説明

電話機

【課題】 自動応答機能を備えた電話機の利便性を向上することのできる電話機を提供する。
【解決手段】 着信があった際に自動的に回線を接続するとともにヘッドセット33から通知音を一時鳴動した後、ヘッドセット33による通話を可能にする自動応答機能を有した電話機1において、複数の電話番号を着信できるとともに、自動応答する際に着信した電話番号に応じて「一番」、「二番」、「三番」等の異なる通知音をヘッドセット33から鳴動した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動応答機能を有する電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
小規模コールセンター等で使用される自動応答機能を有した従来の電話機は、着信があると使用者が通話キーを押す等の応答操作をしなくても自動的に回線を接続してヘッドセットにより通話可能になる。これにより、オペレータによる応答操作を省いて利便性の向上が図られている。この電話機は着信があるとヘッドセットからパルス音等の通知音が短時間鳴動され、オペレータが着信を認知することができるようになっている。
【0003】
また、これらの電話機は一般に複数の電話番号を着信できるマルチライン機能を有している。電話機にはパーソナルコンピュータが接続され、着信した電話番号等の情報がパーソナルコンピュータの表示画面に表示される。オペレータは着信があるとパーソナルコンピュータの表示画面で電話番号を識別し、着信した各電話番号に応じた応対を行う。
【特許文献1】特開2002−218518号公報(第3頁−第7頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コールセンターではオペレータは製品の取扱説明書等の資料を見ながら電話応対することが多く、パーソナルコンピュータの表示画面を常時監視することが困難である。このため、着信した電話番号をオペレータが識別しない間に自動的に回線が接続され、発信者に対して誤った応対をする場合がある。従って、自動応答時に着信した電話番号の識別が困難で電話機の利便性が悪い問題があった。
【0005】
本発明は、利便性を向上できる自動応答機能を有した電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、着信があった際に自動的に回線を接続するとともにヘッドセットから通知音を一時鳴動した後、前記ヘッドセットによる通話を可能にする自動応答機能を有した電話機において、複数の電話番号を着信できるとともに、自動応答する際に着信した電話番号に応じて異なる通知音を前記ヘッドセットから鳴動することを特徴としている。
【0007】
この構成によると、着信があると、着信した電話番号に応じた通知音がヘッドセットから鳴動される。オペレータは電話番号によって異なる通知音により着信した電話番号を識別して各電話番号に応じた応対を行うことができる。
【0008】
また本発明は、上記構成の電話機において、前記通知音は電話番号に応じて異なる回数のパルス音から成ることを特徴としている。この構成によると、例えば、第1の電話番号に着信があるとヘッドセットからパルス音が1回鳴動され、第2の電話番号に着信があるとヘッドセットからパルス音が2回鳴動される。
【0009】
また本発明は、上記構成の電話機において、前記通知音は電話番号に応じて異なる識別情報を通知する音声から成ることを特徴としている。この構成によると、例えば、第1の電話番号に着信があるとヘッドセットから「一番」と音声が鳴動され、第2の電話番号に着信があるとヘッドセットから「二番」と音声が鳴動される。
【0010】
また本発明は、上記構成の電話機において、自動応答機能を停止した際の着信時の呼び出し音に前記通知音と異なる音を設定できることを特徴としている。この構成によると、自動応答機能を停止すると、着信時にベル等によって呼び出し音が鳴動される。この時、通知音と異なる着メロ等の音を呼び出し音に設定することができる。尚、電話番号に応じて異なる呼び出し音にしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、自動応答する際に着信した電話番号に応じて異なる通知音をヘッドセットから鳴動するので、オペレータは着信した電話番号を短時間で容易に識別することができる。従って、電話機の利便性が向上し、オペレータは発信者に応じた適切な応対をすることができる。
【0012】
また本発明によると、自動応答する際の通知音が電話番号に応じて異なる回数のパルス音から成るので、短時間の鳴動であっても容易に着信した電話番号を識別することができる。
【0013】
また本発明によると、自動応答する際の通知音は電話番号に応じて異なる識別情報を通知する音声から成るので、短時間の鳴動であっても容易に着信した電話番号を識別することができる。
【0014】
また本発明によると、自動応答機能を停止した際の着信時の呼び出し音に通知音と異なる音を設定できるので、通知音を電話番号の判別が容易な音にできるとともに、所望の呼び出し音にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は一実施形態の電話機の構成を示すブロック図である。電話機1は複数の電話回線を利用可能なマルチライン電話機になっており、複数の電話番号による着信が可能になっている。電話機1は各部を制御する制御回路13を有している。制御回路13にはフックスイッチ23、2線/4線回路2、切替回路8、発呼者番号検出回路12、CAR検出回路11、着信検出回路10、極性反転検出回路9、音声認識回路20、音声合成回路21、ROM14、RAM15、載置検出手段19、ベル16、表示手段17、入力手段18、自動応答切替部22が接続される。
【0016】
フックスイッチ23は電話回線に接続され、直流ループの解除による回線の開放(オンフック)及び直流ループの形成による回線の閉結(オフフック)を行う。尚、フックスイッチ23は複数の各電話番号に応じて回線を開放・閉結することができる。2線/4線回路2はフックスイッチ23に接続され、2線/4線変換を行う。切替回路8は2線/4線回路2に接続されるとともに、ハンドセット3及び増幅器6、7が接続される。
【0017】
ハンドセット3はスピーカ31及びマイクロホン32を有している。増幅器6、7はそれぞれハンズフリーのスピーカ4及びマイクロホン5が接続され、出力音声または入力音声の音声信号を増幅する。切替回路8により、ハンドセット3とハンズフリー用のスピーカ4及びマイクロホン5とを切り替えて2線/4線回路2に接続する。
【0018】
また、切替器8にはスピーカ34及びマイクロホン35を有したヘッドセット33が着脱自在に装着される。ヘッドセット33を取り付けると切替回路8によってヘッドセット33と2線/4線回路2とが接続される。これにより、ヘッドセット33による通話が可能になる。
【0019】
極性反転検出回路9は電話回線に接続され、電話回線の極性の反転を検出する。着信検出回路10は電話回線に接続され、着信(呼出信号)を検出する。CAR検出回路11は電話回線に接続され、CAR信号を検出する。発呼者番号検出回路12は2線/4線回路2を介して入力されたモデム信号により発呼者の電話番号(発呼者番号)を検出して制御回路13に出力する。
【0020】
ROM14は制御回路13の動作プログラム等を記憶する。RAM15は制御回路13の動作に必要な留守録の応答メッセージ、保留を知らせるメッセージ、電話帳データ等を記憶する。ベル16は着信時に呼び出し音を出力する。表示手段17は液晶表示パネル等から成り、ダイヤルした電話番号や電話帳データ等を表示する。入力手段18は複数の操作キー等から成り、電話番号の入力や各種設定等を行う。また、入力手段18によりベル16から出力される使用者が所望の呼び出し音を複数の各電話番号毎に設定することができるようになっている。
【0021】
載置検出手段19はハンドセット3がハンドセット載置部(不図示)に載置されているか否かを検出して制御回路13に出力する。音声認識回路20は入力された音声を認識して通話相手の通話言語をRAM15に記憶されたデータと比較して判別し、制御回路13に出力する。音声合成回路21は制御回路13から入力された文字データから音声信号を生成する。自動応答切替部22は着信があった際に自動的に応答処理を行って回線を接続する自動応答機能のオンオフを切り替える。自動応答機能をオンすることにより、小規模コールセンター等においてオペレータによる応答操作を省いて利便性を向上することができる。
【0022】
上記構成の電話機1において、電話を発信する場合は、ハンドセット3を持ち上げると載置検出手段19によりハンドセット3を持ち上げたことが検知される。これにより、切替回路8がハンドセット3と2線/4線回路2とを接続し、フックスイッチ23により電話回線が閉結される。入力手段18により相手先の電話番号を入力すると電話回線を介して相手先に接続される。通話相手が電話に出ると極性反転検出回路9が検知し、ハンドセット3による通話が可能になる。また、通話相手が電話を切った場合は極性反転検出回路9が検知してフックスイッチ23により電話回線が開放される。
【0023】
ハンドセット3を載置したままで入力手段18の入力が行われると、切替回路8により増幅器6、7と2線/4線回路2とを接続してハンズフリーで通話可能になる。また、ヘッドセット33が装着されている場合は、スピーカ34及びマイクロホン35と2線/4線回路2とを接続してヘッドセット33で通話可能になる。
【0024】
尚、RAM15に格納された電話帳データを入力手段18により選択して電話番号を発信してもよい。また、入力手段18で入力した文字を音声合成回路21で音声合成して通話することもできる。
【0025】
電話の着信があった場合は、着信検出回路10により着信が検出され、ベル16により呼び出し音が出力される。呼び出し音は使用者が所望の音声や音楽に設定することができるようになっている。この時、発呼者番号検出回路12の検出により相手先の電話番号が表示手段17に表示される。また、ナンバーディスプレイの場合はCAR検出回路11によりCAR信号を検出して所定のデータが表示手段17に表示される。
【0026】
ハンドセット3を持ち上げると載置検出手段19によりハンドセット3を持ち上げたことが検知される。これにより、切替回路8がハンドセット3と2線/4線回路2とを接続し、フックスイッチ23により電話回線を閉結して通話が可能になる。また、入力手段18により所定の操作を行うと、切替回路8により増幅器6、7と2線/4線回路2とを接続してハンズフリーで通話可能になる。この時、ヘッドセット33が装着されている場合は、スピーカ34及びマイクロホン35と2線/4線回路2とを接続してヘッドセット33で通話可能になる。
【0027】
自動応答切替部22をオンした状態で着信があると、図2に示す自動応答処理が行われる。ステップ#11ではヘッドセット33が装着されているか否かが検知される。ヘッドセット33が装着されていない場合は、ステップ#21に移行して、上記の通常の着信時の処理が行われる。
【0028】
ヘッドセット33が装着されている場合はステップ#12で着信した電話番号が検出される。ステップ#13では着信した電話番号が表示手段17に表示される。また、電話機1にパーソナルコンピュータが接続されている場合はパーソナルコンピュータの表示画面に着信した電話番号が表示される。
【0029】
ステップ#14では着信した電話番号に対応する通知音のデータがRAM15から取り出され、ヘッドセット33のスピーカ34から鳴動される。通知音は、使用者が設定可能な呼び出し音の記憶領域と異なる記憶領域に記憶され、電話番号を容易に判別することができる音になっている。例えば、第1の電話番号に着信があった場合は「ピッ」とパルス音が1回鳴動される。第2の電話番号に着信があった場合は「ピッピッ」とパルス音が2回鳴動される。第3の電話番号に着信があった場合は「ピッピッピッ」とパルス音が3回鳴動される。自動応答の際に鳴動するため、短時間の通知音になっている。
【0030】
また、第1の電話番号に着信があった場合は「一番」等の各電話番号を識別する識別情報の音声を鳴動してもよい。この時、第2の電話番号に着信があった場合は「二番」と音声が鳴動され、第3の電話番号に着信があった場合は「三番」と音声が鳴動される。通知音は電話番号を識別することができればよく、例えば「A」、「B」、「C」等の識別情報を音声で鳴動してもよい。
【0031】
ステップ#15では切替回路8がヘッドセット33と2線/4線回路2とを接続し、フックスイッチ23により電話回線を閉結して通話が可能になる。ステップ#16では通話が終了するまで待機し、通話が終了すると自動応答の処理を終了する。
【0032】
本実施形態によると、自動応答する際に着信した電話番号に応じて異なる通知音をヘッドセット33から鳴動するので、オペレータは容易に短時間で着信した電話番号を識別することができる。従って、電話機1の利便性が向上し、オペレータは発信者に応じた適切な応対をすることができる。また、パーソナルコンピュータの大型の表示装置等の特別な外部装置を必要とせずに電話機1のみで容易に電話番号を識別することが可能となるため、コールセンターの設備負担を軽減することができる。
【0033】
また、自動応答機能を停止した際の着信時の呼び出し音は使用者が自由に通知音と異なる音を設定できるので、通知音をパルス音や識別情報の音声等にして電話番号の判別を容易することができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、自動応答機能を有する電話機に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の電話機の構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施形態の電話機の自動応答の処理を示すフローチャート
【符号の説明】
【0036】
1 電話機
2 2線/4線回路
3 ハンドセット
4、31、34 スピーカ
5、32、35 マイクロホン
6、7 増幅器
8 切替回路
9 極性反転検出回路
10 着信検出回路
11 CAR検出回路
12 発呼者番号検出回路
13 制御回路
14 ROM
15 RAM
16 ベル
17 表示手段
18 入力手段
19 載置検出手段
20 音声認識回路
21 音声合成回路
22 自動応答切替部
23 フックスイッチ
33 ヘッドセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信があった際に自動的に回線を接続するとともにヘッドセットから通知音を一時鳴動した後、前記ヘッドセットによる通話を可能にする自動応答機能を有した電話機において、複数の電話番号を着信できるとともに、自動応答する際に着信した電話番号に応じて異なる通知音を前記ヘッドセットから鳴動することを特徴とする電話機。
【請求項2】
前記通知音は電話番号に応じて異なる回数のパルス音から成ることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項3】
前記通知音は電話番号に応じて異なる識別情報を通知する音声から成ることを特徴とする請求項1に記載の電話機。
【請求項4】
自動応答機能を停止した際の着信時の呼び出し音に前記通知音と異なる音を設定できることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電話機。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−81850(P2007−81850A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−267246(P2005−267246)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】