説明

露光ヘッド、画像形成装置

【課題】クロストークの発生を抑制して、発光素子の光量を高精度に求めることを可能とする技術を提供する。
【解決手段】第1の光センサSC1と、第2の光センサSC2と、発光した光が第1の光センサにより受光されるとともに、第1の方向LGDに配設された2個以上の発光素子を有する第1の発光素子群SG1と、発光した光が第2の光センサにより受光されるとともに、第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第2の発光素子群EG2とを備え、第1の光センサは、第1の発光素子群の発光素子の第1の方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な第1の仮想線HLを外して配設され、第2の光センサは、第2の発光素子群の発光素子の第1方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な第2の仮想線HLを外して配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光ヘッドが備える発光素子からの光量を求める技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような露光ヘッドとして、主走査方向に複数の発光素子を並べて、各発光素子からの光により被露光面を露光するものが知られている。こうした露光動作を良好に実行するためには、各発光素子の光量は同程度であることが望ましい。しかしながら、発光素子は点灯を繰り返すことで劣化するため、発光素子の光量がしだいに低下して、複数の発光素子の間で光量がばらついてしまう場合があった。そこで、特許文献1では、露光動作を行なっていないタイミングで各発光素子の光量を予め求めておいて、こうして求められた光量に基づいて露光動作で点灯する発光素子の光量を制御する技術が提案されている。具体的には、複数の発光素子に隣接して光センサが配置されている。この光センサは順次点灯する各発光素子からの光を受光して、受光量に応じた信号を出力する。そして、この出力信号から各発光素子の光量が求められる。こうして求められた光量に基づいて発光素子を点灯させることで、露光動作における各発光素子の光量を同程度に制御することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−82330号公報(図10、図14、図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、複数の光センサが設けられている(図14)。そこで、全発光素子について光量検出を短時間で終了するとの観点からは、複数の発光素子を同時点灯させて、各光センサで異なる発光素子からの光を並行して検出することも考えられる。しかしながら、特許文献1では、このような検出動作は実行されず、発光素子を1個ずつ点灯させて検出動作が実行される。この理由は、主としてクロストークを回避することにある。つまり、各光センサで検出動作を並行して実行する構成では、異なる光センサにより検出される複数の発光素子が同じタイミングで点灯することで、光センサが検出対象でない発光素子からの光を受光してしまう場合がある。この場合、本来検出すべき発光素子からの光の受光量に比べて、検出対象でない発光素子からの光の受光量が無視できるほど小さいならば問題は無い。しかしながら、検出対象でない発光素子からの光の受光量が大きい場合(つまり、クロストークが発生した場合)は、検出対象の発光素子の光量を正確に求められない場合があった。
【0005】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、クロストークの発生を抑制して、発光素子の光量を高精度に求めることを可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明にかかる露光ヘッドは、上記目的を達成するために、第1の光センサと、第2の光センサと、発光した光が第1の光センサにより受光されるとともに、第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第1の発光素子群と、発光した光が第2の光センサにより受光されるとともに、第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第2の発光素子群とを備え、第1の光センサは、第1の発光素子群の発光素子の第1の方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な第1の仮想線を外して配設され、第2の光センサは、第2の発光素子群の発光素子の第1方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な第2の仮想線を外して配設されていることを特徴としている。
【0007】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、第1の光センサ、第2の光センサ、発光した光が第1の光センサにより受光されるとともに第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第1の発光素子群、および、発光した光が第2の光センサにより受光されるとともに第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第2の発光素子群を有する露光ヘッドと、露光ヘッドにより露光される潜像担持体とを備え、第1の光センサは、第1の発光素子群の発光素子の第1の方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な第1の仮想線を外して配設され、第2の光センサは、第2の発光素子群の発光素子の第1の方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な第2の仮想線を外して配設されていることを特徴としている。
【0008】
このように構成された発明(露光ヘッド、画像形成装置)では、第1の光センサおよび第2の光センサが配設されており、第1の光センサおよび第2の光センサはそれぞれ異なる発光素子群(第1の発光素子群、第2の発光素子群)の発光素子からの光を受光する。したがって、第1の光センサによる検出動作と第2の光センサによる検出動作とが並行して実行することで、クロストークの問題が発生しうる。これに対して、本発明では、第1の光センサは、第1の発光素子群の発光素子の第1方向の配設中心を通って第1の方向に垂直な第1の仮想線を外して配設され、第2の光センサは、第2の発光素子群の発光素子の第1方向の配設中心を通って第1の方向に垂直な第2の仮想線を外して配設されている。したがって、後述するように、クロストークの発生を抑制して、発光素子の光量を高精度に求めることが可能となっている。
【0009】
また、第1の発光素子群の発光素子を発光させて当該発光素子の光量を第1の光センサにより検出するとともに、第2の発光素子群の発光素子を発光させて当該発光素子の光量を第2の光センサにより検出するように制御する制御部を備えるように構成しても良い。このような制御部を備えることにより、第1の光センサによる検出動作と、第2の光センサによる検出動作とを並行して行い、全発光素子について光量検出を短時間で終了することができる。
【0010】
また、制御部は、制御部は、第1の発光素子群の発光素子を第1方向の一方側から他方側に順次発光させるとともに、第2の発光素子群の発光素子を第1方向の一方側から他方側に順次発光させるように構成しても良い。この際、第1の光センサは第1の仮想線の第1方向の一方側に配設され、第2の光センサは第2の仮想線の第1方向の一方側に配設されているように構成しても良い。このように構成することで、後述するように、クロストークの発生をより確実に抑制して、発光素子の光量をより高精度に求めることが可能となる。
【0011】
第1の発光素子群の発光素子の個数と、第2の発光素子群の発光素子の個数とが同じであるように構成しても良い。このように構成することで、並行して実行される第1の光センサによる光量検出と第2の光センサによる光量検出とを、略同時に完了することができる。よって、未完了の一方の光センサ(第1の光センサあるいは第2の光センサ)の光量検出が完了するのを待つための待機時間の発生が抑制され、全ての発光素子の光量検出を速やかに行うことが可能となる。
【0012】
また、第1の発光素子群の発光素子、第2の発光素子群の発光素子、第1の光センサおよび第2の光センサは光透過性部材に配設されても良い。つまり、このような構成では、第1の発光素子群の発光素子または第2の発光素子群の発光素子からの光は光透過性部材を透過して、第1の光センサまたは第2の光センサに到達する。この際、光は光透過性部材に吸収されながら、光透過性部材を透過する。よって、光センサから離れた発光素子からの光は十分に減衰して、その大部分は光センサに到達しない。その結果、本発明の効果であるクロストークの抑制をより確実に奏することが可能となり、発光素子の光量をより高精度に求めることが可能となる。
【0013】
また、第1の方向に配設された発光素子と、発光素子からの光を受光する光センサとを備え、光センサは、発光素子の第1の方向の配設中心を通る第1の方向に垂直な仮想線を外して配設されているように、露光ヘッドを構成しても良い。このような露光ヘッドでは、光センサは、発光素子の配設中心を通って第1の方向に垂直な仮想線を外して配設されている。したがって、クロストークの発生を抑制して、発光素子の光量を高精度に求めることが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
A.第1実施形態
図1は本実施形態にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図である。図2は図1の画像形成装置の電気的構成を示す図である。この装置は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能な画像形成装置である。この画像形成装置では、ホストコンピュータなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリなどを有するメインコントローラMCに与えられると、このメインコントローラMCがエンジンコントローラECに制御信号を与え、これに基づき、エンジンコントローラECがエンジン部ENGおよびヘッドコントローラHCなど装置各部を制御して所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどの記録材たるシートに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0015】
この実施形態にかかる画像形成装置が有するハウジング本体3内には、電源回路基板、メインコントローラMC、エンジンコントローラECおよびヘッドコントローラHCを内蔵する電装品ボックス5が設けられている。また、画像形成ユニット2、転写ベルトユニット8および給紙ユニット7もハウジング本体3内に配設されている。また、図1においてハウジング本体3内右側には、二次転写ユニット12、定着ユニット13およびシート案内部材15が配設されている。なお、給紙ユニット7は、ハウジング本体3に対して着脱自在に構成されている。そして、該給紙ユニット7および転写ベルトユニット8については、それぞれ取り外して修理または交換を行うことが可能な構成になっている。
【0016】
画像形成ユニット2は、複数の異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。なお、図1においては、画像形成ユニット2の各画像形成ステーションは構成が互いに同一のため、図示の便宜上一部の画像形成ステーションのみに符号を付し、他の画像形成ステーションについては符号を省略する。
【0017】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kには、それぞれの色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。各感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されている。また、各感光体ドラム21はそれぞれ専用の駆動モータに接続され図中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに搬送される。また、感光体ドラム21の周囲には、その回転方向に沿って帯電部23、ラインヘッド29、現像部25および感光体クリーナ27が配設されている。そして、これらの機能部によって帯電動作、潜像形成動作およびトナー現像動作が実行される。カラーモード実行時は、全ての画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kで形成されたトナー像を転写ベルトユニット8に設けた転写ベルト81に重ね合わせてカラー画像を形成する。また、モノクロモード実行時は、画像形成ステーション2Kのみを動作させてブラック単色画像を形成する。
【0018】
帯電部23は、その表面が弾性ゴムで構成された帯電ローラを備えている。この帯電ローラは帯電位置で感光体ドラム21の表面と当接して従動回転するように構成されており、感光体ドラム21の回転動作に伴って従動回転する。また、この帯電ローラは帯電バイアス発生部(図示省略)に接続されており、帯電バイアス発生部からの帯電バイアスの給電を受けて帯電部23と感光体ドラム21が当接する帯電位置で感光体ドラム21の表面を所定の表面電位に帯電させる。
【0019】
ラインヘッド29は、その長手方向LGDが主走査方向MDに平行もしくは略平行となるように、かつ、その幅方向LTDが副走査方向SDに平行もしくは略平行となるように配置されている。ラインヘッド29は、長手方向LGDに配列された複数の発光素子を備えており、感光体ドラム21に対向配置されている。そして、帯電部23により帯電された感光体ドラム21の表面に、発光素子からの光を結像して静電潜像を形成する。
【0020】
現像部25は、その表面にトナーを担持する現像ローラ251を有する。そして、現像ローラ251と電気的に接続された現像バイアス発生部(図示省略)から現像ローラ251に印加される現像バイアスによって、現像ローラ251と感光体ドラム21とが当接する現像位置において、帯電トナーが現像ローラ251から感光体ドラム21に移動してその表面に形成された静電潜像が顕像化される。
【0021】
現像位置において顕在化されたトナー像は、感光体ドラム21の回転方向D21に搬送された後、転写ベルト81と各感光体ドラム21が当接する一次転写位置TR1において転写ベルト81に一次転写される。
【0022】
また、感光体ドラム21の回転方向D21の一次転写位置TR1の下流側で且つ帯電部23の上流側に、感光体ドラム21の表面に当接して感光体クリーナ27が設けられている。この感光体クリーナ27は、感光体ドラムの表面に当接することで一次転写後に感光体ドラム21の表面に残留するトナーをクリーニング除去する。
【0023】
転写ベルトユニット8は、駆動ローラ82と、図1において駆動ローラ82の左側に配設される従動ローラ83(ブレード対向ローラ)と、これらのローラに張架され駆動ローラ82の回転により図示矢印D81の方向(搬送方向)へ循環駆動される転写ベルト81とを備えている。また、転写ベルトユニット8は、転写ベルト81の内側に、カートリッジ装着時において各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kが有する感光体ドラム21各々に対して一対一で対向配置される、4個の一次転写ローラ85Y、85M、85Cおよび85Kを備えている。これらの一次転写ローラは、それぞれ一次転写バイアス発生部(図示省略)と電気的に接続される。
【0024】
カラーモード実行時は、図1および図2に示すように全ての一次転写ローラ85Y、85M、85Cおよび85Kを画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2K側に位置決めすることで、転写ベルト81を画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kそれぞれが有する感光体ドラム21に押し遣り当接させて、各感光体ドラム21と転写ベルト81との間に一次転写位置TR1を形成する。そして、適当なタイミングで一次転写バイアス発生部から一次転写ローラ85Y等に一次転写バイアスを印加することで、各感光体ドラム21の表面上に形成されたトナー像を、それぞれに対応する一次転写位置TR1において転写ベルト81表面に転写する。すなわち、カラーモードにおいては、各色の単色トナー像が転写ベルト81上において互いに重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0025】
さらに、転写ベルトユニット8は、ブラック用一次転写ローラ85Kの下流側で且つ駆動ローラ82の上流側に配設された下流ガイドローラ86を備える。この下流ガイドローラ86は、一次転写ローラ85Kが画像形成ステーション2Kの感光体ドラム21に当接して形成する一次転写位置TR1での一次転写ローラ85Kとブラック用感光体ドラム21(K)との共通接線上において、転写ベルト81に当接するように構成されている。
【0026】
また、下流ガイドローラ86に巻き掛けられた転写ベルト81の表面に対向してパッチセンサ89が設けられている。パッチセンサ89は例えば反射型フォトセンサからなり、転写ベルト81表面の反射率の変化を光学的に検出することにより、必要に応じて転写ベルト81上に形成されるパッチ画像の位置やその濃度などを検出する。
【0027】
給紙ユニット7は、シートを積層保持可能である給紙カセット77と、給紙カセット77からシートを一枚ずつ給紙するピックアップローラ79とを有する給紙部を備えている。ピックアップローラ79により給紙部から給紙されたシートは、レジストローラ対80によって給紙タイミングが調整された後、シート案内部材15に沿って、駆動ローラ82と二次転写ローラ121とが当接する二次転写位置TR2に給紙される。
【0028】
二次転写ローラ121は、転写ベルト81に対して離当接自在に設けられ、二次転写ローラ駆動機構(図示省略)により離当接駆動される。定着ユニット13は、ハロゲンヒータ等の発熱体を内蔵して回転自在な加熱ローラ131と、この加熱ローラ131を押圧付勢する加圧部132とを有している。そして、その表面に画像が二次転写されたシートは、シート案内部材15により、加熱ローラ131と加圧部132の加圧ベルト1323とで形成するニップ部に案内され、該ニップ部において所定の温度で画像が熱定着される。加圧部132は、2つのローラ1321,1322と、これらに張架される加圧ベルト1323とで構成されている。そして、加圧ベルト1323の表面のうち、2つのローラ1321,1322により張られたベルト張面を加熱ローラ131の周面に押し付けることで、加熱ローラ131と加圧ベルト1323とで形成するニップ部が広くとれるように構成されている。また、こうして定着処理を受けたシートはハウジング本体3の上面部に設けられた排紙トレイ4に搬送される。
【0029】
前記した駆動ローラ82は、転写ベルト81を図示矢印D81の方向に循環駆動するとともに、二次転写ローラ121のバックアップローラとしての機能も兼ねている。駆動ローラ82の周面には、厚さ3mm程度、体積抵抗率が1000kΩ・cm以下のゴム層が形成されており、金属製の軸を介して接地することにより、図示を省略する二次転写バイアス発生部から二次転写ローラ121を介して供給される二次転写バイアスの導電経路としている。このように駆動ローラ82に高摩擦かつ衝撃吸収性を有するゴム層を設けることにより、二次転写位置TR2へシートが進入する際の衝撃が転写ベルト81に伝達されることに起因する画質の劣化を防止することができる。
【0030】
また、この装置では、ブレード対向ローラ83に対向してクリーナ部71が配設されている。クリーナ部71は、クリーナブレード711と廃トナーボックス713とを有する。クリーナブレード711は、その先端部を転写ベルト81を介してブレード対向ローラ83に当接することで、二次転写後に転写ベルト81に残留するトナーや紙粉等の異物を除去する。そして、このように除去された異物は、廃トナーボックス713に回収される。また、クリーナブレード711及び廃トナーボックス713は、ブレード対向ローラ83と一体的に構成されている。
【0031】
なお、各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kの感光体ドラム21、帯電部23、現像部25および感光体クリーナ27を一体的にカートリッジとしてユニット化している。そして、このカートリッジが装置本体に対し着脱可能に構成されている。また、各カートリッジには、該カートリッジに関する情報を記憶するための不揮発性メモリがそれぞれ設けられている。そして、エンジンコントローラECと各カートリッジとの間で無線通信が行われる。こうすることで、各カートリッジに関する情報がエンジンコントローラECに伝達されるとともに、各メモリ内の情報が更新記憶される。これらの情報に基づき各カートリッジの使用履歴や消耗品の寿命が管理される。
【0032】
また、メインコントローラMC、ヘッドコントローラHCおよび各ラインヘッド29がそれぞれ別ブロックとして構成され、これらは互いにシリアル通信線を介して接続されている。各ブロック間でのデータのやりとり動作について、図2を参照しながら説明する。外部装置からメインコントローラMCに画像形成指令が与えられると、メインコントローラMCは、エンジンコントローラECにエンジン部ENGを起動させるための制御信号を送信する。また、メインコントローラMCに設けられた画像処理部100が、画像形成指令に含まれる画像データに対して所定の信号処理を行い、各トナー色ごとのビデオデータVDを生成する。
【0033】
一方、制御信号を受けたエンジンコントローラECは、エンジン部ENG各部の初期化およびウォームアップを開始する。これらが完了して画像形成動作を実行可能な状態になると、エンジンコントローラECは、各ラインヘッド29を制御するヘッドコントローラHCに対し画像形成動作の開始のきっかけとなる同期信号Vsyncを出力する。
【0034】
ヘッドコントローラHCには、各ラインヘッドを制御するヘッド制御モジュール400と、メインコントローラMCとのデータ通信を司るヘッド側通信モジュール300とが設けられている。一方、メインコントローラMCにもメイン側通信モジュール200が設けられている。ヘッド側通信モジュール300からメイン側通信モジュール200に向けては、1ページ分の画像の先頭を示す垂直リクエスト信号VREQと、該画像を構成するラインのうち1ライン分のビデオデータを要求する水平リクエスト信号HREQとが送信される。一方、メイン側通信モジュール200からヘッド側通信モジュール300に向けては、これらのリクエスト信号に応じてビデオデータVDが送信される。より詳しくは、画像の先頭を示す垂直リクエスト信号VREQを受信した後、水平リクエスト信号HREQを受信する度に、画像の先頭部分から1ライン分ずつビデオデータVDを順次出力する。そして、このビデオデータVDに基づいて各発光素子が発光する。
【0035】
図3はラインヘッドの構造を示す部分斜視図である。また、図4はラインヘッドの幅方向断面を示す部分断面図である。これらは部分図であるため、全てのパーツを表しているわけではない。ラインヘッド29はガラスを基材とするヘッド基板294を備えている。このヘッド基板294の裏面294−tには、ボトムエミッション型の有機EL素子が発光素子Eとして形成されている。また、ヘッド基板294の表面294−hには、屈折率分布型ロッドレンズアレイ297が対向して配置されている。したがって、発光素子Eが射出した光ビームは、ヘッド基板294の裏面294−tから表面294−hへと透過した後、ロッドレンズアレイ297により正立等倍で結像される。こうして、感光体ドラム21表面にスポットが形成される。
【0036】
図5は第1実施形態におけるヘッド基板裏面の構成を示す部分平面図であり、ヘッド基板表面294−hからヘッド基板裏面294−tを平面視した場合に相当する。同図に示すように、ヘッド基板裏面294−tには、2N個の発光素子E(1)〜E(N)、E(1)〜E(N)が長手方向LGDに発光素子ピッチPeで直線状に並んでいる。ここでNは2以上の整数である。さらに、本実施形態では、2個の光センサSC1、SC2および2個の検出回路DC1、DC2が、ヘッド基板裏面294−tに配置されている。
【0037】
同図に示すように、N個の発光素子E(1)〜E(N)毎にグループ化されて、発光素子群EG1、EG2が形成されている。また、発光素子群EG1、EG2のそれぞれにおいて、N個の発光素子E(1)〜E(N)が長手方向LGDの一方側から他方側へ順番に並んでいる。さらに、発光素子群EG1、EG2のそれぞれにおいて、長手方向LGDの一方側から数えてk番目の発光素子に対して符号E(k)が付されている。ここで、kは、各発光素子群EG1、EG2の発光素子を特定するための変数であり、1以上N以下の整数値をとる。
【0038】
各発光素子群EG1、EG2は、長手方向LGDに幅Wegを有している。ここで、幅Wegは発光素子群の長手方向LGD両端にある2個の発光素子E(1)、E(N)それぞれの中心間の長手方向LGDにおける距離であり、発光素子の中心は発光素子の発光面の幾何重心として求めることができる。また、2個の発光素子群EG1、EG2に一対一で対応して2個の光センサSC1、SC2が設けられている。光センサとの関係は発光素子群EG1と発光素子群EG2とで共通するので、ここでは、光センサとの関係について発光素子群EG1を用いて説明することとし、発光素子群EG1以外については相当符号を付して説明を省略する。光センサSC1は、発光素子群EG1を長手方向LGDに2等分する仮想中心線HLを外れて、当該仮想中心線HLの長手方向LGDの一方側にある。この仮想中心線HLは、発光素子群EG1の長手方向LGDの一方側端部にある発光素子E(1)の中心を通って長手方向LGDに垂直な仮想線CT(1)と、発光素子群EG1の長手方向LGDの他方側端部にある発光素子E(N)の中心を通って長手方向LGDに垂直な仮想線CT(N)との中心線として求めることができ、換言すれば、発光素子E(1)の中心と発光素子E(N)の中心との中点を通るとともに長手方向LGDに垂直な線として求めることができる。
【0039】
より詳細には、長手方向LGDにおいて2本の仮想線CT(1)、CT(N)の間であって、仮想線CT(1)から長手方向LGDに距離Weg/4の位置に光センサSC1の中心が位置している。ここで、光センサSCの中心とは、光センサSCの受光面の幾何重心として求めることができる。このセンサSC1の受光面はヘッド基板裏面294−tに対向している。したがって、発光素子群EG1の発光素子E(1)等が射出した光のうち、ヘッド基板294表面294−hで反射された光がセンサSC1の受光面に到達して、センサSC1に検出される。センサSC1は検出回路DC1に配線WLにより接続されており、光を受光したセンサSC1は受光量に応じたレベルの信号を検出回路DC1に出力する。こうして、センサSC1と検出回路DC1で光検出系LDS1を構成している。
【0040】
ところで、発光素子Eの点灯(発光)は点灯制御回路ECT(図6)により実行される。具体的には、点灯制御回路ECTは、ヘッドコントローラHCからのビデオデータVDに基づく駆動信号により発光素子E(1)〜E(N)を点灯させる。そして、発光素子E(1)〜E(N)は駆動信号のレベルに応じた光量で点灯する。しかしながら、上述の通り発光素子E(1)〜E(N)は劣化して光量がしだいに低下する。そこで、本実施形態では、画像形成装置の起動時等の露光動作を行っていないタイミングで、発光素子E(1)〜E(N)の光量を検出する。そして、光量検出で実測された光量に基づいて、駆動信号を補正する。これにより、発光素子E(1)〜E(N)の劣化によらず、発光素子E(1)〜E(N)を所望の光量で発光させることができる。以下に、この光量検出について説明する。
【0041】
図6は、第1実施形態におけるラインヘッドが備える電気的構成を示すブロック図である。また、図7は、図6の電気的構成が実行する発光素子の光量検出を示すフローチャートである。これらの図を用いて、発光素子Eの光量検出(光検出)について説明する。まず、ステップS110で、CPUが検出制御回路DCTに光量検出を行うように指示する。これにより、以後の光量検出が検出制御回路DCTの制御の下で実行される。ステップS120では、変数kに値1が設定される。そして、検出制御回路DCTは、第1の光検出系LDS1による発光素子群EG1の光量検出(ステップS130)、および第2の光検出系LDS1による発光素子群EG2の光量検出(ステップS140)を並行して実行する。これにより、露光ヘッド29が備える全発光素子の光量検出を短時間で終了することができる。
【0042】
図8は第1実施形態における第1の光検出系による光量検出を示すフローチャートであり、図9は第1実施形態における第2の光検出系による光量検出を示すフローチャートである。第1の光検出系LDS1と第2の光検出系LDS2とは同様の光量検出を実行するので、ここでは図8を用いて第1の光検出系LDS1の光量検出のみについて説明する。ステップS131では発光素子E(k)が所定時間点灯する。ステップS132では発光素子E(k)からの光を受光した光センサSC1の出力信号が、増幅回路AMP1で増幅される。そして、増幅回路AMP1の出力値がA/DコンバータADC1でデジタル信号に変換されてメモリMMbに記憶される。ステップS133ではkがNと等しいか否かが判断される。ステップS133で等しくないと判断された場合(ステップS133で「NO」の場合)は、ステップS134に進んでkが1だけインクリメントされた後、ステップS131に戻る。一方、ステップS133で等しいと判断された場合(ステップS133で「YES」の場合)は、発光素子群EG1の光量検出が完了(つまり、発光素子E(1)〜E(N)の全ての光量検出が完了)したとして、図7のフローチャートに戻る。こうして、発光素子群EG1において、発光素子E(1)〜E(N)を長手方向LGDの一方側から他方側に向けて順次点灯させて、発光素子E(1)〜E(N)それぞれの光量が検出される。ステップS160では、検出制御回路DCTがCPUに光量の検出完了を通知する。これを受けてCPUは、メモリMMbに記憶されている光量検出結果から、駆動信号を補正するための補正データを演算して、この演算結果をメモリMMaに格納する(ステップS108)。
【0043】
なお、上記検出完了通知は、発光素子群EG1の光量検出(ステップS130)および発光素子群EG2の光量検出(ステップS140)のいずれもが完了した時点で通知される。また、本実施形態では、発光素子群EG1および発光素子群EG2はいずれもN個の発光素子E(1)〜E(N)で構成されているため、各発光素子群EG1、EG2の光量検出は略同時に完了する。よって、未完了の一方の発光素子群EGの光量検出が完了するための待機時間の発生が抑制されて、露光ヘッド29が有する全ての発光素子の光量検出を速やかに行うことが可能となっている。
【0044】
このように第1実施形態では、光センサSC1、SC2はそれぞれ対応する発光素子群EG1、EG2の仮想中心線HLを外れた位置に配置されている。したがって、クロストークの発生を抑制して、発光素子E(1)〜E(N)の光量を高精度に求めることが可能となっている。この理由について、図10および図11を用いて説明する。
【0045】
図10は、光センサが対応する発光素子群の仮想中心線に配置された場合を示す図である。図11は、光センサが対応する発光素子群の仮想中心線を外れた位置に配置された場合を示す図であり、本実施形態の構成を示している。これらの図の上段の欄は、発光素子と光センサとの関係を示しており、同図下段の欄は光センサSCの出力を示している。横軸Xdは、各発光素子の長手方向LGDにおける位置を示している。「光センサ出力」の欄の縦軸Yvは、横軸Xdに示す位置の発光素子からの光を受光した光センサSC1、SC2の出力レベル(電圧V)を示している。なお、「光センサ出力」の欄に示す出力特性は、各発光素子が互いに等しい所定の光量で発光した場合の出力特性に相当する。また、同図の二点鎖線CTsc1、CTsc2のそれぞれは、光センサSC1の中心を通り長手方向LGDに垂直な仮想線と、光センサSC2の中心を通り長手方向LGDに垂直な仮想線とを表している。「光センサ出力」の欄に示すように、各光センサSC1、SC2は、それぞれのセンサ中心線CTsc1、CTsc2にある発光素子の光量検出値がピークとなる出力特性を有している。
【0046】
上述したように、発光素子群EG1の光量検出は、発光素子群EG2の光量検出に並行して実行される。また、発光素子群EG1、EG2のそれぞれにおいて、長手方向LGDの一方側から他方側に向けて発光素子E(1)〜E(N)が順次点灯する。したがって、例えば、光センサSC1により発光素子群EG1の発光素子E(1)の光量を検出している間、発光素子群EG2の発光素子E(1)が点灯している。このため、発光素子群EG1の発光素子E(1)からの光LB1と、発光素子EG2の発光素子E(1)からの光LB2の両方が、光センサSC1に到達する。
【0047】
そして、図10に示す構成では、光センサSC1は発光素子群EG1の仮想中心線HL上にある。したがって、発光素子群EG2の発光素子E(1)から光センサSC1までの距離と、発光素子群EG1の発光素子E(1)から光センサSC1までの距離とは、略等しい。よって、光LB2を受光した光センサSC1の出力OP2と、光LB1を受光した光センサSC1の出力OP1とは略等しく、クロストークが発生している。
【0048】
一方、図11に示す本実施形態の構成では、光センサSC1は、仮想中心線HLの長手方向LGDの一方側に配置されている。したがって、発光素子群EG2の発光素子E(1)から光センサSC1までの距離は、発光素子群EG1の発光素子E(1)から光センサSC1までの距離よりもはるかに遠い。よって、光LB2を受光した光センサSC1の出力OP2は、光LB1を受光した光センサSC1の出力OP1と比較して極めて小さく、クロストークの発生が抑制されている。その結果、本実施形態では、発光素子E(1)〜E(N)の光量を高精度に求めることが可能となっている。
【0049】
また、第1実施形態は、発光素子E(1)〜E(n)および光センサSC1、SC2をヘッド基板294(光透過性部材)に配設しており好適である。つまり、このような構成では、発光素子E(1)〜E(n)からの光はヘッド基板294を透過して、光センサSC1、SC2に到達する。この際、光はヘッド基板294に吸収されながら、光透過性部材を透過する。よって、光センサSC1、SC2から離れた発光素子からの光が十分に減衰して、その大部分は光センサSC1、SC2に到達しない。つまり、図11に示した例では、ヘッド基板294の光吸収機能により光LB2を十分に減衰させることができる。その結果、クロストークの抑制をより確実に奏することが可能となり、発光素子の光量をより高精度に求めることが可能となる。
【0050】
以上のように、第1実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、光センサSC1が本発明の「第1の光センサ」に相当し、光センサSC2が本発明の第2の光センサに相当し、発光素子群EG1が本発明の「第1の発光素子群」に相当し、発光素子群EG2が本発明の「第2の発光素子群」に相当し、長手方向LGDが本発明の「第1方向」に相当し、発光素子群EG1における発光素子E(1)の中心と発光素子E(N)の中心との中点が、本発明の「第1の発光素子群の発光素子の第1方向の配設中心」に相当し、発光素子群EG2における発光素子E(1)の中心と発光素子E(N)の中心との中点が、本発明の「第2の発光素子群の発光素子の第1方向の配設中心」に相当し、発光素子群EG1の仮想中心線HLが本発明の「第1の仮想線」に相当し、発光素子群EG2の仮想中心線HLが本発明の「第2の仮想線」に相当している。また、図6に示したようにCPUおよび検出制御回路DCTが本発明の「制御部」に相当している。
【0051】
B.第2実施形態
図12は第2実施形態におけるヘッド基板裏面の構成を示す部分平面図であり、ヘッド基板表面294−hからヘッド基板裏面294−tを平面視した場合に相当する。同図に示すように、ヘッド基板裏面294−tには、3N個の発光素子E(1)〜E(N)、E(1)〜E(N)、E(1)〜E(N)が長手方向LGDに発光素子ピッチPeで直線状に並んでいる。ここでNは2以上の整数である。N個の発光素子E(1)〜E(N)毎にグループ化されて、発光素子群EG1、EG2、EG3が形成されている。また、第2実施形態では、発光素子群EG1、EG2、EG3それぞれに対して2個ずつ光センサが設けられており、具体的には、光センサSC1−1、SC1−2(発光素子群EG1用)、光センサSC2−1、SC2−2(発光素子群EG2用)、光センサSC3−1、SC3−2(発光素子群EG3用)が設けられている。さらに、光センサSC1−1、SC1−2は検出回路DC1に配線WLを介して接続されており、光センサSC1−1、SC1−2と検出回路DC1とで光検出系LDS1が構成されている。同様にして、光センサSC2−1、SC2−2と検出回路DC2とで光検出系LDS2が構成され、光センサSC3−1、SC3−2と検出回路DC3とで光検出系LDS3が構成されている。
【0052】
光センサとの関係は3個の発光素子群EG1、EG2、EG3で共通するので、ここでは、光センサとの関係について発光素子群EG1を用いて説明することとし、発光素子群EG1以外については相当符号を付して説明を省略する。光センサSC1−1は、発光素子群EG1を長手方向LGDに2等分する仮想中心線HLを外れて、当該仮想中心線HLの長手方向LGDの一方側にある。これに対して、光センサSC1−2は発光素子群EG1の仮想中心線HLを外れて、当該仮想中心線HLの長手方向LGDの他方側にある。より詳細には、長手方向LGDにおいて2本の仮想線CT(1)、CT(N)の間であって、仮想線CT(1)から長手方向LGDに距離Weg/4の位置に光センサSC1−1の中心が位置している。また、長手方向LGDにおいて2本の仮想線CT(1)、CT(N)の間であって、仮想線CT(N)から長手方向LGDに距離Weg/4の位置に光センサSC1−2の中心が位置している。光センサSC1−1は、発光素子群EG1の仮想中心線HLの長手方向LGD一方側にある発光素子E(1)〜E(m)の光量を検出するために用いられる。これに対して、光センサSC1−2は、発光素子群EG1の仮想中心線HLの長手方向LGD他方側にある発光素子E(m+1)〜E(N)の光量を検出するために用いられる。ここで、mは整数である。センサSC1−1、SC1−2の受光面はヘッド基板裏面294−tに対向している。したがって、発光素子群EG1の発光素子E(1)等が射出した光のうち、ヘッド基板294表面294−hで反射された光がセンサSC1−1、SC1−2の受光面に到達する。そして、光センサSC1は受光量に応じたレベルの信号を検出回路DC1に出力する。以下に、このような構成を有する第2実施形態での光量検出について説明する。
【0053】
図13は、第2実施形態におけるラインヘッドが備える電気的構成を示すブロック図である。また、図14は、図13の電気的構成が実行する発光素子の光量検出を示すフローチャートである。これらの図を用いて、発光素子Eの光量検出(光検出)について説明する。まず、ステップS210で、CPUが検出制御回路DCTに光量検出を行うように指示する。これにより、以後の光量検出が検出制御回路DCTの制御の下で実行される。ステップS220では、変数kに値1が設定される。そして、検出制御回路DCTは、第1の光検出系LDS1による発光素子群EG1の光量検出(ステップS230)、第2の光検出系LDS1による発光素子群EG2の光量検出(ステップS240)、および第3の光検出系LDS1による発光素子群EG2の光量検出(ステップS250)を並行して実行する。これにより、露光ヘッド29が備える全発光素子の光量検出を短時間で終了することができる。
【0054】
図15は第2実施形態における第1の光検出系による光量検出を示すフローチャートであり、図16は第2実施形態における第2の光検出系による光量検出を示すフローチャートであり、図17は第2実施形態における第3の光検出系による光量検出を示すフローチャートである。第1の光検出系LDS1、第2の光検出系LDS2および第3の光検出系LDS3は同様の光量検出を実行するので、ここでは図15を用いて第1の光検出系LDS1の光量検出のみについて説明する。概要としては、同図フローチャートの前半で発光素子E(1)〜E(m)についてこの順番で光量検出した後、同図フローチャートの後半で発光素子E(m+1)〜E(N)についてこの順番で光量検出する。
【0055】
ステップS2301では、検出制御回路DCTの選択指令に基づいて、光センサ選択スイッチSW1が光センサSC1−1を選択する。これにより、光センサSC1−1、SC1−2のうち光センサSC1−1のみが増幅回路AMP1と電気的に接続される。つまり、光センサSC1−1、SC1−2のうち、検出対象となる発光素子E(1)〜E(m)に近い方の光センサSC1−1により光量検出を行う。次に、ステップS2302では、発光素子E(k)が所定時間点灯する。ステップS2303では発光素子E(k)からの光を受光した光センサSC1−1の出力信号が、増幅回路AMP1で増幅される。そして、増幅回路AMP1の出力値がA/DコンバータADC1でデジタル信号に変換されてメモリMMbに記憶される。ステップS2304では変数kが値mに等しいか否かが判断される、ステップS2304で等しくないと判断された場合(ステップS2304で「NO」の場合)は、ステップS2305に進んで変数kが1だけインクリメントされた後、ステップS2302に戻る。一方、ステップS2304で等しいと判断された場合(ステップS2304で「YES」の場合)は、光センサSC1−1による発光素子E(1)〜E(m)の光量検出が完了したとして、ステップS2306に進む。
【0056】
ステップS2306では、検出制御回路DCTの選択指令に基づいて、光センサ選択スイッチSW1が光センサSC1−2を選択する。これにより、光センサSC1−1、SC1−2のうち光センサSC1−2のみが増幅回路AMP1と電気的に接続される。つまり、光センサSC1−1、SC1−2のうち、検出対象となる発光素子E(m+1)〜E(N)に近い方の光センサSC1−2により光量検出を行う。次に、ステップS2307では変数kに値m+1が設定される。ステップS2308では、発光素子E(k)が所定時間点灯する。ステップS2309では発光素子E(k)からの光を受光した光センサSC1−2の出力信号が、増幅回路AMP1で増幅される。そして、増幅回路AMP1の出力値がA/DコンバータADC1でデジタル信号に変換されてメモリMMbに記憶される。ステップS2310では変数kが値Nに等しいか否かが判断される、ステップS2310で等しくないと判断された場合(ステップS2310で「NO」の場合)は、ステップS2311に進んで変数kが1だけインクリメントされた後、ステップS2302に戻る。一方、ステップS2311で等しいと判断された場合(ステップS2311で「YES」の場合)は、光センサSC1−2による発光素子E(m+1)〜E(N)の光量検出が完了したとして、図14のフローチャートに戻る。こうして、発光素子群EG1において、発光素子E(1)〜E(N)を長手方向LGDの一方側から他方側に向けて順次灯させて、発光素子E(1)〜E(N)それぞれの光量が検出される。ステップS260では、検出制御回路DCTがCPUに光量の検出完了を通知する。これを受けてCPUは、メモリMMbに記憶されている光量検出結果から、駆動信号を補正するための補正データを演算して、この演算結果をメモリMMaに格納する(ステップS270)。
【0057】
なお、上記検出完了通知は、発光素子群EG1の光量検出(ステップS230)発光素子群EG2の光量検出(ステップS240)および発光素子群EG3の光量検出(ステップS250)のいずれもが完了した時点で通知される。また、本実施形態では、発光素子群EG1、発光素子群EG2および発光素子群EG2はいずれもN個の発光素子E(1)〜E(N)で構成されているため、各発光素子群EG1、EG2、EG3の光量検出は略同時に完了する。よって、未完了の一方の発光素子群EGの光量検出が完了するための待機時間の発生が抑制されて、露光ヘッド29が有する全ての発光素子の光量検出を速やかに行うことが可能となっている。
【0058】
このように第2実施形態では、光センサSC1−1、…、SC3−2はそれぞれ対応する発光素子群EG1、EG2、EG3の仮想中心線HLを外れた位置に配置されている。したがって、クロストークの発生を抑制して、発光素子E(1)〜E(N)の光量を高精度に求めることが可能となっている。この理由について、図18を用いて説明する。ここで図18は、第2実施形態の効果の説明図である。同図の上段の欄は、発光素子と光センサとの関係を示しており、同図下段の欄は光センサSCの出力を示している。横軸Xdは、各発光素子の長手方向LGDにおける位置を示している。「光センサ出力」の欄の縦軸Yvは、横軸Xdに示す位置の発光素子からの光を受光した各光センサSC1−1、SC1−2、SC2−1、SC2−2、SC3−1、SC3−2の出力レベル(電圧V)を示している。なお、「光センサ出力」の欄に示す出力特性は、各発光素子が互いに等しい所定の光量で発光した場合の出力特性に相当する。また、同図の二点鎖線CTsc1−1、CTsc1−2、CTsc2−1、CTsc2−2、CTsc3−1、CTsc3−2のそれぞれは、光センサSC1の中心を通り長手方向LGDに垂直な仮想線と、光センサSC2の中心を通り長手方向LGDに垂直な仮想線とを表している。。「光センサ出力」の欄に示すように、各光センサSC1−1、SC1−2、SC2−1、SC2−2、SC3−1、SC3−2は、それぞれのセンサ中心を通る仮想線CTsc1−1、CTsc1−2、CTsc2−1、CTsc2−2、CTsc3−1、CTsc3−2にある発光素子の光量検出値がピークとなる出力特性を有している。
【0059】
上述したように、発光素子群EG2の光量検出は、発光素子群EG3の光量検出に並行して実行される。また、この光量検出では、発光素子群EG2、EG3のそれぞれにおいて、長手方向LGDの一方側から他方側に向けて発光素子E(1)〜E(N)が順次点灯する。したがって、例えば、発光素子群EG2の発光素子E(1)の光量を検出している間、発光素子群EG3の発光素子E(1)が点灯している。このため、発光素子群EG2の発光素子E(1)からの光LB1と、発光素子EG3の発光素子E(1)からの光LB2の両方が、光センサSC2−1、SC2−2に到達する。但し、第2実施形態は、光センサSC2−1、SC2−2から選択した1個の光センサにより光量検出を実行している。したがって、少なくとも選択した光センサについて光LB2のクロストークが抑制されていれば、良好な光量検出ができる。そこで、第2実施形態では、発光素子E(1)の光量検出は当該仮想中心線HLの長手方向LGD一方側の光センサSC2−1により行われる。つまり、発光素子群EG3の発光素子E(1)から光センサSC2−1までの距離は、発光素子群EG2の発光素子E(1)から光センサSC2−1までの距離よりもはるかに遠い。よって、光LB2を受光した光センサSC2−1の出力OP2は、光LB1を受光した光センサSC2−1の出力OP1と比較して極めて小さく、クロストークの発生が抑制されている。同様にして、発光素子E(2)〜E(m)の各光量検出において、クロストークの発光が抑制される。
【0060】
また、発光素子群EG2の光量検出は、発光素子群EG3のみならず発光素子群EG1の光量検出にも並行して実行される。また、この光量検出では、発光素子群EG1、EG2のそれぞれにおいて、長手方向LGDの一方側から他方側に向けて発光素子E(1)〜E(N)が順次点灯する。したがって、例えば、発光素子群EG2の発光素子E(N)の光量を検出している間、発光素子群EG1の発光素子E(N)が点灯している。このため、発光素子群EG2の発光素子E(N)からの光LB3と、発光素子EG1の発光素子E(N)からの光LB4の両方が、光センサSC2−1、SC2−2に到達する。但し、第2実施形態は、光センサSC2−1、SC2−2から選択した1個の光センサにより光量検出を実行している。したがって、少なくとも選択した光センサについて光LB4のクロストークが抑制されていれば、良好な光量検出ができる。そこで、発光素子E(N)の光量検出は当該仮想中心線HLの長手方向LGD他方側の光センサSC2−2により行われる。つまり、発光素子群EG1の発光素子E(N)から光センサSC2−2までの距離は、発光素子群EG2の発光素子E(N)から光センサSC2−2までの距離よりもはるかに遠い。よって、光LB4を受光した光センサSC2−2の出力OP4は、光LB3を受光した光センサSC2−2の出力OP3と比較して極めて小さく、クロストークの発生が抑制されている。同様にして、発光素子E(m+1)〜E(N-1)の各光量検出において、クロストークの発光が抑制される。こうして、第2実施形態では、発光素子E(1)〜E(N)の光量を高精度に求めることが可能となっている。
【0061】
C.その他
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、発光素子群の発光素子を順次点灯させるにあたり、図5または図12の左側から順番に発光素子Eを点灯させていた。しかしながら、発光素子Eの点灯順序はこれに限られない。
【0062】
また、上記実施形態では、1個の発光素子群に対して1個または2個の光センサが設けられていたが、1個の発光素子群に対して設けられる光センサの個数はこれに限られない。
【0063】
また、上記実施形態では、複数の発光素子Eを長手方向LGDに直線状に並べているが、複数の発光素子Eを長手方向LGDに2列千鳥あるいは3列以上の千鳥で並べても良い。
【0064】
また、上記実施形態では、有機EL素子を発光素子Eとして用いたが、LED(Light-Emitting Diodes)を発光素子Eとして用いても良い。
【0065】
また、上記実施形態では、光センサはヘッド基板裏面294−tに配置されているが、光センサの配置位置はこれに限られず、例えばヘッド基板表面294−hであっても良い。この場合、光センサの受光面をヘッド基板表面294−hに対向させておけば、光センサは発光素子からの光を受光することができる。
【0066】
また、上記実施形態では、各発光素子群EG1等は互いに同じ個数の発光素子から構成されているが、各発光素子群EG1等は互いに異なる個数の発光素子から構成されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態にかかる画像形成装置の一実施形態を示す図。
【図2】図1の画像形成装置の電気的構成を示す図。
【図3】ラインヘッドの構造を示す部分斜視図。
【図4】ラインヘッドの幅方向断面を示す部分断面図。
【図5】第1実施形態におけるヘッド基板裏面の構成を示す部分平面図。
【図6】第1実施形態におけるラインヘッドが備える電気的構成を示すブロック図。
【図7】図6の電気的構成が実行する発光素子の光量検出を示すフローチャート。
【図8】第1実施形態における第1の光検出系による光量検出を示すフローチャート。
【図9】第1実施形態における第2の光検出系による光量検出を示すフローチャート。
【図10】光センサが仮想中心線に配置された場合を示す図。
【図11】光センサが仮想中心線を外れた位置に配置された場合を示す図。
【図12】第2実施形態におけるヘッド基板裏面の構成を示す部分平面図。
【図13】第2実施形態におけるラインヘッドが備える電気的構成を示すブロック図。
【図14】図13の電気的構成が実行する発光素子の光量検出を示すフローチャート。
【図15】第2実施形態における第1の光検出系による光量検出を示すフローチャート。
【図16】第2実施形態における第2の光検出系による光量検出を示すフローチャート。
【図17】第2実施形態における第3の光検出系による光量検出を示すフローチャート。
【図18】第2実施形態の効果の説明図。
【符号の説明】
【0068】
29…ラインヘッド、 297…ロッドレンズアレイ297、 DC1…検出回路、 DC2…検出回路、 DCT…検出制御回路、 LDS1,LDS2…光検出系、 E(1),E(k),E(N),E(m),E(m+1)…発光素子、 ECT…点灯制御回路、 EG1,EG2,EG3…発光素子群、 HC…ヘッドコントローラ、 LGD…長手方向、 LTD…幅方向、 MD…主走査方向、 SD…副走査方向、 SC1,SC2,SC1−1,SC1−2,SC2−1,SC2−2,SC3−1,SC3−2…光センサ、 HL…仮想中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光センサと、
第2の光センサと、
発光した光が前記第1の光センサにより受光されるとともに、第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第1の発光素子群と、
発光した光が前記第2の光センサにより受光されるとともに、前記第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第2の発光素子群と
を備え、
前記第1の光センサは、前記第1の発光素子群の前記発光素子の前記第1の方向の配設中心を通る前記第1の方向に垂直な第1の仮想線を外して配設され、
前記第2の光センサは、前記第2の発光素子群の前記発光素子の前記第1方向の配設中心を通る前記第1の方向に垂直な第2の仮想線を外して配設されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項2】
前記第1の発光素子群の前記発光素子を発光させて当該発光素子の光量を前記第1の光センサにより検出するとともに、前記第2の発光素子群の前記発光素子を発光させて当該発光素子の光量を前記第2の光センサにより検出するように制御する制御部を備えた請求項1に記載の露光ヘッド。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の発光素子群の前記発光素子を前記第1方向の一方側から他方側に順次発光させるとともに、前記第2の発光素子群の前記発光素子を前記第1方向の前記一方側から前記他方側に順次発光させる請求項2に記載の露光ヘッド。
【請求項4】
前記第1の光センサは前記第1の仮想線の前記第1方向の前記一方側に配設され、前記第2の光センサは前記第2の仮想線の前記第1方向の前記一方側に配設されている請求項3に記載の露光ヘッド。
【請求項5】
前記第1の発光素子群の前記発光素子の個数と、前記第2の発光素子群の前記発光素子の個数とが同じである請求項2ないし4のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項6】
前記第1の発光素子群の発光素子、前記第2の発光素子群の発光素子、前記第1の光センサおよび前記第2の光センサは光透過部材に配設されている請求項1ないし5のいずれか一項に記載の露光ヘッド。
【請求項7】
第1の方向に配設された発光素子と、
前記発光素子からの光を受光する光センサと
を備え、
前記光センサは、前記発光素子の前記第1の方向の配設中心を通る前記第1の方向に垂直な仮想線を外して配設されていることを特徴とする露光ヘッド。
【請求項8】
第1の光センサ、第2の光センサ、発光した光が前記第1の光センサにより受光されるとともに第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第1の発光素子群、および、発光した光が前記第2の光センサにより受光されるとともに前記第1の方向に配設された2個以上の発光素子を有する第2の発光素子群を有する露光ヘッドと、
前記露光ヘッドにより露光される潜像担持体と
を備え、
前記第1の光センサは、前記第1の発光素子群の前記発光素子の前記第1の方向の配設中心を通る前記第1の方向に垂直な第1の仮想線を外して配設され、
前記第2の光センサは、前記第2の発光素子群の前記発光素子の前記第1の方向の配設中心を通る前記第1の方向に垂直な第2の仮想線を外して配設されていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−99945(P2010−99945A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−273885(P2008−273885)
【出願日】平成20年10月24日(2008.10.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】