説明

非シアノアクリレートレオロジー改良剤を有する塞栓用組成物の使用

【課題】血管異常を治療するための治療の摂生法において有用である組成物を提供すること。
【解決手段】マトリックス形成成分、固体凝集物材料、及び、200,000より大きい平均分子量を有する非シアノアクリレートレオロジー改良剤を含有しており、上記マトリックス形成成分は少なくともアルキルシアノアクリレート単量体、安定剤及び可塑剤を含有し、上記固体凝集物材料は少なくとも放射線不透過剤を含有しており、イオン又は血液を含む環境で接触すると凝固する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー組成物に一般に関し、特に、血液のようなイオン性環境での処理で固体の塞栓ブロックを形成することができる液体のポリマー組成物に関する。組成物は脳動脈瘤を含む血管異常を治療するために使用されることができる。特に、本発明の組成物は、マトリックス形成成分及び固体微粒子材料を含有しており、処理で塞栓用組成物を形成するために結合することができる。
【背景技術】
【0002】
血管の塞栓血症は、多くの場合、血管中で出血する、或いは、固体の集団の腫瘍又は血管の動脈瘤に血液供給を閉鎖することをコントロールすることが選択される方法である。固体の集団の腫瘍を治療するために現在利用可能な治療の摂生法は、処理することは困難であり、特に塞栓血症、充填すること、又は、使用される組成物の特性に依存する。動脈瘤、動静脈奇形(AVM)、及び、他の血管異常(例えば、血管腫瘍)は、治療することは
困難である。脳又は脳幹に生じる傷害及び成長の治療は、特別な周囲の組織の敏感な性質により特に困難である。
【0003】
シアノアクリレート付着剤は、AVM及び他の血管異常の治療のためにほどんど30年間
使用された。これらの組成物の有用性は、細胞毒性及び重合によって生成された熱の量によって制限される。シアノアクリレート組成物の構造式において、最近の開発は、血管の疾病を治療する際にそのような組成物の有用性を改善した。例えば、2000年1月18日に発行された米国特許6015541号は、生物学的適合のフリーポリマー、生物学的適合の
溶媒、及び、可溶の放射性同位体中の約0.1〜約25重量%の水を含有している固体の集団の腫瘍の治療のための放射性組成物について記載している。生物学的適合のポリマーはシアノアクリレートのフリーポリマー変異体であり、組成物はイリジウム同位体と結合してn−ブチル−2−シアノアクリレート(NBCA)を含有している。そのような組成物はウサギで固体の集団の腫瘍に効果があることが実証されたが、組成物の粘性及び懸濁液の特性は望ましいとは言い難かった。別の不都合は、延長された懸濁液を調整するために、一定で温和な攪拌を必要として、混合後数秒内にイリジウム同位体が定着することである。
【0004】
2−ヘキシルシアノアクリレート及び金を含有している組成物は、2000年3月14日に発行された米国特許6037366号に記載されている。シアノアクリレート組成物は、前
述した組成物と比較して、改善された付着特性を実証した。そのような組成物の処理は、AVMへの処理の直前に2つの別個の材料の成分を混合することを含んでいる。1つの成分
は、純粋なリン酸ヒドロキノン及びp−メトキシフェノールを含有しているシアノアクリレート液体単量体を含有している。もう1つの成分は、純粋な粉末化された金、少量の重合前のシアノアクリレートポリマー及び脂肪酸(エチルミリスチン酸塩)を含有している。改善された付着特性は、重合のために必要とされた時間の間、材料を保持される。少量の重合前のシアノアクリレート単量体の結合は組成物中に記載されているが、非シアノアクリレートレオロジー改良剤又は粘度改良剤は記載されていない。
【0005】
一般にアルキルシアノアクリレート組成物は、2000年8月3日に発行されたPCT国際公開WO 00/44287に記載されている。組成物は、アルキルシアノアクリレート及び少
なくとも1つの抑制剤を含有しており、別の成分は、アルキルシアノアクリレート単量体、アルキルエステル化された脂肪酸及び不透過剤から形成された合成凝集物の構造からなる。組成物は、血液との接触で合成凝集物の構造を形成する。これらの組成物は、前述した組成物に関する改善された特性を実証するが、そのような組成物を処理するためにマイクロカテテール導入装置が使用される不注意な組織付着は問題のままである。非シアノアクリレートレオロジー改良剤が、そのような特性を改善することができるという暗示又は認識はない。
【0006】
したがって、AVM又は脳動脈瘤のような血管異常を治療する改善された組成物のために
まだ問題がある。改善された組成物は、25cPと2000cPとの間の見かけ上の粘度、改善された結合性、高濃度の放射線不透過剤粉末の改善された懸濁液及び放射線不透過剤の特性を有する。さらに、組成物は、水溶液の環境(例えば、血液)との接触で改善された加水分解の安定性を有する固体の組成物を形成する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、マトリックス形成成分及び任意に固体凝集物材料を含有している組成物に関する。マトリックス形成成分は液体のアルキルシアノアクリレート単量体、少なくとも1つの安定剤、及び、可塑剤を含有していてもよい。組成物は、マトリックス形成成分を有する固体凝集物材料を組み入れ、典型的に少なくとも1つの放射線不透過性粉末(つまり、放射線不透過剤)からなってもよい。レオロジー改良剤は、さらに、組成物に、マトリックス形成成分又は固体凝集物材料と結合して、組み入れられてもよい。レオロジー改良剤は、放射性不透過剤以外に、非シアノアクリレートポリマー又は細かい無機微粒子の化合物であってもよい。
【0008】
組成物は、血管異常を治療するための治療の摂生法において有用である。組成物の処理によって治療される血管異常は、例えば、AVM、動脈瘤、痩管及び腫瘍を含んでいる。イ
オン性環境との接触で、液体の組成物は、弾性のあるポリマーのマトリックスの調和を有している、凝固された組成物を形成して、粘度を急速に増加させる。
【0009】
本発明の方法は、集団の体積又は空洞を部分的に又は完全に、組織充填する、組織充満する、又は、組織閉塞するための組成物を処理することを含んでいる。典型的には、本発明の方法によって充満される体積又は空洞は、身体(例えば、血管、導管、動脈瘤又は痩管)中の細胞内腔又は通路である。本発明の方法で形成された固体の組成物は、血管組織の疾病を緩和する、又は、望まれない組織への血液供給を止めることにより役立つ。腫瘍又は異常は、病気のエリアへの血液供給を止めることにより閉塞され、腫瘍又は異常の小さくなった成長又は消滅に帰着する。
【0010】
本発明の方法は、さらに血管スペースを塞栓するために組成物を処理することを含んでいる。組成物は、典型的に、病気、障害又はそうでなければ易感染性の血管のサイトで塞栓ブロックを形成するために血管異常のための治療が必要である患者に処理される。
【0011】
本発明の上述したこと、他の態様、利点及び新規の特徴は、本発明の下述する詳細な説明から明白になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
したがって、1つの態様では、本発明は、少なくとも1つの安定剤及び可塑剤との組合せでアルキルシアノアクリレート単量体を含有しているマトリックス形成成分に関する。マトリックス形成成分は、さらにポリマーのレオロジー改良剤を含有していてもよい。マトリックス形成成分は、1つ以上の固体凝集物材料と使用されてもよい。使用される全ての材料は、マトリックス形成成分とともに単一の注射可能な塞栓用組成物に組み入れられる、又は、塞栓用組成物を形成するための使用に先立って組合せられる、多くの別々にパッケージされる混合物のうちの1つに含有させていてもよい。安定剤成分は、酸安定剤、遊離基抑制剤、酸化防止剤又はそれらの混合物からなる。可塑剤は、柔軟性を与えて、脆性を防止し、カテーテル導入装置への付着を減少し、かつ、アルキルシアノアクリレート単量体と適合性を有するポリマー又は非ポリマー化合物の群から選択されてもよい。固体凝集物材料は、放射線不透過剤を含有しており、さらにレオロジー改良剤をさらに含有している。
【0013】
レオロジー改良剤は、放射線不透過性でない非シアノアクリレートポリマー又は細かい固体微粒子の化合物である。レオロジー改良剤は、組成物のニュートン粘性を増加させることができ、及び/又は、液体の組成物の非ニュートン性を与えることができ、その結果、チキソトロピー、疑似塑性、又は塑性の流動性の挙動を実証する。そのような挙動を示す流体は、一般に、「貧弱な剪断」として分類することができる。
【0014】
レオロジー改良剤は、25cPと2000cpとの間(好ましくは約100cPと約300cP)の外見上の粘度の液体の注射可能な組成物の特性を与えることができる(シアノアクリレートポリマー組成物の改善された結合性、高放射線不透過剤粉末の改善された懸濁液及び安定性、及び、付加的な放射線不透過性)。レオロジー改良剤は、凝固するとともに、さらに組成物の改善された表面張力を与えてもよい。
【0015】
本発明の態様では、組成物は少なくとも1つのレオロジー改良剤を含有しているならば、レオロジー改良剤は、任意にマトリックス形成成分又は固体凝集物材料に組み入れられる。組成物は、放射線不透過剤(放射線不透過性の性質を有する細かい粉末又はサブミクロンサイズの粒子を典型的に含有している)を含有していることによって、放射線不透過性にされる。典型的には、単独又はヨウ素化油との組合せで、放射線不透過剤成分は高いX線吸収を有している。
【0016】
組成物は、さらに筋肉組織を充填するのに役立ってもよい。治療することができる組織は、容積測定の充填から利益を得ることができる平滑筋括約筋及び他の組織を含んでいる。放射線不透過剤が組成物の処理のビジュアル化のために組成物に組み入れられる場合、組成物は特に有用である。
【0017】
別の態様では、本発明の方法が、本発明の組成物を処理することにより、血管スペース又は空洞を塞栓することに関する。方法は、1つ以上の固体凝集物材料を有する本発明のマトリックス形成成分を組合せることにより遂行してもよい。少なくとも液体のシアノアクリレート単量体、安定剤及び可塑剤を含有しているマトリックス形成成分は、特に、少なくとも1つの放射線不透過剤を含有している固体凝集物材料に露出される。組成物は、典型的にイオン性環境(例えば、血液)との接触で凝固する、液体の注射可能な組成物である。マトリックス形成成分又は固体凝集物材料は、非シアノアクリレート化合物(液体の注射可能な組成物の改善されたレオロジー、結合性、懸濁液安定性及び放射線不透過剤特性を与える)を含有している。さらに、非シアノアクリレートポリマー化合物の包含は、身体中で与えられた凝固された組成物で改善された加水分解の安定性を与えてもよい。
【0018】
別の態様では、本発明の方法が、動脈瘤の破裂を安定させる又は緩和するために役立つ。本発明の組成物は、破裂していない又は以前に破裂した動脈瘤の内部のスペースを閉塞するために使用されてもよい。非アルキルシアノアクリレート組成物を使用する外科以外の処理の方法は、J. Vascular and Intervention Radiology, 10:891-894, 1999年7月-8
月に記載されている。
【0019】
組成物は、液体の組成物を処理するための任意の適切な装置によって導入される。現在、利用可能な適切な装置の1つの例は、EXCELSIORTM マイクロカテーテル(Target Therapeutics社、アメリカ合衆国 カリフォルニア フリーモント)のようなマイクロカテーテ
ルである。本発明は、さらに多数の営利上利用可能な装置(例えば、カテーテル、カテーテルコイル、カテーテルワイヤー、ステント、カテーテルバルーン)を使用して、いくつかの方法を用いてもよい。組成物の導入を充填することに適切な営利上利用可能な装置の例は、SENTRYTM閉塞バルーンシステム(Target Therapeutics社、アメリカ合衆国 カリフォルニア フリーモント)である。方法は、治療学、化学療法、放射線導入装置及び遺伝
子治療組成物を加えて組合せて使用してもよい(本発明の組成物を有する近接性で適切な位置に導入される)。
【0020】
本明細書中では、用語「付着」又は「付着性」とは、別の材料の表面に引きつけられるために材料の特性又は傾向を意味する。2つの材料間の相互作用の結果として付着は生じる。第1の材料に関する第2の材料の特性によって、付着が生じてもよく、生じなくてもよい。単一の材料(例えば、本発明の組成物)については、付着の存在が血管の細胞内腔の壁にくっつく材料によって実証され、つまり、材料と細胞内腔との間に付着がある。逆に、付着の欠如は、かつて材料を置いたマイクロカテーテルチップが材料から取り除かれる同じ材料で実証される、つまり、材料とマイクロカテーテルとの間に付着はほとんどない。
【0021】
本明細書中では、用語「アルキル」とは、炭素原子が線形である又は分岐する、1〜18の原子の炭素鎖を示す。
【0022】
本明細書中では、用語「イオン性環境」とは、イオンを含んでいる環境を示す。用語「非イオン」とは、チャージされたイオンが欠けている、チャージされたイオンが他の分子と複合される、又は、有効にチャージを中和する環境を示す。例えば、水と砂糖(例えば、ブドウ糖)との溶液、及び、血液が、イオン性環境である。
【0023】
本明細書中では、用語「低アルキル」とは、炭素原子が線形である又は分岐する、1〜8の原子の炭素鎖を示す。低アルキル部分の例は、限定されず、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル、n−ヘプチル、2−ヘプチル、n−オクチル及び2−オクチル等が含まれる。
【0024】
本明細書中では、用語「分岐アルキル」とは、炭素鎖が少なくとも1つの第2又は第3に置換された炭素原子(例えば、2−ヘキシル、イソブチル、2−ヘプチル、2−オクチル及び同種なもの)を有している1〜18の原子の炭素鎖を示す。
【0025】
本明細書中では、用語「結合」又は「結合性」とは、それ自身にともにくっつく材料の特性又は傾向を示す。例えば、この特性は、静置されている流体又は血液のような運動での流動性の流れへ導入されたとき、単一の集団のように保ってとどまる材料又は組成物によって実証される。結合性の不足は、多数のより小さなサブユニットへ分裂する組成物になる。
【0026】
本明細書中では、用語「マトリックス形成成分」とは、凝固された塞栓用組成物の連続相に組み入れられる1つ以上の化合物の集合体、好ましくは5又は6以下の化合物の集合体を示す。
【0027】
本明細書中では、用語「固体凝集物材料」とは、凝固された塞栓用組成物のマトリックスとは別であるが、一般に分散された1つ以上の固体微粒子化合物又は物質、好ましくは1又は2以下の化合物を示す。
【0028】
本明細書中では、用語「充填剤」とは、組織の体積を増加させる目的で、筋肉組織、接続組織又は脂肪組織へ導入された、人工の組成物を示す。
【0029】
本明細書中では、用語「塞栓剤」とは、塞栓用組成物を形成する目的で、血管の空洞又は細胞内腔、導管、痩管、動脈瘤或いは他の身体通路へ導入された、人工の組成物を示す。
【0030】
本明細書中では、用語「塞栓用組成物」とは、マトリックス形成成分及び固体凝集物材料の集合体を示す。
【0031】
本明細書中では、用語「塞栓ブロック」、「塞栓の封鎖状態」又は閉塞とは、塞栓剤として有用な組成物の処理からの最終結果を示す。得られる塞栓ブロックは、全体的又は部分的に、血管の細胞内腔、導管、痩管、他の身体通路、又は、同様なものを機械的にブロックし、動脈瘤のような空洞内の閉塞を形成する。
【0032】
本明細書中では、用語「アルキルシアノアクリレート単量体」とは、一般式H2C=C(CN)-C(O)ORの化合物の実体を示し、Rが1〜18の炭素原子(線形又は分岐、飽和又は不飽和
、対応するアルキルシアノアクリレートポリマーを形成することができる物理的な特性を有する)のアルキル実体である。特異な形式で使用される「アルキルシアノアクリレート単量体」とは、当業者に理解される1以上の単量体を示すように意図される。
【0033】
本明細書中では、用語「アルキルシアノアクリレートポリマー」とは、アルキルシアノアクリレート単量体の重合に起因するオリゴマー又はポリマーを示す。
【0034】
本明細書中では、用語「放射線不透過剤」とは、X線又任意の同様なイメージ技術で材料を視認できるようにする放射線を選択的に吸収する又は屈折させる化合物又は組成物を示す。典型的には、上記放射線不透過剤は、PANTOPAQUE、LIPIODOL(Laboratories Guerbet、フランス オネ−ス−ボワ)及びETHIODOL(Savage Laboratories、アメリカ合衆国
メリーランド メルヴィル)のような営利上利用可能な組成物と同様に、ヨウ素化油、臭素化油、又は、それらの混合物が含まれる 。これらの営利上利用可能な材料は、組成
物を放射線不透過性にし、さらに重合の速度を遅くして、液体の単量体の量を少なくしてもよい。さらに、金、プラチナ、タンタル、チタン、タングステン、硫酸バリウム、その他同種のもの、及びそれらの混合物のような金属は、放射線不透過剤の役割をすることができる特性を有する。
【0035】
本明細書中では、用語「重合」とは、同一の単量体ユニットがオリゴマー又はポリマーとして上記単量体ユニットからなる、より大きな分子を形成するために化学上反応する化学プロセスを示す。
【0036】
本明細書中では、用語「安定剤」又は「安定成分」とは、重合の速度を止める又は遅くすることができる化合物又は組成物を示す。そのようなものの例は、リン酸及びヒドロキノンである。
【0037】
本明細書中では、用語「血管スペース」又は「空洞」とは、集団で充満されない体積又はくぼんだ空間を示す。空洞の例は、限定されず、集団にスペースが存在するとき、例えば、血管の細胞内腔、動脈瘤の嚢、カテーテル、針、カニューレ又は同様な装置のような一時的に置かれた外部装置によって作られたスペース、切除又はこれらと同様の手術によって作られたスペース、ステント又は同様な装置のようなオブジェクトの注入によって作られた物理的な空間、組成物によって作られた空間が含まれる。
【0038】
本明細書中では、用語「安定性」とは、準備の後である使用に先立って、分解又は重合に抵抗する単量体成分の能力を示す。
【0039】
本発明のアルキルシアノアクリレート単量体は、公知である。単量体は、適切な前駆体エステル、対応するアルコール、シアノ酢酸を形成するために、調整されてもよい。シアノ酢酸とアルキルアルコールとの反応は、アルキルシアノ酢酸を形成し、適切なアルキルシアノアクリレート化合物に変換してもよい。アルキルシアノアクリレート化合物の調整は、2000年1月18日に発行された米国特許6015541号、2000年3月14日に発
行された米国特許6037366号、2000年8月3日に発行されたPCT国際公開WO 00/44287に記載されている。アルキルシアノアクリレート単量体を調整するための出発材料は、例えば、Aldrich Chemical社、Sigma Chemical社又はFluka Chemical社から営利上利用可能であり、当業者に公知の方法によって調整されることができる。
【0040】
容易に、1〜18の炭素を含んでいるアルキルアルコールは、シアノ酢酸と反応される。アルコールは、1〜18の炭素を含んでおり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカ、ウンデカ、ドデカ、トリデカ、テトラデカ、ペンタデカ、ヘキサデカ、オクタデカ及び同様なものが挙げられる。特に優れたアルコールは、‘シアノアクリレート付着性組成物’とタイトルを付けられた米国特許3728375号に記載される(参照して全体に組み入れられる)。特に好ましいア
ルコールは、n−ブチル、イソブチル及び2−ヘキシルアルコールである。約1モル当量のアルキルアルコールは、有機溶剤中に1モルのシアノ酢酸と反応される。触媒量のp−トルエンスルホン酸は添加され、混合物は攪拌され、リフラックスして加熱され、適切なアルキルシアノ酢酸を提供する。
【0041】
アルキルシアノアクリレートは、Knoevenagel型反応を行われ、アルキルシアノアクリ
レートを提供する。約1モル当量のホルムアルデヒドは、有機アルコール(例えば、メタノール)のような溶媒に溶解される。
【0042】
ホルムアルデヒド溶液は、攪拌されながら、滴下しながら約1モル当量のアルキルシアノアクリレートと反応され、適切なアルキルシアノ酢酸ポリマーを産出する。反応システムは、微量の二酸化硫黄と処理され、収集フラスコは、単量体の重合を防止するように、ヒドロキノン及び85%のリン酸と処理される。初期の精製の後に、適切なアルキルシアノアクリレートが、さらに当業者に公知の複合蒸留又は他の精製技術(例えば、真空蒸留、スピニングバンドカラム及び同様なもの)を使用して、精製されてもよい。好ましいアルキルシアノアクリレート単量体は、少なくとも4つの炭素原子を有している。より好ましいシアノアクリレート化合物が、4〜10の炭素鎖を有するアルキル基からなり、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デカ及び同様なものが挙げられる。本発明の特に好ましいものは、4〜8の炭素(例えば、n−ブチル、イソブチル、ペンチル、2−ヘキシル、2−オクチル及び同様なもの)を有しているアルキルシアノアクリレートである。シアノアクリレート単量体の好ましい量は、マトリックス形成成分の重量に対して、約20%以上約75%以下である。より好ましくは、シアノアクリレート単量体は、マトリックス形成成分の重量に対して、約30%以上約70%以下で有している。
【0043】
アルキルシアノアクリレート単量体は、安定成分と結合されてもよい。安定成分は、酸安定剤、遊離基抑制剤、酸化防止剤又はそれらの混合物を含有してもよい。酸安定剤は、少なくとも1つの無機又は有機酸を含有してもよい。適切な無機酸の例は、限定されず、金属酸(例えば、リン酸)を含んでいる。有機酸は、限定されず、アルキルカルボン酸(例えば、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸及び他の同様なもの)を含んでおり、アルキル部分は1つの炭素(例えば、酢酸)から約16〜約18の炭素原子(例えば、それぞれパルミチン酸及びステアリン酸)まで含まれる。遊離基抑制剤は
、一般に低分子量の電子アクセプターである。組成物中の遊離基を禁じることができる化合物の例は、限定されず、p−メトキシフェノール、ヒドロキノン、グルヨキシド(glyoxides)及びその他同種のものが含まれる。
【0044】
酸化防止剤は、組成物中の電子のロスを減少する又は禁じることができる。
酸化防止剤の例は、限定されず、ビタミンA、C及びE(例えば、カロテノイド、アスコル
ビン酸、アルファ−トコフェロール、ベータ−トコフェロール、デルタ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロール、酢酸塩、それらのエステル及び同種のもの、或いは、それらの混合物)が含まれる。
【0045】
酸安定剤、遊離基抑制剤、酸化防止剤又はそれらの混合物は、本発明の組成物中で、陰イオンの重合及び重合の速度を禁じるために使用されてもよい。組成物中で使用される安定剤の量は、ppmの単位で、アルキルシアノアクリレートの量に比べて典型的に決定される。例えば、ヒドロキノンは、約50〜100ppmの範囲で組成物に含有されてもよい。リン酸は、典型的に約125ppm〜約375ppmの組成物に含有されてもよい。酸安定剤及び/又は遊離基抑制剤を含有する安定成分の量は、組成物中の成分により当業者によって典型的には決定されてもよい。典型的に、安定成分は、アルキルシアノアクリレート単量体に比べて組成物の約50〜500ppmまでで含有される。アルキルシアノアクリレート単量体及び安定成分は、固体凝集物材料と、ともに又は個別の混合物として、パッケージされる又は導入される。
【0046】
本発明のレオロジー改良剤は、非シアノアクリレートポリマーであってもよい。非シアノアクリレートポリマーは、典型的に、重合前であり、アルキルシアノアクリレートの液体単量体に溶解され、或いは、より好ましくは本発明の可塑剤に溶解される。非シアノアクリレートポリマーは、典型的にアルキルシアノアクリレート単量体と相溶性を有するポリマー又は共重合体である。非シアノアクリレートポリマーは、ポリ(アクリレート)、ポリ(アルケン)、ポリ(アルキルオキシド)、ポリ(アミド)、ポリ(カーボネート)、セルロースポリマー、セルロース共重合体、ポリ(ジエン)、ポリ(エステル)、ポリ(メタクリレート)、ポリ(蔗糖エステル)、ポリ(シロキサン)、ポリ(スチレン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルエーテル)、ポリ(ビニルエステル)、高いヨウ素成分を有するポリマー、高いヨウ素成分を有する共重合体、アルキルシアノアクリレート単量体と相溶性を有する他の弾性を有するポリマー及び、それらの混合物、特に注射可能な及び凝固された組成物上の適切な特性を与えるものからなる群から選択される。
【0047】
当業者は、ポリマーの相対的な重量及び液体の組成物の適切な粘度に基づいた組成物に含有されるポリマーの量を決定することができる。典型的に、ポリマーは、75000以上の分子量を有する。より好ましくは、ポリマーは、200000以上の分子量を有する。ポリマーは、液体の媒体に含有されてもよく、可塑剤溶液又はアルキルシアノアクリレート単量体自体のいずれかに含有されてもよい。
【0048】
レオロジー改良剤は、さらに細かい無機微粒子材料であってもよい。
レオロジー改良剤は、放射線不透過剤と異なり、塞栓用組成物で流体力学特性及び結合性のある特性を変更する。無機微粒子材料は、典型的に放射線不透過剤及び可塑剤の両方に組み入れられる。無機微粒子材料は、フュームドシリカ、ケイ酸土壌、例えば、ベントナイト、或いは、チキソトロピー、疑似塑性、又は塑性の流動性の特性を有するために塞栓性組成物のレオロジーを変更することができる他の無機微粒子ゲル化材料又は懸濁液材料からなる群から選択される。微粒子材料が塞栓用組成物へチキソトロピーの性質を与えれば、レオロジー改良剤のサイズ及び濃度は、適切な微粒子材料の広範囲から選択される。適切な材料は、例えば、直径で約10ナノメータ(0.1ミクロン)のフュームドシリカ粒子を含有しており、一般的に選択される粒子の性質により、直径で約5ミクロン以下の粒子を含有されてもよい。無機微粒子のレオロジー改良剤を含有する塞栓用組成物は、最初の流体力学の剪断速度の環境から別の流体力学の剪断速度の環境まで変化することで外見上の粘度の変化を示す。求められる効力は、典型的に「貧弱な剪断の挙動」として引用される。例えば、マイクロカテーテルによって流動するとき、塞栓用組成物は、低い外見上の粘度を有し、マイクロカテーテルを出て、もはや流動していないとき、比較的高い外見上の粘度を有している。粘度の変化は、アルキルシアノアクリレート単量体の重合に関係していないが、任意の化学反応がない状態で液体の塞栓用組成物の特性である。
【0049】
レオロジー改良剤は、改善された粘度、改善された結合性、改善された懸濁性、高濃度の放射線不透過性の粉末の安定性、及び、付加的な放射線不透過性のような液体の注射可能な組成物の特性を与えてもよい。ポリマーのレオロジー改良剤を含有する凝固された組成物は、重合前のシアノアクリレートを含有するシアノアクリレート組成物と比較されたとき実証する改善された加水分解の安定性を有している。
【0050】
ポリマーレオロジー改良剤は、好ましくは、マトリックス形成成分の重量に対して、約0%以上約10%以下で含有されている。より好ましくは、レオロジー改良剤の量は、マトリックス形成成分の重量に対して、約1%以上約5%以下である。
【0051】
無機微粒子のレオロジー改良剤は、固体凝集物材料の体積に対して、約0%以上約75%以下で含有している。より好ましくは、無機微粒子のレオロジー改良剤は、固体凝集物材料の体積に対して、約0%以上約40%以下で含有している。ポリマー又は無機微粒子のレオロジー改良剤は、塞栓用組成物中で単独で又は互いに結合して使用されてもよい。
【0052】
マトリックス形成成分は、可塑剤を含有している。可塑剤は、凝固された組成物に柔軟性を与えて、凝固されたポリマーの脆性を防ぐ。可塑剤は、低分子量の有機分子(例えば、有機エステル)又は低分子量のポリマーである。
【0053】
適切な有機エステルは、典型的に10以上の炭素原子を含有している。好ましくは、有機エステルは、約10〜約18の炭素原子を有している。適切なポリマーの可塑剤は、室温(例えば、20℃)以下のガラス転移温度を有する。適切な可塑剤は、アルキルシアノアクリレート単量体と相溶性を有し、凝固された組成物に、柔軟性、弾力及び最小のカテーテル付着性のような特性を与える。本発明の適切な可塑剤の例は、限定されず、芳香族エステル、アルキルエステル、フタル酸エステル、クエン酸エステル、グリセリンエステル、植物由来油、動物由来油、シリコン油、ヨウ素化油、ビタミンA、C、E、酢酸塩、そ
れらのエステル、他の生物学的適合の可塑剤、同様なもの、及び、それらの混合物が含まれる。可塑剤がヨウ素化油であり、可塑剤は組成物の放射線不透過性を増強するために組成物に組み入れられる。
【0054】
可塑剤は、典型的にマトリックス形成成分の重量に対して、約10%以上約75%以下で含有されている。好ましくは、可塑剤は、マトリックス形成成分の重量に対して、約30%以上約60%以下で含有されている。
【0055】
組成物は、さらに個別の放射線不透過剤、組成物へのX線吸収する又は分散する特性を与えるための化合物の包含によって放射線不透過性にできる。放射線不透過剤は、他の成分と、単独又は組合せで、高いX線吸収を有する、細かい又はサブミクロンのサイズの粒子を含有している。マイクロカテーテルのような適切な装置による注入中の塞栓の材料の蛍光透視法で行うビジュアル化、及び、懸濁された微粒子の適切な安定性を達成することに適している粒子の量及びサイズは、当業者によって決定されることができる。より好ましくは、放射線不透過剤は、化合物を含有しており、ここで粒子のサイズは典型的に1ミクロン以下である。適切な放射線不透過剤は好ましい粒子のサイズは、直径で約50〜約500ナノメータである。
【0056】
放射線不透過剤成分に適している化合物の例は、タンタル(Ta)、タンタル酸化物(TaO)、金(Au)、プラチナ(Pt)、ジルコニウム(Zr)、酸化ジルコニウム(ZrO)、ビスマスサブ炭酸塩、及び、硫酸バリウムである。材料は、ヨウ素化油、ヨウ素化ポリマー成分、又は、ヨウ素化可塑剤とともに使用されてもよい。
【0057】
放射線不透過性の粒子及び/又は無機のレオロジー改良剤の粒子は、コロイド、懸濁液、安定性を改善する方法で処理されてもよい。安定化された懸濁液は、均質の特性を維持し、注入のプロセスに先立ったときに又は間に塞栓の液体の差異のフロー特性及び/又は差異の放射線不透過性に結びつく発生率を減少できる。粒子は、分子の吸着又は化学反応によって粒子の表面化学を改変することができる化学剤の添加で前処理されてもよい。表面改良分子は、典型的に粒子の表面に吸着される又は結合され、組成物で粒子の懸濁液の安定性を改善する。粒子の化学の前処理は、典型的に粒子の有効な直径を変更する、又は、以下の方法で粒子−粒子相互作用を減少する。(1)立体の反発作用を増加させること、(2)静電気力を減少させること、(3)粒子の表面のエネルギーを変更すること、(4)粒子の表面上の潜在的な反応的なサイトを付加する又は除外すること。改善は、一般に、TaOへのシランカップリング又はAuへのチオールカップリングのような粒子に、長鎖の分子(例えば、C6−ポリマー)の反応的なカップリング;構造式への界面活性剤の付加;好ましくは非イオンの界面活性剤;構造式へのイオン性の分子の種の付加(例えば、単純な塩類からイオン性ポリマーまでの種);又は粒子へ吸着するか又は当業者に公知である粒子間の静電気力に影響する任意の種の付加によって遂行される。
【0058】
材料の固体凝集物の部分は、好ましくは単量体から別々に格納される。疎水性キャリアーの液体は、使用されてもよく、例えば、可塑剤、油に基づいたコントラスト剤、又は、他の疎水性の低分子量の生物学的適合の添加物である。組成物に組み入れられた放射線不透過剤の量は、塞栓用組成物の体積に基づいた約5〜約40体積パーセントである。より好ましくは、放射線不透過剤の量は、塞栓用組成物の体積に対して、約8〜約20体積パーセントである。二者択一的に、放射線不透過剤の量は、固体凝集物材料の相対的な体積に基づいて決定され、液体の組成物の体積に対して、約5%〜約40%で含有されている。好ましくは、放射線不透過剤は、固体凝集物材料の体積に対して、約25%〜約100%の量で含有されている。より好ましくは、放射線不透過剤は、固体凝集物材料の体積に対して、約60%〜約100%の量で含有されている。
【0059】
本発明の組成物は、個々の成分として、又は、個々の成分の混合物として提供されてもよく、ここでアルキルシアノアクリレート単量体及び安定成分が組合せられ、また、固体凝集物材料及び可塑剤も組合せられる。レオロジー改良ポリマーは、単量体を含有している混合物及び/又は可塑剤を含有している混合物に添加されてもよい。組成物が単一の組成物として提供されるとき、可塑剤及び固体凝集物材料が、アルキルシアノアクリレート単量体と固体凝集物材料と接触をとる前に混合される。
【0060】
したがって、上述したように、本発明の組成物は、マトリックス形成成分及び任意に固体凝集物材料を含有してもよく、上記マトリックス形成成分は、液体のシアノアクリレート単量体、少なくとも1つの安定剤及び可塑剤を含有している。固体凝集物材料は、放射線不透過剤を含有しており、レオロジー改良剤は、マトリックス形成成分として、固体凝集物材料として、又は、個別の成分としてすべて組成物に組み入れられる。
【0061】
典型的に、組成物のマトリックス形成成分は、塞栓用組成物の体積に対して、約60%〜約94%で含有されている。固体凝集物材料は、塞栓用組成物の体積に対して、約5%〜約40%で含有されている。本発明の好ましい組成物及びより好ましい組成物は、下記表1で提供される。
【0062】
【表1】

【0063】
本発明の組成物は、任意の適切な方法で処理されてもよい。典型的に、組成物の成分は、別々に又は上述したように記載されるような組合せで提供される。組成物の成分は、塞栓用組成物(任意の適切な方法によって導入される)を形成するためにともに混合される。組成物を処理するための適切な方法は、液体の注射可能な組成物を導入し、好ましくは、病気、損傷、或いは、そうでなければ他の血管又は組織のサイト又は位置を導入するために直接導入される。導入サイト(例えば、血液)のイオン性環境との接触で、組成物は、凝固された組成物又は塞栓ブロックを形成する。
【0064】
典型的に、発明の組成物は、非イオン性溶液(例えば、5%ブドウ糖溶液)であらかじめ充満されるカテーテル装置に導入される。営利上利用可能な方法は、針、カテーテル装置又は定位の配置装置を含んでおり、好ましくは、組成物の配置に関して医師にガイダンスを提供するイメージ技術とともに含んでいる。当業者に公知のいくつかの装置及び方法は、例えば、米国特許5925683号(促進された塞栓の閉塞の集団を形成するために、人体へ液体の塞栓剤/溶液を導入する方法が記載されている)、米国特許5702361号(血管のサイトでカテーテルによって非微粒子剤を導入することからなる、患者の血管中の血管のサイトを塞栓する方法が記載されている)、及び、米国特許5882334号(塞栓用組成物を導入するためにカテーテル集合体が記載されている)に開示されている。
【0065】
組成物は、塞栓剤、閉塞剤、充填剤、又は、組織の体積中で塞栓ブロック、閉塞又は増加を形成するような組成物を使用するいくつかの方法とともに有利に使用されてもよい。より好ましくは、塞栓剤は、選択的に、血管、導管、痩管又は他の身体通行と同様なものの細胞内腔で封鎖状態を形成する。塞栓剤を導入する好ましい方法は、塞栓される血管の領域中に、マイクロカテーテルによって液体の塞栓用組成物を導入することを含んでいる。
【0066】
動脈瘤の処理の場合には、第2の塞栓の封じ込め装置の配置が、一時的に又は永久に、好まれる。一時的な動脈瘤の首閉塞装置は、例えば、位置に置かれたバルーンカテーテルの使用して、達成されてもよく、その結果、カテーテルが動脈瘤に導入され、及び、いくつかの塞栓用組成物の回避を防止することを可能にして、動脈瘤首が、充分閉塞される。永久的な移植可能な装置は、さらに塞栓用組成物の回避を防止するために使用されてもよく、例えば、ステント、又は、ネックブリッジング装置(例えば、TRI-SPAN COILTM頭蓋内の動脈瘤装置(Target Therapeutics社、アメリカ合衆国 カリフォルニア フリーモント)、動脈瘤から塞栓用材料又は塞栓用構成の移動を防止することができるいくつかの他の装置が使用されてもよい。材料は、さらに塞栓用材料を導入すること及び含有することの両方ができる装置(例えば、米国特許5795331号に記載されている装置)を使用して、導入されてもよい。
【0067】
組成物は、血液のようなイオン性の流動性の環境へ処理するべき適切な粘度及び結合性のある特性を有している。組成物は、イオン性環境との接触で凝固された構造を形成する。さらに、本発明は、X線、他の同様なもの、又は、同様なイメージ技術によって医師により観察できる放射線不透過性である。本発明の組成物及び方法は、血管中のある組織、エリア又は空洞への血液のフローを閉鎖するために有利に使用されてもよい。そのような処理は、AVM(例えば、出血、発作、或いは、大脳又は他の出血)のために経験された徴候を緩和するために使用されてもよい。適切に使用されたとき、方法は、動脈瘤の破裂を安定させる又は緩和することができる。
【0068】
本発明が、好ましい具体例を参照して記載されるけれども、当業者は、本発明の方針及び範囲から外れずに、形態及び詳細に変更を行なわれてもよいことが認識される。そのため、詳細な説明は、限定ではなく実例となるものと見なされ、本発明が追加されたクレームによって明白になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脈管性間隙を組織膨張、組織注入、組織閉塞、又は組織塞栓するための薬剤の調製における、アルキルシアノアクリレート単量体、安定剤、可塑剤、200,000より大きい平均分子量を有する非シアノアクリレートレオロジー改良剤、及び放射線不透過剤を含む固体凝集物材料を含有する塞栓用組成物の使用であって、該組成物が、イオン又は血液を含む環境で接触すると凝固するように設計されている、使用。
【請求項2】
前記塞栓用組成物は、25mpa・s(25cP)以上2000mpa・s(2000cP)以下の外見上の粘度を有する請求項1記載の使用。
【請求項3】
前記塞栓用組成物は、100mpa・s(100cP)以上300mpa・s(300cP)以下の外見上の粘度を有する請求項2記載の使用。
【請求項4】
前記塞栓用組成物は、チキソトロピー、疑似塑性、又は塑性を示す請求項1乃至3の何れかに記載の使用。
【請求項5】
前記凝固された組成物は、加水分解に安定である請求項1乃至4の何れかに記載の使用。
【請求項6】
前記脈管性間隙は、動静脈奇形、動脈瘤、痩管、又は、腫瘍である請求項1乃至5の何れかに記載の使用。
【請求項7】
前記組成物は、投薬により動脈瘤の破裂を安定させるか又は緩和する請求項1乃至6の何れかに記載の使用。
【請求項8】
前記動脈瘤は、脳動脈瘤である請求項7記載の使用。

【公開番号】特開2009−72610(P2009−72610A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−288650(P2008−288650)
【出願日】平成20年11月11日(2008.11.11)
【分割の表示】特願2003−521688(P2003−521688)の分割
【原出願日】平成14年7月9日(2002.7.9)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】