説明

露光装置

【課題】感光体に対する照射高さ位置の微調整を簡単な構成で行うことができる露光装置を提供。
【解決手段】副走査方向に千鳥状に配置されたLEDヘッド10を備え、LEDヘッド10の両側には、像担持体20に対して露光位置の高さを調整する露光調整機構30を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、露光装置の光書き込みを行う構成として、LEDヘッドを用いるものがある。例えば、電子写真装置に、このLEDヘッドを用いるときは、通常、トナー像を転写するシートの幅に相当するLEDヘッドを感光体に一つ配置していた。
【0003】
したがって、上記の配置は、幅が広いシート、例えば、A0の幅を持つようなシートに適用する場合は、この幅に相当する長さを持つLEDヘッドを必要とするものであった。
【0004】
しかし、LEDヘッドのコストは、LEDヘッドの長さに比例するため、A0の幅を持つようなシートに適用したLEDヘッドを組み込んだ露光装置は、コストが高くなるという問題があった。
【0005】
このため、特許文献1に開示されている構成がある。この構成は、LEDヘッドを長さ方向に複数分割し、その分割したLEDヘッドを感光体の主走査方向に沿って千鳥上に配置し、複数のLEDヘッドで1ラインごとの露光をして感光体に静電潜像を書き込むものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭61−169814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この構成は、球面レンズやロッドレンズからなる光学系より明るくし、さらに、発光ダイオードアレイの列間隔を小さくするために、主走査方向の結合作用は第1の円筒レンズで行い、副走査方向の結合作用は第2の円筒レンズで行うものであり、感光体に対する照射高さ位置がずれた場合、対応することができないという問題を持つ。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、副走査方向に千鳥状に配置されたLEDヘッドを備え、LEDヘッドの両側には、像担持体に対して露光位置の高さを調整する露光調整機構が設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2において、LEDヘッドを、主走査方向に複数、配置すること特徴とする。さらに請求項3記載の発明は、露光調整機構を、LEDヘッドの調整の操作が入力される操作軸と、該操作軸から入力された操作量を伝達するはすば歯車と、該はすば歯車に伝達された操作量を前記像担持体に対し露光位置の距離に変換する取付軸とで構成し、取付軸を、LEDヘッドを取り付けるフレームに設けることを特徴とする。
【0010】
またさらに請求項4記載の発明は、露光調整機構を、LEDヘッドの調整の操作が入力される操作軸と、該操作軸から入力された操作量を伝達するはすば歯車と、該はすば歯車に伝達された操作量をデータが記録されたシートに対し露光位置の距離に変換する取付軸とで構成し、取付軸を、LEDヘッドを取り付けるフレームに設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1の露光装置は、像担持体に対して露光位置の高さを調整する露光調整機構をLEDヘッドの両側に設けるという簡単な構成でLEDヘッドの微小な調整もできる。
【0012】
また、露光調整機構を、LEDヘッドの調整の操作が入力される操作軸と、該操作軸から入力された操作量を伝達するはすば歯車と、該はすば歯車に伝達された操作量を前記像担持体に対し露光位置の距離に変換する取付軸とで構成し、さらに、取付軸を、LEDヘッドを取り付けるフレームに設けることにより、露光調整装置の構成を具体的にすることにより、請求項1の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の露光装置を適用した画像形成装置の概略図。
【図2】(a)は本発明の露光装置の斜視図、(b)は露光調整機構の主要部の斜視図。
【図3】動作を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を用いて、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の露光装置を適用した画像形成装置の概略を示す。なお、この実施の形態において、本発明の露光装置を適用したものとして画像形成装置を開示しているがこれに限定されるものではなく、原稿や画像が形成されたシートを読み取る読取装置に適用しても良い。
【0015】
具体的には、画像形成装置は、像担持体20と除電装置Aと帯電装置Bと本願発明の露光装置Cと現像装置Dと図示しない定着装置とクリーニング装置とからなる。定着装置を除く各部は像担持体20の周辺の適宜位置に配置されている。
【0016】
除電装置Aは、像担持体20の表面に残留する電荷を消去して像担持体20の表面を中和するものであり、具体的にはイレーサランプである。帯電装置Bは、除電装置Aで中和された像担持体20の表面を特性極性に一様に帯電するものであり、具体的にはコロナ帯電器である。
【0017】
現像装置Dは、像担持体20に形成された潜像にトナー像を現像するものであり、具体的には、トナーが充填されたトナーカートリッジD1と、トナーカートリッジD1から供給されたトナーが収容された現像容器D2と、現像ローラD3と、現像ローラD3に適当な圧力で接触して配置され、現像ローラD3上に一定のトナー薄層を形成する層厚規制部D4と、現像ローラD3と接触して設けられ現像容器D2内のトナーを現像ローラD3に供給する供給ローラD5と、供給ローラD5の後方に配置された攪拌部材D6を備えたものである。
【0018】
転写装置Eは、像担持体20に現像されたトナー像をシートに転写するものであり、具体的は、トナー像をシートに転写する転写部E1と、転写後のシートを像担持体20から分離する分離部E2とからなるものである。
【0019】
定着装置は、シートに転写したトナー像を固定するものであり、具体的には、定着ローラと加圧ローラとからなる。クリーニング装置Fは転写後に、シートに転写されずに像担持体20に残ったトナーを回収するものである。
【0020】
図2、3に、本発明の露光装置の斜視図を示す。図2に示すように、露光装置は、副走査方向に千鳥状に配置されたLEDヘッド10と、各LEDヘッド10を取り付けるフレーム70と、像担持体20に対して露光位置の高さを調整する露光調整機構30からなる。
【0021】
各LEDヘッド10は、所定の間隔で配置され像担持体20に光を照射する図示しないLEDランプと、LEDヘッド10をフレーム70に取り付ける取付部80とからなる。取付部80は、板状の金属板からなり、LEDヘッド10の熱を放熱する構成となっている。
【0022】
さらに、取付部80は、第一取付部81と第二取付部82とからなる。第一取付部81はLEDヘッド10をネジ等で取り付けるものであり図2に示すように、長手方向に延び、断面略コ字状に形成されている。
【0023】
第二取付部82はネジ等でフレーム70に取り付けられている。図2(b)(第二取付部82は図示されていない。)、図3に示すように、第二取付部82側には、LEDヘッド10が取り付けられた第一取付部81とフレーム70に取り付けられた第二取付部82との間にガタが生じないように、付勢手段90が設けられている。
【0024】
さらに、図3に示すように、フレーム70に取り付けられた各LEDヘッド10は、主走査方向に配置されている。
【0025】
各LEDヘッド10の両側には、像担持体20に対して露光位置の高さを調整する露光調整機構30が設けられている。
【0026】
露光調整機構30は、図2、図3に示すように、第一取付部81と第二取付部82との間に配置され、LEDヘッド10の調整の操作が入力される操作軸40と、操作軸40から入力された操作量を伝達するはすば歯車50と、はすば歯車50に伝達された操作量を像担持体20に対し露光位置の距離に変換する取付軸60とからなる。
【0027】
図2に示すように、操作軸40は、露光装置C外部から像担持体20に対する露光位置の高さの調整を行うものであり、第二取付部82に軸通している。操作軸40は、露光装置C外部から操作を行う操作片41と、ねじ部42とからなる。
【0028】
はすば歯車50は、操作軸40の径よりも大きく形成され、第一取付部81側に固定して設けられ、取付部のねじ部42と噛み合って接している。さらに、はすば歯車50の中心には、取付軸60を取り付ける取付孔(図示せず)が設けられている。また、取付孔の内周は、取付軸60が噛み合って接するようにねじ山が形成されている。
【0029】
取付軸60は、はすば歯車50側に位置する一端には、LEDヘッド10が、像担持体20に接しないように、移動を規制する規制部材が設けられ、他方、LEDヘッド10側に位置する他端は、ネジ等で第一取付部81の上面に取り付けられている。具体的に、規制部材としては、取付軸60に螺合したボルトである。また、取付軸60の外周は、はすば歯車50の取付孔にねじ込むことができるようにねじ山61が形成されている。
【0030】
以上の構成により、露光調整機構30の動作を説明する。先ず、露光装置Cの外部から一方または両側の操作片41をドライバー等で所定の方向に回転させる。
【0031】
操作軸40の回転はねじ部42からはすば歯車50に伝達され、これに伴い、操作片41の操作量分だけ、はすば歯車50は僅かに時計または反時計方向に回転する。操作軸40の回転は、操作軸40の径よりはすば歯車50の径が大きくなっているため、はすば歯車50の回転は減速する。
【0032】
図3に示すように、取付軸60は、減速したはすば歯車50の回転分だけ上下方向に変換され、操作片41の操作量だけ上下にシフトする。このシフトと同時に、LEDヘッド10も移動する。この移動により、像担持体20に対し露光位置の距離が調整される。
【0033】
操作片41の回転をはすば歯車50で減速する構成により、LEDヘッド10の微小な調整もできる。特に、図3に示すように、千鳥状に配置した各LEDヘッド10の光の照射位置を、像担持体20表面に対し直線状に容易に合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
シートに画像を形成する装置、例えば、インクジェット方式、サーマル方式等にも適用できる。また、シートに形成された画像や文字等(画像と文字が混合されたものも含む)を読み取る読取装置(いわゆるスキャナ)にも適用することができる。
【符号の説明】
【0035】
10 LEDヘッド
20 像担持体
30 露光調整機構
40 操作軸
50 はすば歯車
60 取付軸
70 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副走査方向に千鳥状に配置されたLEDヘッドを備え、像担持体に静電潜像を形成する露光装置において、
前記LEDヘッドの両側には、像担持体に対して露光位置の高さを調整する露光調整機構が設けられていることを特徴とする露光装置。
【請求項2】
前記LEDヘッドは、主走査方向に複数、配置されていることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項3】
前記露光調整機構は、前記LEDヘッドの調整の操作が入力される操作軸と、該操作軸から入力された操作量を伝達するはすば歯車と、該はすば歯車に伝達された操作量を前記像担持体に対し露光位置の距離に変換する取付軸とを備え、
前記取付軸は、前記LEDヘッドを取り付けるフレームに設けられていることを特徴とする請求項1記載の露光装置。
【請求項4】
副走査方向に千鳥状に配置されたLEDヘッドを備え、シートのデータを読み取る露光装置において、
前記LEDヘッドの両側には、シートに対して露光位置の高さを調整する露光調整機構が設けられていることを特徴とする露光装置。
【請求項5】
前記LEDヘッドは、主走査方向に複数、配置されていることを特徴とする請求項4記載の露光装置。
【請求項6】
前記露光調整機構は、前記LEDヘッドの調整の操作が入力される操作軸と、該操作軸から入力された操作量を伝達するはすば歯車と、該はすば歯車に伝達された操作量を前記像担持体に対し露光位置の距離に変換する取付軸とを備え、
前記取付軸は、前記LEDヘッドを取り付けるフレームに設けられていることを特徴とする請求項4記載の露光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−240556(P2011−240556A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113699(P2010−113699)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】