説明

静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法

【課題】変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーの提供。
【解決手段】ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとを含む着色剤と、結着樹脂と、を含有する静電荷像現像用トナー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真プロセスは、情報化社会における機器の発達や通信網の充実により、複写機のみならず、オフィスのネットワークプリンター、パソコンのプリンター、オンデマンド印刷のプリンター等にも広く利用され、白黒、カラーを問わず、高画質、高速化、高信頼性、小型化、軽量化、省エネルギー性能がますます強く要求されてきている。
【0003】
電子写真プロセスは、通常、光導電性物質を利用した感光体(潜像保持体)上に種々の手段により電気的に静電荷像を形成し、この静電荷像をトナーを用いて現像し、感光体上のトナー画像を中間転写体を介して又は介さずに紙等の記録媒体に転写した後、この転写画像を記録媒体に定着する、という複数の工程を経て、定着画像を形成している。
【0004】
高温高湿条件および低温低湿条件のいずれの環境条件においても、それぞれ帯電特性の安定化やチャージアップ防止性に優れた静電潜像現像用トナーを提供するため、バインダー樹脂および磁性粉を含むトナー粒子に対して、疎水化度が異なる第1の疎水性無機金属研磨剤と、第2の疎水性無機金属研磨剤と、を外添処理したことを特徴とする静電潜像現像用トナーが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
流動性に優れ、帯電分布が均一で、環境依存性少なく、外添剤離脱が少なく、キャリアや摩擦帯電部材を汚染することがない上、トナーの放置帯電量低下が少なく、安定した画像が得られる静電荷像現像用トナーを提供するため、同一粒子内にルチル型酸化チタン、及びアナターゼ型酸化チタンを有し、かつシランカップリング剤で表面処理された処理層を有する疎水性酸化チタンを外部添加剤として含有する静電荷像現像用トナーであって、前記疎水性酸化チタンのルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンとの比が質量比で2:98乃至45:55の範囲にあることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
高い隠蔽力を有する白色非−磁性トナー粒子を提供するため、少なくとも50重量部がポリエステル樹脂であるトナー樹脂、及び該トナー樹脂100重量部に対して65重量部以上180重量部以下のルチル型TiO2を含んでなる乾燥非−磁性トナー粒子が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
分散性が良好で、トナーに使用した場合、摩擦により埋没することのない外添用酸化チタンを提供するため、含水酸化チタン及び/又はアナターゼ型酸化チタンを含有するルチル型酸化チタンであって、シランカップリング剤で処理されている処理層を有することを特徴とする疎水性ルチル型酸化チタンが開示されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
耐光性などの環境安定性に優れた球状の着色粒子を提供するため、可視光領域に実質的に吸収を有さない無機酸化物又はその水酸化物、光又は熱硬化性樹脂、及び、着色成分を含み、粒径が0.1μm以上50μm以下であることを特徴とする着色粒子が開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0009】
画像欠陥が生じ難く、高濃度且つ高い隠蔽性を有する静電荷像現像用トナーを提供するため、着色剤と、結晶性樹脂及び非結晶性樹脂からなる結着樹脂と、を含んでなる白色の静電荷像現像用トナーであって、前記結晶性樹脂のトナー中における含有量が5質量%以上25質量%以下であり、前記着色剤のトナー中における含有量が15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする静電荷像現像用トナーが開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【0010】
隠蔽特性に優れ、かつトナー飛散、耐候性およびクリーニング性にも優れた白色トナーを提供するため、酸化アルミニウムおよび/または二酸化ケイ素を含有する白色トナーが開示されている(例えば、特許文献7参照)。
【0011】
より短時間で大量の電飾フィルムを形成することができる画像形成方法を提供するため、透明フィルム上にマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックのうちの少なくとも1色以上のトナーを用いて画像を形成し、次いで前記透明フィルム上に前記画像上から一様な白色層を形成したことを特徴とする画像形成方法が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−248338号公報
【特許文献2】特開2002−214826号公報
【特許文献3】特開2000−056514号公報
【特許文献4】特開2000−128534号公報
【特許文献5】特開2004−018671号公報
【特許文献6】特開2007−033719号公報
【特許文献7】特開平01−105962号公報
【特許文献8】特開平06−186787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
即ち、請求項1に係る発明は、ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとを含む着色剤と、結着樹脂と、を含有する静電荷像現像用トナーである。
【0015】
請求項2に係る発明は、前記ルチル型酸化チタンと前記アナタース型酸化チタンとの比率(質量基準)が、90:10乃至50:50である請求項1に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0016】
請求項3に係る発明は、前記着色剤の含有量が、30質量%以上60質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナーである。
【0017】
請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像用現像剤である。
【0018】
請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0020】
請求項7に係る発明は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置である。
【0021】
請求項8に係る発明は、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーが提供される。
【0023】
請求項2又は請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下がさらに抑制される。
【0024】
請求項4に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用現像剤が提供される。
【0025】
請求項5に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用トナーの供給を容易にするトナーカートリッジが提供される。
【0026】
請求項6に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用現像剤の取り扱いを容易にし、種々の構成の画像形成装置への抵抗性を高められる。
【0027】
請求項7に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用現像剤を用いた画像形成装置が提供される。
【0028】
請求項8に係る発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、変色による画像保管性の低下を抑制できる静電荷像現像用現像剤を用いた画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る静電荷像現像用トナー、静電荷像現像用現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び、画像形成方法の実施形態について詳細に説明する。
【0031】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態の静電荷像現像用トナー(以下、単にトナーと称することがある)は、ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとを含む着色剤と、結着樹脂と、を含有するものである。本実施形態のトナーは、白色トナーとして好適に用いられる。
【0032】
本発明者の知見によれば、ルチル型酸化チタンは紫外線による光触媒活性がアナタース型酸化チタンよりも低いため耐光性に優れる(変色しにくい)が、ルチル型酸化チタンを着色剤として用いた場合に紫外線による結着樹脂の劣化が進み、画像保管性が低下する場合がある。一方、アナタース型酸化チタンは紫外線による光触媒活性がルチル型酸化チタンより高いため耐光性が劣る(変色しやすい)が、、アナタース型酸化チタンを着色剤として用いた場合に紫外線による光触媒作用によって結着樹脂の残留モノマー若しくは二重結合での重合反応が起こり結着樹脂の劣化が防止される。そのため、画像保管性の低下を抑制できる。着色剤としてルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとを併用することで、変色による画像保管性の低下を抑制できるトナーが得られるようになる。
【0033】
本実施形態のトナーは、着色剤と結着樹脂と必要に応じて離型剤等のその他の成分とを含有する。以下、本実施形態のトナーを構成する各成分について説明する。
【0034】
(結着樹脂)
本実施形態のトナーは結着樹脂を含む。結着樹脂の種類は特に限定されるものではなく、公知の結晶性樹脂や非晶性樹脂を用いてもよい。結晶性樹脂と非晶性樹脂とを併用してもよい。
【0035】
−結晶性樹脂−
結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂、ポリアルキレン樹脂、長鎖アルキル(メタ)アクリレート樹脂等が挙げられるが、加熱による粘度の急激な変化がより現れる点、さらに機械的強度と低温定着性との両立の観点から、結晶性ポリエステル樹脂を用いることが望ましい。
なお、本実施形態において低温定着とは、トナーを120℃程度以下で加熱して定着させることをいう。
【0036】
ここで、前記結晶性樹脂における『結晶性』とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が10(℃)以内であることを意味する。一方、半値幅が10℃を超える樹脂や、明確な吸熱ピークが認められない樹脂は、非晶性樹脂(無定形高分子)を意味する。
【0037】
また、結晶性樹脂を構成する重合性単量体成分としては、結晶構造を容易に形成するため、芳香族成分を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族成分を有する重合性単量体が望ましい。さらに結晶性を損なわないために、構成される重合性単量体由来成分は、重合体中で単一種で各々30mol%以上であることが望ましい。特にポリエステル樹脂などにおいて2種以上の重合性単量体類が必須で構成される際には、各必須構成重合性単量体種において同上の構成であることが望ましい。
【0038】
以下、結晶性樹脂を代表して結晶性ポリエステル樹脂を中心に説明する。
本実施形態で用いる結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は保管性と低温定着性から、50℃以上100℃以下の範囲にあることが望ましく、55℃以上90℃以下の範囲にあることがより望ましく、60℃以上85℃以下の範囲にあることがさらに望ましい。融解温度が50℃を上回れば、保管トナーにブロックキングが生じるなどのトナー保管性や、定着後の定着画像の保管性が困難となることがない。また、融解温度が100℃以下であれば十分な低温定着性が得られる。
なお、上記結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
【0039】
本実施形態において「結晶性ポリエステル樹脂」は、その構成成分が100%ポリエステル構造であるポリマー以外にも、ポリエステルを構成する成分と他の成分とを共に重合してなるポリマー(共重合体)も意味する。但し、後者の場合には、ポリマー(共重合体)を構成するポリエステル以外の他の構成成分が50質量%以下である。
【0040】
本実施形態のトナー粒子に用いられる結晶性ポリエステル樹脂は、例えば多価カルボン酸成分と多価アルコール成分とから合成される。なお、本実施形態においては、前記結晶性ポリエステル樹脂として市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0041】
多価カルボン酸成分としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられるがこの限りではない。
【0042】
3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,3−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の特定の芳香族カルボン酸、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
また、酸成分としては、前記脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。
【0044】
多価アルコール成分としては、脂肪族ジオールが好ましく、主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオールがより望ましい。脂肪族ジオールが直鎖型であれば、ポリエステル樹脂の結晶性が向上し、融解温度が上昇することがある。また、主鎖部分の炭素数が7以上であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合、融解温度が低くなり、低温定着が容易となる。一方、主鎖部分の炭素数が20以下であれば実用上の材料の入手が容易となり易い。主鎖部分の炭素数としては14以下であることがより望ましい。
【0045】
本実施形態のトナー粒子に用いられる結晶性ポリエステルの合成に好適に用いられる脂肪族ジオールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのうち、入手容易性を考慮すると1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが望ましい。
【0046】
3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
多価アルコール成分のうち、前記脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であることが好ましく、より望ましくは90モル%以上である。脂肪族ジオールの含有量が80モル%以上であれば、ポリエステル樹脂の結晶性が向上し、融解温度が上昇する為、耐トナーブロッキング性、及び画像保存性が向上する。
【0048】
なお、必要に応じて酸価や水酸基価の調製等の目的で、多価カルボン酸や多価アルコールを合成の最終段階で添加してもよい。多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等の一分子中に少なくとも3つのカルボキシル基を有する芳香族カルボン酸等が挙げられる。
【0049】
多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリンなどの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類等が挙げられる。
【0050】
前記結晶性ポリエステル樹脂の製造は、重合温度を180℃以上230℃以下として行うことができ、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる。
重合性単量体が、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。重縮合反応においては、溶解補助溶剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い重合性単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い重合性単量体とその重合性単量体と重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分と共に重縮合させるとよい。
【0051】
本実施形態に用いる結晶性ポリエステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するのに必要なKOHのmg数)は、3.0mgKOH/g以上30.0mgKOH/g以下の範囲であることが望ましく、6.0mgKOH/g以上25.0mgKOH/g以下の範囲にあることがより望ましく、8.0mgKOH/g以上20.0mgKOH/g以下の範囲にあることがさらに望ましい。なお、本実施形態において、酸価の測定は、JIS K−0070−1992に準ずる。
【0052】
酸価が3.0mgKOH/gよりも高いと水中への分散性が向上するため、湿式製法での乳化粒子の作製が容易となる。また凝集の際における乳化粒子としての安定性が向上するため、効率的なトナーの作製が容易になる。一方、酸価が30.0mgKOH/g以下であれば、トナーとしての吸湿性が増すことがなく、トナーとしての環境影響を受けにくくなる。
【0053】
また、結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下であることが望ましい。分子量(Mw)が、6,000以上であると、定着の際にトナーが紙等の記録媒体の表面へしみ込んで定着ムラを生じたり、定着画像の折り曲げ耐性に対する強度が低下することがない。また、重量平均分子量(Mw)が35,000以下であれば、溶融時の粘度が高くなりすぎないため定着に適当な粘度まで至るための温度が高くなることがなく、結果として低温定着性が得られる。
【0054】
上記重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行った。重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。
【0055】
トナー粒子中の結晶性樹脂の含有量は、3質量%以上40質量%以下の範囲であることが望ましく、より望ましく4質量%以上35質量%以下の範囲であり、さらに望ましくは5質量%以上30質量%以下の範囲である。
【0056】
以上の結晶性ポリエステル樹脂を含む結晶性樹脂は、脂肪族重合性単量体を用いて合成された結晶性ポリエステル樹脂(以下、「結晶性脂肪族ポリエステル樹脂」という場合がある)を主成分(50質量%以上)とすることが望ましい。さらにこの場合、前記結晶性脂肪族ポリエステル樹脂を構成する脂肪族重合性単量体の構成比は、60mol%以上であることが望ましく、90mol%以上であることがより望ましい。なお、脂肪族重合性単量体としては、前述の脂肪族のジオール類やジカルボン酸類が好適に用いられる。
【0057】
−非晶性樹脂−
本実施形態における非晶性樹脂としては、スチレン/アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、等公知の樹脂材料を用いてもよいが、非晶性ポリエステル樹脂が特に望ましい。
【0058】
非晶性ポリエステル樹脂を用いることで、前記結晶性ポリエステル樹脂との相溶性が向上するため、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度における低粘度化に伴い、非晶性ポリエステル樹脂も低粘度化し、トナーとしてのシャープメルト性(鋭敏な溶融特性)が得られるために、低温定着性に有利である。また結晶性ポリエステル樹脂との濡れ性が良好なことから、結晶性ポリエステル樹脂のトナー内部への分散性が向上し、結晶性ポリエステル樹脂のトナー表面への露出を抑制するため、帯電性への悪影響が抑制される。またこの理由により、トナーの強度や定着画像の強度向上の観点でも望ましい。
【0059】
以下、本実施形態における非晶性樹脂を代表して非晶性ポリエステル樹脂を中心に説明する。
本実施形態において望ましく用いられる非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば多価カルボン酸類と多価アルコール類との縮重合により得られるものである。
多価カルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、などの芳香族カルボン酸類;無水マレイン酸、フマル酸、コハク酸、アルケニル無水コハク酸、アジピン酸などの脂肪族カルボン酸類;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類;が挙げられ、これらの多価カルボン酸を1種又は2種以上用いてもよい。これら多価カルボン酸の中でも、芳香族カルボン酸を用いることが望ましく、また良好なる定着性を確保するためには架橋構造あるいは分岐構造をとることが望ましく、そのためにジカルボン酸とともに3価以上のカルボン酸(トリメリット酸やその酸無水物等)を併用することが望ましい。
【0060】
前記非晶性ポリエステル樹脂における多価アルコールの例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、などの脂肪族ジオール類;シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなどの脂環式ジオール類;ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの芳香族ジオール類が挙げられる。これら多価アルコールを1種又は2種以上用いてもよい。これら多価アルコールの中でも、芳香族ジオール類、脂環式ジオール類が好ましく、このうち芳香族ジオールがより望ましい。また、より良好なる定着性を確保するためには架橋構造あるいは分岐構造をとることが望ましく、そのためにジオールとともに3価以上の多価アルコール(グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール)を併用してもよい。
【0061】
本実施形態においては、非晶性ポリエステル樹脂の構成成分としてアルケニルコハク酸又はその無水物を含むことが望ましい。構成成分としてアルケニルコハク酸又はその無水物を含む非晶性ポリエステル樹脂を用いることにより、結晶性樹脂との相溶性が向上し、良好な低温定着性が得られる。アルケニルコハク酸としては、ドデセニルコハク酸やオクチルコハク酸等が用いられる。
【0062】
前記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は50℃以上80℃以下の範囲であることが望ましい。Tgが50℃以上であれば、トナーの保存性や定着画像の保存性が向上する。また80℃以下であれば、従来に比べ低温で定着することができるようになる。
非晶性ポリエステル樹脂のTgは50℃以上65℃以下であることがより望ましい。
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、前記の示差走査熱量測定(DSC)により得られた吸熱ピークのピーク温度として求めた。
【0063】
トナー粒子中の非晶性樹脂の含有量は、40質量%以上95質量%以下の範囲であることが望ましく、より望ましく50質量%以上90質量%以下の範囲であり、さらに望ましくは60質量%以上85質量%以下の範囲である。
【0064】
なお、上記非晶性ポリエステル樹脂の製造は、前記結晶性ポリエステル樹脂の場合に準じて行ってもよい。
以上、本実施形態における結晶性樹脂、非晶性樹脂について、結晶性ポリエステル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂により説明したが、前記のポリエステル樹脂の製造以外の内容は、本実施形態における他の結晶性樹脂、非晶性樹脂について適用されてもよい。
【0065】
また、非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、30,000以上80,000以下であることが望ましい。分子量(Mw)が、30,000以上80,000以下であれば、トナーの形状が制御され、形状のポテト化が実現される。更に、高温オフセット耐性が得られる。
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、35,000以上80,000以下がさらに望ましく、40,000以上80,000以下が特に望ましい。
【0066】
本実施形態においては、結着樹脂として結晶性ポリエステル樹脂及び非晶性ポリエステル樹脂を併用することが望ましい。
【0067】
(着色剤)
本実施形態のトナーは着色剤を含む。着色剤として、ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとが併用される。
ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとの比率(質量基準)は、90:10乃至50:50であることが望ましく、80:20乃至60:40であることがさらに望ましい。ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとの比率が90:10乃至50:50であれば、変色による画像保管性の低下がさらに抑制される。
【0068】
本実施形態で使用される酸化チタンの体積平均粒子径は、100nm以上400nm以下が望ましく、200nm以上300nm以下がさらに望ましい。本実施形態において、酸化チタンの体積平均粒子径は下記方法により得られた値をいう。
まず、マイクロトラック(日機装社製)等の測定器を用いて測定されたトナーの粒度分布を分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、個々のトナー粒子の体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒径を、体積平均粒子径D50vと定義する。
【0069】
本実施形態においては、表面処理を施した酸化チタンを使用してもよい。表面処理としては、Al23、SiO、ZrOなどの含水酸化物を表面処理したものや、少量のAl、Znなどの異種金属を酸化チタン結晶格子にドープしたものが挙げられる。さらに前記表面処理をしたものにカップリング剤等の処理を行ってもよい。表面処理剤としては特に制限はないが、例えば、シランカップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。表面処理は、表面処理剤に酸化チタンを浸漬等することにより行う。
【0070】
前記シランカップリング剤としては、例えばクロロシラン、アルコキシシラン、シラザン、特殊シリル化剤等が挙げられる。シランカップリング剤としてさらに具体的には、例えば、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、N,O−(ビストリメチルシリル)アセトアミド、N,N−(トリメチルシリル)ウレア、tert−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0071】
本実施形態のトナーにおける着色剤の含有量としては、30質量%以上60質量%以下が望ましく、40質量%以上50質量%以下がさらに望ましい。着色剤の含有量が30質量%以上60質量%以下であれば、変色による画像保管性の低下がさらに抑制される。
【0072】
本実施形態においては、ルチル型酸化チタン及びアナタース型酸化チタン以外のその他の着色剤を併用してもよい。その他の着色剤としては、例えば、アンチモン白、硫化亜鉛、酸化ケイ素、中空ポリマー、中空シリカ等が挙げられる。ここで、本実施形態において、全着色剤に占めるルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとの合計量の割合は、80質量%以上100質量%以下とされる。
【0073】
本実施形態において、トナー中にルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとが含まれていることの確認方法は、ラマン分光装置を用いる方法である。
【0074】
(離型剤)
本実施形態のトナーは離型剤を含んでもよい。離型剤としては、例えば、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のパラフィンワックス;シリコーン樹脂;ロジン類;ライスワックス;カルナバワックス;等が挙げられる。これらの離型剤の融解温度は、50℃以上100℃以下が望ましく、60℃以上95℃以下がより望ましい。離型剤のトナー粒子中の含有量は0.5質量%以上15質量%以下が望ましく、1.0質量%以上12質量%以下がより望ましい。離型剤の含有量が0.5質量%以上であれば、特にオイルレス定着において剥離不良となることがない。離型剤の含有量が15質量%以下であれば、トナーの流動性が向上する等、画質および画像形成の信頼性が向上する。
【0075】
(その他の添加剤)
本実施形態のトナーは、上記成分以外にも、更に必要に応じて内添剤、帯電制御剤、無機粉体(無機粒子)、有機粒子等の種々の成分を含んでもよい。
内添剤としては、例えば、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、またはこれら金属を含む化合物などの磁性体等が挙げられる。
【0076】
無機粒子としては、種々の目的のために添加されるが、トナーにおける粘弾性調整のために添加されてもよい。この粘弾性調整により、画像光沢度や紙への染み込みが調整される。無機粒子としては、シリカ粒子、アルミナ粒子、酸化セリウム粒子、あるいはこれらの表面を疎水化処理した物等、公知の無機粒子を単独または2種以上を組み合わせて使用してもよいが、発色性やOHP透過性等透明性を損なわないという観点から、屈折率が結着樹脂よりも小さいシリカ粒子が望ましく用いられる。また、シリカ粒子は種々の表面処理を施されてもよく、例えばシラン系カップリング剤、チタン系カップリング剤、シリコーンオイル等で表面処理したものが望ましく用いられる。
【0077】
(トナーの特性)
本実施形態におけるトナーの体積平均粒子径は4μm以上9μm以下の範囲であることが望ましく、より望ましくは4.5μm以上8.5μm以下の範囲であり、さらに望ましくは5μm以上8μm以下の範囲である。体積平均粒子径が4μm以上であれば、トナー流動性が向上し、各粒子の帯電性が向上しやすい。また、帯電分布が広がらないため、背景へのかぶりや現像器からのトナーこぼれ等が生じにくくなる。また4μm以上であれば、クリーニング性が困難となることがない。体積平均粒子径が9μm以下であれば、解像度が向上するため、十分な画質が得られ、近年の高画質要求を満たすことが可能となる。
【0078】
なお、上記体積平均粒子径の測定は、コールターマルチサイザー(コールター社製)を用いて、50μmのアパーチャー径で行われる。この際、測定はトナーを電解質水溶液(アイソトン水溶液)に分散させ、超音波により30秒以上分散させた後に行った。
【0079】
さらに、本実施形態のトナーは、形状係数SF1が110以上140以下の範囲の球状形状であることが好ましい。形状がこの範囲の球状であることにより、転写効率、画像の緻密性が向上し、高画質な画像が形成される。
上記形状係数SF1は110以上130以下の範囲であることがより好ましい。
【0080】
ここで上記形状係数SF1は、下記式(1)により求められる。
SF1=(ML/A)×(π/4)×100 ・・・ 式(1)
上記式(1)中、MLはトナーの絶対最大長、Aはトナーの投影面積を各々示す。
【0081】
前記SF1は、主に顕微鏡画像または走査型電子顕微鏡(SEM)画像を画像解析装置を用いて解析することによって数値化され、例えば、以下のようにして算出される。すなわち、スライドガラス表面に散布した粒子の光学顕微鏡像をビデオカメラを通じてルーゼックス画像解析装置に取り込み、100個の粒子の最大長と投影面積を求め、上記式(1)によって計算し、その平均値を求めることにより得られる。
【0082】
<トナーの製造方法>
本実施形態のトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して外添剤を添加することで作成してもよい。
トナー粒子の製造方法は特に限定されず、公知である混練・粉砕製法等の乾式法や、乳化凝集法や懸濁重合法等の湿式法等によって作製される。
混練・粉砕製法は、結着樹脂を始めとする各材料を混合した後、ニーダー、押し出し機などを用いて上記材料を溶融混練して、得られた溶融混錬物を粗粉砕した後、ジェットミル等で粉砕し、風力分級機により、目的とする粒径のトナー粒子を得る方法である。
これらの方法の中でも、トナー粒子の形状やトナー粒子の粒子径を制御しやすく、コアシェル構造などトナー粒子構造の制御範囲も広い乳化凝集法が望ましい。以下、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法について詳しく説明する。
【0083】
本実施形態の乳化凝集法はトナー粒子を構成する原料を乳化して樹脂粒子(乳化粒子)等を形成する乳化工程と、該樹脂粒子等の凝集体を形成する凝集工程と、凝集体を融合させる融合工程とを有する。
【0084】
(乳化工程)
樹脂粒子分散液の作製は一般的な重合法による樹脂粒子分散液作成、例えば乳化重合法や懸濁重合法、分散重合法などを用いる他にも、水系媒体と結着樹脂とを混合した溶液に、分散機により剪断力を与えることにより乳化して行ってもよい。その際、加熱して樹脂成分の粘性を下げて粒子を形成してもよい。また分散した樹脂粒子の安定化のため、分散剤を使用してもよい。さらに、樹脂が油性で水への溶解度の比較的低い溶剤に溶解するものであれば、該樹脂をそれらの溶剤に解かして水中に分散剤や高分子電解質と共に粒子分散し、その後加熱又は減圧して溶剤を蒸散することにより、樹脂粒子分散液が作製される。
【0085】
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水;アルコール類;などが挙げられるが、水のみであることが望ましい。
また、乳化工程に使用される分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸ナトリウム等の水溶性高分子;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタデシル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等のアニオン性界面活性剤、ラウリルアミンアセテート、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド等の両性イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン性界面活性剤等の界面活性剤;リン酸三カルシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の無機塩;等が挙げられる。
【0086】
前記乳化液の作製に用いる分散機としては、例えば、ホモジナイザー、ホモミキサー、加圧ニーダー、エクストルーダー、メディア分散機等が挙げられる。樹脂粒子の大きさとしては、その平均粒子径(体積平均粒子径)は1.0μm以下が望ましく、60nm以上300nm以下の範囲であることがより望ましく、さらに望ましくは150nm以上250nm以下の範囲である。60nm以上では、樹脂粒子が分散液中で不安定な粒子となりやすいため、該樹脂粒子の凝集が容易となる場合がある。また1.0μm以下であると、トナーの粒子径分布が狭くなる場合がある。
【0087】
離型剤分散液の調製に際しては、離型剤を、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散した後、離型剤の融解温度以上の温度に加熱すると共に、強いせん断力が付与されるホモジナイザーや圧力吐出型分散機を用いて分散処理する。このような処理を経ることにより、離型剤分散液が得られる。分散処理の際、ポリ塩化アルミニウム等の無機化合物を分散液に添加してもよい。望ましい無機化合物としては、例えば、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、高塩基性ポリ塩化アルミニウム(BAC)、ポリ水酸化アルミニウム、塩化アルミニウム等が挙げられる。これらの中でも、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等が望ましい。上記離型剤分散液は乳化凝集法に用いられるが、トナーを懸濁重合法により製造する際にも上記離型剤分散液を用いてもよい。
【0088】
分散処理により、体積平均粒子径が1μm以下の離型剤粒子を含む離型剤分散液が得られる。なお、より望ましい離型剤粒子の体積平均粒子径は、100nm以上500nm以下である。
体積平均粒子径が100nm以上では、使用される結着樹脂の特性にも影響されるが、一般的に離型剤成分がトナー中に取り込まれやすくなる。また、500nm以下の場合には、トナー中の離型剤の分散状態が充分となる。
【0089】
着色剤分散液の調製は、公知の分散方法が利用でき、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル、アルティマイザーなどの一般的な分散手段を採用することができ、なんら制限されるものではない。着色剤は、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質と共に分散される。分散させた着色剤粒子の体積平均粒子径は1μm以下であればよいが、80nm以上500nm以下の範囲であれば、凝集性を損なうことなく且つトナー中の着色剤の分散が良好で望ましい。
【0090】
(凝集工程)
凝集工程においては、樹脂粒子の分散液、着色剤分散液、離型剤分散液等を混合して混合液とし、樹脂粒子のガラス転移温度以下の温度で加熱して凝集させ、凝集粒子を形成する。凝集粒子の形成は、攪拌下、混合液のpHを酸性にすることによってなされる場合が多い。pHとしては、2以上7以下の範囲が望ましく、この際、凝集剤を使用することも有効である。
なお、凝集工程において、離型剤分散液は、樹脂粒子分散液等の各種分散液とともに一度に添加・混合してもよいし、複数回に分割して添加しても良い。
【0091】
凝集剤としては、前記分散剤に用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩の他、2価以上の金属錯体が好適に用いられる。特に、金属錯体を用いた場合には界面活性剤の使用量を低減でき、帯電特性が向上するため特に望ましい。
【0092】
前記無機金属塩としては、特に、アルミニウム塩およびその重合体が好適である。より狭い粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価、3価より4価の方が、また、同じ価数であっても重合タイプの無機金属塩重合体の方が、より適している。
本実施形態においては、アルミニウムを含む4価の無機金属塩の重合体を用いることが、狭い粒度分布を得るためには望ましい。
【0093】
また、前記凝集粒子が所望の粒子径になったところで樹脂粒子分散液を追添加することで(被覆工程)、コア凝集粒子の表面を樹脂で被覆した構成のトナーを作製してもよい。この場合、離型剤や着色剤がトナー表面に露出しにくくなるため、帯電性や現像性の観点で望ましい構成である。追添加する場合、追添加前に凝集剤を添加したり、pH調整を行ってもよい。
【0094】
(融合工程)
融合工程においては、前記凝集工程に準じた攪拌条件下で、凝集粒子の懸濁液のpHを3以上9以下の範囲に上昇させることにより凝集の進行を止め、前記樹脂のガラス転移温度以上の温度で加熱を行うことにより凝集粒子を融合させる。また、前記樹脂で被覆した場合には、該樹脂も融合しコア凝集粒子を被覆する。前記加熱の時間としては、融合がされる程度行えばよく、0.5時間以上10時間以下程度行えばよい。
【0095】
融合後に冷却し、融合粒子を得る。また冷却の工程で、樹脂のガラス転移温度近傍(ガラス転移温度±10℃の範囲)で冷却速度を落とす、いわゆる徐冷をすることで結晶化を促進してもよい。
融合して得た融合粒子は、ろ過などの固液分離工程や、必要に応じて洗浄工程、乾燥工程を経てトナー粒子とされる。
【0096】
得られたトナー粒子には、帯電調整、流動性付与、電荷交換性付与等を目的として、シリカ、チタニア、酸化アルミに代表される無機酸化物等を外添剤として添加付着される。これらは、例えばV型ブレンダーやヘンシェルミキサー、レディゲミキサー等によって行うことができ、段階を分けて付着させてもよい。外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下の範囲が好ましく、0.3質量部以上2質量部以下の範囲がより好ましい。
更に必要に応じ、超音波篩分機、振動篩分機、風力篩分機などを使って、トナーの粗大粒子を外添後取り除いてもよい。
【0097】
また、上述した外添剤以外にも、帯電制御剤、有機粒体、滑剤、研磨剤などのその他の成分(粒子)を添加させてもよい。
【0098】
帯電制御剤としては、特に制限はないが、無色または淡色のものが好ましく使用される。例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロムなどの錯体、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。
【0099】
有機粒体としては、例えば、ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等の通常トナー表面の外添剤として使用される粒子が挙げられる。なお、これらの無機粒体や有機粒体は、流動性助剤、クリーニング助剤等として使用される。
滑剤としては、例えば、エチレンビスステアリル酸アミド、オレイン酸アミド等の脂肪酸アミド、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪酸金属塩等が挙げられる。
研磨剤としては、例えば、前述のシリカ、アルミナ、酸化セリウムなどが挙げられる。
【0100】
<静電荷像現像用現像剤>
本実施形態の静電荷像現像用現像剤(以下、単に現像剤と称することがある)は、本実施形態のトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態のトナーは、そのまま一成分現像剤として、あるいは二成分現像剤として用いられる。二成分現像剤として用いる場合にはキャリアと混合して使用される。
【0101】
二成分現像剤に使用し得るキャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが用いられる。例えば酸化鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物や、これら芯材表面に樹脂被覆層を有する樹脂コートキャリア、磁性分散型キャリア等が挙げられる。またマトリックス樹脂に導電材料などが分散された樹脂分散型キャリアであってもよい。
【0102】
キャリアに使用される被覆樹脂・マトリックス樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂またはその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0103】
導電材料としては、金、銀、銅といった金属やカーボンブラック、更に酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム、酸化スズ、カーボンブラック等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
またキャリアの芯材としては、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物、ガラスビーズ等が挙げられるが、キャリアを磁気ブラシ法に用いるためには、磁性材料であることが望ましい。キャリアの芯材の体積平均粒子径としては、一般的には10μm以上500μm以下の範囲にあり、望ましくは30μm以上100μm以下の範囲にある。
【0105】
またキャリアの芯材の表面に樹脂被覆するには、前記被覆樹脂、および必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
【0106】
具体的な樹脂被覆方法としては、キャリアの芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液をキャリアの芯材表面に噴霧するスプレー法、キャリアの芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0107】
前記二成分現像剤における、本実施形態のトナーと上記キャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100程度の範囲が望ましく、3:100乃至20:100程度の範囲がより望ましい。
【0108】
<トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ及び画像形成装置>
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備えるものである。
【0109】
本実施形態の画像形成装置は、例えば、潜像保持体上に保持された各トナー像を中間転写体に順次一次転写を繰り返す画像形成装置や、各色毎の現像手段を備えた複数の潜像保持体を中間転写体上に直列に配置したタンデム型画像形成装置等であってもよい。
【0110】
なお、本実施形態の画像形成装置において、例えば、本実施形態の現像剤を収容した現像手段を含む部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよく、また、現像手段に供給する補充用のトナーとして本実施形態のトナーを収容する部分が画像形成装置に対して脱着するカートリッジ構造(トナーカートリッジ)であってもよい。
【0111】
本実施形態の画像形成装置により、潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を本実施形態の現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する本実施形態の画像形成方法が実施される。
【0112】
以下に、図面を参照しながら本実施形態の画像形成装置について説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体としての感光体が複数、即ち画像形成ユニット(画像形成手段)が複数設けられたタンデム型の構成に係るものである。
【0113】
本実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンそしてブラックの各色のトナー画像を形成する4つの画像形成ユニット50Y、50M、50C、50Kと、白色トナー画像を形成する画像形成ユニット50Wが、間隔をおいて並列的に(タンデム状に)配置されている。なお、各画像形成ユニットは、中間転写ベルト33の回転方向上流側から、画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K、50Wの順に配列されている。
ここで、各画像形成ユニット50Y、50M、50C、50K、50Wは、収容されている現像剤中のトナーの色を除き同様の構成を有しているため、ここではイエロー画像を形成する画像形成ユニット50Yについて代表して説明する。尚、画像形成ユニット50Yと同様の部分に、イエロー(Y)の代わりに、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、白色(W)を付した参照符号を付すことにより、各画像形成ユニット50M、50C、50K、50Wの説明を省略する。
【0114】
イエローの画像形成ユニット50Yは、潜像保持体としての感光体11Yを備えており、この感光体11Yは、図示の矢印A方向に沿って図示しない駆動手段によって予め定められたプロセススピードで回転駆動されるようになっている。感光体11Yとしては、例えば、赤外領域に感度を持つ有機感光体が用いられる。
【0115】
感光体11Yの上部には、帯電ロール(帯電手段)18Yが設けられており、帯電ロール18Yには、不図示の電源により予め定められた電圧が印加され、感光体11Yの表面が予め定められた電位に帯電される。
【0116】
感光体11Yの周囲には、帯電ロール18Yよりも感光体11Yの回転方向下流側に、感光体11Yの表面を露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段)19Yが配置されている。なお、ここでは露光装置19Yとして、スペースの関係上、小型化が実現されるLEDアレイを用いているが、これに限定されるものではなく、他のレーザービーム等による静電荷像形成手段を用いても勿論問題無い。
【0117】
また、感光体11Yの周囲には、露光装置19Yよりも感光体11Yの回転方向下流側に、イエロー色の現像剤を保持する現像剤保持体を備える現像装置(現像手段)20Yが配置されており、感光体11Y表面に形成された静電荷像を、イエロー色のトナーによって顕像化し、感光体11Y表面にトナー画像を形成する構成になっている。
【0118】
感光体11Yの下方には、感光体11Y表面に形成されたトナー画像を一次転写する中間転写ベルト(一次転写手段)33が、5つの感光体11Y,11M,11C,11K、11Wの下方に渡るように配置されている。この中間転写ベルト33は、一次転写ロール17Yによって感光体11Yの表面に押し付けられている。また、中間転写ベルト33は、駆動ロール12、支持ロール13及びバイアスロール14の3つのロールによって張架され、感光体11Yのプロセススピードと等しい移動速度で、矢印B方向に周動されるようになっている。中間転写ベルト33表面には、イエローのトナー画像が一次転写され、更にマゼンタ、シアン、ブラック、及びホワイト(白色)の各色のトナー画像が順次一次転写され、積層される。
【0119】
また、感光体11Yの周囲には、一次転写ロール17Yよりも感光体11Yの回転方向(矢印A方向)下流側に、感光体11Yの表面に残留したトナーやリトランスファーしたトナーを清掃するためのクリーニング装置15Yが配置されている。クリーニング装置15Yにおけるクリーニングブレードは、感光体11Yの表面にカウンター方向に圧接するように取り付けられている。
【0120】
中間転写ベルト33を張架するバイアスロール14には、中間転写ベルト33を介して二次転写ロール(二次転写手段)34が圧接されている。中間転写ベルト33表面に一次転写され積層されたトナー画像は、バイアスロール14と二次転写ロール34との圧接部において、図示しない用紙カセットから給紙される記録紙(記録媒体)P表面に、静電的に転写される。この際、中間転写ベルト33上に転写、積層されたトナー画像は白色トナー画像が一番上(最上層)になっているため、記録紙P表面に転写されたトナー画像では、白色トナー画像が一番下(最下層)になる。
【0121】
また、二次転写ロール34の下流には、記録紙P上に多重転写されたトナー画像を、熱及び圧力によって記録紙P表面に定着して、永久像とするための定着器(定着手段)35が配置されている。
【0122】
なお、定着器35としては、例えば、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、ベルト形状を有する定着ベルト、及び、表面にフッ素樹脂成分やシリコーン系樹脂に代表される低表面エネルギー材料を用い、円筒状の定着ロールが挙げられる。
【0123】
次に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、そしてホワイト(白色)の各色の画像を形成する各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K、50Wの動作について説明する。各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K、50Wの動作は、それぞれ同様であるため、イエローの画像形成ユニット50Yの動作を、その代表として説明する。
【0124】
イエローの現像ユニット50Yにおいて、感光体11Yは、矢印A方向に予め定められたプロセススピードで回転する。帯電ロール18Yにより、感光体11Yの表面は予め定められた電位にマイナス帯電される。その後、感光体11Yの表面は、露光装置19Yによって露光され、画像情報に応じた静電荷像が形成される。続いて、現像装置20Yによりマイナス帯電されたトナーが反転現像され、感光体11Yの表面に形成された静電荷像は感光体11Y表面に可視像化され、トナー画像が形成される。その後、感光体11Y表面のトナー画像は、一次転写ロール17Yにより中間転写ベルト33表面に一次転写される。一次転写後、感光体11Yは、その表面に残留したトナー等の転写残留成分がクリーニング装置15Yのクリーニングブレードにより掻き取られ、清掃され、次の画像形成工程に備える。
【0125】
以上の動作が各画像形成ユニット50Y,50M,50C,50K、50Wで行われ、各感光体11Y,11M,11C,11K、11W表面に可視像化されたトナー画像が、次々と中間転写ベルト33表面に多重転写されていく。カラーモード時は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、そしてホワイト(白色)の順に各色のトナー画像が多重転写されるが、二色、三色モード時のときもこの順番で、必要な色のトナー画像のみが単独又は多重転写されることになる。その後、中間転写ベルト33表面に単独又は多重転写されたトナー画像は、二次転写ロール34により、図示しない用紙カセットから搬送されてきた記録紙P表面に二次転写され、続いて、定着器35において加熱・加圧されることにより定着される。二次転写後に中間転写ベルト33表面に残留したトナーは、中間転写ベルト33用のクリーニングブレードで構成されたベルトクリーナ16により清掃される。
【0126】
なお、イエローの画像形成ユニット50Yは、イエロー色の現像剤を保持する現像剤保持体を含む現像装置20Yと感光体11Yと帯電ロール18Yとクリーニング装置15Yとが一体となって画像形成装置本体から着脱するプロセスカートリッジとして構成されている。また、画像形成ユニット50W、50K、50C及び50Mも画像形成ユニット50Yと同様にプロセスカートリッジとして構成されている。
【0127】
また、トナーカートリッジ40Y、40M、40C、40K及び40Wは、各色のトナーが収容され、画像形成装置に着脱するカートリッジであり、それぞれの色に対応した現像装置と、図示しないトナー供給管で接続されている。そして、各トナーカートリッジ内に収納されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジの交換がなされる。
【実施例】
【0128】
以下、実施例および比較例を挙げ、本実施形態をより具体的に詳細に説明するが、本実施形態は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を表す。
【0129】
(結晶性樹脂の合成)
・1,12−ドデカン二酸:952部
・1,9−ノナンジオール:656部
・フマル酸:30部
・ジブチル錫:2部
以上の各成分をフラスコ内で混合し、減圧雰囲気下220℃まで加熱し、6時間脱水縮合反応を行うことで結晶性ポリエステル樹脂を得た。
【0130】
(非晶性樹脂1の合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド1モル付加物:25部
・エチレングリコール:25部
・テレフタル酸:30部
・コハク酸:20部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた丸底フラスコに、上述の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを投入し、マントルヒーターを用い200℃まで昇温させた。次いで、ガス導入管より窒素ガスを導入し、フラスコ内を不活性ガス雰囲気に保ちながら攪拌した。その後、原料混合物100部に対して、ジブチルスズオキシド0.05部を添加し、反応物の温度を200℃に保ちながら所定時間反応させることで非晶性樹脂1を得た。
【0131】
(非晶性樹脂2の合成)
・ビスフェノールAエチレンオキサイド1モル付加物:25部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド1モル付加物:25部
・テレフタル酸:30部
・コハク酸:5部
・無水トリメリット酸:15部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、精留塔を備えた丸底フラスコに、上述の多価アルコール成分と多価カルボン酸成分とを投入し、マントルヒーターを用い200℃まで昇温させた。次いで、ガス導入管より窒素ガスを導入し、フラスコ内を不活性ガス雰囲気に保ちながら攪拌した。その後、原料混合物100部に対して、ジブチルスズオキシド0.05部を添加し、反応物の温度を200℃に保ちながら所定時間反応させることで非晶性樹脂2を得た。
【0132】
(結晶性樹脂分散液の調製)
結晶性ポリエステル樹脂80部および脱イオン水720部をステンレスビーカーに入れ、温浴につけ95℃に加熱した。結晶性ポリエステル樹脂が溶融した時点で、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて8000rpmで攪拌した。次いで、これにアニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK)1.6部を18.4部のイオン交換水に希釈した水溶液20部を滴下しながら、乳化分散を行い、体積平均粒径が0.24μmの結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液(樹脂粒子濃度:10%)を得た。
【0133】
(非晶性樹脂粒子分散液1の調製)
非晶性樹脂1を溶融状態のまま、乳化機(キャビトロンCD1010、ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには、試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.40%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で前記ポリエステル樹脂溶融体と同時に前記乳化機に移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が0.49MPa(5kg/cm2)の条件で乳化機を運転し、体積平均粒径が0.15μmの非晶性樹脂粒子分散液1(樹脂粒子濃度:30%)を得た。
【0134】
(非晶性樹脂粒子分散液2の調製)
非晶性樹脂2を溶融状態のまま、乳化機(キャビトロンCD1010、ユーロテック社製)に毎分100gの速度で移送した。別途準備した水性媒体タンクには、試薬アンモニア水をイオン交換水で希釈した0.40%濃度の希アンモニア水を入れ、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度で前記ポリエステル樹脂溶融体と同時に前記乳化機に移送した。この状態で、回転子の回転速度が60Hz、圧力が0.49MPa(5kg/cm2)の条件で乳化機を運転し、体積平均粒径が0.23μmの非晶性樹脂粒子分散液2(樹脂粒子濃度:30%)を得た。
【0135】
(ルチル型酸化チタン分散液の調製)
・ルチル型酸化チタンCR−50(石原産業(株)製):200部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:195部
以上をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散処理し、体積平均粒径が315nmであるルチル型酸化チタン分散液(ルチル型酸化チタン濃度:50%)を調製した。
【0136】
(アナタース型酸化チタン分散液の調製)
・アナタース型酸化チタンA−220(石原産業(株)製):200部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:195部
以上をホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散処理し、体積平均粒径が240nmであるアナタース型酸化チタン分散液(アナタース型酸化チタン濃度:50%)を調製した。
【0137】
(離型剤分散液の調製)
・パラフィンワックスHNP9(融解温度:74℃、日本精蝋(株)製):45部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)、ネオゲンRK):5部
・イオン交換水:200部
以上を95℃に加熱して、ホモジナイザー(IKA社製、ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、圧力吐出型ゴーリンホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径が215nmである離型剤を分散させてなる離型剤分散液(離型剤濃度:20%)を調製した。
【0138】
[実施例1]
・非晶性樹脂粒子分散液1:200部
・非晶性樹脂粒子分散液2:200部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:110部
・離型剤分散液:80部
・ルチル型酸化チタン分散液:180部
・アナタース型酸化チタン分散液:20部
・ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業社製):5部
以上の成分をステンレス製反応容器に計量し、2%−HCL水溶液を添加し、pHを4に調整した後、ウルトラタラックス(IKA製)で5000回転5分間混合し、50℃まで1℃/mの速度で昇温・凝集させた。粒径の測定はコールターカウンター−TA‐II型(コールター社製)で行い、粒径5.8μになったところで、4%−NaOH水溶液を30g添加した後、更に95℃まで加熱し、2h保持した後、2%−HCL水溶液を添加してpHを6.5に調整し、更に1h保持した。その後、結晶性ポリエステル樹脂の融解温度+6℃である81℃まで1℃/mの速度で冷却し、以降、30℃/mの速度で30℃まで冷却して、トナー母粒子を得た。
得られたトナー母粒子100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル社製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル社製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10000rpmで30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分してトナー1を調製した。
【0139】
<キャリアの作製>
・トルエン14部
・スチレン−メチルメタクリレート共重合体(成分比:80/20、重量平均分子量:70000)2部
・MZ500(酸化亜鉛、チタン工業)0.6部
上記成分を混合し、10分間スターラーで撹拌させて酸化亜鉛が分散した被覆層形成用溶液を調製した。次に、この被覆液とフェライト粒子(体積平均粒径:38μm)100部とを真空脱気型ニーダーに入れて、60℃において30分撹拌した後、さらに加温しながら減圧して脱気し、乾燥させることによりキャリアを作製した。
【0140】
<現像剤の作製>
得られたキャリアとトナー1とを、それぞれ100部:8部の割合で2リッターのVブレンダーで混合し、現像剤1を作製した。
【0141】
<評価>
上述のようにして得られた現像剤1を、温度22℃、湿度55%RHの環境下において、図1に示した5連タンデム方式の富士ゼロックス(株)社製DocuCentre-III C7600改造機(両面印刷用の5連タンデム改造機)の現像器に充填し、記録紙(富士ゼロックスインターフィールド社製JD紙)上に、定着温度160℃にて、トナー載り量が4.5g/mの条件でベタ画像(3cm×4cm)をプリントした。得られたベタ画像に対して、下記試験を行った。得られた評価結果を表1に示す。
【0142】
−画像割れ評価−
得られたベタ画像に対し、コートテック社製ハンディUVライト(CT−W1000−I、365nm、240mW/cm)にて25分紫外線照射を行った後、画像を内側に軽く折り曲げ、その上を重さ860g、直径76mmのロールを150mm/s程度のスピードで水平な机上で転がして折り目をつけ、画像を元とおり広げた時の、その折り曲げ部分の画像欠損の最大幅が0.30mm以下(スケールルーペ、倍率:10倍で観察)であるレベルを問題ないレベルとした。
【0143】
(評価基準)
◎;画像割れ無く、問題ないレベル
○;画像割れ部分少なく、問題ないレベル
△;画像割れ多少あるが、問題ないレベル
×;画像割れ多く、問題あり
【0144】
−白色度評価−
得られたベタ画像に対し、X−rite濃度計(X−Rite938、米国X−Rite社製)によって光学濃度を測定し以下の式により白色度Wおよび白色度変化ΔWを測定した。ここでW0は紫外線照射前、W1は紫外線照射後の白色度を表す。
白色度W=100−{(100−L*)+a*+b*0.5
ΔW=W0−W1
【0145】
(評価基準)
◎;ΔW=0以上1.0未満
○;ΔW=1.0以上1.5未満
△;ΔW=1.5以上2.0未満
×;ΔW=2.0以上
【0146】
[実施例2]
ルチル型酸化チタン分散液140部、アナタース型酸化チタン分散液60部とした以外は実施例1と同様にしてトナー2及び現像剤2を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0147】
[実施例3]
ルチル型酸化チタン分散液100部、アナタース型酸化チタン分散液100部とした以外は実施例1と同様にしてトナー3及び現像剤3を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0148】
[実施例4]
ルチル型酸化チタン分散液190部、アナタース型酸化チタン分散液10部とした以外は実施例1と同様にしてトナー4及び現像剤4を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0149】
[実施例5]
ルチル型酸化チタン分散液80部、アナタース型酸化チタン分散液120部とした以外は実施例1と同様にしてトナー5及び現像剤5を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0150】
[実施例6]
・非晶性樹脂粒子分散液1:90部
・非晶性樹脂粒子分散液2:90部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:50部
・離型剤分散液:80部
・ルチル型酸化チタン分散液:315部
・アナタース型酸化チタン分散液:35部
・ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業社製):5部
とした以外は実施例1と同様にしてトナー6及び現像剤6を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0151】
[実施例7]
ルチル型酸化チタン分散液245部、アナタース型酸化チタン分散液105部とした以外は実施例6と同様にしてトナー7及び現像剤7を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0152】
[実施例8]
ルチル型酸化チタン分散液175部、アナタース型酸化チタン分散液175部とした以外は実施例6と同様にしてトナー8及び現像剤8を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0153】
[実施例9]
ルチル型酸化チタン分散液333部、アナタース型酸化チタン分散液17部とした以外は実施例6と同様にしてトナー9及び現像剤9を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0154】
[実施例10]
ルチル型酸化チタン分散液140部、アナタース型酸化チタン分散液210部とした以外は実施例6と同様にしてトナー10及び現像剤10を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0155】
[実施例11]
・非晶性樹脂粒子分散液1:265部
・非晶性樹脂粒子分散液2:265部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:200部
・離型剤分散液:106部
・ルチル型酸化チタン分散液:90部
・アナタース型酸化チタン分散液:10部
・ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業社製):5部
とした以外は実施例1と同様にしてトナー11及び現像剤11を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0156】
[実施例12]
ルチル型酸化チタン分散液70部、アナタース型酸化チタン分散液30部とした以外は実施例11と同様にしてトナー12及び現像剤12を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0157】
[実施例13]
ルチル型酸化チタン分散液50部、アナタース型酸化チタン分散液50部とした以外は実施例11と同様にしてトナー13及び現像剤13を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0158】
[実施例14]
ルチル型酸化チタン分散液95部、アナタース型酸化チタン分散液5部とした以外は実施例11と同様にしてトナー14及び現像剤14を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0159】
[実施例15]
ルチル型酸化チタン分散液40部、アナタース型酸化チタン分散液60部とした以外は実施例11と同様にしてトナー15及び現像剤15を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0160】
[比較例1]
・非晶性樹脂粒子分散液1:200部
・非晶性樹脂粒子分散液2:200部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:110部
・離型剤分散液:80部
・ルチル型酸化チタン分散液:200部
・ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業社製):5部
とした以外は実施例1と同様にしてトナー16及び現像剤16を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0161】
[比較例2]
・非晶性樹脂粒子分散液1:200部
・非晶性樹脂粒子分散液2:200部
・結晶性ポリエステル樹脂粒子分散液:110部
・離型剤分散液:80部
・アナタース型酸化チタン分散液:200部
・ポリ塩化アルミニウム(大明化学工業社製):5部
とした以外は実施例1と同様にしてトナー17及び現像剤17を作製し、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0162】
【表1】

【符号の説明】
【0163】
11 感光体
12 駆動ロール
13 支持ロール
14 バイアスロール
15 クリーニング装置
16 ベルトクリーナ
17 一次転写ロール
18 帯電ロール
19 露光装置
20 現像装置
34 二次転写ロール
35 定着器
40 トナーカートリッジ
50 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルチル型酸化チタンとアナタース型酸化チタンとを含む着色剤と、結着樹脂と、を含有する静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記ルチル型酸化チタンと前記アナタース型酸化チタンとの比率(質量基準)が、90:10乃至50:50である請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記着色剤の含有量が、30質量%以上60質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像用現像剤。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収納し、
画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項6】
請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤を収納し、潜像保持体表面に形成された静電荷像を前記静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項7】
潜像保持体と、前記潜像保持体表面を帯電する帯電手段と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像手段と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置。
【請求項8】
潜像保持体表面を帯電する帯電工程と、前記潜像保持体表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、前記静電荷像を請求項4に記載の静電荷像現像用現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写工程と、前記記録媒体に前記トナー像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−154957(P2012−154957A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11068(P2011−11068)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】