説明

露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置

【課題】環境温度の変化によって、基板66、ベース67、ホルダ61及びSLA62が熱膨張して適正位置からのずれが発生したときや、外力によって適正位置からのずれが発生したときに、SLA62から出射される光が感光体ドラム23表面に収束しない。
【解決手段】露光装置60は、LEDアレイチップ65が搭載されている基板66と、LEDアレイチップ65から放射される光を感光体ドラム23表面に収束させるSLA62と、第1の接着剤によって基板66を保持固定するベース67と、SLA62を下部に保持固定すると共に、第2の接着剤によってベース67を保持固定することにより基板66を支持するホルダ61とを有している。第1の接着剤は、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70であり、第2の接着剤は、伸び率が10〜30%且つ硬度(ショアD)が90〜100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子を搭載した基板が接着剤で固定されている露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、露光装置、LED(Light Emitting Diode)ヘッド及び画像形成装置では、LEDアレイチップが搭載された基板と、基板を支持するレンズホルダと、LEDアレイチップに対向して前記レンズホルダに支持され、前記LEDアレイチップから放射される光を収束させるロッドレンズアレイと、基板搭載面の反対側に配設されているベース等を有している。そして、基板に搭載されたLEDアレイチップから放射された光が、ロッドレンズアレイを通過し収束され、そのロッドレンズアレイの結像位置に配設された感光体ドラムの表面に露光することにより、静電潜像を形成する。この露光装置において、基板をレンズホルダに支持するにあたり、レンズホルダに前記基板を支持するための搭載面を形成し、基板搭載面に基板の両縁を当接させ、付勢部材で基板をホルダの搭載面に付勢するという技術が知られている。
【0003】
特許文献1には、ベースを、ベースに形成された第1の係止部と、支持部材の内壁に形成された第2の係止部とを係止させることによって支持部材に対して組み付けられることにより、露光装置を小型化することができ、基板を支持部材に組み付ける作業を簡素化することができる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−073041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置では、基板を付勢する付勢部材を組込む場合等に、基板及び支持部材を変形させてしまい、支持部材に支持されたロッドレンズアレイのセンタとLEDアレイチップの光軸がずれてしまう場合があった。これにより、ロッドレンズアレイから出射する光量のむらが発生し、露光装置の潜像形成に悪影響を及ぼすという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の露光装置は、複数の発光素子が搭載されている基板と、前記発光素子から放射される光を感光面に収束させる光学系と、第1の接着剤によって、前記基板を保持固定する保持部材と、前記光学系を下部に保持固定すると共に、第2の接着剤によって前記保持部材を保持固定することにより前記基板を支持する支持部材とを有する露光装置において、前記第1の接着剤は、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70であり、前記第2の接着剤は、伸び率が10〜30%且つ硬度(ショアD)が90〜100であることを特徴とする。
【0007】
本発明のLEDヘッドは、前記露光装置と、前記露光装置を前記感光面の方向に付勢する付勢部材と、前記露光装置と前記感光面との距離を一定に保つ離間部材とを備えたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置は、前記露光装置又はLEDヘッドを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の露光装置、LEDヘッド及び画像形成装置によれば、環境温度の変化に対し、基板の反りを許容範囲内に抑制し、支持部材内にて安定的に保持することができる。基板に搭載され光を出射する発光素子から光学系の入射端面までの距離と、発光素子の光軸と光学系のセンタとを安定的に維持できる。よって、信頼性が高く、且つ高精度な印刷が可能な画像形成装置を提供可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施例1におけるLEDヘッドと感光体ドラムとを示す縦断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例1における画像形成装置を示す概略の構成図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1におけるLEDヘッドと感光体ドラムとを示す横断面図である。
【図4】図4は、本発明の実施例1における基板とベースとの接着を示す縦断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例1におけるベースとホルダとの接着を示す横断面図である。
【図6】図6は、本発明の実施例1におけるベースとホルダとの接着を示す縦断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例1におけるSLAによる光の収束を示す横断面図である。
【図8】図8は、基板用接着剤の伸び率と硬度(ショアD)の関係の実験結果を示す図である。
【図9】図9は、本発明の実施例2におけるベースとホルダとの接着を示す横断面図である。
【図10】図10は、本発明の実施例2におけるベースとホルダとの接着を示す横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を実施するための形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例1】
【0011】
(実施例1の構成)
図2は、本発明の実施例1における画像形成装置を示す概略の構成図である。
【0012】
画像形成装置10は、タンデム方式のプリンタ装置であり、記録媒体(例えば、記録用紙)100を供給する給紙部11と、記録用紙100にトナー像を形成する画像形成部20と、記録用紙100にトナー像を定着させる定着器40と、記録用紙100を排紙する用紙排出部50と、排紙された記録用紙100を収納するスタッカ部55とを有している。更に画像形成装置10は、各ローラ類を回すための図示しないモータと、搬送路101のローラへの動力伝達をオン/オフするクラッチと、画像形成ユニット22の帯電ローラ24や転写ローラ21等に200V〜5000Vの高電圧を供給する高圧電源と、回路やモータに5V直流や24V直流を供給する低圧電源とを有している。
【0013】
給紙部11は、この画像形成装置10の下部に装着された用紙収容カセット110と、用紙収容カセット110に格納されている記録用紙100と、用紙収容カセット110内から1枚ずつ記録用紙100を分離して取り出すためのホッピングローラ12と、給紙ローラ13a及びリタードローラ13bと、給紙センサ14と、一対のレジストローラ15a,15bと、書き出し位置センサ16と,記録用紙100の色を測定する用紙色測色部19とを有している。
【0014】
用紙収容カセット110は、複数の記録用紙100を収容するカセットであり、画像形成装置10の下部に装抜可能に取り付けられている。記録用紙100は、モノクロ又はカラーの画像を記録するための所定の大きさの上質紙、再生紙、光沢紙、マット紙、又はOHP(OverHead Projector)フィルム等である。
【0015】
用紙色測色部19は、用紙収容カセット110内に収容されている記録用紙100の色を測色する。
【0016】
ホッピングローラ12は、記録用紙100に圧接して回転し、搬送路101の下流側には、給紙ローラ13a及びリタードローラ13bが、記録用紙100を挟むように対向して配設され、その下流側には給紙センサ14が設けられている。
【0017】
レジストローラ15a,15bは、給紙センサ14の搬送路101の下流側に記録用紙100を挟むように対向して配設され、その下流側には書き出し位置センサ16が設けられている。レジストローラ15aは、図示しないレジストモータによって駆動される。
【0018】
画像形成部20は、図の右側からブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に4台配設されている画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)と、これら画像形成ユニット22の下にそれぞれ配設されている転写ローラ21(=21−1〜21−4)と、ローラ31,32と、このローラ31,32に張架されている搬送ベルト30とを有している。ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)4色に対応した各画像形成ユニット22は、画像情報にもとづく静電潜像を担持する感光体ドラム23と、感光体ドラム23を帯電させる帯電ローラ24と、画像情報に対応した光を感光体ドラム23の表面に照射するLEDヘッド25と、感光体ドラム23表面の静電潜像をトナーにより現像する現像ローラ26と、トナーを現像ローラ26に供給するトナー供給ローラ27と、分離可能なトナーカートリッジ29と、図示しないトナー規制部材と、感光体ドラム23に残留したトナーを書き落とす図示しないクリーニング装置とを有している。搬送ベルト30は、記録用紙100を搬送すると共に、感光体ドラム23に形成されたトナー像を記録用紙100へ転写させる転写体である。搬送ベルト30を介して、感光体ドラム23と転写ローラ21とは当接している。
【0019】
感光体ドラム23は、アルミニウム等から成る導電性基層の上に光導電層と電荷輸送層からなる感光層を備え、形状は円筒であり、回転可能に支持されて配設されている。感光体ドラム23は、帯電ローラ24と、転写ローラ21と、現像ローラ26とが当接し、図示しないクリーニング装置の先端部が接触するよう配設されている。感光体ドラム23は、表面に電荷を蓄えることによって、トナー像を担持する像担持体として機能し、図の時計回りの方向に回転する。以下、画像形成ユニット22の構成について感光体ドラム23の回転方向順に説明する。
【0020】
帯電ローラ24は、導電性の金属シャフトがシリコーン等の半導電性ゴムによって被覆され、形状は円筒であり、感光体ドラム23に圧接して回転可能に支持されて配設されている。帯電ローラ24は、図示しない高圧電源によって帯電し、感光体ドラム23に圧接して回転することにより、感光体ドラム23に所定の電圧を印加し、よって表面に一様に電荷を蓄える。
【0021】
LEDヘッド25は、後述する図1に示すLEDアレイチップ65と、ロッドレンズアレイ62と、図示しないLED駆動素子とを有し、感光体ドラム23の上方に配設されている。LEDヘッド25は、画像情報に対応した光を感光体ドラム23の表面に照射し、感光体ドラム23の表面に静電潜像を形成する。
【0022】
トナー供給ローラ27は、導電性を有する金属シャフトがゴムによって被覆されて作られ、形状は円筒であり、現像ローラ26に当接するよう配設されている。トナー供給ローラ27は、図示しない高圧電源によって帯電し、現像ローラ26に圧接することにより、現像ローラ26にトナーを供給する。
【0023】
現像ローラ26は、導電性を有する金属シャフトが半導電ウレタンゴム材等によって被覆されて作られ、形状は円筒である。現像ローラ26は、トナー供給ローラ27と感光体ドラム23とに当接し、図示しないトナー規制部材の先端部が接触するよう配設されている。現像ローラ26は、図示しない高圧電源によって帯電し、トナー供給ローラ27と圧接することによりトナーが供給される。
【0024】
図示しないトナー規制部材は、ステンレス等で作られ、形状は板状であり、先端部が現像ローラ26の表面に接触するよう配設されている。図示しないトナー規制部材は、現像ローラ26の表面の一定量を越えたトナーを掻き取ることで、現像ローラ26の表面に形成されるトナーの厚みを、常に均一となるように規制する。
【0025】
図示しないクリーニング装置は、ゴム材等で作られ、形状は板状であり、先端部が感光体ドラム23の表面に接触するよう配設されている。図示しないクリーニング装置は、感光体ドラム23上に形成されたトナー像を記録用紙100に転写した後において、感光体ドラム23に残留したトナーを掻き取ってクリーニングする。
【0026】
定着器40は、定着ローラ41と、バックアップローラ42と、温度検出センサ43と、ハロゲンヒータ44とを備えている。定着ローラ41内部には、ハロゲンランプに代表されるハロゲンヒータ44が配設されている。定着ローラ41の上側には、サーミスタによって構成されている温度検出センサ43が配置され、この定着ローラ41の表面温度を検出する。
【0027】
用紙排出部50は、用紙走行路センサ51と、一対の排出ローラ52a,52bとを備えている。排出ローラ52a,52bは、定着器40の搬送路101の下流側に記録用紙100を挟むように、それぞれ対向して配設されており、それぞれ図示しないモータによって駆動される。
【0028】
図1は、本発明の実施例1におけるLEDヘッドと感光体ドラムとを示す縦断面図であり、図3は、本発明の実施例1におけるLEDヘッドと感光体ドラムとを示す横断面図である。
【0029】
前述した図2に示す画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)における、感光体ドラム23(=23−1〜23−4)とLEDヘッド25(=25−1〜25−4)との位置関係は、いずれも同じである。
【0030】
LEDヘッド25は、露光装置60と、コイルバネ69−1,69−2と、スペーサ70−1,70−2とを有している。露光装置60は、ロッドレンズアレイ(以下、「SLA」という。)62と、SLA62を支持するホルダ61と、LEDアレイチップ65と、LEDアレイチップ65が装着されている基板66と、基板66を保持するベース67と、露光装置60内部への光や異物の侵入を遮蔽する遮蔽板68−1,68−2とを有している。露光装置60は、スペーサ70−1,70−2によって感光体ドラム23に対向して配設され、コイルバネ69−1,69−2による下向きの付勢力が加えられている。
【0031】
離間部材であるスペーサ70−1,70−2は、露光装置60と感光体ドラム23の表面との距離を一定に保つ。付勢部材であるコイルバネ69−1,69−2は、露光装置60を感光体ドラム23の方向に付勢する。
【0032】
複数の発光素子であるLEDアレイチップ65は、配列状のLEDチップからなる。基板66は、LEDアレイチップ65が搭載された長方形のガラスエポキシ基板である。基板66は、LEDアレイチップ65が搭載された面の反対側である面66aに塗布された第1の接着剤である接着剤80によって、ベース67に接着されている。
【0033】
保持部材であるベース67は、上部が開口しているコの字形状をした鋼板からなり、且つ下部に当接面67aが形成されている。ベース67の当接面67aは、基板66を接着して保持固定する。
【0034】
光学系であるSLA62は、ホルダ61の下部に保持固定されており、各LEDアレイチップ65から放射される光を感光体ドラム23表面である感光面63に収束させる。
【0035】
支持部材であるホルダ61は、SLA62を下部に保持固定すると共に、第2の接着剤である接着剤81によってベース67を保持固定することにより基板66を支持する。ホルダ61は、略コの字形状をした鋼板からなり、下部にSLA62を保持固定する開口部61dを有し、上部が開放され且つ上部に左右5対の切欠部61bを有している。図1に示す切欠部61b−2,61b−4,61b−6,61b−8,61b−10は、ホルダ61の奥側上部に形成されている。ホルダ61の手前側上部には、後述する図6に示す切欠部61b−1,61b−3,61b−5,61b−7,61b−9が形成されている。開口部61dは、ホルダ61の下部に長手方向に沿って形成されている。
【0036】
距離Liは、ホルダ61の下面61aが感光体ドラム23の両端表面に配設されたスペーサ70に当接した場合における、SLA62の光の出射端面から感光体ドラム23表面までの距離である。距離Loは、LEDアレイチップ65表面からSLA62の光の入射端面までの距離である。本実施例1のSLA62では、距離Liと距離Loとが等しいとき、LEDアレイチップ65から出射した光がSLA62を介して感光体ドラム23表面に収束する、
【0037】
封止剤82は、SLA62とホルダ61との間隙に塗布され、この間隙を封止している。封止剤82は、SLA62とホルダ61との間隙からの光及び異物の侵入を防止している。
【0038】
封止剤83は、ベース67とホルダ61との間隙に塗布され、この間隙を封止している。封止剤83は、ベース67とホルダ61との間隙からの光及び異物の侵入を防止している。
【0039】
遮蔽板68−1,68−2は、ベース67の長手方向両端部に配設されている。遮蔽板68−1,68−2は、ホルダ61の両端からの光及び異物の侵入を防止している。
【0040】
付勢部材であるコイルバネ69は、ホルダ61の両端部付近に配設されている。コイルバネ69は、露光装置60を感光体ドラム23の方向である下向きに付勢している。スペーサ70の当接面に、ホルダ61の下面61aを押し当てることで、SLA62の光が出射される端面から感光体ドラム23表面までの距離Liを一定に保っている。
【0041】
接着剤を用いて基板66をホルダ61に接着して保持固定した場合には、環境温度の変化によって、基板66、ホルダ61、ベース67、及びSLA62が熱膨張して適正位置からのずれが発生したときや、外力によって適正位置からのずれが発生したときに、SLA62から出射される光が感光体ドラム23の表面に収束しないという課題があった。
【0042】
図4は、本発明の実施例1における基板とベースとの接着を示す縦断面図である。
ベース67と基板66とは、基板66のLEDアレイチップ65が搭載された面の反対面にあたる面66aと、ベース67の当接面67aにおける長手方向の5箇所で、接着剤80(=80−1〜80−5)を介して、接着され保持固定されている。
【0043】
本実施例1の接着剤80は、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70のアクリル系の接着剤である。
【0044】
接着剤80の伸び率は、金属の引張り試験(JIS K7113)に準拠する形で、試験片JIS2号ダンベルを用い、引張り速度200mm/分で測定した値を用いている。
【0045】
接着剤80の硬度(ショアD)は、試験片である硬化した接着剤80の表面に、圧子である押針を押込んで変形させ、その押込みによる変形量を測定している。硬度の測定方法は、スプリングを用いた「デュロメータ硬さ」と、分銅等による一定の静荷重を用いた「国際ゴム硬さ(IRHD:International Rubber Hardness Degree)」とがある。更に、ゴムの硬さ試験に関する規格であるJIS K 6253-1997には、測定対象の硬さに応じて使い分ける3種類のデュロメータが規定されている。
【0046】
接着剤80の硬度の測定は、試験片である硬化した接着剤80を加圧面上に置き、試験片の表面に押針を加圧面の方向に押付けて行なう。押針は、スプリングの力で試験片にくい込んで変形を与え、スプリングの力と試験片の弾性による力がバランスすると停止する。このときの押針移動量が、その試験片の「硬さ」となる。この押針移動量を、ギヤ等による変位拡大機構で拡大し、ダイヤル等で「硬さ」の値として読取る。
【0047】
デュロメータで得られる硬度の測定値には、単位は付与されていない。デュロメータには測定対象の硬度に応じたタイプがあり、タイプにより異なる押針形状、スプリング荷重が規格で定められている。硬度の測定値は、タイプ毎の相対比較値として、硬さを数値化したものである。本実施例1では、硬度の測定にあたり、高硬さ用のタイプDのデュロメータを使用した。
【0048】
感光体ドラム23表面に対する露光装置60の光の結像位置の誤差を少なくするために、基板66は、長手方向に対する高精度の真直性を有した状態で配設する必要がある。よって、基板66は、長手方向に対する真直度を高精度に有した状態において、ベース67に接着されて保持固定されている。
【0049】
図5は、本発明の実施例1におけるベースとホルダとの接着を示す横断面図である。図6は、本発明の実施例1におけるベースとホルダとの接着を示す縦断面図である。
【0050】
図6に示すように、ホルダ61は、複数の接着剤注入部である10箇所の切欠部61b(=61b−1〜61b−10)を有している。切欠部61bは、長手方向に均等な間隔で5対が左右対象に設けられている。切欠部61b−2,61b−4,61b−6,61b−8,61b−10は、ホルダ61の奥側上部に形成されている。切欠部61b−1,61b−3,61b−5,61b−7,61b−9は、ホルダ61の手前側上部に形成されている。
【0051】
これらの切欠部61b(=61b−1〜61b−10)に注入されている接着剤81−1,81−3,81−5,81−7,81−9及び図示しない接着剤81−2,81−4,81−6,81−8,81−10は、ホルダ61とベース67とを接着して保持固定している。
【0052】
(実施例1の動作)
図2を元に、画像形成装置10の印刷動作について説明する。
【0053】
記録用紙100は、搬送路101に沿って上流側から下流側に搬送される。用紙収容カセット110が最も上流側で、スタッカ部55が最も下流側である。
【0054】
画像形成装置10は、ケーブル或いは無線を通じて上位装置に接続されている。この上位装置から印刷データの転送を受け印刷の指示を受けると、図示しないピックアップモータがホッピングローラ12を回転させ、複数の記録用紙100を1枚ずつ分離して、搬送路101の下流側に送る。各画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)は、図の右側からブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に4台配設されている。これらの各画像形成ユニット22(=22−1〜22−4)は、給紙開始とほぼ同時にローラ類の回転を開始し,感光体ドラム23に記録用紙100が到達するまでに、この感光体ドラム23を1周以上回転させる。
【0055】
図示しないモータが給紙ローラ13aを回転させると、給紙ローラ13aに接触しているリタードローラ13bは連れ回りする。ホッピングローラ12から搬送されてきた記録用紙100は、給紙ローラ13aとリタードローラ13bに挟持搬送され、給紙センサ14をオンする。そののち、記録用紙100は、搬送路101の下流側のレジストローラ15a,15bに搬送されたのち、書き出し位置センサ16をオンする。書き出し位置センサ16がオンしたあと一定時間後にブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)4色の各画像形成ユニット22のLEDヘッド25が露光を開始し、それぞれの色に対応した静電潜像を感光体ドラム23上に形成する。
【0056】
記録用紙100は、搬送路101の下流側の搬送ベルト30に搬送される。ローラ31が回転すると、ローラ31,32に張架されている搬送ベルト30は搬送路101に沿って駆動される。記録用紙100は、搬送ベルト30の駆動によって、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の順に4台配設されている画像形成ユニット22に順に搬送される。
【0057】
ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4台の各画像形成ユニット22の感光体ドラム23は、時計方向に回転すると共に、最初に帯電ローラ24によって表面が一様に帯電する。一様に帯電した感光体ドラム23は、LEDヘッド25によって上位装置から受信した画像情報に基づく光を照射され、静電潜像を形成する。静電潜像を形成した感光体ドラム23は、トナー供給ローラ27と現像ローラ26とによってトナー像を現像する。トナー像を現像した感光体ドラム23は、転写ローラ21と共に搬送ベルト30と記録用紙100を挟持搬送する。更に、感光体ドラム23は、転写ローラ21に印加された+1000V〜+3000Vの電圧により、感光体ドラム23上のトナーを記録用紙100側に引き寄せ、トナー像を記録用紙100へ転写する。トナー像が転写された記録用紙100は、定着器40に送られてトナー像を定着する。感光体ドラム23上に残留したトナーは、図示しないクリーニング装置によって掻き取られ、新たなトナー像の形成に備えられる。
【0058】
ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)4色の各トナー像が転写された記録用紙100は、定着器40において定着ローラ41とバックアップローラ42によって形成されたニップ領域を挟持搬送される。記録用紙100は、ニップ領域において定着ローラ41の熱と、バックアップローラ42の付勢力による圧力が加えられ、トナーが溶融することによってトナー像が定着する。
【0059】
トナー像が定着した記録用紙100は、用紙走行路センサ51によって記録用紙100の先端が検出され、排出ローラ52a,52bの回転によって搬送される。搬送された記録用紙100は、スタッカ部55に排出される。
【0060】
図1と図3とを元に、本実施例1の露光装置60の組み立て方法を説明する。
本実施例1のSLA62は、距離Liと距離Loとが等しいとき、LEDアレイチップ65から出射した光がSLA62を介して感光体ドラム23表面に収束するように構成されている。
【0061】
ホルダ61の開口部61dに、SLA62が挿入される。SLA62と感光体ドラム23との距離が所定の距離Liとなるように、SLA62の位置が調整されたのち、図示しない接着剤によってSLA62とホルダ61とは接着されて保持固定される。その後、ホルダ61への光や異物の侵入を防止するため、ホルダ61とSLA62との間隙は、封止剤82によって封止される。
【0062】
次にホルダ61の上部から、基板66を保持したベース67が差し込まれ、距離Loが距離Liと等しくなるよう調整され、且つSLA62のセンタとLEDアレイチップ65の光軸とが一致するよう調整された状態に於いて、ホルダ61に接着されて保持固定される。
【0063】
図5と図6とを元に、本実施例1のベース67とホルダ61との接着動作を説明する。
基板66が接着されているベース67を、SLA62が接着されているホルダ61の上部から挿入する。ホルダ61に接着されている基板66の真直度を保つよう調整し、距離Loを距離Liと等しい位置に調整し、更にSLA62の中心とLEDアレイチップ65の光軸とを一致させるよう調整する。これらの調整が行われた状態において、ホルダ61の両側面に形成された左右5対の切欠部61bに接着剤81を注入し、ベース67とホルダ61とを接着し保持固定する。その後、ベース67とホルダ61との間隙に、上側から封止剤83が塗布される。この封止剤83は時間の経過と共に凝固し、この間隙を封止する。封止剤83は、ベース67とホルダ61との間隙からの光及び異物の侵入を防止する。本実施例1の封止剤83の塗布において、ベース67Aとホルダ61Aとの間隙に封止剤83を塗布した際に、切欠部61bからホルダ61Aの側面部に封止剤83が漏れる場合がある。
【0064】
本実施例1において、基板66を保持するベース67と、ベース67を支持するホルダ61とは、共に同様の材質である鋼板で構成され、両者の線膨張係数の相違は±5%の範囲である。すなわち、ベース67の線膨張係数は、ホルダ61の線膨張係数の95〜105%である。よって、ベース67とホルダ61とを接着して保持固定した場合、環境温度が変化しても、線膨張係数の相違による伸縮の差は問題とならない。
【0065】
ベース67とホルダ61とを接着して保持固定する接着剤81には、ベース67とホルダ61との伸縮の差による応力が発生することがなく、接着剤81の剥離等の問題は発生しない。よって、本実施例1では、伸び率が低く、硬度の高い接着剤81で両者を強固に接着して保持固定している。本実施例1の露光装置60及びLEDヘッド25は、これらをハンドリングしたときに加わる外力等が加わっても、安定的にベース67をホルダ61で支持可能である。更にLEDアレイチップ65表面とSLA62の光の入射端面との距離Loを安定的に維持可能である。
【0066】
一方、基板66は、一般的にはガラスエポキシからなる材質で構成されている。ベース67と基板66とは異なる材質であり、線膨張係数が異なる場合がある。一般的には、ガラスエポキシの線膨張係数は8〜20PPM/℃で、鋼板の線膨張係数は12PPM/℃である。このとき、基板66の線膨張係数は、ベース67の線膨張係数の66%〜166%である。本実施例1において、ガラスエポキシからなる基板66の線膨張係数は、9PPM/℃である。鋼板からなるベース67とホルダ61の線膨張係数は、11.7PPM/℃である。このとき、基板66の線膨張係数は、ベース67の線膨張係数の77%である。
【0067】
よって、環境温度が変化すると、ベース67と基板66との伸縮差が発生し、この伸縮差による応力が発生する場合がある。この応力により、基板66の反りが発生し、接着剤80の剥離が発生する虞がある。
【0068】
図7(a)〜(c)は、本発明の実施例1におけるSLAによる光の収束を示す横断面図である。
【0069】
画像形成装置10において、良好な印刷結果を得るためには、距離Loを適正な値とする必要がある。
【0070】
図7(a)は、距離Lo1が適正値よりも小さい場合を示している。このとき、光は、感光体ドラム23表面である感光面63よりも手前で収束しており、感光面63に正確な像が結ばれていない。
【0071】
図7(b)は、距離Lo2が適正値である場合を示している。このとき、光は感光体ドラム23表面である感光面63で収束しており、感光面63に正確な像が結ばれている。
【0072】
図7(c)は、距離Lo3が適正値よりも大きい場合を示している。このとき、光は感光体ドラム23表面である感光面63では収束しておらず、感光面63に正確な像が結ばれていない。
【0073】
画像形成装置10において、良好な印刷結果を得るためには、距離Loに加えて、更に距離Liを適正値とする必要がある。すなわち、基板66とSLA62とを適正な位置の範囲となるよう構成する必要がある。
【0074】
例えば、基板66の適正位置からのずれが下方に30μmであり、SLA62の適正位置からのずれが上方に10μmである場合、SLA62から出射された光は、感光体ドラム23表面である感光面63から40μm上方に収束する。
【0075】
基板66の適正位置からのずれと、SLA62の適正位置からのずれは、環境温度の変化による熱膨張によっても発生する。環境温度が変化しても良好な印刷結果を得るためには、基板66の長手方向の反り変化量の許容範囲は10μm以内であり、この反り変化量は小さいほど良い。
【0076】
更に、良好な印刷結果を得るため、SLA62とLEDアレイチップ65との光軸のずれを許容範囲以内とする必要がある。本実施例1では、環境温度が変化しても良好な印刷結果を得るため、LEDアレイチップ65が搭載されている基板66の反り許容範囲を±20μm以内とする。
【0077】
図8は、基板用接着剤の伸び率と硬度(ショアD)の関係の実験結果を示す図であり、横軸は伸び率(%)を示し、縦軸は硬度(ショアD)を示している。
【0078】
図の「○」は、基板66の反りが長手方向において0〜10μm且つ短手方向で0〜20μmの場合を示している。図の「△」は、基板66の反りが長手方向において0〜20μm、又は短手方向で20〜30μmの場合を示している。図の「×」は、基板66の反りが長手方向において20μm以上、又は短手方向30μm以上の場合を示している。
【0079】
本実験に使用したベース67は、厚さ0.6mmの電気亜鉛めっき鋼板(線膨張係数:11.7PPM/℃)を母材としたものを使用し、長さ:280mm、幅:8mmで、高さ:3.5mmのコの字形状である。基板66は、ガラスエポキシ(線膨張係数:9PPM/℃)を母材としたもので、厚さ1.6mm、長さ:280mmで、幅:7mmの形状である。接着剤80は、紫外線硬化型のUV接着剤であり、成分としてガラスフィラー等を充填したアクリル系接着剤を使用した。伸び率及び硬度(ショアD)は、接着剤80の充填量を調整して変化させた。接着剤80の伸び率は、アクリル系母材(アクリレートモノマー等)の成分を調整して変化させた。接着剤80の硬度(ショアD)は、ガラスフィラー量の成分が多いほど硬度が上がることによって制御した。
【0080】
本実験結果より、基板66の長手方向の反りが10μm以下、且つ短手方向の反りが20μm以下の条件を満たす接着材80は、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70のものであった。
【0081】
例えば、伸び率が10〜30%且つ硬度(ショアD)90〜100の接着剤80を使用して基板66とベース67とを強固に接着した場合を説明する。この基板66とベース67とを環境濃度を20℃から70℃(Δ50℃)に上昇させて高温環境下にさらすと、基板66とベース67の線膨張係数の差により全体が曲がるバイメタル作用が発生する。このバイメタル作用により、基板66には10μm以上の反りが発生してしまう。
【0082】
例えば、接着剤80として、伸び率が80〜90%且つ硬度(ショアD)が30〜50の軟質の接着剤を使用した場合を説明する。同様に環境温度を20℃から70℃(Δ50℃)に上昇させて高温環境下にさらすと、バイメタル作用は減少して基板66の長手方向の反りは10μm以下に抑えることができる。しかし、このときには短手方向には20μm以上も反ってしまう。この短手方向の反りは、基板66に設けられたスルーホールの位置や、銅箔の位置のバランスにより発生するものである。よって、軟質の接着剤では、基板66を十分に保持することができない。
【0083】
本実施例1では、ベース67とホルダ61の線膨張係数が等しくなるよう同様な材質の鋼板を用いている。基板66とベース67を固着する第1の接着剤である接着剤80として、伸び率が45〜70%且つ硬度〈ショアD)が60〜70のものを用いている。更に、ベース67とホルダ61とを接着する第2の接着剤である接着剤81として、伸び率が10〜30%且つ硬度(ショアD)が90〜100のものを用いている。この構成により、環境温度の変化に対して、安定的に基板66をホルダ61内にて保持することができ、更に外乱に対しても、基板66をホルダ61内にて安定的に保持することができる。
【0084】
(実施例1の効果)
本実施例1の露光装置60、LEDヘッド25及び画像形成装置10によれば、次の(A),(B)のような効果がある。
【0085】
(A) 環境温度の変化に対し、基板66の反りを許容範囲内に抑制し、ホルダ61内にて安定的に保持することができる。基板66に搭載され光を出射するLEDアレイチップ65からSLA62の光の入射端面までの距離Loと、SLA62のセンタとLEDアレイチップ65の光軸との位置関係とを安定的に維持できる。よって、信頼性が高く、且つ高精度な印刷が可能な画像形成装置10を提供可能である。
【0086】
(B) ベース67とホルダ61とを接着して保持固定する接着剤81は、伸び率が低く、硬度の高い接着剤81であり、両者を強固に接着して保持固定している。これにより、露光装置60及びLEDヘッド25をハンドリングしたときに加わる外力等が加わっても、安定的にベース67をホルダ61で支持可能である。更にLEDアレイチップ65表面とSLA62の光の入射端面との距離Loを安定的に維持可能である。よって、信頼性が高く、且つ高精度な印刷が可能な画像形成装置10を提供可能である。
【実施例2】
【0087】
(実施例2の構成)
図9は、本発明の実施例2におけるベースとホルダとの接着を示す横断面図であり、実施例1を示す図5中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。図10は、本発明の実施例2におけるベースとホルダとの接着を示す横断面図であり、実施例1を示す図6中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
【0088】
本実施例2のLEDヘッド25Aは、実施例1とは異なる露光装置60Aを有している他は、実施例1のLEDヘッド25と同様の構成を有している。LEDヘッド25Aは、画像形成装置10Aに装着されている。
【0089】
本実施例2の露光装置60Aは、実施例1とは異なるベース67Aとホルダ61Aとを有している他は、実施例1の露光装置60と同様の構成を有している。
【0090】
本実施例2のベース67Aは、実施例1のベース67とは異なり、基板66の周囲を囲いこむ様な形状を成した鋼板からなり、基板66のLEDアレイチップ65の搭載面の短手方向の両端までを覆っている。ベース67Aは、基板66とほぼ同じ長さを有している。ベース67Aの短手方向の幅Wは、基板66の短手方向幅とほぼ等しい。ベース67Aの内部には、基板66を当接させるための当接面67Aaが形成されている。
【0091】
基板66とベース67Aとは、長手方向の5箇所で、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70のアクリル系の接着剤を介して、接着されて保持固定されている。
【0092】
本実施例2のホルダ61Aは、実施例1のホルダ61とは異なり、切欠部61bの代わりに、複数の接着剤注入部である10箇所の孔部61c(=61c−1〜61c−10)を有している他は、実施例1のホルダ61と同様である。孔部61cは、長手方向に均等な間隔で5対が左右対象に設けられている。
【0093】
これらの孔部61c(=61c−1〜61c−10)に注入されている接着剤81(=81−1〜81−10)は、ホルダ61Aとベース67Aとを接着して保持固定している。
【0094】
(実施例2の動作)
図9と図10を元に、本実施例1のベース67Aとホルダ61Aとの接着動作を説明する。
【0095】
基板66が接着されているベース67Aを、SLA62が接着されているホルダ61Aの上部から挿入する。ホルダ61Aに接着されている基板66の真直度を保つよう調整し、距離Loを距離Liと等しい位置に調整し、更にSLA62の中心とLEDアレイチップ65の光軸とを一致させるよう調整する。これらの調整が行われた状態において、ホルダ61Aの両側面に形成された左右5対の孔部61cに接着剤81を注入し、ベース67Aとホルダ61Aとを接着して保持固定する。その後、ベース67Aとホルダ61Aとの間隙に封止剤83が塗布される。この封止剤83は時間の経過と共に凝固し、この間隙を封止する。封止剤83は、ベース67Aとホルダ61Aとの間隙からの光及び異物の侵入を防止する。本実施例2のホルダ61Aは、実施例1のホルダ61とは異なり、ベース67Aとホルダ61Aとの間隙に封止剤83を塗布した際に、切欠部61bを介してホルダ61Aの側面部に封止剤83が漏れることがない。よって、封止剤83の塗布作業は容易であるという効果を奏する。
【0096】
本実施例2において、実施例1と同様に、基板66を保持するベース67Aと、ベース67Aを支持するホルダ61Aとは、共に同様の材質である鋼板で構成され、両者の線膨張係数の相違は±5%の範囲である。よって、実施例1と同様に、ベース67Aとホルダ61Aとを接着して保持固定した場合、環境温度が変化しても、線膨張係数の相違による伸縮の差は問題とならない。
【0097】
ベース67Aとホルダ61Aとを接着して保持固定する接着剤81には、ベース67Aとホルダ61Aとの伸縮の差による応力が発生することがなく、接着剤81の剥離等の問題は発生しない。よって、本実施例2において、実施例1と同様に、伸び率が低く且つ硬度の高い接着剤81で両者を強固に接着して保持固定している。
【0098】
これにより、露光装置60A及びLEDヘッド25Aをハンドリングしたときに加わる外力等が加わっても、実施例1と同様に安定的にベース67Aをホルダ61Aで支持可能である。更に、LEDアレイチップ65表面とSLA62において光が入射される端面との距離Loを安定的に維持可能である。
【0099】
本実施例2の基板66は、実施例1と同様にガラスエポキシからなる材質で構成されている。ベース67Aと基板66とは異なる材質であり、線膨張係数が異なる場合がある。そのため、環境温度が変化すると、ベース67Aと基板66との伸縮差が発生し、この伸縮差による応力が発生する場合があり。この応力により、基板66の反りが発生し、接着剤80の剥離が発生する虞がある。
【0100】
実施例1と同様に、基板66は、ホルダ61Aの長手方向に対し基板66は高精度の真直性を保持し、且つ長手方向に対する真直度を高精度に出した状態とする。更に、この基板66を、ベース67Aの当接面67Aaにおける長手方向の5箇所で、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70のアクリル系の接着剤80を介して接着して保持固定した。
【0101】
環境温度の変化に対して、長手方向の反りは実施例1で前述している通り、10μm以内に抑えることができる。更に、ベース67Aの短手方向の内側幅Wと、基板66の短手方向幅とは、ほぼ等しく設定している。よって、環境温度の変化によって、基板66が短手方向に対して変化した場合でも、ベース67Aの内側面が基板66の短手方向の変化を規制するため、基板66の反りを抑制することが可能である。
【0102】
基板66を保持するベース67Aの材質と、ベース67Aを支持するホルダ61Aの材質とは、共に鋼板からなる同様の材質で構成され、接着されて保持固定されるため、実施例1と同様に環境温度の変化に対して、両者間に両者の線膨張係数の相違による伸縮の差が発生しない。よって、硬度の高い接着剤81で両者を強固に接着して保持固定することが可能である。
【0103】
本実施例2の露光装置60A及びLEDヘッド25Aは、これらをハンドリングしたときに加わる外力等が加わっても、安定的にベース67Aをホルダ61Aで支持することが可能である。更に、LEDアレイチップ65表面とSLA62の光の入射端面との距離Loを、安定的に維持することが可能である。
【0104】
(実施例2の効果)
本実施例2の露光装置60A、LEDヘッド25A及び画像形成装置10Aによれば、次の(C),(D)のような効果がある。
【0105】
(C) 環境温度の変化に対して、基板の長手方向の反りは10μm以内で、短手方向の反りは、実施例1よりも更に少なくすることが可能である。よって、ホルダ61内にて、安定的に基板66を保持することが期待できる。更に、基板66上に搭載され光を出射するLEDアレイチップ65からSLA62の光の入射端面までの距離Loと、SLA62のセンタとLEDアレイチップ65の光軸との位置関係とを安定的に維持できる。よって、信頼性が高く、且つ高精度な印刷が可能な画像形成装置10を提供可能である。
【0106】
(D) 本実施例2のホルダ61Aは、実施例1のホルダ61とは異なり、ベース67Aとホルダ61Aとの間隙に封止剤83を塗布した際に、切欠部61bを介してホルダ61Aの側面部に封止剤83が漏れることがない。よって、封止剤83の塗布作業が容易であるという効果を奏する。
【0107】
(変形例)
本発明は、上記実施例に限定されず、種々の利用形態や変形が可能である。この利用形態や変形例としては、例えば、次の(a)〜(d)のようなものがある。
【0108】
(a) 実施例1,2では、タンデム方式のプリンタ装置を画像形成装置10,10Aに適用した例を説明した。しかし、これに限定されず、他の方式のプリンタ装置に適用しても良い。
【0109】
(b) 実施例1,2では、プリンタ装置を画像形成装置10,10Aに適用した例を説明した。しかし、これに限定されず、プリンタ以外の複写機、ファクシミリ装置、複合機等の他の画像形成装置に適用しても良い。
【0110】
(c) 実施例1では、アクリル系の接着剤を、接着剤80,81に適用した例を説明した。しかし、これに限定されず、ウレタン樹脂系接着剤、α−オレフィン系接着剤、エーテル系セルロ−ス接着剤、エチレン−酢酸ビニル樹脂系接着剤、塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤、クロロプレンゴム系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、シリコーン系接着剤、スチレン−ブタジエンゴム系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、ニトロセルロース接着剤、フェノール樹脂系接着剤、ポリイミド系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリメタクリレート樹脂溶液系接着剤、レゾルシノール系接着剤等の他の種類の接着剤で、且つ実施例1,2と同様な伸び率且つ硬度(ショアD)であれば適用可能である。
【0111】
(d) 実施例1の場合、基板66と保持部材であるベース67とを、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70の接着剤80を介して、接着して保持固定している。その後、支持部材であるホルダ61にベース67を接着して保持固定し、ホルダ61内にて基板66を支持する構成としている。しかし、これに限定されず、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70である第3の接着剤を介して、基板66を支持部材であるホルダ61に接着して保持固定しても良い。
【符号の説明】
【0112】
10,10A 画像形成装置
11 給紙部
20 画像形成部
21 転写ローラ
22 画像形成ユニット
23 感光体ドラム
24 帯電ローラ
25,25A LEDヘッド
26 現像ローラ
27 トナー供給ローラ
28 現像ブレード
29 トナーカートリッジ
30 搬送ベルト
31,32 ローラ
40 定着器
41 定着ローラ
42 バックアップローラ
50 用紙排出部
51 用紙走行路センサ
52a,52b 排出ローラ
53 スタッカ部
60,60A 露光装置
61,61A ホルダ
61a 下面
61b 切欠部
61c 孔部
61d 開口部
62 SLA
63 感光面
65 LEDアレイチップ
66 基板
66a 面
67,67A ベース
67a,67Aa 当接面
68−1,68−2 遮蔽板
69−1,69−2 コイルバネ
70−1,70−2 スペーサ
80,81 接着剤
82,83 封止剤
100 記録用紙
101 搬送路
110 用紙収容カセット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が搭載されている基板と、
前記発光素子から放射される光を感光面に収束させる光学系と、
第1の接着剤によって、前記基板を保持固定する保持部材と、
前記光学系を下部に保持固定すると共に、第2の接着剤によって前記保持部材を保持固定することにより前記基板を支持する支持部材とを有する露光装置において、
前記第1の接着剤は、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70であり、
前記第2の接着剤は、伸び率が10〜30%且つ硬度(ショアD)が90〜100であることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記基板の線膨張係数は、前記保持部材の線膨張係数の66%〜166%であることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記保持部材の線膨張係数は、前記支持部材の線膨張係数の95%〜105%であることを特徴とする請求項1又は2記載の露光装置。
【請求項4】
前記保持部材は、上部が開口しているコの字形状で、且つ下部に前記基板の接着面が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項5】
前記保持部材は、前記基板の周囲を囲いこみ且つ下部が開口している形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項6】
前記支持部材は、下部に前記光学系を保持固定する開口部を有し且つ上部が開放されている略コの字形状であり、両側面部に複数の接着剤注入部が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項7】
前記支持部材は、前記光学系が前記開口部に保持固定され、前記保持部材が前記支持部材に内包される位置において前記発光素子から放射される光が前記光学系によって前記感光面に収束するよう調整されたのち、前記複数の接着剤注入部に前記第2の接着剤を注入して前記保持部材を接着して保持固定することを特徴とする請求項6記載の露光装置。
【請求項8】
前記支持部材と前記保持部材とを接着して保持固定したのち、前記支持部材の上部から封止剤を注入して前記支持部材と前記保持部材との間隙を塞ぐことを特徴とする請求項7記載の露光装置。
【請求項9】
前記複数の接着剤注入部は、複数の切欠部であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項10】
前記複数の接着剤注入部は、複数の孔部であることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の露光装置。
【請求項11】
複数の発光素子が搭載されている基板と、
前記発光素子から放射される光を感光面に収束させる光学系と、
前記光学系を下部に保持固定すると共に、第3の接着剤によって前記基板を保持固定することにより前記基板を支持する支持部材とを有する露光装置において、
前記第3の接着剤は、伸び率が45〜70%且つ硬度(ショアD)が60〜70であることを特徴とする露光装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の露光装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の露光装置と、
前記露光装置を前記感光面の方向に付勢する付勢部材と、
前記露光装置と前記感光面との距離を一定に保つ離間部材と、
を備えたことを特徴とするLEDヘッド。
【請求項14】
請求項13記載のLEDヘッドを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−66499(P2012−66499A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213477(P2010−213477)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(500002571)株式会社沖デジタルイメージング (186)
【Fターム(参考)】