説明

静電駆動によって変形可能な膜を備えた光学素子

後面と称される膜の一方の面と接触する一定体積の液体(4)の収容に寄与する支持体(1.5)上の固定領域(2.3)と、休止位置から可逆的に変形することが可能な実質的な中央領域(2.1)と、厳密に前記中央領域(2.1)と前記固定領域(2.3)との間に位置する少なくとも1つの領域(2.2)において膜に応力を加えることによって、前記中央領域(2.2)において液体(4)を移動させる駆動手段(5)と、を備えた変形可能な膜(2)を有する光学素子であって、前記駆動手段(5)が静電性であり、少なくとも一対の対向する電極を備え、前記電極の対のうちの一方が前記膜の後面の位置に配置されるかまたは前記膜内に埋設され、他方が前記支持体の位置に配置され、これらの電極(5.11、5.12)が誘電体によって分離され、前記誘電体が少なくとも前記液体(4)によって形成されていることを特徴とする光学素子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可変焦点距離液体レンズ、補償光学において光学収差を補正する液体レンズまたは膜可変鏡など、静電駆動手段によって変形されることができる膜を備えた光学素子に関する。
【0002】
あらゆる型の可変焦点距離液体レンズのうちで、少なくとも一方が移動し得る壁の間で一定量で動作する光学液体からなるものがある。光学液体とは、光の屈折に適した光学特性を有し、1より大きく、典型的に1.4または1.5の屈折率を有する液体を意味する。以降、単に液体との用語を使用する。しかしながら、焦点距離を変化させる機械構造が複雑であり、サイズ、価格、及び信頼性に不利益をもたらすため、この型のレンズは、電話に組み込まれるカメラなどの小型カメラにはほとんど使用されない。
【0003】
可視で動作するこれらの小型写真装置は、CCM(小型カメラモジュール)として知られている。当該CCMにはかわりに、湿潤性を変更するために電圧が印加される1または2の液体を有するレンズが備えられている。
【0004】
それにもかかわらず、特にオートフォーカス機能及びズーム機能を含む多くの開発が進行中である。これらの機能の導入における目的は、応答時間をできるだけ短縮することである。より一般的には、目的は、価格、サイズ及びエネルギー消費を低減するために、これらのCCMの構成要素をできるだけ集積することである。
【0005】
別の用途は、赤外(IR)で動作するカメラに関する。集積に関する進歩は少なく、ほとんどの場合において光学系はカメラから分離されている。特に光学系の集積(カメラモジュールの形成)、オートフォーカス機能の集積など、いくつかの開発が進行中である。現在のところ、関連する技術的解決策は知られておらず、明確にされる必要がある。
【0006】
膜可変鏡の用途では、後者は反射性を有する。鏡の焦点距離ひいては曲率半径を調節することが望まれているかもしれない。このような鏡は、眼科学または補償光学において使用され得る。
【背景技術】
【0007】
少なくとも一方が移動し得る壁の間で一定量で動作する光学液体を含む可変焦点距離液体レンズなどの可変焦点距離を備えた光学素子は、例えばUS−B−5 917 657(特許文献1)、US−B−6 344 930(特許文献2)、JP−A−10−144975(特許文献3)、JP−A−08−114703(特許文献4)、US−A−5 138 494(特許文献5)、WO2003/102636(特許文献6)、JP2002−243918(特許文献7)、JP−A−60−220301(特許文献8)など、いくつか特許の対象となっている。
【0008】
これらの特許文献のいずれも携帯電話カメラへの適用には言及されておらず、代わりに例えば望遠鏡、光学顕微鏡、及びデジタルカメラへの適用が言及されている。実際、膜に関連する機械構造は全て非常に複雑であり、この種の用途には高価すぎるものである。
【0009】
図16A及び16Bは、US−B−5 917 657(特許文献1)に記載されている可変焦点距離液体レンズの2つの実施例である。もっとも単純なレンズが図示されているため、これらのレンズを選択した。
【0010】
図16Aの液体レンズ1000は、第1中央透明弾性フィルム106aと、第2中央透明弾性フィルム106bと、周囲弾性フィルム104と、周囲容器105と、を備える。第1及び第2透明弾性フィルム106a、106bは、互いに対向して配置される。周囲弾性フィルム104は、第1透明弾性フィルム106aの周囲に固定され、全体が第1膜を形成する。第2壁は、第2弾性フィルムを備える。これらの要素は全て密閉され、液体103を包含する。液体103に圧力を及ぼしてレンズ102を操作する手段は、クラウン形状の容器203に配置された複数のアクチュエータ201から形成される。これらの動作は弾性フィルム104上で行われる。2つの容器105、203は向かい合わせて組み立てられる。
【0011】
図16Bの変形例では、弾性フィルム106aは透明プレート104bに置き換えられる。レンズ1000を操作する手段は、ユニモルフ構造を形成するように周囲弾性フィルム104上に移動された環状圧電素子によって形成される。
【0012】
これらの液体レンズ1000は、以下に挙げる欠点を有する。いくつかのプレート及び/またはフィルムは、液体を封入するために互いに且つ容器と密閉される。特に、レンズの壁の1つが、フィルムと連結されたプレートまたは互いに連結された2つのフィルムのいずれかを備える。密閉される部分の数が増えると、リークのリスクが高くなる。
【0013】
JP−A−60‐220301(特許文献8)では、膜は中央から縁部まで連続しているが、駆動手段は磁性によるものであり、これはサイズに関しても性能及び製造に関しても満足するものではない。実際、駆動装置は支持体に内蔵された電流が供給されなければならないコイルと、膜と連結され、その縁部と中央部との間でクラウンに配置された磁性材料からなるプレートとを備える。プレートの磁性材料など、異なる性質のいくつかの材料は、汚染の理由からマイクロエレクトロニクスの環境に適合しないため、この構成は、特に製造に関して不利である。一側上にコイル、他側上にプレートを形成することを可能にするために、装置の二面処理が必要とされる。さらに、コイルはかさ高い。また、磁性駆動は電力消費及び熱放散の両方に関して不利である。磁性駆動の欠点は、非特許文献1に記載されている。
【0014】
これらのレンズの製造方法は、統一され、多くの専門分野にわたる。この方法は、フィルムを合成及び成形して処理するプラスチックから生じる技術、容器を形成するための注入及び機械加工技術を含む。フィルムまたはプレートを容器と密閉して組み立てる方法は、シーリングの性質(プラスチック−プラスチック、プラスチック−ガラス、プラスチック−金属)によって異なる。さらに、実施されるシーリングは同一平面上に位置するとは限らないため、採用される方法及び必要な道具を非常に複雑にし、フィルムまたはプレートの取り扱いが困難なものとなる。これらの技術は、マイクロエレクトロメカニカルシステムMEMSまたはマイクロオプトエレクトロメカニカルシステムMOEMSの作製に採用される従来のバッチ製法と適合しない。その結果として、コストは依然として高く、サイズも大きい。
【0015】
液体レンズは、変形可能な壁の周囲と容器の縁部との間に可能な限り優れた平行性を必要とする。欠陥があれば、レンズを利用して得られる画像の品質を劣化させる光学収差が現れる。現在の液体レンズの製造方法ではこの平行性を確保することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、上述の欠点、つまり駆動の複雑性及び体積、マイクロエレクトロニクス環境との不適合性、バッチでの製造が不可能であること、リーク及び光学収差の高いリスクを有さない液体レンズまたは鏡などの変形可能な膜を備えた光学素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
より詳細には、本発明は、後面と称される膜の一方の面と接触する一定体積の液体の収容に寄与する支持体上の固定領域と、休止位置から可逆的に変形することが可能な実質的な中央領域と、厳密に前記中央領域と前記固定領域との間に位置する少なくとも1つの領域において膜に応力を加えることによって、前記中央領域において液体を移動させるための駆動手段と、備えた変形可能な膜を有する光学素子に関する。前記駆動手段は静電性であり、少なくとも一対の対向する電極を備え、前記電極の対うちの一方は前記膜の後面の位置に配置されるかまたは前記膜内に埋設され、他方は前記支持体の位置に配置され、これらの電極は誘電体によって分離され、前記誘電体は液体によって形成される。
【0018】
短絡のリスクを防止するために、液体に加えて、液体によって浸漬された追加の誘電体が備えられることができる。
【0019】
追加の誘電体は膜であり得る。
【0020】
変形例では、追加の誘電体は支持体の位置に配置された電極の対を被覆する誘電層であり得る。
【0021】
駆動手段は、膜が凹状、凸状または実質的に平坦であり得る休止位置を有する。
【0022】
膜は、光場と応力領域との間で均一であり得る。
【0023】
応力領域は、中央領域に侵入することなく中央領域まで延びるかまたは中央領域より前で停止し得る。
【0024】
応力領域は、固定領域に侵入することなく固定領域まで延びるかまたは固定領域より前で停止し得る。
【0025】
膜の位置に配置された電極は、液体に対向する膜の前面と接触するかまたは液体と接触している膜の後面と接触し得る。
【0026】
駆動の間に一対の電極の2つの電極が接触する状態となることを防止するために、一対の電極が機械的ストッパと連携するように備えられ得る。
【0027】
膜は、単層または多層であり得る。
【0028】
膜が多層である場合、膜の位置に配置される電極は、膜の2層の間に挿入され得る。
【0029】
リークのリスクを防ぐために、膜は膜の前表面にわたって広がる少なくとも1つの連続層を備え得る。
【0030】
1実施形態では、膜は導電材料からなり、電極として作用し得る。
【0031】
膜の位置に配置される電極は、固定領域と、必要であれば支持体と接触する状態となる応力領域を超えて延び得る。
【0032】
応力領域が単一である場合、応力領域は中央領域を取り囲み、応力領域が複数ある場合、応力領域のそれぞれが中央領域を取り囲むかまたは全ての応力領域が中央領域を取り囲むことができる。
【0033】
応力領域は、クラウンであるかまたはクラウンの一部であってよく、必要であれば固定領域または中央領域に向かって突出する放射状の突出部を備える。
【0034】
応力領域は実質的に円形、多角形、三日月形、角状セクター、放射状ストリップである。
【0035】
応力領域は中央領域の周囲に不連続のクラウンを形成し、膜は、応力領域よりも硬く、中央領域と応力領域との間に配置され、中央領域を取り囲む連続した補強領域をさらに備え得る。
【0036】
支持体は、実質的に平坦であるかまたは液体を収容する皿状部を備える。
【0037】
液体は、皿状部から溢れることができる。
【0038】
支持体は、底部及び傾斜側面を有する皿状部を備えてよく、支持体の位置の電極は底部及び傾斜側面上に延び得る。
【0039】
支持体は、少なくとも1つの段差が設けられた底部を有する皿状部を備えてよく、支持体の位置の電極は段差上に延び得る。
【0040】
支持体は、フレームと、フレーム上に固定された第2膜とを備えてよく、支持体の位置に配置された電極は第2膜と接触し得る。
【0041】
支持体は、フレームと、フレームに固定されて液体のための皿状部の形成に寄与する透明プレートとを備えてよく、透明プレートは実質的に平坦且つ平行な面を有するかまたは皿状部の外側の1つの面が凹状であるかまたは皿状部の外側の1つの面が実質的に凸状であり得る。
【0042】
支持体は、一体に組み立てられた2つの基板を備えてよく、膜は基板のうちの一方と連結され、支持体の位置に配置された電極は基板のうちの他方と連結され得る。
【0043】
応力領域の位置において液体の厚さを測定するための容量性手段が備えられることができる。
【0044】
容量測定手段は、駆動手段の電極と統合されるかまたは一部統合され得る。
【0045】
光学素子は、測定される液体の厚さに応じて駆動手段を自動的に制御するための手段を備えてよい。
【0046】
素子は、マイクロエレクトロニクスまたはマイクロシステム技術によって形成され得る。
【0047】
膜は、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、パリレン、エポキシ樹脂などの有機系材料またはシリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンカーバイド、多結晶シリコン、窒化チタン、ダイヤモンド状炭素、酸化インジウムスズ、アルミニウムなどの無機系材料からなってよい。
【0048】
液体は、プロピレンカーボネート、水、インデックスリキッド、シリコーンオイルなどに光学オイルであってよい。
【0049】
光学素子は、調節可能な曲率を有する鏡または液体レンズであってよい。
【0050】
本発明はさらに、上記の特徴を有する少なくとも1つの光学素子を備えたカメラ装置に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0051】
【特許文献1】米国特許第5917657号明細書
【特許文献2】米国特許第6344930号明細書
【特許文献3】特開10−144975号公報
【特許文献4】特開08−114703号公報
【特許文献5】米国特許第5138494号明細書
【特許文献6】国際公開第2003/102636号
【特許文献7】特開2002−243918号公報
【特許文献8】特開昭60−220301号公報
【非特許文献】
【0052】
【非特許文献1】Gilbert REYNE、“Electromagnetic actuations for MOEMS, examples, advantages and drawbacks of MAGMAS”、JEMS’01 Joint European Magnetic Symposia No.1、Grenoble France 2002年、vol.242−45(2)、p.1119−1125
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1A】本発明による静電駆動を有する変形可能な膜の光学素子の断面図及び上面図を示す。
【図1B】本発明による静電駆動を有する変形可能な膜の光学素子の断面図及び上面図を示す。
【図1C】本発明による静電駆動を有する変形可能な膜の光学素子の断面図及び上面図を示す。
【図2A】本発明による光学素子の応力領域の範囲を示す。
【図2B】本発明による光学素子の応力領域の範囲を示す。
【図2C】本発明による光学素子の応力領域の範囲を示す。
【図3A】本発明による光学素子の単一の応力領域の異なる形状を示す。
【図3B】本発明による光学素子の単一の応力領域の異なる形状を示す。
【図3C】本発明による光学素子の単一の応力領域の異なる形状を示す。
【図3D】本発明による光学素子の単一の応力領域の異なる形状を示す。
【図4A】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4B】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4C】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4D】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4E】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4F】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4G】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4H】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図4I】本発明による光学素子の一連の応力領域の異なる形状を示す。
【図5A】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5B】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5C】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5D】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5E】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5F】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5G】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5H】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5I】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図5J】本発明による光学素子の駆動手段の異なる変形例を示す。
【図6A】本発明による光学素子の支持体の位置に配置された電極の異なる構成を示す。
【図6B】本発明による光学素子の支持体の位置に配置された電極の異なる構成を示す。
【図7A】様々な大きさが推測される本発明による光学素子の2つの変形例を図示する。
【図7B】様々な大きさが推測される本発明による光学素子の2つの変形例を図示する。
【図8A】本発明による光学素子の休止状態の静電駆動手段をより詳細に示す。
【図8B】本発明による光学素子の駆動状態の静電駆動手段をより詳細に示す。
【図9A】休止状態の静電駆動手段の別の実施例をより詳細に示す。
【図9B】駆動状態の静電駆動手段の別の実施例をより詳細に示す。
【図10】液体が皿状部から溢れた本発明による光学素子の実施例を示す。
【図11A】本発明による光学素子の実施形態の実施例の段階を図示する。
【図11B】本発明による光学素子の実施形態の実施例の段階を図示する。
【図11C】本発明による光学素子の実施形態の実施例の段階を図示する。
【図11D】本発明による光学素子の実施形態の実施例の段階を図示する。
【図11E】本発明による光学素子の実施形態の実施例の段階を図示する。
【図12】液体の厚さに応じて駆動手段を制御するための自動手段と連携する液体の厚さを測定する容量手段を備えた本発明による光学素子を示す。
【図13】組み立てられた2つの支持体を備えて形成された本発明による光学素子を示す。
【図14A】本発明による光学素子の異なる支持体を示す。
【図14B】本発明による光学素子の異なる支持体を示す。
【図14C】本発明による光学素子の異なる支持体を示す。
【図14D】本発明による光学素子の異なる支持体を示す。
【図14E】本発明による光学素子の異なる支持体を示す。
【図14F】本発明による光学素子の異なる支持体を示す。
【図15A】本発明の少なくとも1つの光学素子を採用した2つのカメラ装置を示す。
【図15B】本発明の少なくとも1つの光学素子を採用した2つのカメラ装置を示す。
【図16A】従来の液体レンズを示す。
【図16B】従来の液体レンズを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
本発明は、添付の図面を参照して、単に表示の目的で与えられ、限定的でない実施形態の説明を読むことでより深く理解されるであろう。
【0055】
以降説明される異なる図面の同一、類似、または同等の部分には、1図面から次の図面に容易に移動できるように同一の参照符号が付される。
【0056】
図面を見易くするために、図面中の別々の部分は必ずしも均一なスケールで表示されているとは限らない。
【0057】
本発明による変形可能な膜を備えた光学素子の第1実施形態を図1Aを参照して説明する。液体レンズと仮定するがそれに限定されるものではなく、膜可変鏡であってもよい。
【0058】
液体レンズ10は膜2を備え、膜の周囲は支持体1.5上にシール手段において固定されている。支持体1.5上に固定された膜の領域は、固定領域と称され、参照符号2.3で示されている。本実施形態において、固定は支持体1.5のフレーム1において行われる。フレーム1は、ライニングによって支持体1.5に形成された皿状部3の画定を促す。皿状皿状部3は、一定の容量の液体4を含有するためのものである。支持体1.5は、主平面x、yに沿って広がる。皿状部3は底部3.1を備える。光ビーム(図示せず)は、皿状部3の底部3.1の位置で、膜2と、液体4と、支持体1.5とを介して伝播して液体レンズ10を通過するよう意図されている。フレーム1及び皿状部3は必須ではなく、支持体1.5は実質的に平坦な基板であることができる。底部3.1は光ビームが使用されるために透明である。
【0059】
光学素子が膜可変鏡であったならば、そのような膜は入射する光ビームを反射するよう設計されているため、膜は反射するだろう。
【0060】
膜は、液体4と液体4に対してバリアの反対側に配置された流体媒体との間のバリアとして作用する任意の柔軟性フィルムの役割を果たす。この流体は非常に単純に空気または別の気体あるいは別の液体でもよい。膜2は、液体レンズだけでなく膜可変鏡の場合も、一側で液体4と接し、他側で、少なくとも光場と呼ばれる中央領域2.1で流体と接する。以降、中央領域との表現が使用されることもあれば、光場との表現が使用されることもある。本文脈中においてこれらの表現は同等である。液体レンズの用途において、光ビームが通過するのは光場であり、光ビームのために透明である。鏡用途において、膜は光ビームが入射する中央領域で反射する。
【0061】
光学素子の焦点距離を変化させることができるように、少なくとも1つの静電アクチュエータ5を備えた駆動手段5が提供され、駆動手段は厳密に中央領域2.1と固定領域2.3との間に位置する応力領域2.2において膜2に応力を及ぼす。複数のアクチュエータ5がある場合、それらの各々は膜2の領域2.2に応力を加える。アクチュエータ5は、活性化されて休止位置から活性位置、及び逆もまた同様に取るようにことができる。応力領域の数は、アクチュエータの数に依存する。1つの場合、応力領域は図2に示すような連続したクラウン形状であり得る。後で説明する図3Aから3Dに示されるようなその他の形状をとることも可能である。
【0062】
図4に示すように応力領域2.2が複数ある場合、後者は多数の形状をとることができる。この種類に含まれる応力領域のいくつかの例を図4Aから4Iに示す。いずれの応力領域2.2も中央領域2.1を取り囲む。異なる応力領域2.2は、好ましくは実質的に一定の間隔で光場2.1の周囲に分布される。各々のアクチュエータ5は対向する一対の電極5.11、5.12を備える。膜2に配置された参照符号5.12で示される電極の一方は移動する。支持体1.5に配置された他方の電極5.11は、支持体が電極5.11の位置で剛性を有する限りそこに固定される。支持体が電極5.11の位置で柔軟性を有する場合、電極もまた移動する。静電アクチュエータは非常に単純で特に小型である。
【0063】
図1A、1Bにおいて、電極5.12は膜に連結され、さらに膜2と接触している。液体誘電体は、膜と比較して高い誘電率を有する。
【0064】
これは図5Aから5Eに示されるように拘束されるものではない。図1の構成は特に単純であり、焦点距離の変化において優れた効率を有する。
【0065】
複数のアクチュエータ5がある場合、好ましくは、配置が実質的に規則的に行われることができるように、異なるアクチュエータ5は実質的に一定の間隔で膜2の中央領域2.1の周囲に分布される。
【0066】
アクチュエータ5の2つの電極5.11、5.22は、誘電体によって分離され、前記誘電体は少なくとも液体4によって形成されている。液体4に加えて、追加の誘電体を提供することができる。追加の誘電体は、膜2によって形成されることができ、より詳細には図1Aにおいてアクチュエータ5によって応力が加えられる膜の領域2.2によって形成され得る。追加の誘電体は、液体4で浸漬される。アクチュエータ5によって応力が加えられる膜の領域2.2は、電極5.11、5.12の少なくとも一方の上またはアクチュエータの2つの電極の間の共通部分の上に位置する。後に説明されるような追加の誘電体のその他の変形も想定され得ることは明らかに理解される。液体4に加えて追加の誘電体を提供することによって、アクチュエータが駆動する間に、電極5.11、5.12が互いに押されて液体が横方向に移動するような場合に、アクチュエータ5の2つの電極5.11、5.12の間で短絡することを防止することが可能となる。静電アクチュエータの駆動の間、電極が近接するほど不安定になり、互いに突然押しあう傾向がある。
【0067】
液体4が唯一の誘電体である場合、駆動の間に2つの電極5.11、5.12が互いに押しあって短絡することを防ぐことを目的として、少なくとも1つの機械的ストッパBを提供することができる。図1B、1Cを参照すると、複数の機械的ストッパBがある。機械的ストッパBの厚さは、2つの電極5.11、5.12の厚さの合計より厚い。1アクチュエータ5あたり1つのストッパが提供され得る。これらのストッパは、固定された電極5.11に隣接して支持体1.5上に配置され得る。図1Cにおいて電極は図示されていない。
【0068】
図1の構成において、膜2は誘電体材料からなる必要はなく、シリコン、シリコンカーバイド、多結晶シリコン、窒化チタン、ダイヤモンド状炭素、酸化インジウムスズ、アルミニウムに基づいてよい。
【0069】
図5Aの構成において、例えば膜2は誘電体材料からなり、より詳細には例えばポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、さらにポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、パリレン、エポキシ樹脂等の有機材料、またはシリコン酸化物、シリコン窒化物等の無機材料からなる。
【0070】
図1の実施例において、膜2は光場2.1及び応力領域2.2において均一である。膜2は、図1に示すように光場2.1及び応力領域2.2において単層であってよく、図5Iに示すように多層であってもよい。固定領域で光場の膜の全ての表面を覆う連続的な少なくとも1つの層で形成される。
【0071】
本発明の文脈中において、膜が2つの領域において均一であるということは、その物理特性が2つの領域において一定且つ同一であることを意味する。
【0072】
膜が光場と応力領域とで均一でないことは明らかに考えられるものであり、これらの2つの領域が異なる剛性を有することもできるが、いかなる場合においても、その全ての表面を覆う少なくとも1つの連続した層を備える。その結果、リークのリスクは軽減される。
【0073】
支持体1は、図1に示すようにモノリシックであってよく、図13に示すように皿状部3の底部3.1に組み立てられたフレーム1によって形成されてもよい。
【0074】
液体4は誘電体であり、プロピレンカーボネート、水、インデックスリキッド、シリコーンオイルなどの光学オイルであってよい。液体4は、特に誘電特性で選択され且つ、液体レンズの場合光学特性で選択されることは明らかである。
【0075】
図2において、膜2は円形に示されているがその他の形状をとることも可能であり、図3Bに示すように例えば楕円形のような縦長の形状、または図3Aに示すように例えば正方形のような四角形の形状、あるいはその他の形状をなすこともできる。
【0076】
光学素子の焦点距離を変更する原理は以下の通りである。駆動手段5の影響下で、アクチュエータの電極5.11、5.12は互いに引き合い、液体4と接触している膜の応力領域2.2は支持体1.5の底部に近づき、液体4が膜2の中央に向かって押し出され、光場2.1が変形することによって、光学素子の焦点距離が変更される。膜2と支持体1.5との間に挟まれ、実質的に非圧縮性であると考えられる液体4の容量が維持されることで、膜の変形は制御される。
【0077】
駆動手段の各々の静電アクチュエータ5は従来のものであってよく、言い換えると図1に示されるような休止位置で実質的に平行な電極5.11、5.12を備えるかあるいは“ジッピング(zipping)”または進行開放またはスライド型でもよく、言い換えると図6Bに示されるような休止位置で互いに傾斜した電極を備えてもよい。“ジッピング”型駆動の利点は、従来の実質的に平行な電極の構成よりも大きな移動量を得ることである。駆動手段5のパラメータを決定するものは、膜2の応力領域2.2の表面積であり、アクチュエータの電極5.11、5.12の少なくとも一方の表面及び膜2上の駆動手段5によって生じる応力に対応する。
【0078】
次に、図2を参照して応力領域2.2の別の可能な構成について説明する。応力領域2.2はいかなる場合も光場2.1より前までで停止し、そこに侵入することはない。固定領域2.3までのびることは可能であるが、固定領域2.3には液体がなく、膜は移動することができないため、そこに侵入することもない。その一方で、駆動手段5は、固定領域2.3の位置で膜と接触してもよい。応力領域2.2は、アクチュエータ5によって移動される領域であり、固定領域2.3は応力領域2.2に含まれなくてよい。
【0079】
駆動手段が、固定領域と中央領域との間の厳密に限定された少なくとも1つの応力領域において膜に応力を加えるということは、中央領域が移動された液体の圧力のみによって変形され、中央領域が駆動手段によって直接応力を加えられた場合よりも効果的に焦点距離の変更が得られる。
【0080】
これら図2において駆動手段は図示されていない。図2において、応力領域2.2は1つだけであり、光場2.1を取り囲む連続したクラウン形状である。開示される内容は、複数の応力領域がある場合にも同様に当てはまる。図2Bに示すように、応力領域2.2は光場2.1の端部から開始されることができる。点線は光場2.1の端部を示す。
【0081】
図2A及び図2Cに示されるように、駆動手段によって光場2.1と応力領域2.2との間に中間保護領域2.4を挿入することができることは明らかである。これによって光場2.1の光学性能のいかなる劣化も防止することが可能となる。
【0082】
図2Aに示されるように、中間保護領域2.5は応力領域2.2と固定領域2.3との間に挿入され得る。この領域は液体4の上部に位置する。図2B及び図2Cに示されるように、応力領域2.2は固定領域2.3に侵入することなく到達してよい。その場合中間保護領域2.5は存在しない。
【0083】
図3A、3Bはそれぞれ正方形または縦長形、この場合は楕円形の膜の構成を示す。これらの2つの構成において、光場2.1は円形である。応力領域2.2は内側に限っては円形であり、外側はそれぞれ正方形または楕円形である。
【0084】
図3Cにおいて、膜2は円形であり、単一の応力領域2.2は光場2.1に向かって突出する放射状の突出部を有するクラウン形状をなしている。前記突出部は、クラウンセクターの形状をとっているが、その他の形状も可能であり、その形状は限定されない。応力領域2.2と固定領域2.3との間に保護領域2.5がある。
【0085】
図3Dにおいて、膜2は円形であり、応力領域2.2は単一であって光場2.1の側でクラウン形状であり、クラウンは固定領域2.3に向かって突出する放射状の突出部を有する。突出部はストリップ形状であるがその他の形状も可能である。放射状の突出部の間であり応力領域2.2のクラウンと固定領域2.3との間に中間分割保護領域2.5がある。単一のアクチュエータの形状をとる静電駆動手段5は、応力領域2.2を占有し、且つ固定領域2.3及び支持体1.5上に続き、放射状の突出部を応力領域2.2を超えて広げる。アクチュエータ5が固定領域2.3及び支持体1.5と接触する表面は、応力領域2.2とは異なる模様で図示されている。アクチュエータの部分は、支持体1.5上に広がる膜と接触している可動電極の一部に対応する。
【0086】
ここまで、単一の応力領域2.2を備えた構成のみについて説明しており、駆動手段が単一のアクチュエータのみを備えることを意味している。
【0087】
駆動手段5は、同時に駆動される複数アクチュエータを備え得る。この場合、膜は複数の応力領域を備える。
【0088】
複数の応力領域2.2を有する結果として複数のアクチュエータを備える膜2の構成をここで説明する。図4Aにおいて、応力領域2.2はクラウンセクターであり、非限定的な例においてクラウンは円形である。図4Aでは8、図4Bでは24の部分がある。別の数の応力領域2.2も可能であることは明らかである。図4Cでは、応力領域2.2は三日月形の部分であり、その外縁部は膜の縁部と同心円である。4つの実質的に同一の応力領域2.2がある。それらが同一でないことも想定され得る。図4Dでは、応力領域2.2は同心クラウンである。同心クラウンは2つある。図3C、3Dと同様に、そのうちの一方が放射状の突出部を備えることも想定され得る。不必要に図面の数を増加させないように、この変形例は示していない。これら2つの後者の突出部において、固定領域2.3と応力領域2.2との間に中間保護領域2.5がある。
【0089】
図4Eにおいて、応力領域2.2は、この円形の例では内側が光場2.1によって限定された角状セクターであり、外部は固定領域2.3を支持する支持体1.5の縁部によって限定されるものであり、この例では正方形である。角状セクターは頂点で実質的に同一の角度を有するが、これに限定されるものではない。
【0090】
図4Fにおいて、応力領域2.2は、内側が光場に対応する円形、外側は固定領域2.3を支持する支持体1.5の縁部に対応する楕円によって限定された角状セクターの部分である。これらの2つの例において、別々の応力領域2は全て同一ではない。
【0091】
図4Gにおいて、応力領域2.2は、固定領域2.3の直前で停止した放射状ストリップである。
【0092】
図4Hにおいて、応力領域2.2は、放射状突出部を備えたクラウンの部分である。この構成は、応力領域が単一ではなく複数であることを除いて図3Dと類似している。この例では、放射状の突出部は固定領域2.3に向かって突出しているが、光場2.1に向かって突出することも想定され得る。後者の変形例は図面の数を不必要に増加させないために図示していない。
【0093】
複数の隣接する応力領域2.2があり、複数の応力領域2.2が光場2.1の周囲に不連続のクラウンを形成する場合、好ましくは、応力領域2.2と光場2.1との間に光場2.1よりも硬い補強領域2.6を提供する。補強領域2.6は光場2.1を取り囲み、連続している。駆動手段は直接補強領域に応力を加えない。駆動手段は、それぞれのアクチュエータの膜2と接触している電極5.12によって具体化される。補強領域2.6の機能は、駆動手段が作動する間、光場2.1における膜の変形を均等にすることである。補強領域2.6は、z軸の周囲の駆動手段の駆動によって引き起こされる膜の回転偏位による不変性を確保する。ここでz軸は対称軸である。図4Iについて述べる。応力領域2.2は実質的に多角形である。
【0094】
図5には、駆動手段5の異なる構成を示す。図5Aにおいて、駆動手段5は膜と接する少なくとも1つの電極5.12を介して、応力領域2.2の位置(応力領域が複数ある場合は複数の応力領域の位置)でのみ膜2を保持する。図5Cでは、駆動手段5は膜と接する少なくとも1つの電極5.12を介して、応力領域2.2の位置(応力領域が複数ある場合は複数の応力領域の位置)及び固定領域2.3の位置で膜2を保持する。
【0095】
図5Bにおいて、電極5.12は応力領域2.2及び固定領域2.3の位置で膜2と接触しているが、さらに膜2を超えて支持体1.5上にも広がる。膜2を超えて支持体1.5上に位置する電極5.12の部分は、駆動手段5の電気供給パッドとして作用し得る。
【0096】
図5A、5B、5Cにおいて、可動電極5.12は、液体4とは接触せず、膜の後面が液体4と接触している場合、前記電極は膜2の前面上に位置する。
【0097】
これらの構成では、応力2.2領域は、静電アクチュエータ5及び液体の両者と接触する膜2の領域に対応する。
【0098】
図5Aから5Cにおいて、駆動手段5は休止状態で図示されている。
【0099】
図5Aから5Cに示すように駆動手段5が休止状態の場合、膜2は平坦であり得る。この場合、皿状部3が必要である。これは、無限の曲率半径に相当する。この皿状部3を備えた構成において、電極は休止状態で実質的に平行である。この構成は、液体を中央領域に向かって効率的に移動させるのに有利であるため、焦点距離を効果的に変更することができる。駆動手段5が休止状態であると同時に膜2が一方向または他方向に隆起し得ることは明らかである。その結果、有限の曲率半径を有するため、より小さい。図5D及び5Eは、それぞれドーム状(凸状)膜4と皿状(凹状)膜4を示す。図5D、5Eにおいて膜は反射し、光学素子が鏡であることが想定される。膜2の前面上で、少なくとも中央領域2.1には反射コーティングRRが図示され、この反射コーティングは例えばアルミニウム薄膜である。
【0100】
皿状部3が図示されている。これらの2図において、アクチュエータは“ジッピング”型のものであり、電極5.11、5.12は休止位置で平行ではない。これらの2図において、少なくとも光場において膜が反射し、光学素子が調整可能な曲率半径を有する鏡であることが想定される。
【0101】
図5Aから5Eに示される実施例は、膜2の前面、つまり液体4と接触する側の反対側と連携する駆動手段5を示す。既に示したように、駆動手段5が、液体4と接触する面の位置で膜2とも連携することができることは明らかである。
【0102】
図5Fでは、電極5.12は膜2と接触し、さらに液体4とも接触している。接触しているのは、膜2の後面である。したがって、膜2は追加の誘電体として作用しない。液体4に対して(固定された)他方の電極5.11をマスクするために、追加の誘電体53として誘電材料の層が提供され得る。誘電材料は、例えばシリコン酸化物またはシリコン窒化物であってよい。この追加の誘電材料が、支持体1.5と接触する電極5.11のみと並べられるのであれば、光場の外側であるため、液体レンズの用途において透明材料で形成される必要はない。
【0103】
休止位置から駆動される場合、応力領域2.2を皿状部3の底部3.1に近付けるため、またはより一般的に液体4の厚さを減少させるために、アクチュエータ5は膜2を引張らなければならない。この図5Fにおいて、膜2は均一であり、光場2.1と応力領域2.2との間で同一の厚さ及び同一の剛性を有する。
【0104】
図5Gにおいて、膜2と連結された電極5.12は、膜2の内部に組み込まれている。電極5.12は依然として液体4と接触する。駆動手段5によって応力を加えられる領域2.2における膜2の厚さは、光場2.1における厚さよりも薄い。応力領域2.2における膜の剛性は、光場2.1の位置の膜が有するものよりも小さい。電極5.12とあわせた応力領域2.2の厚さは、実質的に光場2.1の厚さである。この図5Gにおいて、電極5.12はさらに支持体1.5と接触するようになり、膜2は電極5.12を覆い、さらに支持体1.5と接触する状態になる。
【0105】
追加の誘電体53は、皿状部3の底部3.1全体、またはより一般的に、支持体が液体4と接触すべき箇所に配置される。この場合、光学素子が液体レンズの場合、追加の誘電体53は透過機能を果たすように透明でなければならない。透明との用語が、使用される光ビームを透過することを意味するのは明らかである。反射作用の場合は、この条件を満たさなくてよい。
【0106】
皿状部3は、前述の通りでなくてもよい。液体4が実質的に平坦な支持体1.5上に配置され、膜2が液体4を包含することも可能である。特許文献EP−A−1 672 394は、膜が液体を包含する構成を示している。この変形例は、図5H及び5Iに図示され、膜2と連携する電極5.12は、膜2の前面上または後面上のいずれかに配置されている。これらの構成において、駆動手段5が休止の場合、膜2は隆起している。膜2は、例えばパリレンなどの有機フィルムを液体4の液滴上へ直接堆積させるかまたは犠牲層を使用した方法によって形成され得る。必要に応じて、支持体1.5は領域によって局所的に親水性または疎水性に処理され得る。
【0107】
図5Jでは、電極5.11は膜2の内部に埋め込まれ、膜2の2つのサブ層20.1、20.2の間に挟持されている。液体4と接触している膜2のサブ層20.2は、誘電材料から成る場合、追加の誘電体として作用することができる。他方のサブ層20.1は、膜2が光場に必要な機能を有するように、第1サブ層20.2の機械強度を達成する。
【0108】
アクチュエータ5の電極5.11の別の構成である支持体1.5と接触する構成について説明する。
【0109】
図6A、6Bを参照する。図6Aにおいて、皿状部3の底部3.1は、段差Mを備え、非限定的な実施例において3段を有し、支持体と接触する電極5.12は段差Mに配置される。
【0110】
図6Bにおいて、皿状部3は底部3.1と傾斜側面3.2とを備え、支持体1.5と接触する電極5.11は皿状部の底部3.1と傾斜側面3.2との両方の上に配置される。この構成において、アクチュエータの電極は休止状態で傾斜しているため、“ジッピング”型である。
【0111】
光学素子の焦点距離の変化は光場の移動に直接依存するため、膜2の寸法は、光場2.1における挙動によって決定される。
【0112】
膜2の材料は、その弾性限界が弾性領域において機能し、可逆的に変形するのに十分であるように選択される。休止位置に戻った場合に、駆動手段5の駆動によって変形されるとすぐに初期位置に戻らなければならない。様々な有機材料だけでなく無機材料も膜の組成に入り得る。膜は、特に固定領域の位置で、密閉して液体4を包含することができなければならない。用途及び構造に応じて、透過動作の場合は使用される波長を透過しなければならず、鏡の場合は反射しなければならない。誘電体または後に示されるように正反対に導電体でなければならない。
【0113】
選択され得る有機材料は例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、さらに、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、パリレン、エポキシ樹脂であり、それらのヤング率は数百MPaから数GPaの間である。選択され得る誘電材料は例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンカーバイドである。選択され得る導電材料は例えば、可視で透明な酸化インジウムスズ(ITO)または反射性を有するアルミニウムである。その他材料は既に挙げられている。本発明による光学素子の構成に、膜が導電性であり且つ透明または反射性のいずれかであるものについて以下で説明する。
【0114】
本発明の可変の焦点距離の光学素子を正確に作動するために、その光学特性はその方向性と独立して確保されることが望ましい。
【0115】
これを達成するためには、光場2.1における膜2への液体4の重量による圧力が、光学特性を劣化させるいかなる変形も引き起こしてはならない。
【0116】
膜2の外形は、光場のジオプターの形状に大きな影響を与える。平坦な外形、つまり表面全体にわたって実質的に厚さが一定の場合、ジオプターの形状は、「S.Timoshenko“Theory of plates and shells”、Librairie Polytechnique、Ch Beranger、1951」から引用された以下の数式によって求められる。
【0117】
【数1】

【0118】
ここで、ω(r)は、中心(レンズの光心)からの距離rに応じた膜の変形を表し、aはその半径を表し、ωは中央の最大偏位を表す。
【0119】
膜がその周囲で固定され、一定の圧力を受けているものとして近似される。変形の点において、ジオプターの実際の形状は、例えばANSYSなどの機械的シミュレーションソフトを利用するなどしてより詳細に測定されなければならない。実際の変形は、近似変形と球状変形との間にある可能性が高い。
【0120】
膜の厚さの変更及び駆動手段によってなされる変形の性質によって、変形を制御し、その結果ジオプターの形状及び焦点距離を変化させることが可能である。
【0121】
膜の機械的挙動は特に、駆動手段5によって応力が加えられる領域2.2の表面積に依存する。光場2.1における膜の剛性つまりパラメータE、v及びhは、駆動手段5によって応力が加えられる領域2.2の表面積及び駆動手段5が発生させる力を維持し続けるように調製される。実際に、液体4によって光場2.1に及ぼされる圧力に液体と接触している膜の総表面積を乗じたものは、第一近似において液体を非圧縮性と考えると、アクチュエータの電極間の静電力と等しい。
【0122】
光場における膜の機械的挙動は、膜の最大偏位、駆動手段5によって加えられる力、それらの移動量、及び応力領域2.2の表面積に依存する。光場2.1の機械的挙動を前述の大きさに適合させるには数回の反復が必要とされ得る。
【0123】
有意義な妥協点を見出すためには、まず所望の焦点距離及び光場の形状の変更、膜及び駆動手段の作製方法、膜の厚さに応じて1つ以上の膜の材料を選択しなければならず、さまざまな厚さで測定され得る。その後、光場の最大圧力は決定されなければならない。応力領域の表面積は、減少させることを目的としている外形寸法を考慮して、駆動技術と適合する焦点距離の必要変動量を得るために駆動に必要とされる変形及び移動を比較することによって、応力領域が光場の周囲で連続且つ均一であるような最も好適な状態をとることによって、最適化される。行き詰った場合、膜の材料を変更して再度反復を開始する。
【0124】
材料に関する候補が多数あるため、膜の厚さは大幅に変更することができ、その結果必要とされる最大圧力は懸命な方法で調節され得る。
【0125】
応力領域がいくつかある場合、応力領域の数もまた本発明の目的である光学素子の精緻化にとって重要なパラメータである。これらの領域のそれぞれは、この領域専用のアクチュエータによって制御される。
【0126】
応力領域2.2がいくつかある場合、2つのパラメータが重要であって、一方は2つの連続した応力領域2.2を分離する距離dであり、もう一方は応力領域と支持体1.5への固定領域との距離dancrである。距離d及びdancrは図7A、7Bに図示されている。
【0127】
目的は、これらの部分は駆動手段5によって隣接する応力領域上に加えられる圧力に抵抗しなければならないため、これらの距離d及びdancrは、大きすぎないかまたは膜の柔軟すぎる部分には適用されないことである。これらの部分は、隣接する応力領域2.2の移動を妨げないように硬すぎてはならない。目的は、応力領域2.2にできるだけ近く機能することである。
【0128】
静電駆動手段5に関して、それらは当業者にいかなる問題も提起しない。“ジッピング”型静電アクチュエータに関する文献「“A novel external electrode configuration for electrostatic actuation of MEMS based devices”Journal of Micromechanics and Microengineering,No.14、2004年、p.446‐451」を参照する。この文献では、図8において400マイクロメートルのビームによって、本発明による光学素子において必要とされるものと完全に適合する移動量が得られることに言及されている。
【0129】
“ジッピング”型静電駆動手段の典型的な実施例は、図8A、8Bに詳細に示されている。駆動手段5は、いくつかのアクチュエータ5から形成され、図8には、2つの正反対に向かい合うアクチュエータが示されている。それぞれが、支持体1.5によって支持された固定電極5.12と、膜2によって支持された可動電極5.11とを備え、膜2は液体4に加えて、2つの電極5.11、5.12の間の追加の絶縁体として作用する。膜2の応力領域2.2は、可動電極5.12が膜2上に保持される領域に対応する。2つの電極5.11、5.12の間に印加される電位差の影響下で、可動電極5.12は固定電極5.11に近付き、膜2を支持体1.5に近付けるように移動させる。膜の移動によって、応力領域2.2の位置で膜2と支持体1.5との間に包含される液体4は光場2.1の方向に押出される。図8Aは、休止位置の駆動手段5を示し、図8Bは駆動された駆動手段5を示す。膜2は2つの電極5.11、5.12の間で絶縁体として作用するため、駆動手段5内に含まれている。これらの図では、皿状部はなく支持体1.5は実質的に平坦である。液体4及び膜は、駆動手段の駆動に寄与する。それらは誘電体である。液体4及び膜2の誘電率が高いほど可動電極5.12の固定電極5.11方向への移動は容易に開始され、その結果駆動性能は向上する。液体及び追加の誘電体にとって考慮すべきパラメータは、誘電率及び絶縁破壊電圧である。それらは十分高くなければならない。
【0130】
図9A、9Bに図示された変形例において、膜2は導電材料からなる。固定電極5.11は支持体1.5によって保持される。それらは応力領域の形状に押し込まれる。誘電層53はそれらを覆い、前記誘電層53は、液体4と接触して光学素子の光場の位置まで延びるように支持体1.5上に配置されることができる。変形例において、前記誘電層は局在化されて光場を空けることもある。支持体1.5がガラスからなる場合、誘電層53は、例えばシリコン酸化物またはシリコン窒化物からなることができる。膜2は導電材料からなり、例えば酸化インジウムスズからなる。この材料は液晶素子において電極を形成するために広く使用されている。膜2は、可動電極として作用し、より詳細には、固定電極5.11に面する膜2の部分がこの役割を有する。駆動手段5によって応力を加えられる領域2.2は、固定電極5.11が膜2上に保持される領域に対応する。図9Aは休止位置の駆動手段5を示し、図9Bは駆動された駆動手段5を示す。膜2は、可動電極として作用するため、駆動手段5に包含されている。
【0131】
膜2は、例えばITO(酸化インジウムスズ)フィルムで被覆されたPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムから形成され得る。ITOは、液体4側に位置する。膜はフィルムをラミネートすることによって付着され得る。
【0132】
支持体が実質的に平坦であるような図8における変形例では、駆動手段5の位置で、液体4を保つ一方で皿状部3による利点を有する価値あるものであり得る。膜の支持体1.5上への固定は、皿状部3から非常に離れた場所で実施され、応力領域及び駆動手段は皿状部3の縁部3.2に位置し、液体4は膜2によって保持されたまま皿状部3からあふれ出して皿状部3の縁部3.2まで広がる。図10A、10Bを参照する。応力領域2.2と光場2との間に保護領域2.4が備えられている。図10Aは休止位置の駆動手段5を示し、図10Bは駆動された駆動手段5を示す。この構成は、皿状部を備えず実質的に平坦な支持体を備えた構成の利点及び光場の位置に皿状部を備えた構成の利点を一体化する。
【0133】
静電駆動手段を使用する利点は、衝撃の影響を受けにくいためである。衝撃を受けると、液体の重量が膜を変形し、膜はこれらの変形に抵抗するような寸法であるため、駆動手段はその他の追加の変形を加えない。サイズは最小まで減少され得る。
【0134】
本発明によるこのような光学素子は、マイクロエレクトロニクス及びマイクロシステムを採用した技術を使用して製造され得る。化学気相成長法(CVD)、電着、エピタキシャル成長法、熱酸化、物理気相成長法(PVD)、または蒸着による薄膜堆積法を膜及び駆動手段の両方に採用することができる。フィルムのラミネート、有機またはゾルゲル材料のスピンコート堆積法、成形、熱エンボス加工、ナノプリント、直接接合、共晶接合、アノード接合、有機接合による2つの基板の接合、を使用することもできる。
【0135】
ここで、本発明による可変の焦点距離を有する光学素子の製造方法の実施例について説明する。犠牲層が使用される。図11Aから11Eを参照する。
【0136】
皿状部3がエッチングされた基板100から開始される。基板100は、例えばガラスからなる。1つ以上の固定電極5.11(図11A)が皿状部の底部の位置に堆積される。犠牲材料101(図11B)が皿状部3内及び固定電極上に堆積される。犠牲材料101は、例えば感光性樹脂などの有機材料またはシリコン酸化物などの無機材料であってよい。
【0137】
膜2は、皿状部3の縁部から突出してそこに膜自体を固定するように、犠牲層101上に形成される(図11C)。シリコン酸化物、シリコン窒化物などの無機材料が堆積され得る。この材料は誘電体である。堆積は、スピンコート法または化学気相堆積法によって実施され得る。駆動手段5を満たすための1つ以上の可動電極5.12は、膜2上に局所的に形成される。その後、犠牲層101を除去することによって膜2は解放される。このために、少なくとも1つの穴107が犠牲層101に到達するまで基板100を貫通して形成され得る。穴102は、貫通して皿状部3内に穴を開ける(図11D)。除去は化学的、熱的または酸素プラズマによってなされ得る。その後、皿状部3に液体4が充填される(図11E)。充填は、液体4の浸透に有利に働き、気泡の形成を避けるために、皿状部3を真空化に配置することによって実施されることができる。最後に、液体4が漏出しないように穴107が充填される(図11E)。有機材料が使用され得る。これらの段階の順序は限定されるものではない。
【0138】
可動電極5.12は、たとえば充填の前または後など膜2を解放した後でも形成されることができる。また、液体4側に配置されなければならない場合、膜2を形成する前に犠牲層101上に形成されることもできる。そのような構成の場合、可動電極5.12は犠牲層101と基板100とにまたがって堆積され、膜2は完全にまたは部分的に可動電極5.12を覆い得る。
【0139】
図11において、可動電極5.12は基板100と接触して図示されているが、それに限定されるものではなく、膜2から突出していなくてもよい。
【0140】
休止位置で膜2が隆起、凹状または凸状であることが望ましい場合、犠牲層は膜2のモールドとして作用するため、犠牲層101に適切な曲率が与えられる。隆起した膜2を得るための別の方法は、膜2が解放された後に湾曲させることである。湾曲は、熱でなされ得る。決定パラメータは、膜と基板との熱膨張係数の差及び膜の堆積温度である。
【0141】
本発明による光学素子は、膜2を保護するために、膜2及び1つ以上の可動電極5.12を支持する第1支持体110と、1つ以上の固定電極5.11及び液体4を支持する第2支持体100との2つの支持体の組み立てによって形成されることができる。第1支持体110は、本発明の光学素子を機械的に保護するように作用する。接着剤の結合部Jを使用して2つの支持体100、110が組み立てられ、空洞に液体4が包含される。固定電極5.11は、追加の誘電体53で被覆される。支持体100、110が組み立てられると、第1支持体110は中央部を空洞化され、前記空洞115は少なくとも膜2の光場2.1に対応する。図13を参照する。
【0142】
本発明による可変の焦点距離を有する光学素子の膜の有利な構成について、ここで形状に関して説明する。液体4は平坦な底部上に配置されることが想定される。図7Aを参照する。膜は円形であり、その光場2.1は円形であり、応力領域2.2を含む光場2.1を取り囲む領域は同心クラウンである。
【0143】
膜の特性を計算するために、周囲を固定され、プレートの厚さに関してかなりの偏位にさらされる均一に搭載された円板モデルが使用される。このモデルは上述したS. Timoshenkoの文献に示されている。
【0144】
光場の最大偏位ωは、以下の数式によって与えられる。
【0145】
【数2】

【0146】
ここで、Pは光場上に及ぼされる圧力、aは光場の半径、Eは光場において膜を構成する材料のヤング率、vは光場において膜を構成する材料のポアソン比、hは光場における膜の厚さである。
【0147】
光場2.1は、直径2.5mmを有してよく、光場2.1と応力領域2.2との間には保護領域は存在しないが、光場2.1と固定領域2.3との間には中間保護領域2.5が存在する。固定領域の幅は200マイクロメートル程度である。応力領域2.2は、1.25mmの内径R’と1.35から2.05mmの間で変化する外径Rとの間にある。従って、応力領域2.2の表面積は0.8から8.3平方ミリメートルの間で変化する。膜はパリレンからなり、厚さは1マイクロメートルであり、光場の中央領域における必要最大偏位は20マイクロメートルであることが想定される。z軸に沿って駆動手段によって及ぼされる力は、0.2から0.4mNの間で変化する。この力から電極間に印加する電圧を決定するためには、例えば「“Simulations based Design for Large Displacement Electrostatically Actuated Microrelay”Gooi Boon Chong、Proceeding of SPIE、vol.4408(2001)、p.254−262」など静電気力を取り扱う従来技術の文献を参照すればよい。
【0148】
応力領域2.2の移動量は、表面積8.3mmでは3マイクロメートル、表面積0.8mmでは7マイクロメートルまで変化する。中間保護領域2.5の幅dancrは、最大0.2mmまで拡張され得る。
【0149】
実験的もしくは機械的及び光学的シミュレーションのいずれかによってなされた近似及び寸法の精密化を考慮すると、力及び移動量を減少させることが可能であり、駆動手段の寸法を簡略化して光学素子をさらに小型化することが可能である。
【0150】
別の実施例を以下で説明する。図7Bを参照する。図7Aとの相違点は、複数の応力領域2.2が提供されていることであり、実際には中央領域2.1の周囲に8箇所の円形クラウンが配置されている。円形クラウンの別々の部分は、数十から数百マイクロメートルと同等である距離dによって分離される。強化領域2.2の表面積は、
Π(R−1.25)-8d(R-1.25)
で表される。
【0151】
距離dは、焦点距離の変化の正確な動作を妨げるものであってはならない。
【0152】
応力領域2.2の数とそれらの表面積つまり駆動手段のサイズとの間で妥協点を見つけなければならない。応力領域2.2の数の選択はまた、それぞれの応力領域で実質的に同一の方法で駆動される駆動手段の容量及び駆動手段によって及ぼされる変形の性質に依存する。
【0153】
光学素子には光学収差が現れ得る。これは、変形した膜2の縁部と固定領域の位置の支持体1.5との間が平行でないことに起因する。結果として最大偏位ωは光場2.1の中央ではなくなる。光学素子の光軸は、光場2.1の中央を通過する。画像の品質は劣化する。
【0154】
従来の液体レンズのこのような現象を制限するために、膜の支持体への組み立てを最適化することを目的とした。この組み立ては、休止位置で必要な平行が得られるようなシーリング技術に基づく。しかしながら、レンズの作動中に、駆動手段5を駆動させるために供給電圧Vを使用して焦点距離を変化させることが必要かもしれない。駆動手段5によって引き起こされる移動が液体レンズの周囲全体にわたって均一でない場合、この現象が現れて画層の品質が低下する。皿状部3の底部3.1と膜2の応力領域2.2との間の空間は、膜の周囲全体にわたって一定ではない。駆動手段5の命令の間に何もなされなければ、本発明による光学素子においてもこの偏差は起こり得る。駆動手段が複数のアクチュエータ5を備える場合、完全に同一の電圧Vが供給されるとは限らない。特定のアクチュエータ5の方向にずれが生じ得る。液体4の圧力は、膜の周囲全体にわたって完全に均一でない可能性があり、素子がわずかに一側に傾くとこの現象が起こり得る。従って、作動中にこの現象を制御することは困難であり、この種の光学素子を非常に不利にする。この影響に対処するために、駆動手段5のコマンドの制御手段を提供することができる。
【0155】
図12を参照する。固定電極5.11と可動電極5.12との間に供給電圧Vを印加することによってそれらが駆動されると、静電駆動手段5の作用を利用して光学素子の焦点距離の変更が得られる。さらに、応力領域2.2の位置での液体の厚さdに応じて駆動手段5に印加される電圧を自動的に制御する手段8が提供される。自動制御手段8は、応力領域2.2の位置、好ましくはアクチュエータ5の位置に複数個所配置され、液体の厚さを測定するための容量性手段8.1と連携する。測定手段8.1は、応力領域2.2の位置に分散された複数の電極の対7を備え得る。一対の電極のうちの少なくとも一方は、駆動手段5の固定電極5.11と統合されることができる。一対7の他方の電極Eは、液体4側の膜2上に配置される。変形例では、一対の2つの電極がアクチュエータの2つの電極と統合されることができる。アクチュエータ及び電極の対7を測定手段8.1から分離する別の構成もあり得る。電極5.11及びEの対7の各々のうちの2つの電極5.11及びEに電位差V’を印加すること、並びに電極5.11及びEの対7の各々で電極5.11及びEの対7の各々の容量を測定することによって、電極5.11と電極Eとの間に位置する液体4の量が得られ、その結果膜2と皿状部3の底部3.1との間の液体の厚さが得られる。
【0156】
図12において、図面を過密化しすぎないように、自動制御手段8は図式化されており、さらに2対の電極5.11及びE並びに2つのアクチュエータ5のみが示されている。
【0157】
本発明の光学素子が作動する間、ある箇所と別の箇所とで例えばd及びd+εなど異なる容量測定値が得られた場合、自動制御手段8は測定手段8.1から容量測定値を受信し、間隔dに対応する参照値と比較して、容量測定値が参照値と相違した箇所で、参照電圧Vに加えて補足補正電圧ΔVが対応するアクチュエータ5に印加されるように命令する。従って、アクチュエータ5の供給電圧を調節することによって、全ての容量測定値は参照値と同等にされるため、全ての膜2と皿状部3の底部3.1との距離も等しくなる。
【0158】
従って、レンズまたは鏡の正確な動作のために必要な平行が、自動移動制御によって確保される。当該自動制御は当業者にいかなる問題も提起しない。
【0159】
光学素子の焦点距離を変化させたい場合、図12に示されるように、測定手段8.1を使用して、膜2と皿状部3の底部3.1との間の間隔dが測定され、測定値が自動制御手段8へと供給され、全ての駆動手段のアクチュエータ5に電圧V0が印加される。一対以上の電極5.11、Eの対7が寄生変化εを検出する場合、自動制御手段8は、寄生変化εを検出した電極の対7に最も近い1つ以上のアクチュエータ5に追加の補正電圧ΔV0を印加するように命令する。1つ以上のアクチュエータ5追加の補正電圧ΔV0を印加することは、変化εが相殺されるように膜2を局所的に移動させることを意味する。
【0160】
電極の対7の数は、アクチュエータ5の数及び膜2との接点の数、応力領域2.2の表面積及び剛性の関数である。電極の対7の位置もまた、アクチュエータ5の接点に応じて最適化されなければならない。電極の対7によって検出される変化を相殺することが目的であるため、電極の対7をそれぞれのアクチュエータ5に配置することが適切なようである。測定手段の電極の対の電極がアクチュエータの電極と統合された構成は、特に単純で安価であるため、特に有利である。電極の対7をアクチュエータ5の間に配置することが想定されるのは明らかであるが、自動制御手段の形成はより困難になるだろう。
【0161】
電極5.11、Eの表面は、休止位置で液体4の厚さに直接連結され、液体4の厚さが厚いほど電極5.11、Eの表面積は大きくなる。
【0162】
それらの寸法に関して言うと、光学素子の正確な動作に必要な精度を組み込むことも必要である。実際、対向する電極5.11、Eによって形成される平坦なキャパシタの容量Cは、C=ε’S’/eによって表され、ここでS’は電極の表面積、eは液体の厚さ、ε’は液体の誘電率である。キャパシタQの電荷は、Q=CV’によって表され、ここでV’はキャパシタの電極に印加された電位差である。結果として、Q=ε’S’V’/eが導かれる。V及びε’が一定の場合、S’が大きくeが小さければQが大きくなり、その結果電極E1及びE2の精度が上がる。目的とする光学素子の性能を考慮すると、電極間の最大変化εmaxは画像の品質に影響を与えることなく許容され得る。電極の対の測定精度はεmaxより小さくなければならない。
【0163】
オートフォーカス及びズームの用途では、光学素子の焦点距離は高速、言い換えると、より短い応答時間が確保される高い頻度で修正されなければならない。カメラまたはフィルムカメラの用途では依然として、焦点距離の変化の間に光学素子がとるいくつかの距離のために、必要とされる焦点距離が見つかるまでイメージテストを実施するためにイメージセンサが使用され得る。このような動態的作用では、所定の焦点距離のための容量測定値が複数回測定される。実際に、必要な光学品質を確保するためには、それぞれの焦点距離において、容量測定値を収集する複数回のサイクル、参照値との比較、データの処理及びアクチュエータの命令が必要とされる。従って、容量測定値の収集回数が、焦点距離の変更の回数より著しく多いことが必要である。
【0164】
光学性能の許容される範囲内で、液体レンズの応答時間を低減すると同時に移動の均一性を確保するために、容量測定値による移動の制御に関連する信号の処理の全体が最適化されなければならない。これは当業者にいかなる問題も提起しない。
【0165】
焦点距離の変更は、駆動手段5によって生じる力によって制御されるが、移動は自動制御手段8を使用することによって制御される。このような移動の制御、つまり膜の変形によって、光学素子の光学品質を著しく向上させることが可能となる。
【0166】
本発明の光学素子を使用した位置付けの望ましくない影響は、以下の2つの因子が推測される。1つ目は、液体4の体積の制限、ひいては液体4の重量の最小化であり、2つ目は、容量性測定を使用した膜2の移動の制御である。
【0167】
ここで、液体レンズ型の光学素子の別の実施形態について説明する。図14Aから14Eを参照する。図14Aにおいて、ここでは膜2の支持体1.5は、プレート1.1に接合されたフレーム1から形成されて皿状部3を形成している。プレート1.1は皿状部3の底部を実体化しており、透明である。前述のものと比較して、膜2の位置、静電駆動手段2の位置、液体4の位置はいずれも変更されていない。
【0168】
図14Aに示されるように、透明プレート1.1は、実質的に平行な平坦な面を有して実質的に一定の厚さからなり得る。少なくとも1つの面は、図14B、図14C、図14Dのように、外側の面が凹状または凸状に構成されることができる。必要な光学性能に応じて選択される。レンズを横切る光学的放射を通過させる。フレーム1はシリコンなどの半導体材料からなってよく、特に自動制御が備えられている場合、駆動手段の命令の処理に関連する回路を集積することが可能となる。図面を過度に複雑にしないために回路は図示されていない。一方で、図14Aには、電力供給パッド150及び駆動手段5の可動電極5.12と電気的に接続された導電通路151が示され、当該通路151及び当該パッド150は、可動電極5.12に適切な電圧を印加する駆動の間に使用される。固定電極に関連する通路及びパッドは図示されていないが、当業者がそれらを想定することに何の支障もない。前記パッド及び前記トラックは、以前の図面では図面を過度に複雑にしないように省略されていたが、それらが備えられていることは明らかである。透明プレート1.1は。ガラスまたはプラスチック材料からなり得る。
【0169】
図14B、14Cにおいて、透明プレート1.1は凸状構造であり、図14Dにおいては凹状構造である。透明プレート1.1は、例えば機械加工または成形によって得られることができる。
【0170】
図14Eにおいて、支持体1.5はフレーム1によって実態化され、透明プレート1.1は第2膜20によって置き換えられる。2つの膜2、20は、フレーム1上に、それぞれその主面の1つ上に固定される。それらは液体4のためのハウジングの形成に寄与する。これによって膜の光学性能が強化されることができる。静電駆動手段5は膜2の1つのみに備えられる。固定電極5.11は、フレーム1.1の段上に配置される。膜2の3領域に駆動手段が備えられた状態が示されている。他方の膜20は駆動されないが、それにもかかわらず、駆動手段5が駆動された場合に変形する。
【0171】
図14Fに示された変形例では、膜2に接触する電極と他方の膜20に接触する電極とにそれぞれアクチュエータが備えられることができる。この構成において、駆動手段5は単一のアクチュエータを備える。この構成では、2つの膜2、20が駆動され、電極5.11は固定電極として考慮されない。フレーム1と第2膜20とを備えた支持体1.5に連結される。
【0172】
このような可変の焦点距離を有する光学素子は、特に単一の膜のみを備える場合、従来の素子よりもかなり簡略化されている。簡略化の利点に加えて、特にリークのリスクが制限されるため、小型、製造コスト、全体の信頼性が最適化される。
【0173】
本発明の目的である光学素子が形成される規模は、従来の液体レンズが形成される規模よりもずっと小さい。ウエハを製造する技術は正確且つ再現可能であるため、液体の量は数百mmから数mm程度まで低減され得る。この利点によって2つの従来の問題を防ぐことが可能となる。これらの問題は、光学素子の作動上の温度及び圧力の変動の影響並びにその耐衝撃性である。実際に、定容レンズにおいて液体の量を最小化することによって、温度及び圧力の変動によるこの液体の膨張現象が制限される。
【0174】
さらに、液体の容量が少ないほど、光学素子の耐衝撃性は向上する。実際に、液体の質量が減少すると、衝撃を受けた場合に膜が受ける力は減少する。
【0175】
このような可変の焦点距離を有する光学素子は、カメラ装置、特に携帯電話カメラに採用され得る。図15Aを参照する。このようなカメラ装置は、本発明の液体型による可変の焦点距離を有する少なくとも1つの光学素子Lを含む対物レンズ80と、基板82に埋め込まれた例えばCCDまたはCMOS型などのイメージセンサとを備える。開示された実施例において、対物レンズ80は、固定焦点距離を有する少なくとも1つのレンズ83と、本発明による液体レンズLとを備える。以降、固定焦点距離を有するレンズ83は、従来の光学セットと称される。液体レンズLは従来の光学セット83とイメージセンサ81との間に配置される。変形例では、従来の光学セット83は、液体レンズLとイメージセンサ81との間に配置され得る。従来の光学セット83は固定される。製造方法の利点によって、液体レンズLはMOEMS(マイクロオプトエレクトロメカニカルシステム)と比較され得る。可変の焦点距離を有する液体レンズLは特定の距離で配置され、その距離は対物レンズ80、イメージセンサ81の特性に依存するが、この距離が小さい場合は、液体レンズL及びイメージセンサ81は、AIC(上部集積回路)技術またはWLCSP(ウエハレベルチップスケールパッケージ)技術のいずれかに集積することによって単一の部材のみを形成することができる。液体レンズLの焦点距離は、休止位置での液体の圧力を最適化することによって調節されるが、休止位置での膜の曲率及び液体の屈折率によっても調節され得る。
【0176】
図15Bのようにカメラ装置がさらにズーム機能を有する場合、光学セット83は、固定焦点距離を有する少なくも2つのレンズ83.1及び83.2と、2つの液体レンズL及びL’とを備えて使用され、図15Bのようにその一方は光学セット83の2つのレンズ83.1、83.2の間に配置され、他方はイメージセンサ81に隣接して配置される。
【0177】
本発明のいくつかの実施形態が詳細に説明されたが、本発明の範囲を逸脱することなく別の変更及び修正がなされ、特に多数の別の方法を使用して膜及び駆動手段が形成され得ることを理解されたい。
【符号の説明】
【0178】
1 フレーム
1.1 透明プレート
1.5 支持体
2 膜
2.1 光場/中央領域
2.2 応力領域
2.3 固定領域
2.4 保護領域
2.5 保護領域
2.6 補強領域
3 皿状部
3.1 底部
3.2 傾斜側面
4 液体
5 駆動手段
5.11 固定電極
5.12 可動電極
8 自動制御手段
8.1 容量性測定手段
10 液体レンズ
53 誘電層
20 第2膜
20.1 サブ層
20.2 サブ層
80 対物レンズ
81 イメージセンサ
82 基板
83 レンズ
L 液体レンズ
100 基板
101 犠牲層
102 レンズ
103 液体
104 周囲弾性フィルム
105 周囲容器
106 弾性フィルム
107 穴
110 基板
115 空洞
150 電力供給パッド
151 導電通路
1000 液体レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後面と称される膜の一方の面と接触する一定体積の液体(4)の収容に寄与する支持体(1.5)上の固定領域(2.3)と、休止位置から可逆的に変形することが可能な実質的な中央領域(2.1)と、厳密に前記中央領域(2.1)と前記固定領域(2.3)との間に位置する少なくとも1つの領域(2.2)において膜に応力を加えることによって、前記中央領域(2.2)において液体(4)を移動させる駆動手段(5)と、を備えた変形可能な膜(2)を有する光学素子であって、
前記駆動手段(5)が静電性であり、少なくとも一対の対向する電極を備え、前記電極の対のうちの一方が前記膜の後面の位置に配置されるかまたは前記膜内に埋設され、他方が前記支持体の位置に配置され、これらの電極(5.11、5.12)が誘電体によって分離され、前記誘電体が少なくとも前記液体(4)によって形成されていることを特徴とする光学素子。
【請求項2】
前記誘電体が、前記液体に加えて、前記対向する電極の内の少なくとも一方の上に配置された追加の誘電体(53)から形成され、前記誘電体が前記液体(4)と接触していることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
【請求項3】
前記膜(2)が光場(2.1)と応力領域(2.2)との間で均一であることを特徴とする請求項1または2に記載の素子。
【請求項4】
前記応力領域(2.2)が、前記中央領域に侵入することなく前記中央領域(2.1)まで延びるかまたは前記中央領域より前で停止することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の素子。
【請求項5】
前記応力領域(2.2)が、前記固定領域に侵入することなく前記固定領域(2.3)まで延びるかまたは前記固定領域より前で停止することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の素子。
【請求項6】
駆動の間に前記一対の電極の2つの電極が接触する状態となることを防止するために、一対の電極(5.11、5.12)が機械的ストッパ(B)と連携することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項7】
前記膜(2)が、単層または多層であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項8】
前記膜(2)が、前記膜の全表面を占める少なくとも1つの連続層(20.2)を備えることを特徴とする請求項7に記載の光学素子。
【請求項9】
前記膜(2)の位置に配置された前記電極(5.12)が、前記応力領域(2.2)を超えて、前記固定領域(2.3)と、必要であれば前記支持体(1.5)と接触する状態となることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項10】
応力領域(2.2)が単一である場合、前記応力領域(2.2)が前記中央領域(2.1)を取り囲み、応力領域(2.2)が複数ある場合、前記応力領域のそれぞれが前記中央領域(2.1)を取り囲むかまたは全ての前記応力領域が前記中央領域(2.1)を取り囲むことを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項11】
前記応力領域(2.2)がクラウンであるかまたはクラウンの一部であり、必要であれば前記固定領域(2.3)または前記中央領域(2.1)に向かって突出する放射状の突出部を備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項12】
いくつかの応力領域(2.2)が、前記中央領域(2.1)の周囲に不連続のクラウンを形成し、前記膜が、前記中央領域(2.1)を取り囲み、前記応力領域よりも硬く前記中央領域と前記応力領域との間に配置された、連続した補強領域(2.6)をさらに備えることを特徴とする請求項1から11に記載の素子。
【請求項13】
前記支持体(1.5)が実質的に平坦であるかまたは前記液体(4)を収容する皿状部(3)を備えることを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項14】
前記支持体が、底部及び傾斜側面を有する皿状部(3)を備え、前記支持体の位置の前記電極(5.11)が前記底部及び前記傾斜側面上に延びることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項15】
前記支持体(1.5)が、フレーム(1)と、前記フレーム上に固定された第2膜(20)と、を備え、前記支持体(1.5)の位置に配置された前記電極(5.11)が前記第2膜と接触していることを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項16】
前記支持体(1.5)が、フレーム(1)と、前記フレームに固定されて前記液体(4)のための皿状部(3)の形成に寄与する透明プレート(1.1)と、を備え、前記透明プレートが実質的に平坦且つ平行な面を有するかまたは前記皿状部の外側の1つの面が実質的に凹状であるかまたは前記皿状部の外側の1つの面が実質的に凸状であることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項17】
前記支持体(1.5)が、一体に組み立てられた2つの基板(100、110)を備え、前記膜(20)が前記基板のうちの一方(100)と連結され、前記支持体の位置に配置された前記電極(5.11)が前記基板のうちの他方(110)と連結されたことを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項18】
前記応力領域(2.2)の位置に液体(4)の厚さを測定するための容量性手段(5.11、E)が備えられたことを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項19】
前記容量測定手段(5.11、E)が、前記駆動手段(5)の前記電極と統合されたかまたは一部統合されたことを特徴とする請求項18に記載の光学素子。
【請求項20】
測定された液体(4)の厚さに応じて、前記駆動手段(5)を自動的に制御するための手段(8)を備えることを特徴とする請求項18または19に記載の光学素子。
【請求項21】
前記膜(2)が、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、パリレン、エポキシ樹脂などの有機系材料またはシリコン、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコンカーバイド、多結晶シリコン、窒化チタン、ダイヤモンド状炭素、酸化インジウムスズ、アルミニウムなどの無機系材料からなることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の光学素子。
【請求項22】
前記液体(4)が、プロピレンカーボネート、水、インデックスリキッド、光学オイルであることを特徴とする請求項1から21に記載の光学素子。
【請求項23】
液体レンズまたは鏡であることを特徴とする請求項1から22に記載の光学素子。
【請求項24】
請求項1から23に記載の光学素子(L、L’)を少なくとも1つ備えることを特徴とするカメラ装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図4F】
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【図4G】
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【図4H】
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【図4I】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図5H】
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【図5I】
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【図5J】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【公表番号】特表2010−533887(P2010−533887A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516509(P2010−516509)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059392
【国際公開番号】WO2009/010562
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】