静電容量式近接センサ装置、及びそれを用いた入力装置
【課題】検出領域内の被検出体位置を精度良く検出でき、被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置及びそれを用いた入力装置を提供すること。
【解決手段】この静電容量式近接センサ装置は、検出領域A1を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列されたX軸電極14a、14b〜17a、17bと、検出領域A1を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列されたY軸電極18a、18b〜20a、20bと、を含む電極群と、駆動電極となる電極に駆動電圧を出力する駆動回路23と、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路24と、検出回路24の検出結果からX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の被検出体位置を演算するCPU22と、駆動電極となる電極を駆動回路23に接続すると共に、検出電極となる電極を検出回路24に接続するマルチプレクサ21とを具備する。
【解決手段】この静電容量式近接センサ装置は、検出領域A1を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列されたX軸電極14a、14b〜17a、17bと、検出領域A1を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列されたY軸電極18a、18b〜20a、20bと、を含む電極群と、駆動電極となる電極に駆動電圧を出力する駆動回路23と、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路24と、検出回路24の検出結果からX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の被検出体位置を演算するCPU22と、駆動電極となる電極を駆動回路23に接続すると共に、検出電極となる電極を検出回路24に接続するマルチプレクサ21とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体位置を検出する近接センサ装置に関し、特に、静電容量の変化により被検出体の近接を検出する静電容量式近接センサ装置、及びそれを用いた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体などの被検出体を検出する装置としては、4辺及び4つの角部を持つ矩形形状のセンサ面(検出領域)の4辺に沿って配置された4つの電極を備えた静電容量型検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる静電容量型検出装置においては、被検出体の接近によって各電極間に形成される静電容量が変化し、この静電容量に応じて出力される信号を介して被検出体を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/093682号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の静電容量型検出装置においては、矩形形状の検出領域の4辺上に配置された4つの電極を用いて被検出体位置を検出するため、検出領域内における被検出体の位置の変化は検出できるものの、絶対位置を正確に検出することは困難であった。また、被検出体が検出領域内を移動した場合において、被検出体の移動方向と平行に配置された電極間では、被検出体と電極との間の相対的な距離の変化が小さくなる。このため、被検出体の移動前後の静電容量の変化が小さくなり、被検出体の移動及び被検出体位置を正確に検出ができない問題がある。また、検出領域への被検出体の接近を多段階に検出することができない問題もあった。
【0005】
また近年、静電容量型検出装置は、タッチパネルやグライドセンサと共にディスプレイ装置の入力装置などにも用途が拡大している。このような入力装置においては、ディスプレイ装置の汚れを防止する観点から、非接触での入力操作の実現が望まれている。また、装置に対する入力操作への要望も複雑化しており、例えば、人体などの接近を多段階に検出し、被検出体とセンサ面との間の距離に応じて複数の階調での入力操作を実現できる入力装置も望まれている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出でき、被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置及びそれを用いた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の静電容量式近接センサ装置は、検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、前記電極群のうち、前記駆動電極となる電極を前記駆動回路に接続すると共に、前記検出電極となる電極を前記検出回路に接続する切替え手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、複数のX軸電極及び複数のY軸電極を、それぞれ検出電極として切替えて被検出体を検出するので、検出電極として切替えられた各X軸電極及び各Y軸電極と被検出体との間の距離に応じた出力信号をそれぞれ検出できる。このため、各X軸電極及び各Y軸電極と被検出体との間の距離を検出でき、検出領域内での被検出体位置を精度良く検出することが可能となる。このように、検出領域内での被検出体位置を精度良く検出できるので、被検出体位置に応じて被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置を実現することができる。
【0009】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記X軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のX軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記X軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記X軸電極内で検出電極対となる電極を順次切り替えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、複数のX軸電極内で検出電極対となるX軸電極を順次切替えるので、異なる位置に配置された複数の検出電極対を用いてX軸方向の被検出体位置を検出でき、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出できる。
【0011】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記Y軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のY軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記Y軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記Y軸電極内で検出電極対となる電極を順次切替えることを特徴とする。
【0012】
この構成により、複数のY軸電極内で検出電極対となるY軸電極を順次切替えるので、異なる位置に配置された複数の検出電極対を用いてY軸方向の被検出体位置を検出でき、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出できる。
【0013】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、Z軸方向の被検出体位置の検出において、少なくとも1つの前記X軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンと、少なくとも1つの前記Y軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンとを切替えることを特徴とする。
【0014】
この構成により、X軸電極及びY軸電極のそれぞれを検出電極として用いてZ軸方向の被検出体位置を検出するので、X軸方向及びY軸方向のそれぞれからZ軸方向の被検出体位置を検出でき、精度良く被検出体位置を検出することができる。
【0015】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のX軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのX軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、X軸方向に対して異なる位置に配置されたX軸電極を2つの検出電極対として被検出体位置を検出するので、それぞれの検出電極対の出力信号を用いた演算処理により、複数の被検出体位置を共に検出することが可能となる。
【0017】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のY軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのY軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、Y軸方向に対して異なる位置に配置されたY軸電極を2つの検出電極対として被検出体位置を検出するので、それぞれの検出電極対の出力信号を用いた演算処理により、複数の被検出体位置を共に検出することが可能となる。
【0019】
本発明の電子機器は、上記静電容量式近接センサ装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、上記静電容量式近接センサ装置を備えることにより、検出領域内での被検出体位置を精度良く検出することが可能となる。このため、例えば、被検出体と電子機器との間の距離に応じて多段階の入力操作が可能な電子機器を実現できる。
【0021】
本発明の入力装置は、タッチパネルと、上記静電容量式近接センサ装置とを具備し、前記X軸電極は、前記タッチパネルを挟んで前記Y軸方向において対向して配列すると共に、前記Y軸電極が前記タッチパネルを挟んで前記X軸方向において対向して配列したことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、タッチパネルの周囲にX軸電極及びY軸電極を対向して配列することにより、タッチパネルに非接触の状態においても被検出体位置の検出が可能となり、タッチパネルに非接触での入力操作が可能となる。
【0023】
本発明の電極駆動方法は、検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、を具備する静電容量式近接センサ装置の電極駆動方法であって、前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のX軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記X軸方向の一方端から他方端側に向けて前記X軸電極間で順次切替えてX軸方向の被検出体位置を検出してから、前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のY軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記Y軸方向の一方端から他方端側に向けて前記Y軸電極間で順次切替えてY軸方向の被検出体位置を検出することを特徴とする。
【0024】
この方法によれば、検出領域を介して対向配置されたX軸電極及びY軸電極を、それぞれ一方端側から他方端側に向けて検出電極として切替えて検出領域内の被検出体位置を検出するので、検出領域内での正確な被検出体位置を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出でき、被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置及びそれを用いた入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の構成図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のセンサ部のA−A線矢視断面図であり、(b)は、センサ部の遮蔽電極の模式図である。
【図3】は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のセンサ部の電極切替え制御の概略を示す平面模式図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のX軸方向及びY軸方向の被検出体の検出原理を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の被検出体の動きと静電容量の変化を示す図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のZ軸方向の被検出体の検出原理を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における被検出体位置の演算処理の一例を示すフロー図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンを示す図である。
【図9】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンにおける出力信号の強度を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるY軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンを示す図である。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるY軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンにおける出力信号の強度を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置において検出領域内に被検出体が存在する場合の被検出体位置を示す模式図である。
【図13】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の出力信号の変化を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるセンサ部の検出範囲を示す模式図であり、(b)は、従来の近接センサ装置におけるセンサ部の検出範囲を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における電極切替えパターンの他の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置を備えた入力装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係る近接センサ装置は、被検出体の近接を検出するセンサ部11と、このセンサ部11によって検出された出力信号を基に被検出体位置を算出する制御回路部12とを備える。
【0028】
センサ部11は、検出基準面としての平面視略矩形形状の基板13と、基板13上に配列される複数のX軸電極14a、14b〜17a、17b及び複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bとを備える。各X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bは、他の電極との間に静電容量が形成されるようにそれぞれ離間して配列されている。X軸電極14a〜17aは、基板13の一方の長辺に沿って配列され、X軸電極14b〜17bが対向辺に沿って配列されている。Y軸電極18a〜20aは、基板13の一方の短辺に沿って配列され、Y軸電極18b〜20bが対向辺に沿って配列されている。なお、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、基板13面内が検出領域A1となる、また、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bは、電極間に形成される静電容量により、検出基準面を形成できる範囲に配置されていればよく、必ずしも同一平面に配置されている必要はない。
【0029】
すなわち、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、略矩形形状の検出領域A1のX軸方向に沿ってX軸電極14a〜17aと、X軸電極14b〜17bとが対向して配列され、Y軸方向に沿ってY軸電極18a〜20aと、Y軸電極18b〜20bとが対向して配列されている。このように、検出領域A1のX軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿って複数のX軸電極14a、14b〜17a、17b及び複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bを配列することにより、検出領域A1内の被検出体位置を正確に検出することが可能となる。なお、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、静電容量の変化を検出できる範囲であれば基板13面外を含む範囲の被検出体を検出できる。
【0030】
制御回路部12は、センサ部11の各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの切替え手段としてのマルチプレクサ21と、各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bから出力された信号より、被検出体位置を演算する演算手段としてのCPU22とを備える。CPU22とマルチプレクサ21との間には、駆動電極として切替えられた各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bに駆動電圧を印加する駆動回路23が設けられると共に、検出電極として切替えられた各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を検出する検出回路24が設けられている。
【0031】
マルチプレクサ21は、センサ部11の各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bに接続されると共に、駆動回路23及び検出回路24に接続され、各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの接続を駆動回路23及び検出回路24に切替える。また、マルチプレクサ21は、CPU22と接続され、CPU22からの切替え信号により、各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの接続を切替え制御可能に構成されている。このように、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置は、CPU22からの切替え制御信号により、マルチプレクサ21を介して駆動電極となるX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20b(以下、単に駆動電極ともいう)を駆動回路23に接続すると共に、検出電極となるX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20b(以下、単に検出電極ともいう)を検出回路24に接続するように構成されている。
【0032】
駆動回路23は、図示されない発振回路を備え、駆動電極として切替えられたX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bに駆動電圧を印加する。駆動電圧の印加は、CPU22によってタイミング制御される。
【0033】
検出回路24は、検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を検出する。検出回路24は、正極端子及び負極端子を備えた増幅回路25と、増幅回路25に接続され増幅された出力信号をA/D変換するA/Dコンバータ26とを備える。
【0034】
増幅回路25の正極端子及び負極端子には、検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bが接続される。増幅回路25は、検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を差動で増幅してA/Dコンバータ26へ出力する。
【0035】
A/Dコンバータ26は、CPU22に接続され、増幅回路25で増幅された出力信号をフィルタリング処理及びデジタル変換してCPU22に出力する。CPU22に入力された出力信号は、検出回路としてのCPU22で差分値などが検出される。なお、差分値の検出は、A/Dコンバータ26で行ってもよい。また、演算手段としてのCPU22では、検出された出力信号を用いて、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の被検出体位置が算出される。
【0036】
本実施の形態では、X軸方向及びY軸方向の被検出体位置の検出の際には、マルチプレクサ21によって切替えられた一対のX軸電極14a、14b〜17a、17bが検出電極対として増幅回路25に接続される。この一対の検出電極対の一方の検出電極は増幅回路25の正極端子に接続され、他方の検出電極が負極端子に接続される。増幅回路25では、入力された一方の検出電極の出力信号と他方の検出電極の出力信号とが差動で増幅される。
【0037】
また、Z軸方向の被検出体位置の検出の際には、マルチプレクサ21によって少なくとも一つのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bが検出電極として切替えられて増幅回路25の一方の端子に接続される。増幅回路25の他方の端子には、基準電圧が入力される。増幅回路25では、入力された検出電極の出力信号と基準電圧との差動で出力信号が増幅される。
【0038】
このように、本実施の形態では、一つの増幅回路25において、検出方向に応じて一方の検出電極の出力信号と他方の検出電極の出力信号との差動による増幅と、検出電極の出力信号と基準信号との出力信号の差分による増幅とを時分割で切り替える。これにより、各軸毎に増幅回路25を設けることなく、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の検出を行うことができる。また、X軸方向及びY軸方向の検出に用いられた一対の検出電極の出力信号の差分値が検出下限となる状態においても、Z軸方向の検出により被検出体を検出することができ、それぞれの増幅特性による不感領域を補完することができる。
【0039】
次に、図2(a)、(b)を参照して本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のセンサ部11の構成について詳細に説明する。図2(a)は、図1に示したセンサ部11のA−A線矢視断面図であり、図2(b)は、センサ部11の遮蔽電極31の模式図である。図2(a)に示すように、センサ部11の基板13の下面側(裏面側)には遮蔽電極31が設けられている。遮蔽電極31は、図2(b)に示すように、矩形枠状の平板形状を有しており、矩形形状の中央部開口31aを有する。遮蔽電極31は、センサ部11の裏面側からX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bへのノイズを遮蔽するように常時接地されている。遮蔽電極31の上面側には、遮蔽電極31の上面を覆うように基板32が設けられており、この基板32の両端部に設けられたスペーサ33を介して基板13が積層されている。基板13、32としては、例えば、アクリル板を用いることができる。
【0040】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る静電容量式センサ装置の被検出体検出時の電極切替え制御の概略について説明する。図3は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の電極切替え制御の概略を示す平面模式図である。図3においては、センサ部11の検出範囲をX軸方向に対しX1〜X7に区分し、Y軸方向に対してY1〜Y5に区分して示している。
【0041】
本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに対して、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを検出電極及び駆動電極として切替えながら各軸毎に複数回被検出体を検出して検出領域内の被検出体位置を検出する。
【0042】
X軸方向の被検出体位置の検出においては、対向して配列されたX軸電極14a〜17aとX軸電極14b〜17bとを一対の検出電極対として切替える。そして、検出電極対となる電極をX軸電極14a、14b〜17a、17b内で矢印D1に示す方向に順次切替えながら、被検出体位置を複数回測定する。
【0043】
Y軸方向の被検出体位置の検出においては、対向して配列されたY軸電極18a〜20aとY軸電極18b〜20bとを一対の検出電極対として切替える。そして、検出電極対となる電極をY軸電極18a、18b〜20a、20b内で矢印D2に示す方向に順次切替えながら、被検出体位置を複数回測定する。
【0044】
Z軸方向の被検出体位置検出においては、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bのうち、基板13の1辺に沿って配列された電極群(例えば、X軸電極14a〜17a)を検出電極として切替える。そして、検出電極となる電極群を矢印D3に示すように、基板13上の1辺沿って配列された電極群間で切替えながら被検出体位置を複数回測定する。
【0045】
次に、図4(a)、(b)を参照して、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向及びY軸方向の被検出体の検出原理について説明する。図4(a)、(b)は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における検出原理を示す概念図である。なお、同図においては、X軸電極14a、14b〜17a、17bを検出電極14A〜17A及び14B〜17Bとし、Y軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極18A〜20A及び18B〜20Bとして模式的に示している。
【0046】
図4(a)は、被検出体41がX軸方向に移動する際の被検出体41の位置を検出する場合について示している。図4(a)に示すように、X軸方向の被検出体41を検出する場合、X軸方向において対向する一対の検出電極14A〜17A及び14B〜17B、及びY軸方向において対向する一対の駆動電極18A〜20A及び18B〜20Bを用いる。この場合、駆動電極18A〜20Aと検出電極14A〜17A及び検出電極14B〜17Bとの間には静電容量Cx1が形成され、駆動電極18B〜20Bと検出電極14A〜17A及び検出電極14B〜17Bとの間には静電容量Cx2が形成される。そして、この静電容量Cx1、Cx2に応じた検出電極の出力信号の差分をとることにより、被検出体41の位置を検出することができる。
【0047】
なお、電極配置は図4(b)に示すようにしてもよい。図4(b)は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサにおける他の電極配置の一例を示す図である。図4(b)に示す例においては、駆動電極14Eが中央となるように電極を配列し、この駆動電極14Eに対して平行に検出電極14F、14Gを配列した例を示している。この場合においては、駆動電極14Eと検出電極14Fとの間に容量C1が形成され、駆動電極14Eと検出電極14Gとの間に容量C2が形成される。そして、この静電容量C1、C2に応じた検出電極の出力信号の差分値を取ることにより、被検出体41の位置を検出することができる。
【0048】
さらに、図5を参照して、被検出体41の動きと静電容量の変化について説明する。図5は、図4に示した例において、被検出体41が左右に動いた場合の静電容量の差分の変化を示した図である。図5に示すように、被検出体41がX軸方向(左右方向)のいずれかの方向に動いた場合、検出電極14A〜17A間に形成される電気力線(不図示)が被検出体41に吸収され、静電容量Cx1,Cx2が変化する。例えば、被検出体41が左側に動くと、静電容量Cx1が増加して、静電容量Cx2が減少する。このため、被検出体41がX軸方向(左右方向)に移動した場合、静電容量値の差分(Cx2−Cx1)をとることにより、図5に示すように、静電容量の変化量から被検出体のX軸方向(左右方向)の被検出体41の位置情報及び動き(モーション)を検出することが可能となる。なお、Y軸方向の被検出体41を検出する場合、駆動電極18A〜20A及び駆動電極18B〜20Bを駆動電極とし、検出電極14A〜17A及び14B〜17Bを検出電極とすることにより、X軸方向と同様の原理で被検出体を検出することができる。
【0049】
次に、図6(a)、(b)を参照して、本実施の形態の形態に係る静電容量式近接センサのZ軸方向における被検出体の検出原理について説明する。図6(a)、(b)は、本実施の形態の形態に係る静電容量式近接センサのZ軸方向における被検出体の検出原理を示す図である。図6(a)、(b)においては、基板40上に検出電極14A〜17A及び駆動電極14B〜17B並びに駆動電極18A〜20A(不図示の駆動電極18B〜20Bも含む)が配置され、各電極間に静電容量CX3が形成され、その周囲に電気力線42が形成された状態を示している。
【0050】
図6(a)に示すように、基板40と被検出体41との間のZ軸方向の距離が大きい場合には、被検出体41による電気力線42の吸収が一部のみとなるので、静電容量CX3は大きくなる。一方、図6(b)に示すように、基板40と被検出体41との距離が小さい場合には、被検出体41によって電気力線42の大半が吸収されるので、静電容量CX3が小さくなる。このように、本実施の形態においては、基板40と被検出体41との間の距離が小さい場合には、静電容量CX3が減少して検出電極14A〜17Aの出力信号が大きくなる。また、基板40と被検出体41との間の距離が大きい場合には、静電容量CX3が増大して検出電極14A〜17Aの出力信号が小さくなる。以上のようにして、被検出体41のZ軸方向の位置を検出することができる。
【0051】
次に、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における電極駆動方法(電極切替えパターン)について詳細に説明する。下記表1に本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の検出に用いられる電極切替えパターンを示す。
【0052】
【表1】
【0053】
X軸方向の被検出体位置の検出においては、X軸方向に沿って対向して配列されたX軸電極14a、14b〜17a、17bから一対の電極を検出電極対として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える。そして、検出電極対となる電極を順次切替えながら被検出体位置を検出する。まず、X軸電極14a、14bを検出電極対とし、残りのX軸電極15a、15b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX1)。次いで、電極15a、15bを検出電極対とし、残りの電極14a、14b、16a、16b、17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX2)。次に、X軸電極16a、16bを検出電極対とし、残りのX軸電極14a、14b、15a、15b、17a、17b、及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX3)。次いで、X軸電極17a、17bを検出電極対とし、残りのX軸電極14a、14b〜16a、16b、及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX4)。
【0054】
Y軸方向の被検出体位置の検出の際には、Y軸方向に沿って対向して配置されたY軸電極18a、18b〜20a、20bから一対の電極を検出電極として切替え、残りのY軸電極18a、18b〜20a、20b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極として切替える。まず、Y軸電極18a、18bを検出電極対とし、残りのY軸電極19a、19b、20a、20b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極とする(表1:電極パターンY1)。次いで、Y軸電極19a、19bを検出電極対とし、残りのY軸電極18a、18b、20a、20b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極とする(表1:電極パターンY2)。次に、Y軸電極20a、20bを検出電極対とし、残りのY軸電極18a、18b、19a、19b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極とする(表1:電極パターンY3)。
【0055】
Z軸方向の被検出体位置の検出の際には、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bのうち基板13の1辺に沿って配列された電極を検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える。まず、X軸電極14a〜17aを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14b〜17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ1)。次に、Y軸電極18a〜20aを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18b〜20bを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ2)。次いで、X軸電極14b〜17bを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a〜17a及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ3)。次に、Y軸電極18b〜20bを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a〜20aを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ4)。
【0056】
次に、図7を参照して本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の演算処理について詳細に説明する。図7は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における被検出体の演算処理の一例を示すフロー図である。
【0057】
図7に示すように、まず、上記表1に示した電極パターンX1〜X4で被検出体を検出し、出力信号が最大の電極パターンにおいて検出電極対として用いたX軸電極14a、14b〜17a、17bの位置を決定する(ステップS1)。次いで、上記表1に示した電極パターンY1〜Y3で被検出体を検出し、出力信号が最大の電極パターンにおいて検出電極対として用いたY軸電極18a、18b〜20a、20bの位置を決定する(ステップS2)。以上より、最大出力が得られたX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを特定し、被検出体存在領域を図3に示したX1〜X7及びY1〜Y5の範囲で判別する(ステップS3)。
【0058】
次に、上記表1に示した電極パターンZ1〜Z4で被検出体を検出し、電極パターンZ1〜Z4の検出電極の出力信号と、上記ステップS1で得られたX軸電極14a、14b〜17a、17bの出力信号とを用いてX軸方向の被検出体位置を判別する(ステップS4)。次いで、上記ステップS1で得られたY軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を用いてY軸方向の被検出体位置を判別する(ステップS5)。
【0059】
最後にステップS4及びステップS5で得られたX軸方向及びY軸方向の被検出体位置を基に被検出体位置を判別する(ステップS6)。以上のようにして、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに対して検出電極となる電極をそれぞれ切替えながら複数回測定することにより、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸方向の被検出体位置を検出する。
【0060】
次に、図8〜図11を参照して、検出領域に被検出体が存在しない状態における各電極パターンX1〜X4及び電極パターンY1〜Y3の出力信号について説明する。図8(a)〜(d)は、X軸方向の被検出体位置検出時の各電極パターンX1〜X4を示す図であり、図9(a)〜(d)は、図8(a)〜(d)における出力信号の強度を示す図である。
【0061】
図8(a)に示すX軸電極14a、14bを検出電極対とする電極パターンX1では、X軸電極14a(X2.5、Y1)近傍の出力信号が最大となり、X軸電極14b(X2.5、Y5)近傍の出力が最小となる(図9(a))。また、X軸電極14aから離れるにつれて信号強度が0に向けて減少し、X軸電極14bから離れるにつれて信号強度が0に向けて増大する。このように、電極パターンX1では、検出電極対となるX軸電極14a、14b近傍では出力信号が大きく変化し、X軸電極14a、14bから離れるにつれて出力信号の変化が減少する。この結果から、被検出体がX軸電極14a、14b近傍に存在する場合には、出力信号の変化が大きくなることが分かる。
【0062】
図8(b)〜(d)に示す電極パターンX2〜X4では、電極パターンX1と同様に検出電極対となるX軸電極15a(X3.5、Y1)、16a(X4.5、Y1)、17a(X5.5、Y1)近傍の出力信号が最大となり、X軸電極15b(X3.5、Y5)、16b(X4.5、Y5)、17b(X5.5、Y5)近傍の出力が最小となる(図9(b)〜(d))。これらの結果から、電極パターンX1〜X4を順次切り替えて被検出体位置を検出することにより、被検出体の存在領域近傍のX軸電極14a、14b〜17a、17bが検出電極対として切替えられた場合に出力信号の変化が最も大きくなり、X軸方向における被検出体位置の検出が可能となることが分かる。
【0063】
図10(a)〜(c)は、Y軸方向の被検出体位置検出時の各電極パターンY1〜Y3を示す図であり、図11(a)〜(c)は、図10(a)〜(c)における出力信号の強度を示す図である。
【0064】
図10(a)に示すように、Y軸電極18a、18bを検出電極対とする電極パターンY1では、Y軸電極18a(X1.5、Y1)近傍の出力信号が最小となり、Y軸電極18b(X6、Y1)近傍の出力信号が最大となる(図11(a))。また、Y軸電極18aから離れるにつれて信号強度が0に向けて増大し、Y軸電極18bから離れるにつれて信号強度が0に向けて減少する。このように、電極パターンY1では、検出電極対となるY軸電極18a、18b近傍では出力信号が大きく変化し、Y軸電極18a、18bから離れるにつれて出力信号の変化が減少する。この結果から、被検出体がY軸電極18a、18b近傍に存在する場合には、出力信号の変化が大きくなることが分かる。
【0065】
図10(b)、(c)に示すように、電極パターンY2、Y3に順次切り替えた場合、電極パターンY1と同様に検出電極対となるY軸電極19a(X1.5、Y3)、20a(X1.5、Y5)近傍の出力信号が最小となり、Y軸電極19b(X6、Y3)、20b(X6、Y5)近傍の出力信号が最大となる(図11(b)、(c))。これらの結果から、電極パターンY1〜Y3を順次切り替えて被検出体位置を検出することにより、被検出体の存在領域近傍のY軸電極18a、18b〜20a、20bが検出電極対として切替えられた場合に出力信号の変化が最も大きくなり、Y軸方向における被検出体位置の検出が可能となることが分かる。
【0066】
次に、図12及び図13を参照して検出領域内に被検出体が存在する場合における検出電極対の出力信号の変化について説明する。図12は、検出領域内(X2、Y5)に被検出体が存在する場合の被検出体位置を示す模式図であり、図13(a)、(b)は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の出力信号の変化を示す図である。図13(a)においては、図12に示す領域に被検出体41が存在する場合における図9(a)〜(d)に示した出力信号値からの出力信号の変化量を示し、図13(b)においては、図12に示す領域に被検出体41が存在する場合における図11(a)〜(c)に示した出力信号値からの出力信号の変化量を示している。
【0067】
図13(a)に示すように、被検出体41が(X2、Y5)に存在する場合において、被検出体41近傍のX軸電極14a、14bが検出電極対となる電極パターンX1で出力信号の変化量が最大となる。また、被検出体41と検出電極対となる電極との距離が離れるにつれて出力信号の変化量が小さくなる(電極パターンX2〜X4参照)。また、図13(b)に示すように、被検出体41近傍のY軸電極18a、18bが検出電極対となる電極パターンY1で出力信号が最大となる。また、被検出体41と検出電極対となる電極との距離が離れるにつれて出力信号の変化量が小さくなることが分かる(電極パターンY2、Y3参照)。
【0068】
以上の結果から、電極パターンX1〜X4及び電極パターンY1〜Y3を順次切替えて検出領域内の被検出体位置を検出することにより、被検出体41の存在領域近傍のX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを検出電極対とした場合の出力信号の変化量が大きくなることが分かる。このため、出力信号の変化量を検出することにより、検出領域内の被検出体位置を正確に検出することができる。
【0069】
次に、再び図1を参照して、以上のように構成された本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の動作について説明する。まず、マルチプレクサ21によって、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bが駆動電極及び検出電極として切替えられる。次いで、CPU22よりタイミング制御された駆動電圧が、駆動回路23から駆動電極として切替えられたX軸電極14a、14b〜17a、17bに印加される。ここで、被検出体が検出領域A1内に存在する場合、電極間に形成される静電容量が変化するので、それぞれの静電容量に応じた信号が検出電極から出力される。
【0070】
検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bから出力された信号は、検出回路24の増幅回路25に入力されて増幅される。増幅回路25で増幅された出力信号は、A/Dコンバータ26でフィルタリング処理及びA/D変換されてCPU22に入力される。CPU22では、入力された出力信号を基にX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bによって検出された被検出体位置を算出する。以上のようにして、本実施の形態に係る近接センサ装置においては、検出方向に応じて電極群パターンを切替えながら被検出体の接近によって生じるセンサ部11の静電容量の変化に基づいて、被検出体位置を検出する。
【0071】
このように、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、検出領域A1を挟んでX軸方向に沿って複数のX軸電極14a、14b〜17a、17bを対向して配列し、Y軸方向に沿って複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bを対向して配列したので、被検出体の正確な位置を測定することができる。例えば、図14(a)に示すように、被検出体が領域A2に存在する場合においては、X軸電極16a、16bを検出電極対とする電極パターンX3及びY軸電極18a、18bを検出電極対とする電極パターンY1の出力信号が最大となるので、被検出体の存在領域を精度良く特定することが可能となる。
【0072】
これに対し、従来の近接センサ装置においては、図14(b)に示すように、被検出体が領域A3に存在する場合、電極100a〜100dのうち、100a近傍の静電容量が最も大きく減少する。このため、例えば、電極100a及び100cを検出電極として被検出体を検出することにより、センサの中心点P1からみて矢印D4方向に被検出体が存在することは判別できるが、被検出体位置を正確に検出することは困難となる。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、検出電極対として対向配置された一対のX軸電極及びY軸電極を検出電極対として用いる実施の形態について説明したが、複数のX軸電極及びY軸電極を複数の検出電極対として共に切替えて用いてもよい。図15に本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における電極切替えパターンの他の例を示す。図15に示すように、X軸方向の被検出体の検出時において、X軸電極14a、14b及びX軸電極17a、17bをそれぞれ検出電極対として用いてもよい。このように、X軸方向に対して2対の検出電極対を用いて被検出体位置を検出することにより、複数の被検出体を検出することも可能となる。なお、Y軸方向においても同様にして複数の検出電極対を用いる構成としてもよい。
【0074】
次に、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の応用例について説明する。図16は、上記実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置を備えた入力装置の一例を示す図である。この入力装置は、上記静電容量式近接センサ装置50と、タッチパネル51と、を備える。静電容量式近接センサ50は、平面視略矩形形状の基板52の四辺上に複数の電極53〜59が配列され、基板52中央部に基板52と相似形状を有するタッチパネル51が配置されている。各電極53〜59は、タッチパネル51の外周面に沿って設けられており、X軸電極53a〜56aとX軸電極53b〜56bとが対向して配列され、Y軸電極57a〜59aとY軸電極57b〜59bとが対向して配列されている。このように、タッチパネル51と静電容量式近接センサ装置50とを組み合わせて入力装置として用いることにより、タッチパネル50に接触する前に被検出体としてのオペレータの手を検出できるため、非接触での入力操作を実現することができる。また、タッチパネル51上でのオペレータの手の位置に応じてタッチパネル51の入力モードを変更するように構成することも可能となる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、検出領域を挟んでX軸方向に沿って複数のX軸電極14a、14b〜17a、17bを対向配置し、Y軸方向に沿って複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bを対向配置したので、被検出体の位置を精度良く検出することが可能となる。
【0076】
特に、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに対して、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20b内で検出電極対を順次切替えることにより、各検出電極対と被検出体との間の距離に応じた出力信号を検出できるので、検出範囲内での被検出体の位置を精度よく検出することが可能となる。このため、被検出体位置に応じて多段階の入力操作や非接触においても入力操作可能な静電容量式近接センサ装置を実現することができる。
【0077】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、4対のX軸電極14a、14b〜17a、17b及び3対のY軸電極18a、18b〜20a、20bを用いる構成としたが、X軸電極及びY軸電極の数は、検出範囲内の被検出体位置を検出できる数であれば特に限定されず適時変更可能である。
【0078】
また、上記実施の形態の静電容量式近接センサ装置においては、X軸電極及びY軸電極を略矩形形状の基板の4辺上に配置する構成としたが、X軸電極及びY軸電極の配置は、検出範囲内の被検出体位置を検出できるものであればこの構成に限定されず適時変更可能である。例えば、円形、楕円、菱形などの電極配置としてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態の静電容量式近接センサ装置においては、対向配置されたX軸電極14a、14bを検出電極対としてX軸方向の被検出体位置を検出する構成としたが、検出電極対は、被検出体位置を検出できれば必ずしも対向配置されたX軸電極を検出電極対とする必要はない。例えば、X軸電極14a、15bを検出電極対として用いてもよく、X軸電極15a、14bを検出電極対として用いてもよい。同様にしてY軸方向の被検出体位置の検出においても検出電極対は、適時変更可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、携帯機器、デジタルフォトフレーム、PC、オーディオの操作パネルなど、各種入力デバイスに適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
11 センサ部
12 制御回路部
13、32、40、52 基板
14a、14b〜17a、17b、53a、53b〜56a、56b X軸電極
18a、18b〜20a、20b、57a、57b〜59a、59b Y軸電極
14A〜17A、14B〜17B、14F、14G 検出電極
14E、18A〜20A、18B〜20B 駆動電極
21 マルチプレクサ
22 CPU
23 駆動回路
24 検出回路
25 増幅回路
26 A/Dコンバータ
31 遮蔽電極
33 スペーサ
50 静電容量式近接センサ装置
51 タッチパネル
100a〜100d 電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体位置を検出する近接センサ装置に関し、特に、静電容量の変化により被検出体の近接を検出する静電容量式近接センサ装置、及びそれを用いた入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人体などの被検出体を検出する装置としては、4辺及び4つの角部を持つ矩形形状のセンサ面(検出領域)の4辺に沿って配置された4つの電極を備えた静電容量型検出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる静電容量型検出装置においては、被検出体の接近によって各電極間に形成される静電容量が変化し、この静電容量に応じて出力される信号を介して被検出体を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2008/093682号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の静電容量型検出装置においては、矩形形状の検出領域の4辺上に配置された4つの電極を用いて被検出体位置を検出するため、検出領域内における被検出体の位置の変化は検出できるものの、絶対位置を正確に検出することは困難であった。また、被検出体が検出領域内を移動した場合において、被検出体の移動方向と平行に配置された電極間では、被検出体と電極との間の相対的な距離の変化が小さくなる。このため、被検出体の移動前後の静電容量の変化が小さくなり、被検出体の移動及び被検出体位置を正確に検出ができない問題がある。また、検出領域への被検出体の接近を多段階に検出することができない問題もあった。
【0005】
また近年、静電容量型検出装置は、タッチパネルやグライドセンサと共にディスプレイ装置の入力装置などにも用途が拡大している。このような入力装置においては、ディスプレイ装置の汚れを防止する観点から、非接触での入力操作の実現が望まれている。また、装置に対する入力操作への要望も複雑化しており、例えば、人体などの接近を多段階に検出し、被検出体とセンサ面との間の距離に応じて複数の階調での入力操作を実現できる入力装置も望まれている。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みて為されたものであり、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出でき、被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置及びそれを用いた入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の静電容量式近接センサ装置は、検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、前記電極群のうち、前記駆動電極となる電極を前記駆動回路に接続すると共に、前記検出電極となる電極を前記検出回路に接続する切替え手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、複数のX軸電極及び複数のY軸電極を、それぞれ検出電極として切替えて被検出体を検出するので、検出電極として切替えられた各X軸電極及び各Y軸電極と被検出体との間の距離に応じた出力信号をそれぞれ検出できる。このため、各X軸電極及び各Y軸電極と被検出体との間の距離を検出でき、検出領域内での被検出体位置を精度良く検出することが可能となる。このように、検出領域内での被検出体位置を精度良く検出できるので、被検出体位置に応じて被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置を実現することができる。
【0009】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記X軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のX軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記X軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記X軸電極内で検出電極対となる電極を順次切り替えることを特徴とする。
【0010】
この構成により、複数のX軸電極内で検出電極対となるX軸電極を順次切替えるので、異なる位置に配置された複数の検出電極対を用いてX軸方向の被検出体位置を検出でき、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出できる。
【0011】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記Y軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のY軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記Y軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記Y軸電極内で検出電極対となる電極を順次切替えることを特徴とする。
【0012】
この構成により、複数のY軸電極内で検出電極対となるY軸電極を順次切替えるので、異なる位置に配置された複数の検出電極対を用いてY軸方向の被検出体位置を検出でき、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出できる。
【0013】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、Z軸方向の被検出体位置の検出において、少なくとも1つの前記X軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンと、少なくとも1つの前記Y軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンとを切替えることを特徴とする。
【0014】
この構成により、X軸電極及びY軸電極のそれぞれを検出電極として用いてZ軸方向の被検出体位置を検出するので、X軸方向及びY軸方向のそれぞれからZ軸方向の被検出体位置を検出でき、精度良く被検出体位置を検出することができる。
【0015】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のX軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのX軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、X軸方向に対して異なる位置に配置されたX軸電極を2つの検出電極対として被検出体位置を検出するので、それぞれの検出電極対の出力信号を用いた演算処理により、複数の被検出体位置を共に検出することが可能となる。
【0017】
本発明の静電容量式近接センサ装置においては、前記切替え手段は、前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のY軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのY軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、Y軸方向に対して異なる位置に配置されたY軸電極を2つの検出電極対として被検出体位置を検出するので、それぞれの検出電極対の出力信号を用いた演算処理により、複数の被検出体位置を共に検出することが可能となる。
【0019】
本発明の電子機器は、上記静電容量式近接センサ装置を備えたことを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、上記静電容量式近接センサ装置を備えることにより、検出領域内での被検出体位置を精度良く検出することが可能となる。このため、例えば、被検出体と電子機器との間の距離に応じて多段階の入力操作が可能な電子機器を実現できる。
【0021】
本発明の入力装置は、タッチパネルと、上記静電容量式近接センサ装置とを具備し、前記X軸電極は、前記タッチパネルを挟んで前記Y軸方向において対向して配列すると共に、前記Y軸電極が前記タッチパネルを挟んで前記X軸方向において対向して配列したことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、タッチパネルの周囲にX軸電極及びY軸電極を対向して配列することにより、タッチパネルに非接触の状態においても被検出体位置の検出が可能となり、タッチパネルに非接触での入力操作が可能となる。
【0023】
本発明の電極駆動方法は、検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、を具備する静電容量式近接センサ装置の電極駆動方法であって、前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のX軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記X軸方向の一方端から他方端側に向けて前記X軸電極間で順次切替えてX軸方向の被検出体位置を検出してから、前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のY軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記Y軸方向の一方端から他方端側に向けて前記Y軸電極間で順次切替えてY軸方向の被検出体位置を検出することを特徴とする。
【0024】
この方法によれば、検出領域を介して対向配置されたX軸電極及びY軸電極を、それぞれ一方端側から他方端側に向けて検出電極として切替えて検出領域内の被検出体位置を検出するので、検出領域内での正確な被検出体位置を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、検出領域内の被検出体位置を精度良く検出でき、被検出体を多段階で検出できる静電容量式近接センサ装置及びそれを用いた入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の構成図である。
【図2】(a)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のセンサ部のA−A線矢視断面図であり、(b)は、センサ部の遮蔽電極の模式図である。
【図3】は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のセンサ部の電極切替え制御の概略を示す平面模式図である。
【図4】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のX軸方向及びY軸方向の被検出体の検出原理を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の被検出体の動きと静電容量の変化を示す図である。
【図6】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のZ軸方向の被検出体の検出原理を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における被検出体位置の演算処理の一例を示すフロー図である。
【図8】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンを示す図である。
【図9】(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンにおける出力信号の強度を示す図である。
【図10】(a)〜(c)は、本発明の本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるY軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンを示す図である。
【図11】(a)〜(c)は、本発明の本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるY軸方向の被検出体位置検出時の電極切替えパターンにおける出力信号の強度を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置において検出領域内に被検出体が存在する場合の被検出体位置を示す模式図である。
【図13】(a)、(b)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の出力信号の変化を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるセンサ部の検出範囲を示す模式図であり、(b)は、従来の近接センサ装置におけるセンサ部の検出範囲を示す模式図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における電極切替えパターンの他の例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置を備えた入力装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の構成図である。図1に示すように、本実施の形態に係る近接センサ装置は、被検出体の近接を検出するセンサ部11と、このセンサ部11によって検出された出力信号を基に被検出体位置を算出する制御回路部12とを備える。
【0028】
センサ部11は、検出基準面としての平面視略矩形形状の基板13と、基板13上に配列される複数のX軸電極14a、14b〜17a、17b及び複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bとを備える。各X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bは、他の電極との間に静電容量が形成されるようにそれぞれ離間して配列されている。X軸電極14a〜17aは、基板13の一方の長辺に沿って配列され、X軸電極14b〜17bが対向辺に沿って配列されている。Y軸電極18a〜20aは、基板13の一方の短辺に沿って配列され、Y軸電極18b〜20bが対向辺に沿って配列されている。なお、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、基板13面内が検出領域A1となる、また、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bは、電極間に形成される静電容量により、検出基準面を形成できる範囲に配置されていればよく、必ずしも同一平面に配置されている必要はない。
【0029】
すなわち、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、略矩形形状の検出領域A1のX軸方向に沿ってX軸電極14a〜17aと、X軸電極14b〜17bとが対向して配列され、Y軸方向に沿ってY軸電極18a〜20aと、Y軸電極18b〜20bとが対向して配列されている。このように、検出領域A1のX軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿って複数のX軸電極14a、14b〜17a、17b及び複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bを配列することにより、検出領域A1内の被検出体位置を正確に検出することが可能となる。なお、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、静電容量の変化を検出できる範囲であれば基板13面外を含む範囲の被検出体を検出できる。
【0030】
制御回路部12は、センサ部11の各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの切替え手段としてのマルチプレクサ21と、各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bから出力された信号より、被検出体位置を演算する演算手段としてのCPU22とを備える。CPU22とマルチプレクサ21との間には、駆動電極として切替えられた各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bに駆動電圧を印加する駆動回路23が設けられると共に、検出電極として切替えられた各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を検出する検出回路24が設けられている。
【0031】
マルチプレクサ21は、センサ部11の各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bに接続されると共に、駆動回路23及び検出回路24に接続され、各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの接続を駆動回路23及び検出回路24に切替える。また、マルチプレクサ21は、CPU22と接続され、CPU22からの切替え信号により、各X軸電極14a、14b〜17a、17b及び各Y軸電極18a、18b〜20a、20bの接続を切替え制御可能に構成されている。このように、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置は、CPU22からの切替え制御信号により、マルチプレクサ21を介して駆動電極となるX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20b(以下、単に駆動電極ともいう)を駆動回路23に接続すると共に、検出電極となるX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20b(以下、単に検出電極ともいう)を検出回路24に接続するように構成されている。
【0032】
駆動回路23は、図示されない発振回路を備え、駆動電極として切替えられたX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bに駆動電圧を印加する。駆動電圧の印加は、CPU22によってタイミング制御される。
【0033】
検出回路24は、検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を検出する。検出回路24は、正極端子及び負極端子を備えた増幅回路25と、増幅回路25に接続され増幅された出力信号をA/D変換するA/Dコンバータ26とを備える。
【0034】
増幅回路25の正極端子及び負極端子には、検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bが接続される。増幅回路25は、検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を差動で増幅してA/Dコンバータ26へ出力する。
【0035】
A/Dコンバータ26は、CPU22に接続され、増幅回路25で増幅された出力信号をフィルタリング処理及びデジタル変換してCPU22に出力する。CPU22に入力された出力信号は、検出回路としてのCPU22で差分値などが検出される。なお、差分値の検出は、A/Dコンバータ26で行ってもよい。また、演算手段としてのCPU22では、検出された出力信号を用いて、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の被検出体位置が算出される。
【0036】
本実施の形態では、X軸方向及びY軸方向の被検出体位置の検出の際には、マルチプレクサ21によって切替えられた一対のX軸電極14a、14b〜17a、17bが検出電極対として増幅回路25に接続される。この一対の検出電極対の一方の検出電極は増幅回路25の正極端子に接続され、他方の検出電極が負極端子に接続される。増幅回路25では、入力された一方の検出電極の出力信号と他方の検出電極の出力信号とが差動で増幅される。
【0037】
また、Z軸方向の被検出体位置の検出の際には、マルチプレクサ21によって少なくとも一つのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bが検出電極として切替えられて増幅回路25の一方の端子に接続される。増幅回路25の他方の端子には、基準電圧が入力される。増幅回路25では、入力された検出電極の出力信号と基準電圧との差動で出力信号が増幅される。
【0038】
このように、本実施の形態では、一つの増幅回路25において、検出方向に応じて一方の検出電極の出力信号と他方の検出電極の出力信号との差動による増幅と、検出電極の出力信号と基準信号との出力信号の差分による増幅とを時分割で切り替える。これにより、各軸毎に増幅回路25を設けることなく、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の検出を行うことができる。また、X軸方向及びY軸方向の検出に用いられた一対の検出電極の出力信号の差分値が検出下限となる状態においても、Z軸方向の検出により被検出体を検出することができ、それぞれの増幅特性による不感領域を補完することができる。
【0039】
次に、図2(a)、(b)を参照して本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置のセンサ部11の構成について詳細に説明する。図2(a)は、図1に示したセンサ部11のA−A線矢視断面図であり、図2(b)は、センサ部11の遮蔽電極31の模式図である。図2(a)に示すように、センサ部11の基板13の下面側(裏面側)には遮蔽電極31が設けられている。遮蔽電極31は、図2(b)に示すように、矩形枠状の平板形状を有しており、矩形形状の中央部開口31aを有する。遮蔽電極31は、センサ部11の裏面側からX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bへのノイズを遮蔽するように常時接地されている。遮蔽電極31の上面側には、遮蔽電極31の上面を覆うように基板32が設けられており、この基板32の両端部に設けられたスペーサ33を介して基板13が積層されている。基板13、32としては、例えば、アクリル板を用いることができる。
【0040】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係る静電容量式センサ装置の被検出体検出時の電極切替え制御の概略について説明する。図3は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の電極切替え制御の概略を示す平面模式図である。図3においては、センサ部11の検出範囲をX軸方向に対しX1〜X7に区分し、Y軸方向に対してY1〜Y5に区分して示している。
【0041】
本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに対して、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを検出電極及び駆動電極として切替えながら各軸毎に複数回被検出体を検出して検出領域内の被検出体位置を検出する。
【0042】
X軸方向の被検出体位置の検出においては、対向して配列されたX軸電極14a〜17aとX軸電極14b〜17bとを一対の検出電極対として切替える。そして、検出電極対となる電極をX軸電極14a、14b〜17a、17b内で矢印D1に示す方向に順次切替えながら、被検出体位置を複数回測定する。
【0043】
Y軸方向の被検出体位置の検出においては、対向して配列されたY軸電極18a〜20aとY軸電極18b〜20bとを一対の検出電極対として切替える。そして、検出電極対となる電極をY軸電極18a、18b〜20a、20b内で矢印D2に示す方向に順次切替えながら、被検出体位置を複数回測定する。
【0044】
Z軸方向の被検出体位置検出においては、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bのうち、基板13の1辺に沿って配列された電極群(例えば、X軸電極14a〜17a)を検出電極として切替える。そして、検出電極となる電極群を矢印D3に示すように、基板13上の1辺沿って配列された電極群間で切替えながら被検出体位置を複数回測定する。
【0045】
次に、図4(a)、(b)を参照して、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向及びY軸方向の被検出体の検出原理について説明する。図4(a)、(b)は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における検出原理を示す概念図である。なお、同図においては、X軸電極14a、14b〜17a、17bを検出電極14A〜17A及び14B〜17Bとし、Y軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極18A〜20A及び18B〜20Bとして模式的に示している。
【0046】
図4(a)は、被検出体41がX軸方向に移動する際の被検出体41の位置を検出する場合について示している。図4(a)に示すように、X軸方向の被検出体41を検出する場合、X軸方向において対向する一対の検出電極14A〜17A及び14B〜17B、及びY軸方向において対向する一対の駆動電極18A〜20A及び18B〜20Bを用いる。この場合、駆動電極18A〜20Aと検出電極14A〜17A及び検出電極14B〜17Bとの間には静電容量Cx1が形成され、駆動電極18B〜20Bと検出電極14A〜17A及び検出電極14B〜17Bとの間には静電容量Cx2が形成される。そして、この静電容量Cx1、Cx2に応じた検出電極の出力信号の差分をとることにより、被検出体41の位置を検出することができる。
【0047】
なお、電極配置は図4(b)に示すようにしてもよい。図4(b)は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサにおける他の電極配置の一例を示す図である。図4(b)に示す例においては、駆動電極14Eが中央となるように電極を配列し、この駆動電極14Eに対して平行に検出電極14F、14Gを配列した例を示している。この場合においては、駆動電極14Eと検出電極14Fとの間に容量C1が形成され、駆動電極14Eと検出電極14Gとの間に容量C2が形成される。そして、この静電容量C1、C2に応じた検出電極の出力信号の差分値を取ることにより、被検出体41の位置を検出することができる。
【0048】
さらに、図5を参照して、被検出体41の動きと静電容量の変化について説明する。図5は、図4に示した例において、被検出体41が左右に動いた場合の静電容量の差分の変化を示した図である。図5に示すように、被検出体41がX軸方向(左右方向)のいずれかの方向に動いた場合、検出電極14A〜17A間に形成される電気力線(不図示)が被検出体41に吸収され、静電容量Cx1,Cx2が変化する。例えば、被検出体41が左側に動くと、静電容量Cx1が増加して、静電容量Cx2が減少する。このため、被検出体41がX軸方向(左右方向)に移動した場合、静電容量値の差分(Cx2−Cx1)をとることにより、図5に示すように、静電容量の変化量から被検出体のX軸方向(左右方向)の被検出体41の位置情報及び動き(モーション)を検出することが可能となる。なお、Y軸方向の被検出体41を検出する場合、駆動電極18A〜20A及び駆動電極18B〜20Bを駆動電極とし、検出電極14A〜17A及び14B〜17Bを検出電極とすることにより、X軸方向と同様の原理で被検出体を検出することができる。
【0049】
次に、図6(a)、(b)を参照して、本実施の形態の形態に係る静電容量式近接センサのZ軸方向における被検出体の検出原理について説明する。図6(a)、(b)は、本実施の形態の形態に係る静電容量式近接センサのZ軸方向における被検出体の検出原理を示す図である。図6(a)、(b)においては、基板40上に検出電極14A〜17A及び駆動電極14B〜17B並びに駆動電極18A〜20A(不図示の駆動電極18B〜20Bも含む)が配置され、各電極間に静電容量CX3が形成され、その周囲に電気力線42が形成された状態を示している。
【0050】
図6(a)に示すように、基板40と被検出体41との間のZ軸方向の距離が大きい場合には、被検出体41による電気力線42の吸収が一部のみとなるので、静電容量CX3は大きくなる。一方、図6(b)に示すように、基板40と被検出体41との距離が小さい場合には、被検出体41によって電気力線42の大半が吸収されるので、静電容量CX3が小さくなる。このように、本実施の形態においては、基板40と被検出体41との間の距離が小さい場合には、静電容量CX3が減少して検出電極14A〜17Aの出力信号が大きくなる。また、基板40と被検出体41との間の距離が大きい場合には、静電容量CX3が増大して検出電極14A〜17Aの出力信号が小さくなる。以上のようにして、被検出体41のZ軸方向の位置を検出することができる。
【0051】
次に、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における電極駆動方法(電極切替えパターン)について詳細に説明する。下記表1に本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置におけるX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の検出に用いられる電極切替えパターンを示す。
【0052】
【表1】
【0053】
X軸方向の被検出体位置の検出においては、X軸方向に沿って対向して配列されたX軸電極14a、14b〜17a、17bから一対の電極を検出電極対として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える。そして、検出電極対となる電極を順次切替えながら被検出体位置を検出する。まず、X軸電極14a、14bを検出電極対とし、残りのX軸電極15a、15b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX1)。次いで、電極15a、15bを検出電極対とし、残りの電極14a、14b、16a、16b、17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX2)。次に、X軸電極16a、16bを検出電極対とし、残りのX軸電極14a、14b、15a、15b、17a、17b、及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX3)。次いで、X軸電極17a、17bを検出電極対とし、残りのX軸電極14a、14b〜16a、16b、及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極とする(表1:電極パターンX4)。
【0054】
Y軸方向の被検出体位置の検出の際には、Y軸方向に沿って対向して配置されたY軸電極18a、18b〜20a、20bから一対の電極を検出電極として切替え、残りのY軸電極18a、18b〜20a、20b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極として切替える。まず、Y軸電極18a、18bを検出電極対とし、残りのY軸電極19a、19b、20a、20b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極とする(表1:電極パターンY1)。次いで、Y軸電極19a、19bを検出電極対とし、残りのY軸電極18a、18b、20a、20b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極とする(表1:電極パターンY2)。次に、Y軸電極20a、20bを検出電極対とし、残りのY軸電極18a、18b、19a、19b及びX軸電極14a、14b〜17a、17bを駆動電極とする(表1:電極パターンY3)。
【0055】
Z軸方向の被検出体位置の検出の際には、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bのうち基板13の1辺に沿って配列された電極を検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える。まず、X軸電極14a〜17aを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14b〜17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ1)。次に、Y軸電極18a〜20aを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18b〜20bを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ2)。次いで、X軸電極14b〜17bを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a〜17a及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ3)。次に、Y軸電極18b〜20bを検出電極群として切替え、残りのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a〜20aを駆動電極として切替える(表1:電極パターンZ4)。
【0056】
次に、図7を参照して本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の演算処理について詳細に説明する。図7は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における被検出体の演算処理の一例を示すフロー図である。
【0057】
図7に示すように、まず、上記表1に示した電極パターンX1〜X4で被検出体を検出し、出力信号が最大の電極パターンにおいて検出電極対として用いたX軸電極14a、14b〜17a、17bの位置を決定する(ステップS1)。次いで、上記表1に示した電極パターンY1〜Y3で被検出体を検出し、出力信号が最大の電極パターンにおいて検出電極対として用いたY軸電極18a、18b〜20a、20bの位置を決定する(ステップS2)。以上より、最大出力が得られたX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを特定し、被検出体存在領域を図3に示したX1〜X7及びY1〜Y5の範囲で判別する(ステップS3)。
【0058】
次に、上記表1に示した電極パターンZ1〜Z4で被検出体を検出し、電極パターンZ1〜Z4の検出電極の出力信号と、上記ステップS1で得られたX軸電極14a、14b〜17a、17bの出力信号とを用いてX軸方向の被検出体位置を判別する(ステップS4)。次いで、上記ステップS1で得られたY軸電極18a、18b〜20a、20bの出力信号を用いてY軸方向の被検出体位置を判別する(ステップS5)。
【0059】
最後にステップS4及びステップS5で得られたX軸方向及びY軸方向の被検出体位置を基に被検出体位置を判別する(ステップS6)。以上のようにして、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向のそれぞれに対して検出電極となる電極をそれぞれ切替えながら複数回測定することにより、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の3軸方向の被検出体位置を検出する。
【0060】
次に、図8〜図11を参照して、検出領域に被検出体が存在しない状態における各電極パターンX1〜X4及び電極パターンY1〜Y3の出力信号について説明する。図8(a)〜(d)は、X軸方向の被検出体位置検出時の各電極パターンX1〜X4を示す図であり、図9(a)〜(d)は、図8(a)〜(d)における出力信号の強度を示す図である。
【0061】
図8(a)に示すX軸電極14a、14bを検出電極対とする電極パターンX1では、X軸電極14a(X2.5、Y1)近傍の出力信号が最大となり、X軸電極14b(X2.5、Y5)近傍の出力が最小となる(図9(a))。また、X軸電極14aから離れるにつれて信号強度が0に向けて減少し、X軸電極14bから離れるにつれて信号強度が0に向けて増大する。このように、電極パターンX1では、検出電極対となるX軸電極14a、14b近傍では出力信号が大きく変化し、X軸電極14a、14bから離れるにつれて出力信号の変化が減少する。この結果から、被検出体がX軸電極14a、14b近傍に存在する場合には、出力信号の変化が大きくなることが分かる。
【0062】
図8(b)〜(d)に示す電極パターンX2〜X4では、電極パターンX1と同様に検出電極対となるX軸電極15a(X3.5、Y1)、16a(X4.5、Y1)、17a(X5.5、Y1)近傍の出力信号が最大となり、X軸電極15b(X3.5、Y5)、16b(X4.5、Y5)、17b(X5.5、Y5)近傍の出力が最小となる(図9(b)〜(d))。これらの結果から、電極パターンX1〜X4を順次切り替えて被検出体位置を検出することにより、被検出体の存在領域近傍のX軸電極14a、14b〜17a、17bが検出電極対として切替えられた場合に出力信号の変化が最も大きくなり、X軸方向における被検出体位置の検出が可能となることが分かる。
【0063】
図10(a)〜(c)は、Y軸方向の被検出体位置検出時の各電極パターンY1〜Y3を示す図であり、図11(a)〜(c)は、図10(a)〜(c)における出力信号の強度を示す図である。
【0064】
図10(a)に示すように、Y軸電極18a、18bを検出電極対とする電極パターンY1では、Y軸電極18a(X1.5、Y1)近傍の出力信号が最小となり、Y軸電極18b(X6、Y1)近傍の出力信号が最大となる(図11(a))。また、Y軸電極18aから離れるにつれて信号強度が0に向けて増大し、Y軸電極18bから離れるにつれて信号強度が0に向けて減少する。このように、電極パターンY1では、検出電極対となるY軸電極18a、18b近傍では出力信号が大きく変化し、Y軸電極18a、18bから離れるにつれて出力信号の変化が減少する。この結果から、被検出体がY軸電極18a、18b近傍に存在する場合には、出力信号の変化が大きくなることが分かる。
【0065】
図10(b)、(c)に示すように、電極パターンY2、Y3に順次切り替えた場合、電極パターンY1と同様に検出電極対となるY軸電極19a(X1.5、Y3)、20a(X1.5、Y5)近傍の出力信号が最小となり、Y軸電極19b(X6、Y3)、20b(X6、Y5)近傍の出力信号が最大となる(図11(b)、(c))。これらの結果から、電極パターンY1〜Y3を順次切り替えて被検出体位置を検出することにより、被検出体の存在領域近傍のY軸電極18a、18b〜20a、20bが検出電極対として切替えられた場合に出力信号の変化が最も大きくなり、Y軸方向における被検出体位置の検出が可能となることが分かる。
【0066】
次に、図12及び図13を参照して検出領域内に被検出体が存在する場合における検出電極対の出力信号の変化について説明する。図12は、検出領域内(X2、Y5)に被検出体が存在する場合の被検出体位置を示す模式図であり、図13(a)、(b)は、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の出力信号の変化を示す図である。図13(a)においては、図12に示す領域に被検出体41が存在する場合における図9(a)〜(d)に示した出力信号値からの出力信号の変化量を示し、図13(b)においては、図12に示す領域に被検出体41が存在する場合における図11(a)〜(c)に示した出力信号値からの出力信号の変化量を示している。
【0067】
図13(a)に示すように、被検出体41が(X2、Y5)に存在する場合において、被検出体41近傍のX軸電極14a、14bが検出電極対となる電極パターンX1で出力信号の変化量が最大となる。また、被検出体41と検出電極対となる電極との距離が離れるにつれて出力信号の変化量が小さくなる(電極パターンX2〜X4参照)。また、図13(b)に示すように、被検出体41近傍のY軸電極18a、18bが検出電極対となる電極パターンY1で出力信号が最大となる。また、被検出体41と検出電極対となる電極との距離が離れるにつれて出力信号の変化量が小さくなることが分かる(電極パターンY2、Y3参照)。
【0068】
以上の結果から、電極パターンX1〜X4及び電極パターンY1〜Y3を順次切替えて検出領域内の被検出体位置を検出することにより、被検出体41の存在領域近傍のX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bを検出電極対とした場合の出力信号の変化量が大きくなることが分かる。このため、出力信号の変化量を検出することにより、検出領域内の被検出体位置を正確に検出することができる。
【0069】
次に、再び図1を参照して、以上のように構成された本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の動作について説明する。まず、マルチプレクサ21によって、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bが駆動電極及び検出電極として切替えられる。次いで、CPU22よりタイミング制御された駆動電圧が、駆動回路23から駆動電極として切替えられたX軸電極14a、14b〜17a、17bに印加される。ここで、被検出体が検出領域A1内に存在する場合、電極間に形成される静電容量が変化するので、それぞれの静電容量に応じた信号が検出電極から出力される。
【0070】
検出電極としてのX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bから出力された信号は、検出回路24の増幅回路25に入力されて増幅される。増幅回路25で増幅された出力信号は、A/Dコンバータ26でフィルタリング処理及びA/D変換されてCPU22に入力される。CPU22では、入力された出力信号を基にX軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20bによって検出された被検出体位置を算出する。以上のようにして、本実施の形態に係る近接センサ装置においては、検出方向に応じて電極群パターンを切替えながら被検出体の接近によって生じるセンサ部11の静電容量の変化に基づいて、被検出体位置を検出する。
【0071】
このように、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、検出領域A1を挟んでX軸方向に沿って複数のX軸電極14a、14b〜17a、17bを対向して配列し、Y軸方向に沿って複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bを対向して配列したので、被検出体の正確な位置を測定することができる。例えば、図14(a)に示すように、被検出体が領域A2に存在する場合においては、X軸電極16a、16bを検出電極対とする電極パターンX3及びY軸電極18a、18bを検出電極対とする電極パターンY1の出力信号が最大となるので、被検出体の存在領域を精度良く特定することが可能となる。
【0072】
これに対し、従来の近接センサ装置においては、図14(b)に示すように、被検出体が領域A3に存在する場合、電極100a〜100dのうち、100a近傍の静電容量が最も大きく減少する。このため、例えば、電極100a及び100cを検出電極として被検出体を検出することにより、センサの中心点P1からみて矢印D4方向に被検出体が存在することは判別できるが、被検出体位置を正確に検出することは困難となる。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、検出電極対として対向配置された一対のX軸電極及びY軸電極を検出電極対として用いる実施の形態について説明したが、複数のX軸電極及びY軸電極を複数の検出電極対として共に切替えて用いてもよい。図15に本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置における電極切替えパターンの他の例を示す。図15に示すように、X軸方向の被検出体の検出時において、X軸電極14a、14b及びX軸電極17a、17bをそれぞれ検出電極対として用いてもよい。このように、X軸方向に対して2対の検出電極対を用いて被検出体位置を検出することにより、複数の被検出体を検出することも可能となる。なお、Y軸方向においても同様にして複数の検出電極対を用いる構成としてもよい。
【0074】
次に、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置の応用例について説明する。図16は、上記実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置を備えた入力装置の一例を示す図である。この入力装置は、上記静電容量式近接センサ装置50と、タッチパネル51と、を備える。静電容量式近接センサ50は、平面視略矩形形状の基板52の四辺上に複数の電極53〜59が配列され、基板52中央部に基板52と相似形状を有するタッチパネル51が配置されている。各電極53〜59は、タッチパネル51の外周面に沿って設けられており、X軸電極53a〜56aとX軸電極53b〜56bとが対向して配列され、Y軸電極57a〜59aとY軸電極57b〜59bとが対向して配列されている。このように、タッチパネル51と静電容量式近接センサ装置50とを組み合わせて入力装置として用いることにより、タッチパネル50に接触する前に被検出体としてのオペレータの手を検出できるため、非接触での入力操作を実現することができる。また、タッチパネル51上でのオペレータの手の位置に応じてタッチパネル51の入力モードを変更するように構成することも可能となる。
【0075】
以上説明したように、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、検出領域を挟んでX軸方向に沿って複数のX軸電極14a、14b〜17a、17bを対向配置し、Y軸方向に沿って複数のY軸電極18a、18b〜20a、20bを対向配置したので、被検出体の位置を精度良く検出することが可能となる。
【0076】
特に、本実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに対して、X軸電極14a、14b〜17a、17b及びY軸電極18a、18b〜20a、20b内で検出電極対を順次切替えることにより、各検出電極対と被検出体との間の距離に応じた出力信号を検出できるので、検出範囲内での被検出体の位置を精度よく検出することが可能となる。このため、被検出体位置に応じて多段階の入力操作や非接触においても入力操作可能な静電容量式近接センサ装置を実現することができる。
【0077】
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態に係る静電容量式近接センサ装置においては、4対のX軸電極14a、14b〜17a、17b及び3対のY軸電極18a、18b〜20a、20bを用いる構成としたが、X軸電極及びY軸電極の数は、検出範囲内の被検出体位置を検出できる数であれば特に限定されず適時変更可能である。
【0078】
また、上記実施の形態の静電容量式近接センサ装置においては、X軸電極及びY軸電極を略矩形形状の基板の4辺上に配置する構成としたが、X軸電極及びY軸電極の配置は、検出範囲内の被検出体位置を検出できるものであればこの構成に限定されず適時変更可能である。例えば、円形、楕円、菱形などの電極配置としてもよい。
【0079】
また、上記実施の形態の静電容量式近接センサ装置においては、対向配置されたX軸電極14a、14bを検出電極対としてX軸方向の被検出体位置を検出する構成としたが、検出電極対は、被検出体位置を検出できれば必ずしも対向配置されたX軸電極を検出電極対とする必要はない。例えば、X軸電極14a、15bを検出電極対として用いてもよく、X軸電極15a、14bを検出電極対として用いてもよい。同様にしてY軸方向の被検出体位置の検出においても検出電極対は、適時変更可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、例えば、携帯機器、デジタルフォトフレーム、PC、オーディオの操作パネルなど、各種入力デバイスに適用可能である。
【符号の説明】
【0081】
11 センサ部
12 制御回路部
13、32、40、52 基板
14a、14b〜17a、17b、53a、53b〜56a、56b X軸電極
18a、18b〜20a、20b、57a、57b〜59a、59b Y軸電極
14A〜17A、14B〜17B、14F、14G 検出電極
14E、18A〜20A、18B〜20B 駆動電極
21 マルチプレクサ
22 CPU
23 駆動回路
24 検出回路
25 増幅回路
26 A/Dコンバータ
31 遮蔽電極
33 スペーサ
50 静電容量式近接センサ装置
51 タッチパネル
100a〜100d 電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、
前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、
前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、
前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、
前記電極群のうち、前記駆動電極となる電極を前記駆動回路に接続すると共に、前記検出電極となる電極を前記検出回路に接続する切替え手段とを具備することを特徴とする静電容量式近接センサ装置。
【請求項2】
前記切替え手段は、
前記X軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のX軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記X軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記X軸電極内で検出電極対となる電極を順次切り替えることを特徴とする請求項1記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項3】
前記切替え手段は、
前記Y軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のY軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記Y軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記Y軸電極内で検出電極対となる電極を順次切替えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項4】
前記切替え手段は、
Z軸方向の被検出体位置の検出において、少なくとも1つの前記X軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンと、少なくとも1つの前記Y軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンとを切替えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項5】
前記切替え手段は、前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のX軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、
前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのX軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項6】
前記切替え手段は、前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のY軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、
前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのY軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
タッチパネルと、請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置とを具備し、前記X軸電極は、前記タッチパネルを挟んで前記Y軸方向において対向して配列すると共に、前記Y軸電極が前記タッチパネルを挟んで前記X軸方向において対向して配列したことを特徴とする入力装置。
【請求項9】
検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、
前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、
前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、
前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、を具備する静電容量式近接センサ装置の電極駆動方法であって、
前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のX軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記X軸方向の一方端から他方端側に向けて前記X軸電極間で順次切替えてX軸方向の被検出体位置を検出してから、
前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のY軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記Y軸方向の一方端から他方端側に向けて前記Y軸電極間で順次切替えてY軸方向の被検出体位置を検出することを特徴とする電極駆動方法。
【請求項1】
検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、
前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、
前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、
前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、
前記電極群のうち、前記駆動電極となる電極を前記駆動回路に接続すると共に、前記検出電極となる電極を前記検出回路に接続する切替え手段とを具備することを特徴とする静電容量式近接センサ装置。
【請求項2】
前記切替え手段は、
前記X軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のX軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記X軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記X軸電極内で検出電極対となる電極を順次切り替えることを特徴とする請求項1記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項3】
前記切替え手段は、
前記Y軸方向の被検出体位置の検出において、前記複数のY軸電極のうち、対向配置された少なくとも一対の前記Y軸電極を検出電極対として前記検出回路に接続し、前記Y軸電極内で検出電極対となる電極を順次切替えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項4】
前記切替え手段は、
Z軸方向の被検出体位置の検出において、少なくとも1つの前記X軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンと、少なくとも1つの前記Y軸電極を検出電極として前記検出回路に接続する電極切替えパターンとを切替えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項5】
前記切替え手段は、前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のX軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、
前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのX軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項6】
前記切替え手段は、前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも2対のY軸電極を検出電極対としてそれぞれ検出回路に接続し、
前記演算手段は、前記少なくとも2つの検出電極対から出力された信号から少なくとも2つのY軸方向の被検出体位置を共に算出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
タッチパネルと、請求項1から請求項6のいずれかに記載の静電容量式近接センサ装置とを具備し、前記X軸電極は、前記タッチパネルを挟んで前記Y軸方向において対向して配列すると共に、前記Y軸電極が前記タッチパネルを挟んで前記X軸方向において対向して配列したことを特徴とする入力装置。
【請求項9】
検出領域を挟んでそれぞれX軸方向に沿って対向して配列された複数のX軸電極と、前記検出領域を挟んでそれぞれY軸方向に沿って対向して配列された複数のY軸電極と、を含む電極群と、
前記電極群のうち、駆動電極となる電極に印加する駆動電圧を出力する駆動回路と、
前記電極群のうち、検出電極となる電極から出力された信号を検出する検出回路と、
前記検出回路の検出結果から被検出体の前記X軸方向、前記Y軸方向及び検出基準面に垂直なZ軸方向の被検出体位置を演算する演算手段と、を具備する静電容量式近接センサ装置の電極駆動方法であって、
前記X軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のX軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記X軸方向の一方端から他方端側に向けて前記X軸電極間で順次切替えてX軸方向の被検出体位置を検出してから、
前記Y軸電極のうち、対向配置された少なくとも1対のY軸電極を検出電極対として切替え、検出電極対となる電極を前記Y軸方向の一方端から他方端側に向けて前記Y軸電極間で順次切替えてY軸方向の被検出体位置を検出することを特徴とする電極駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−3554(P2012−3554A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138660(P2010−138660)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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