説明

電線の止水中間スプライス部の製造方法及び電線の止水中間スプライス部

【課題】電線同士を接続した中間スプライス部を止水する際に、当該中間スプライス部に供給された止水剤とその止水剤を覆う保護シートとの間の隙間を抑制すること。
【解決手段】電線22の中間スプライス部20と、中間スプライス部20に供給されて硬化した止水剤40と、中間スプライス部20に供給された止水剤40周りを覆う保護シート30とを備えている。保護シート30は、中間スプライス部20に供給された止水剤40の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有しており、止水剤40の表面に密着した状態で硬化した止水剤40を覆っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電線同士を接続した中間スプライス部を止水する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中間スプライス部を止水する技術として、特許文献1或は特許文献2に開示のものがある。
【0003】
特許文献1では、電線接続部に樹脂ケースを被せ、樹脂ケース内に紫外線硬化性の接着剤を充填し、樹脂ケース外から紫外線を照射して接着剤を硬化させている。
【0004】
特許文献2では、絶縁樹脂シートの粘着剤を塗布した上面にスプライス部等を載置し、そこに光硬化シリコーン樹脂を塗布し、ついで、絶縁樹脂シートをスプライス部等に巻付けている。この後、巻付けた絶縁樹脂シートの両端開口から光を照射して光硬化シリコーン樹脂を硬化させた後、内部の光硬化シリコーン樹脂を自然硬化させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開平04−111110号公報
【特許文献2】特開2009−136039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、中間スプライス部に塗布された止水剤は、塗布後から硬化するまでの間に、収縮し、或は、芯線間或は電線間に進入しようとする。このため、中間スプライス部の表面上に残存する止水剤の体積が減少し、表面が凹んでしまう恐れがある。この場合、上記特許文献1の場合には、樹脂ケースと硬化した接着剤との間に隙間が生じることとなっていた。また、特許文献2の場合でも、粘着剤を塗布した絶縁樹脂シートはある程度の形態維持性を持つため、やはり絶縁樹脂シートと硬化した光硬化シリコーン樹脂との間に隙間が生じることとなっていた。そして、一旦そのような隙間が発生してしまうと隙間が大きく成長してしまい、その部分での止水厚みが小さくなってしまう恐れがある。また、隙間が液だまりとなって止水部分を劣化させる要因となる恐れがある。
【0007】
そこで、本発明は、電線同士を接続した中間スプライス部を止水する際に、当該中間スプライス部に供給された止水剤とその止水剤を覆う保護シートとの間の隙間を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法は、(a)電線の中間スプライス部に止水剤を供給する工程と、(b)保護シートで前記中間スプライス部に供給された止水剤を覆う工程と、(c)前記止水剤の表面の変形に追随して前記保護シートを変形させることにより前記止水剤の表面と前記保護シートとを密着させた状態に維持しつつ、前記止水剤を硬化させる工程とを備える。
【0009】
第2の態様は、第1の態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記保護シートとして、前記中間スプライス部に供給された止水剤の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有する保護シートを用いる。
【0010】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記保護シートとして、自己密着性を持つ保護シートを用いる。
【0011】
第4の態様は、第1〜第3のいずれか1つの態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記止水剤は光硬化性を有し、前記保護シートは前記止水剤を硬化させる光を透過可能であり、前記工程(c)で前記止水剤を硬化させる光を照射して前記止水剤を硬化させる。
【0012】
第5の態様は、第1〜第4のいずれか1つの態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記止水剤は、熱硬化性、湿気硬化性、カチオン重合硬化性、アニオン重合硬化性、付加反応硬化性のうちの少なくとも1つが付与された光硬化性樹脂とされている。
【0013】
第6の態様は、第1〜第5のいずれか1つの態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記工程(b)において、周りから力を加えつつ前記保護シートを前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける。
【0014】
第7の態様は、第6の態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記保護シートに張力を加えた状態で前記保護シートを前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける。
【0015】
第8の態様は、第6又は第7の態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、一対のローラで挟込みつつ、前記保護シートを前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける。
【0016】
第9の態様は、第1〜第8のいずれか1つの態様に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、前記工程(b)の途中において、前記保護シートが前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付けられると共に外方に向けて重ね合された状態で引出され、前記保護シートの重ね合せ部分がしごかれるようにして当該重ね合せ部分の止水剤が中間スプライス部に向けて押込まれる。
【0017】
第10の態様に係る電線の止水中間スプライス部は、電線の中間スプライス部と、前記中間スプライス部に供給されて硬化した止水剤と、前記中間スプライス部に供給された止水剤の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有し、前記止水剤の表面に密着した状態で前記止水剤を覆う保護シートとを備える。
【0018】
第11の態様は、第10の態様に係る電線の止水中間スプライス部であって、前記保護シートは自己密着性を持つ保護シートである。
【0019】
第12の態様は、第10又は第11の態様に係る電線の止水中間スプライス部であって、前記止水剤は光硬化性を有し、前記保護シートは前記止水剤を硬化させる光を透過可能である。
【0020】
第13の態様は、第10〜第12のいずれか1つの態様に係る電線の止水中間スプライス部であって、前記止水剤は、熱硬化性、湿気硬化性、カチオン重合硬化性、アニオン重合硬化性、付加反応硬化性のうちの少なくとも1つが付与された光硬化性樹脂とされている。
【発明の効果】
【0021】
第1の態様によると、前記止水剤の表面の変形に追随して前記保護シートを変形させることにより前記止水剤の表面と前記保護シートとを密着させた状態に維持しつつ、前記止水剤を硬化させるため、電線同士を接続した中間スプライス部を止水する際に、当該中間スプライス部に供給された止水剤とその止水剤を覆う保護シートとの間の隙間を抑制することができる。
【0022】
第2の態様によると、前記保護シートとして、前記中間スプライス部に供給された止水剤の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有する保護シートを用いるため、当該中間スプライス部に供給された止水剤とその止水剤を覆う保護シートとの間の隙間を抑制することができる。
【0023】
第3の態様によると、保護シートは自己密着性を持つため、当該保護シートを中間スプライス部及び止水剤周りに巻付ける等して覆うと、当該覆った状態が維持され、作業性に優れる。
【0024】
第4の態様によると、比較的迅速に止水剤を硬化させることができる。
【0025】
第5の態様によると、光が当らない内部でも、止水剤を硬化させることができる。
【0026】
第6の態様によると、止水剤が電線間に進入しやすくなるため、電線間における止水をより確実に行うことができる。
【0027】
第7の態様によると、前記保護シートに張力を加えることで、周りから力を加えつつ前記保護シートを巻くことができる。
【0028】
第8の態様によると、一対のローラが挟込む力によって、周りから力を加えつつ前記保護シートを巻くことができる。
【0029】
第9の態様によると、前記保護シートが前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付けられると共に外方に向けて重ね合された状態で引出されており、保護シートの重ね合せ部分がしごかれるようにして当該重ね合せ部分の止水剤が中間スプライス部に向けて押込まれるため、中間スプライス部に所期の止水剤を供給することができ、止水性能が安定する。
【0030】
第10の態様によると、前記止水剤の表面の変形に追随して前記保護シートを変形させることにより前記止水剤の表面と前記保護シートとを密着させた状態に維持しつつ、前記止水剤が硬化している。このため、電線同士を接続した中間スプライス部を止水する際に、当該中間スプライス部に供給された止水剤とその止水剤を覆う保護シートとの間の隙間を抑制することができる。
【0031】
第11の態様によると、保護シートは自己密着性を持つため、当該保護シートを中間スプライス部及び止水剤周りに巻付ける等して覆うと、当該覆った状態が維持され、作業性に優れる。
【0032】
第12の態様によると、比較的迅速に止水剤を硬化させることができる。
【0033】
第13の態様によると、光が当らない内部でも、止水剤を硬化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態に係る電線の止水中間スプライス部を示す斜視図である。
【図2】電線の止水中間スプライス部の製造方法を示す説明図である。
【図3】電線の止水中間スプライス部の製造方法を示す説明図である。
【図4】電線の止水中間スプライス部の製造方法を示す説明図である。
【図5】電線の止水中間スプライス部の製造方法を示す説明図である。
【図6】電線の止水中間スプライス部の製造方法を示す説明図である。
【図7】電線の止水中間スプライス部の製造方法を示す説明図である。
【図8】周りから力を加えつつ保護シートを中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける状態を示す説明図である。
【図9】保護シートの重ね合せ部分をしごく状態を示す説明図である。
【図10】保護シートの重ね合せ部分をしごく状態を示す説明図である。
【図11】保護シートの重ね合せ部分をしごく状態を示す説明図である。
【図12】止水剤が硬化する際の止水剤と保護シートとの状態を示す説明図である。
【図13】止水剤が硬化する際の止水剤と保護シートとの状態を示す説明図である。
【図14】巻付け装置を示す平面図である。
【図15】巻付け装置を示す側面図である。
【図16】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図17】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図18】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図19】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図20】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図21】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図22】巻付け装置を示す平面図である。
【図23】巻付け装置を示す側面図である。
【図24】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図25】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図26】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図27】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【図28】同上の巻付け装置による巻付け動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、実施形態に係る電線の止水中間スプライス部の製造方法及び電線の止水中間スプライス部について説明する。
【0036】
<電線の止水中間スプライス部>
まず、電線の止水中間スプライス部について説明する。図1は電線の止水中間スプライス部10を示す斜視図である。この電線の止水中間スプライス部10は、電線の中間スプライス部20と、止水剤40と、保護シート30とを備えている。
【0037】
中間スプライス部20は、電線22の長手方向中間部において部分的に被覆部24を除去して芯線部26を露出させ、この芯線部26に他の電線22の芯線部26を接合したものである。他の電線22の芯線部26は、当該電線22の長手方向中間部において露出しているものであってもよいし、当該電線22の端部に露出しているものであってもよい。ここでは、後者の例で説明する。また、電線22は複数本であればよい。芯線部26同士の接合は、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ溶接等により、又は、中間圧着端子を圧着すること等により行われる。
【0038】
止水剤40は、上記中間スプライス部20周り、特に、中間スプライス部20に露出する芯線部26の外周表面と、電線22の長手方向において芯線部26の前後の被覆部24の外周表面に行渡るように供給されている。特に、止水剤40は、露出した芯線部26の長手方向において両側で、複数の電線22の被覆部24間に充填状に行渡るように供給されていることが好ましい。この止水剤40は、中間スプライス部20に供給される段階では、上記のように中間スプライス部20の各部に行渡ることができる程度の流動性、及び、供給された状態をある程度維持できる粘性を有する液状である。そして、止水剤40が中間スプライス部20に供給された後、硬化する。
【0039】
この止水剤40としては、上記のような流動性、粘性を有する液状で塗布した後に硬化可能な各種硬化型樹脂を用いることができる。かかる硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、硬化性樹脂として、例えば、湿気硬化性シリコーンに代表される湿気硬化性樹脂を用いることもできる。さらに、硬化性樹脂として、例えば、光開始剤を有し、ウレタンアクリレート、シリコーンアクリレート及びエポキシアクリレートなどのアクリレートオリゴマーとアクリレートモノマーを主組成物とするUV(ultraviolet)硬化性樹脂等の光硬化性樹脂も用いることができる。短時間で止水剤40を硬化させて止水中間スプライス部10を形成する形成する観点からは、光硬化性樹脂(通常は、UV硬化性樹脂)を用いることが好ましい。本実施形態では、止水剤としてUV硬化性樹脂を用いた例で説明する。
【0040】
また、止水剤40の粘度は、樹脂吐出後、横流れがしにくく、外部からの応力をうけると流動するといったバランスがとれた粘度領域とすることが好ましく、例えば、10Pa・s〜100Pa・sの範囲とするのが好ましい。
【0041】
また、多数の電線22を含む止水中間スプライス部10を形成する場合には、外部より照射されたUV光が多数の電線22によって遮られるため、電線22間に進入した止水剤40がUV光照射に対して暗部となってしまう。そこで、UV硬化性樹脂を用いる場合でも、UV光に当らなくとも硬化する性質を併せ持つUV硬化性樹脂を用いることが好ましい。UV硬化性樹脂がUV硬化の他に併せ持つ性状としては、熱硬化、湿気硬化、カチオン重合硬化、アニオン重合硬化及び付加反応などその他の反応硬化の性状の少なくとも1つを挙げることができる。例えば、特開2010−150517号公報で開示されている組成の加熱硬化性付与UV硬化樹脂を高粘度に調整したものが好ましい。また、(潜在性の)熱硬化開始剤のアミン化合物とエポキシ樹脂の配合を含む熱硬化性付与UV樹脂を高粘度に調整したものも好適である。また、特開2010−154733号公報に開示されている2液混合時に常温で反応性を有するUV硬化型樹脂を高粘度に調整したものを用いることもできる。
【0042】
保護シート30は、中間スプライス部20に供給されて硬化した止水剤40の表面に密着した状態で、少なくとも当該止水剤40を覆っている。この保護シート30が止水剤40を覆う態様例については後述する。また、この保護シート30は、中間スプライス部20に供給された止水剤40の表面の変形に追随して変形可能な程度の柔軟性を有している。すなわち、中間スプライス部20に供給された止水剤40は、硬化するまでの間に、収縮し、或は、露出した芯線部26或は電線22間に進入しようとする。このため、止水剤40の表面は、供給直後の状態よりも凹んでしまうことがある。この場合に上記保護シート30は、止水剤40の表面の形状変化に追随して凹凸変形する。これにより、止水剤40の表面と保護シート30の密着性が維持され、それらの間の隙間の発生が抑制される。
【0043】
また、保護シート30は、当該保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40に巻付ける際に、それらの外周囲にぴったりと密着できるように適度な伸縮性を有していることが好ましい。
【0044】
さらに、保護シート30は、保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40に巻付ける途中及び巻付けた後の状態で、当該巻付状態を維持できるように、自己密着性を有していることが好ましい。ここで、自己密着性とは、保護シート30を重ね合せると、他の接着剤、粘着剤等が無くとも、自己の粘着性、融着性等によって重ね合せ密着状態(例えば、保護シート30を中間スプライス部20に巻付けた状態を維持できる程度の密着状態)が維持される性質をいう。具体的には、保護シート30としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン及びポリフッ化ビニリデンなどのオレフィン系樹脂のラップシート、或は、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどの汎用樹脂のラップシートを挙げることができる。保護シート30としては、特に自己密着(粘着)のよいポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂のシートが好適である。また、本来は自己密着性に乏しい樹脂シートの場合でも、適切な可塑剤や粘着剤を含有させることにより、所謂、粘着シートにして適用することもできる。
【0045】
また、保護シート30の望ましい剛性性状は、ラップされる対象が粘性液体も含むこと、硬化時の止水剤40の表面形状変形への対応のため、形状がしなやかにラップ対象に追随変化し、適度な伸びを有することである。保護シート30としては、厚みが少なくとも200μm以下の薄肉領域のしなやかなシートがよく、望ましくは10〜100μmのものが好ましい。望ましいヤング率(JIS−K7113に準じた測定方向における室温での値)は、厚みが10〜50μmとより薄い場合は500〜50MPaの範囲、厚みが50〜100μmの場合は、50〜10MPaである。厚みが100μmを超える場合は、ヤング率(JIS−K7113に準じた測定方向における室温での値)は10MPa未満とするのが好ましい。また、シートの伸びは少なくとも20%以上、望ましくは50%以上、更に望ましくは100%以上である。自己密着性については、剥離粘着力(JIS−Z0237に準じた測定方法における室温での値)が、0.5N/m〜10N/mの範囲であることが好ましい。これは、自己粘着力が弱すぎると、ラップ後の形状が維持しづらくなり外部の空気が侵入してしまい、また、自己粘着力が強すぎるとラップ後に内部の樹脂液と密接させながらラップを絞ったり、押え込んだりするのが困難になり空気がラップ内に残存してしまうので、これらを避けるためである。
【0046】
また、止水剤40として光硬化性樹脂を用いる場合には、保護シート30としては、止水剤40を硬化させる光を透過可能なものであることが好ましい。つまり、止水剤40としてUV硬化性樹脂を用いる場合、保護シート30は高いUV透過率を有していることが好ましく、また、薄膜のものであることが好ましい。保護シート30のUV透過率は、例えば、50%以上であることが好ましく、さらに90%以上であることがより好ましい。
【0047】
このように構成された電線の止水中間スプライス部10によると、止水剤40の表面の変形に追随して保護シート30を変形させることにより止水剤40の表面と保護シート30とを密着させた状態に維持しつつ、止水剤40が硬化している。このため、電線22同士を接続した中間スプライス部20を止水する際に、中間スプライス部20に供給されて硬化した止水剤40とその止水剤40を覆う保護シート30との間の隙間を抑制することができる。これにより、隙間の発生による止水剤の被覆厚みのばらつきを抑制して、硬化した止水剤40の被覆厚みをなるべく均一化することができる。また、硬化した止水剤40と保護シート30との間に液が貯まり難くなり、本止水中間スプライス部10の劣化を抑制することができる。
【0048】
また、保護シート30が自己密着性を有していると、保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付ける等して覆う際に、当該覆った状態が維持される。このため、巻付作業等を容易に行うことができ、作業性に優れる。
【0049】
しかも、保護シート30自体は、中間スプライス部20の形状に合わせた適宜幅のものを選択して中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付ければよい。このため、様々なサイズの中間スプライス部20に容易に対応でき、部品管理が簡易となり、管理コストが低くなる。
【0050】
また、止水剤40として光硬化性樹脂を用いると、中間スプライス部20に止水剤40を供給して保護シート30を巻付けた後、当該止水剤40に光を照射することで止水剤40を比較的迅速に硬化させることができる。このため、止水剤40が硬化するまで長時間静置して末必要が無く、止水剤40を供給して保護シート30を巻付けた後、比較的早期に止水中間スプライス部10を次の工程に搬送する等の取扱いを実施できる。換言すれば、止水剤40を供給して保護シート30を巻付けた後、早期に止水中間スプライス部10を動かしても、止水剤40の充填状態が変ってしまって止水性能が損われてしまうといった事態を抑制できる。
【0051】
<電線の止水中間スプライス部の製造方法>
以下、電線の止水中間スプライス部10の製造方法について説明する。なお、以下では、止水剤40がUV硬化性樹脂であり、保護シート30は、適切な柔軟性、自己密着性、伸縮性、UV透過性等を有するものとして説明する。もっとも、それらの性質は、製造上問題なければ、必ずしも必須ではない。
【0052】
まず、図2に示すように、少なくとも中間スプライス部20を被覆できる程度の大きさの保護シート30を広げ、当該保護シート30上に止水剤40を供給する。止水剤40は保護シート30の中央部に吐出されることが好ましい。止水剤40は、一定量ずつ吐出可能な吐出装置のノズル60から一定量吐出されることが好ましい。
【0053】
次に、図3に示すように、保護シート30上に吐出された止水剤40上に中間スプライス部20を載置する。
【0054】
これらの図2及び図3に示す作業によって、電線22の中間スプライス部20に止水剤40が供給される(工程(a))。もっとも、上記例に限られず、中間スプライス部20に止水剤40が供給されればよい。例えば、図4に示すように、保護シート30上に中間スプライス部20を載置し、その上にノズル60から止水剤40を吐出してもよい。
【0055】
次に、図5〜図6に示すように、保護シート30で中間スプライス部20及びそこに供給された止水剤40を覆う(工程(b))。
【0056】
ここでは、まず、図5に示すように、保護シート30を二つ折りにして、保護シート30の中間部が中間スプライス部20及び止水剤40に巻付けられると共に両端部が外方に向けて重ね合された状態で引出されるようにする。なお、保護シート30の重ね合せ部分は、自己密着性によって状態維持されている。
【0057】
この際、図8に示すように、周りから力を加えつつ保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けることが好ましい。これにより、中間スプライス部20の外周周りに局所的に存在していた止水剤40が押出されて中間スプライス部20の外周部と保護シート30との間に行渡り、中間スプライス部20の外周囲全体を覆うようになると共に、止水剤40が芯線部26間及び電線22間にも押出されてそれらの隙間を埋めることとなるからである。
【0058】
また、保護シート30を二つ折りにした後、図9〜図11に示すように、保護シート30の重ね合せ部分をしごくようにして当該重ね合せ部分の止水剤40を中間スプライス部20に向けて押込むようにすることが好ましい。ここでは、保護シート30の重ね合せ部分を板上に載置し、重ね合せ部分を板と丸棒状部材62との間に挟込んだ状態で、丸棒状部材62を重ね合せ部分の端縁部から中間スプライス部20に向けて移動させることで、絞り上げるようにして、止水剤40を中間スプライス部20に向けて押込んでいる。この際、混入した気泡を止水剤40の外に逃すこともできる。これにより、供給された止水剤40がより確実に中間スプライス部20周りを覆うこととなる。
【0059】
上記のように保護シート30を二つ折りにして中間スプライス部20を覆った後、図6に示すように、保護シート30の重ね合せ部分を中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付ける。巻付状態で、保護シート30の自己密着性によって維持される。
【0060】
次に、図7に示すように、UV光照射装置64からのUV光を、保護シート30を透過させて止水剤40に照射する。これにより、止水剤40が硬化する。ここで、図12は保護シート30を巻付けた直後の状態を示しており、図13は止水剤40の硬化が進んだ状態を示している。これらの図に示すように、中間スプライス部20に供給された止水剤40は、硬化するまでの間に、収縮し、或は、露出した芯線部26或は電線22間に進入しようとすること等が原因で、止水剤40の表面が凹んでしまうことがある。この場合に上記保護シート30は、止水剤40の表面の形状変化に追随して凹凸変形する(図13の2点鎖線参照)。これにより、止水剤40の表面と保護シート30の密着性が維持され、それらの間の隙間の発生が抑制される。
【0061】
以上のようにこの電線の止水中間スプライス部10の製造方法によると、止水剤40の表面の変形に追随して保護シート30を変形させることにより止水剤40の表面と保護シート30とを密着させた状態に維持しつつ、止水剤40を硬化させるため、電線22同士を接続した中間スプライス部20を止水する際に、中間スプライス部20に供給された止水剤40とその止水剤40を覆う保護シート30との間の隙間を抑制することができる。
【0062】
また、保護シート30は自己密着性を有するため、保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付ける等として覆うと、当該覆った状態が維持されるため、作業性に優れる。
【0063】
また、周りから力を加えつつ保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けるため、止水剤が止水剤40周りに分散し、また、電線22間に進入しやすくなるため、止水をより確実に行うことができる。
【0064】
さらに、保護シート30を二つ折りにした後、保護シート30の重ね合せ部分をしごくようにして当該重ね合せ部分の止水剤40を中間スプライス部20に向けて押込でいるため、供給した所期量の止水剤40が中間スプライス部20周りに集中され、また、電線22間に進入しやすくなるため、この点からも、止水をより確実に行うことができる。
【0065】
<巻付け方法例1>
上記製造方法のうち周りから力を加えつつ保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付ける工程に着目して説明する。
【0066】
まず、巻付け方法例1では、保護シート30に張力を加えた状態で保護シート30を中間スプライス部20及び中間スプライス部20に供給された止水剤40に巻付ける例について説明する。
【0067】
まず、この巻付け方法例1で用いる巻付け装置102について説明する。図14は巻付け装置102を示す平面図であり、図15は巻付け装置102を示す側面図である。
【0068】
この巻付け装置102は、シート供給部110と、中継固定テーブル120と、固定テーブル130と、可動テーブル140と、電線固定部160とを備えている。
【0069】
より具体的には、基台104上にシート供給部110と、中継固定テーブル120と、固定テーブル130と、可動テーブル140とがこの順で直線状に並んで配設されている。中継固定テーブル120と、固定テーブル130と、可動テーブル140とは同じ高さ位置に配設され、また、シート供給部110から供給される保護シート30も可及的に固定テーブル130と同じ高さ位置で保護シート30を供給できるようになっている。
【0070】
固定テーブル130は、保護シート30の幅寸法よりも大きな長さ寸法を有する長尺板状に形成されており、基台104上に脚部138を介して略水平姿勢で固定されている。
【0071】
この固定テーブル130の一方側の長辺より離れた位置にシート供給部110が設けられている。シート供給部110は、可動部112上に一対の支持板114が立設され、一対の支持板114間に支持軸部116が略水平姿勢で支持されている。そして、保護シート30を巻回収容した保護シートロール38に支持軸部116が挿通されることにより、保護シートロール38が、保護シート30を引出可能に支持されている。また、このシート供給部110はスライダ118によって上記固定テーブル130に対して接近離隔移動可能に支持されている。また、付勢部材としてのコイルバネ119が基台104の外方に延出する延出部119aと可動部112との間に引張った状態で取付けられている。このコイルバネ119によって保護シートロール38が固定テーブル130から遠ざかる方向に付勢されている。
【0072】
また、中継固定テーブル120は、シート供給部110と固定テーブル130との間で、脚部128によって基台104上に支持されている。この中継固定テーブル120上には対向挟持部材124が着脱可能に配設される。対向挟持部材124は、自己の重さ、或は、自己と中継固定テーブル120との間の磁力等を利用した挟込み力によって、中継固定テーブル120と対向挟持部材124との間で保護シート30を挟込んで支持できるようになっている。
【0073】
なお、中継固定テーブル120と固定テーブル130との間には隙間が設けられており、この間で保護シート30を容易に切断できるようにすることが好ましい。この場合、上記対向挟持部材124等に当該隙間を走行可能な刃を有する切断機構126を設けておくことが好ましい。
【0074】
可動テーブル140は、上記固定テーブル130に対してヒンジ部136を介して支持されており、固定テーブル130に対して水平な状態で連なるセット姿勢と、固定テーブル130と可動テーブル140との間の支軸周りに回転して固定テーブル130の上方に対向配置される重ね合せ姿勢との間で姿勢変更可能とされている。なお、可動テーブル140下方の脚部148は、セット姿勢における可動テーブル140を載置状に支える役割を有している。なお、ヒンジ部136は、固定テーブル130と可動テーブル140との間の両端部に位置しており、その中間部はスリット状に開口している。
【0075】
また、可動テーブル140のうち固定テーブル130とは反対側の側面には、挟持部材144が着脱可能に取付けられている。この挟持部材144は、可動テーブル140に対する磁力等を利用した挟込み力によって、可動テーブル140と挟持部材144との間で保護シート30を挟込んで支持できるようになっている。
【0076】
また、固定テーブル130の上面のうち可動テーブル140に近い側部及び可動テーブル140のうち固定テーブル130に近い側の側部に、長尺弾性部材134(例えば、スポンジ等)が両面テープ等によって固定されている。
【0077】
さらに、上記固定テーブル130と可動テーブル140との間の外方延長部分には、中間スプライス部20の外方の電線22を支持する電線22を支持する電線支持部160が設けられている。ここでは、電線支持部160として上端部に開口するU字状治具を用いている。
【0078】
この巻付け装置102を用いた巻付け作業例について説明する。まず、シート供給部110から保護シート30を引出して、中継固定テーブル120、固定テーブル130、可動テーブル140上に載置する。この状態で、中継固定テーブル120と対向挟持部材124との間で保護シート30を挟持固定すると共に、可動テーブル140と挟持部材144との間で保護シート30を挟持固定する。この状態では、中継固定テーブル120と可動テーブル140との間で保護シート30が引張られている。この引張り状態と長尺弾性部材134が保護シート30を上方に持上げる力とが相俟って、保護シート30はより確実に引張られた状態となっている(図16,図17参照)。
【0079】
次に、固定テーブル130と可動テーブル140との間の中央部の位置で、保護シート30上に止水剤40を供給すると共に、中間スプライス部20を載置する(図18参照)。この際、中間スプライス部20の両端の電線22は、電線支持部160によって一定位置に支持されるようにする。
【0080】
この後、セット姿勢の可動テーブル140を固定テーブル130側に起すように回転させる。すると、電線22がヒンジ部136の軸延長上近傍で一定位置に維持されつつ、保護シート30が二つ折り状に中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けられる(図19及び図20参照)。この際、初期状態では、保護シート30が上記のように引張られているので、保護シート30は外周囲から中間スプライス部20に押付けられている。また、途中状態でも、保護シート30の両端部が上記のように支持されると共に、電線22が電線支持部160によって一定位置に維持されつつ、保護シート30が中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けられるので、やはり保護シート30に張力が加えられた状態で、保護シート30が中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けられる。
【0081】
そして、重ね合せ姿勢まで可動テーブル140を回転させると、一対の長尺弾性部材134の間で保護シート30の延出部分が挟込まれる。これにより、保護シート30が二つ折り状に中間スプライス部20及び止水剤40周りに巻付けられる。
【0082】
この後、上記と同様にして、止水中間スプライス部10を製造することができる。
【0083】
これにより、比較的容易に周りから力を加えつつ保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40に巻付けることができる。
【0084】
<巻付け方法例2>
巻付け方法例2では、一対のローラで挟込みつつ、保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40に巻付ける例について説明する。
【0085】
まず、この巻付け方法例2で用いる巻付け装置202について説明する。図22は巻付け装置202を示す平面図であり、図23は巻付け装置202を示す側面図である。
【0086】
この巻付け装置202は、シート供給部210と、基台220と、一対のローラ230と、電線移動機構部240とを備えている。
【0087】
基台220は、一対の側板部222と天板部226とを有している。天板部226にはその天板部226の両端部に貫通するスリット状の開口227が形成されている。一対の側板部222には、開口227の両端部に連続するように上方に開口する側方溝223(ここでは有底の溝)が形成されている。開口227及び側方溝223は、中間スプライス部20及び複数の電線22を挿通可能な幅に形成されている。
【0088】
基台220の一側方にシート供給部210が設けられている。シート供給部210は、保護シート30を巻回収容した保護シートロール38を支持可能に構成されており、当該保護シートロールより供給された保護シート30が、上記開口227と略直交する方向に引出され、天板部226上に載置可能とされている。
【0089】
一対のローラ230は、軸部232周りにスポンジ等の弾性ローラ部材234を配設した部材であり、一対の側板部222間で、一対の側方溝223を結ぶ空間を挟むように設けられている。軸部232の両端部は一対の側板部222の内面部分に回転可能に支持されている。また、一対のローラ230は、互いに接触するように配設されている。そして、中間スプライス部20の両端部の電線22を、一対の側方溝223に沿って移動させつつ下方に移動させると、中間スプライス部20が一対のローラ230によって挟込まれ、当該一対のローラ230を回転させつつ下方に移動するようになっている。一対のローラ230は、必ずしも接触している必要はない。また、一対のローラ230は、表面部分が中間スプライス部20の周辺形状に応じて弾性変形し、当該周辺部分に力を加えることが可能な弾性を有していればよい。
【0090】
電線移動機構部240は、電線把持部242と、介在支持部244と、駆動部248とを有している。
【0091】
介在支持部244は、略L字状の部材に形成されており、その一端部を側方溝223に沿った姿勢に配設すると共に、他端部を基台220の外側方(シート供給部210とは反対側の外側方)に延出させた姿勢で、側板部222の外面でガイド部材245によって移動可能に支持されている。
【0092】
電線把持部242は、一対の把持爪242aを有しており、電磁的な作用を利用した所謂電磁チャック等によって電線22を把持及び把持解除可能に構成されている。この電線把持部242は、介在支持部244の一端部に取付けられており、当該電線把持部242の昇降移動に伴って、側方溝223の外側方で当該側方溝223に沿って昇降移動可能とされている。
【0093】
駆動部248は、基台104の側部(シート供給部210とは反対側の側部)に取付けられたエアシリンダ、油圧シリンダ等のリニアアクチュエータによって構成されている。この駆動部248は、下方に向けて進退駆動可能なロッド部248aを有しており、当該ロッド部248aが介在支持部244の他端部に連結されている。そして、駆動部248の駆動によって電線把持部242及び介在支持部244が昇降駆動されるようになっている。
【0094】
電線把持部242及び駆動部248の動作は、別途設けられた操作用のスイッチによって操作されてもよいし、制御用のコントローラ等によって制御されてもよい。
【0095】
この巻付け装置202を用いた巻付け作業例について説明する。まず、シート供給部210から保護シート30を引出して所定長に切断した後、切断された保護シート30を天板部226上に載置する。この際、保護シート30の中間部に開口227が配設されるようにする。続いて、開口227の位置で保護シート30上に止水剤40を供給すると共に、中間スプライス部20を載置する(図24参照)。
【0096】
この後、開口227の外方延長位置で、電線把持部242の駆動により一対の把持爪242a間で電線22を把持する。その後、駆動部248の駆動により電線22を側方溝223に沿って下方に移動させる。すると、中間スプライス部20が保護シート30によって二つ折り状に挟込まれつつ一対のローラ230間に挟込まれる(図25参照)。この際、弾性ローラ部材234は、中間スプライス部20の周辺部分の形状に応じて弾性変形しつつ、中間スプライス部20、止水剤40及び保護シート30を挟込む。これにより、周りから力が加えられつつ保護シート30が中間スプライス部20及び止水剤40に巻付けられることとなる。
【0097】
中間スプライス部20の周辺部分が一対のローラ230を下方に抜出ると、保護シート30の重ね合せ部分が一対のローラ230によって挟込まれる(図26参照)。
【0098】
この後、図27及び図28に示すように、止水剤40押込用の一対の棒状部材70で挟込んだ状態で当該一対の棒状部材70を中間スプライス部20に向けて移動させることで、止水剤40をより確実に中間スプライス部20に向けて押込むことが好ましい。
【0099】
この後、上記と同様にして、止水中間スプライス部10を製造することができる。
【0100】
これにより、比較的容易に周りから力を加えつつ保護シート30を中間スプライス部20及び止水剤40に巻付けることができる。
【0101】
なお、本例において、保護シート30の両端部をある程度の力で引張った状態で中間スプライス部20を一対のローラ230間に通してもよい。
【0102】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
【符号の説明】
【0103】
10 止水中間スプライス部
20 中間スプライス部
22 電線
30 保護シート
40 止水剤
62 丸棒状部材
64 光照射装置
70 棒状部材
138 脚部
230 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)電線の中間スプライス部に止水剤を供給する工程と、
(b)保護シートで前記中間スプライス部に供給された止水剤を覆う工程と、
(c)前記止水剤の表面の変形に追随して前記保護シートを変形させることにより前記止水剤の表面と前記保護シートとを密着させた状態に維持しつつ、前記止水剤を硬化させる工程と、
とを備える電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記保護シートとして、前記中間スプライス部に供給された止水剤の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有する保護シートを用いる、止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記保護シートとして、自己密着性を持つ保護シートを用いる、止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記止水剤は光硬化性を有し、
前記保護シートは前記止水剤を硬化させる光を透過可能であり、
前記工程(c)で前記止水剤を硬化させる光を照射して前記止水剤を硬化させる、電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記止水剤は、熱硬化性、湿気硬化性、カチオン重合硬化性、アニオン重合硬化性、付加反応硬化性のうちの少なくとも1つが付与された光硬化性樹脂である、電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記工程(b)において、周りから力を加えつつ前記保護シートを前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける、電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項7】
請求項6記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記保護シートに張力を加えた状態で前記保護シートを前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける、電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
一対のローラで挟込みつつ、前記保護シートを前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付ける、電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1つに記載の電線の止水中間スプライス部の製造方法であって、
前記工程(b)の途中において、前記保護シートが前記中間スプライス部に供給された止水剤に巻付けられると共に外方に向けて重ね合された状態で引出され、前記保護シートの重ね合せ部分がしごかれるようにして当該重ね合せ部分の止水剤が中間スプライス部に向けて押込まれる、電線の止水中間スプライス部の製造方法。
【請求項10】
電線の中間スプライス部と、
前記中間スプライス部に供給されて硬化した止水剤と、
前記中間スプライス部に供給された止水剤の表面の変形に追随して変形可能な柔軟性を有し、前記止水剤の表面に密着した状態で前記止水剤を覆う保護シートと、
を備える電線の止水中間スプライス部。
【請求項11】
請求項10記載の電線の止水中間スプライス部であって、
前記保護シートは自己密着性を持つ保護シートである、電線の止水中間スプライス部。
【請求項12】
請求項10又は11記載の電線の止水中間スプライス部であって、
前記止水剤は光硬化性を有し、
前記保護シートは前記止水剤を硬化させる光を透過可能である、電線の止水中間スプライス部。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1つに記載の電線の止水中間スプライス部であって、
前記止水剤は、熱硬化性、湿気硬化性、カチオン重合硬化性、アニオン重合硬化性、付加反応硬化性のうちの少なくとも1つが付与された光硬化性樹脂である、電線の止水中間スプライス部。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−80633(P2012−80633A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222003(P2010−222003)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】