説明

非カチオン性殺菌剤含有歯磨き顆粒の製造方法

【課題】非カチオン性殺菌剤を微細にかつ安定して含有しうる歯磨き顆粒、及び該歯磨き顆粒の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して混合液Aを得る工程1、水及び水不溶性無機結合剤を混合して混合液Bを得る工程2、及び前記混合液A、前記混合液B及び水不溶性粉末材料を混合してスラリーCを得る工程3、を有する歯磨き顆粒の製造方法、及び該製造方法により得られる歯磨き顆粒。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非カチオン性殺菌剤を配合した歯磨き顆粒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬効成分を含有した歯磨き顆粒は、歯と歯の間や歯と歯肉の隙間に薬効成分を直接作用させるための剤型として有効である。そのような例として、特許文献1は、アズレン、ビタミンE、β−グリチルレチン酸、ジヒドロコレステロール、クロルヘキシジン、エピジヒドロコレステロール、イソプロピルメチルフェノール、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン及びヒノキチオールからなる群より選ばれる口腔用薬効成分を配合した水不溶性の結合剤を造粒して得られる顆粒を配合した歯磨剤及びその製造方法を開示している。
【0003】
【特許文献1】特許2857789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1記載の製造方法では、薬効成分が製造する顆粒に比べて比較的大きな粉末である場合には、薬効成分が、顆粒内において析出する等不均一になり、顆粒の価値が低下してしまうことがあった。
本発明の課題は、非カチオン性殺菌剤を微細にかつ安定して含有する歯磨き顆粒の製造方法、及び口腔用液状物の製造方法、及びこれらの製造方法により得られる歯磨き顆粒及び口腔用液状物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(1)工程1:炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を配合して混合液Aを得る工程、
工程2:水及び水不溶性無機結合剤を混合して混合液Bを得る工程、及び
工程3:前記混合液A、前記混合液B及び水不溶性粉末材料を混合してスラリーCを得る工程、
を有する歯磨き顆粒の製造方法、
【0006】
(2)上記(1)記載の製造方法により得られる歯磨き顆粒、
(3)炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して得られる混合液Aと、該混合液A中の炭素数1〜4のアルコール100質量部に対し30〜330質量部の水とを混合する口腔用液状物の製造方法、及び
(4)上記(3)記載の製造方法により得られる非カチオン性殺菌剤口腔用液状物、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、非カチオン性殺菌剤を微細にかつ安定して含有する歯磨き顆粒及び口腔用液状物を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
[歯磨き顆粒の製造方法]
本発明の歯磨き顆粒の製造方法は、炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して混合液Aを得る工程(工程1)、水及び水不溶性無機結合剤を混合して混合液Bを得る工程(工程2)、及び前記混合液A、前記混合液B及び水不溶性粉末材料を混合してスラリーCを得る工程(工程3)、を有する。
【0009】
工程1
工程1は、炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して混合液Aを得る工程である。
炭素数1〜4のアルコールとしては、非カチオン性殺菌剤の溶解性の点から、エタノール又はイソプロピルアルコールが好ましく、エタノールがより好ましい。
炭素数1〜4のアルコールの配合量は非カチオン性殺菌剤が溶解する量であれば特に制限はないが、経済性,液の安定性の観点から、本発明の歯磨き顆粒100質量部に対して0.2〜10質量部が好ましく、0.6〜5質量部がより好ましい。
【0010】
工程1においては、上記アルコール100質量部に対して、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して混合液Aを調製する。
非カチオン性殺菌剤としては、例えば、ハロゲン化ジフェニルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ハロゲン化カルボアニリド、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、フェノール系化合物等が挙げられ、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の歯磨き顆粒において、非カチオン性殺菌剤としては、口腔内の強力な殺菌力及び歯垢形成抑制効果が優れている点から、ハロゲン化ジフェニルエーテルが好ましく、特にトリクロサンが好ましく用いられる。
【0011】
非カチオン性殺菌剤の配合量は、上記アルコール100質量部に対して6〜60質量部であり、ハンドリング,経済性、液の安定性の観点から、アルコール100質量部に対して8〜40質量部であることが好ましい。
また、非カチオン性殺菌剤の配合量は、上記観点から、本発明の歯磨き顆粒に対して、0.005〜20質量%であることが好ましく、0.01〜10質量%であることがより好ましく、0.05〜5質量%であることが更に好ましい。
【0012】
混合液Aにおいて、水は25〜200質量部配合される。本発明においては、液の安定性、及び顆粒中に非カチオン性殺菌剤を微細にかつ安定して含有させる観点から、上記アルコール100質量部に対して、50〜150質量部配合されることが好ましい。
上記混合液Aにおける非カチオン性殺菌剤、炭素数1〜4のアルコール及び水の配合順序については特に制限はなく、これらを同時に添加することもできる。混合温度は通常の室温であればよく、例えば5〜40℃が好ましい。
【0013】
工程2
工程2は、水及び水不溶性無機結合剤を混合して混合液Bを得る工程である。
水不溶性無機結合剤は、水不溶性粉末材料を結合し、所望の顆粒を得る等の目的で使用されるものである。従って、水不溶性無機結合剤としては水に分散した際の分散粒径が、2〜900nm、好ましくは3〜700nm、更に好ましくは4〜500nmであることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。分散粒径は、透過型電子顕微鏡による観察、動的光散乱式粒径分布測定装置やレーザー解析/散乱式粒径分布測定装置により求めることができる。
【0014】
また、水不溶性無機結合剤の種類は特に限定されないが、好適には、金属酸化物、金属水酸化物、珪酸化物、粘土鉱物等から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。例えば、金属酸化物としては、アルミナゾル、酸化マグネシウム等が、金属水酸化物としては、水酸化アルミニウムゲル、合成ヒドロタルサイト、水酸化マグネシウム等が、珪酸化化合物としては、コロイダルシリカ、メタ珪酸アルミン酸マグネシウム、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム等が、粘土鉱物としては、ベントナイト、モンモリロナイト、カオリン等が使用できる。その他、炭酸マグネシウムも使用することができ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、本発明においては、結合性が強く、顆粒強度制御が容易な点から、コロイダルシリカが好ましい。
水不溶性無機結合剤の配合量は、上記観点に加え、口腔内の使用感の観点から、本発明の歯磨き顆粒に対し有効分として1〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。
【0015】
工程2においては、水を配合する。水は上記水不溶性無機結合剤に含まれていることがあるが、本発明においては、スラリーの見掛け粘度を調整する観点から、別途、水を添加することが好ましい。
工程2における水の配合量は、スラリーの見掛け粘度の調整、乾燥効率の観点から、水不溶性無機結合剤100質量部に対し、10〜600質量部であることが好ましく、20〜500質量部であることがより好ましい。
本発明においては、上記混合液Bは、通常、懸濁液あるいは透明な状態である。
工程2においては、混合温度は通常の室温であればよく、操作上の観点から5〜40℃が好ましい。
【0016】
工程3
工程3は、工程1で得られた混合液A、工程2で得られた混合液B及び水不溶性粉末材料を混合してスラリーCを得る工程である。混合液A及び混合液Bについては、前述の通りである。
水不溶性粉末材料は、歯磨き剤として歯や口腔内の清掃力を高める等の目的で使用されるものである。従って、水不溶性粉末材料としては水に分散した際の分散粒径が、1〜100μm、好ましくは2〜70μm、更に好ましくは2〜50μmであることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。分散粒径は、透過型電子顕微鏡による観察、動的光散乱式粒径分布測定装置やレーザー解析/散乱式粒径分布測定装置により求めることができる。
【0017】
また、水不溶性粉末材料の種類は特に限定されないが、好適には、無機アルカリ土類金属塩、珪酸化合物、セルロース類から選ばれる1種または2種以上用いることができる。例えば、無機アルカリ土類金属塩としては、第二リン酸カルシウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、燐酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が、珪酸化合物としては、ゼオライト、複合アルミノ珪酸塩、シリカ等が、セルロース類としては、パルプ粉末、不溶性粉末セルロース、粉末α−セルロース、パルプ等、必要に応じてこれらを化学処理して不溶化したものが使用できる。その他、ベンガラ、不溶性メタ燐酸ナトリウム、水酸化アルミニウム等も使用することができ、これらは単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらのうち、経済性と清掃力の観点から、炭酸カルシウム又は炭酸カルシウムと上記粉末セルロースとの組み合わせが好ましい。
【0018】
水不溶性粉末材料の配合量は、歯磨き剤として歯や口腔内の清掃力を高める等の観点から、本発明の歯磨き顆粒に対し30〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。
上記混合液A、混合液B及び水不溶性粉末材料の配合割合は、ハンドリング性の点から、混合液A100質量部に対し、混合液Bを1,500〜5,000質量部、水不溶性粉末材料を1,500〜5,000質量部配合することが好ましく、混合物Bを2,000〜4,000質量部、水不溶性粉末材料を2,000〜4,000質量部配合することがより好ましい。
混合液A、混合液B及び水不溶性粉末材料の配合順序は特に制限はないが、操作性、良好な混合状態を得る観点から、同時に添加することあるいは混合液Bに混合液A及び水不溶性粉末材料を添加することが好ましい。
【0019】
工程3における混合手段は公知の混合手段がいずれも使用でき、バッチ式、連続式、セミバッチ式の何れであってもよいが、混合性、操作性の点から、攪拌装置を有した槽型の混合機を用いることが好ましい。
混合温度は通常の室温であればよく、5〜40℃が好ましい。また、混合時間は粉体がある程度均一になる時間であればよい。
得られるスラリーの粘度は、スラリーを乾燥できる粘度であればよく、操作上の点から、常温(20℃)で10〜200mPa・sが好ましく、30〜150mPa・sがより好ましい。上記粘度の測定は、B型粘度計(測定時間1分,No.2ローター,ローター回転数60r/min)を用いて求めることができる。
【0020】
工程3で得られたスラリーC中における固形分濃度は、乾燥効率やスラリー粘度の観点から、10〜90質量%であることが好ましく、30〜70質量%であることがより好ましい。
工程3においては、より低いシェアで非カチオン性殺菌剤の析出を抑制する観点から、得られたスラリーCのpHを5〜10に調製するのが好ましい。pHの上限は、スラリーのハンドリング性の観点から9とするのがより好ましく、下限は粘度制御の観点より7とするのがより好ましい。pH調製剤としては、食品添加物用の有機酸が好ましく、有機酸としては、経済性、味覚の観点からリンゴ酸、クエン酸が好ましい。
スラリー中の非カチオン性殺菌剤の平均粒径は、50μm以下が好ましく、10μm以下が更に好ましい。
【0021】
本発明においては、前記スラリーCを乾燥して歯磨き顆粒を得ることができる。なお、乾燥後の顆粒中における非カチオン性殺菌剤の状態は、乾燥によって揮発や分解が起こらないことから、工程3で得られるスラリー中における非カチオン性殺菌剤の析出状態に依存し、乾燥工程にはほとんど影響されない。
スラリーCを乾燥して顆粒を得る方法は、特に限定されないが、生産性の観点からは噴霧造粒法が好ましい。乾燥機としては水分を除去できる乾燥装置であれば公知のものがいずれも使用でき、生産性の観点から、噴霧乾燥機、流動層乾燥機が好ましい。
【0022】
[歯磨き顆粒]
本発明の歯磨き顆粒は、上述した本発明の歯磨き顆粒の製造方法により得られるものであり、非カチオン性殺菌剤を微細にかつ安定して含有するものである。
歯磨き顆粒の平均粒径は、口腔内の歯と歯の間や歯と歯肉の間の隙間に入りやすさという観点から、10〜500μmが好ましく、100〜400μmがより好ましく、100〜300μmが更に好ましい。
本発明によれば、通常、常温で比較的大きな粉末形状を有する非カチオン性殺菌剤を、平均粒径が10〜500μm程度の顆粒中に微細にかつ安定して含有させることができる。非カチオン性殺菌剤は顆粒中で、好ましくは50μm以下の安定した状態で存在し、より好ましくは10μm未満の微細かつ安定した状態で存在で存在する。
上記顆粒の平均粒径は、JIS K 8801規定の標準篩を用いて5分間振動させた後、各篩目のサイズによる質量分布から測定する方法により得られる。
【0023】
[非カチオン性殺菌剤含有口腔用液状物の製造方法]
本発明の口腔用液状物の製造方法は、炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して得られる混合液Aと、該混合液A中の炭素数1〜4のアルコール100質量部に対し30〜330質量部の水とを混合して液状物を得る工程を有する。
炭素数1〜4のアルコール、水及び非カチオン性殺菌剤、及び混合液Aについては、前述の通りである。混合液Aと混合する水の配合量は、混合液A中の炭素数1〜4のアルコール100質量部に対し30〜330質量部であるが、結晶生成の抑制の観点から50〜300質量部がより好ましい。
【0024】
混合液Aと水の配合順序には特に制限はない。また、混合温度は通常の室温であればよく、操作上,水分蒸発を抑制する観点から5〜40℃が好ましい。
混合手段としては、対流タイプ,分散タイプ等いずれの混合機を用いることもできるが、特に剪断を行いながら分散できるディスパー翼を備えた混合機を用いるのが好ましい。
【0025】
[非カチオン性殺菌剤含有口腔用液状物]
本発明の非カチオン性殺菌剤含有口腔用液状物は、上記製造方法により得られるものである。
本発明において、口腔用液状物は、例えば、練歯磨き、液状歯磨き等の歯磨き類、洗口剤、トローチ、口中清涼剤等として調製することができるが、本発明においては、簡便に調製可能な観点から洗口剤として調製するのが好ましい。
【実施例】
【0026】
以下に実施例等により、本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例等においては、各性状値は次の方法により測定、評価した。
[顆粒中のトリクロサンの大きさ]
乾燥後に得られる顆粒中のトリクロサンの大きさは、スラリー中のトリクロサン結晶の大きさにより決まるとの知見から、スラリー中のトリクロサン結晶の大きさをCCDカメラで観察し、その画面における全ての針状結晶の長径を測定し、その平均をトリクロサン結晶の大きさと見做し、スラリー調製後15分、30分、60分、120分の各々の時点において、下記基準で評価した。結果を表1、表2及び表3に示す。
評価基準
1:10μm以上の結晶が観察されない
2:10〜50μmの結晶が観察された
3:50μmより大きな結晶が観察された
【0027】
[スラリーの粘度]
B型粘度計を用いて、測定時間1分、No.2ローター、ローター回転数60r/minで測定した。
【0028】
実施例1
表1の工程1の欄に示す配合割合でエタノール、トリクロサン(商品名:イルガサンDP300、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)及び水を同時に混合し混合液Aを得た(工程1)。また、表1の工程2の欄に示す割合と装置条件で、水とコロイダルシリカ(商品名:スノーテックスS、日産化学工業(株)製、固形分:30.5%、粒子径:8〜11nm)を混合し、混合液Bを得た(工程2)。その後、表1の工程3の欄に示す割合と装置及び装置条件で混合液Aと混合液Bと炭酸カルシウム(商品名:トヨホワイト、東洋電化工業(株)製、粒子径:2〜5μm)とを同時に添加し、スラリーCを得た(工程3)。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後120分において評価1であった。
【0029】
実施例2
実施例1において、工程3で混合液Aと混合液Bとを先ず混合し、その後炭酸カルシウムを添加した以外は、実施例1と同様にスラリーCを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後120分において評価1であった。
【0030】
実施例3
実施例1において、工程3でクエン酸を添加し、スラリーCのpHを8.0に調整し、更に、工程3では、表1に示す装置及び装置条件で混合液Aと混合液Bと炭酸カルシウムを混合した以外は、実施例1と同様にしてスラリーを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。また、pHを調整したことにより低攪拌周速で混合することができた。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後120分において評価1であった。
【0031】
実施例4
実施例3において、工程3でリンゴ酸を添加し、スラリーCのpHを8.0に調整した以外は実施例3と同様にして、スラリーCを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。また、pHを調整したことにより低攪拌周速で混合することができた。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後120分において評価1であった。
【0032】
比較例1
実施例1において、工程1において水を添加しなかった以外は、実施例1と同様にスラリーを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後15分において評価3であった。
【0033】
比較例2
実施例2において、工程1において水を添加しなかった以外は実施例2と同様にスラリーCを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後15分において評価3であった。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例5
表2の工程1の欄に示す割合で、エタノール、水、トリクロサン(商品名:イルガサンDP300、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を混合し混合液Aを得た(工程1)。さらに、表2に示す割合で水を添加し、液状物を得た。液状物中のトリクロサン結晶の大きさは液状物調製後120分において評価1であった。
【0036】
比較例3
表2の工程1の欄に示す割合で、エタノール、水、トリクロサン(商品名:イルガサンDP300、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を混合し混合液Aを得た(工程1)。さらに、表2に示す割合で水を添加し、液状物を得た。液状物中のトリクロサン結晶の大きさは液状物調製後120分において評価3であった。
【0037】
【表2】

【0038】
実施例6
表3に示す攪拌機(ディスパー翼(型式:ハイパーミキサー、アシザワニロアトマイザー(株)製)で混合した以外は、実施例1と同様にスラリーCを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後120分において評価1であった。スラリーを送風温度190℃,ノズル径0.8mm,噴霧圧力0.8MPaの時、排風温度103℃となる条件で噴霧乾燥し、平均粒径185μmの顆粒を得た。
顆粒の断面をTOF−SIMSにて観察すると(測定条件後述)、トリクロサンは粒子中均一に分布していた(図1参照)。
【0039】
比較例3
表3に示す攪拌機で混合した以外は比較例1と同様にスラリーCを得た。得られたスラリーの粘度は、常温(20℃)で50mPa・sであった。スラリー中のトリクロサン結晶の大きさはスラリー調製後15分において評価3であった。スラリーを送風温度190℃,ノズル径0.8mm,噴霧圧力0.8MPaの時、排風温度102℃となる条件で噴霧乾燥し、平均粒径185μmの顆粒を得た。
顆粒の断面をTOF−SIMSにて観察すると(測定条件後述)、トリクロサンは粒子表層に偏在していた(図2参照)。
【0040】
TOF−SIMSの測定条件
機器名:TOF−SIMS IV(ION−TOF社製)
測定条件:1次イオン Au1 25kV(0.9pA)
サイクルタイム 100μs
negativeイオン検出
測定面積 250μm角〜350μm角
256×256pixcel 積算32scan
【0041】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明の製造方法によれば、非カチオン性殺菌剤を微細にかつ安定して含有する粉末及び顆粒を製造することができることから、非カチオン性殺菌剤含有歯磨き顆粒の製造に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例6において得られた顆粒の断面のTOF−SIMS観察図である。
【図2】比較例3において得られた顆粒の断面のTOF−SIMS観察図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程1:炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して混合液Aを得る工程、
工程2:水及び水不溶性無機結合剤を混合して混合液Bを得る工程、及び
工程3:前記混合液A、前記混合液B及び水不溶性粉末材料を混合してスラリーCを得る工程、
を有する歯磨き顆粒の製造方法。
【請求項2】
非カチオン性殺菌剤がハロゲン化ジフェニルエーテル、ハロゲン化サリチルアニリド、ハロゲン化カルボアニリド、p−ヒドロキシ安息香酸エステル及びフェノール系化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である、請求項1記載の歯磨き顆粒の製造方法。
【請求項3】
非カチオン性殺菌剤がトリクロサンである、請求項1又は2に記載の歯磨き顆粒の製造方法。
【請求項4】
前記スラリーCの20℃でのpHを5〜10に調製する、請求項1〜3いずれか記載の歯磨き顆粒の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により得られる歯磨き顆粒。
【請求項6】
炭素数1〜4のアルコール100質量部、水25〜200質量部及び非カチオン性殺菌剤6〜60質量部を混合して得られる混合液Aと、該混合液A中の炭素数1〜4のアルコール100質量部に対し30〜330質量部の水とを混合する工程を有する口腔用液状物の製造方法。
【請求項7】
非カチオン性殺菌剤がトリクロサンである請求項56記載の口腔用液状物の製造方法。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の製造方法により得られる非カチオン性殺菌剤含有口腔用液状物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2009−102273(P2009−102273A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276701(P2007−276701)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】