電磁誘導加熱装置
【課題】支持体の支持部に巻回した加熱手段の形状を、型くずれや巻きほぐれを起こさないことのできる電磁誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】第1のリブ11におけるコイル支持面5に対向する対向部分12をコイル支持面5の面形状に沿った形状とし、対向部分12の巻回形状の励磁コイル3における短手方向に応じた幅寸法N1を、巻回形状の励磁コイル3における短手方向の厚み寸法N2より広く形成し(N1≧N2)、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【解決手段】第1のリブ11におけるコイル支持面5に対向する対向部分12をコイル支持面5の面形状に沿った形状とし、対向部分12の巻回形状の励磁コイル3における短手方向に応じた幅寸法N1を、巻回形状の励磁コイル3における短手方向の厚み寸法N2より広く形成し(N1≧N2)、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱を行う機器に使われる電磁誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、加熱体の発熱手段として、電磁誘導加熱(IH : induction heating)方式の電磁誘導加熱装置を用いた機器が知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、この種の機器における加熱体は、その発熱部が所定形状をなしている。一方、前記電磁誘導加熱装置の加熱手段は、前記加熱体を発熱させる必要がある。
【0004】
このため、この種の機器においては、前記加熱手段を、前記加熱体の発熱部に対応した形状に成形する必要がある。そこで、この対応した形状に加熱手段を成形して、支持体の支持部に組み付けるか、もしくは、直接線材を巻き付けて、加熱手段を成形して組み入れている。
【0005】
しかしながら、組み入れた加熱手段は、発生する熱により、型くずれや巻きはぐれを起こしやすいという問題点があった。
【0006】
また、電磁誘導加熱装置を組み立てる際も、型くずれや巻きほぐれを起こす場合がある。
【0007】
さらに従来、加熱手段の大きさを、加熱体の大きさよりも大きくした加熱手段が開示されている(特許文献2)。
【0008】
ところで、この種の電磁誘導加熱装置における出力は、制御手段により調整されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−276692号公報
【特許文献2】特開2001−66919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この種の電磁誘導加熱装置では、前記加熱体を発熱させるための加熱手段の形状を保持できる方法が望まれていた。
【0010】
さらに、前述した出力制御による電磁誘導加熱装置では、装置への入力が平滑手段により平滑されて制御手段に出力するようになっている。しかし、前記入力に歪が生じた場合に、制御手段がこれに追従しきれず、出力に問題を有していた。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決して、支持体の支持部に巻回した加熱手段の形状を、型くずれや巻きほぐれを起こさないことのできる電磁誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらに本発明は、入力に歪を生じた場合でも、これに対応して制御手段が正しく出力を調整できる電磁誘導加熱装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明の電磁誘導加熱装置では、導電体からなる線材を巻回して形成される加熱手段と、当該加熱手段を支持する支持部を有する支持体と、前記支持部に前記加熱手段を保持するためのホルダーを有し、該ホルダーに、前記加熱手段の巻回形状を保持するための第1の保持部を備え、該第1の保持部は、前記支持部に沿って、前記支持部に向けて凸リブ形状となるように突出して形成され、前記支持部には、前記加熱手段を保持可能に形成された第2の保持部を備え、前記第1の保持部の巻回形状の前記加熱手段における短手方向に応じた寸法が、前記巻回形状の前記加熱手段における前記短手方向の寸法より広く形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明の電磁誘導加熱装置では、入力により出力を調整する制御手段を備えた誘導加熱装置において、前記入力を平滑手段で平滑し、ローパスフィルタを通して前記制御手段に出力する構成としたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明の電磁誘導加熱装置では、請求項12記載の電磁誘導加熱装置において、加熱手段と共振手段とからなる共振回路と、スイッチング手段を含むインバータと、前記入力を直流に変換し、出力を印加する変換手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、加熱体を発熱させることを可能とする。さらにホルダーにより、加熱手段を支持部に押え付けて保持したことにより、巻回された加熱手段の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、入力に歪を生じた場合でも、この入力が平滑手段で平滑された後、ローパスフィルタを通過することで、ノイズ成分を取除いた出力が制御手段に取り込まれる。したがって、制御手段は入力の歪に左右されることなく、本来の正常値に追従して、正しく出力を調整することが可能になる。
【0018】
請求項3の発明によれば、制御手段がインバータを構成するスイッチング手段をスイッチング動作させることで、制御手段は入力の歪に左右されることなく、本来の正常値に追従して、正しく出力を調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る誘導加熱装置の好ましい実施例を、添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2は、本発明の第1実施例を示すもので、本実施例の電磁誘導加熱装置は、像加熱体たる加熱ローラ1と、この加熱ローラ1を加熱する加熱手段2を備えている。
【0021】
加熱ローラ1は、トナーを被発熱体である紙に定着させるための回動可能な筒状金属発熱体であり、中空な円筒状で鉄やステンレスなどの磁性金属で構成される。
【0022】
加熱手段2は、電磁誘導により加熱ローラ1を外周面4に沿って加熱する励磁コイルユニットであり、導電体からなるコイル線材を巻回して形成される励磁コイル3と、励磁コイル3と発熱面たる加熱ローラ1の外周面4とをほぼ一定距離に保持する支持部たるコイル支持面5を有する支持体たるコイル支持体6と、コイル支持面5に励磁コイル3を保持するホルダー7とを備えている。
【0023】
図1に示すように、励磁コイル3は、平面形状を加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向Yを有する長円形状として、導電線を複数回巻回して形成された巻回束3aである。さらに図1に示すように、コイル支持体6及びホルダー7はともに、加熱ローラ1の軸方向Xに延設されている。
【0024】
ここでコイル支持体6は、加熱ローラ1の外周面4に近接配置され、加熱ローラ1に合わせて加熱ローラ1の外周とほぼ等しい曲率となるように湾曲して形成されたコイル支持面5を備えており、このコイル支持面5の両側には、後述するホルダー7に形成された被嵌合部10が嵌合可能な嵌合受部8を備えている。
【0025】
ホルダー7には、コイル支持面5に略平行に形成された本体部9と、本体部9の両側から突出して形成された被嵌合部10を備えている。被嵌合部10を嵌合受部8に嵌合させ、この被嵌合部10により両側を支持されたコイル支持面5と本体部9との間では、励磁コイル3を収容可能な空間Kが形成される。
【0026】
図2に示すように、ホルダー7には、本体部9から励磁コイル3が保持されたコイル支持面5に向けて凸リブ形状となるように突出して形成された第1の保持部たる第1のリブ11を備えている。
【0027】
この第1のリブ11においてコイル支持面5に対向する対向部分12は、空間Kに収容された励磁コイル3をコイル支持面5に押付保持可能な形状に形成されており、例えばコイル支持面5の面形状に沿った形状となっている。
【0028】
そして、図2に示すように対向部分12の巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zに応じた幅寸法N1は、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの厚み寸法N2より広く形成されている(N1≧N2)。
【0029】
ここで、励磁コイル3を形成するコイル線材は、複数本の素線を撚り合わせたリッツ線からなり、素線には、導電体である銅等からなる導電線にエナメル等の絶縁被膜が被膜され、さらにこの絶縁被膜に熱溶融性を有するポリアミド又はエポキシ等の融着被膜が被覆されている。
【0030】
次に、上記構成についてその作用を説明する。加熱ローラ1全体を加熱する場合において、励磁コイル3に高周波電流を通電すると、この励磁コイル3から磁界が発生する。その際、加熱ローラ1の外周面4を覆っている励磁コイル3から磁束が発生し、コイルと対向するローラの外周面4を加熱する。さらに図示しないモータにより加熱ローラ1を回転させることにより、加熱ローラ1の外周面4を満遍なく励磁コイル3に対向させて加熱ローラ1の外周面4を均一に加熱することができる。すなわち、回転する加熱ローラ1は外周面4全周および軸方向X全体に亘って渦電流により発熱し、加熱ローラ1と接触する紙全体にトナーが高温で定着するので、良好な画像品質が得られる。
【0031】
励磁コイル3は、ホルダー7の第1のリブ11により、巻回された巻回形状のままコイル支持面5に押え付けられて保持されることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をほぼ一定に保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0032】
この第1のリブ11におけるコイル支持面5に対向する対向部分12をコイル支持面5の面形状に沿った形状とし、さらに図2に示すように対向部分12の巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zに応じた幅寸法N1を、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの厚み寸法N2より広く形成し(N1≧N2)、空間Kに収容された励磁コイル3をコイル支持面5に押圧保持可能な形状としたことにより、空間Kに収容された励磁コイル3を、巻回形状のままコイル支持面5にさらに押え付けて保持しやすくすることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0033】
また、励磁コイル3を形成するコイル線材は、複数本の素線を撚り合わせたリッツ線からなることにより、コイル線材が折り曲げやすいリッツ線で構成されているため、コイル支持体6にコイル線材を断線させることなく容易に巻き付けることができる。
【0034】
さらに、素線には、銅等の導電線にエナメル等の絶縁被膜が被膜され、さらにこの絶縁被膜に熱溶融性を有するポリアミド又はエポキシ等の融着被膜が被覆されていることにより、コイル支持体6にリッツ線を巻き付けた状態で、リッツ線に電流を流して融着被膜を溶融固化させることにより、型くずれしない励磁コイル3を容易に成形することができる。
【0035】
以上のように本実施例では、導電体からなる線材を巻回して形成される励磁コイル3と、励磁コイル3を支持するコイル支持面5を有するコイル支持体6と、コイル支持面5に励磁コイル3を保持するためのホルダー7を有することにより、励磁コイル3は、ホルダー7により、巻回された巻回形状のままコイル支持面5に押え付けられて保持されることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をほぼ一定に保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらにホルダー7により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0036】
また、ホルダー7に、コイル支持面5において励磁コイル3の巻回形状を保持するための第1のリブ11を備えたことにより、励磁コイル3は、ホルダー7の第1のリブ11により、巻回された巻回形状のままコイル支持面5に押え付けられて保持されることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をほぼ一定に保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0037】
さらに、コイル線材は、複数本の素線を撚り合わせたリッツ線からなることにより、コイル線材が折り曲げやすいリッツ線で構成されているため、コイル支持体6にコイル線材を断線させることなく容易に巻き付けることができる。
【0038】
また、コイル線材の素線は、導電線に絶縁被膜が被膜され、さらに絶縁被膜に熱溶融性を有する融着被膜が被覆されていることにより、コイル支持体6にリッツ線を巻き付けた状態で、リッツ線に電流を流して融着被膜を溶融固化させることにより、型くずれしない励磁コイル3を容易に成形することができる。
【0039】
さらに、第1のリブ11は、コイル支持面5に沿って形成されたものであることにより、励磁コイル3を、巻回形状のままコイル支持面5にさらに押え付けて保持しやすくし、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施例を図3に基づき説明する。なお、前記第1実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0041】
本実施例においてコイル支持体6には、第2の保持部たる第2のリブ13を備えている。
【0042】
この第2のリブ13は、コイル支持面5よりホルダー7の本体部9へと向けて突出して形成された一対の凸リブ形状であり、コイル支持体6とホルダー7より形成される空間Kに収容された巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14を挟持固定可能に構成している。
【0043】
さらに、コイル支持面5の第2のリブ13の内側には、巻回形状の励磁コイル3における巻回束3aの中心の隙間に向けて突出して形成された一対の凸リブ形状である第3のリブ15が形成されており、コイル支持面5において、外側に配置された第2のリブ13と、第2のリブ13の内側に配置された第3のリブ15とによって巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zにある素線の束を挟持固定可能に構成している。
【0044】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、第2のリブ13により巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14が挟持固定することにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することが可能である。
【0045】
また、コイル支持面5において、外側に配置された第2のリブ13と、第2のリブ13の内側に配置された第3のリブ15とによって巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zにある素線の束を挟持固定可能に構成したことにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれをさらに防止して、巻回束3aの外周方向への広がりを防止しするとともに、巻回された励磁コイル3の形状の保持をさらに容易にすることが可能である。
【0046】
以上のように本実施例では、コイル支持面5には、コイル支持面5に保持された励磁コイル3の外周を挟持可能に形成された第2のリブ13を備えたことにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することが可能である。
【0047】
続いて、本発明の第3実施例を図4及び図5に基づき説明する。なお、前記第1実施例及び第2実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0048】
本実施例の電磁誘導加熱装置では、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側に配置された第1コアたる裾コア16を備えている。実際には、この裾コア16はコイル支持体6の嵌合受部8に励磁コイル3の長手方向Yに所定の第1間隔17を設けて連続して複数配置されたものであり、この第1間隔17には、それぞれ第2のリブ13が配置されている。
【0049】
この裾コア16は、加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向を有する矩形状をしており、フェライト等の強磁性体から構成される。
【0050】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側に配置された裾コア16を備えたことにより、励磁コイル3より生成された磁束がこの裾コア16を通過して、裾コア16の外部への磁束の漏洩を防いでいる。
【0051】
そして、裾コア16と裾コア16との間の隙間である第1間隔17に、それぞれ第2のリブ13が配置されたことにより、第2のリブ13により巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14を挟持固定することにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することを可能にすると同時に、裾コア16を配置したことで生じる余剰スペースである第1間隔17に第2のリブ13を設けたことで、電磁誘導加熱装置が大型化することを防ぐことができる。
【0052】
以上のように本実施例では、コイル支持体6に対して励磁コイル3の長手方向Yに所定の第1間隔17を設けて連続して配置された複数の裾コア16を備え、第2のリブ13を第1間隔17に配置したことにより、第2のリブ13により巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14を挟持固定され、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することを可能にすると同時に、裾コア16を配置したことで生じる余剰スペースである第1間隔17に第2のリブ13を設けたことで、電磁誘導加熱装置が大型化することを防ぐことができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施例を図6に基づき説明する。なお、前記第1実施例乃至第3実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0054】
本実施例では、ホルダー7の本体部9よりコイル支持面5に向けて突出して形成された第1のリブ11と、コイル支持面5に配置された励磁コイル3と、の間に弾性体たるゴムシート体18を配置している。
【0055】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、ゴムシート体18で励磁コイル3を覆い、ホルダー7に設けた第1のリブ11でゴムシート体18ごと励磁コイル3をコイル支持面5に押え付けて保持固定する。この場合、ゴムシート体18の弾性変形を活かして励磁コイル3全体を均一にコイル支持面5に押え付けて、励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防止し、励磁コイル3と加熱ローラ1との距離をほぼ一定に保持することが可能であり、加熱ローラ1をムラ無く発熱することを可能とする。
【0056】
以上のように本実施例では、コイル支持面5に保持された励磁コイル3を覆い、第1のリブ11により押え付け可能に形成された弾性体たるゴムシート体18を備えたことにより、ゴムシート体18の弾性変形を活かして励磁コイル3全体を均一にコイル支持面5に押え付けて、励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防止し、励磁コイル3と加熱ローラ1との距離をほぼ一定に保持することが可能であり、加熱ローラ1をムラ無く発熱することを可能とする。
【0057】
続いて、本発明の第5実施例を図7及び図8に基づき説明する。なお、前記第1実施例乃至第4実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0058】
本実施例では、巻回形状の励磁コイル3における巻回中心19に配置された第2コアたるメインコア20を備えている。実際には、このメインコア20は、第1のリブ11を励磁コイル3の長手方向Yに所定の第2間隔21を設けて連続して複数設けた、その第2間隔21に一つおきに交互に配置したものである。
【0059】
第2間隔21において、メインコア20を一つおきに交互に配置された第2間隔21をメインコア配置部分22とし、このメインコア配置部分22を除く第2間隔21を非メインコア配置部分23とした場合、各非メインコア配置部分23を構成し励磁コイル3の長手方向Yにおいて隣接する一対の第1のリブ11において、コイル支持面5に保持された励磁コイル3に対向する各対向部分12を連結させて励磁コイル3に対向した対向面部たるコイル対向面部24を形成している。
【0060】
このコイル対向面部24は、励磁コイル3をコイル支持面5に押付保持可能な形状に形成されており、例えばコイル支持面5の面形状に沿った形状となっている。
【0061】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、巻回形状の励磁コイル3における巻回中心19に配置されたメインコア20を備えたことにより、励磁コイル3より生成された磁束がこのメインコア20を通過して、メインコア20の外部への磁束の漏洩を防いでいる。
【0062】
励磁コイル3の長手方向Yに並べて配置された第1のリブ11のコイル対向部分12を連結させて、コイル支持面5の面形状に沿ったコイル対向面部24を形成し、励磁コイル3をコイル支持面5に押圧保持可能な形状としたことにより、励磁コイル3との励磁コイル3における長手方向Yの接触面積が増加するため、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持しやすくして、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらにコイル対向面部24により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0063】
以上のように本実施例では、第1のリブ11を、励磁コイル3の長手方向Yに所定の第2間隔21を設けて連続して複数設け、前記第2間隔21にメインコア20を配置するとともに、前記第2間隔21の非メインコア配置部分23に応じて前記第1のリブ11における前記励磁コイルへの対向部分12を連結させてコイル対向面部24を形成したことにより、励磁コイル3との励磁コイル3における長手方向Yの接触面積が増加するため、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持しやすくして、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらにコイル対向面部24により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0064】
また、前記コイル対向面部24は、前記コイル支持面5に沿って形成されていることにより、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持しやすくして、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらにコイル対向面部24により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0065】
次に、本発明の第6実施例を図9乃至図11に基づき説明する。なお、前記第1実施例乃至第5実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0066】
本実施例の電磁誘導加熱装置は、図9に示すように電磁誘導によって発熱する加熱ローラ1と、この加熱ローラ1に対して圧接して配置された加圧ローラ25とを備え、加熱ローラ1の同心円上に励磁コイル3を配置し、加熱ローラ1の外部から加熱ローラ1を一定温度に加熱するものである。
【0067】
図10に示すように、励磁コイル3は、平面形状を加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向Yを有する長円形状として、導電線を複数回巻回して形成された巻回束3aである。この巻回束3aの長手方向Yの寸法M1は、加熱ローラ1の長さである軸方向Xの寸法M2より小さく形成されたものである。
【0068】
励磁コイル3では、巻回束3aの長手方向Yにおける両端部付近での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L1又はL3が、巻回束3aの長手方向Yにおける中央部分での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L2より広く形成されている。本実施例では図10に示すように、巻回束3aに形成された励磁コイル3において、巻回束3aの長手方向Yにおける中央部分のb点から巻回束3aの端部に向けて長手方向Yにそれぞれ所定距離離れた地点、例えば140mm離れた地点をa点及びc点とした場合、(a点及びc点におけるそれぞれのコイル幅L1又はL3)−(b点におけるコイル幅L2)=0.5〜5mmとなるように形成されている。
【0069】
以上のように構成された本実施例の電磁誘導加熱装置では、電磁誘導によって加熱ローラ1全体を加熱する場合において、励磁コイル3に高周波電流を通電すると、このコイルから磁界が発生する。その際、加熱ローラ1の外周面4を覆っている励磁コイル3から磁束が発生し、励磁コイル3と対向する加熱ローラ1の外周面4を加熱する。さらに図示しないモータにより加熱ローラ3を回転させることにより、加熱ローラ3の外周面4を満遍なく励磁コイル3に対向させて加熱ローラ1の外周面4を均一に加熱することができる。すなわち、回転する加熱ローラ1を外周面4全周および軸方向X全体に亘って渦電流により発熱させ、前記モータ(図示せず)により加熱ローラ1と加圧ローラ25はそれぞれ時計方向と反時計方向に定速回転し、加熱ローラ1と加圧ローラ25との間にシート26を挟圧搬送して、シート26に熱と圧力を加え、シート26上に未定着トナー像27を加熱定着させることにより、良好な画像品質が得られる。
【0070】
また、巻回束3aの長手方向Yの距離を加熱ローラ1における軸方向Xでの距離(加熱ローラ1の長さ距離)より小さく形成された励磁コイル3において、巻回形状に形成された励磁コイル3の長手方向Yにおける両端部付近a点及びc点での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L1又はL3を、巻回束3aの長手方向Yにおける中央部分のb点での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L2より広く形成したことにより、加熱ローラ1の外周面4を覆う励磁コイル3において、加熱ローラ1の軸方向Xにおける両端部付近a点及びc点をより広く覆い、この両端部付近a点及びc点における加熱ローラ1の温度低下を防ぎ、加熱ローラ1における外周面4の温度分布を均一にすることが可能である。
【0071】
ここで、図11に、本実施例の電磁誘導加熱装置における加熱ローラ1の温度分布と従来の電磁誘導加熱装置における加熱ローラの温度分布とを比較して示す。従来のa点,b点,c点においていずれもほぼ等しいコイル幅に形成した、コイル寸法差無しの励磁コイル(L1=L2=L3)を備えた電磁誘導加装置では、a点,c点より外側に向かうにつれて対応する加熱ローラ1の温度が著しく低下しているのに対して、本実施例の電磁誘導加熱装置では、励磁コイルの長手方向Yにおける両端部a点,c点に応じた加熱ローラ1の軸方向Xにおける両端部付近の温度低下を防いで加熱ローラ1における外周面4の温度分布を均一にしている。
【0072】
以上のように本実施例では、磁界を生成する励磁コイル3と、前記磁界の作用により誘導加熱される加熱ローラ1と、を備え、平面形状を加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向Yを有する長円形状として、導電線を複数回巻回して形成された巻回束3a形状に形成され、この巻回束3aの長手方向Yの寸法M1を、加熱ローラ1の長さである軸方向Xの寸法M2より小さく形成された励磁コイル3は、加熱ローラ1の外部に配置され、この励磁コイル3の端部たる巻回形状に形成された励磁コイル3の長手方向Yにおける両端部付近a点及びc点における巻回束3aにおける短手方向Zのコイル幅L1又はL3が、励磁コイル3の長手方向Yにおける中央部b点における巻回束3aにおける短手方向Zのコイル幅L2より広く形成した。
【0073】
この場合、加熱ローラ1の外周面4を覆う励磁コイル3において、加熱ローラ1の軸方向Xにおける両端部付近a点及びc点をより広く覆い、この両端部付近a点及びc点における加熱ローラ1の温度低下を防ぎ、加熱ローラ1における外周面4の温度分布を均一にすることが可能である。
【0074】
次に、図12は本発明の第7実施例に関わる電磁誘導加熱装置の主たる回路図を示している。同図において、ここでは電源101からの交流入力電圧を整流する整流回路102と、整流回路102からの整流出力を分圧して平滑する分圧・平滑回路103と、分圧・平滑回路103からの平滑出力の低周波数成分のみを取出すローパスフィルタ104と、分圧・平滑回路103とローパスフィルタ104との間に接続する電流制限用の抵抗105とにより、電磁誘導加熱装置への入力電圧を波形整形して、アナログ信号からディジタル信号に変換する入力電圧−A/D変換回路106を構成している。
【0075】
それぞれの回路構成について説明すると、整流回路102は電源101からの交流入力電圧を全波整流するもので、ブリッジ接続された4個の全波整流用ダイオード111,112,113,114により構成される。整流回路102としては、他に半波整流回路や、任意の段数の倍電圧整流回路を用いてもよい。
【0076】
分圧・平滑回路103は、整流回路102の出力端に接続され、2個の分圧抵抗115,116の直列回路をからなる分圧回路と、分圧抵抗116の両端間に接続する平滑回路に相当する平滑コンデンサ117とにより構成される。これにより、整流回路102からの全波整流出力を分圧した電圧が分圧抵抗116に発生し、この分圧電圧を平滑コンデンサ117で平滑するようになっている。なお、分圧抵抗115,116は必須のものではなく、また別な例として、平滑コンデンサ117の前段ではなく、ローパスフィルタ104の前段に分圧抵抗115,116を設けてもよい。
【0077】
ローパスフィルタ104は、分圧・平滑回路103の一方の出力端に、抵抗105を介してアノードが接続されるダイオード121と、ダイオード121のカソードと分圧・平滑回路103の他方の出力端との間に接続するコンデンサ122と、コンデンサ122の両端間に接続する抵抗123とコンデンサ124との直列回路とにより構成され、コンデンサ124の両端間に発生する電圧が、後述する制御手段たるマイコン131に出力波形として取り込まれる。なお、ここでは、抵抗123とコンデンサ124との直列回路に代わって、例えばオペアンプを用いたローパスフィルタ回路を構成してもよいし、それ以外の回路構成を採用してもよい。ここでのローパスフィルタ104は、分圧・平滑回路103で得られた平滑出力のなかで、電源101の周波数(例えば50/60Hz)付近の信号成分だけをそのまま減衰させることなく通過させ、それよりも高い周波数成分は遮断または減衰させるような特性を有していればよい。
【0078】
また、この入力電圧−A/D変換回路106とは別に、負荷である誘導加熱コイル141に電力を供給する主回路142として、ここでは前述の整流回路102の他に、整流回路102からの整流出力を平滑するために、チョークコイル143および平滑コンデンサ144からなる平滑回路145と、前記誘導加熱コイル141と共振コンデンサ146の並列回路からなる共振回路147と、トランジスタなどのスイッチング素子148を含むインバータ149がそれぞれ設けられる。なお、回路構成を簡素化するために、主回路142と入力電圧−A/D変換回路106で整流回路102が共通に設けられているが、それぞれの回路に独自の整流回路を設けても構わない。
【0079】
平滑回路144は、チョークコイル142と平滑コンデンサ143とによる直列回路を、整流回路102の出力端に接続して構成される。これにより、平滑コンデンサ143の両端間に、整流回路102からの整流出力を平滑した直流電圧が生成される。また、当該平滑コンデンサ143の両端間には、前記共振回路147とスイッチング素子148との直列回路が接続され、スイッチング素子148の制御端子(この場合はベース)に、マイコン131からのパルス制御信号が与えられるようになっている。
【0080】
インバータ149は前記スイッチング素子148の他に、ここでは図示しないが、スイッチング素子148の両端(この場合は、コレクタとエミッタ)間に、ダイオードを逆並列接続して構成される。そして、マイコン131からのパルス制御信号により、スイッチング素子148をスイッチング動作することで、共振回路147とスイッチング素子148との直列回路に、前記整流回路102と平滑回路144とにより整流平滑された直流電圧が断続的に印加され、共振回路147に高周波電流が供給されるようになっている。
【0081】
マイコン131は、誘導加熱コイル141への実際の入力電圧を、入力電圧−A/D変換回路106で波形整形した検知出力波形に基づき監視すると共に、誘導加熱コイル141を流れる実際の入力電流を、図示しない別な入力電流検出手段からの検知出力波形に基づき監視し、これらの各検知出力波形から、実際の入力電圧と入力電流とを掛け算して得た出力電力を算出して、この実際の出力電力が設定した電力値に近づくように、スイッチング素子148に最適なパルス制御信号を出力する電力フィードバック制御手段としての機能を有する。
【0082】
次に、上記構成についてその作用を説明する。電源101からの交流入力電圧は整流回路102によって整流され、この整流回路102からの整流出力が、入力電圧−A/D変換回路106の分圧・平滑回路103と、主回路142の平滑回路145にそれぞれ供給される。
【0083】
ここで主回路142では、平滑回路145によって整流回路102からの整流出力が平滑され、直流電圧に変換される。また、マイコン131からのパルス制御信号を受けて、インバータ149を構成するスイッチング素子148がスイッチング動作され、共振回路147とスイッチング素子148との直列回路に、前記直流電圧が断続的に印加される。こうなると、共振回路147に高周波電流が供給され、誘導加熱コイル141に交番磁界が発生する。
【0084】
一方、入力電圧−A/D変換回路106では、分圧・平滑回路103によって整流回路102からの整流出力が分圧し平滑され、この分圧・平滑回路103で得られた平滑出力が、ローパスフィルタ104を通して検知出力波形としてマイコン131に送出される。マイコン131は、入力電圧−A/D変換回路106で波形整形した検知出力波形を受けて、誘導加熱コイル141への実際の入力電圧を監視すると共に、別な入力電流検出手段からの検知出力波形を受けて、誘導加熱コイル141を流れる実際の入力電流を監視し、これらの入力電圧と入力電流との値を掛け合わせて、実際の出力電力を算出する。そして、この実際の出力電力が設定した電力値に近づくように、スイッチング素子148に最適なパルス制御信号を出力する。
【0085】
ここで、従来のようなピークホールド回路をローパスフィルタ104の代わりに組み込んだ場合、電源101からの入力電圧に歪が生じると、ピークホールド回路からの出力波形は、入力電圧に含まれる歪分のピーク電圧をそのままホールドしたものとなる。これを受けたマイコン131は、実際の入力電圧を正確に把握できず、出力電力を正しく調整した最適なパルス制御信号を、スイッチング素子148に供給することはできない。
【0086】
一方、本実施例のようなローパスフィルタ104は、電源101からの入力電圧に歪が生じた場合であっても、歪成分を遮断または抑制した出力波形を、マイコン131に供給することができる。したがって、これを受けたマイコン131は、実際の入力電圧を正確に把握することができ、結果的に出力電力を正しく調整した最適なパルス制御信号を、スイッチング素子148に供給することが可能になる。
【0087】
このように本実施例では、主回路142に入力する電流と電圧とにより、主回路142の出力電力を調整する制御手段たるマイコン131を備えた誘導加熱装置において、前記主回路142に入力する電圧を平滑手段である整流回路102と分圧・平滑回路103で整流平滑し、その後段に接続したローパスフィルタ104を通してマイコン131に出力する構成を採用している。
【0088】
この場合、入力する電圧に歪を生じた場合でも、この入力する電圧が整流回路102と分圧・平滑回路103とにより整流平滑された後、ローパスフィルタ104を通過することで、ノイズ成分を取除いた出力波形がマイコン131に取り込まれる。したがって、マイコン131は入力する電圧の歪に左右されることなく、本来の電圧値に追従して、正しく出力電力を調整することが可能になる。
【0089】
また本実施例では、主回路141の具体的な構成として、加熱手段たる誘導加熱コイル141と共振手段たる共振コンデンサ146とからなる共振回路147と、この共振回路147に高周波電流を供給するためのスイッチング手段たるスイッチング素子148を含むインバータ149と、前記主回路142に入力する電圧を直流電圧に変換し、この直流出力を共振回路147に断続的に印加する直流変換手段としての整流回路102および平滑回路145とを備えている。
【0090】
こうすると、主回路141に入力する電圧に見合うローパスフィルタ104からのノイズ成分を取除いた出力波形と、主回路141に入力する電流とにより、実際の出力電力をより高い精度でマイコン131により算出することができ、またローパスフィルタ104を介在させたことにより、入力する電圧の歪による電圧実効値の減少にも対応できる。さらに、この実際の出力電力に対して、設定した電力値が近づくように、マイコン131がインバータ149を構成するスイッチング素子148をスイッチング動作させることで、マイコン131は入力する電圧の歪に左右されることなく、本来の電圧値に追従して、正しく出力電力を調整することが可能になる。
【0091】
なお本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。また、上記各実施例を組み合せて実施することも可能である。さらに、第3実施例にある裾コア16はホルダー5側に配置しても構わないものとする。また、上記各実施例にあるコイル支持面5の面形状を湾曲だけでなく、傾斜して形成しても構わないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施例における電磁誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図2】同上、電磁誘導加熱装置を示す側面図である。
【図3】本発明の第2実施例における電磁誘導加熱装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施例におけるコイル支持体の備えられた裾コアを示す斜視図である。
【図5】同上、裾コアと裾コアとの間に第2のリブを配置した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4実施例における電磁誘導加熱装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第5実施例における電磁誘導加熱装置においてホルダーに備えられたメインコア及びコイル対向面部を示した斜視図である。
【図8】同上、ホルダーに備えられたメインコア及びコイル対向面部を示した平面図である。
【図9】本発明の第6実施例における電磁誘導加熱装置を示す断面図である。
【図10】同上、励磁コイルを示す平面図である。
【図11】同上、本発明に係る電磁誘導加熱装置における加熱ローラの温度分布と従来の電磁誘導加熱装置における加熱ローラの温度分布とを比較して示す図である。
【図12】本発明の第7実施例における電磁誘導加熱装置の回路図である。
【符号の説明】
【0093】
1 加熱ローラ(加熱体)
3 励磁コイル(加熱手段)
5 コイル支持面(支持部)
6 コイル支持体(支持体)
7 ホルダー
11 第1のリブ(第1の保持部)
13 第2のリブ(第2の保持部)
102 整流回路(平滑手段)
103 分圧・平滑回路(平滑手段,直流変換手段)
104 ローパスフィルタ
131 マイコン(制御手段)
141 誘導加熱コイル(加熱手段)
145 平滑回路(直流変換手段)
146 共振コンデンサ(共振手段)
147 共振回路
148 スイッチング素子
149 インバータ
N1、N2 コイル幅
Z 励磁コイルの短手方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導加熱を行う機器に使われる電磁誘導加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、加熱体の発熱手段として、電磁誘導加熱(IH : induction heating)方式の電磁誘導加熱装置を用いた機器が知られている(特許文献1)。
【0003】
ところで、この種の機器における加熱体は、その発熱部が所定形状をなしている。一方、前記電磁誘導加熱装置の加熱手段は、前記加熱体を発熱させる必要がある。
【0004】
このため、この種の機器においては、前記加熱手段を、前記加熱体の発熱部に対応した形状に成形する必要がある。そこで、この対応した形状に加熱手段を成形して、支持体の支持部に組み付けるか、もしくは、直接線材を巻き付けて、加熱手段を成形して組み入れている。
【0005】
しかしながら、組み入れた加熱手段は、発生する熱により、型くずれや巻きはぐれを起こしやすいという問題点があった。
【0006】
また、電磁誘導加熱装置を組み立てる際も、型くずれや巻きほぐれを起こす場合がある。
【0007】
さらに従来、加熱手段の大きさを、加熱体の大きさよりも大きくした加熱手段が開示されている(特許文献2)。
【0008】
ところで、この種の電磁誘導加熱装置における出力は、制御手段により調整されるようになっている。
【特許文献1】特開2005−276692号公報
【特許文献2】特開2001−66919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この種の電磁誘導加熱装置では、前記加熱体を発熱させるための加熱手段の形状を保持できる方法が望まれていた。
【0010】
さらに、前述した出力制御による電磁誘導加熱装置では、装置への入力が平滑手段により平滑されて制御手段に出力するようになっている。しかし、前記入力に歪が生じた場合に、制御手段がこれに追従しきれず、出力に問題を有していた。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決して、支持体の支持部に巻回した加熱手段の形状を、型くずれや巻きほぐれを起こさないことのできる電磁誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【0012】
さらに本発明は、入力に歪を生じた場合でも、これに対応して制御手段が正しく出力を調整できる電磁誘導加熱装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明の電磁誘導加熱装置では、導電体からなる線材を巻回して形成される加熱手段と、当該加熱手段を支持する支持部を有する支持体と、前記支持部に前記加熱手段を保持するためのホルダーを有し、該ホルダーに、前記加熱手段の巻回形状を保持するための第1の保持部を備え、該第1の保持部は、前記支持部に沿って、前記支持部に向けて凸リブ形状となるように突出して形成され、前記支持部には、前記加熱手段を保持可能に形成された第2の保持部を備え、前記第1の保持部の巻回形状の前記加熱手段における短手方向に応じた寸法が、前記巻回形状の前記加熱手段における前記短手方向の寸法より広く形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明の電磁誘導加熱装置では、入力により出力を調整する制御手段を備えた誘導加熱装置において、前記入力を平滑手段で平滑し、ローパスフィルタを通して前記制御手段に出力する構成としたことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明の電磁誘導加熱装置では、請求項12記載の電磁誘導加熱装置において、加熱手段と共振手段とからなる共振回路と、スイッチング手段を含むインバータと、前記入力を直流に変換し、出力を印加する変換手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、加熱体を発熱させることを可能とする。さらにホルダーにより、加熱手段を支持部に押え付けて保持したことにより、巻回された加熱手段の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、入力に歪を生じた場合でも、この入力が平滑手段で平滑された後、ローパスフィルタを通過することで、ノイズ成分を取除いた出力が制御手段に取り込まれる。したがって、制御手段は入力の歪に左右されることなく、本来の正常値に追従して、正しく出力を調整することが可能になる。
【0018】
請求項3の発明によれば、制御手段がインバータを構成するスイッチング手段をスイッチング動作させることで、制御手段は入力の歪に左右されることなく、本来の正常値に追従して、正しく出力を調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る誘導加熱装置の好ましい実施例を、添付図面に基づいて説明する。
【0020】
図1及び図2は、本発明の第1実施例を示すもので、本実施例の電磁誘導加熱装置は、像加熱体たる加熱ローラ1と、この加熱ローラ1を加熱する加熱手段2を備えている。
【0021】
加熱ローラ1は、トナーを被発熱体である紙に定着させるための回動可能な筒状金属発熱体であり、中空な円筒状で鉄やステンレスなどの磁性金属で構成される。
【0022】
加熱手段2は、電磁誘導により加熱ローラ1を外周面4に沿って加熱する励磁コイルユニットであり、導電体からなるコイル線材を巻回して形成される励磁コイル3と、励磁コイル3と発熱面たる加熱ローラ1の外周面4とをほぼ一定距離に保持する支持部たるコイル支持面5を有する支持体たるコイル支持体6と、コイル支持面5に励磁コイル3を保持するホルダー7とを備えている。
【0023】
図1に示すように、励磁コイル3は、平面形状を加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向Yを有する長円形状として、導電線を複数回巻回して形成された巻回束3aである。さらに図1に示すように、コイル支持体6及びホルダー7はともに、加熱ローラ1の軸方向Xに延設されている。
【0024】
ここでコイル支持体6は、加熱ローラ1の外周面4に近接配置され、加熱ローラ1に合わせて加熱ローラ1の外周とほぼ等しい曲率となるように湾曲して形成されたコイル支持面5を備えており、このコイル支持面5の両側には、後述するホルダー7に形成された被嵌合部10が嵌合可能な嵌合受部8を備えている。
【0025】
ホルダー7には、コイル支持面5に略平行に形成された本体部9と、本体部9の両側から突出して形成された被嵌合部10を備えている。被嵌合部10を嵌合受部8に嵌合させ、この被嵌合部10により両側を支持されたコイル支持面5と本体部9との間では、励磁コイル3を収容可能な空間Kが形成される。
【0026】
図2に示すように、ホルダー7には、本体部9から励磁コイル3が保持されたコイル支持面5に向けて凸リブ形状となるように突出して形成された第1の保持部たる第1のリブ11を備えている。
【0027】
この第1のリブ11においてコイル支持面5に対向する対向部分12は、空間Kに収容された励磁コイル3をコイル支持面5に押付保持可能な形状に形成されており、例えばコイル支持面5の面形状に沿った形状となっている。
【0028】
そして、図2に示すように対向部分12の巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zに応じた幅寸法N1は、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの厚み寸法N2より広く形成されている(N1≧N2)。
【0029】
ここで、励磁コイル3を形成するコイル線材は、複数本の素線を撚り合わせたリッツ線からなり、素線には、導電体である銅等からなる導電線にエナメル等の絶縁被膜が被膜され、さらにこの絶縁被膜に熱溶融性を有するポリアミド又はエポキシ等の融着被膜が被覆されている。
【0030】
次に、上記構成についてその作用を説明する。加熱ローラ1全体を加熱する場合において、励磁コイル3に高周波電流を通電すると、この励磁コイル3から磁界が発生する。その際、加熱ローラ1の外周面4を覆っている励磁コイル3から磁束が発生し、コイルと対向するローラの外周面4を加熱する。さらに図示しないモータにより加熱ローラ1を回転させることにより、加熱ローラ1の外周面4を満遍なく励磁コイル3に対向させて加熱ローラ1の外周面4を均一に加熱することができる。すなわち、回転する加熱ローラ1は外周面4全周および軸方向X全体に亘って渦電流により発熱し、加熱ローラ1と接触する紙全体にトナーが高温で定着するので、良好な画像品質が得られる。
【0031】
励磁コイル3は、ホルダー7の第1のリブ11により、巻回された巻回形状のままコイル支持面5に押え付けられて保持されることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をほぼ一定に保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0032】
この第1のリブ11におけるコイル支持面5に対向する対向部分12をコイル支持面5の面形状に沿った形状とし、さらに図2に示すように対向部分12の巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zに応じた幅寸法N1を、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの厚み寸法N2より広く形成し(N1≧N2)、空間Kに収容された励磁コイル3をコイル支持面5に押圧保持可能な形状としたことにより、空間Kに収容された励磁コイル3を、巻回形状のままコイル支持面5にさらに押え付けて保持しやすくすることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0033】
また、励磁コイル3を形成するコイル線材は、複数本の素線を撚り合わせたリッツ線からなることにより、コイル線材が折り曲げやすいリッツ線で構成されているため、コイル支持体6にコイル線材を断線させることなく容易に巻き付けることができる。
【0034】
さらに、素線には、銅等の導電線にエナメル等の絶縁被膜が被膜され、さらにこの絶縁被膜に熱溶融性を有するポリアミド又はエポキシ等の融着被膜が被覆されていることにより、コイル支持体6にリッツ線を巻き付けた状態で、リッツ線に電流を流して融着被膜を溶融固化させることにより、型くずれしない励磁コイル3を容易に成形することができる。
【0035】
以上のように本実施例では、導電体からなる線材を巻回して形成される励磁コイル3と、励磁コイル3を支持するコイル支持面5を有するコイル支持体6と、コイル支持面5に励磁コイル3を保持するためのホルダー7を有することにより、励磁コイル3は、ホルダー7により、巻回された巻回形状のままコイル支持面5に押え付けられて保持されることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をほぼ一定に保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらにホルダー7により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0036】
また、ホルダー7に、コイル支持面5において励磁コイル3の巻回形状を保持するための第1のリブ11を備えたことにより、励磁コイル3は、ホルダー7の第1のリブ11により、巻回された巻回形状のままコイル支持面5に押え付けられて保持されることにより、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をほぼ一定に保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0037】
さらに、コイル線材は、複数本の素線を撚り合わせたリッツ線からなることにより、コイル線材が折り曲げやすいリッツ線で構成されているため、コイル支持体6にコイル線材を断線させることなく容易に巻き付けることができる。
【0038】
また、コイル線材の素線は、導電線に絶縁被膜が被膜され、さらに絶縁被膜に熱溶融性を有する融着被膜が被覆されていることにより、コイル支持体6にリッツ線を巻き付けた状態で、リッツ線に電流を流して融着被膜を溶融固化させることにより、型くずれしない励磁コイル3を容易に成形することができる。
【0039】
さらに、第1のリブ11は、コイル支持面5に沿って形成されたものであることにより、励磁コイル3を、巻回形状のままコイル支持面5にさらに押え付けて保持しやすくし、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらに第1のリブ11により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施例を図3に基づき説明する。なお、前記第1実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0041】
本実施例においてコイル支持体6には、第2の保持部たる第2のリブ13を備えている。
【0042】
この第2のリブ13は、コイル支持面5よりホルダー7の本体部9へと向けて突出して形成された一対の凸リブ形状であり、コイル支持体6とホルダー7より形成される空間Kに収容された巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14を挟持固定可能に構成している。
【0043】
さらに、コイル支持面5の第2のリブ13の内側には、巻回形状の励磁コイル3における巻回束3aの中心の隙間に向けて突出して形成された一対の凸リブ形状である第3のリブ15が形成されており、コイル支持面5において、外側に配置された第2のリブ13と、第2のリブ13の内側に配置された第3のリブ15とによって巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zにある素線の束を挟持固定可能に構成している。
【0044】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、第2のリブ13により巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14が挟持固定することにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することが可能である。
【0045】
また、コイル支持面5において、外側に配置された第2のリブ13と、第2のリブ13の内側に配置された第3のリブ15とによって巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zにある素線の束を挟持固定可能に構成したことにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれをさらに防止して、巻回束3aの外周方向への広がりを防止しするとともに、巻回された励磁コイル3の形状の保持をさらに容易にすることが可能である。
【0046】
以上のように本実施例では、コイル支持面5には、コイル支持面5に保持された励磁コイル3の外周を挟持可能に形成された第2のリブ13を備えたことにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することが可能である。
【0047】
続いて、本発明の第3実施例を図4及び図5に基づき説明する。なお、前記第1実施例及び第2実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0048】
本実施例の電磁誘導加熱装置では、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側に配置された第1コアたる裾コア16を備えている。実際には、この裾コア16はコイル支持体6の嵌合受部8に励磁コイル3の長手方向Yに所定の第1間隔17を設けて連続して複数配置されたものであり、この第1間隔17には、それぞれ第2のリブ13が配置されている。
【0049】
この裾コア16は、加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向を有する矩形状をしており、フェライト等の強磁性体から構成される。
【0050】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側に配置された裾コア16を備えたことにより、励磁コイル3より生成された磁束がこの裾コア16を通過して、裾コア16の外部への磁束の漏洩を防いでいる。
【0051】
そして、裾コア16と裾コア16との間の隙間である第1間隔17に、それぞれ第2のリブ13が配置されたことにより、第2のリブ13により巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14を挟持固定することにより、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することを可能にすると同時に、裾コア16を配置したことで生じる余剰スペースである第1間隔17に第2のリブ13を設けたことで、電磁誘導加熱装置が大型化することを防ぐことができる。
【0052】
以上のように本実施例では、コイル支持体6に対して励磁コイル3の長手方向Yに所定の第1間隔17を設けて連続して配置された複数の裾コア16を備え、第2のリブ13を第1間隔17に配置したことにより、第2のリブ13により巻回形状の励磁コイル3における短手方向Zの外周両側端14,14を挟持固定され、巻回されて巻回形状に形成された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれによる巻回束3aの外周方向への広がりを防止して、励磁コイル3の巻回形状を保持することを可能にすると同時に、裾コア16を配置したことで生じる余剰スペースである第1間隔17に第2のリブ13を設けたことで、電磁誘導加熱装置が大型化することを防ぐことができる。
【0053】
次に、本発明の第4実施例を図6に基づき説明する。なお、前記第1実施例乃至第3実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0054】
本実施例では、ホルダー7の本体部9よりコイル支持面5に向けて突出して形成された第1のリブ11と、コイル支持面5に配置された励磁コイル3と、の間に弾性体たるゴムシート体18を配置している。
【0055】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、ゴムシート体18で励磁コイル3を覆い、ホルダー7に設けた第1のリブ11でゴムシート体18ごと励磁コイル3をコイル支持面5に押え付けて保持固定する。この場合、ゴムシート体18の弾性変形を活かして励磁コイル3全体を均一にコイル支持面5に押え付けて、励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防止し、励磁コイル3と加熱ローラ1との距離をほぼ一定に保持することが可能であり、加熱ローラ1をムラ無く発熱することを可能とする。
【0056】
以上のように本実施例では、コイル支持面5に保持された励磁コイル3を覆い、第1のリブ11により押え付け可能に形成された弾性体たるゴムシート体18を備えたことにより、ゴムシート体18の弾性変形を活かして励磁コイル3全体を均一にコイル支持面5に押え付けて、励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防止し、励磁コイル3と加熱ローラ1との距離をほぼ一定に保持することが可能であり、加熱ローラ1をムラ無く発熱することを可能とする。
【0057】
続いて、本発明の第5実施例を図7及び図8に基づき説明する。なお、前記第1実施例乃至第4実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0058】
本実施例では、巻回形状の励磁コイル3における巻回中心19に配置された第2コアたるメインコア20を備えている。実際には、このメインコア20は、第1のリブ11を励磁コイル3の長手方向Yに所定の第2間隔21を設けて連続して複数設けた、その第2間隔21に一つおきに交互に配置したものである。
【0059】
第2間隔21において、メインコア20を一つおきに交互に配置された第2間隔21をメインコア配置部分22とし、このメインコア配置部分22を除く第2間隔21を非メインコア配置部分23とした場合、各非メインコア配置部分23を構成し励磁コイル3の長手方向Yにおいて隣接する一対の第1のリブ11において、コイル支持面5に保持された励磁コイル3に対向する各対向部分12を連結させて励磁コイル3に対向した対向面部たるコイル対向面部24を形成している。
【0060】
このコイル対向面部24は、励磁コイル3をコイル支持面5に押付保持可能な形状に形成されており、例えばコイル支持面5の面形状に沿った形状となっている。
【0061】
以上のように構成された電磁誘導加熱装置では、巻回形状の励磁コイル3における巻回中心19に配置されたメインコア20を備えたことにより、励磁コイル3より生成された磁束がこのメインコア20を通過して、メインコア20の外部への磁束の漏洩を防いでいる。
【0062】
励磁コイル3の長手方向Yに並べて配置された第1のリブ11のコイル対向部分12を連結させて、コイル支持面5の面形状に沿ったコイル対向面部24を形成し、励磁コイル3をコイル支持面5に押圧保持可能な形状としたことにより、励磁コイル3との励磁コイル3における長手方向Yの接触面積が増加するため、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持しやすくして、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらにコイル対向面部24により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0063】
以上のように本実施例では、第1のリブ11を、励磁コイル3の長手方向Yに所定の第2間隔21を設けて連続して複数設け、前記第2間隔21にメインコア20を配置するとともに、前記第2間隔21の非メインコア配置部分23に応じて前記第1のリブ11における前記励磁コイルへの対向部分12を連結させてコイル対向面部24を形成したことにより、励磁コイル3との励磁コイル3における長手方向Yの接触面積が増加するため、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持しやすくして、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をムラ無く発熱させることを可能とする。さらにコイル対向面部24により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0064】
また、前記コイル対向面部24は、前記コイル支持面5に沿って形成されていることにより、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持しやすくして、巻回された巻回束3aとして形成された励磁コイル3と加熱ローラ1の外周面4との距離をより一定間隔を保って保持することができる。この場合、加熱ローラ1をさらにムラ無く発熱させることを可能とする。さらにコイル対向面部24により、励磁コイル3を巻回形状のままコイル支持面5に押え付けて保持したことにより、巻回された励磁コイル3の型くずれや巻きほぐれを防ぐことができる。
【0065】
次に、本発明の第6実施例を図9乃至図11に基づき説明する。なお、前記第1実施例乃至第5実施例と共通する箇所には共通の符号を付し、共通する説明は極力省略する。
【0066】
本実施例の電磁誘導加熱装置は、図9に示すように電磁誘導によって発熱する加熱ローラ1と、この加熱ローラ1に対して圧接して配置された加圧ローラ25とを備え、加熱ローラ1の同心円上に励磁コイル3を配置し、加熱ローラ1の外部から加熱ローラ1を一定温度に加熱するものである。
【0067】
図10に示すように、励磁コイル3は、平面形状を加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向Yを有する長円形状として、導電線を複数回巻回して形成された巻回束3aである。この巻回束3aの長手方向Yの寸法M1は、加熱ローラ1の長さである軸方向Xの寸法M2より小さく形成されたものである。
【0068】
励磁コイル3では、巻回束3aの長手方向Yにおける両端部付近での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L1又はL3が、巻回束3aの長手方向Yにおける中央部分での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L2より広く形成されている。本実施例では図10に示すように、巻回束3aに形成された励磁コイル3において、巻回束3aの長手方向Yにおける中央部分のb点から巻回束3aの端部に向けて長手方向Yにそれぞれ所定距離離れた地点、例えば140mm離れた地点をa点及びc点とした場合、(a点及びc点におけるそれぞれのコイル幅L1又はL3)−(b点におけるコイル幅L2)=0.5〜5mmとなるように形成されている。
【0069】
以上のように構成された本実施例の電磁誘導加熱装置では、電磁誘導によって加熱ローラ1全体を加熱する場合において、励磁コイル3に高周波電流を通電すると、このコイルから磁界が発生する。その際、加熱ローラ1の外周面4を覆っている励磁コイル3から磁束が発生し、励磁コイル3と対向する加熱ローラ1の外周面4を加熱する。さらに図示しないモータにより加熱ローラ3を回転させることにより、加熱ローラ3の外周面4を満遍なく励磁コイル3に対向させて加熱ローラ1の外周面4を均一に加熱することができる。すなわち、回転する加熱ローラ1を外周面4全周および軸方向X全体に亘って渦電流により発熱させ、前記モータ(図示せず)により加熱ローラ1と加圧ローラ25はそれぞれ時計方向と反時計方向に定速回転し、加熱ローラ1と加圧ローラ25との間にシート26を挟圧搬送して、シート26に熱と圧力を加え、シート26上に未定着トナー像27を加熱定着させることにより、良好な画像品質が得られる。
【0070】
また、巻回束3aの長手方向Yの距離を加熱ローラ1における軸方向Xでの距離(加熱ローラ1の長さ距離)より小さく形成された励磁コイル3において、巻回形状に形成された励磁コイル3の長手方向Yにおける両端部付近a点及びc点での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L1又はL3を、巻回束3aの長手方向Yにおける中央部分のb点での巻回束3aにおける短手方向Zの寸法(コイル幅)L2より広く形成したことにより、加熱ローラ1の外周面4を覆う励磁コイル3において、加熱ローラ1の軸方向Xにおける両端部付近a点及びc点をより広く覆い、この両端部付近a点及びc点における加熱ローラ1の温度低下を防ぎ、加熱ローラ1における外周面4の温度分布を均一にすることが可能である。
【0071】
ここで、図11に、本実施例の電磁誘導加熱装置における加熱ローラ1の温度分布と従来の電磁誘導加熱装置における加熱ローラの温度分布とを比較して示す。従来のa点,b点,c点においていずれもほぼ等しいコイル幅に形成した、コイル寸法差無しの励磁コイル(L1=L2=L3)を備えた電磁誘導加装置では、a点,c点より外側に向かうにつれて対応する加熱ローラ1の温度が著しく低下しているのに対して、本実施例の電磁誘導加熱装置では、励磁コイルの長手方向Yにおける両端部a点,c点に応じた加熱ローラ1の軸方向Xにおける両端部付近の温度低下を防いで加熱ローラ1における外周面4の温度分布を均一にしている。
【0072】
以上のように本実施例では、磁界を生成する励磁コイル3と、前記磁界の作用により誘導加熱される加熱ローラ1と、を備え、平面形状を加熱ローラ1の軸方向Xに長手方向Yを有する長円形状として、導電線を複数回巻回して形成された巻回束3a形状に形成され、この巻回束3aの長手方向Yの寸法M1を、加熱ローラ1の長さである軸方向Xの寸法M2より小さく形成された励磁コイル3は、加熱ローラ1の外部に配置され、この励磁コイル3の端部たる巻回形状に形成された励磁コイル3の長手方向Yにおける両端部付近a点及びc点における巻回束3aにおける短手方向Zのコイル幅L1又はL3が、励磁コイル3の長手方向Yにおける中央部b点における巻回束3aにおける短手方向Zのコイル幅L2より広く形成した。
【0073】
この場合、加熱ローラ1の外周面4を覆う励磁コイル3において、加熱ローラ1の軸方向Xにおける両端部付近a点及びc点をより広く覆い、この両端部付近a点及びc点における加熱ローラ1の温度低下を防ぎ、加熱ローラ1における外周面4の温度分布を均一にすることが可能である。
【0074】
次に、図12は本発明の第7実施例に関わる電磁誘導加熱装置の主たる回路図を示している。同図において、ここでは電源101からの交流入力電圧を整流する整流回路102と、整流回路102からの整流出力を分圧して平滑する分圧・平滑回路103と、分圧・平滑回路103からの平滑出力の低周波数成分のみを取出すローパスフィルタ104と、分圧・平滑回路103とローパスフィルタ104との間に接続する電流制限用の抵抗105とにより、電磁誘導加熱装置への入力電圧を波形整形して、アナログ信号からディジタル信号に変換する入力電圧−A/D変換回路106を構成している。
【0075】
それぞれの回路構成について説明すると、整流回路102は電源101からの交流入力電圧を全波整流するもので、ブリッジ接続された4個の全波整流用ダイオード111,112,113,114により構成される。整流回路102としては、他に半波整流回路や、任意の段数の倍電圧整流回路を用いてもよい。
【0076】
分圧・平滑回路103は、整流回路102の出力端に接続され、2個の分圧抵抗115,116の直列回路をからなる分圧回路と、分圧抵抗116の両端間に接続する平滑回路に相当する平滑コンデンサ117とにより構成される。これにより、整流回路102からの全波整流出力を分圧した電圧が分圧抵抗116に発生し、この分圧電圧を平滑コンデンサ117で平滑するようになっている。なお、分圧抵抗115,116は必須のものではなく、また別な例として、平滑コンデンサ117の前段ではなく、ローパスフィルタ104の前段に分圧抵抗115,116を設けてもよい。
【0077】
ローパスフィルタ104は、分圧・平滑回路103の一方の出力端に、抵抗105を介してアノードが接続されるダイオード121と、ダイオード121のカソードと分圧・平滑回路103の他方の出力端との間に接続するコンデンサ122と、コンデンサ122の両端間に接続する抵抗123とコンデンサ124との直列回路とにより構成され、コンデンサ124の両端間に発生する電圧が、後述する制御手段たるマイコン131に出力波形として取り込まれる。なお、ここでは、抵抗123とコンデンサ124との直列回路に代わって、例えばオペアンプを用いたローパスフィルタ回路を構成してもよいし、それ以外の回路構成を採用してもよい。ここでのローパスフィルタ104は、分圧・平滑回路103で得られた平滑出力のなかで、電源101の周波数(例えば50/60Hz)付近の信号成分だけをそのまま減衰させることなく通過させ、それよりも高い周波数成分は遮断または減衰させるような特性を有していればよい。
【0078】
また、この入力電圧−A/D変換回路106とは別に、負荷である誘導加熱コイル141に電力を供給する主回路142として、ここでは前述の整流回路102の他に、整流回路102からの整流出力を平滑するために、チョークコイル143および平滑コンデンサ144からなる平滑回路145と、前記誘導加熱コイル141と共振コンデンサ146の並列回路からなる共振回路147と、トランジスタなどのスイッチング素子148を含むインバータ149がそれぞれ設けられる。なお、回路構成を簡素化するために、主回路142と入力電圧−A/D変換回路106で整流回路102が共通に設けられているが、それぞれの回路に独自の整流回路を設けても構わない。
【0079】
平滑回路144は、チョークコイル142と平滑コンデンサ143とによる直列回路を、整流回路102の出力端に接続して構成される。これにより、平滑コンデンサ143の両端間に、整流回路102からの整流出力を平滑した直流電圧が生成される。また、当該平滑コンデンサ143の両端間には、前記共振回路147とスイッチング素子148との直列回路が接続され、スイッチング素子148の制御端子(この場合はベース)に、マイコン131からのパルス制御信号が与えられるようになっている。
【0080】
インバータ149は前記スイッチング素子148の他に、ここでは図示しないが、スイッチング素子148の両端(この場合は、コレクタとエミッタ)間に、ダイオードを逆並列接続して構成される。そして、マイコン131からのパルス制御信号により、スイッチング素子148をスイッチング動作することで、共振回路147とスイッチング素子148との直列回路に、前記整流回路102と平滑回路144とにより整流平滑された直流電圧が断続的に印加され、共振回路147に高周波電流が供給されるようになっている。
【0081】
マイコン131は、誘導加熱コイル141への実際の入力電圧を、入力電圧−A/D変換回路106で波形整形した検知出力波形に基づき監視すると共に、誘導加熱コイル141を流れる実際の入力電流を、図示しない別な入力電流検出手段からの検知出力波形に基づき監視し、これらの各検知出力波形から、実際の入力電圧と入力電流とを掛け算して得た出力電力を算出して、この実際の出力電力が設定した電力値に近づくように、スイッチング素子148に最適なパルス制御信号を出力する電力フィードバック制御手段としての機能を有する。
【0082】
次に、上記構成についてその作用を説明する。電源101からの交流入力電圧は整流回路102によって整流され、この整流回路102からの整流出力が、入力電圧−A/D変換回路106の分圧・平滑回路103と、主回路142の平滑回路145にそれぞれ供給される。
【0083】
ここで主回路142では、平滑回路145によって整流回路102からの整流出力が平滑され、直流電圧に変換される。また、マイコン131からのパルス制御信号を受けて、インバータ149を構成するスイッチング素子148がスイッチング動作され、共振回路147とスイッチング素子148との直列回路に、前記直流電圧が断続的に印加される。こうなると、共振回路147に高周波電流が供給され、誘導加熱コイル141に交番磁界が発生する。
【0084】
一方、入力電圧−A/D変換回路106では、分圧・平滑回路103によって整流回路102からの整流出力が分圧し平滑され、この分圧・平滑回路103で得られた平滑出力が、ローパスフィルタ104を通して検知出力波形としてマイコン131に送出される。マイコン131は、入力電圧−A/D変換回路106で波形整形した検知出力波形を受けて、誘導加熱コイル141への実際の入力電圧を監視すると共に、別な入力電流検出手段からの検知出力波形を受けて、誘導加熱コイル141を流れる実際の入力電流を監視し、これらの入力電圧と入力電流との値を掛け合わせて、実際の出力電力を算出する。そして、この実際の出力電力が設定した電力値に近づくように、スイッチング素子148に最適なパルス制御信号を出力する。
【0085】
ここで、従来のようなピークホールド回路をローパスフィルタ104の代わりに組み込んだ場合、電源101からの入力電圧に歪が生じると、ピークホールド回路からの出力波形は、入力電圧に含まれる歪分のピーク電圧をそのままホールドしたものとなる。これを受けたマイコン131は、実際の入力電圧を正確に把握できず、出力電力を正しく調整した最適なパルス制御信号を、スイッチング素子148に供給することはできない。
【0086】
一方、本実施例のようなローパスフィルタ104は、電源101からの入力電圧に歪が生じた場合であっても、歪成分を遮断または抑制した出力波形を、マイコン131に供給することができる。したがって、これを受けたマイコン131は、実際の入力電圧を正確に把握することができ、結果的に出力電力を正しく調整した最適なパルス制御信号を、スイッチング素子148に供給することが可能になる。
【0087】
このように本実施例では、主回路142に入力する電流と電圧とにより、主回路142の出力電力を調整する制御手段たるマイコン131を備えた誘導加熱装置において、前記主回路142に入力する電圧を平滑手段である整流回路102と分圧・平滑回路103で整流平滑し、その後段に接続したローパスフィルタ104を通してマイコン131に出力する構成を採用している。
【0088】
この場合、入力する電圧に歪を生じた場合でも、この入力する電圧が整流回路102と分圧・平滑回路103とにより整流平滑された後、ローパスフィルタ104を通過することで、ノイズ成分を取除いた出力波形がマイコン131に取り込まれる。したがって、マイコン131は入力する電圧の歪に左右されることなく、本来の電圧値に追従して、正しく出力電力を調整することが可能になる。
【0089】
また本実施例では、主回路141の具体的な構成として、加熱手段たる誘導加熱コイル141と共振手段たる共振コンデンサ146とからなる共振回路147と、この共振回路147に高周波電流を供給するためのスイッチング手段たるスイッチング素子148を含むインバータ149と、前記主回路142に入力する電圧を直流電圧に変換し、この直流出力を共振回路147に断続的に印加する直流変換手段としての整流回路102および平滑回路145とを備えている。
【0090】
こうすると、主回路141に入力する電圧に見合うローパスフィルタ104からのノイズ成分を取除いた出力波形と、主回路141に入力する電流とにより、実際の出力電力をより高い精度でマイコン131により算出することができ、またローパスフィルタ104を介在させたことにより、入力する電圧の歪による電圧実効値の減少にも対応できる。さらに、この実際の出力電力に対して、設定した電力値が近づくように、マイコン131がインバータ149を構成するスイッチング素子148をスイッチング動作させることで、マイコン131は入力する電圧の歪に左右されることなく、本来の電圧値に追従して、正しく出力電力を調整することが可能になる。
【0091】
なお本発明は上記各実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。また、上記各実施例を組み合せて実施することも可能である。さらに、第3実施例にある裾コア16はホルダー5側に配置しても構わないものとする。また、上記各実施例にあるコイル支持面5の面形状を湾曲だけでなく、傾斜して形成しても構わないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第1実施例における電磁誘導加熱装置を示す斜視図である。
【図2】同上、電磁誘導加熱装置を示す側面図である。
【図3】本発明の第2実施例における電磁誘導加熱装置を示す断面図である。
【図4】本発明の第3実施例におけるコイル支持体の備えられた裾コアを示す斜視図である。
【図5】同上、裾コアと裾コアとの間に第2のリブを配置した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第4実施例における電磁誘導加熱装置を示す断面図である。
【図7】本発明の第5実施例における電磁誘導加熱装置においてホルダーに備えられたメインコア及びコイル対向面部を示した斜視図である。
【図8】同上、ホルダーに備えられたメインコア及びコイル対向面部を示した平面図である。
【図9】本発明の第6実施例における電磁誘導加熱装置を示す断面図である。
【図10】同上、励磁コイルを示す平面図である。
【図11】同上、本発明に係る電磁誘導加熱装置における加熱ローラの温度分布と従来の電磁誘導加熱装置における加熱ローラの温度分布とを比較して示す図である。
【図12】本発明の第7実施例における電磁誘導加熱装置の回路図である。
【符号の説明】
【0093】
1 加熱ローラ(加熱体)
3 励磁コイル(加熱手段)
5 コイル支持面(支持部)
6 コイル支持体(支持体)
7 ホルダー
11 第1のリブ(第1の保持部)
13 第2のリブ(第2の保持部)
102 整流回路(平滑手段)
103 分圧・平滑回路(平滑手段,直流変換手段)
104 ローパスフィルタ
131 マイコン(制御手段)
141 誘導加熱コイル(加熱手段)
145 平滑回路(直流変換手段)
146 共振コンデンサ(共振手段)
147 共振回路
148 スイッチング素子
149 インバータ
N1、N2 コイル幅
Z 励磁コイルの短手方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電体からなる線材を巻回して形成される加熱手段と、当該加熱手段を支持する支持部を有する支持体と、前記支持部に前記加熱手段を保持するためのホルダーを有し、該ホルダーに、前記加熱手段の巻回形状を保持するための第1の保持部を備え、該第1の保持部は、前記支持部に沿って、前記支持部に向けて凸リブ形状となるように突出して形成され、前記支持部には、前記加熱手段を保持可能に形成された第2の保持部を備え、前記第1の保持部の巻回形状の前記加熱手段における短手方向に応じた寸法が、前記巻回形状の前記加熱手段における前記短手方向の寸法より広く形成されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
【請求項2】
入力により出力を調整する制御手段を備えた誘導加熱装置において、前記入力を平滑手段で平滑し、ローパスフィルタを通して前記制御手段に出力する構成としたことを特徴とする電磁誘導加熱装置。
【請求項3】
加熱手段と共振手段とからなる共振回路と、スイッチング手段を含むインバータと、前記入力を直流に変換し、出力を印加する変換手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の電磁誘導加熱装置。
【請求項1】
導電体からなる線材を巻回して形成される加熱手段と、当該加熱手段を支持する支持部を有する支持体と、前記支持部に前記加熱手段を保持するためのホルダーを有し、該ホルダーに、前記加熱手段の巻回形状を保持するための第1の保持部を備え、該第1の保持部は、前記支持部に沿って、前記支持部に向けて凸リブ形状となるように突出して形成され、前記支持部には、前記加熱手段を保持可能に形成された第2の保持部を備え、前記第1の保持部の巻回形状の前記加熱手段における短手方向に応じた寸法が、前記巻回形状の前記加熱手段における前記短手方向の寸法より広く形成されていることを特徴とする電磁誘導加熱装置。
【請求項2】
入力により出力を調整する制御手段を備えた誘導加熱装置において、前記入力を平滑手段で平滑し、ローパスフィルタを通して前記制御手段に出力する構成としたことを特徴とする電磁誘導加熱装置。
【請求項3】
加熱手段と共振手段とからなる共振回路と、スイッチング手段を含むインバータと、前記入力を直流に変換し、出力を印加する変換手段と、を備えたことを特徴とする請求項2記載の電磁誘導加熱装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−109253(P2012−109253A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−286641(P2011−286641)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2007−215290(P2007−215290)の分割
【原出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2007−215290(P2007−215290)の分割
【原出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(390010168)東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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