説明

電磁障害吸収用填隙性材料

電子装置から放出される電磁放射線を吸収するための熱伝導性の填隙性材料が提供されている。該填隙性材料は、該電子装置が発生する過剰の熱を熱分散器に伝導することを促進する。該熱分散器は該過剰の熱を周囲の環境に更に分散させる。該填隙性材料は結合剤材料及び磁性充填材を含む。該磁性充填材は結合剤材料中に分散されている。該磁性充填材は電磁放射線を吸収し、該填隙性材料を熱伝導性にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願のクロスリファレンス)
本出願は2006年7月13日に出願された米国仮出願第60/807,216号の優先権の利益を主張するものであるが、その開示を全体として本願に引用して援用する。
【0002】
(発明の背景)
本発明は、電子装置が発生した熱を熱伝導するための填隙性材料に関する。より詳しくは、本発明は、電子装置が放出した電磁放射線を吸収するための填隙性材料、及び同填隙性材料を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般に、あらゆる電子部品は操作中に熱を発生する。かかる装置の電子部品から発生した過剰の熱は、該電子部品の温度上昇を引起こす。温度は、殆んどすべての半導体電子装置及び他の電子部品の性能及び操作を制御する重要なパラメーターの中に含まれる。温度上昇は、電子装置の性能、操作、及び効率に悪い影響を与える。従って、電子装置が正常に機能するのを維持し、電子装置に対するいかなる損傷をも避けるためには、電子部品の温度が安全な限界内に維持できるように、電子装置からの過剰な熱を除去することが必要である。
【0004】
慣例的には、電子部品が発生する過剰の熱を分散させるために種々の方法が用いられてきた。これらの方法の一つは、電子部品又は電子装置上に冷却用放熱器を設置することである。電子部品又は電子装置が発生した過剰の熱は、冷却用放熱器により吸収される。冷却用放熱器は最終的に過剰の熱を周囲に放出する。冷却用放熱器と電子部品又は電子装置との界面に熱伝導性材料を置き、それにより該界面を横切る熱伝導を増加させる。
【0005】
更に、一般に、電子部品は電磁放射線源である。電子部品、例えば、送信機、送受信機、マイクロコントローラー、マイクロプロセッサ等は、回路を通って伝搬する電気信号の一部を電磁放射線として放射する。このようにして発生した電磁放射線は電磁雑音と呼ばれる。電子部品の比較的高い操作用周波数範囲は、主として無線周波数放射線を含む電磁雑音を引起こす。これらの無線周波数放射線は通常無線周波数雑音と呼ばれる。本明細書で使用する場合、電磁雑音及び無線周波数雑音は電子装置から放出された電磁放射線を表すためにのみ使用する。更に、電磁雑音及び無線周波数雑音は、特に明記しない限り、本明細書を通して交換できるように使用する。電磁放射線は又すぐ近くの電子装置からも放出され得る。
【0006】
一般に、液晶表示装置、薄膜トランジスタ、プラズマ表示装置、ラップトップ型コンピュータ、高速パソコン、ビデオゲーム制御装置、携帯電話、等のような市販の電子機器は電磁雑音源である。電磁雑音又は無線周波数雑音は、すぐ近くの電子装置を妨害する可能性がある。電磁雑音は、すぐ近くの電子装置の回路に望まれていない電気信号を誘発する。それ故に、電磁雑音はすぐ近くの電子装置の効果的な性能及び操作を中断し、妨害し、低下させ、そして制限する可能性がある。
【0007】
慣例的に、電子装置は電磁雑音の放出を妨害するために遮蔽されてきた。具体的に、電子装置は遮蔽体で包むことが出来る。遮蔽体は、種々の材料、例えば、金属板、プラスチック複合材料、導電性高分子スプレー、金属充填エポキシペースト等から作製することが出来る。該遮蔽体は電磁放射線を吸収し、それにより電子装置と該遮蔽体との組立体から電磁雑音が放出されるのを妨害する。しかしながら、従来の遮蔽体は典型的に、電子装置から発生した過剰の熱を吸収するようになると、成績が良くない。更に、電子装置が発生した熱の伝導を促進するために熱伝導性の填隙性材料のような熱伝導性材料を使用した場合、これらの熱伝導性材料は電子装置から放出された電磁雑音を吸収する成績が良くない。
【0008】
従って、過剰の熱を発生し電磁雑音を放出する電子装置に対しては、過剰の熱を除去することが出来、又電子装置から電磁雑音が放出されるのを妨害する遮蔽体を提供することも出来る材料の必要性が存在する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の概要)
本発明の一局面によれば、電磁放射線の吸収用填隙性材料は結合剤材料及び1種以上の磁性充填材材料を含む。1種以上の磁性充填材材料は結合剤材料中に分散されている。該填隙性材料は主として無線周波数放射線を吸収する。本発明の種々の局面によれば、該填隙性材料はグリース、シート、接着剤、フィルム、テープ等のような種々の形状を有することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
(図面の簡単な説明)
本発明の前述の及び他の利点及び特色は、以下の詳細な説明を読み以下の図面を参照すると明白になるであろう。
【図1】本発明の種々の態様による、填隙性材料を含む組立体を図解したものである。
【図2】本発明の種々の態様による、金属サブシャシ及びマイクロプロセッサを含む組立体を図解したものである。
【図3】本発明の種々の態様による、磁性充填材及び結合剤材料を含む填隙性材料を図解したものである。
【図4】本発明の種々の態様による、填隙性材料内における粒子の組合せを示す磁性充填材を図解したものである。
【図5A】本発明の種々の態様による、磁性充填材の種々の態様を示す填隙性材料の断面図を図解したものである。
【図5B】本発明の種々の態様による、磁性充填材の種々の態様を示す填隙性材料の断面図を図解したものである。
【図5C】本発明の種々の態様による、磁性充填材の種々の態様を示す填隙性材料の断面図を図解したものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本明細書で使用する場合、用語「電子装置」は1種以上の電子部品を表し、特に明記しない限り、用語「電子装置」及び「電子部品」は本明細書を通して交換できるように使用されている。本明細書で使用する場合、「電磁雑音」及び「無線周波数雑音」は電子装置から放出された電磁放射線を表すためにのみ使用する。更に、電磁雑音及び無線周波数雑音は、特に明記しない限り、本明細書を通して交換できるように使用されている。
【0012】
図1は、本発明の種々の態様による、填隙性材料102を含む組立体100を図解したものである。組立体100は更に熱分散器104及び電子装置106を含む。填隙性材料102は熱伝導性材料である。填隙性材料102は又電磁放射線をも吸収する。具体的に、填隙性材料102は電磁雑音を吸収する。電磁雑音は、電子装置106のような電子装置が発生した望ましくない電磁放射線を表す。電子部品の比較的高い操作用周波数範囲は、主として無線周波数放射線を含む電磁雑音を引起こす。この無線周波数放射線は普通無線周波数雑音と呼ばれる。電子装置106の不完全な表には、数ある中で、送信機、送受信機、マイクロコントローラー、及びマイクロプロセッサが含まれる。
【0013】
電子装置106は、種々の電子機器、例えば、液晶表示装置、薄膜トランジスタ、プラズマ表示装置、ラップトップ型コンピュータ、高速パソコン、ビデオゲーム制御装置、携帯電話等の一つ以上の部品を含むことも出来る。電磁放射線の放出に加えて、電子装置106は操作中に熱を生成する。過剰の熱を周囲の環境に分散させるために電子装置106の上に熱分散器104を設置する。熱分散器104は、機械的締め具、例えば、クリップ、ねじ、リベット、クランプ、ボルトとナット、はんだ付け、接着剤等のような種々の固定手段を用いて電子装置106に固定することが出来る。しかしながら、熱分散器104又は電子装置106の表面は完全には滑らかでない。それ故に、熱分散器104及び電子装置106の界面は、実質的に比較的小さな隙間(図面には示されてない)を含有している可能性がある。これらの比較的小さな隙間は空気により満たされている。空気はかなり非熱伝導性であるから、これらの比較的小さな隙間は熱分散器104及び電子装置106の界面を通る熱伝導を妨害する。
【0014】
本発明の一局面によれば、填隙性材料102は、熱分散器104と電子装置106との間の界面に置くのが有利である。填隙性材料102は、比較的小さな隙間を塞ぐことにより熱分散器104と電子装置106との接触面積を増加させる。填隙性材料102は、熱分散器104及び電子装置106の界面を横切る熱伝導を促進する。填隙性材料102は又、電子装置106が発生する電磁雑音の少なくとも一部をも吸収する。かくして、填隙性材料102は、電子装置106からの電磁雑音の放出を遅らせる。填隙性材料102は、種々の形状及び構造で存在することが出来る。填隙性材料102のかかる形状及び構造の不完全な表には、グリース、接着剤、コンパウンド、フィルム、弾性テープ、シート、パッド等が含まれる。
【0015】
更に、種々の態様によれば、本発明は該界面(図面には示されてない)から空気を除去する手段を含む。空気を除去する該手段は、種々のタイプのエンボス加工から及び穴を通して選択することが出来る。具体的には、填隙性材料102、熱分散器104、及び電子装置106のいずれもが、該材料又はそれらの組合せを通して、一つ以上の溝、一つ以上のチャネル、一連の穴を含むことが出来る。空隙は、填隙性材料102と電子装置106との第一界面に、又は填隙性材料102と熱分散器104との第二界面に、又は第一界面と第二界面の両方に捕捉することが出来る。該溝、チャネル、及び穴は、第一界面と第二界面の両方に捕捉された如何なる空気をも追い出すのに役立つ。第一界面及び第二界面に圧力をかけると、それらの界面から溝、チャネル、又は穴を通して空気を追い出すことが出来る。
【0016】
図2は、本発明の種々の態様による、金属サブシャシ204とマイクロプロセッサ206との間に置かれた填隙性材料102を含む組立体200を図解したものである。金属サブシャシ204はマイクロプロセッサ206の上方に設置されている。金属サブシャシ204は、種々の固定手段、例えば、機械的締め具、接着剤等を用いてマイクロプロセッサ206に固定することが出来る。填隙性材料102は金属サブシャシ204とマイクロプロセッサ206との間に置かれる。填隙性材料102は、金属サブシャシ204とマイクロプロセッサ206との界面を横切る熱伝導を促進する。填隙性材料102は又、マイクロプロセッサ206が発生する電磁雑音をも吸収する。かくして、填隙性材料102は、マイクロプロセッサ206からの電磁雑音の放出を遅らせて、近くの電子装置の電磁妨害を回避する。
【0017】
図3は、本発明の種々の態様による、磁性充填材310及び結合剤材料308を含む填隙性材料102の断面図を図解したものである。磁性充填材310は粉末形状の磁性材料である。本質的に、磁性充填材310は磁性材料の粒子を含む。磁性充填材310は結合剤材料308中に分散させることが出来る。磁性充填材310は実質的に高い熱伝導率を有していても良い。結合剤材料308中に分散された磁性充填材310は、填隙性材料102に熱伝導性を供与する。過剰の熱は、いくつかの手段により、例えば、数ある中で、磁性充填材310の粒子の分子振動により、又は、磁性充填材310の粒子を横切る高エネルギー電子の運動により、填隙性材料102を通して移動させることが出来る。填隙性材料102は、主として伝導により過剰の熱を磁性充填材310に移動させる。
【0018】
熱伝導性を供与することに加えて、填隙性材料102は(図1に示されているような)電子装置106が発生する電磁雑音を吸収する。填隙性材料は、電磁雑音の磁界成分の磁性充填材310との電磁結合によって電磁雑音を吸収する。磁性充填材310の粒子による電磁雑音の吸収は、磁性充填材の粒子中で起こる渦電流、履歴現象、及び強磁性共鳴損失と関連がある。本発明の一部の態様において、填隙性材料は又外部の電磁放射線に対する遮蔽を電子装置に供与するのにも使用することが出来る。
【0019】
当業者には明らかなように、磁性充填材310は種々の磁性材料、複合材料、合金、又は同材料の混合物から得ることが出来る。磁性材料、複合材料、及び合金の不完全な表には、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、フェライト、アルインコ、アワルイト(NiFe)、ワイラウイト(CoFe)、MnBi,MnSb,CrO,MnAs,Gd等が含まれる。磁性材料は又、種々の物理的形状及び化学的形状を有することも出来る。これらの種々の物理的又は化学的形状のいずれも磁性充填材310を製造するのに使用することが出来る。鉄(Fe)に基づく磁性充填材は、例えば、軟質等級カルボニル鉄、軟質等級カルボニル鉄被覆SiO又はFePO、センダストFeAlSi、又はパーマロイFe−Ni等の粒子を含むことが出来る。本発明の一部の態様において、磁性充填材310は種々の磁性材料からの磁性粒子の混合物を含むことが出来る。
【0020】
一般に、磁性充填材310は、填隙性材料102に熱伝導性を与える。しかしながら、填隙性材料102の熱伝導率を更に増加させるために、高い熱伝導率を有する充填材材料を結合剤材料308中に分散させることが出来る。これらの充填材は、磁性材料、非磁性材料、又はそれらの混合物から得ることが出来る。非磁性熱伝導性材料の不完全な表には、アルミニウム、銅、炭化珪素、二臭化チタン等が含まれる。
【0021】
本発明の一部の態様によれば、結合剤材料308は、填隙性材料102の形状に依って種々の材料から構成することが出来る。填隙性材料102の種々な形状の不完全な表には、グリース、接着剤、コンパウンド、フィルム、弾性テープ、シート、パッド等が含まれる。当業者には明らかなように、結合剤材料308は、例えば、シリコーンエラストマー、熱可塑性ゴム、ウレタン、アクリル系誘導体等を含むことが出来る。シリコーンエラストマーは、触媒を用いて架橋されたシリコーンガムから構成される。熱可塑性ゴムは典型的に熱可塑性ブロック重合体、例えば、13/87のスチレン/ゴム比を有するスチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体である。
【0022】
或いは、適切な官能基、例えば、カルボキシル基、エトキシシラノール基、等を有するスチレン/オレフィン重合体の架橋ブロック共重合体のような熱可塑性樹脂である。架橋結合を形成するためには、架橋剤、架橋用触媒を架橋性共重合体と組合せる。本発明の一部の態様において、填隙性材料102がフィルムの形状である場合、結合剤材料308はポリエチレンのようなポリオレフィン、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル等を含むことが出来る。これらのフィルムは熱伝導性が良くないので、二臭化チタン、窒化硼素、酸化アルミニウム、等、又はそれらの混合物のような熱伝導性充填材を添加すると該フィルムの熱的性質が改良される。
【0023】
本発明の一部の態様において、填隙性材料102がテープ又は接着剤の形状である場合、結合剤材料308はシリコーン、ウレタン、又はアクリル接着剤樹脂のような感圧接着剤材料であることが出来る。
【0024】
更に、本発明の一部の態様において、填隙性材料102がグリースの形状である場合、結合剤材料308は未架橋シリコーンであることが出来る。エラストマー状又はテープ状構造において、一層以上の導電性支持材料を結合剤材料308中に組み入れて填隙性材料102の強靭性、耐伸長性、及び引裂抵抗を増加させることが出来る。支持材料の不完全な表には、ガラス繊維、ガラスメッシュ、ガラス布、プラスチック繊維、プラスチックメッシュ、プラスチック布、プラスチックフィルム、金属繊維、金属メッシュ、金属布、金属箔等のような合成及び非合成繊維が含まれる。それらの支持材料のいくつかは熱伝導性であり、他は非熱伝導性である。当業者には明らかなように、一つ以上のタイプの熱伝導性充填材を非熱伝導性支持材料に添加してそれを熱伝導性にすることが出来る。
【0025】
図3は、本発明の種々の態様による、磁性充填材310をフレークとして示す填隙性材料102の断面図を図解したものである。粒子は、磁性材料からフレークの形状で得られる。フレークの形状をした磁性充填材310は結合剤材料308中に分散されて填隙性材料102を形成する。
【0026】
図4は、本発明の種々の態様による、填隙性材料402内で粒子の組合せを示す磁性充填材410を図解したものである。通常、得られる填隙性材料402が均質となるように、そして磁性充填材410のいかなる塊形成をも避けるように、磁性充填材410を結合剤材料408中に分散させることが望ましい。当業者には明らかなように、種々の方法、例えば、機械的インライン分散剤法、紡ぎ車法、滴下法、等を用いて、磁性充填材410を結合剤材料408中に分散させることが出来る。
【0027】
図5A,5B及び5Cは、本発明の種々の態様による、磁性充填材の種々の態様を示す填隙性材料の断面図を図解したものである。
【0028】
図5Aは、磁性充填材の球形状ウェーハを含む填隙性材料の断面図を図解したものである。本発明の一部の態様において、磁性充填材は円形ウェーハを有する粒子を含む。
【0029】
図5Bは、比較的小さな粒径を有する磁性充填材を含む填隙性材料の断面図を図解したものである。磁性充填材の粒径は、約サブミクロンから約数ミリメータまで変動し得る。更に、比較的小さな粒径を有する磁性充填材は、球状粒子形状で示されている。しかしながら、磁性充填材が種々の形状、例えば、規則的又は不規則的フレーク状、顆粒状、立方体形、長楕円形等を有する粒子を含むことが出来ることは、当業者に明らかであろう。
【0030】
図5Cは、比較的大きな粒径を有する磁性充填材を含む填隙性材料の断面図を図解したものである。
【0031】
図5A,5B及び5Cに示された填隙性材料の各々は、異なる態様の磁性充填材を含む。一部の態様において、填隙性材料は形状及び粒径の点で種々の態様の磁性充填材の混合物を含有することが出来る。
【0032】
種々の態様によれば、本発明は、先に述べたように、填隙性材料を提供する方法として使用することが出来る。該方法は、結合剤材料を用意し、該結合剤材料中に少なくとも1種の磁性充填材を分散させることを含む。該方法は、第一表面と第二表面との界面を横切って熱を伝導するのに用いることが出来る。該方法は又、第一表面及び(又は)第二表面から放出された電磁放射線を吸収するのに使用することも出来る。該方法は、結合剤材料を用意し、該結合剤材料中に少なくとも1種の磁性充填材を分散させ、それにより填隙性材料を形成することを含む。該方法は、該界面に該填隙性材料を置くことを更に含む。該填隙性材料は電子装置が発生した過剰の熱を伝導する。同時に、該填隙性材料は電子装置から放出された電磁雑音の放出を遅らせる。
【0033】
当業者には明らかな他の利点の中で、該填隙性材料は熱分散器と電子装置との間の界面における熱伝導を提供し、同時に電子装置が放出する電磁雑音を吸収する。更に、該填隙性材料は、特定の用途及び要求に依って、グリース、接着剤、コンパウンド、フィルム、弾性テープ、シート、パッド等のような多数の便利な形状での使用に利用することが出来る。更に該填隙性材料は電子装置の遮蔽に用いることも出来る。なお更に、該填隙性材料は製造し易く、費用効率が高い。
【0034】
本発明は種々の変更及び代りの形状を許すことが出来るが、具体的な態様を、図面における例によって示し、本明細書において詳細に説明した。しかしながら、本発明が開示された特定の形状に限定されることは意図していないと理解されるべきである。むしろ、本発明は、別紙特許請求の範囲により定義される本発明の精神及び範囲内に含まれるあらゆる変更、均等物、及び代替物を含むことを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁放射線の吸収用填隙性材料であって、該填隙性材料が熱伝導性であり、該填隙性材料が
結合剤材料、および
該結合剤材料中に分散されている少なくとも1種の磁性充填材
を含む、前記の填隙性材料。
【請求項2】
該填隙性材料がグリース状である、請求項1の填隙性材料。
【請求項3】
該填隙性材料がクリーム状である、請求項1の填隙性材料。
【請求項4】
該填隙性材料がシート状である、請求項1の填隙性材料。
【請求項5】
該填隙性材料がテープ状である、請求項1の填隙性材料。
【請求項6】
該テープが少なくとも1個の溝を含み、該少なくとも1個の溝の各々が該テープ上に刻まれている、請求項5の填隙性材料。
【請求項7】
該テープが少なくとも1個のチャネルを含み、該少なくとも1個のチャネルの各々が該テープ上に刻まれている、請求項5の填隙性材料。
【請求項8】
該テープが少なくとも1個の穴を含み、該少なくとも1個の穴の各々が該テープ上に刻まれている、請求項5の填隙性材料。
【請求項9】
該填隙性材料が熱伝導性充填材を更に含み、該熱伝導性充填材が非磁性であり、該熱伝導性充填材が該結合剤材料中に分散されている、請求項1の填隙性材料。
【請求項10】
該熱伝導性充填材がアルミニウム、銅、及び二硼化チタンから成る材料群から選択される、請求項9の填隙性材料。
【請求項11】
該結合剤材料がシリコーン結合剤、熱可塑性ゴム結合剤、ウレタン、ポリオレフィン、及び感圧接着剤材料から成る材料群から選択される、請求項1の填隙性材料。
【請求項12】
該少なくとも1種の磁性充填材が鉄粒子を含む、請求項1の填隙性材料。
【請求項13】
該少なくとも1種の磁性充填材がニッケル、コバルト、パーマロイFe−Ni、カルボニル鉄、SiO被覆カルボニル鉄、及びFePO被覆カルボニル鉄から成る磁性材料群から選択される、請求項1の填隙性材料。
【請求項14】
磁性充填材の粒子が規則的な又は不規則なフレーク、球、円形ウェーハ、及び立方体から成る形状群から選択される形状を有する、請求項1の填隙性材料。
【請求項15】
該磁性充填材の大きさが約1ミクロンから約1mmまで変動する、請求項1の填隙性材料。
【請求項16】
電磁放射線吸収用の熱伝導性である填隙性材料を提供する方法であって、
結合剤材料を用意し、そして
該結合剤材料中に少なくとも1種の磁性充填材を分散させる
ことを含む該方法。
【請求項17】
熱伝導性充填材である少なくとも1種の非磁性充填材を該結合剤材料中に分散させる工程を更に含む、請求項16の方法。
【請求項18】
界面を横切って熱を伝導し電磁放射線を吸収する方法であって、
結合剤材料を用意し、
該結合剤材料中に少なくとも1種の磁性充填材を分散させそれにより填隙性材料を形成し、そして
該填隙性材料を該界面に置く
ことを含む該方法。
【請求項19】
熱分散器が電子装置の全体を覆って設置されている、該電子装置と該熱分散器の界面を横切って熱を伝導する方法であり、該電子装置により放出された電磁放射線の吸収に用いられる該方法であって、
結合剤材料を用意し、
該結合剤材料中に少なくとも1種の磁性充填材を分散させそれにより填隙性材料を形成し、そして
該填隙性材料を該界面に置く
ことを含む該方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2009−544158(P2009−544158A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519707(P2009−519707)
【出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/073437
【国際公開番号】WO2008/008939
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(597175961)パーカー.ハニフィン.コーポレイション (10)
【Fターム(参考)】