静電容量型入力装置、静電容量型入力装置の検査方法、静電容量型入力装置用駆動装置
【課題】大掛かりな検査装置を用いなくても、入力位置検出用の電極が断線しているか否かを確実に検出することのできる静電容量型入力装置、該静電容量型入力装置の検査方法、およびかかる検査方法を実現可能な静電容量型入力装置用駆動装置を提供すること。
【解決手段】静電容量型入力装置1では、基板20上に、互いに交差する方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211および第2電極212が形成されている。第1電極211および第2電極212の一方側端部からは信号配線27が延在している。基板20上には、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して対向する検査用電極280と、検査用電極280に電気的に接続された検査用配線29とが形成されている。このため、検査用配線29と複数の信号配線27との各間の容量値を順次、測定すれば、第2電極212に断線が発生しているか否かを判定することができる。
【解決手段】静電容量型入力装置1では、基板20上に、互いに交差する方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211および第2電極212が形成されている。第1電極211および第2電極212の一方側端部からは信号配線27が延在している。基板20上には、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して対向する検査用電極280と、検査用電極280に電気的に接続された検査用配線29とが形成されている。このため、検査用配線29と複数の信号配線27との各間の容量値を順次、測定すれば、第2電極212に断線が発生しているか否かを判定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力位置検出用電極に結合する静電容量の変化に基づいて入力位置を検出する静電容量型入力装置、該静電容量型入力装置の検査方法、および静電容量型入力装置用駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器では、液晶装置等の表面に、タッチパネルと称せられる入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された画像を参照しながら、情報の入力が行えるものがある。このような入力装置のうち、静電容量型入力装置は、図11に模式的に示すように、基板20上に、X方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、Y方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212と、第1電極211および第2電極212の一方側端部から延在する複数の信号配線27とを有しており、信号配線27を介して第1電極211および第2電極212に結合している静電容量を監視する。従って、第1電極211および第2電極212に指が近接すると、指が近接した電極では、指との間に生じた静電容量分だけ、静電容量が増大するので、指が近接した電極を特定することができる。
【0003】
このような静電容量型入力装置では、第1電極211および第2電極212の一箇所に断線が発生していると、その列での検出が不可能となる。従って、第1電極211および第2電極212に断線が発生しているか否かを検出することは、静電容量型入力装置の信頼性を確保するという面で重要な課題である。
【0004】
一方、電極の断線を検査する方法としては、複数の電極に対してセンサー電極を順次、近接させて電極との結合容量を監視する検査方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−191381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方式では、スカラーロボットによってセンサー電極を複数の電極に対して順次、近接させていく方式であるため、大掛かりな検査装置を必要する。また、静電容量型入力装置の場合、第1電極211および第2電極212に結合している容量が既に存在しているため、断線が発生している場合でも正常な電極との容量差が小さく、判定が困難であるという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、大掛かりな検査装置を用いなくても、入力位置検出用の電極が断線しているか否かを確実に検出することのできる静電容量型入力装置、該静電容量型入力装置の検査方法、およびかかる検査方法を実現可能な静電容量型入力装置用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記基板上で前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置であって、前記基板上に、前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、前記検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記基板上で前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置の検査方法であって、前記基板上に、前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、前記検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を設けておき、前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極に断線していると判定することを特徴とする。
【0010】
本発明では、基板上に、第1電極および第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、検査用電極に電気的に接続された検査用配線とを有しているので、検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、容量値が設定値以下である信号配線が電気的に接続する電極に断線が発生していると判定することができる。かかる構成によれば、第1電極や第2電極に容量が結合していても、断線が発生していれば、検査用配線と信号配線との各間からは容量が一切検出されないか、極めてわずかな容量が検出されるだけである。従って、第1電極や第2電極に結合している容量が既に存在している場合でも、電極の断線を確実に検出することができる。また、基板上に形成された検査用配線と信号配線との各間の容量値を測定すればよいので、大掛かりな検査装置を必要としないという利点もある。さらに、第1電極や第2電極と検査用電極との間は容量値が一定であり、かつ、容量値も小さいため、検査用電極を設けても位置検出の妨げになることはない。
【0011】
本発明において、前記検査用電極は、前記他方側端部に前記絶縁膜を介して厚さ方向で重なって当該他方側端部に対向していることが好ましい。このように構成すると、第1電極や第2電極と検査用電極とを適正な容量値をもつ容量で結合させることができるので、検査用配線と信号配線との各間の容量値を確実に測定することができる。
【0012】
本発明において、前記第2電極は、前記第1電極との交差部で途切れており、前記基板上に、前記交差部で途切れた前記第2電極同士を電気的に接続する中継電極を備え、前記検査用電極は、少なくとも前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることが好ましい。このように構成すると、第1電極および第2電極のうち、断線が発生しやすい第2電極に断線が発生しているか否かを検出することができる。
【0013】
本発明において、前記検査用電極は、前記第1電極の他方側端部および前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることが好ましい。このように構成すると、第1電極および第2電極の双方に対して断線が発生しているか否かを検出することができる。
【0014】
本発明において、前記検査用電極は、前記他方側端部毎に独立して設けられ、前記検査用配線は、複数の前記検査用電極に電気的に接続していることが好ましい。本発明において、前記検査用配線は、全ての前記検査用電極に電気的に接続していることが好ましい。このように構成すると、検査用配線の数を最小限に抑えることができるので、検査用配線を設けるためのスペースが狭くてよい。
【0015】
本発明において、前記検査用配線は、前記入力領域の少なくとも三方を囲むように延在していることが好ましい。このように構成すると、検査用配線をシールド配線として利用できるので、入力領域内に電磁波ノイズが侵入することを防止することができる。
【0016】
本発明において、前記検査用配線および複数の前記信号配線に電気的に接続する断線検査部を備え、当該断線検査部は、前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、前記第1電極および前記第2電極のうち、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極が断線していると判定することが好ましい。このように構成すると、検査装置を用いなくても、静電容量型入力装置自身で断線を検出することができる。
【0017】
かかる検査方法を静電容量型入力装置用駆動装置によって実行することができる。すなわち、本発明は、基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置用駆動装置であって、前記信号配線に位置検出用の信号を出力する複数の信号端子と、前記信号端子に位置検出用の信号を供給する駆動部と、検査用端子と、前記検査用端子と複数の前記信号端子との各間の容量値を測定し、当該容量値が設定値以下であるか信号端子が存在するか否かを判定する断線判定部と、を有していることを特徴とする。このように構成すると、検査装置を用いなくても、静電容量型入力装置用駆動装置で断線を検出することができる。
【0018】
本発明を適用した静電容量型入力装置は、例えば、入力装置付き電気光学装置を構成するのに用いられ、かかる入力装置付き電気光学装置では、前記基板に対して入力操作側とは反対側に画像生成用の電気光学パネルが構成されている。
【0019】
本発明を適用した入力装置付き電気光学装置は、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した静電容量型入力装置の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る入力装置付き電気光学装置の断面構成を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた基板の概略構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた基板の平面的な構成を具体的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた基板の断面構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた断線検出の原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置に用いた基板の概略構成を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る静電容量型入力装置に用いた基板の概略構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る静電容量型入力装置に形成した検出部の説明図である。
【図10】本発明を適用した静電容量型入力装置を備えた電子機器の説明図である。
【図11】従来の静電容量型入力装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。以下、各実施の形態で共通な基本構成を説明した後、各実施の形態の詳細な説明を行なう。
【0022】
[実施の形態]
(入力装置付き電気光学装置の全体構成)
図1は、本発明を適用した静電容量型入力装置の説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は各々、本形態の静電容量型入力装置を備えた入力装置付き電気光学装置の全体構成を模式的に示す説明図、静電容量型入力装置の電気的な構成を模式的に示す説明図、および静電容量型入力装置に供給される電位の説明図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る入力装置付き電気光学装置の断面構成を模式的に示す説明図であり、図2(a)、(b)は各々、基板において入力操作側に位置する第1面側に入力位置検出用電極を設けた構成例の説明図、および基板において入力操作側とは反対側の第2面側に入力位置検出用電極を設けた構成例の説明図である。
【0023】
図1(a)において、本形態の入力装置付き電気光学装置100は、概ね、液晶装置等からなる画像生成装置5と、この画像生成装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置された静電容量型入力装置1とを有している。静電容量型入力装置1は入力パネル2(タッチパネル)を備え、画像生成装置5は電気光学パネル5a(表示パネル)としての液晶パネルを備えている。本形態において、入力パネル2および電気光学パネル5aはいずれも矩形の平面形状を備えており、静電容量型入力装置1および入力装置付き電気光学装置100を平面視したときの中央領域が入力領域2aである。また、画像生成装置5および入力装置付き電気光学装置100において入力領域2aと平面視で重なる領域が画像形成領域である。入力パネル2において端部20eが位置する側にはフレキシブル配線基板35が接続され、電気光学パネル5aにおいて端部20eが位置する側にはフレキシブル配線基板73が接続されている。
【0024】
図1および図2(a)、(b)において、画像生成装置5は、透過型や半透過反射型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置であり、電気光学パネル5aに対して入力パネル2が配置されている側とは反対側(表示光の出射側とは反対側)にはバックライト装置(図示せず)が配置されている。バックライト装置は、例えば、電気光学パネル5aに対して静電容量型入力装置1が配置されている側とは反対側に重ねて配置された透光性の導光板と、導光板の側端部に向けて白色光等を出射する発光ダイオード等の光源とを備えており、光源から出射された光は、導光板の側端部から入射した後、導光板内を伝搬しながら電気光学パネル5aに向けて出射される。導光板と電気光学パネル5aとの間には、光散乱シートやプリズムシート等のシート状光学部材が配置されることもある。
【0025】
画像生成装置5において、電気光学パネル5aに対して表示光の出射側には第1偏光板81が重ねて配置され、その反対側に第2偏光板82が重ねて配置されている。電気光学パネル5aは、表示光の出射側とは反対側に配置された透光性の素子基板50と、この素子基板50に対して表示光の出射側で対向配置された透光性の対向基板60とを備えている。対向基板60と素子基板50とは、矩形枠状のシール材71により貼り合わされており、対向基板60と素子基板50との間においてシール材71で囲まれた領域内に液晶層55が保持されている。素子基板50において、対向基板60と対向する面には複数の画素電極58がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成され、対向基板60において、素子基板50と対向する面には共通電極68がITO膜等の透光性導電膜により形成されている。また、対向基板60にはカラーフィルターが形成されている。なお、画像生成装置5がIPS(In Plane Switching)方式や、FFS(Fringe Field Switching)方式である場合、共通電極68は素子基板50の側に設けられる。また、素子基板50が対向基板60に対して表示光の出射側に配置されることもある。素子基板50において、対向基板60の縁から張り出した張出領域59には駆動用IC75がCOG実装されているとともに、張出領域59にはフレキシブル配線基板73が接続されている。なお、素子基板50には、素子基板50上のスイッチング素子と同時に駆動回路を形成することもある。
【0026】
(静電容量型入力装置1の詳細構成)
図2(a)、(b)に示す静電容量型入力装置1において、入力パネル2は、ガラス板やプラスチック板等からなる透光性の基板20を備えており、本形態では、基板20としてガラス基板が用いられている。なお、基板20をプラスチック材料から構成する場合、プラスチック材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PI(ポリイミド)、ポリノルボルネン等の環状オレフィン樹脂等の耐熱性の透光性シートを用いることができる。以下、基板20において、以下に説明する電極等が形成されている側を第1面20aとし、その反対側を第2面20bとして説明する。
【0027】
詳しくは後述するが、図2(a)、(b)に示す静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aには、基板20からみて下層側から上層側に向かって第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜214、および第2透光性導電膜4bが形成されており、第1透光性導電膜4aおよび第2透光性導電膜4bのうち、第1透光性導電膜4aによって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の端部20e、20f、20g、20hのうち、端部20eでは、第1面20aにフレキシブル配線基板35が接続されている。基板20に対して入力操作側には、透光性および絶縁性のカバー90が粘着剤90e等により貼付されており、かかるカバー90には、基板20において入力領域2aの外側の領域(周辺領域2b)と重なる領域に遮光層90aが印刷されている。かかる遮光層90aで囲まれた領域が入力領域2aである。遮光層90aは、電気光学パネル5aの外側領域と重なっており、画像生成装置5の光源や導光板の端部から漏れた光を遮断する。なお、入力パネル2と液晶パネル5aとの間には、透光性フィルム上にITO膜等の透光性導電膜が形成されたシールド用の導電フィルム99が配置されており、図2(b)に示す構成では、導電フィルム99と基板20とは粘着剤層99e等によって接着されている。
【0028】
(静電容量型入力装置1の電極等の概略構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の概略構成を示す説明図である。なお、図3において、入力領域2aについては、その角部分の位置を英文字の「L」状のマークで示してある。
【0029】
図3に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aには、入力領域2aでX方向(第1方向)に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、入力領域2aでX方向に交差するY方向(第2方向)に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212とが形成されており、これらの第1電極211および第2電極212によって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の第1面20aにおいて、入力領域2aの外側に相当する周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する信号配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する信号配線27が形成されており、これらの信号配線27において端部20eに位置する部分は第1実装端子24aになっている。
【0030】
また、本形態の静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aにおいて、周辺領域2bには、基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。ここで、第2電極212において、端部20g側に位置する他方側端部212yと検査用配線29との間には、第2電極212の断線を検出する断線検出部28が構成されている。
【0031】
(入力位置検出用電極21および信号配線27等の詳細構成)
以下、図4〜図6を参照して、入力位置検出用電極21(第1電極211、第2電極212)、および信号配線27等の構成を詳述した後、検査用配線29および断線検出部28の構成を詳述する。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の平面的な構成を具体的に示す説明図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の断面構成を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、基板20のA1−A1′断面図、および基板20のB1−B1′断面図である。なお、図4においては、各構成が分りやすいように、電極の数を減らして拡大して表してある。また、図4において、第1透光性導電膜4aについては一点鎖線で示し、層間絶縁膜214を点線で示し、第2透光性導電膜4bについては実線で示し、配線用の金属層について二点左鎖線で示してある。また、図4において、入力領域2aについては、その角部分の位置を英文字の「L」状のマークで示してある。
【0033】
図4および図5(a)、(b)に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aの側には、基板20からみて下層側から上層側に向けて第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜214、および第2透光性導電膜4bが順に形成されている。また、基板20の第1面20aの側には、第1透光性導電膜4aのうち、信号配線27を構成する部分には、第1透光性導電膜4aの上面に金属膜4cが形成されている。
【0034】
本形態において、第1透光性導電膜4aは多結晶のITO膜からなり、第1透光性導電膜4aの上層側には、感光性樹脂膜やシリコン酸化膜等の透光性絶縁膜からなる層間絶縁膜214が形成されている。本形態において、第2透光性導電膜4bも、第1透光性導電膜4aと同様、多結晶のITO膜からなる。金属膜4cは、銀、パラジウム、銅の合金等からなる。なお、基板20の第1面20aには、その全面にシリコン酸化膜等からなる透光性の下地保護膜が形成されている場合があり、この場合、下地保護膜上に第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜214、および第2透光性導電膜4bが順に積層されることになる。
【0035】
本形態の静電容量型入力装置1において、第1透光性導電膜4aは、まず、入力領域2aに複数の菱形領域として形成され、かかる菱形領域は、入力位置検出用電極21(第1電極211および第2電極212)のパッド部211a、212a(大面積部分)を構成する。これらのパッド部211a、212aは、X方向およびY方向において交互に配列されている。複数のパッド部211aにおいてX方向(第1方向)で隣り合うパッド部211a同士は連結部分211cを介して繋がっており、パッド部211aおよび連結部分211cは、X方向で延在する第1電極211を構成している。これに対して、複数のパッド部212aは、Y方向(第2方向)で延在する第2電極212を構成するが、Y方向で隣り合うパッド部212aの間、すなわち、連結部分211cと重なる部分は途切れ部分218aを備えている。また、第1透光性導電膜4aは、周辺領域2bにおいて、信号配線27の下層側を構成する下層側配線271として形成されている。
【0036】
層間絶縁膜214は入力領域2aから周辺領域2bにわたって広い領域に形成されている。層間絶縁膜214には、コンタクトホール214aが形成されており、かかるコンタクトホール214aは、パッド部212aにおいて途切れ部分218aを介して対峙する端部と重なる位置に形成されている。
【0037】
第2透光性導電膜4bは、コンタクトホール214aと重なる領域に中継電極215として形成されている。
【0038】
金属膜4cは、周辺領域2bにおいて、信号配線27の上層側を構成する上層側配線272として形成されている。
【0039】
さらに、第2透光性導電膜4bの上層側には、基板20の略全面に、感光性樹脂からなるトップコート層219が形成されている。
【0040】
このように構成した静電容量型入力装置1において、第1電極211および第2電極212は、同一の導電膜(第1透光性導電膜4a)によって形成され、かつ、互いに交差する方向に延在しているため、基板20上には、第1電極211と第2電極212とが交差する交差部218が存在する。
【0041】
ここで、第1電極211および第2電極212のうち、第1電極211は、交差部218でも第2透光性導電膜4bからなる連結部分211cによってX方向で繋がって延在している。これに対して、第2電極212には交差部218に途切れ部分218aが構成されている。但し、交差部218では、層間絶縁膜214の上層に中継電極215が形成されており、かかる中継電極215は、層間絶縁膜214のコンタクトホール214aを介して、途切れ部分218aを介して隣り合うパッド212a同士を電気的に接続している。このため、第2電極212はY方向で電気的に接続した状態でY方向に延在している。なお、中継電極215は、層間絶縁膜214を介して連結部分211cに重なっているため、短絡するおそれはない。
【0042】
このように構成した第1電極211および第2電極212は各々、交差部218で挟まれた領域に矩形の大面積のパッド部211a、212aを備えており、第1電極211において交差部218に位置する連結部分211cは、パッド部211a、212aより幅の狭い細幅形状になっている。また、中継電極215も、パッド部211a、212aより幅の狭い細幅形状に形成されている。
【0043】
ここで、下層側配線271は、第1電極211においてX方向の一方側あるいは他方側に位置する一方側端部から延在し、その上層に上層側配線272が形成されている。また、下層側配線271は、周辺領域2bにおいてY方向の一方側(第1実装端子24aが位置する側)の位置する一方側端部から延在し、その上層に上層側配線272が形成されている。
【0044】
(入力位置検出方法)
図1(b)に示すように、本形態の静電容量型入力装置1では、入力パネル2の第1実装端子24aおよび第2実装端子24bに対してフレキシブル配線基板35を介して駆動用IC10(静電容量型入力装置用駆動装置/断線検査部)が接続される。ここで、駆動用IC10は、フレキシブル配線基板35を介して第1実装端子24aに電気的に接続される第1端子11a(信号端子)と、この第1端子11aに対して図1(c)に示す位置検出信号VDを出力する駆動部110を備えている。また、駆動用IC10は、複数の第1端子11aの各々に結合する容量を測定する容量測定部120を備えている。また、駆動用IC10は、フレキシブル配線基板35を介して第2実装端子24bに電気的に接続される第2端子11b(検査用端子)と、容量測定部120の容量測定結果に基づいて、容量値が設定値以下である第1端子11aが存在するか否かを判定する断線判定部130を備えており、かかる第2端子11bおよび断線判定部130は、後述する断線検出に用いられる。従って、駆動用IC10は、後述するように、断線検査部としても機能する。なお、駆動用IC10は、入力パネル2にグランド電位を出力するグランド端子も備えているが、本発明には直接、関係しないので、図示および説明を省略する。
【0045】
このように構成した静電容量型入力装置1において、図1(b)に示す駆動用IC10が第1端子11aから、図1(c)に示す矩形パルス状の位置検出信号VDを出力すると、入力位置検出用電極21に容量が寄生していない場合、第1端子11aからは、図1(c)に実線で示す波形の信号が検出される。これに対して、入力位置検出用電極21に容量が寄生していると、図1(c)に点線で示すように、容量に起因する波形の歪みが発生するので、駆動部110は、入力位置検出用電極21に容量が寄生しているか否かを検出することができる。従って、本形態では、複数の入力位置検出用電極21に順次、位置検出信号VDを出力して入力位置検出用電極21の各々に対して、結合している静電容量を監視する。それ故、複数の入力位置検出用電極21のうちのいずれかに指が近接すると、指が近接した入力位置検出用電極21では、指との間に生じた静電容量分だけ、静電容量が増大するので、指が近接した電極を特定することができる。
【0046】
従って、基板20において、入力位置検出用電極(第1電極211および第2電極212)の一箇所に断線が発生していると、その列での検出が不可能となる。そこで、本形態では、以下に説明する構成を採用し、第1電極211および第2電極212のうち、断線が発生しやすい第2電極212の断線を検出する。
【0047】
(断線検出のための構成)
本形態では、第2電極212の断線検出を行なうことを目的に、基板20の第1面20aには、第2電極212において信号配線27が接続している一方側端部とは反対側の他方側端部212y(基板20の端部20g側に位置する端部)に対して、層間絶縁膜214を介して対向する検査用電極280が設けられており、第2電極212の他方側端部212yと検査用電極280との対向部分によって断線検出部28が構成されている。
【0048】
ここで、検査用電極280は第2透光性導電膜4bからなり、入力領域2aに向けて延在する短冊状に形成されている。このため、検査用電極280の端部は、第1透光性導電膜4aからなる第2電極212の他方側端部212yに対して層間絶縁膜214を介して厚さ方向で重なっている。このようにして、断線検出部28は、検査用電極280と第2電極212との間に結合する容量として構成されている。
【0049】
また、基板20の第1面20aには、周辺領域2bにおいて基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。
【0050】
検査用配線29は、第1透光性導電膜4aからなる下層側配線291と、下層側配線291の上面に沿って形成された金属膜4cからなる上層側配線292とからなる。かかる検査用配線29において端部20eに沿う部分では、第1透光性導電膜4aからなる下層側配線291に比して、金属膜4cからなる上層側配線292の幅寸法が狭くなっている。このため、下層側配線291は、上層側配線292から幅方向のうち、入力領域2aが位置する側に大きく張り出している。そこで、本形態では、層間絶縁膜214において、下層側配線291が上層側配線292から幅方向で張り出している部分と重なる領域にコンタクトホール214bを形成し、かかるコンタクトホール214bを介して、検査用配線29の下層側配線291と検査用電極280とが電気的に接続されている。
【0051】
このような検査用電極280は、複数の第2電極212に対して共通の検査用電極として形成することができるが、本形態において、検査用電極280は、複数の第2電極212の各々に対して1対1の関係をもって形成されている。このため、検査用電極280は複数形成されているが、検査用配線29は複数の検査用電極280に電気的に接続されている。本形態では、複数の検査用電極280の全てが共通の検査用配線29に電気的に接続されている。このため、第2電極212は複数であるが、検査用配線29は1本のみ形成されている。
【0052】
(断線検出の原理)
図6は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた断線検出の原理を示す説明図である。
【0053】
本形態の静電容量型入力装置1において、上記の検査用電極280を備えた断線検出部28、および検査用配線29を用いて第2電極212の断線を検出するには、図1(b)に示す駆動用IC10は、複数の第1端子11aに順次、図1(c)に示すようにパルス状の検査信号を出力ながら、容量測定部120によって複数の第1端子11aと第2端子11bとの間の容量値を順次測定する。そして、断線判定部130は、容量測定部120の容量測定結果に基づいて、容量値が設定値以下である第1端子11aが存在するか否かを判定する。
【0054】
すなわち、図6に示すように、信号配線27と検査用配線29との間には、各種抵抗分R1〜R8の他、第2電極212と隣り合う電極との間の寄生容量C4〜C8と、断線検出部28の容量C3、検査用配線29と第2電極212との間の寄生容量C12、検査用配線29と信号配線27との間の寄生容量C2等が存在するが、第2電極212が断線すると、検査用配線29と信号配線27との間からは容量が一切検出されない。あるいは、第2電極212が断線すると、検査用配線29と信号配線27との間からは極めてわずかな容量が検出されるだけである。従って、第2電極212に結合している容量が既に存在している場合でも、断線判定部130は、第2電極212の断線を確実に検出することができ、駆動用IC10は断線検査部として機能する。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の静電容量型入力装置1では、基板20上に、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して対向する検査用電極280と、検査用電極280に電気的に接続された検査用配線29とを有しているので、検査用配線29と複数の信号配線27との各間の容量値を順次、測定すれば、容量値が設定値以下である信号配線27が電気的に接続する第2電極212に断線が発生しているが判定できる。かかる構成によれば、第2電極212に他の容量が結合していても、断線が発生していれば、検査用配線29と信号配線27との各間からは容量が一切検出されないか、極めてわずかな容量が検出されるだけである。従って、第2電極212に結合している容量が既に存在している場合でも、第2電極212の断線を確実に検出することができる。
【0056】
また、基板20上に形成された検査用配線29と信号配線27との各間の容量値を測定すればよいので、大掛かりな検査装置を必要としないという利点もある。さらに、第2電極212と検査用電極280との間は容量値が一定であり、かつ、容量値が小さいため、検査用電極280を設けても位置検出の妨げになることはない。
【0057】
また、本形態において、検査用電極280は、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して厚さ方向で重なっている。このため、第1電極や第2電極と検査用電極とを適正な容量値をもつ容量で結合させることができるので、検査用配線29と信号配線27との各間の容量値を確実に測定することができる。
【0058】
また、本形態において、第2電極212は、途切れ部分が中継電極215で接続された構造であるため、第1電極211に比較して断線が発生しやすいが、かかる第2電極212の断線を検出するため、本形態の静電容量型入力装置1は信頼性が高い。
【0059】
さらに、本形態において、検査用電極280は第2電極212毎に独立して設けられているが、検査用配線29は、全ての検査用電極280に電気的に接続している。このため、検査用配線29は、最小限の1本でよいので、検査用配線29を設けるためのスペースが狭くてよい。
【0060】
さらにまた、本形態では、位置検出に用いた駆動用IC10で断線検出を行なうため、駆動用IC10を接続した以降であれば、静電容量型入力装置1の製造途中、および静電容量型入力装置1の出荷前に実施できる他、静電容量型入力装置1を出荷後の使用中であっても定期的に断線検出を行なうこともできる。
【0061】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の概略構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、実施の形態1と同様、基板20の第1面20aには、入力領域2aでX方向(第1方向)に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、入力領域2aでX方向に交差するY方向(第2方向)に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212とが形成されており、これらの第1電極211および第2電極212によって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の第1面20aにおいて、入力領域2aの外側に相当する周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する信号配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する信号配線27が形成されており、これらの信号配線27において端部20eに位置する部分は第1実装端子24aになっている。
【0063】
また、基板20の第1面20aにおいて、周辺領域2bには、基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。ここで、第2電極212において、端部20g側に位置する他方側端部212yと検査用配線29との間には、図4および図5を参照して説明した断線検出部28が構成されている。従って、第2電極212の断線を検査することができる。
【0064】
ここで、検査用配線29は、入力領域2aの周りにおいて基板20の端部20f、20g、20hが位置する三方を囲んでいる。また、検査用配線29は、基板20の端部20eに位置する両端部分が第2実装端子24bになっており、かかる第2実装端子24bは、第1実装端子24aを挟む両側に形成されている。
【0065】
このため、本形態では、実施の形態1と同様、第2電極212の断線検出を行なうことができるとともに、静電容量型入力装置1を使用している期間中、図1(b)に示す駆動用IC10から検査用配線29にシールド電位を印加すれば、基板20の周りから入力領域2aに電磁波ノイズが侵入することを防止することができる。かかるシールド電位として、グランド電位を検査用配線29に印加してもよいが、図1(c)に示す位置検出信号VDと波形(位相も含めて)が同一のシールド電位を印加すれば、入力位置検出用電極21と検査用配線29(シールド配線)との間と容量が寄生しない状態を実現することができる。それ故、基板20上にシールド配線(検査用配線29)を設けても、静電容量方式による入力位置の検出には支障がない。
【0066】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の概略構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、実施の形態1と同様、基板20の第1面20aには、入力領域2aでX方向(第1方向)に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、入力領域2aでX方向に交差するY方向(第2方向)に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212とが形成されており、これらの第1電極211および第2電極212によって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の第1面20aにおいて、入力領域2aの外側に相当する周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する信号配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する信号配線27が形成されており、これらの信号配線27において端部20eに位置する部分は第1実装端子24aになっている。
【0068】
また、基板20の第1面20aにおいて、周辺領域2bには、基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。また、第2電極212において、端部20g側に位置する他方側端部212yと検査用配線29との間には、図4および図5を参照して説明した断線検出部28が構成されている。
【0069】
ここで、第2電極212から延在する信号配線27は、全てX方向の一方側(端部20hの側)で延在しており、X方向の他方側(端部20fの側)には存在しない。そこで、本形態では、基板20の端部20fの側には、第1電極211において、端部20f側に位置する他方側端部211xと検査用配線29との間にも、図4および図5を参照して説明した断線検出部28が構成されている。
【0070】
このため、本形態によれば、第1電極211および第2電極212の双方に対して断線検出を行なうことができる。
【0071】
[実施の形態4]
図9は、本発明の実施の形態4に係る静電容量型入力装置1に形成した断線検出部28の説明図である。上記実施の形態1〜3では、断線検出部28を構成するにあたって、検査用電極280が、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して厚さ方向で重なっている構成を採用した。これに対して、本形態では、図9に示すように、検査用配線29において、第2電極212の他方側端部212yに対して層間絶縁膜214を介して横方向で対向している側端部を検査用電極280として利用することにより、断線検出部28が構成されている。
【0072】
このように構成した場合でも、検査用電極280と第2電極212の他方側端部212yとの間の横電界に起因するフリンジ容量によって、検査用電極280と第2電極212の他方側端部212yとが結合している。従って、第2電極212の断線検出を行なうことができる。また、図9に示す構成であれば、検査用電極280を設けるスペースをさらに狭くすることができる等の利点がある。
【0073】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、画像生成装置5として液晶装置を用いたが、画像生成装置5としては有機エレクトロルミネッセンス装置や電子ペーパーを用いてもよい。
【0074】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る入力装置付き電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図10(a)に、入力装置付き電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての入力装置付き電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。図10(b)に、入力装置付き電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、スクロールボタン3002、および表示ユニットとしての入力装置付き電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、入力装置付き電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図10(c)に、入力装置付き電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、電源スイッチ4002、および表示ユニットとしての入力装置付き電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が入力装置付き電気光学装置100に表示される。
【0075】
なお、入力装置付き電気光学装置100が適用される電子機器としては、図10に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、銀行端末等の電子機器等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した入力装置付き電気光学装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1・・静電容量型入力装置、2・・入力パネル、2a・・入力領域、2b・・周辺領域、4a・・第1透光性導電膜、4b・・第2透光性導電膜、10・・駆動用IC(静電容量型入力装置用駆動装置)、11a・・第1端子(信号端子)、11b・・第2端子(検査用端子)、20・・基板、21・・入力位置検出用電極、27・・信号配線、28・・断線検出部、29・・検査用配線、100・・入力装置付き電気光学装置、110・・駆動部、120・・容量測定部、130・・断線判定部、211・・第1電極、211c・・連結部分、212・・第2電極、214・・層間絶縁膜、215・・中継電極、218・・交差部分、218a・・途切れ部分、280・・検査用電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力位置検出用電極に結合する静電容量の変化に基づいて入力位置を検出する静電容量型入力装置、該静電容量型入力装置の検査方法、および静電容量型入力装置用駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器では、液晶装置等の表面に、タッチパネルと称せられる入力装置が配置され、液晶装置の画像表示領域に表示された画像を参照しながら、情報の入力が行えるものがある。このような入力装置のうち、静電容量型入力装置は、図11に模式的に示すように、基板20上に、X方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、Y方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212と、第1電極211および第2電極212の一方側端部から延在する複数の信号配線27とを有しており、信号配線27を介して第1電極211および第2電極212に結合している静電容量を監視する。従って、第1電極211および第2電極212に指が近接すると、指が近接した電極では、指との間に生じた静電容量分だけ、静電容量が増大するので、指が近接した電極を特定することができる。
【0003】
このような静電容量型入力装置では、第1電極211および第2電極212の一箇所に断線が発生していると、その列での検出が不可能となる。従って、第1電極211および第2電極212に断線が発生しているか否かを検出することは、静電容量型入力装置の信頼性を確保するという面で重要な課題である。
【0004】
一方、電極の断線を検査する方法としては、複数の電極に対してセンサー電極を順次、近接させて電極との結合容量を監視する検査方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−191381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の方式では、スカラーロボットによってセンサー電極を複数の電極に対して順次、近接させていく方式であるため、大掛かりな検査装置を必要する。また、静電容量型入力装置の場合、第1電極211および第2電極212に結合している容量が既に存在しているため、断線が発生している場合でも正常な電極との容量差が小さく、判定が困難であるという問題点がある。
【0007】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、大掛かりな検査装置を用いなくても、入力位置検出用の電極が断線しているか否かを確実に検出することのできる静電容量型入力装置、該静電容量型入力装置の検査方法、およびかかる検査方法を実現可能な静電容量型入力装置用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記基板上で前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置であって、前記基板上に、前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、前記検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記基板上で前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置の検査方法であって、前記基板上に、前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、前記検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を設けておき、前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極に断線していると判定することを特徴とする。
【0010】
本発明では、基板上に、第1電極および第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、検査用電極に電気的に接続された検査用配線とを有しているので、検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、容量値が設定値以下である信号配線が電気的に接続する電極に断線が発生していると判定することができる。かかる構成によれば、第1電極や第2電極に容量が結合していても、断線が発生していれば、検査用配線と信号配線との各間からは容量が一切検出されないか、極めてわずかな容量が検出されるだけである。従って、第1電極や第2電極に結合している容量が既に存在している場合でも、電極の断線を確実に検出することができる。また、基板上に形成された検査用配線と信号配線との各間の容量値を測定すればよいので、大掛かりな検査装置を必要としないという利点もある。さらに、第1電極や第2電極と検査用電極との間は容量値が一定であり、かつ、容量値も小さいため、検査用電極を設けても位置検出の妨げになることはない。
【0011】
本発明において、前記検査用電極は、前記他方側端部に前記絶縁膜を介して厚さ方向で重なって当該他方側端部に対向していることが好ましい。このように構成すると、第1電極や第2電極と検査用電極とを適正な容量値をもつ容量で結合させることができるので、検査用配線と信号配線との各間の容量値を確実に測定することができる。
【0012】
本発明において、前記第2電極は、前記第1電極との交差部で途切れており、前記基板上に、前記交差部で途切れた前記第2電極同士を電気的に接続する中継電極を備え、前記検査用電極は、少なくとも前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることが好ましい。このように構成すると、第1電極および第2電極のうち、断線が発生しやすい第2電極に断線が発生しているか否かを検出することができる。
【0013】
本発明において、前記検査用電極は、前記第1電極の他方側端部および前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることが好ましい。このように構成すると、第1電極および第2電極の双方に対して断線が発生しているか否かを検出することができる。
【0014】
本発明において、前記検査用電極は、前記他方側端部毎に独立して設けられ、前記検査用配線は、複数の前記検査用電極に電気的に接続していることが好ましい。本発明において、前記検査用配線は、全ての前記検査用電極に電気的に接続していることが好ましい。このように構成すると、検査用配線の数を最小限に抑えることができるので、検査用配線を設けるためのスペースが狭くてよい。
【0015】
本発明において、前記検査用配線は、前記入力領域の少なくとも三方を囲むように延在していることが好ましい。このように構成すると、検査用配線をシールド配線として利用できるので、入力領域内に電磁波ノイズが侵入することを防止することができる。
【0016】
本発明において、前記検査用配線および複数の前記信号配線に電気的に接続する断線検査部を備え、当該断線検査部は、前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、前記第1電極および前記第2電極のうち、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極が断線していると判定することが好ましい。このように構成すると、検査装置を用いなくても、静電容量型入力装置自身で断線を検出することができる。
【0017】
かかる検査方法を静電容量型入力装置用駆動装置によって実行することができる。すなわち、本発明は、基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置用駆動装置であって、前記信号配線に位置検出用の信号を出力する複数の信号端子と、前記信号端子に位置検出用の信号を供給する駆動部と、検査用端子と、前記検査用端子と複数の前記信号端子との各間の容量値を測定し、当該容量値が設定値以下であるか信号端子が存在するか否かを判定する断線判定部と、を有していることを特徴とする。このように構成すると、検査装置を用いなくても、静電容量型入力装置用駆動装置で断線を検出することができる。
【0018】
本発明を適用した静電容量型入力装置は、例えば、入力装置付き電気光学装置を構成するのに用いられ、かかる入力装置付き電気光学装置では、前記基板に対して入力操作側とは反対側に画像生成用の電気光学パネルが構成されている。
【0019】
本発明を適用した入力装置付き電気光学装置は、携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末等の電子機器に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明を適用した静電容量型入力装置の説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る入力装置付き電気光学装置の断面構成を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた基板の概略構成を示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた基板の平面的な構成を具体的に示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた基板の断面構成を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置に用いた断線検出の原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置に用いた基板の概略構成を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る静電容量型入力装置に用いた基板の概略構成を示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態4に係る静電容量型入力装置に形成した検出部の説明図である。
【図10】本発明を適用した静電容量型入力装置を備えた電子機器の説明図である。
【図11】従来の静電容量型入力装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。以下、各実施の形態で共通な基本構成を説明した後、各実施の形態の詳細な説明を行なう。
【0022】
[実施の形態]
(入力装置付き電気光学装置の全体構成)
図1は、本発明を適用した静電容量型入力装置の説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は各々、本形態の静電容量型入力装置を備えた入力装置付き電気光学装置の全体構成を模式的に示す説明図、静電容量型入力装置の電気的な構成を模式的に示す説明図、および静電容量型入力装置に供給される電位の説明図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る入力装置付き電気光学装置の断面構成を模式的に示す説明図であり、図2(a)、(b)は各々、基板において入力操作側に位置する第1面側に入力位置検出用電極を設けた構成例の説明図、および基板において入力操作側とは反対側の第2面側に入力位置検出用電極を設けた構成例の説明図である。
【0023】
図1(a)において、本形態の入力装置付き電気光学装置100は、概ね、液晶装置等からなる画像生成装置5と、この画像生成装置5において表示光を出射する側の面に重ねて配置された静電容量型入力装置1とを有している。静電容量型入力装置1は入力パネル2(タッチパネル)を備え、画像生成装置5は電気光学パネル5a(表示パネル)としての液晶パネルを備えている。本形態において、入力パネル2および電気光学パネル5aはいずれも矩形の平面形状を備えており、静電容量型入力装置1および入力装置付き電気光学装置100を平面視したときの中央領域が入力領域2aである。また、画像生成装置5および入力装置付き電気光学装置100において入力領域2aと平面視で重なる領域が画像形成領域である。入力パネル2において端部20eが位置する側にはフレキシブル配線基板35が接続され、電気光学パネル5aにおいて端部20eが位置する側にはフレキシブル配線基板73が接続されている。
【0024】
図1および図2(a)、(b)において、画像生成装置5は、透過型や半透過反射型のアクティブマトリクス型の液晶表示装置であり、電気光学パネル5aに対して入力パネル2が配置されている側とは反対側(表示光の出射側とは反対側)にはバックライト装置(図示せず)が配置されている。バックライト装置は、例えば、電気光学パネル5aに対して静電容量型入力装置1が配置されている側とは反対側に重ねて配置された透光性の導光板と、導光板の側端部に向けて白色光等を出射する発光ダイオード等の光源とを備えており、光源から出射された光は、導光板の側端部から入射した後、導光板内を伝搬しながら電気光学パネル5aに向けて出射される。導光板と電気光学パネル5aとの間には、光散乱シートやプリズムシート等のシート状光学部材が配置されることもある。
【0025】
画像生成装置5において、電気光学パネル5aに対して表示光の出射側には第1偏光板81が重ねて配置され、その反対側に第2偏光板82が重ねて配置されている。電気光学パネル5aは、表示光の出射側とは反対側に配置された透光性の素子基板50と、この素子基板50に対して表示光の出射側で対向配置された透光性の対向基板60とを備えている。対向基板60と素子基板50とは、矩形枠状のシール材71により貼り合わされており、対向基板60と素子基板50との間においてシール材71で囲まれた領域内に液晶層55が保持されている。素子基板50において、対向基板60と対向する面には複数の画素電極58がITO(Indium Tin Oxide)膜やIZO(Indium Zinc Oxide)膜等の透光性導電膜により形成され、対向基板60において、素子基板50と対向する面には共通電極68がITO膜等の透光性導電膜により形成されている。また、対向基板60にはカラーフィルターが形成されている。なお、画像生成装置5がIPS(In Plane Switching)方式や、FFS(Fringe Field Switching)方式である場合、共通電極68は素子基板50の側に設けられる。また、素子基板50が対向基板60に対して表示光の出射側に配置されることもある。素子基板50において、対向基板60の縁から張り出した張出領域59には駆動用IC75がCOG実装されているとともに、張出領域59にはフレキシブル配線基板73が接続されている。なお、素子基板50には、素子基板50上のスイッチング素子と同時に駆動回路を形成することもある。
【0026】
(静電容量型入力装置1の詳細構成)
図2(a)、(b)に示す静電容量型入力装置1において、入力パネル2は、ガラス板やプラスチック板等からなる透光性の基板20を備えており、本形態では、基板20としてガラス基板が用いられている。なお、基板20をプラスチック材料から構成する場合、プラスチック材料としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PES(ポリエーテルスルホン)、PI(ポリイミド)、ポリノルボルネン等の環状オレフィン樹脂等の耐熱性の透光性シートを用いることができる。以下、基板20において、以下に説明する電極等が形成されている側を第1面20aとし、その反対側を第2面20bとして説明する。
【0027】
詳しくは後述するが、図2(a)、(b)に示す静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aには、基板20からみて下層側から上層側に向かって第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜214、および第2透光性導電膜4bが形成されており、第1透光性導電膜4aおよび第2透光性導電膜4bのうち、第1透光性導電膜4aによって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の端部20e、20f、20g、20hのうち、端部20eでは、第1面20aにフレキシブル配線基板35が接続されている。基板20に対して入力操作側には、透光性および絶縁性のカバー90が粘着剤90e等により貼付されており、かかるカバー90には、基板20において入力領域2aの外側の領域(周辺領域2b)と重なる領域に遮光層90aが印刷されている。かかる遮光層90aで囲まれた領域が入力領域2aである。遮光層90aは、電気光学パネル5aの外側領域と重なっており、画像生成装置5の光源や導光板の端部から漏れた光を遮断する。なお、入力パネル2と液晶パネル5aとの間には、透光性フィルム上にITO膜等の透光性導電膜が形成されたシールド用の導電フィルム99が配置されており、図2(b)に示す構成では、導電フィルム99と基板20とは粘着剤層99e等によって接着されている。
【0028】
(静電容量型入力装置1の電極等の概略構成)
図3は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の概略構成を示す説明図である。なお、図3において、入力領域2aについては、その角部分の位置を英文字の「L」状のマークで示してある。
【0029】
図3に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aには、入力領域2aでX方向(第1方向)に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、入力領域2aでX方向に交差するY方向(第2方向)に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212とが形成されており、これらの第1電極211および第2電極212によって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の第1面20aにおいて、入力領域2aの外側に相当する周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する信号配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する信号配線27が形成されており、これらの信号配線27において端部20eに位置する部分は第1実装端子24aになっている。
【0030】
また、本形態の静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aにおいて、周辺領域2bには、基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。ここで、第2電極212において、端部20g側に位置する他方側端部212yと検査用配線29との間には、第2電極212の断線を検出する断線検出部28が構成されている。
【0031】
(入力位置検出用電極21および信号配線27等の詳細構成)
以下、図4〜図6を参照して、入力位置検出用電極21(第1電極211、第2電極212)、および信号配線27等の構成を詳述した後、検査用配線29および断線検出部28の構成を詳述する。
【0032】
図4は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の平面的な構成を具体的に示す説明図である。図5は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の断面構成を示す説明図であり、図5(a)、(b)は、基板20のA1−A1′断面図、および基板20のB1−B1′断面図である。なお、図4においては、各構成が分りやすいように、電極の数を減らして拡大して表してある。また、図4において、第1透光性導電膜4aについては一点鎖線で示し、層間絶縁膜214を点線で示し、第2透光性導電膜4bについては実線で示し、配線用の金属層について二点左鎖線で示してある。また、図4において、入力領域2aについては、その角部分の位置を英文字の「L」状のマークで示してある。
【0033】
図4および図5(a)、(b)に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、基板20の第1面20aの側には、基板20からみて下層側から上層側に向けて第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜214、および第2透光性導電膜4bが順に形成されている。また、基板20の第1面20aの側には、第1透光性導電膜4aのうち、信号配線27を構成する部分には、第1透光性導電膜4aの上面に金属膜4cが形成されている。
【0034】
本形態において、第1透光性導電膜4aは多結晶のITO膜からなり、第1透光性導電膜4aの上層側には、感光性樹脂膜やシリコン酸化膜等の透光性絶縁膜からなる層間絶縁膜214が形成されている。本形態において、第2透光性導電膜4bも、第1透光性導電膜4aと同様、多結晶のITO膜からなる。金属膜4cは、銀、パラジウム、銅の合金等からなる。なお、基板20の第1面20aには、その全面にシリコン酸化膜等からなる透光性の下地保護膜が形成されている場合があり、この場合、下地保護膜上に第1透光性導電膜4a、層間絶縁膜214、および第2透光性導電膜4bが順に積層されることになる。
【0035】
本形態の静電容量型入力装置1において、第1透光性導電膜4aは、まず、入力領域2aに複数の菱形領域として形成され、かかる菱形領域は、入力位置検出用電極21(第1電極211および第2電極212)のパッド部211a、212a(大面積部分)を構成する。これらのパッド部211a、212aは、X方向およびY方向において交互に配列されている。複数のパッド部211aにおいてX方向(第1方向)で隣り合うパッド部211a同士は連結部分211cを介して繋がっており、パッド部211aおよび連結部分211cは、X方向で延在する第1電極211を構成している。これに対して、複数のパッド部212aは、Y方向(第2方向)で延在する第2電極212を構成するが、Y方向で隣り合うパッド部212aの間、すなわち、連結部分211cと重なる部分は途切れ部分218aを備えている。また、第1透光性導電膜4aは、周辺領域2bにおいて、信号配線27の下層側を構成する下層側配線271として形成されている。
【0036】
層間絶縁膜214は入力領域2aから周辺領域2bにわたって広い領域に形成されている。層間絶縁膜214には、コンタクトホール214aが形成されており、かかるコンタクトホール214aは、パッド部212aにおいて途切れ部分218aを介して対峙する端部と重なる位置に形成されている。
【0037】
第2透光性導電膜4bは、コンタクトホール214aと重なる領域に中継電極215として形成されている。
【0038】
金属膜4cは、周辺領域2bにおいて、信号配線27の上層側を構成する上層側配線272として形成されている。
【0039】
さらに、第2透光性導電膜4bの上層側には、基板20の略全面に、感光性樹脂からなるトップコート層219が形成されている。
【0040】
このように構成した静電容量型入力装置1において、第1電極211および第2電極212は、同一の導電膜(第1透光性導電膜4a)によって形成され、かつ、互いに交差する方向に延在しているため、基板20上には、第1電極211と第2電極212とが交差する交差部218が存在する。
【0041】
ここで、第1電極211および第2電極212のうち、第1電極211は、交差部218でも第2透光性導電膜4bからなる連結部分211cによってX方向で繋がって延在している。これに対して、第2電極212には交差部218に途切れ部分218aが構成されている。但し、交差部218では、層間絶縁膜214の上層に中継電極215が形成されており、かかる中継電極215は、層間絶縁膜214のコンタクトホール214aを介して、途切れ部分218aを介して隣り合うパッド212a同士を電気的に接続している。このため、第2電極212はY方向で電気的に接続した状態でY方向に延在している。なお、中継電極215は、層間絶縁膜214を介して連結部分211cに重なっているため、短絡するおそれはない。
【0042】
このように構成した第1電極211および第2電極212は各々、交差部218で挟まれた領域に矩形の大面積のパッド部211a、212aを備えており、第1電極211において交差部218に位置する連結部分211cは、パッド部211a、212aより幅の狭い細幅形状になっている。また、中継電極215も、パッド部211a、212aより幅の狭い細幅形状に形成されている。
【0043】
ここで、下層側配線271は、第1電極211においてX方向の一方側あるいは他方側に位置する一方側端部から延在し、その上層に上層側配線272が形成されている。また、下層側配線271は、周辺領域2bにおいてY方向の一方側(第1実装端子24aが位置する側)の位置する一方側端部から延在し、その上層に上層側配線272が形成されている。
【0044】
(入力位置検出方法)
図1(b)に示すように、本形態の静電容量型入力装置1では、入力パネル2の第1実装端子24aおよび第2実装端子24bに対してフレキシブル配線基板35を介して駆動用IC10(静電容量型入力装置用駆動装置/断線検査部)が接続される。ここで、駆動用IC10は、フレキシブル配線基板35を介して第1実装端子24aに電気的に接続される第1端子11a(信号端子)と、この第1端子11aに対して図1(c)に示す位置検出信号VDを出力する駆動部110を備えている。また、駆動用IC10は、複数の第1端子11aの各々に結合する容量を測定する容量測定部120を備えている。また、駆動用IC10は、フレキシブル配線基板35を介して第2実装端子24bに電気的に接続される第2端子11b(検査用端子)と、容量測定部120の容量測定結果に基づいて、容量値が設定値以下である第1端子11aが存在するか否かを判定する断線判定部130を備えており、かかる第2端子11bおよび断線判定部130は、後述する断線検出に用いられる。従って、駆動用IC10は、後述するように、断線検査部としても機能する。なお、駆動用IC10は、入力パネル2にグランド電位を出力するグランド端子も備えているが、本発明には直接、関係しないので、図示および説明を省略する。
【0045】
このように構成した静電容量型入力装置1において、図1(b)に示す駆動用IC10が第1端子11aから、図1(c)に示す矩形パルス状の位置検出信号VDを出力すると、入力位置検出用電極21に容量が寄生していない場合、第1端子11aからは、図1(c)に実線で示す波形の信号が検出される。これに対して、入力位置検出用電極21に容量が寄生していると、図1(c)に点線で示すように、容量に起因する波形の歪みが発生するので、駆動部110は、入力位置検出用電極21に容量が寄生しているか否かを検出することができる。従って、本形態では、複数の入力位置検出用電極21に順次、位置検出信号VDを出力して入力位置検出用電極21の各々に対して、結合している静電容量を監視する。それ故、複数の入力位置検出用電極21のうちのいずれかに指が近接すると、指が近接した入力位置検出用電極21では、指との間に生じた静電容量分だけ、静電容量が増大するので、指が近接した電極を特定することができる。
【0046】
従って、基板20において、入力位置検出用電極(第1電極211および第2電極212)の一箇所に断線が発生していると、その列での検出が不可能となる。そこで、本形態では、以下に説明する構成を採用し、第1電極211および第2電極212のうち、断線が発生しやすい第2電極212の断線を検出する。
【0047】
(断線検出のための構成)
本形態では、第2電極212の断線検出を行なうことを目的に、基板20の第1面20aには、第2電極212において信号配線27が接続している一方側端部とは反対側の他方側端部212y(基板20の端部20g側に位置する端部)に対して、層間絶縁膜214を介して対向する検査用電極280が設けられており、第2電極212の他方側端部212yと検査用電極280との対向部分によって断線検出部28が構成されている。
【0048】
ここで、検査用電極280は第2透光性導電膜4bからなり、入力領域2aに向けて延在する短冊状に形成されている。このため、検査用電極280の端部は、第1透光性導電膜4aからなる第2電極212の他方側端部212yに対して層間絶縁膜214を介して厚さ方向で重なっている。このようにして、断線検出部28は、検査用電極280と第2電極212との間に結合する容量として構成されている。
【0049】
また、基板20の第1面20aには、周辺領域2bにおいて基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。
【0050】
検査用配線29は、第1透光性導電膜4aからなる下層側配線291と、下層側配線291の上面に沿って形成された金属膜4cからなる上層側配線292とからなる。かかる検査用配線29において端部20eに沿う部分では、第1透光性導電膜4aからなる下層側配線291に比して、金属膜4cからなる上層側配線292の幅寸法が狭くなっている。このため、下層側配線291は、上層側配線292から幅方向のうち、入力領域2aが位置する側に大きく張り出している。そこで、本形態では、層間絶縁膜214において、下層側配線291が上層側配線292から幅方向で張り出している部分と重なる領域にコンタクトホール214bを形成し、かかるコンタクトホール214bを介して、検査用配線29の下層側配線291と検査用電極280とが電気的に接続されている。
【0051】
このような検査用電極280は、複数の第2電極212に対して共通の検査用電極として形成することができるが、本形態において、検査用電極280は、複数の第2電極212の各々に対して1対1の関係をもって形成されている。このため、検査用電極280は複数形成されているが、検査用配線29は複数の検査用電極280に電気的に接続されている。本形態では、複数の検査用電極280の全てが共通の検査用配線29に電気的に接続されている。このため、第2電極212は複数であるが、検査用配線29は1本のみ形成されている。
【0052】
(断線検出の原理)
図6は、本発明の実施の形態1に係る静電容量型入力装置1に用いた断線検出の原理を示す説明図である。
【0053】
本形態の静電容量型入力装置1において、上記の検査用電極280を備えた断線検出部28、および検査用配線29を用いて第2電極212の断線を検出するには、図1(b)に示す駆動用IC10は、複数の第1端子11aに順次、図1(c)に示すようにパルス状の検査信号を出力ながら、容量測定部120によって複数の第1端子11aと第2端子11bとの間の容量値を順次測定する。そして、断線判定部130は、容量測定部120の容量測定結果に基づいて、容量値が設定値以下である第1端子11aが存在するか否かを判定する。
【0054】
すなわち、図6に示すように、信号配線27と検査用配線29との間には、各種抵抗分R1〜R8の他、第2電極212と隣り合う電極との間の寄生容量C4〜C8と、断線検出部28の容量C3、検査用配線29と第2電極212との間の寄生容量C12、検査用配線29と信号配線27との間の寄生容量C2等が存在するが、第2電極212が断線すると、検査用配線29と信号配線27との間からは容量が一切検出されない。あるいは、第2電極212が断線すると、検査用配線29と信号配線27との間からは極めてわずかな容量が検出されるだけである。従って、第2電極212に結合している容量が既に存在している場合でも、断線判定部130は、第2電極212の断線を確実に検出することができ、駆動用IC10は断線検査部として機能する。
【0055】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の静電容量型入力装置1では、基板20上に、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して対向する検査用電極280と、検査用電極280に電気的に接続された検査用配線29とを有しているので、検査用配線29と複数の信号配線27との各間の容量値を順次、測定すれば、容量値が設定値以下である信号配線27が電気的に接続する第2電極212に断線が発生しているが判定できる。かかる構成によれば、第2電極212に他の容量が結合していても、断線が発生していれば、検査用配線29と信号配線27との各間からは容量が一切検出されないか、極めてわずかな容量が検出されるだけである。従って、第2電極212に結合している容量が既に存在している場合でも、第2電極212の断線を確実に検出することができる。
【0056】
また、基板20上に形成された検査用配線29と信号配線27との各間の容量値を測定すればよいので、大掛かりな検査装置を必要としないという利点もある。さらに、第2電極212と検査用電極280との間は容量値が一定であり、かつ、容量値が小さいため、検査用電極280を設けても位置検出の妨げになることはない。
【0057】
また、本形態において、検査用電極280は、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して厚さ方向で重なっている。このため、第1電極や第2電極と検査用電極とを適正な容量値をもつ容量で結合させることができるので、検査用配線29と信号配線27との各間の容量値を確実に測定することができる。
【0058】
また、本形態において、第2電極212は、途切れ部分が中継電極215で接続された構造であるため、第1電極211に比較して断線が発生しやすいが、かかる第2電極212の断線を検出するため、本形態の静電容量型入力装置1は信頼性が高い。
【0059】
さらに、本形態において、検査用電極280は第2電極212毎に独立して設けられているが、検査用配線29は、全ての検査用電極280に電気的に接続している。このため、検査用配線29は、最小限の1本でよいので、検査用配線29を設けるためのスペースが狭くてよい。
【0060】
さらにまた、本形態では、位置検出に用いた駆動用IC10で断線検出を行なうため、駆動用IC10を接続した以降であれば、静電容量型入力装置1の製造途中、および静電容量型入力装置1の出荷前に実施できる他、静電容量型入力装置1を出荷後の使用中であっても定期的に断線検出を行なうこともできる。
【0061】
[実施の形態2]
図7は、本発明の実施の形態2に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の概略構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0062】
図7に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、実施の形態1と同様、基板20の第1面20aには、入力領域2aでX方向(第1方向)に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、入力領域2aでX方向に交差するY方向(第2方向)に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212とが形成されており、これらの第1電極211および第2電極212によって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の第1面20aにおいて、入力領域2aの外側に相当する周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する信号配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する信号配線27が形成されており、これらの信号配線27において端部20eに位置する部分は第1実装端子24aになっている。
【0063】
また、基板20の第1面20aにおいて、周辺領域2bには、基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。ここで、第2電極212において、端部20g側に位置する他方側端部212yと検査用配線29との間には、図4および図5を参照して説明した断線検出部28が構成されている。従って、第2電極212の断線を検査することができる。
【0064】
ここで、検査用配線29は、入力領域2aの周りにおいて基板20の端部20f、20g、20hが位置する三方を囲んでいる。また、検査用配線29は、基板20の端部20eに位置する両端部分が第2実装端子24bになっており、かかる第2実装端子24bは、第1実装端子24aを挟む両側に形成されている。
【0065】
このため、本形態では、実施の形態1と同様、第2電極212の断線検出を行なうことができるとともに、静電容量型入力装置1を使用している期間中、図1(b)に示す駆動用IC10から検査用配線29にシールド電位を印加すれば、基板20の周りから入力領域2aに電磁波ノイズが侵入することを防止することができる。かかるシールド電位として、グランド電位を検査用配線29に印加してもよいが、図1(c)に示す位置検出信号VDと波形(位相も含めて)が同一のシールド電位を印加すれば、入力位置検出用電極21と検査用配線29(シールド配線)との間と容量が寄生しない状態を実現することができる。それ故、基板20上にシールド配線(検査用配線29)を設けても、静電容量方式による入力位置の検出には支障がない。
【0066】
[実施の形態3]
図8は、本発明の実施の形態3に係る静電容量型入力装置1に用いた基板20の概略構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの詳細な説明を省略する。
【0067】
図8に示すように、本形態の静電容量型入力装置1において、実施の形態1と同様、基板20の第1面20aには、入力領域2aでX方向(第1方向)に延在する入力位置検出用の複数の第1電極211と、入力領域2aでX方向に交差するY方向(第2方向)に延在する入力位置検出用の複数の第2電極212とが形成されており、これらの第1電極211および第2電極212によって入力位置検出用電極21が形成されている。また、基板20の第1面20aにおいて、入力領域2aの外側に相当する周辺領域2bには、第1電極211の一方側端部から延在する信号配線27、および第2電極212の一方側端部から延在する信号配線27が形成されており、これらの信号配線27において端部20eに位置する部分は第1実装端子24aになっている。
【0068】
また、基板20の第1面20aにおいて、周辺領域2bには、基板20の端部20g、20fに沿って延在する検査用配線29が延在しており、かかる検査用配線29において端部20eに位置する部分は第2実装端子24bになっている。また、第2電極212において、端部20g側に位置する他方側端部212yと検査用配線29との間には、図4および図5を参照して説明した断線検出部28が構成されている。
【0069】
ここで、第2電極212から延在する信号配線27は、全てX方向の一方側(端部20hの側)で延在しており、X方向の他方側(端部20fの側)には存在しない。そこで、本形態では、基板20の端部20fの側には、第1電極211において、端部20f側に位置する他方側端部211xと検査用配線29との間にも、図4および図5を参照して説明した断線検出部28が構成されている。
【0070】
このため、本形態によれば、第1電極211および第2電極212の双方に対して断線検出を行なうことができる。
【0071】
[実施の形態4]
図9は、本発明の実施の形態4に係る静電容量型入力装置1に形成した断線検出部28の説明図である。上記実施の形態1〜3では、断線検出部28を構成するにあたって、検査用電極280が、第2電極212の他方側端部212yに層間絶縁膜214を介して厚さ方向で重なっている構成を採用した。これに対して、本形態では、図9に示すように、検査用配線29において、第2電極212の他方側端部212yに対して層間絶縁膜214を介して横方向で対向している側端部を検査用電極280として利用することにより、断線検出部28が構成されている。
【0072】
このように構成した場合でも、検査用電極280と第2電極212の他方側端部212yとの間の横電界に起因するフリンジ容量によって、検査用電極280と第2電極212の他方側端部212yとが結合している。従って、第2電極212の断線検出を行なうことができる。また、図9に示す構成であれば、検査用電極280を設けるスペースをさらに狭くすることができる等の利点がある。
【0073】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、画像生成装置5として液晶装置を用いたが、画像生成装置5としては有機エレクトロルミネッセンス装置や電子ペーパーを用いてもよい。
【0074】
[電子機器への搭載例]
次に、上述した実施形態に係る入力装置付き電気光学装置100を適用した電子機器について説明する。図10(a)に、入力装置付き電気光学装置100を備えたモバイル型のパーソナルコンピューターの構成を示す。パーソナルコンピューター2000は、表示ユニットとしての入力装置付き電気光学装置100と本体部2010を備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。図10(b)に、入力装置付き電気光学装置100を備えた携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001、スクロールボタン3002、および表示ユニットとしての入力装置付き電気光学装置100を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、入力装置付き電気光学装置100に表示される画面がスクロールされる。図10(c)に、入力装置付き電気光学装置100を適用した情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001、電源スイッチ4002、および表示ユニットとしての入力装置付き電気光学装置100を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が入力装置付き電気光学装置100に表示される。
【0075】
なお、入力装置付き電気光学装置100が適用される電子機器としては、図10に示すものの他、デジタルスチールカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型、モニター直視型のビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、銀行端末等の電子機器等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器の表示部として、前述した入力装置付き電気光学装置100が適用可能である。
【符号の説明】
【0076】
1・・静電容量型入力装置、2・・入力パネル、2a・・入力領域、2b・・周辺領域、4a・・第1透光性導電膜、4b・・第2透光性導電膜、10・・駆動用IC(静電容量型入力装置用駆動装置)、11a・・第1端子(信号端子)、11b・・第2端子(検査用端子)、20・・基板、21・・入力位置検出用電極、27・・信号配線、28・・断線検出部、29・・検査用配線、100・・入力装置付き電気光学装置、110・・駆動部、120・・容量測定部、130・・断線判定部、211・・第1電極、211c・・連結部分、212・・第2電極、214・・層間絶縁膜、215・・中継電極、218・・交差部分、218a・・途切れ部分、280・・検査用電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記基板上で前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置であって、
前記基板上に、前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、前記検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を有することを特徴とする静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記検査用電極は、前記他方側端部に前記絶縁膜を介して厚さ方向で重なって当該他方側端部に対向していることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記第1電極との交差部で途切れており、
前記基板上に、前記交差部で途切れた前記第2電極同士を電気的に接続する中継電極を備え、
前記検査用電極は、少なくとも前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記検査用電極は、前記第1電極の他方側端部および前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項5】
前記検査用電極は、前記他方側端部毎に独立して設けられ、
前記検査用配線は、複数の前記検査用電極に電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項6】
前記検査用配線は、全ての前記検査用電極に電気的に接続していることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型入力装置。
【請求項7】
前記検査用配線は、前記入力領域の少なくとも三方を囲むように延在していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項8】
前記検査用配線および複数の前記信号配線に電気的に接続する断線検査部を備え、
当該断線検査部は、前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、前記第1電極および前記第2電極のうち、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極が断線していると判定することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項9】
基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置の検査方法であって、
前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、該検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を設けておき、
前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、前記第1電極および前記第2電極のうち、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極が断線していると判定することを特徴とする静電容量型入力装置の検査方法。
【請求項10】
基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置用駆動装置であって、
前記信号配線に位置検出用の信号を出力する複数の信号端子と、
前記信号端子に位置検出用の信号を供給する駆動部と、
検査用端子と、
前記検査用端子と複数の前記信号端子との各間の容量値を測定する容量測定部と、
該容量測定部での容量測定結果に基づいて、容量値が設定値以下である信号端子が存在するか否かを判定する断線判定部と、
を有していることを特徴とする静電容量型入力装置用駆動装置。
【請求項1】
基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記基板上で前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置であって、
前記基板上に、前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、前記検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を有することを特徴とする静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記検査用電極は、前記他方側端部に前記絶縁膜を介して厚さ方向で重なって当該他方側端部に対向していることを特徴とする請求項1に記載の静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記第2電極は、前記第1電極との交差部で途切れており、
前記基板上に、前記交差部で途切れた前記第2電極同士を電気的に接続する中継電極を備え、
前記検査用電極は、少なくとも前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記検査用電極は、前記第1電極の他方側端部および前記第2電極の他方側端部に対して設けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項5】
前記検査用電極は、前記他方側端部毎に独立して設けられ、
前記検査用配線は、複数の前記検査用電極に電気的に接続していることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項6】
前記検査用配線は、全ての前記検査用電極に電気的に接続していることを特徴とする請求項5に記載の静電容量型入力装置。
【請求項7】
前記検査用配線は、前記入力領域の少なくとも三方を囲むように延在していることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項8】
前記検査用配線および複数の前記信号配線に電気的に接続する断線検査部を備え、
当該断線検査部は、前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、前記第1電極および前記第2電極のうち、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極が断線していると判定することを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の静電容量型入力装置。
【請求項9】
基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置の検査方法であって、
前記第1電極および前記第2電極のうち、少なくとも一方の電極の他方側端部に絶縁膜を介して対向する検査用電極と、該検査用電極に電気的に接続された検査用配線と、を設けておき、
前記検査用配線と複数の前記信号配線との各間の容量値を測定し、前記第1電極および前記第2電極のうち、当該容量値が設定値以下である前記信号配線が電気的に接続する電極が断線していると判定することを特徴とする静電容量型入力装置の検査方法。
【請求項10】
基板上の入力領域で第1方向に延在する入力位置検出用の複数の第1電極と、前記入力領域で前記第1方向に交差する第2方向に延在する入力位置検出用の複数の第2電極と、前記第1電極の一方側端部および前記第2電極の一方側端部の各々から延在する複数の信号配線と、を有する静電容量型入力装置用駆動装置であって、
前記信号配線に位置検出用の信号を出力する複数の信号端子と、
前記信号端子に位置検出用の信号を供給する駆動部と、
検査用端子と、
前記検査用端子と複数の前記信号端子との各間の容量値を測定する容量測定部と、
該容量測定部での容量測定結果に基づいて、容量値が設定値以下である信号端子が存在するか否かを判定する断線判定部と、
を有していることを特徴とする静電容量型入力装置用駆動装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−128673(P2011−128673A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283727(P2009−283727)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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