電線・ケーブル被覆用難燃性組成物および電線・ケーブル
【課題】水酸化アルミニウムを難燃剤として用いたハロゲンフリーの電線・ケーブル被覆用難燃性組成物の水酸化アルミニウムに起因する、電線・ケーブルの品質の均一性低下や外観不良の発生を抑制する。
【解決手段】電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、ノンハロゲン難燃性組成物であって、（Ａ）ポリオレフィン８０〜９５質量％および（Ｂ）ポリアクリル酸ナトリウム架橋体５〜２０質量％からなるベースポリマー１００質量部に対し、（Ｃ）水酸化アルミニウム４０〜１２０質量部を含有する。また、電線・ケーブルは、そのような組成物からなる被覆を有する。
【解決手段】電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、ノンハロゲン難燃性組成物であって、（Ａ）ポリオレフィン８０〜９５質量％および（Ｂ）ポリアクリル酸ナトリウム架橋体５〜２０質量％からなるベースポリマー１００質量部に対し、（Ｃ）水酸化アルミニウム４０〜１２０質量部を含有する。また、電線・ケーブルは、そのような組成物からなる被覆を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ハロゲンフリーで、高い難燃性を有する電線・ケーブル被覆用難燃性組成物およびこれを用いた電線・ケーブルに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、電線・ケーブル分野においては、環境への負荷を低減するため、焼却時にハロゲン化水素などの有害なガスを発生するポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）やハロゲン系難燃剤を配合した組成物に代えて、ポリオレフィンなどのハロゲンを含まないポリマーをベースポリマー成分とし、これに水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を難燃剤として多量に添加した、いわゆるハロゲンフリーの難燃性組成物を被覆材料として用いた電線・ケーブルが使用されるようになってきた（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
このような電線・ケーブル被覆用のハロゲンフリーの難燃性組成物において、難燃剤として一般に使用されているのは、上記のように水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムであり、なかでも水酸化マグネシウムが多用されている。これは、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが、難燃性付与効果が高いうえに、安価で入手も容易であるといった理由からであり、なかでも水酸化マグネシウムが多用されているのは、水酸化アルミニウムの脱水分解温度が２００℃付近であるのに対し、水酸化マグネシウムは３３０℃付近と高いからである。すなわち、水酸化アルミニウムを使用した場合には、電線・ケーブル製造時に脱水分解を起こし、生じた水分が被覆上に析出して発泡し、品質の均質性や外観を損なうおそれがあるのに対し、水酸化マグネシウムでは分解温度が高いためそれらの問題が発生するおそれはないからである。
【０００４】
しかし、電線・ケーブルの電気特性や機械特性、難燃性における水酸化マグネシウムなどとの併用効果などの点からも、水酸化アルミニウムに対するニーズは依然としてある。このため、水酸化アルミニウムを難燃剤と使用しても、品質の均質性や外観が損なわれることのないハロゲンフリーの難燃性組成物、また、そのような組成物を用いた電線・ケーブルが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２０００−２３９４５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、水酸化アルミニウムを難燃剤として用いたハロゲンフリーの難燃性組成物であって、難燃性に優れ、かつ電線・ケーブルの品質の均一性や外観を損なうことのない電線・ケーブル被覆用難燃性組成物、およびこのような難燃性組成物を用いた電線・ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、吸水性樹脂として知られるポリアクリル酸ナトリウム架橋体を特定の割合で配合することにより、難燃性が良好で、かつ電線・ケーブルの品質の均一性や外観を損なうことないハロゲンフリーの難燃性組成物、およびこれを用いた電線・ケーブルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、本発明の第１の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、ノンハロゲン難燃性組成物であって、（Ａ）ポリオレフィン８０〜９５質量％および（Ｂ）ポリアクリル酸ナトリウム架橋体５〜２０質量％からなるベースポリマー１００質量部に対し、（Ｃ）水酸化アルミニウム４０〜１２０質量部を含有する含有することを特徴とするものである。
【０００９】
本発明の第２の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１の態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記ベースポリマー１００質量部に対する（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムの含有量が５０〜８０質量部であることを特徴とするものである。
【００１０】
本発明の第３の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１または第２の態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の含有量が５〜１５質量％であることを特徴とするものである。
【００１１】
本発明の第４の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１乃至第３のいずれかの態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウムの含有量が８〜１２質量％であることを特徴とするものである。
【００１２】
本発明の第５の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１乃至第４のいずれかの態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、粒径が１１０μｍ以下の粒子からなることを特徴とするものである。
【００１３】
本発明の第６の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第５の態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、平均粒径が２０〜３０μｍの粒子からなることを特徴とするものである。
【００１４】
本発明の第７の態様の電線・ケーブルは、第１乃至第６のいずれかの電線・ケーブル被覆用難燃性組成物からなる被覆を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、水酸化アルミニウムが難燃剤として用いられたハロゲンフリーの難燃性組成物であって、優れた難燃性を有するとともに、電線・ケーブルの品質の均一性や外観を損なうこともない電線・ケーブル被覆用難燃性組成物、およびそのような難燃性組成物を用いた電線・ケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の電線・ケーブルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【００１８】
まず、本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物について説明する。
【００１９】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物のベースポリマーとして使用される（Ａ）成分のポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、中密度ポリエチレン（ＭＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、超低密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ）、直鎖状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）などのポリエチレン；ポリプロピレン（ＰＰ）；ポリイソブチレン；エチレンに、プロピレン、１−ブテン、１−ペンテン、１−ヘキセン、１−ヘプテン、１−オクテン、１−ノネン、１−デセン、１−ウンデセン、１−ドデセン、１−トリデセン、１−テトラデセン、１−ペンタデセン、１−ヘキサデセン、１−ヘプタデセン、１−ノナデセン、１−エイコセン、４−メチル−１−ペンテンなどのα−オレフィンを共重合させたエチレン・α−オレフィン共重合体；エチレンに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのビニルエステルを共重合させたエチレン・ビニルエステル共重合体；エチレンに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ｎ−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸‐２‐エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステルを共重合させたエチレン・アクリル酸エステル共重合体；イソブチレン・イソプレン共重合体などが挙げられる。ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマーのみならず、エチレンとのランダムコポリマーやブロックコポリマー、少量のα−オレフィンとの共重合体なども使用することができる。α−オレフィンとしては、例えば１−ブテン、１−ペンテン、１−ヘキセン、１−オクテン、４−メチル−１−ペンテンなどが挙げられる。プロピレン・αオレフィン共重合体には、非共役ポリエンがさらに共重合されていてもよい。非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン、１，４−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどが挙げられる。これらは１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。
【００２０】
ケーブル被覆材料として一般に使用されており、またリサイクルが容易な点で、（Ａ）成分のポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン・酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレン・アクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）などが好ましい。また、それぞれのポリマーをブレンドしてもよい。
【００２１】
また、本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物のベースポリマーとして使用される（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、吸水性樹脂として知られるものである。本発明においては、（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体として、粒径が１１０μｍ以下の粒子からなるものを使用することが好ましい。粒径が１１０μｍ以下の粒子からなるものを使用することにより、（Ａ）成分のポリオレフィンや他の成分との混合作業性が良好となり、組成物中に均一に分散させることができる。また、組成物の機械的強度の観点からは、粒径が１１０μｍ以下で、かつ平均粒径（Ｄ５０）が２０〜３０μｍの範囲であることがより好ましい。なお、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体の粒径、平均粒径は、篩分け法により求めることができる。粒径が１１０μｍ以下で、かつ平均粒径が２０〜３０μｍの範囲にある粒子からなるポリアクリル酸ナトリウム架橋体の市販品を例示すると、例えば住友精化（株）製のアクアキープ１０ＳＨ‐ＮＦ（商品名）などが挙げられる。
【００２２】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物のベースポリマーにおける上記（Ａ）成分および（Ｂ）成分の配合割合は、（Ａ）成分のポリオレフィンが８０〜９５質量％、好ましくは８５〜９５質量％、より好ましくは８８〜９２質量％、（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体が５〜２０質量％、好ましくは５〜１５質量％、より好ましくは８〜１２質量％である。（Ａ）成分のポリオレフィンの配合割合が８０質量％未満になると機械的強度が低下し、また、（Ａ）成分のポリオレフィンの配合割合が９５質量％を超えると、（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の割合が小さくなり、電線・ケーブル製造時の水酸化アルミニウムの脱水分解反応に起因する電線・ケーブルの品質の均質性の低下や外観不良の発生を抑えることができなくなる。
【００２３】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において使用される（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムは、高温に曝されると水を放出し、その際の気化熱で昇温を抑制して難燃効果を発現するものである。水酸化アルミニウムは、ステアリン酸やオレイン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩、あるいはシランカップリング剤などによって表面処理されたものであってもよく、また、表面処理されたものと表面処理されていないものの混合物であってもよい。表面処理された水酸化アルミニウムを使用することにより、ベースポリマーと混練する際の分散性を高めることができる。また、水酸化アルミニウムは、平均粒径が３０μｍ以下であることが好ましく、５μｍ以下であることがより好ましい。平均粒径が３０μｍを超えると、ベースポリマー中に均一に分散されず、十分な難燃性を有する組成物が得られないおそれがある。水酸化アルミニウムの平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【００２４】
この（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムの配合量は、前述したベースポリマー成分である（Ａ）成分および（Ｂ）成分の合計量１００質量部に対して４０〜１２０質量部、好ましくは５０〜８０質量部である。配合量が４０質量部未満では十分な難燃性が得られず、また、逆に１２０質量部を超えると、機械的強度が低下する。
【００２５】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物には、以上の各成分のほか、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、光安定剤、熱老化防止剤、充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、着色剤、安定剤その他の添加剤を配合することができる。
【００２６】
例えば、可塑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸およびそれらの金属塩などが挙げられる。軟化剤としては、鉱物油、ワックス、パラフィン類などが挙げられる。充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミなどが挙げられる。加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸や、これらの塩またはエステル類などが挙げられる。滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。
【００２７】
さらに、上述した水酸化アルミニウム以外の他のノンハロゲン系難燃剤も、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。そのようなノンハロゲン系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物の他、グアニジン系、メラミン系などの窒素系難燃剤、リン酸アンモニウム、赤燐などのリン系難燃剤、リン−窒素系難燃剤、ホウ酸亜鉛などのホウ酸化合物、炭酸カルシウムなどが例示される。
【００２８】
また、上述したポリアクリル酸ナトリウム架橋体以外の吸水性樹脂も、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。そのような吸水性樹脂としては、でんぷん系、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリオキシエチレン系などが例示される。ポリアクリル酸ナトリウム架橋体以外のポリアクリル酸系吸水性樹脂も使用可能である。
【００２９】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、上記したような（Ａ）〜（Ｃ）成分と、必要に応じて配合される前述した各種成分とを、バンバリーミキサ、タンブラー、加圧ニーダ、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混合することにより容易に製造することができる。
【００３０】
また、このようにして得られた本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物を、導体外周に直接もしくは他の被覆を介して押出被覆するか、あるいはテープ状に成形したものを巻き付けることにより、本発明の電線・ケーブルが製造される。組成物は、被覆後もしくは成形後、必要に応じて常法により架橋される。
【００３１】
図１は、本発明の電線・ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。
【００３２】
図１において、１は、例えば断面積が２ｍｍ２からなる銅撚線導体を示し、この銅撚線導体１上には、前述した電線・ケーブル被覆用難燃性組成物を押出被覆することによって例えば厚さ０．９ｍｍの絶縁体２が形成されている。
【００３３】
このように構成される絶縁電線においては、ハロゲンフリーの優れた難燃性を有するとともに、均質で外観も良好な絶縁体を備えることができる。
【００３４】
なお、本発明は以上説明した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができることは言うまでもない。
【実施例】
【００３５】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた成分は以下の通りである。
【００３６】
エチレン・アクリル酸エチル共重合体：
日本ポリエチレン（株）製 商品名 レクスパールＥＥＡ Ａ１１５０
（ＥＡ含有量１５％）
エチレン・酢酸ビニル共重合体：
三井・デュポンポリケミカル（株）製 商品名 エバフレックスＶ５２７４
（ＶＡ含有量１７％）
低密度ポリエチレン：
日本ユニカー（株）製 商品名 ＤＦＤＪ−７５４０
ポリアクリル酸ナトリウム架橋体：
住友精化（株）製 商品名 アクアキープ１０ＳＨ−ＮＦ
（粒径１０６μｍ以下、平均粒径（Ｄ５０）２０〜３０μｍ）
水酸化アルミニウム：
昭和電工（株）製 商品名 ハイジライトＨ４２ＳＴＶ
（平均粒径 １．０μｍ）
【００３７】
（実施例１）
エチレン・アクリル酸エチル共重合体８０質量部、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体２０質量部、および水酸化アルミニウム８５質量部を加圧ニーダを用いて均一に混練して難燃性組成物を得た。
【００３８】
次いで、断面積２ｍｍ２の銅撚線導体上に上記難燃性組成物を０．９ｍｍ厚に押出被覆し（押出温度２００℃）、外径約３．４ｍｍの絶縁電線を製造した。
【００３９】
実施例２〜２４、比較例１〜１８
配合成分および／または配合量を表１乃至表３に示すように変えた以外は、実施例１と同様にして難燃性組成物を得、さらに、得られた難燃性組成物を用いて実施例１と同様にして絶縁電線を製造した。
【００４０】
上記各実施例および各比較例で得られた絶縁電線について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
［外観］
絶縁電線表面を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎：非常に良好（表面発泡なし）
○：良好（表面発泡なし）
×：不良（表面発泡あり）
［水分量］
難燃性組成物を押出直後に、カールフィッシャー法（１５０℃）により、絶縁電線表面に付着した水分量を測定した。
［引張強さ・伸び］
難燃電線から内部の導体を引き抜いて作製した長さ１５０ｍｍの管状試験片について、ＪＩＳ Ｃ ３００５に準拠して、標線５０ｍｍ、引張速度２００ｍｍ／ｍｉｎの条件で測定した。
［難燃性］
絶縁電線から切り出した約３００ｍｍ長さの電線試料について、ＪＩＳ Ｃ ３００５に規定される６０度傾斜燃焼試験を行い、その合否を判定した。
【００４１】
これらの結果を表１乃至表３の下欄に示す。
【００４２】
【表１】
【００４３】
【表２】
【００４４】
【表３】
【００４５】
表１乃至表３から明らかなように、実施例１、９および１７においては、外観および機械的特性においていずれも良好な評価結果が得られた。また、実施例２〜８、１０〜１６および１８〜２４においては、外観が良好で、かつ機械的特性のさらに良好な評価結果が得られた。特に、実施例４、５、１２、１３、２０および２１においては、外観および機械的特性がともに極めて良好であった。
【符号の説明】
【００４６】
１…銅撚線導体、２…被覆。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、ハロゲンフリーで、高い難燃性を有する電線・ケーブル被覆用難燃性組成物およびこれを用いた電線・ケーブルに関する。
【背景技術】
【０００２】
近年、電線・ケーブル分野においては、環境への負荷を低減するため、焼却時にハロゲン化水素などの有害なガスを発生するポリ塩化ビニル（ＰＶＣ）やハロゲン系難燃剤を配合した組成物に代えて、ポリオレフィンなどのハロゲンを含まないポリマーをベースポリマー成分とし、これに水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を難燃剤として多量に添加した、いわゆるハロゲンフリーの難燃性組成物を被覆材料として用いた電線・ケーブルが使用されるようになってきた（例えば、特許文献１参照。）。
【０００３】
このような電線・ケーブル被覆用のハロゲンフリーの難燃性組成物において、難燃剤として一般に使用されているのは、上記のように水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムであり、なかでも水酸化マグネシウムが多用されている。これは、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムが、難燃性付与効果が高いうえに、安価で入手も容易であるといった理由からであり、なかでも水酸化マグネシウムが多用されているのは、水酸化アルミニウムの脱水分解温度が２００℃付近であるのに対し、水酸化マグネシウムは３３０℃付近と高いからである。すなわち、水酸化アルミニウムを使用した場合には、電線・ケーブル製造時に脱水分解を起こし、生じた水分が被覆上に析出して発泡し、品質の均質性や外観を損なうおそれがあるのに対し、水酸化マグネシウムでは分解温度が高いためそれらの問題が発生するおそれはないからである。
【０００４】
しかし、電線・ケーブルの電気特性や機械特性、難燃性における水酸化マグネシウムなどとの併用効果などの点からも、水酸化アルミニウムに対するニーズは依然としてある。このため、水酸化アルミニウムを難燃剤と使用しても、品質の均質性や外観が損なわれることのないハロゲンフリーの難燃性組成物、また、そのような組成物を用いた電線・ケーブルが要望されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００５】
【特許文献１】特開２０００−２３９４５９号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するためになされたもので、水酸化アルミニウムを難燃剤として用いたハロゲンフリーの難燃性組成物であって、難燃性に優れ、かつ電線・ケーブルの品質の均一性や外観を損なうことのない電線・ケーブル被覆用難燃性組成物、およびこのような難燃性組成物を用いた電線・ケーブルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意研究を重ねた結果、吸水性樹脂として知られるポリアクリル酸ナトリウム架橋体を特定の割合で配合することにより、難燃性が良好で、かつ電線・ケーブルの品質の均一性や外観を損なうことないハロゲンフリーの難燃性組成物、およびこれを用いた電線・ケーブルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００８】
すなわち、本発明の第１の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、ノンハロゲン難燃性組成物であって、（Ａ）ポリオレフィン８０〜９５質量％および（Ｂ）ポリアクリル酸ナトリウム架橋体５〜２０質量％からなるベースポリマー１００質量部に対し、（Ｃ）水酸化アルミニウム４０〜１２０質量部を含有する含有することを特徴とするものである。
【０００９】
本発明の第２の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１の態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記ベースポリマー１００質量部に対する（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムの含有量が５０〜８０質量部であることを特徴とするものである。
【００１０】
本発明の第３の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１または第２の態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の含有量が５〜１５質量％であることを特徴とするものである。
【００１１】
本発明の第４の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１乃至第３のいずれかの態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウムの含有量が８〜１２質量％であることを特徴とするものである。
【００１２】
本発明の第５の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第１乃至第４のいずれかの態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、粒径が１１０μｍ以下の粒子からなることを特徴とするものである。
【００１３】
本発明の第６の態様の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、第５の態様である電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において、前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、平均粒径が２０〜３０μｍの粒子からなることを特徴とするものである。
【００１４】
本発明の第７の態様の電線・ケーブルは、第１乃至第６のいずれかの電線・ケーブル被覆用難燃性組成物からなる被覆を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、水酸化アルミニウムが難燃剤として用いられたハロゲンフリーの難燃性組成物であって、優れた難燃性を有するとともに、電線・ケーブルの品質の均一性や外観を損なうこともない電線・ケーブル被覆用難燃性組成物、およびそのような難燃性組成物を用いた電線・ケーブルが提供される。
【図面の簡単な説明】
【００１６】
【図１】本発明の電線・ケーブルの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１７】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【００１８】
まず、本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物について説明する。
【００１９】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物のベースポリマーとして使用される（Ａ）成分のポリオレフィンとしては、例えば、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、中密度ポリエチレン（ＭＤＰＥ）、高密度ポリエチレン（ＨＤＰＥ）、超低密度ポリエチレン（ＶＬＤＰＥ）、直鎖状低密度ポリエチレン（ＬＬＤＰＥ）などのポリエチレン；ポリプロピレン（ＰＰ）；ポリイソブチレン；エチレンに、プロピレン、１−ブテン、１−ペンテン、１−ヘキセン、１−ヘプテン、１−オクテン、１−ノネン、１−デセン、１−ウンデセン、１−ドデセン、１−トリデセン、１−テトラデセン、１−ペンタデセン、１−ヘキサデセン、１−ヘプタデセン、１−ノナデセン、１−エイコセン、４−メチル−１−ペンテンなどのα−オレフィンを共重合させたエチレン・α−オレフィン共重合体；エチレンに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、パーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニルなどのビニルエステルを共重合させたエチレン・ビニルエステル共重合体；エチレンに、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ｎ−ブチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸‐２‐エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸イソブチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチルなどの不飽和カルボン酸エステルを共重合させたエチレン・アクリル酸エステル共重合体；イソブチレン・イソプレン共重合体などが挙げられる。ポリプロピレンは、プロピレンのホモポリマーのみならず、エチレンとのランダムコポリマーやブロックコポリマー、少量のα−オレフィンとの共重合体なども使用することができる。α−オレフィンとしては、例えば１−ブテン、１−ペンテン、１−ヘキセン、１−オクテン、４−メチル−１−ペンテンなどが挙げられる。プロピレン・αオレフィン共重合体には、非共役ポリエンがさらに共重合されていてもよい。非共役ポリエンとしては、例えばジシクロペンタジエン、１，４−ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネンなどが挙げられる。これらは１種を単独で使用してもよく、２種以上を組み合わせて使用してもよい。
【００２０】
ケーブル被覆材料として一般に使用されており、またリサイクルが容易な点で、（Ａ）成分のポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン（ＬＤＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）、エチレン・酢酸ビニル共重合体（ＥＶＡ）、エチレン・アクリル酸エチル共重合体（ＥＥＡ）などが好ましい。また、それぞれのポリマーをブレンドしてもよい。
【００２１】
また、本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物のベースポリマーとして使用される（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、吸水性樹脂として知られるものである。本発明においては、（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体として、粒径が１１０μｍ以下の粒子からなるものを使用することが好ましい。粒径が１１０μｍ以下の粒子からなるものを使用することにより、（Ａ）成分のポリオレフィンや他の成分との混合作業性が良好となり、組成物中に均一に分散させることができる。また、組成物の機械的強度の観点からは、粒径が１１０μｍ以下で、かつ平均粒径（Ｄ５０）が２０〜３０μｍの範囲であることがより好ましい。なお、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体の粒径、平均粒径は、篩分け法により求めることができる。粒径が１１０μｍ以下で、かつ平均粒径が２０〜３０μｍの範囲にある粒子からなるポリアクリル酸ナトリウム架橋体の市販品を例示すると、例えば住友精化（株）製のアクアキープ１０ＳＨ‐ＮＦ（商品名）などが挙げられる。
【００２２】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物のベースポリマーにおける上記（Ａ）成分および（Ｂ）成分の配合割合は、（Ａ）成分のポリオレフィンが８０〜９５質量％、好ましくは８５〜９５質量％、より好ましくは８８〜９２質量％、（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体が５〜２０質量％、好ましくは５〜１５質量％、より好ましくは８〜１２質量％である。（Ａ）成分のポリオレフィンの配合割合が８０質量％未満になると機械的強度が低下し、また、（Ａ）成分のポリオレフィンの配合割合が９５質量％を超えると、（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の割合が小さくなり、電線・ケーブル製造時の水酸化アルミニウムの脱水分解反応に起因する電線・ケーブルの品質の均質性の低下や外観不良の発生を抑えることができなくなる。
【００２３】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物において使用される（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムは、高温に曝されると水を放出し、その際の気化熱で昇温を抑制して難燃効果を発現するものである。水酸化アルミニウムは、ステアリン酸やオレイン酸などの高級脂肪酸またはその金属塩、あるいはシランカップリング剤などによって表面処理されたものであってもよく、また、表面処理されたものと表面処理されていないものの混合物であってもよい。表面処理された水酸化アルミニウムを使用することにより、ベースポリマーと混練する際の分散性を高めることができる。また、水酸化アルミニウムは、平均粒径が３０μｍ以下であることが好ましく、５μｍ以下であることがより好ましい。平均粒径が３０μｍを超えると、ベースポリマー中に均一に分散されず、十分な難燃性を有する組成物が得られないおそれがある。水酸化アルミニウムの平均粒径は、レーザー回折散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
【００２４】
この（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムの配合量は、前述したベースポリマー成分である（Ａ）成分および（Ｂ）成分の合計量１００質量部に対して４０〜１２０質量部、好ましくは５０〜８０質量部である。配合量が４０質量部未満では十分な難燃性が得られず、また、逆に１２０質量部を超えると、機械的強度が低下する。
【００２５】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物には、以上の各成分のほか、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で、可塑剤、軟化剤、酸化防止剤、光安定剤、熱老化防止剤、充填剤、加工助剤、架橋剤、架橋助剤、滑剤、着色剤、安定剤その他の添加剤を配合することができる。
【００２６】
例えば、可塑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸などの脂肪酸およびそれらの金属塩などが挙げられる。軟化剤としては、鉱物油、ワックス、パラフィン類などが挙げられる。充填剤としては、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、ジルコニア、タルク、クレー、マイカ、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化珪素、窒化ホウ素、窒化珪素、窒化アルミなどが挙げられる。加工助剤としては、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸や、これらの塩またはエステル類などが挙げられる。滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系などが挙げられる。
【００２７】
さらに、上述した水酸化アルミニウム以外の他のノンハロゲン系難燃剤も、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。そのようなノンハロゲン系難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物の他、グアニジン系、メラミン系などの窒素系難燃剤、リン酸アンモニウム、赤燐などのリン系難燃剤、リン−窒素系難燃剤、ホウ酸亜鉛などのホウ酸化合物、炭酸カルシウムなどが例示される。
【００２８】
また、上述したポリアクリル酸ナトリウム架橋体以外の吸水性樹脂も、本発明の効果を阻害しない範囲で配合することができる。そのような吸水性樹脂としては、でんぷん系、セルロース系、ポリビニルアルコール系、ポリオキシエチレン系などが例示される。ポリアクリル酸ナトリウム架橋体以外のポリアクリル酸系吸水性樹脂も使用可能である。
【００２９】
本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物は、上記したような（Ａ）〜（Ｃ）成分と、必要に応じて配合される前述した各種成分とを、バンバリーミキサ、タンブラー、加圧ニーダ、混練押出機、ミキシングローラなどの通常の混練機を用いて均一に混合することにより容易に製造することができる。
【００３０】
また、このようにして得られた本発明の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物を、導体外周に直接もしくは他の被覆を介して押出被覆するか、あるいはテープ状に成形したものを巻き付けることにより、本発明の電線・ケーブルが製造される。組成物は、被覆後もしくは成形後、必要に応じて常法により架橋される。
【００３１】
図１は、本発明の電線・ケーブルの一実施形態を示す横断面図である。
【００３２】
図１において、１は、例えば断面積が２ｍｍ２からなる銅撚線導体を示し、この銅撚線導体１上には、前述した電線・ケーブル被覆用難燃性組成物を押出被覆することによって例えば厚さ０．９ｍｍの絶縁体２が形成されている。
【００３３】
このように構成される絶縁電線においては、ハロゲンフリーの優れた難燃性を有するとともに、均質で外観も良好な絶縁体を備えることができる。
【００３４】
なお、本発明は以上説明した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の形態で実施することができることは言うまでもない。
【実施例】
【００３５】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた成分は以下の通りである。
【００３６】
エチレン・アクリル酸エチル共重合体：
日本ポリエチレン（株）製 商品名 レクスパールＥＥＡ Ａ１１５０
（ＥＡ含有量１５％）
エチレン・酢酸ビニル共重合体：
三井・デュポンポリケミカル（株）製 商品名 エバフレックスＶ５２７４
（ＶＡ含有量１７％）
低密度ポリエチレン：
日本ユニカー（株）製 商品名 ＤＦＤＪ−７５４０
ポリアクリル酸ナトリウム架橋体：
住友精化（株）製 商品名 アクアキープ１０ＳＨ−ＮＦ
（粒径１０６μｍ以下、平均粒径（Ｄ５０）２０〜３０μｍ）
水酸化アルミニウム：
昭和電工（株）製 商品名 ハイジライトＨ４２ＳＴＶ
（平均粒径 １．０μｍ）
【００３７】
（実施例１）
エチレン・アクリル酸エチル共重合体８０質量部、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体２０質量部、および水酸化アルミニウム８５質量部を加圧ニーダを用いて均一に混練して難燃性組成物を得た。
【００３８】
次いで、断面積２ｍｍ２の銅撚線導体上に上記難燃性組成物を０．９ｍｍ厚に押出被覆し（押出温度２００℃）、外径約３．４ｍｍの絶縁電線を製造した。
【００３９】
実施例２〜２４、比較例１〜１８
配合成分および／または配合量を表１乃至表３に示すように変えた以外は、実施例１と同様にして難燃性組成物を得、さらに、得られた難燃性組成物を用いて実施例１と同様にして絶縁電線を製造した。
【００４０】
上記各実施例および各比較例で得られた絶縁電線について、下記に示す方法で各種特性を評価した。
［外観］
絶縁電線表面を目視により観察し、下記の基準で評価した。
◎：非常に良好（表面発泡なし）
○：良好（表面発泡なし）
×：不良（表面発泡あり）
［水分量］
難燃性組成物を押出直後に、カールフィッシャー法（１５０℃）により、絶縁電線表面に付着した水分量を測定した。
［引張強さ・伸び］
難燃電線から内部の導体を引き抜いて作製した長さ１５０ｍｍの管状試験片について、ＪＩＳ Ｃ ３００５に準拠して、標線５０ｍｍ、引張速度２００ｍｍ／ｍｉｎの条件で測定した。
［難燃性］
絶縁電線から切り出した約３００ｍｍ長さの電線試料について、ＪＩＳ Ｃ ３００５に規定される６０度傾斜燃焼試験を行い、その合否を判定した。
【００４１】
これらの結果を表１乃至表３の下欄に示す。
【００４２】
【表１】
【００４３】
【表２】
【００４４】
【表３】
【００４５】
表１乃至表３から明らかなように、実施例１、９および１７においては、外観および機械的特性においていずれも良好な評価結果が得られた。また、実施例２〜８、１０〜１６および１８〜２４においては、外観が良好で、かつ機械的特性のさらに良好な評価結果が得られた。特に、実施例４、５、１２、１３、２０および２１においては、外観および機械的特性がともに極めて良好であった。
【符号の説明】
【００４６】
１…銅撚線導体、２…被覆。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
ノンハロゲン難燃性組成物であって、（Ａ）ポリオレフィン８０〜９５質量％および（Ｂ）ポリアクリル酸ナトリウム架橋体５〜２０質量％からなるベースポリマー１００質量部に対し、（Ｃ）水酸化アルミニウム４０〜１２０質量部を含有することを特徴とする電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項２】
前記ベースポリマー１００質量部に対する（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムの含有量が５０〜８０質量部であることを特徴とする請求項１記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項３】
前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の含有量が５〜１５質量％であることを特徴とする請求項１または２記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項４】
前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の含有量が８〜１２質量％であることを特徴とする請求項１乃至３記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項５】
前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、粒径が１１０μｍ以下の粒子からなることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項６】
前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、平均粒径が２０〜３０μｍの粒子からなることを特徴とする請求項５記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項７】
請求項１乃至６のいずれか１項記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物からなる被覆を有することを特徴とする電線・ケーブル。
【請求項１】
ノンハロゲン難燃性組成物であって、（Ａ）ポリオレフィン８０〜９５質量％および（Ｂ）ポリアクリル酸ナトリウム架橋体５〜２０質量％からなるベースポリマー１００質量部に対し、（Ｃ）水酸化アルミニウム４０〜１２０質量部を含有することを特徴とする電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項２】
前記ベースポリマー１００質量部に対する（Ｃ）成分の水酸化アルミニウムの含有量が５０〜８０質量部であることを特徴とする請求項１記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項３】
前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の含有量が５〜１５質量％であることを特徴とする請求項１または２記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項４】
前記ベースポリマー中の（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体の含有量が８〜１２質量％であることを特徴とする請求項１乃至３記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項５】
前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、粒径が１１０μｍ以下の粒子からなることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか１項記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項６】
前記（Ｂ）成分のポリアクリル酸ナトリウム架橋体は、平均粒径が２０〜３０μｍの粒子からなることを特徴とする請求項５記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物。
【請求項７】
請求項１乃至６のいずれか１項記載の電線・ケーブル被覆用難燃性組成物からなる被覆を有することを特徴とする電線・ケーブル。
【図１】
【公開番号】特開２０１１−２５６３２５（Ｐ２０１１−２５６３２５Ａ）
【公開日】平成２３年１２月２２日（２０１１．１２．２２）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１０−１３３７０１（Ｐ２０１０−１３３７０１）
【出願日】平成２２年６月１１日（２０１０．６．１１）
【出願人】（３０６０１３１２０）昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１２月２２日（２０１１．１２．２２）
【国際特許分類】
【出願日】平成２２年６月１１日（２０１０．６．１１）
【出願人】（３０６０１３１２０）昭和電線ケーブルシステム株式会社 (218)
【Ｆターム（参考）】
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