説明

露光装置、画像形成装置、および露光装置の製造方法

【課題】複数の発光素子が配置された基板を支持部材の基板当接面に簡易な構成で押し付ける。
【解決手段】LEDヘッド15Bkは、長手方向に沿って下面31a上に複数の発光素子が配置された基板31と、基板当接面S1上に基板31を支持するレンズアレイホルダ34と、基板31を基板当接面S1に押し付けるための弾性変形可能な板状のベース35とを備える。ベース35は、基板31の長手方向両端部に対応する位置に基板31側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部4,5を有し、レンズアレイホルダ34と係合することにより基板31の上面31bと直交する方向に弾性変形し、その弾性復元力により屈曲部4,5で基板31の長手方向両端部を押圧する状態で設置されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置、画像形成装置、および露光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(例えば、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等)では、帯電された感光体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置(例えばLEDヘッド)が用いられる。
【0003】
露光装置は、例えば、LEDアレイが搭載された基板と、LEDアレイに対向するように配置されるロッドレンズアレイと、基板およびロッドレンズアレイを支持するレンズアレイホルダとを有する(例えば、特許文献1を参照)。この露光装置では、LEDアレイから出射された光は、ロッドレンズアレイを通過して収束させられ、ロッドレンズアレイの結像位置に配置された感光体の表面に照射され、静電潜像が形成される。
【0004】
特許文献1には、基板をレンズアレイホルダに組み付ける技術として、レンズアレイホルダに形成された基板当接面上に基板を載置し、基板を基板当接面に押し付けるためのベース(押圧部材)を基板上に組み付けるものが開示されている。特許文献1に記載の技術では、ベースには、その幅方向の両縁に、長さ方向における複数個所に、幅方向外方に突出する突起部が設けられる。また、ベースの各突起部の幅方向内方にはスリットが形成され、ベースの各突起部の両側には細いブリッジ部が形成される。ベースの幅方向の両縁の突起間の距離は、レンズアレイホルダの内壁間の距離より大きい。一方、レンズアレイホルダの内壁には、ベースの各突起部と対応する位置に、突起部と対応する形状の溝が形成される。ベースの組み付けの際には、ベースは、レンズアレイホルダ内に基板に向けて下方に挿入される。このとき、ベースの突起部は、レンズアレイホルダの内壁に押し当てられ、ブリッジ部の撓みにより内側に変位させられる。ベースが基板に当接した後、突起部はさらに下方に押し下げられる。これにより、ブリッジ部は下方に撓み、続いて、突起部がブリッジ部の付勢力によって溝内に侵入し、ブリッジ部が下方に撓んだ状態で突起部が溝に係止される。ブリッジ部が元の形状に戻ろうとすることにより、ベースは基板を基板当接面に押し付ける押圧力を発生させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−298155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の技術では、複数の発光素子が配置された基板を支持部材の基板当接面に押し付けるための構成が複雑である。
【0007】
本発明は、複数の発光素子が配置された基板を支持部材の基板当接面に簡易な構成で押し付けることができる露光装置、画像形成装置、および露光装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る露光装置は、第1の面とその反対側の第2の面とを有する基板であって、その長手方向に沿って前記第1の面上に複数の発光素子が配置された基板と、前記基板の第1の面と当接する基板当接面を有し、前記基板当接面上に前記基板を支持する支持部材と、前記基板の第2の面上に前記基板の長手方向に沿って設置され、前記基板を前記基板当接面に押し付けるための弾性変形可能な板状の押圧部材であって、前記基板の長手方向両端部に対応する位置に前記基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有する押圧部材とを備え、前記押圧部材は、前記支持部材と係合することにより前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形し、その弾性復元力により前記一対の屈曲部で前記基板の長手方向両端部を押圧する状態で設置されるように構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、前記静電潜像担持体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置とを有し、前記露光装置は、第1の面とその反対側の第2の面とを有する基板であって、その長手方向に沿って前記第1の面上に複数の発光素子が配置された基板と、前記基板の第1の面と当接する基板当接面を有し、前記基板当接面上に前記基板を支持する支持部材と、前記基板の第2の面上に前記基板の長手方向に沿って設置され、前記基板を前記基板当接面に押し付けるための弾性変形可能な板状の押圧部材であって、前記基板の長手方向両端部に対応する位置に前記基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有する押圧部材とを備え、前記押圧部材は、前記支持部材と係合することにより前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形し、その弾性復元力により前記一対の屈曲部で前記基板の長手方向両端部を押圧する状態で設置されるように構成されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る露光装置の製造方法は、第1の面とその反対側の第2の面とを有する基板であって、その長手方向に沿って前記第1の面上に複数の発光素子が配置された基板と、前記基板の第1の面と当接する基板当接面を有し、前記基板当接面上に前記基板を支持する支持部材とを備える組立体を用意する工程と、前記基板を前記基板当接面に押し付けるための弾性変形可能な板状の押圧部材であって、前記基板の長手方向両端部に対応する位置に前記基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有する押圧部材を、前記基板の第2の面上に前記基板の長手方向に沿って設置する工程とを含み、前記設置する工程では、前記押圧部材の長手方向の一端部の前記基板側とは反対側を向く面を前記支持部材の一方側に設けられた押さえ部に当接させた後、前記一対の屈曲部を前記基板の第2の面に押し付け、前記押圧部材を前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形させながら、前記押圧部材の長手方向の他端部の前記基板側とは反対側を向く面を前記支持部材の他方側に設けられた押さえ部に当接させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、複数の発光素子が配置された基板を支持部材の基板当接面に簡易な構成で押し付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1における露光装置を有する画像形成装置の構成を示す概略図である。
【図2】実施の形態1におけるLEDヘッドおよび感光体ドラムを示す横断面図である。
【図3】実施の形態1におけるLEDヘッドおよび感光体ドラムを示す縦断面図である。
【図4】実施の形態1におけるベース、基板、およびレンズアレイホルダの構成を示す図である。
【図5】実施の形態1におけるLEDヘッドの製造手順を説明するための図である。
【図6】実施の形態2におけるLEDヘッドおよび感光体ドラムを示す横断面図である。
【図7】実施の形態2におけるベースの構成を示す図である。
【図8】実施の形態2におけるLEDヘッドの製造手順を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
実施の形態1.
[画像形成装置の構成]
図1は、本実施の形態における露光装置(露光ユニット)を有する画像形成装置11の構成を示す概略図である。この画像形成装置11は、露光装置を用いて画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置11は、電子写真方式の印刷装置であり、露光装置により静電潜像担持体に光を照射して静電潜像を形成し、当該静電潜像を現像剤で現像することにより、記録媒体上に画像を形成する。
【0014】
図1の例では、画像形成装置11は、電子写真カラープリンタであり、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の画像を形成する画像形成部である画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cを有する。画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cは、記録媒体としての用紙の搬送経路に沿って配置される。なお、記録媒体としては、用紙の他に、OHPシート、封筒、複写紙、特殊紙等を使用することができる。
【0015】
画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cは、それぞれ、静電潜像担持体としての感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cと、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cの表面を一様に帯電させる帯電装置としての帯電ローラ14Bk,14Y,14M,14Cと、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cの表面に形成された静電潜像に現像剤としての不図示のトナーを付着させて可視像である各色のトナー像を形成する現像剤担持体としての現像ローラ16Bk,16Y,16M,16Cとを備えている。また、画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cは、それぞれ、現像剤供給部材としてのトナー供給ローラ18Bk,18Y,18M,18Cと、現像ブレード19Bk,19Y,19M,19Cと、トナーを収容するトナーカートリッジ20Bk,20Y,20M,20Cとを備えている。トナー供給ローラ18Bk,18Y,18M,18Cは、それぞれ、現像ローラ16Bk,16Y,16M,16Cに圧接するように配置され、トナーカートリッジ20Bk,20Y,20M,20Cから供給されたトナーを現像ローラ16Bk,16Y,16M,16Cに供給する。現像ブレード19Bk,19Y,19M,19Cは、それぞれ、現像ローラ16Bk,16Y,16M,16Cに圧接するように配置され、現像ローラ16Bk,16Y,16M,16C上において、トナー供給ローラ18Bk,18Y,18M,18Cから供給されたトナーを薄層化する。
【0016】
画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cにおける感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cより上方には、露光装置としてのLEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cが、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cと対向する位置に配置されている。LEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cは、それぞれ、各色の画像データに従って、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cを露光し、静電潜像を形成する装置である。
【0017】
画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cにおける感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cより下方には、転写ユニットが配置されている。転写ユニットは、転写装置としての転写ローラ17Bk,17Y,17M,17Cと、図1中の矢印e方向に走行自在に配置された、用紙を搬送する搬送部材としての搬送ベルト21とを備えている。転写ローラ17Bk,17Y,17M,17Cは、それぞれ、搬送ベルト21を介して感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cと対向して配置され、用紙をトナーと逆の極性に帯電させ、各色のトナー像を用紙に転写する。
【0018】
画像形成装置11の下部には、搬送ベルト21に用紙を供給するための給紙機構が配置されている。給紙機構は、ホッピングローラ22、レジストローラ23、媒体収容部としての用紙収容カセット24、および用紙収容カセット24内の用紙の色を測色する用紙色測色部25を備えている。さらに、搬送ベルト21の排出側には、定着装置28が設けられている。定着装置28は、加熱ローラおよびバックアップローラを有し、用紙上に転写されたトナーを加圧および加熱することによって定着させる装置である。定着装置28の排出側には、図示しない排出ローラおよびピンチローラと、用紙スタッカ29とが設けられている。
【0019】
[画像形成装置の動作]
次に、画像形成装置11の動作について説明する。
用紙収容カセット24内の用紙は、ホッピングローラ22によって繰り出され、レジストローラ23へ送られる。続いて、用紙は、レジストローラ23から搬送ベルト21に送られ、この搬送ベルト21の走行に伴って、画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cへと順に搬送される。
【0020】
画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cでは、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13Cの表面は、帯電ローラ14Bk,14Y,14M,14Cによって帯電され、LEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cによって露光され、静電潜像が形成される。感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13C上に形成された静電潜像には、現像ローラ16Bk,16Y,16M,16C上の薄層化されたトナーが静電的に付着し、各色のトナー像が形成される。感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13C上に形成された各色のトナー像は、転写ローラ17Bk,17Y,17M,17Cによって用紙に転写され、用紙上にカラーのトナー像が形成される。転写後に感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13C上に残留したトナーは、図示しないクリーニング装置によって除去される。
【0021】
カラーのトナー像が形成された用紙は、定着装置28に送られる。この定着装置28において、カラーのトナー像が用紙に定着され、カラー画像が形成される。トナー像が定着された用紙は、図示しない排出ローラおよびピンチロ一ラに挟持されながら搬送され、用紙スタッカ29に排出される。
【0022】
[露光装置(LEDヘッド)の構成]
次に、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13CとLEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cとの関係とともに、LEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cの構成について説明する。なお、画像形成ユニット12Bk,12Y,12M,12Cにおける、感光体ドラム13Bk,13Y,13M,13CとLEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cとのそれぞれの関係は互いに同じであり、LEDヘッド15Bk,15Y,15M,15Cの構成は互いに同じであるので、ここでは、感光体ドラム13BkとLEDヘッド15Bkとの関係とともに、LEDヘッド15Bkの構成についてだけ説明する。
【0023】
図2および図3は、それぞれ、実施の形態1におけるLEDヘッド15Bkおよび感光体ドラム13Bkを示す横断面図および縦断面図である。図2および図3に示されるように、LEDヘッド15Bkは、感光体ドラム13Bkと対向するように配置される。LEDヘッド15Bkは、基板31、ロッドレンズアレイ33、レンズアレイホルダ34、およびベース35を有する。
【0024】
基板31は、下面(第1の面)31aとその反対側の上面(第2の面)31bとを有し、長手方向(図2の左右方向、図3の紙面と直交する方向)に延びる長尺形状を有する。基板31の下面31aには、基板31の長手方向に沿って配列された複数の発光素子を有する発光素子アレイが搭載される。本例では、基板31の下面31aには、複数のLEDが直線状に配列されたLEDアレイを含むLEDアレイチップ32が、感光体ドラム13Bkと対向するように配置される。LEDアレイチップ32は、例えば複数のチップを1列に並べることにより構成される。基板31には、LEDアレイチップ32とともに、当該LEDアレイチップ32を制御するための図示しないドライバICが搭載される。なお、以下の説明においては、基板31の発光素子が配置された面(下面31a)が向く方向を「下」、その反対方向を「上」と称する。
【0025】
ロッドレンズアレイ33は、基板31上の複数の発光素子からの光を収束させるレンズであり、当該複数の発光素子と対向するように配置される。具体的には、ロッドレンズアレイ33は、LEDアレイチップ32と感光体ドラム13Bkとの間に配置され、収束性を有し、各LEDから出射された光を収束させる収束レンズである。
【0026】
レンズアレイホルダ34は、基板31およびロッドレンズアレイ33を支持する支持部材である。具体的には、レンズアレイホルダ34は、基板31の下面31aと当接する基板当接面S1を有し、当該基板当接面S1上に基板31を支持するとともに、基板当接面S1の下方にロッドレンズアレイ33を支持する。基板当接面S1は、例えば、下面31aのLEDアレイチップ32の周囲部分と当接するように設けられる。
【0027】
レンズアレイホルダ34は、例えば、アルミニウム材料を型に流し込んで製造されたダイカスト品、ガラス繊維で強化したポリアミドから成る汎用エンジニアリングプラスチックによる成型品、または板金と上記汎用エンジニアリングプラスチックとの複合成型品である。
【0028】
具体的には、レンズアレイホルダ34は、基板31の下面31aに垂直な方向(上下方向)に貫通する中空の部材であり、下方から上方に貫通する内部空間を有する。レンズアレイホルダ34は、内部空間側に突出するように設けられた突出部34aを有し、当該突出部34aの基板31側(上側)に基板当接面S1が形成されている。この基板当接面S1上には基板31が設置され、基板当接面S1に対し基板31側とは反対側(下側)にはロッドレンズアレイ33が設置される。すなわち、図3に示されるように、レンズアレイホルダ34の内部空間は、ロッドレンズアレイ33を収容する第1の領域R1と、当該第1の領域R1の上方に当該第1の領域R1と連通するように形成された第2の領域R2と、当該第2の領域R2の上方に当該第2の領域R2と連通するように形成された領域R3とを有する。第2の領域R2と第3の領域R3とは、基板当接面S1を含む平面により仕切られ、第3の領域R3の幅は第2の領域R2の幅より広くなっている。第2の領域R2の内周部には、段差(突出部34a)が形成され、当該段差の上面に基板当接面S1が形成される。図3において、段差は、レンズアレイホルダ34の短手方向(長手方向および上下方向と直交する方向であり、幅方向ともいう)の両側に設けられている。また、図2において、段差は、レンズアレイホルダ34の長手方向の両側に設けられている。ロッドレンズアレイ33は、第1の領域R1内に配置されて、レンズアレイホルダ34に固着された後、光および異物の侵入を防止するために、ロッドレンズアレイ33とレンズアレイホルダ34との間隙がシリコン剤41により封止される。
【0029】
ベース35は、基板31を基板当接面S1に押し付けるための押圧部材(付勢部材)である。ベース35は、弾性変形可能な板状の部材であり、基板31の上面31b上に基板31の長手方向に沿って設置される。具体的には、ベース35は、長尺形状を有する薄板状の弾性部材である。
【0030】
ベース35は、弾性および可撓性を有する材料、例えば、熱可塑性を有する樹脂によって形成される。当該樹脂として、本例では、ガラス繊維で強化したポリアミドから成る汎用エンジニアリングプラスチックが使用される。これにより、ベース35の耐熱性や荷重撓み温度特性等を高くすることができ、長期間安定した弾性力を維持することができる。
【0031】
ところで、感光体ドラム13Bkの表面に正確に光を結像させるためには、LEDアレイチップ32の表面からロッドレンズアレイ33の入射端面(光が入射する端面)までの距離(LEDアレイチップ32とロッドレンズアレイ33との間隔)L11と、ロッドレンズアレイ33の出射端面(光が出射される端面)から感光体ドラム13Bkの表面までの距離(ロッドレンズアレイ33と感光体ドラム13Bkとの間隔)L12とが同じになるように、すなわちL11=L12となるように、距離L12を調整する必要がある。
【0032】
そこで、図2に示されるように、レンズアレイホルダ34の長手方向両端部に、調整機構としての偏心カム機構42,43が配置されている。偏心カム機構42,43は、それぞれ、感光体ドラム13Bkの軸方向両端部の表面上に配置されたスペーサ38a,38bと当接している。ベース35の長手方向両端部には、付勢部材としてのコイルばね37a,37bが配置される。コイルばね37a,37bは、LEDヘッド15Bkを感光体ドラム13Bkの方向に押し付け、スペーサ38a,38bの当接面に偏心カム機構42,43を当接させ、距離L12を一定に保つ。偏心カム機構42,43の調整により(具体的にはカム本体を回転させることにより)、スペーサ38a,38bに対するレンズアレイホルダ34の位置が調節される。
【0033】
図4は、ベース35、基板31、およびレンズアレイホルダ34の構成を示す図である。図4(a)および図4(b)は、それぞれベース35の正面図および上面図である。図4(c)は、基板31の上面図である。図4(d)および図4(e)は、それぞれレンズアレイホルダ34の上面図および断面図である。図4(e)は、レンズアレイホルダ34を上下方向および長手方向に平行な平面で切断したときの断面図を示す。以下、図4を参照しながら、LEDヘッド15Bkの構成をより詳しく説明する。
【0034】
ベース35は、基板31の長手方向両端部に対応する位置に、基板31側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部4,5を有する。そして、ベース35は、例えば図2に示されるように、レンズアレイホルダ34と係合することにより(またはレンズアレイホルダ34に留められることにより)、基板31の上面31bと直交する方向(上下方向)に弾性変形し、その弾性復元力により一対の屈曲部4,5で基板31の長手方向両端部を押圧する状態で設置される。具体的には、レンズアレイホルダ34は、ベース35の基板31側とは反対側を向く面(上側を向く面)と当接する少なくとも1つの押さえ部を有し、ベース35は、レンズアレイホルダ34の少なくとも1つの押さえ部と当接することにより、基板31と当接する方向(下方向)に押さえられ、上記弾性変形した状態で設置される。
【0035】
本例では、レンズアレイホルダ34は、その長手方向両端部に、ベース35の長手方向両端部と係合する一対の係合部50a,50bを備えている。係合部50a,50bは、具体的には、ベース35の長手方向両端部の上側を向く面と当接する押さえ部である。ベース35は、基板31の長手方向に延びる平板状の中央部2と、当該中央部2の長手方向両側に位置する平板状の一対の側部1a,1bとを有する。側部1a,1bは、それぞれ中央部2との間で屈曲部4,5を形成している。すなわち、側部1a,1bと中央部2との2つの境界部は、基板31の長手方向両端部に対応する位置にあり、それぞれ屈曲部4,5となっている。具体的には、側部1a,1bは、それぞれ中央部2に対し基板31側とは反対側に角度θ1だけ屈曲している。ベース35は、図2に示されるように、その長手方向両端部49a,49bがそれぞれレンズアレイホルダ34の係合部50a,50bと係合し(具体的には当接して押さえられ)、屈曲部4,5を支点として側部1a,1bが基板31に近づくように弾性変形し、その弾性復元力により屈曲部4,5で基板31の長手方向両端部を押圧する状態で設置される。
【0036】
レンズアレイホルダ34は、その短手方向(長手方向および上下方向と直交する方向であり、幅方向ともいう)の両側に設けられ、ベース35を収容する空間(第3の領域R3)を画定する一対の側壁51a,51bを備えている。そして、ベース35の短手方向(長手方向および上下方向と直交する方向であり、幅方向ともいう)の幅L3は、側壁51a,51bの間の内幅(レンズアレイホルダ34の短手方向の内壁幅)L1より小さい寸法を持ち、L3<L1となっている。
【0037】
また、レンズアレイホルダ34は、基板当接面S1の上方に、長手方向の両側に内部空間側に突出するように設けられた一対の突出部52a,52bを有する。突出部52a,52bの基板31側(下側)には、係合部50a,50bとして下向きの平面部が形成されている。突出部52a,52bの内部空間側の面は、上下方向に延びる内壁面を構成している。ベース35の弾性変形前(設置前)の長手方向の長さL4は、突出部52a,52bの間の内幅(レンズアレイホルダ34の長手方向の内壁幅)L5より大きい寸法を持ち、L4>L5となっている。ベース35は、基板31の上面31bに対向する方向から、上下方向および長手方向に弾性変形させながら、2つの突出部52a,52bの間に挿入することにより、基板31上に設置することができるように構成されている。
【0038】
レンズアレイホルダ34は、基板当接面S1と平行な方向について基板31を位置決めするための位置決め部を有する。具体的には、基板31の長手方向両端部には、位置決め孔47および48が設けられ、レンズアレイホルダ34は、位置決め部として、それぞれ位置決め孔47および48と係合する位置決めピン46aおよび46bを有する。基板31をレンズアレイホルダ34に組み付ける際、位置決めピン46aおよび46bがそれぞれ位置決め孔47および48に挿入されることで、レンズアレイホルダ34内での基板31の位置が固定される。なお、位置決め孔48は、基板31の長手方向に長い長孔となっている。
【0039】
上述のコイルばね37a,37bは、それぞれベース35の屈曲部4,5の近傍部分(具体的には長手方向内側の近傍部分)を押圧するように配置される。
【0040】
[露光装置(LEDヘッド)の製造方法]
図5は、実施の形態1におけるLEDヘッド15Bkの製造手順を説明するための図である。以下、図5を参照して、LEDヘッド15Bkの製造手順、特にベース35の組み付け手順について説明する。図5の矢線X1およびX2は、ベース35の動きを表す。
【0041】
LEDヘッド15Bkの組み立てにおいては、まず、基板31とレンズアレイホルダ34とを備える組立体(すなわち基板31が取り付けられたレンズアレイホルダ34)を用意する。例えば、基板31を、ロッドレンズアレイ33が取り付けられたレンズアレイホルダ34内に挿入し、基板当接面S1上に設置する。
【0042】
次に、上記組立体の基板31の上面31b上にベース35を設置する。具体的には、ベース35の長手方向の一端部(被係合部)49aをレンズアレイホルダ34の係合部50aに係合させた後、ベース35の屈曲部4,5を基板31の上面31bに押し付け、ベース35を基板31の上面31bと直交する方向(上下方向)に弾性変形させながら、ベース35の長手方向の他端部(被係合部)49bをレンズアレイホルダ34の係合部50bに係合させる。より具体的には、ベース35の一端部49aの上面を係合部50aに当接させた後、ベース35の屈曲部4,5を基板31の上面31bに押し付け、ベース35を上下方向に弾性変形させながら、ベース35の他端部49bの上面を係合部50bに当接させる。例えば、図5に示されるように、ベース35をレンズアレイホルダ34内に下方に挿入し、ベース35の一端部49aの上面を係合部50aと当接させ、屈曲部4を基板31と当接させる。ついで、ベース35の一端部49aと係合部50aとの当接を維持しながら、矢線X2の方向にベース35を回動させると、屈曲部4の剛性により、ベース35が、中央部2が上に凸となるように撓みはじめる。さらにベース35の他端部49b側を下方に挿入すると、屈曲部5が基板31に当接する。一端部49aが係合部50aに当接し屈曲部4,5が基板31に当接した状態を維持し、屈曲部4,5を基板31に押し付けながら、ベース35の中央部2を上に凸となるように撓ませながら、ベース35の他端部49bを下方に移動させる。他端部49bが係合部50bと対応する位置に達すると、ベース35が長手方向に伸び、これにより他端部49bが係合部50bに当接する。
【0043】
以上により、ベース35は、図5(d)に示されるように、基板31の上面31bとレンズアレイホルダ34の係合部50a,50bとの間に挟まれ、側部1a,1bが基板31に近づき中央部2が上に凸となるように撓んだ状態で設置される。側部1a,1bと基板31の上面31bとのなす角の角度θ2は、設置前における中央部2に対する側部1a,1bの屈曲の角度θ1より小さくなっている(θ2<θ1)。この側部1a,1bの撓みにより、屈曲部4,5から基板31への付勢力(弾性復元力)Paが発生する。この付勢力Paにより、ベース35がレンズアレイホルダ34に係止され、且つ、基板31がレンズアレイホルダ34の基板当接面S1に対し圧接される。
【0044】
図5に示されるように、基板当接面S1から係合部50b(50a)までの距離をH1、基板31の厚さをt、ベース35の組み付け前の状態における、ベース35の端部49b(49a)の湾曲方向(図中上下方向)におけるベース35の基板31と当接する側の面35aから端部49b(49a)の上端部49bx(49ax)までの距離をH2とすると、LEDヘッド15Bkは、H2+t>H1を満たすように形成されている。このようにすることで、図5(d)の状態において、屈曲部4,5を力点として基板31をレンズアレイホルダ34の基板当接面S1側へと押し当てる方向の力Paが常に働く。また、ベース35の付勢力Paが屈曲部4,5に集中して加わるので、基板31がずれにくい。
【0045】
ベース35の組み付けの際、ベース35の屈曲部4,5が基板31と接触した後、ベース35の他端部49bがレンズアレイホルダ34の係合部50bと係合するまでの間、屈曲部4,5から基板31に対し、中央部2が復元する際の長手方向の付勢力Pxが作用する。しかし、基板31は、レンズアレイホルダ34の位置決めピン46a,46bにより、長手方向について係止されているため、付勢力Pxによる基板31への影響(例えば基板31上に1列に並べられたLEDの長手方向の並びに対する影響)は殆ど無い。また、ベース35の組み付けの際、ベース35は短手方向には弾性変形せず、基板31に対し短手方向の力は作用しない。また、ベース35の短手方向の幅L3はレンズアレイホルダ34の短手方向の内壁幅L1より小さく、ベース35の組み付けの際、レンズアレイホルダ34の側壁51a,51bに対し短手方向の力は作用しない。
【0046】
[効果]
以上説明した本実施の形態1によれば、下記(1)〜(7)の効果が得られ得る。
(1)本実施の形態では、基板を基板当接面に押し付けるためのベースは、基板の長手方向両端部に対応する位置に、基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有し、レンズアレイホルダと係合することにより、基板の上面と直交する方向に弾性変形し、その弾性復元力により一対の屈曲部で基板を押圧する状態で設置されるように構成される。このため、本実施の形態によれば、簡易な構成で基板を基板当接面に押し付けることができる。具体的には、ベースに突起部、スリット、およびブリッジを形成し、レンズアレイホルダの内壁に溝を形成し、ベースの突起部をレンズアレイホルダの溝に押し込んでベースをレンズアレイホルダに係止する構成と比較して、簡易な構成で基板を押し付けることができる。
【0047】
(2)特許文献1に記載の露光装置では、ベースの突起部をレンズアレイホルダの溝に押し込む際に、基板に対して短手方向の力が作用し、これにより露光装置の品質が悪化する場合がある。例えば、基板上の発光素子アレイの長手方向中央部の反りが変化し、露光装置の品質が悪化する場合がある。これに対し、本実施の形態では、ベースの組み付けの際に基板に対する短手方向の力が発生しないように構成することができ、当該力による品質の悪化を回避または軽減することができる。
【0048】
(3)特許文献1に記載の露光装置では、レンズアレイホルダ内にベースを挿入する際に、ベースの突起部からレンズアレイホルダの側壁に対し、レンズアレイホルダの側壁を広げる短手方向の力が作用し、これにより露光装置の品質が悪化する場合がある。例えば、レンズアレイホルダに取り付けられたロッドレンズアレイの反り傾向が変化し、露光装置の品質が悪化する場合がある。これに対し、本実施の形態では、レンズアレイホルダに対する短手方向の力が発生しないように構成することができ、当該力による品質の悪化を回避または軽減することができる。例えば、ベースの短手方向の幅をレンズアレイホルダの内壁幅より小さくすることにより、ベースからレンズアレイホルダの側壁に対して力が働かないようにすることができ、ベースの組み付けによるロッドレンズアレイの変形を抑えることができる。
【0049】
(4)レンズアレイホルダは、ベースの基板側とは反対側を向く面と当接する押さえ部を有し、ベースは、レンズアレイホルダの押さえ部と当接し、押さえ部により基板と当接する方向に押さえられることにより、弾性変形した状態で設置される。本態様によれば、簡易な構成で、基板と当接する方向の力をベースに作用させ、ベースを弾性変形状態で支持することができる。
【0050】
(5)レンズアレイホルダは、上記押さえ部として、ベースの長手方向両端部と当接する一対の押さえ部を有する。ベースは、基板の長手方向に延びる平板状の中央部と、中央部の長手方向両側に位置し、中央部との間で上記一対の屈曲部を形成するように設けられた平板状の一対の側部とを有する。そして、ベースは、上記一対の押さえ部に押さえられ、一対の屈曲部を支点として一対の側部が基板に近づくように弾性変形し、一対の屈曲部で基板の長手方向両端部を押圧する状態で設置される。本態様によれば、より簡易な構成で基板を基板当接面に押し付けることができる。
【0051】
(6)レンズアレイホルダは、基板当接面と平行な方向について基板を位置決めするための位置決め部を有する。本態様によれば、ベースを設置する際にベースから基板に作用する、基板当接面と平行な方向(例えば長手方向)の力による、露光装置の品質への影響を回避または軽減することができる。
【0052】
(7)基板上にベースを設置する際、ベースの長手方向の一端部の基板側とは反対側を向く面をレンズアレイホルダの一方側に設けられた押さえ部に当接させた後、一対の屈曲部を基板の上面に押し付け、ベースを基板の上面と直交する方向に弾性変形させながら、ベースの長手方向の他端部の基板側とは反対側を向く面をレンズアレイホルダの他方側に設けられた押さえ部に当接させる。本態様によれば、簡易な方法で基板上にベースを組み付けることができる。
【0053】
実施の形態2.
以下、実施の形態2における露光装置(LEDヘッド)について説明する。本実施の形態におけるLEDヘッドは、実施の形態1のLEDヘッドに対し、ベースの構成が異なっており、その他の部分については略同様である。以下の説明では、実施の形態1と同様の部分については説明を省略または簡略化し、実施の形態1と同一または対応する要素については同一の符号を付す。
【0054】
図6は、実施の形態2におけるLEDヘッド15Bkおよび感光体ドラム13Bkを示す横断面図である。図7は、実施の形態2におけるベース35の構成を示す図である。図7(a)および図7(b)は、それぞれベース35の正面図および上面図である。
【0055】
本実施の形態では、ベース35は、一対の屈曲部4,5に加えて、基板31の長手方向中央部を弾性復元力により押圧する少なくとも1つの押圧部をさらに有する。具体的には、ベース35は、基板31の長手方向中央部に対応する位置に、基板31側に突出する突出部を有し、弾性復元力により突出部で基板31の長手方向中央部を押圧する状態で設置される。より具体的には、ベース35は、中央部2および側部1a,1bの他に、中央部2から基板31側に突出するように設けられた板ばね部3a,3bを有する。板ばね部3a,3bは、固定端部が中央部2に固定され、自由端部(先端部)6a,6bが中央部2より基板31側に位置するように構成されている。板ばね部3a,3bは、中央部2から基板31側に斜めに設けられた平板状の部材であり、中央部2に対し角度θ3の角をなす。すなわち、板ばね部3a,3bは、中央部2に対し基板31側に角度θ3だけ屈曲している。図7の例では、ベース35の中央部2には長手方向に延びる矩形状の2つの切り欠き部60a,60bが形成されており、当該切り欠き部60a,60bの長手方向外側の端部から内側に延びるように板ばね部3a,3bが形成されている。板ばね部3a,3bは、例えば、中央部2を形成するための板状の部材を切り起こして形成される。
【0056】
ベース35は、図6に示されるように、その長手方向両端部49a,49bがそれぞれレンズアレイホルダ34の係合部50a,50bと係合し(具体的には当接して押さえられ)、屈曲部4,5および板ばね部3a,3bの先端部6a,6bを支点として、側部1a,1bが基板31に近づき板ばね部3a,3bが中央部2に近づくように弾性変形し、その弾性復元力により屈曲部4,5で基板31の長手方向両端部を押圧し、板ばね部3a,3bの先端部(押圧部)6a,6bで基板31の長手方向中央部を押圧する状態で設置される。
【0057】
図8は、実施の形態2におけるLEDヘッド15Bkの製造手順を説明するための図である。以下、図8を参照して、LEDヘッド15Bkの製造手順、特にベース35の組み付け手順について説明する。図8の矢線X3およびX4は、ベース35の動きを表す。
【0058】
LEDヘッド15Bkの組み立てにおいては、まず、基板31とレンズアレイホルダ34とを備える組立体(すなわち基板31が取り付けられたレンズアレイホルダ34)を用意する。
【0059】
次に、上記組立体の基板31の上面31b上にベース35を設置する。具体的には、ベース35の長手方向の一端部(被係合部)49aをレンズアレイホルダ34の係合部50aに係合させた後、ベース35の屈曲部4,5および板ばね部3a,3bの先端部(押圧部)6a,6bを基板31の上面31bに押し付け、ベース35を基板31の上面31bと直交する方向(上下方向)に弾性変形させながら、ベース35の長手方向の他端部(被係合部)49bをレンズアレイホルダ34の係合部50bに係合させる。より具体的には、ベース35の一端部49aの上面を係合部50aに当接させた後、ベース35の屈曲部4,5および板ばね部3a,3bの先端部6a,6bを基板31の上面31bに押し付け、ベース35を上下方向に弾性変形させながら、ベース35の他端部49bの上面を係合部50bに当接させる。例えば、図8に示されるように、ベース35をレンズアレイホルダ34内に下方に挿入し、ベース35の一端部49aの上面を係合部50aと当接させ、屈曲部4を基板31と当接させる。ついで、ベース35の一端部49aと係合部50aとの当接を維持しながら、矢線X4の方向にベース35を回動させると、屈曲部4の剛性により、ベース35が、中央部2が上に凸となるように撓みはじめる。さらにベース35の他端部49b側を下方に挿入すると、先端部6a、先端部6b、および屈曲部5がこの順番で基板31に当接する。一端部49aが係合部50aに当接し屈曲部4,5および先端部6a,6bが基板31に当接した状態を維持し、屈曲部4,5および先端部6a,6bを基板31に押し付けながら、ベース35の中央部2を上に凸となるように撓ませながら、ベース35の他端部49bを下方に移動させる。他端部49bが係合部50bと対応する位置に達すると、ベース35が長手方向に伸び、これにより他端部49bが係合部50bに当接する。
【0060】
以上により、ベース35は、図8(d)に示されるように、基板31の上面31bとレンズアレイホルダ34の係合部50a,50bとの間に挟まれ、側部1a,1bが基板31に近づき中央部2が上に凸となるように撓んだ状態で設置される。側部1a,1bと基板31の上面31bとのなす角の角度θ2は、設置前における中央部2に対する側部1a,1bの屈曲の角度θ1より小さくなっている(θ2<θ1)。この側部1a,1bの撓みにより、屈曲部4,5から基板31への付勢力(弾性復元力)Paが発生する。また、ベース35は、板ばね部3a,3bが中央部2に近づくように撓んだ状態で設置される。この状態における板ばね部3a,3bと中央部2とのなす角の角度θ4は、設置前における板ばね部3a,3bと中央部2とのなす角の角度θ3より小さくなっている(θ4<θ3)。この板ばね部3a,3bの撓みにより、板ばね部3a,3bの先端部6a,6bから基板31への付勢力(弾性復元力)Pbが発生する。上記付勢力PaおよびPbにより、ベース35がレンズアレイホルダ34に係止され、且つ、基板31の長手方向の両端部および中央部がレンズアレイホルダ34の基板当接面S1に対し圧接される。
【0061】
以上説明した本実施の形態2によれば、上記(1)〜(7)の効果の他に、下記(8)〜(10)の効果が得られ得る。
(8)本実施の形態では、ベースは、基板の長手方向中央部を弾性復元力により押圧する押圧部をさらに有する。本実施の形態によれば、基板を基板当接面に良好に(または安定して)押し付けることができる。具体的には、基板の長手方向中央部を押圧することにより、特に基板の全長が大きい場合に、基板の長手方向中央部が基板当接面から浮いてしまうことを、回避または軽減することができる。
【0062】
(9)レンズアレイホルダは、ベースの長手方向両端部と当接する一対の押さえ部を有する。ベースは、基板の長手方向に延びる平板状の中央部と、中央部の長手方向両側に位置し、中央部との間で一対の屈曲部を形成するように設けられた平板状の一対の側部と、中央部から基板側に突出するように設けられた平板状の板ばね部とを有する。そして、ベースは、一対の押さえ部に押さえられ、一対の屈曲部および板ばね部の先端部を支点として、一対の側部が基板に近づき板ばね部が中央部に近づくように弾性変形し、一対の屈曲部で基板の長手方向両端部を押圧し、板ばね部の先端部で基板の長手方向中央部を押圧する状態で設置される。本態様によれば、簡易な構成で、基板を基板当接面に良好に(または安定して)押し付けることができる。
【0063】
(10)基板上にベースを設置する際、ベースの長手方向の一端部の基板側とは反対側を向く面をレンズアレイホルダの一方側に設けられた押さえ部に当接させた後、一対の屈曲部および押圧部を基板の上面に押し付け、ベースを基板の上面と直交する方向に弾性変形させながら、ベースの長手方向の他端部の基板側とは反対側を向く面をレンズアレイホルダの他方側に設けられた押さえ部に当接させる。本態様によれば、簡易な方法で基板上にベースを組み付けることができる。
【0064】
なお、本件明細書において、「端部」とは、厳密な「端」だけでなく、「端の近傍の部分」も含む。
【0065】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様で実施することができる。例えば、上記の説明では、図1に示される画像形成装置(カラープリンタ)を例示したが、露光装置は、他のタイプのプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、複合機等、他の画像形成装置に適用されてもよい。また、露光装置の構成は、上記実施の形態に示されるものに限定されず、適宜変更されてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1a,1b 側部、 2 中央部、 3a,3b 板ばね部、 4,5 屈曲部、 6a,6b 先端部(押圧部)、 11 画像形成装置、 15Bk,15Y,15M,15C LEDヘッド(露光装置)、 31 基板、 31a 下面(第1の面)、 31b 上面(第2の面)、 32 LEDアレイチップ、 33 ロッドレンズアレイ、 34 レンズアレイホルダ、 35 ベース、 46a,46b 位置決めピン、 47,48 位置決め孔、 50a,50b 係合部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の面とその反対側の第2の面とを有する基板であって、その長手方向に沿って前記第1の面上に複数の発光素子が配置された基板と、
前記基板の第1の面と当接する基板当接面を有し、前記基板当接面上に前記基板を支持する支持部材と、
前記基板の第2の面上に前記基板の長手方向に沿って設置され、前記基板を前記基板当接面に押し付けるための弾性変形可能な板状の押圧部材であって、前記基板の長手方向両端部に対応する位置に前記基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有する押圧部材と、
を備え、
前記押圧部材は、前記支持部材と係合することにより前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形し、その弾性復元力により前記一対の屈曲部で前記基板の長手方向両端部を押圧する状態で設置されるように構成される、
ことを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記支持部材は、前記押圧部材の前記基板側とは反対側を向く面と当接する押さえ部を有し、
前記押圧部材は、前記支持部材の押さえ部と当接し、前記押さえ部により前記基板と当接する方向に押さえられることにより、前記弾性変形した状態で設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の露光装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記押さえ部として、前記押圧部材の長手方向両端部と当接する一対の押さえ部を有し、
前記押圧部材は、
前記基板の長手方向に延びる平板状の中央部と、
前記中央部の長手方向両側に位置し、前記中央部との間で前記一対の屈曲部を形成するように設けられた平板状の一対の側部と、
を有し、
前記一対の押さえ部に押さえられ、前記一対の屈曲部を支点として前記一対の側部が前記基板に近づくように弾性変形し、前記一対の屈曲部で前記基板の長手方向両端部を押圧する状態で設置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の露光装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記基板の長手方向中央部を弾性復元力により押圧する押圧部をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の露光装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記押さえ部として、前記押圧部材の長手方向両端部と当接する一対の押さえ部を有し、
前記押圧部材は、
前記基板の長手方向に延びる平板状の中央部と、
前記中央部の長手方向両側に位置し、前記中央部との間で前記一対の屈曲部を形成するように設けられた平板状の一対の側部と、
前記中央部から前記基板側に突出するように設けられた平板状の板ばね部と、
を有し、
前記一対の押さえ部に押さえられ、前記一対の屈曲部および前記板ばね部の先端部を支点として、前記一対の側部が前記基板に近づき前記板ばね部が前記中央部に近づくように弾性変形し、前記一対の屈曲部で前記基板の長手方向両端部を押圧し、前記押圧部としての前記板ばね部の先端部で前記基板の長手方向中央部を押圧する状態で設置される、
ことを特徴とする請求項4に記載の露光装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記基板当接面と平行な方向について前記基板を位置決めするための位置決め部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記複数の発光素子と対向するように前記支持部材に支持され、前記複数の発光素子からの光を収束させるレンズをさらに備えることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項8】
静電潜像担持体と、
前記静電潜像担持体に光を照射して静電潜像を形成する露光装置と、
を有し、
前記露光装置は、
第1の面とその反対側の第2の面とを有する基板であって、その長手方向に沿って前記第1の面上に複数の発光素子が配置された基板と、
前記基板の第1の面と当接する基板当接面を有し、前記基板当接面上に前記基板を支持する支持部材と、
前記基板の第2の面上に前記基板の長手方向に沿って設置され、前記基板を前記基板当接面に押し付けるための弾性変形可能な板状の押圧部材であって、前記基板の長手方向両端部に対応する位置に前記基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有する押圧部材と、
を備え、
前記押圧部材は、前記支持部材と係合することにより前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形し、その弾性復元力により前記一対の屈曲部で前記基板の長手方向両端部を押圧する状態で設置されるように構成される、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
第1の面とその反対側の第2の面とを有する基板であって、その長手方向に沿って前記第1の面上に複数の発光素子が配置された基板と、前記基板の第1の面と当接する基板当接面を有し、前記基板当接面上に前記基板を支持する支持部材とを備える組立体を用意する工程と、
前記基板を前記基板当接面に押し付けるための弾性変形可能な板状の押圧部材であって、前記基板の長手方向両端部に対応する位置に前記基板側に凸となるように屈曲または湾曲した一対の屈曲部を有する押圧部材を、前記基板の第2の面上に前記基板の長手方向に沿って設置する工程と、
を含み、
前記設置する工程では、前記押圧部材の長手方向の一端部の前記基板側とは反対側を向く面を前記支持部材の一方側に設けられた押さえ部に当接させた後、前記一対の屈曲部を前記基板の第2の面に押し付け、前記押圧部材を前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形させながら、前記押圧部材の長手方向の他端部の前記基板側とは反対側を向く面を前記支持部材の他方側に設けられた押さえ部に当接させる、
ことを特徴とする露光装置の製造方法。
【請求項10】
前記押圧部材は、前記基板の長手方向中央部を弾性復元力により押圧する押圧部をさらに有し、
前記設置する工程では、前記押圧部材の長手方向の一端部の前記基板側とは反対側を向く面を前記支持部材の一方側に設けられた押さえ部に当接させた後、前記一対の屈曲部および前記押圧部を前記基板の第2の面に押し付け、前記押圧部材を前記基板の第2の面と直交する方向に弾性変形させながら、前記押圧部材の長手方向の他端部の前記基板側とは反対側を向く面を前記支持部材の他方側に設けられた押さえ部に当接させる、
ことを特徴とする請求項9に記載の露光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−22837(P2013−22837A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159959(P2011−159959)
【出願日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】