説明

電解質、並びに黒ルテニウムの装飾用の及び技術的な層を堆積するための方法

黒色を有する酸化安定及び機械的に強い金属層の製造は、特にこの目的に適したいくつかの金属のみがあるために、電気化学的仕上げの分野において特定の変化を示す。ニッケルとは異なり、健康に害がなく、かつロジウムと比較して経済的である可能性は、黒ルテニウム層の電気化学的製造である。本発明は、電解質、及びこの電解質を宝石の一部分、装飾品、消費製品及び技術品上に黒ルテニウム層をもたらすために使用する方法を提供する。前記電解質は、1つ以上のホスホン酸誘導体を、黒化剤として使用することで特徴付けられる。それらは明度を維持する。得られた黒ルテニウム層の黒度の程度は、所望の明度を維持しながら、使用されるホスホン酸誘導体のタイプ及び量の選択によって調整されうる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の詳細な説明
本発明は、特定の黒度を有する装飾用の及び技術的な層を堆積するのに好適なルテニウム電解質に関する。さらに、本発明は、宝石の一部分、装飾品、消費製品、及び技術品上に、特定の黒度を有するルテニウム("黒ルテニウム")の装飾用の及び技術的な層を堆積するための方法に関する。
【0002】
消費製品及び技術品、宝石の一部分、並びに装飾品は、腐食からの保護のための、及び/又は視覚の品質向上のための薄い酸化安定金属層で仕上げられる。それらの層は、機械的に安定である必要があり、かつ比較的長期の使用でさえも、変色又は摩耗の徴候を示さないべきである。かかる層を製造する立証済みの方法は、金属及び合金層の多重度を高品質で得ることができる電気メッキ法を含む。日常生活からよく知られている例は、ドアの取っ手もしくはノブに対する電着させた青銅及び黄銅層、自動車部品に対するクロミウム被覆、亜鉛メッキする道具、又は腕時計のバンドに対する金被覆である。
【0003】
電気化学的仕上げの分野における特定の試みは、装飾の及び宝石の分野におけるだけでなく、技術適用のため、例えば太陽熱工学の分野においても関心があってよい、酸化安定の及び機械的に丈夫な黒色金属層の製造である。いくつかの金属でのみ、酸化安定のある黒い層を製造するために使用できる。ルテニウムに加えて、ロジウム及びニッケルが好適である。貴金属のロジウムの使用は、高い原材料費のために宝石の分野を制限する。経済的なニッケル及びニッケル含有合金の使用は、例外的な場合でのみ、及び厳しい要求を考慮に入れて、特に宝石及び消費製品の分野において可能である。それというのも、ニッケル及びニッケル含有金属層は、接触性アレルゲンであるからである。ルテニウムの使用は、記載されている使用の全ての分野の代わりの方法である。
【0004】
仕上げのための電気メッキ法における黒ルテニウム層の製造のための電解質は、従来技術において公知である。最も慣習的な槽は、アミドスルホン酸、又はニトリドクロロもしくはニトリドブロモ錯体としてルテニウムで錯化された形でルテニウムを含有する。
【0005】
例えばJP 63259095号は、ルテニウム5g/l及びアミドスルホン酸100〜150g/lを含有する槽を使用してルテニウム電気メッキする方法を記載している。WO 2001/011113号は、硫酸ルテニウム及びスルファミン酸(アミドスルホン酸)を含有するルテニウム電解質を開示している。チオ化合物は、黒化剤として使用される。陽極酸化による分解からチオ化合物を保護するために、犠牲物質が添加されてもよい。DE 197 41 990号による良好な引張強さを有する低い応力のルテニウム層の電気化学的堆積のための電解質は、アミドスルホン酸とピリジン又はN−アルキル化ピリジニウム塩とを錯化させた形でルテニウムを含有する。US 4,375,392号は、ルテニウム1mol毎にアミドスルホン酸4〜10molのモル濃度で、及び好適な濃度で存在する、ルテニウムとアミドスルホン酸との錯体を含有し、かつニッケル、コバルト、鉄、スズ、鉛、及びマグネシウムからなる群から選択された金属の二次化合物を含有する、種々の基体上へのルテニウムの堆積のための酸性電解質を請求している。二次金属の濃度は、良好な引張強さを有するルテニウムが堆積されうるように選択される。槽のpHは、0.1〜2.2である。
【0006】
DE 1 959 907号は、電解質槽中に特定での、複核ルテニウム錯体[Ru2NClxBr8-x(H2O)23-の使用を開示している。一実施態様において、ニトリドクロロ錯体[Ru2NCl8(H2O)23-が使用される。ルテニウムのこのニトリドクロロ錯体は、US 4,297,178号において記載されている、ルテニウムの電着のための、水溶性の非酸性槽においても使用される。シュウ酸又はオキサレートは、それらの中で存在してもよい。
【0007】
JP 56119791号は、ルテニウム1〜20g/lに加えて、ジ−及びトリカルボン酸、ベンゼンスルホン酸、N−含有芳香族及びアミノ酸又は該化合物の誘導体の群から選択された1つ以上の化合物を含み、かつさらにチオ化合物0.01〜10g/lが、黒化剤として存在する、発明の目的としてルテニウム電解質を有する。
【0008】
JP 2054792号は、有利には、硫酸ルテニウム、無機酸、有利には硫酸、及び"第III族の金属"、有利にはSc、Y、In又はGaを、無機ルテニウム塩に加えて含有する。
【0009】
宝石及び装飾品の仕上げのために、黒い層は、優れた機械的接着強さだけでなく、十分な視覚的質を有しなければならない。要求される場合に、それらは、明るい又は光沢のない形で、及び非常に濃い黒度で、製造されることができる必要がある。同様に、技術分野における、及び特定の太陽熱工学における適用に対して適用する。消費製品の仕上げのための黒い層は、さらに、機械的安定性に関する高い要求を満たす必要がある。特に、それらは、比較的長い時間にわたる頻繁な使用に関してでさえも、あらゆる黒の摩耗を呈さない必要がある。
【0010】
従来技術において記載されており、かつ前記の要求を満たすルテニウム槽は、黒化剤として、毒性のある安全ではない化合物、例えばチオ化合物の使用に依存し、又はさらに堆積加工中の槽の取扱いを複雑にする、要求された機械的接着強さを確実にするための遷移金属を含む。
【0011】
従って、本発明の目的は、標準の電気メッキ法において、高い機械的安定性によって、特に頻繁な使用に関してでさえ耐摩耗性によって特徴付けられ、かつさらに、明度を維持するために黒度の種々の程度で生産されうる黒い層を製造することが可能である方法によって、特定の黒度を有するルテニウム("黒ルテニウム")の堆積層のために非毒性電解質を提供することであった。
【0012】
この目的は、黒化剤として1つ以上のホスホン酸誘導体を含有する電解質によって達成される。特定の黒度を有するルテニウム("黒ルテニウム")の装飾用の及び技術的な層が、本発明による電解質を使用して、宝石の一部分、装飾品、消費製品及び技術品に適用されうることによる方法も、提供され、その際、被覆されるべき基体は、本発明による電解質中に浸漬される。
【0013】
この文献の記載内容において、"非毒性"は、このように示された本発明による電解質が、危険物及び有害材料の取扱いに対するヨーロッパにおける適用可能な調節によって"毒性"(T)又は"非常に毒性"(T+)として分類されるべきである物質を含有しない。
【0014】
ルテニウムは、水可溶性化合物の形で、有利には複核の、式[Ru2N(H2O)283-のアニオンニトリドハロゲノ錯体化合物として使用され、その際Xは、ハロゲン化物イオンである。クロロ錯体[Ru2N(H2O)2Cl83-が、特に好ましい。本発明による電解質における錯体化合物の量は、化合物の完全な溶解後のルテニウムの容積濃度が、ルテニウム金属として産出される、電解質1リットル毎に0.2〜20グラムであるように選択される。最終的な電解質は、特に有利には、電解質1リットル毎にルテニウム1〜15グラム、非常に特に有利には電解質1リットル毎にルテニウム3〜10グラムを含む。
【0015】
電気化学的に製造されたルテニウム層の黒化は、標的にされた方法における電気メッキ槽から、分解率を抑制することによって達せされる。1つ以上のホスホン酸誘導体は、阻害剤として、かつ従って本発明による槽における黒化剤として存在する。
【0016】
有利には、使用される化合物は、アミノホスホン酸AP、1−アミノメチルホスホン酸AMP、アミノトリス(メチレンホスホン酸)ATMP、1−アミノエチルホスホン酸AEP、1−アミノプロピルホスホン酸APP、(1−アセチルアミノ−2,2,2−トリクロロエチル)ホスホン酸、(1−アミノ−1−ホスホノオクチル)ホスホン酸、(1−ベンゾイルアミノ−2,2,2−トリクロロエチル)ホスホン酸、(1−ベンゾイルアミノ−2,2−ジクロロビニル)ホスホン酸、(4−クロロフェニルヒドロキシメチル)ホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)DTPMP、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)EDTMP、1−ヒドロキシエタン(1,1−ジホスホン酸)HEDP、ヒドロキシエチルアミノジ(メチレンホスホン酸)HEMPA、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチルホスホン酸)HDTMP、((ヒドロキシメチルホスホノメチルアミノ)メチル)ホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)NTMP、2,2,2−トリクロロ−1−(フラン−2−カルボニル)アミノエチルホスホン酸、それらから誘導された塩もしくはそれらから誘導された縮合物、又はそれらの組合せである。
【0017】
アミノトリス(メチレンホスホン酸)ATMP、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)DTPMP、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)EDTMP、1−ヒドロキシエタン(1,1−ジ−ホスホン酸)HEDP、ヒドロキシエチルアミノジ(メチレンホスホン酸)HEMPA、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)HDTMP、それらから誘導された塩もしくはそれらから誘導された縮合物、又はそれらの組合せからなる群から選択された1つ以上の化合物が、特に有利に使用される。
【0018】
アミノトリス(メチレンホスホン酸)ATMP、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)EDTMP及び1−ヒドロキシエタン(1,1−ジホスホン酸)HEDP、並びにそれらから誘導された塩もしくはそれらから誘導された縮合物、又はそれらの組合せが、特に装飾品及び消費製品の被覆に著しく好適である。
【0019】
黒化剤の濃度は、製造されるべき層の黒化の程度を測定する。所望の濃い黒化が、達せられるが、非常に高い必要がないように選択される必要がある。黒化剤の濃度が非常に高く選択される場合に、得られたルテニウム層の接着強さが、もはや保証されない点での電流密度は、経済的な堆積率を確実にするために選択されるべきである。有利には、本発明による電解質は、電解質1リットル毎にホスホン酸誘導体0.1〜20グラム、特に有利には電解質1リットル毎にホスホン酸誘導体1〜10グラムを含む。濃い黒ではない暗い灰色の着色を得ることを意図する場合に、電解質1リットル中でホスホン酸誘導体0.1〜4グラムが好ましい。
【0020】
使用されるホスホン酸誘導体は、明度調整効果を有する。ホスホン酸誘導体のタイプ及び量の好適な選択によって、得られた層の色は、その特有の明度を変化することなく、明るい黒から濃い黒まで、全ての別形で調整されうる。
【0021】
本発明による槽のpHは、堆積加工中に電解質の可制御性に、及び得られた黒ルテニウム層の品質に重要な影響を与える。前記pHは、有利には0〜3、特に有利には0.5〜2である。pHを確立するために、本発明による電解質は、有利には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、アミドスルホン酸、硫酸、亜硫酸、二硫酸、二チオン酸、二亜硫酸及び亜二チオン酸、又はそれらの組合せからなる群から選択された、無機鉱酸を含有してよい。塩酸、臭化水素酸、アミドスルホン酸及び硫酸、又はそれらの混合物が、特に好適である。使用されるホスホン酸誘導体、及び使用される濃度、並びに選択される鉱酸に依存して、無機鉱酸の好ましい容積濃度は、電解質1リットル毎に0〜50グラム、特に有利には、電解質1リットル毎に0〜40グラムである。均一な、装飾用黒ルテニウム層の堆積に特に好適な電解質は、電解質1リットル毎に硫酸1〜10グラムを含有する。
【0022】
ルテニウム及びホスホン酸誘導体に加えて、前記電解質は、湿潤剤の機能を果たす有機添加剤を含有する。アルカンスルホン酸、もしくはイオン及び非イオン界面活性剤、又はそれらの組合せからなる群から選択される1つ以上の化合物の添加が、好ましい。アルカンスルホン酸が、特に好ましい。
【0023】
本発明による槽は、純ルテニウムの堆積層に好適であるが、しかしルテニウム合金の堆積には好適ではない。ルテニウムを除いて、前記電解質は、遷移金属イオンを含まない。
【0024】
本発明の目的である、記載されているルテニウム電解質は、特に、例えば宝石の一部分及び装飾品の上に、装飾用の濃い黒の明るい層を堆積するために好適である。それは、有利には、ドラム塗装法及びラック塗装法において使用されうる。
【0025】
黒ルテニウム層の電気化学的適用のための対応する方法において、被覆されるべき宝石の一部分、装飾品、消費製品、又は技術品(共に基体と称される)は、本発明による電解質中へ浸漬し、そして陰極を形成する。前記の電解質は、有利には、20〜80℃の範囲で温度調整される。特に、堆積層は、60〜70℃の電解質温度で得られる。
【0026】
堅く接着している均一な層を得るために、平方デシメートル毎に10ampの最大電流密度[A/dm2]は、限度を超えるべきではない。この値を超えて、非晶質ルテニウムの断片が、堆積される。結果として、前記の層は、機械的負荷下で、不均一になり、かつ光沢のない摩耗を呈する。0.01〜10A/dm2の電流密度が、有利には確立され、特に有利には0.05〜5A/dm2である。選ばれた値は、被覆法のタイプによっても決定される。ドラム被覆法において。好ましい電流密度は、0.05〜1A/dm2である。ラック被覆法において、0.5〜5A/dm2の電流密度は、視覚的に十分な黒ルテニウム層をもたらす。
【0027】
水不溶性陽極は、本発明による酸性ルテニウム槽からの電気化学的堆積法を実施するために好適である。有利には、使用される陽極は、白金チタン、グラファイト、イリジウム遷移金属混合酸化物、及び特殊な炭素材料("Diamond Like Carbon(ダイアモンドライクカーボン)"DLC)又はそれらの組合せからなる群から選択された材料を含有するものである。
【0028】
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明することを意図する。
【0029】
実施例1:
[Ru2NCl8(H2O)23-におけるルテニウム2.5g/lに加えて、黒化剤として水中で溶解させた1−ヒドロキシエタン(1,1−ジホスホン酸)HEDP15g/l及び硫酸20g/lを含有させた本発明による電解質を、消費製品上へ黒い層を堆積するために使用した。該電解質は、pH0.8を有した。
【0030】
ラック被覆法において、適切な基材を、電流密度2〜10A/dm2で被覆し、その際該電解質を、60℃で温度調整した。
【0031】
堆積加工の終了後に、前記の基材は、消費製品の分野において視覚的に十分であるとみなされる、機械的に安定な、耐摩耗性の黒い層が提供される。得られた層の厚さにおけるわずかな不規則性は、宝石の分野外の適用に対する本発明によるこの槽の使用を制限する。
【0032】
実施例2:
[Ru2NCl8(H2O)23-におけるルテニウム5g/l、及び水中で黒化剤としてエチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)EDTMP1.5g/lを含有する本発明による電解質を、装飾品上に黒ルテニウム層をもたらすために使用した。硫酸4g/lを、pHを確立するために電解質に添加し、その結果、堆積し始めた点でのpHは、1.3であった。
【0033】
ラック適用において、好適な基材を、規定の電流密度0.5〜3A/dm2で、黒ルテニウム層で仕上げた。堆積加工中に、電解質を、60〜70℃で温度調整した。
【0034】
得られた層は、非常に良好な機械安定性を有し、かつ濃い黒色及び優れた明度を示した。従って、製造された層の視覚的な品質は、非常に高く、本発明によるこの槽が、宝石及び装飾の分野に好適でもある。
【0035】
実施例3:
水中で、[Ru2NCl8(H2O)23-におけるルテニウム5g/l及びアミノトリス(メチレンホスホン酸)ATMP5g/lを含む本発明による他の槽を、調べる。該槽のpHを、硫酸4g/lで、1.4に調整した。
【0036】
ラック被覆法において、高い視覚的な品質の均一な濃い黒い層を、同様に、規定の電流密度0.5〜2.5A/dm2で、及び60℃で槽の温度調整をして得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の黒度を有するルテニウム("黒ルテニウム")の装飾用の及び技術的な層を堆積するための非毒性電解質であって、該電解質が、黒化剤として1つ以上のホスホン酸誘導体を含み、かつ前記ルテニウムの容積濃度が、ルテニウム金属として算出して、電解質1リットル毎に0.2〜20グラムであることを特徴とする電解質。
【請求項2】
ルテニウムが、式[Ru2N(H2O)283-の、複核の、アニオンルテニウム−ニトリドハロゲノ錯体化合物として存在することを特徴とする、請求項1に記載の電解質。
【請求項3】
前記電解質が、他の遷移金属イオンを有さないことを特徴とする、請求項2に記載の電解質。
【請求項4】
ホスホン酸として、アミノホスホン酸AP、1−アミノメチルホスホン酸AMP、アミノトリス(メチレンホスホン酸)ATMP、1−アミノエチルホスホン酸AEP、1−アミノプロピルホスホン酸APP、(1−アセチルアミノ−2,2,2−トリクロロエチル)ホスホン酸、(1−アミノ−1−ホスホノオクチル)ホスホン酸、(1−ベンゾイルアミノ−2,2,2−トリクロロエチル)ホスホン酸、(1−ベンゾイルアミノ−2,2−ジクロロビニル)ホスホン酸、(4−クロロフェニルヒドロキシメチル)ホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)DTPMP、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)EDTMP、1−ヒドロキシエタン(1,1−ジホスホン酸)HEDP、ヒドロキシエチルアミノジ(メチレンホスホン酸)HEMPA、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチルホスホン酸)HDTMP、((ヒドロキシメチルホスホノメチルアミノ)メチル)ホスホン酸、ニトリロトリス(メチレンホスホン酸)NTMP、2,2,2−トリクロロ−1−(フラン−2−カルボニル)アミノエチルホスホン酸、それらから誘導された塩もしくはそれらから誘導された縮合物、又はそれらの組合せからなる群から選択された1つ以上の化合物を含むことを特徴とする、請求項2に記載の電解質。
【請求項5】
電解質1リットル毎にホスホン酸誘導体0.1〜20グラムを含有することを特徴とする、請求項4に記載の電解質。
【請求項6】
前記電解質のpHが、0〜3であることを特徴とする、請求項4に記載の電解質。
【請求項7】
該電解質が、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、亜硝酸、アミドスルホン酸、硫酸、亜硫酸、二硫酸、二チオン酸、二亜硫酸及び亜二チオン酸又はそれらの組合せからなる群から選択された無機鉱酸を含有することを特徴とする、請求項6に記載の電解質。
【請求項8】
該電解質が、湿潤剤として、アルカンスルホン酸、もしくはイオン及び非イオン界面活性剤、又はそれらの組合せからなる群から選択された1つ以上の化合物であることを特徴とする、請求項4から7までのいずれか1項に記載の電解質。
【請求項9】
宝石の一部分、装飾品、消費製品及び技術品への、特定の黒度を有するルテニウム("黒ルテニウム")の装飾用の及び技術的な層の電気化学的適用のための方法であって、その際被覆される基材を、溶解された形でルテニウムを含む電解質中に浸漬し、黒化剤として1つ以上のホスホン酸誘導体を含有する電解質を使用することを特徴とする方法。
【請求項10】
前記電解質を、20〜80℃の範囲で温度調整することを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
1平方デシメートル毎に0.01〜10ampの範囲である電流密度を確立することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
白金チタン、グラファイト、イリジウム遷移金属混合酸化物、及び特殊な炭素材料("ダイアモンドライクカーボン"DLC)からなる群から選択された材料を含有する不溶性陽極、又はそれら陽極の組合せ物を使用することを特徴とする、請求項11に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522277(P2010−522277A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500099(P2010−500099)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【国際出願番号】PCT/EP2008/001751
【国際公開番号】WO2008/116545
【国際公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【出願人】(507237679)ユミコア ガルヴァノテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (10)
【氏名又は名称原語表記】Umicore Galvanotechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Klarenbergstrasse 53−79, 73525 Schwaebisch Gmuend, Germany
【Fターム(参考)】