結合するように構成される複数の電磁結合部と、複数の駆動側ループ状配線に接続され、複数の駆動側ループ状配線を駆動する駆動手段と、複数の検出側ループ状配線に接続され、圧力による電磁結合部の電磁結合の度合いの変化を複数の検出側ループ状配線から検出する検出手段とを具備し、複数の駆動側ループ状配線及び複数の検出側ループ状配線の少なくとも一方が、隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する共通グラウンド線を有するものである。
【0009】
ここで、共通グラウンド線は、ループ状配線間の隣り合う線を直列接続することで電気的に共通化するものであれば良い。
【0010】
また、共通グラウンド線は、ループ状配線間の隣り合う線自体を物理的に共通化するものであっても良い。
【0011】
また、複数の駆動側ループ状配線及び複数の検出側ループ状配線は、それぞれ両面基板又は2枚の片面基板の各々の面上に配置され、駆動側信号線、検出側信号線、及び共通グラウンド線が、各面上でクロスしないように配置されるものであれば良い。
【0012】
また、複数の駆動側ループ状配線及び複数の検出側ループ状配線は、それぞれコネクタを介して駆動手段及び検出手段に接続されるものであれば良い。
【0013】
ここで、それぞれのコネクタは、一方向に配置されるものであれば良い。
【0014】
また、さらに隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する、第2共通グラウンド線を有するものであっても良い。
【0015】
さらにまた、電磁結合を利用して検出面上に載せられる導電体又は磁性体からなる被測定物体の形状や被測定物体からの距離を検出する物体検出装置は、駆動側信号線及び駆動側グラウンド線からなる駆動側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の駆動側ループ状配線と、複数の駆動側ループ状配線とそれぞれ直交する方向に配置され、検出側信号線及び検出側グラウンド線からなる検出側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の検出側ループ状配線と、複数の駆動側ループ状配線と複数の検出側ループ状配線とがそれぞれ電磁結合するように構成される複数の電磁結合部と、複数の駆動側ループ状配線に接続され、複数の駆動側ループ状配線を駆動する駆動手段と、複数の検出側ループ状配線に接続され、検出面上に載せられる導電体又は磁性体による電磁結合部の電磁結合の度合いの変化を複数の検出側ループ状配線から検出する検出手段とを具備し、複数の駆動側ループ状配線及び複数の検出側ループ状配線の少なくとも一方が、隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する共通グラウンド線を有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電磁結合を利用する圧力分布検出装置及び物体検出装置には、配線数を減少させることでコストを削減し、信頼性を向上させ、さらには検出領域以外の余分な領域を減らすことが可能であるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図示例と共に説明する。図2は、本発明の第1実施例の検出装置を説明するための上面概略図である。図示の通り、本発明の検出装置は、両面基板10の表裏にそれぞれ配置される、複数の駆動側ループ状配線20と検出側ループ状配線30と、駆動部40と検出部50とを有するコントローラ60とから主に構成されるものである。なお、コントローラ60にはコンピュータ等が接続され、各種処理が行われれば良い。
【0018】
ここで、圧力分布検出装置を構成するためには、電磁結合部の電磁結合の度合いが圧力により変化する必要がある。例えば、基板を弾性体により構成し、駆動側ループ状配線と検出側ループ状配線との間の距離を圧力により可変するように構成すれば良い。また、基板を非弾性体で構成した場合には、別途、圧力により電磁結合部までの距離が可変する導電体片等を電磁結合部近傍に配置すれば良い。さらに、検出面上に載せられる導電体又は磁性体からなる被測定物体の形状や被測定物体からの距離を検出する物体検出装置を構成する場合には、駆動側ループ状配線と検出側ループ状配線との間に、その距離が変化しないようなスペーサを配置すれば良い。検出面上に導電体が置かれれば、この影響を受け電磁結合部の電磁結合の度合いが変化するので、これを測定すれば物体の形状等が測定可能である。これらの具体的構成は、従来技術で説明した特許文献1や先行出願に開示された種々の構成により実現すれば良いため、詳説は省略する。
【0019】
さて、図2に示されるように、本発明の検出装置において、駆動側ループ状配線20は、駆動側信号線20aと駆動側グラウンド線20bとからなり、これら駆動側ループ状配線20が複数平行配置されている。また、検出側ループ状配線30も同様に、検出側信号線30aと検出側グラウンド線30bとからなり、これら検出側ループ状配線30が複数平行に配置されている。そして、複数の検出側ループ状配線30は、複数の駆動側ループ状配線20とそれぞれ直交する方向に配置されている。
【0020】
なお、図示例では駆動側ループ状配線20及び検出側ループ状配線30は、両面基板10の表裏面上にそれぞれ配置されるものを示した。より具体的には、駆動側ループ状配線20が基板10の裏面側に配置され、検出側ループ状配線30が基板10の表面側に配置されている。したがって、駆動側ループ状配線20は破線で示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、表裏逆であっても構わない。また、片面基板を2枚用いて、各々の面上にそれぞれのループ状配線が配置され、これを積み重ねる構造であっても構わない。
【0021】
そして、複数の駆動側ループ状配線20と複数の検出側ループ状配線30には、これらがそれぞれ電磁結合するように構成された複数の電磁結合部36が設けられている。電磁結合部36は、図示例では各ループ状配線の交差する領域にコイル状パターンをそれぞれ設けることで、交差する領域で電磁結合するよう構成されている。なお、電磁結合部は図示例の構成に限定されず、従来の種々の構成を適用可能である。例えば図示例ではコイル状パターンは菱形形状のものを示したが、円形状のコイル状パターンであっても構わない。また、駆動側ループ状配線と検出側ループ状配線のコイル状パターンの大きさも異なるように示したが、同一の大きさであっても構わない。さらに、例えば、各ループ状配線を直線状に配置し、交差する領域に導電体片を設けることで電磁結合するように構成しても良い。
【0022】
また、複数の駆動側ループ状配線20は、交流電流により高周波駆動されるように、発振器等からなる駆動部40に接続される。そして、複数の検出側ループ状配線30は、電磁結合部の電磁結合の度合いの変化を検出するための検出アンプ等からなる検出部50に接続される。これらの接続は、駆動側コネクタ70及び検出側コネクタ71やケーブル80等を介して行われる。
【0023】
駆動部40には、配線切替器が設けられており、複数の駆動側ループ状配線20を発振器に順次接続してループ状配線を駆動させるものである。また、検出部50にも配線切替器があり、複数の検出側ループ状配線30を検出アンプに順次接続する。
【0024】
駆動側ループ状配線20を駆動すると、電磁結合部36では、電磁結合現象により、検出側ループ状配線30にも交流起電力が誘起される。この起電力の大きさは、電磁結合の度合いによって変化する。このため、圧力により対向するコイル状パターンの間の距離が変化した場合や導電体や磁性体が近づいた場合には、電磁結合の度合いが変化するため、検出側ループ状配線30から検出される電流が変化することになる。したがって、上述のように各ループ状配線を順次接続していけば、どこの電磁結合部で電磁結合の度合いが変化したかが検出できる。なお、駆動方式や検出方式についても、図示例に限定されず、従来技術で説明した特許文献1や先行出願に開示された種々の構成により実現可能である。
【0025】
さて、次に、本発明の検出装置の最も特徴的な部分である共通グラウンド線について説明する。本発明の検出装置では、複数の駆動側ループ状配線20の隣り合うループ状配線間の隣り合う線を、共通グラウンド線25として共通化している。より具体的には、駆動側ループ状配線20は駆動側信号線20aと駆動側グラウンド線20bで構成されているが、隣り合う駆動側ループ状配線20間で、駆動側グラウンド線20bを隣り合う線として共通化している。図示例では、隣り合う駆動側ループ状配線20の駆動側グラウンド線20bを直列接続することで電気的に共通化している。
【0026】
また、図示例では、検出側ループ状配線も同様に、複数の検出側ループ状配線30の隣り合うループ状配線間の隣り合う線を、共通グラウンド線35として共通化している。より具体的には、検出側ループ状配線30は検出側信号線30aと検出側グラウンド線30bで構成されているが、隣り合う検出側ループ状配線30間で、検出側グラウンド線30bを隣り合う線として共通化している。図示例では、隣り合う検出側ループ状配線30の検出側グラウンド線30bを直列接続することで電気的に共通化している。そして、このように構成された共通グラウンド線25,35が、駆動部40や検出部50にグラウンド線として接続されている。
【0027】
このように、本発明によれば、共通グラウンド線を用いることで、引き回す必要のある配線本数を減らすことが可能となる。より具体的には、駆動側及び検出側の一方において、ループ状配線をn本とすると、従来技術ではn×2本の配線を引き回す必要があったが、本発明では、n×2−n/2本の配線を引き回すだけで足りるようになる。すなわち、従来技術に比べて本発明ではn/2本分、配線本数を減らすことが可能となる。
【0028】
そして、図示例では、コントローラ60へ接続するための配線は、駆動側コネクタ70及び検出側コネクタ71を介して行われている。本発明によれば、共通グラウンド線により、配線本数を減らすことが可能となるため、駆動側コネクタ70及び検出側コネクタ71の極数を減らすことが可能となる。したがって、コスト削減や信頼性向上が可能となる。
【0029】
また、設置容易性等を考慮して、図示例のように、駆動側コネクタ70及び検出側コネクタ71を一方向に配置することも可能である。この場合、本発明によれば、配線本数を減らすことが可能であるため、配線引き回しのために必要な周辺領域を従来技術と比較して減少させることが可能となる。したがって、スルーホールを用いない両面基板や2枚の片面基板を用いた場合であっても、それらの各面上にそれぞれ配置される駆動側信号線や検出側信号線、共通グラウンド線が、各面上でクロスしないよう配置することが可能であるため、多層配線等を用いなくても安価に構成することが可能となる。
【0030】
なお、上述の図示例では、共通グラウンド線を駆動側ループ状配線及び検出側ループ配線の両方に設けた例を説明したが、本発明はこれに限定されず、共通グラウンド線は駆動側ループ状配線と検出側ループ状配線の少なくとも一方に設けられていれば良い。また、すべての隣り合うループ状配線に対して、隣り合う線を共通グラウンド線として共通化しなくても良い。一部のみ共通化した場合であっても、本発明の効果は得られる。
【0031】
さらに、上述の図示例では、検出領域の基板とコントローラが別構成となっており、その間がコネクタやケーブルを用いて接続されている例を説明したが、本発明はこれに限定されず、コネクタやケーブルを用いずに直接接続されるものであっても良い。また、駆動部や検出部を、検出領域を構成する基板上に一緒に設けても勿論構わない。
【0032】
またさらに、上述の図示例では、引き回しのための配線も基板上に設けた例を説明したが、本発明はこれに限定されず、各ループ状配線及び共通グラウンド線を基板上に設け、引き回し用の配線は基板外にフラットケーブル等で構成しても構わない。この場合であっても、配線本数を減らすことが可能であるため、コスト削減等の効果は得られる。さらに、コネクタの部分でグラウンド線をまとめた上でケーブルによりコントローラに接続するように構成すれば、ケーブルの内部線数を減らすことも可能である。
【0033】
次に、本発明の第2実施例について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の第2実施例の検出装置を説明するための上面概略図である。図中、図2と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、詳説は省略する。第1実施例では、共通グラウンド線は、ループ状配線間の隣り合う線を直列接続することで電気的に共通化していたが、第2実施例では、隣り合う線自体を物理的に共通化することで共通グラウンド線を構成している。すなわち、図示の通り、例えば駆動側ループ状配線20では、駆動側グラウンド線20bが隣り合う駆動側ループ状配線20間で共通となっており、この1本の駆動側グラウンド線20bを共通グラウンド線25として用いている。また、検出側ループ状配線30でも同様に、検出側グラウンド線30bが隣り合う検出側ループ状配線30間で共通となっており、この1本の検出側グラウンド線30bを共通グラウンド線35として用いている。これにより、検出領域上においてもさらに配線本数を減らすことが可能となる。
【0034】
なお、図示した第2実施例では、電磁結合部37は、直線状の駆動側ループ状配線及び検出側ループ状配線と、これらの交差する位置の近傍に設けられる導電体片38により構成した。これは、直線状のループ状配線の交点において、導電体片により間接的に電磁結合現象を生じさせる構成である。しかしながら、本発明はこれに限定されず、第1実施例のようにコイル状パターンを設けたループ状配線を用いても良い。
【0035】
図4に、図3の第2実施例のループ状配線をコイル状パターンとした例を示す。図4は、本発明の第2実施例の変形例を説明するための上面概略図である。図中、図4と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、詳説は省略する。図示の通り、図3に示した例と同様に、ループ状配線がコイル状パターンであったとしても、隣り合うループ状配線の隣り合う線を物理的に共通化することで共通グラウンド線を構成することが可能となる。なお、菱形のコイル上パターンを用いた場合には、隣り合う線を共通化すると、各菱形間に隣り合うループ状配線の菱形が嵌まるようになるため、電磁結合部36は、マトリックス状ではなく、図示例のように見かけ上、斜め方向にXY軸が配置されるようになる。しかしながら、検出部やその後の処理過程で適切に座標を決定すれば、マトリックス状のものと同様に利用することが可能となる。
【0036】
なお、図4に示した例では、検出側ループ状配線30を物理的に共通化させた共通グラウンド線35とし、駆動側ループ状配線20には第1実施例と同様に共通グラウンド線25を設けた構成を示した。しかしながら、本発明はこれに限定されず、駆動側ループ状配線20も第2実施例のような共通グラウンド線を設けても勿論構わない。
【0037】
次に、本発明の第3実施例について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第3実施例の検出装置を説明するための上面概略図である。図中、図2と同一の符号を付した部分は同一物を表わしており、詳説は省略する。第3実施例では、共通グラウンド線による共通化をさらに強化したものである。すなわち、第3実施例では、第1実施例の状態から、さらに隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する第2共通グラウンド線を設けた。図示のように、隣り合うループ状配線を例えば4本直列接続し、その両端の線を信号線とし、中央から共通グラウンド線としてグラウンド線を引き出しても良い。
【0038】
なお、第3実施例において、図示例では、4つの電磁結合部が1つの検出セルとして機能するようになる。この場合、1つの電磁結合部による検出セルに比べると、検出セル内の検出特性はより平坦になる。
【0039】
なお、本発明の電磁結合を利用する圧力分布検出装置及び物体検出装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、従来の圧力分布検出装置の一例を説明するための上面概略図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施例の検出装置を説明するための上面概略図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施例の検出装置を説明するための上面概略図である。
【図4】図4は、本発明の第2実施例の変形例を説明するための上面概略図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施例の検出装置を説明するための上面概略図である。
【符号の説明】
【0041】
10 基板
20 駆動側ループ状配線
20a 駆動側信号線
20b 駆動側グラウンド線
25 共通グラウンド線
30 検出側ループ状配線
30a 検出側信号線
30b 検出側グラウンド線
35 共通グラウンド線
36 電磁結合部
37 電磁結合部
38 導電体片
40 駆動部
50 検出部
60 コントローラ
70 駆動側コネクタ
71 検出側コネクタ
80 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁結合を利用する圧力分布検出装置であって、該圧力分布検出装置は、
駆動側信号線及び駆動側グラウンド線からなる駆動側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の駆動側ループ状配線と、
前記複数の駆動側ループ状配線とそれぞれ直交する方向に配置され、検出側信号線及び検出側グラウンド線からなる検出側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の検出側ループ状配線と、
前記複数の駆動側ループ状配線と前記複数の検出側ループ状配線とがそれぞれ電磁結合するように構成される複数の電磁結合部と、
前記複数の駆動側ループ状配線に接続され、前記複数の駆動側ループ状配線を駆動する駆動手段と、
前記複数の検出側ループ状配線に接続され、圧力による前記電磁結合部の電磁結合の度合いの変化を前記複数の検出側ループ状配線から検出する検出手段と、
を具備し、前記複数の駆動側ループ状配線及び前記複数の検出側ループ状配線の少なくとも一方が、隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する共通グラウンド線を有する、
ことを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の圧力分布検出装置において、前記共通グラウンド線は、ループ状配線間の隣り合う線を直列接続することで電気的に共通化することを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項3】
請求項1に記載の圧力分布検出装置において、前記共通グラウンド線は、ループ状配線間の隣り合う線自体を物理的に共通化することを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の圧力分布検出装置において、前記複数の駆動側ループ状配線及び前記複数の検出側ループ状配線は、それぞれ両面基板又は2枚の片面基板の各々の面上に配置され、前記駆動側信号線、前記検出側信号線、及び前記共通グラウンド線が、各面上でクロスしないように配置されることを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の何れかに記載の圧力分布検出装置において、前記複数の駆動側ループ状配線及び前記複数の検出側ループ状配線は、それぞれコネクタを介して前記駆動手段及び前記検出手段に接続されることを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項6】
請求項5に記載の圧力分布検出装置において、前記それぞれのコネクタは、一方向に配置されることを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6の何れかに記載の圧力分布検出装置であって、さらに隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する、第2共通グラウンド線を有することを特徴とする圧力分布検出装置。
【請求項8】
電磁結合を利用して検出面上に載せられる導電体又は磁性体からなる被測定物体の形状や被測定物体からの距離を検出する物体検出装置であって、該物体検出装置は、
駆動側信号線及び駆動側グラウンド線からなる駆動側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の駆動側ループ状配線と、
前記複数の駆動側ループ状配線とそれぞれ直交する方向に配置され、検出側信号線及び検出側グラウンド線からなる検出側ループ状配線が複数平行に配置される、複数の検出側ループ状配線と、
前記複数の駆動側ループ状配線と前記複数の検出側ループ状配線とがそれぞれ電磁結合するように構成される複数の電磁結合部と、
前記複数の駆動側ループ状配線に接続され、前記複数の駆動側ループ状配線を駆動する駆動手段と、
前記複数の検出側ループ状配線に接続され、検出面上に載せられる導電体又は磁性体による前記電磁結合部の電磁結合の度合いの変化を前記複数の検出側ループ状配線から検出する検出手段と、
を具備し、前記複数の駆動側ループ状配線及び前記複数の検出側ループ状配線の少なくとも一方が、隣り合うループ状配線間の隣り合う線をグラウンド線として共通化する共通グラウンド線を有する、
ことを特徴とする物体検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−58312(P2009−58312A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224944(P2007−224944)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(506210211)株式会社ニューコム (17)
【Fターム(参考)】