説明

非ポリマー可撓性有機発光デバイス

【課題】改良されたエレクトロルミネッセンス特性を有し、かつ、OLEDを製造するために通常に用いられている真空蒸着技術を用いて容易に製造される可撓性のOLEDの製造方法を提供する。
【解決手段】ヘテロ構造を用いた可撓性OLEDにおいて、ホール輸送層6、電子輸送層および/または発光層8は、非ポリマー材料、即ち、有機材料の小分子を含む層を含む。さらに、ホール輸送層6、電子輸送層および/または発光層8が真空蒸着技術を用いて製造される、可撓性OLEDの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は1996年8月12日の仮出願第60/024,001号に関連する。
【0002】
発明の分野
本発明は、真空蒸着された、非ポリマー材料を含むホール輸送層および/または電子輸送層を含む、可撓性の有機発光デバイス(OLED)に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
電気的に制御される発光デバイスの1つのタイプにおいて、電子を注入することができる導電性材料の層と、ホールを注入することができる導電性材料の層との間に、有機材料が配置されている。適切な極性の電圧を、外側の導電性材料の層の間に印加したときに、一方の層からの電子は、他方の層からのホールと結合し、それにより、光としてエネルギーを放出し、即ち、エレクトロルミネッセンス(EL)を生じる。これらのデバイスは有機発光デバイス、OLEDと呼ばれる。
【0004】
OLEDは、軽量でポータブルなロールアップディスプレーのために用いることができ、または、曲面を有することがある窓、ウィンドシールドまたは計器パネルに容易に取り付けることができる適合性ディスプレーのために用いることができるほど非常に有利な可撓性を有するようにポリマーから製造されている; "The Plastic LED : A Flexible Light-Emitting Device Using a Polyaniline Transparent Electrode", G. Gustafsson ら、"Synthetic Metals", 55〜57 4123 〜4227 (1993) 。非可撓性のガラス基材上に製造されており、ホール放出層としてITOを用いる、真空蒸着された、小分子をベースとするヘテロ構造のOLEDの用途は広いが、Gustafssonのデバイスはポリマー、即ち、可溶性の半導体ポリマーであるポリ(2−メトキシ5−(2’−エチルヘキソキシ)−1,4−フェニレンビニレン)(MEH−PPV)を発光層として用いて製造されたものである。これは、ポリマーの機械特性はこのようなデバイスを製造するのにユニークであると認められたからである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】The Plastic LED : A Flexible Light-Emitting Device Using a Polyaniline Transparent Electrode", G. Gustafsson ら、"Synthetic Metals", 55〜57 4123 〜4227 (1993)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
改良されたエレクトロルミネッセンス特性を有し、かつ、OLEDを製造するために通常に用いられている真空蒸着技術を用いて容易に製造されるという利点を有する可撓性のOLEDを製造することができるならば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の要旨
本発明によると、有機材料の小分子をベースとするヘテロ構造を用いた可撓性OLEDは提供され、そのOLEDにおいて、ホール輸送層、電子輸送層および/または発光層は、別個に存在するならば、非ポリマー材料、即ち、小分子を含む層を含む。
【0008】
用語「小分子」は、このような分子はポリマー材料中に存在するような複数の繰り返し分子単位から構成されていないという意味で小さい分子を指すように本明細書中において用いられる。この為、本発明の目的では、用語「小分子」とは用語「非ポリマー」と相互互換的に用いられることが意図される。実際、用語「小分子」はOLED中に存在するホール輸送層、電子輸送層および/または発光層中に通常に用いられるような比較的に大きな分子を包含することができる。
【0009】
本発明は、さらに、ホール輸送層、電子輸送層および/または発光層が、存在するならば、Gustafssonらにより用いられたようなあまり便利ではない製造技術を用いるのではなく、即ち、ポリアニリンのようなポリマーの層を可撓性基材上にスピンコーティングするのではなく、真空蒸着技術を用いて製造されうる、可撓性OLEDの製造法に関する。このような真空蒸着法は本発明のOLEDを製造するために使用するのに特に適切である。というのは、OLEDの他の層も、通常、真空蒸着技術を用いて製造されるからである。溶剤を用いる必要がなく、または、真空チャンバーから空気感受性の層を取り出しそして周囲条件にさらすことなく、全ての真空蒸着工程を単一の全体のシーケンスの工程に統合すると、さらなる特に有利な利点が得られる。この為、本発明は、ホール輸送層、電子輸送層および/または別個の発光層が、存在するならば、真空蒸着工程を用いて製造されうる方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明により製造された可撓性OLEDの1態様を示す断面図である。
【図2】図2は図1に示すようなOLEDの繰り返しの曲げの前および後の電流/電圧特性を示すグラフと、可撓性ポリエステル基材の代わりにガラス基材を有する従来技術のOLEDの電流/電圧特性を示すグラフを含む。
【図3】図3は図1に示すようなOLEDの繰り返しの曲げの前および後の光出力/電流特性を示すグラフと、可撓性ポリエステル基材の代わりにガラス基材において用いた従来技術のOLEDの電流/電圧特性を示すグラフを含む。
【図4】図4はITOをコーティングしたポリエステル基材フィルムの原子間力顕微鏡(atomic force microscope) (AFM)画像を示し、(a)はITO基材(上)を示し、そして(b)はポリエステル基材(下)を示す。画像の高さ範囲は約50nm(ナノメートル)であった。
【図5】図5は9個のパッケージされていない1cm2 の真空蒸着された非ポリマー可撓性OLEDの配列の写真を示す。プローブアームと接触している1つのデバイスが示されており、通常のビデオディスプレー輝度(約100cd/m2 )で良好に照射された室内で空気中において操作している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、以下において、本発明の特定の好ましい態様について詳細に説明されるであろう。これらの態様は例示として示されるだけであることが意図され、そして本発明はそれらに制限されないことは理解されるであろう。
【0012】
本発明の例示の態様として、本発明のOLEDはシングルヘテロ構造またはダブルヘテロ構造中に含まれることができる。シングルヘテロ構造およびダブルヘテロ構造を製造するための材料、方法および装置は、例えば、米国特許第5,554,220号明細書中に開示されており、引用によりその全体を本明細書中に取り入れる。ここに開示される本発明は、1996年12月23日に各々出願した同時係属出願:"High Reliability, High Efficiency, Integratable Organic Light Emitting Devices and Methods of Producing Same;" "Novel Materials for Multicolor LED's;" "Electron Transporting and Light Emitting Layers Based on Organic Free Radicals;" "Multicolor Display Devices;" "Red-Emitting Organic Light Emitting Devices (LED's);"および"High Efficiency Organic Light Emitting Device Structures と組み合わせて用いられてよく、そして引用によりそれらの全体を本明細書中に取り入れる。本発明は、また、同時係属米国特許出願第08/354,674号、同第08/613,207号、同第08/632,316号、同第08/632,322号および同第08/693,359号明細書と組み合わせて用いてよく、そして引用によりそれらの全体を本明細書中に取り入れる。
【0013】
本明細書中において参照されるシングルヘテロ構造またはダブルヘテロ構造は、本発明を用いるOLEDがいかに製造されうるかを示す例であることを単に意図するものであり、示した層を製造する特定のシーケンスまたは順序に本発明を制限することを意図しない。例えば、本発明のシングルヘテロ構造OLEDは、好ましくは透明である可撓性基材;通常にインジウム錫オキシド(ITO)陽極層であってよい第一電極;ホール輸送層;電子輸送層;第二電極、例えば、Mg:Agの金属陰極層;および、Mg:Ag陰極層を大気中での酸化から保護するための、例えば、Agの層からできた、金属保護層、を含む。ダブルヘテロ構造は、また、発光性材料を含むさらなる層を含む。このさらなる層は、他の層と区別するために、本明細書中において「別個の発光層」と呼ぶ。というのは、ホール輸送層および電子輸送層は、この別個の発光層がなくても、エレクトロルミネッセンス発光を生じるように製造することができるからである。
【0014】
本明細書中に引用する厚さ範囲に制限するわけではないが、ITO陽極層は約1000Å(1Å=10- 8 cm)から約4000Åを超える厚さであることができ、ホール輸送層は約50Åから約1000Åを超える厚さであることができ、発光性材料を含む層は約50Åから約200Åの厚さであることができ、電子輸送層は約50Åから約1000Åの厚さであることができ、そして各々の金属層は約50Åから100Åを越える厚さであることができ、または、もし陰極層を透明にしようとしないならば、実質的により厚くすることができる。
【0015】
非常に可撓性であるディスプレーの真空蒸着された分子有機材料であって、安定なエレクトロルミネッセンス特性を有するものを得ることができるかどうかの能力は、とりわけ、次の2つのファクターにより決まる。第一に、OLEDを構成する薄い膜の機械特性を担う分子結合は曲げたときに構造体にかかる応力に合理的に耐えうる必要があり、そして、第二に、成長または曲げの間に機械的欠陥が形成しないように基材は十分に平坦かつ均質である必要がある。
【0016】
第一のファクターに関しては、真空蒸着されたOLED中に用いられる実質的に全ての有機材料は非常に可撓性のファンデルワールス結合により互いに保持されている。以前に、OLED中に用いられるのと同様の芳香族分子の結合は非常に圧縮性があることが、Y. ZhangおよびS. R. Forrest 、Phys. Rev. Lett. 71, 2765 (1993)に示された。例えば、ファンデルワールス結合されたナフタレンをベースとする分子結晶NTCDAはInまたはAlのような殆どの延性金属よりも約20倍の圧縮性を有することが示された。C. Kittel, Solid State Physics、第4 版 (Wiley, New York, 1971)、p.143 。なぜ本発明は安定なエレクトロルミネッセンスを生じることができるかという理論に拘束されるつもりはないが、このような考察は、なぜここに開示した分子材料がクラッキングを起こすことなく大きな応力を経験することができるほど十分に延性であるかを説明するのに助けになる。
【0017】
用いられる基材が十分に平坦であるという第二のファクターは原子間力顕微鏡により生じた画像を用いることにより決定された。例えば、図4に示すように、これらの画像はITO表面がわずか1.8nmのrms粗さを有し、一方、可撓性基材のポリエステル表面は幾分粗く、2.8nmのrms粗さを有したことを示す。基材により幾分か異なったが、ITO表面の粗さは3.6nmを越えなかった。いずれの場合にも、基材は十分に滑らかであり(即ち、表面の造形部の高さは合計のデバイスの厚さの小さい分率であった)、その為、成長または曲げの時に、このOLEDのヘテロ構造に有意な損傷は観測されなかった。
【0018】
[発明の効果]
このような考察を基に、可撓性基材上に成長された本発明のデバイスは、ガラス上に成長された従来の真空蒸着されたOLEDと同等の効率を有することが判り、このようなデバイスは機械的に強いことが判った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、以下において、本発明のある特定の代表的な態様がどのように製造されるかを詳細に説明するであろう。材料、装置および方法の工程は例示のみを意図する例として理解される。特に、本発明は、ここに具体的に引用した方法、材料、条件、プロセスパラメータ、装置等に限定されることが意図されない。
【0020】

図1に示した本発明の特定の態様の断面図において、デバイスのための可撓性基材2はポリエステルのような適切な可撓性ポリマーシートのいずれかからなる。好ましくは、可撓性基材は0.5cm以下の曲率半径にまで曲げることができる。可撓性基材2はインジウム錫オキシド、ITOでプレコートされた薄いフィルム4であり、ITOは、例えば、Southwall Technologies, Inc., 1029 Corporation Way, Palo Alto, Calif., 94303, Part No.903-6011から入手可能である。この特定の態様において、ホール輸送層6はN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1−1’ビフェニル−4,4’ジアミン(TPD)を含み、そして電子輸送層8はトリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3 )を含んだ。ホール輸送層、電子輸送層および発光層を製造するための当業界において知られているような他の非ポリマー材料も用いられてよい。TPDのホール輸送層6はホール注入性ITO層4の上に形成され、そしてAlq3 の発光層8は層6の上に形成される。または、層6および層8の代わりに単一の層は用いられてよく、この場合、TPDおよびAlq3 が混合されている。Mg−Agの層10はAlq3 層8の上に形成され、そしてAgの層12はMg−Ag層10の上に形成される。電源14はAg層12とプレコートされたITO層4との間に接続される。
【0021】
層は下記の表に示した厚さと異なる厚さを有してもよいが、示した厚さは図2および図3のグラフにより示した特性を生じたものである。
層番号 層の厚さ
層2 175μM
層6 800Å
層8 800Å
層10 1500Å
層12 500Å
【0022】
本発明の別の態様によると、図1の発光デバイスは次のように製造されうる。この例において、基材2は175μMの厚さ(1μM=10- 6 メートル)の透明なポリエステルシートであり、透明な導電性ITOの薄膜4によりプレコートされている。可撓性基材の厚さはOLEDが用いられる特定の用途の要求により、実質的にこれより厚くても、またはこれより薄くてもよい。ITO薄膜4のシート抵抗率は60オーム/□であり、そしてコーティングされた基材の透過率は可視スペクトル全体にわたって約80%であった。有機フィルムの蒸着の前に、基材2を洗剤中で2分間超音波洗浄し、その後、脱イオン水で濯いだ。次に、それを2−プロパノール中で濯ぎ、室温に2〜3分間保持し、そしてその後、再び2−プロパノール中で2〜3分間沸騰させ、次に、ろ過された乾燥窒素のストリームを用いてブローガンで乾燥した。ホール輸送層であるTPDの800Åの厚さの層6を<4×10- 7 トルの真空中で熱蒸発により蒸着し、次に、800Åの厚さのAlq3 層を蒸着した。上部電極はシャドーマスクを通して蒸着した1500Åの厚さのMg−Ag層および500Åの厚さのAgキャップからなった。ITOでプレコートされたガラス基材上の従来のデバイスを、比較のために、同一の洗浄および蒸着手順を用いて同時に製造した。ITOでプレコートされたガラス基材のシート抵抗率および透過率は、それぞれ、20オーム/□および約90%であった。
【0023】
図2は曲げの前の1mm直径の可撓性デバイスの電流/電圧特性である曲線16、小さい曲率半径(約0.5cm)での繰り返しの曲げ(4〜5回)の後の電流/電圧特性である曲線18、および、ガラス基材上の従来のデバイスの電流/電圧特性である曲線20を示す。全ての電流/電圧曲線は電圧に対する電流の出力法則依存性(power law dependence) に従うことを示す。より低い電圧では、電流/電圧曲線はオーム的な挙動を示し、より高い電圧では、曲線はI≒Vm+1 (式中、m=7)に従い、OLEDの典型的なトラップ制限電導を示唆する。出力法則依存性は高い電流の領域において少なくとも4桁の大きさの電流の変化が観測された。デバイスを繰り返して曲げた後に、電流/電圧特性の明白な変化はなかった。3つの曲線のターンオン電圧(オームおよびトラップ制限電導による電流が等しい電圧として規定される)は殆ど同一であり(約6.5V)、可撓性デバイスの低い電圧におけるリーク電流は従来のデバイスのものよりもさらに低く、そして曲げの後に増加しなかった。このことは、可撓性基材上にプレコートされたITOフィルムは十分に均質であり、その為、非常に薄い膜(約1600Åの分子有機構造)でも、曲げの後に、上部接触および下部接触12および4の間の電流流路が形成しないことを示した。
【0024】
曲げの前および後の可撓性デバイスの光出力/電流(L−I)特性、および、従来のデバイスの光出力/電流(L−I)特性をグラフ22により図3に示している。曲線24はガラス基材を有する標準的なデバイスのL−I出力を示す。可撓性デバイスの外部量子効率は0.20%であり、そして従来のデバイスの外部量子効率は0.14%であった。両方の場合に、効率は前方散乱方向にのみ放出された光により計算した。これは、真の量子効率をかなり過少評価するものであるが、デバイス同士の比較のためには有用である。ここでも、可撓性デバイスの量子効率は繰り返しの曲げに影響されないことが示された。デバイスを曲げた後にI−VまたはL−I特性のいずれにも評価できる変化が生じなかったという事実は、ITO接触、有機層および合金上部接触は小さい曲率半径で曲げても有意に影響を受けないことを示した。
【0025】
大面積(約1cm2 )のデバイスも同様の方法により製造した。より小さいデバイスの場合のように、これらの大きいデバイスも約0.5cmの半径に曲げ、明らかな劣化を起こすことはなかった。これらの大きい面積を得ることができることは、可撓性のOLEDは、大きく、ロールアップされ、または、適合性であるフラットパネルディスプレーにおいて用いることができることを示す。このことは、ITOでプレコートされた基材が大きなスプールとして入手できることと考え合わせると、可撓性のOLEDをベースとするディスプレーは、有機気相蒸着のような適切な体積成長技術の使用により、ロール巻きベースで大量生産されうることを示す。
【0026】
大面積デバイスの破損モードも研究した。曲面基材の凸側上において、ポリエステルフィルム中に永久のヒダ(fold) が生じた後にもデバイスを破損させずに曲げられるか。デバイスの凹側において、0.5cmの曲率半径まで曲げたときに、デバイスは依然として操作可能であるか。より小さい半径では、デバイスを通してクラックが成長し、そしてさらなる曲げの後に、上部接触および下部接触の間に電流流路が形成される。ITOでプレコートされた基材も同様に曲げたときに、同様のクラッキング現象を観測した。このことから、クラックはOLED自体ではなくITOにおいて生じているものと推測できる。
【0027】
結論として、図5に示すような、真空蒸着された、ファンデルワールス結合された、非ポリマーの可撓性OLEDはITOでプレコートされた透明ポリエステルフィルムを基材として用いて形成された。ITOの薄いフィルムは、可撓性基材上にプレコートされたときに、平坦であり、非常に透明であり、導電性であり、可撓性である、OLED用途に適切な接触を提供することが示された。このホール注入性のITOコートされた基材は、また、ポリマーからなるポリマーホール輸送層、電子輸送層および/または発光層を含むOLEDとともに用いることもできる。さらに、より大きな可撓性が特定の用途において要求されていたとしても有用であることができるポリアニリンのようなポリマーの透明なホール注入性接触上に非ポリマーデバイスが真空蒸着されたとしても、ここに開示されたのと同様の性能は期待される。
【0028】
図1の特定のOLED構造を記載したが、真空形成された層を有するいずれのOLED構造も本発明により可撓性ポリマー基材上に形成されることは理解されるべきである。当業者は本発明の種々の態様の特定の変更は添付の請求項の精神および範囲により網羅されるであろうことを認識することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性基材層、および、
a)非ポリマー材料を含むホール輸送層、または、
b)非ポリマー材料を含む電子輸送層、
を含む有機発光デバイスを含む、可撓性有機発光デバイス。
【請求項2】
前記有機発光デバイスは非ポリマー材料を含むホール輸送層および非ポリマー材料を含む電子輸送層を含む、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項3】
前記有機発光デバイスは非ポリマー材料を含む別個の発光層をさらに含む、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項4】
前記可撓性基材は透明である、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項5】
前記可撓性基材はポリマーである、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項6】
前記可撓性基材はポリエステルを含む、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項7】
前記有機発光デバイスはインジウム錫オキシドを含む陽極層をさらに含む、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項8】
前記ホール輸送層はN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1−1’ビフェニル−4,4’ジアミンを含む、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項9】
前記電子輸送層はトリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムを含む、請求項1記載の可撓性有機発光デバイス。
【請求項10】
可撓性基材、
前記可撓性基材上にある陽極層、
前記陽極層上にあるホール輸送層、
前記ホール輸送層上にある電子輸送層、および、
前記電子輸送層上にある陰極層、
を含む、前記ホール輸送層または前記電子輸送層が非ポリマー材料を含む、可撓性有機発光デバイス。
【請求項11】
可撓性基材、
前記可撓性基材上にある陰極層、
前記陰極層上にあるホール輸送層、
前記ホール輸送層上にある電子輸送層、および、
前記電子輸送層上にある陽極層、
を含み、前記ホール輸送層または前記電子輸送層が非ポリマー材料を含む、可撓性有機発光デバイス。
【請求項12】
可撓性基材上に有機発光デバイスを形成させることを含む可撓性有機発光デバイスの製造法であって、
前記有機発光デバイスの形成は、ホール輸送層を真空蒸着する工程または電子輸送層を真空蒸着する工程を含む、方法。
【請求項13】
前記有機発光デバイスの形成の工程はホール輸送層を真空蒸着する工程および電子輸送層を真空蒸着する工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記有機発光デバイスの形成の工程は、別個の発光層を真空蒸着する工程を含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
可撓性有機発光デバイスをディスプレー装置中に取り込むことを含むディスプレー装置の製造法であって、
前記可撓性有機発光デバイスは、ホール輸送層を真空蒸着する工程または電子輸送層を真空蒸着する工程を含む方法を用いて、可撓性基材上に形成される、方法。
【請求項16】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスを含む、ディスプレー。
【請求項17】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスの電子輸送層を含む、乗物。
【請求項18】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスの電子輸送層を含む、コンピュータ。
【請求項19】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスの電子輸送層を含む、テレビジョン。
【請求項20】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスの電子輸送層を含む、プリンター。
【請求項21】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスの電子輸送層を含む、壁、シアターまたはスタジアムスクリーン。
【請求項22】
請求項1〜11のいずれか1項記載の可撓性有機発光デバイスを含む、ビルボードまたはサイン。
【請求項23】
可撓性の透明なポリエステル基材、
前記可撓性の透明なポリエステル基材上にある、インジウム錫オキシドを含む陽極層、
前記陽極層の上にある、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)1−1’ビフェニル−4,4’ジアミンを含むホール輸送層、
前記ホール輸送層上にある、トリス−(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウムを含む電子輸送層、および、
前記電子輸送層の上にある陰極層、
を含む、可撓性有機発光デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−104492(P2012−104492A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−275676(P2011−275676)
【出願日】平成23年12月16日(2011.12.16)
【分割の表示】特願2008−301649(P2008−301649)の分割
【原出願日】平成9年7月30日(1997.7.30)
【出願人】(591003552)ザ、トラスティーズ オブ プリンストン ユニバーシティ (68)
【Fターム(参考)】