説明

非接触充電システム及びその制御方法、並びに携帯電子機器及び充電装置

【課題】正常に充電できる位置ではない場所に置いてしまった場合であっても、適正な充電量で充電を行うことができる。
【解決手段】非接触により電力を送る充電器100と、該充電器100から送られる電力を、該電力を非接触により受電して充電を行う二次電池を有する携帯電話機1と、を備える非接触充電システムにおいて、携帯電話機1は、充電器100から送られた電力を受ける、複数の受電部10(1)、(2)と、二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部21と、充電器100と通信を行う携帯電話機側通信部14と、を有し、充電器100は、携帯電話機1に電力を送る、複数の送電部110(1)〜(12)と、携帯電話機1と通信する充電器側通信部140と、送電部110の送電を充電状態監視部21からの監視結果に基づいて制御する送電制御部121と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式電池を搭載した携帯機器と、非接触で携帯機器の充電を行う充電器を備えた充電器の非接触充電システム及びその制御方法、並びに携帯電子機器及び充電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電子機器に対して、充電器からワイヤレス(非接触)で送電を行い、携帯電子機器の電池への充電を行う非接触充電に係る技術が知られている。
非接触充電に係る技術においては、特許文献1に記載される技術が知られている。この特許文献1に記載される技術では、充電器上に置かれた位置を加速度センサで検出して、正常に充電が行われない場所に位置している場合には、報知を行うという技術である。報知により、ユーザは正常に充電が行われない場所に携帯電子機器が置かれてあることを認識し、正常に充電が行われない場所に携帯電子機器を位置させる。その結果、携帯電子機器は、正常な充電が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−207017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、非接触充電に係る技術のさらなる向上が望まれる。
そこで、本発明は、正常に充電できる位置ではない場所に置いてしまった場合であっても、適正な充電量で充電を行うことができる非接触充電システム及びその制御方法、並びに携帯電子機器及び充電装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る非接触充電システムは、上記課題を解決するために、非接触にて給電を行うための電磁波を出力する機能を有する充電装置と、該充電装置から出力される電磁波により電磁誘導にて二次電池を充電する機能を有する携帯電子機器と、を備える非接触充電システムにおいて、前記携帯電子機器は、前記充電装置から出力された電磁波を取得する、複数の取得部と、前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部と、前記充電装置と通信を行う第1通信部と、を有し、前記充電装置は、前記電磁波を出力する、複数の出力部と、前記携帯電子機器と通信する第2通信部と、前記出力部の出力を前記充電状態監視部からの監視結果に基づいて制御する出力制御部と、を有する。
【0006】
また、上記非接触充電システムでは、前記充電装置は、前記出力部での出力を切り替える切替部を有し、前記出力制御部は、出力を行う前記出力部を切り替えるように前記切替部を制御する。
【0007】
また、上記非接触充電システムでは、前記出力制御部は、出力を行う前記出力部を順次切り替えるように前記切替部を制御し、前記充電状態監視部は、前記出力制御部の前記切替部への制御に対応して、充電状態の監視を行うことで、電磁波を出力する前記出力部を特定する。
【0008】
また、上記非接触充電システムでは、前記出力制御部は、定期的に出力を行う前記出力部を順次切り替えるように前記切替部を制御する。
【0009】
また、上記非接触充電システムでは、前記出力制御部は、複数の前記携帯電子機器から受信したそれぞれの前記充電状態の監視結果に応じて、前記出力部の出力を行うように制御する。
【0010】
また、別の本発明に係る携帯電子機器では、電磁波を出力する充電装置から出力された電磁波を取得する、複数の取得部と、前記取得部が取得した電磁波により電磁誘導にて充電が行われる二次電池と、前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部と、前記充電装置と通信を行う通信部と、前記通信部により前記充電状態監視部からの監視結果を前記充電装置の通信部を介して、前記充電装置により出力される電磁波を制御するように命令する命令部と、を備える。
【0011】
また、別の本発明に係る充電装置では、携帯電子機器へ電磁波を出力し、当該携帯電子機器の二次電池への充電を行う、複数の出力部と、前記携帯電子機器と通信する通信部と、前記携帯電子機器から受信した充電状態の監視結果に基づいて、前記出力部から出力される電磁波を制御する出力制御部と、を備える。
【0012】
また、別の本発明に係る非接触充電システムの制御方法では、非接触にて給電を行うための電磁波を送る機能を有する充電装置と、該充電装置から送られる電磁波を非接触にて取得し、二次電池を充電する機能を有する携帯電子機器と、を備える非接触充電システムの制御方法において、前記携帯電子機器は、前記充電装置から出力された電磁波を取得する取得ステップと、前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視ステップと、前記充電装置と通信を行う第1通信ステップと、を有し、前記充電装置は、前記携帯電子機器に電磁波を送る出力ステップと、前記携帯電子機器と通信する第2通信ステップと、前記出力ステップの処理により出力を前記充電状態監視ステップからの監視結果に基づいて制御する出力制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、正常に充電できる位置ではない場所に置いてしまった場合であっても、適正な充電量で充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態における非接触充電システムを示す図である。
【図2】第1の実施形態における携帯電話機で正常に充電が行われないパターンの一例を示す模式図である。
【図3】第1の実施形態における非接触充電システムの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態における非接触充電システムの充電処理の動作を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の非接触充電システムを示す模式図である。
【図6】第2の実施形態における携帯電話機で正常に充電が行われないパターンの一例を示す模式図である。
【図7】第2の実施形態における非接触充電システムの機能的構成を示す機能ブロック図である。
【図8】他の実施形態の携帯電話機の外観を示す図である。
【図9】他の実施形態の携帯電話機における正常に充電が行われないパターンの一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、非接触充電システムを示す図である。詳細には、図1(a)は携帯電話機1及び充電器100の外観を示す図であり、図1(b)は携帯電話機1の展開状態を示す図であり、図1(c)は充電器100の送電コイル110及び携帯電話機1の受電コイル10を示す模式図である。
【0016】
本実施形態における非接触充電システムは、図1(a)に示すように、携帯電話機1と、充電器100とを備える。本実施形態において、携帯電話機1への充電は、充電器100の上に携帯電話機1を載置することにより、非接触状態で可能となるように構成される。
【0017】
本実施形態における携帯電話機1は、後述する操作部5が設けられる操作部側筐体2と、後述する表示部6が設けられる表示部側筐体3の2つの筐体を、ヒンジ部4を介して、図1(a)に示すような展開状態から図1(b)に示すような非展開状態となる折り畳み状態に形態を変更可能に連結した、いわるゆ、折り畳み式の携帯電話として構成される。
【0018】
このような携帯電話機1は、図1(b)に示すように、操作部側筐体2側に2箇所の受電コイル10(第1の受電コイル10−1(取得部)及び第2の受電コイル10−2(取得部))が設けられる。受電コイル10は、送電コイル110からの電力を受電可能に構成されるコイルであり、受電した電力は二次電池である電池11に蓄電される。詳細には、受電コイル10は、取得した電磁波により電磁誘導にて生じさせ電力を用いて二次電池への充電が可能とする。
【0019】
充電器100は、携帯電話機1の受電コイル10に対して、(1)〜(12)の12箇所の送電コイル110(送電コイル110(1)〜(12)、(出力部))が設けられる。送電コイル110は、商用電源等からの電力を受電コイル10に送電可能に構成可能なコイルである。詳細には、送電コイル110は、非接触にて給電を行うための電磁波を出力する機能を有する。
【0020】
また、本実施形態における送電コイル110は、図1(c)に示すように、充電器100において、均等に配置されており、矩形形状である本実施形態の充電器100においては、長手方向に4個ずつ配置された送電コイル110が3列、合計12個設けられる。なお、図1、並びに後述する図2及び図3においては、受電コイル10と送電コイル110に番号が付してある。具体的には、受電コイル10には、(1)及び(2)の番号が付され、送電コイル110には、(1)〜(12)の番号が付される。
【0021】
ここで、非接触充電システムにおける適切な充電について説明する。図2は、充電器100と携帯電話機1との充電状態での位置関係を示す模式図である。詳細には、図2(a)は通常の充電状態を示した模式図であり、図2(b)は携帯電話機1が充電器100からはみ出した状態での充電状態を示す模式図であり、図2(c)は携帯電話機1の受電コイル10が充電器100の送電コイル110からずれた状態での充電状態を示す模式図である。
【0022】
本実施形態の非接触充電システムにおいては、携帯電話機1の受電コイル10が充電器100の送電コイル110に対応した位置(本実施形態においては、直上)に置かれた場合に、通常の充電、すなわち、適正に充電が行われる。図2(a)に示す例では、受電コイル10(1)が送電コイル110(5)に対応する位置(直上)に置かれ、受電コイル10(2)が送電コイル110(8)に対応する位置(直上)に置かれることで、適正な充電が行われる。
【0023】
また、本実施形態の非接触充電システムにおいては、充電器100から携帯電話機1がはみした場合でも適正に充電が行えるように構成される。
携帯電話機1が充電器100上からはみ出すことにより、受電コイル10(1)又は(2)のいずれかで送電コイル110からの送電が絶たれる場合(送電範囲から外れる場合)である。この場合は、通常、送電量が所定の値(必要な値)よりも低くなるために、適正な充電が行えなくなる。
図2(b)に示す例では、携帯電話機1は充電器100からはみ出して、受電コイル10(1)のみが送電コイル110(11)に対応する位置(直上)に置かれる場合を示している。
【0024】
また、本実施形態の非接触充電システムにおいては、携帯電話機1の受電コイル10が充電器100の送電コイル110に対応する位置からはずれて、複数の送電コイル110にまたがって置かれた場合でも適正に充電が行えるように構成される。
携帯電話機1の受電コイル10が充電器100の複数の送電コイル110上にまたがって置かれる場合には、複数の送電コイル110から電力が供給されるために、受電コイル10では受電が過多となる。この場合は、電力が無駄になると共に、電池11の劣化を早めることになる。
図2(c)に示す例では、受電コイル10(1)が送電コイル110(4)、(5)、(7)及び(8)上にまたがって位置し、受電コイル10(2)が送電コイル110(7)、(8)、(10)及び(11)上にまたがって位置している場合を示している。
【0025】
次に、上述した機能を実現する携帯電話機1及び充電器100の機能的構成について図3を用いて説明する。図3は、携帯電話機1の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0026】
まず、携帯電話機1の機能的構成について説明し、次に充電器100の機能的構成について説明する。
携帯電話機1は、図2に示すように、電池11と、受電コイルである受電部10(1)及び(2)と、携帯電話機側CPU12と、記憶部13と、携帯電話機側通信部14(第1の通信部)と、を備える。
電池11は、充電可能な二次電池である。
受電部10は、後述する送電部110との近接状態において、送電コイル110に電流を流すことにより発生する磁束を媒介に起電力が生じるコイルである。
また、受電部10は、本実施形態においては、受電部10(1)及び受電部10(2)の2つの受電部10から構成される。
適正な充電は、受電部10の送電部110との距離や、送電量が適正なものである場合に、受電部10が受電することにより行われる。
本実施形態においては、図2(a)に示すように、受電部10が送電部110の直上、かつ、近接した位置になるように携帯電話機1が充電器100に置かれることにより、送電部110からの電力を適正量受電するために適正な充電が行われる。
【0027】
携帯電話機側CPU12は、詳細には、充電状態監視部21と、通信制御部22(命令部)と、を有する。
充電状態監視部21は、受電部10における受電の有無及び受電量を検出する。
充電状態監視部21は、充電状態監視部21により検出された受電部10における受電の有無及び受電量に基づいて、適正(適切)な充電が行われているか否かを判定する。また、充電状態監視部21は、受電部10の受電量が適正な充電が行われるために、どの程度の受電量が必要か否かを判定する。具体的には、充電状態監視部21は、検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達しているか否かを判定する。
充電状態監視部21は、受電量が適正な充電を行うには不足している場合には、どの程度受電量を増加させることにより適正な充電を行うことができるかを判定する。また、充電状態監視部21は、受電量が適正な充電となるためには多すぎる場合には、どの程度受電量を減少させることにより適正な充電を行うことができるかを判定する。
なお、適正な充電の判定は、受電の有無、受電量や充電の残量増加量を検出して、当該受電量や充電の残量増加量が所定の値以上であるか否か判定することで行う。また、適正な充電の判定はこれに限られず、送電部110からの送電に見合った量の受電が行われることを持って判定することもできる。
【0028】
通信制御部22は、充電状態監視部21による判定結果に基づいて、携帯電話機側通信部14の信号の送受信を制御する。具体的には、通信制御部22は、充電状態監視部21による判定結果が、受電量が少ない場合には、後述する送電量調整部122に送電部110の送電量を増加させるように制御する旨の信号を送信するように携帯電話機側通信部14を制御する。また、通信制御部22は、充電状態監視部21による判定結果が、受電量が多い場合には、送電量調整部122に送電部110の送電量を減少させるように制御する旨の信号を送信するように携帯電話機側通信部14を制御する。
【0029】
携帯電話機側通信部14は、後述する充電器側通信部140との間で、信号の送受信を行う。
記憶部13には、充電状態監視部21での判定に用いられる電池11の充電量等のデータが記憶される。
【0030】
次に、充電器100の機能的構成について説明する。
充電器100は、図3に示すように、送電コイルである送電部110(1)〜(12)と、充電器側CPU120と、充電器側通信部140(第2の通信部)と、を有する。
【0031】
送電部110は、受電部10との近接状態において、電流を流すことにより、磁束を発生させるコイルである。また、送電部110は、受電部10(1)及び受電部10(2)に対応する送電部110(1)〜(12)が設けられる。
【0032】
充電器側CPU120は、詳細には、送電制御部121と、送電量調整部122(切替部)と、有する。
送電制御部121は、充電器側通信部140により受信された信号に基づいて、送電量調整部122による送電部110の送電量の調整を制御する。
【0033】
送電量調整部122は、送電部110(1)〜(12)の送電量を個別に調整する(切り替える)。送電量調整部122において送電部110(1)〜(12)の切り替えを順次行うにより、充電状態監視部21では、携帯電話機1の受電コイル10がどの送電コイル110上にあるかの判断を行うことができる。また、送電量調整部122において送電部110(1)〜(12)の切り替えを定期的に行うにより、新たに携帯電話機1が置かれた場合や、携帯電話機1の位置が移動させられた場合にも対応することができる。
充電器側通信部140は、携帯電話機側通信部14との間で、信号の送受信を行う。
【0034】
以上のように構成される非接触充電システムでは、非接触にて給電を行うための電磁波を出力する機能を有する充電装置と、該充電装置から出力される電磁波により電磁誘導にて二次電池を充電する機能を有する携帯電子機器と、を備える。
【0035】
携帯電話機1の受電部10の受電状態に基づいて、送電量を調整できる。このため、例えば、携帯電話機1が所定の位置からずれたりした場合において、携帯電話機1の受電部10の受電量が少ない場合には、送電量を高くすることにより、確実に携帯電話機1の電池11の適正な充電を行うことができる。一方、例えば、携帯電話機1の受電部10が充電器100の複数の送電部110上をまたいで置かれた場合において、携帯電話機1の受電部10の受電量が多くなってしまった場合には、送電量を低くすることで、電力の消費を少なく抑えることができ、電池11の劣化を抑制することができる。
【0036】
送電制御部121は、送電部110(1)〜(12)の送電を切り替えるように、送電量調整部122を制御する。このため、携帯電話機1の受電部10において受電が行われている送電部110だけで受電が行えるために、不要な電力の消費を抑えることができる。
【0037】
また、非接触充電システムでは、送電制御部121は、送電部110(1)〜(12)の送電を順次切り替えるように、送電量調整部122を制御する。このために、非接触充電システムでは、送電部110(1)〜(12)の送電を順次切り替えて、その切り替えた結果を、充電状態監視部21からフィードバックすることで、受電部10に送電を行っている送電部110を特定する、すなわち、充電器100上のどの位置に携帯電話機1が置かれているかを特定することができる。
【0038】
また、非接触充電システムでは、送電制御部121は、送電部110(1)〜(12)の送電を所定のタイミングで定期的に切り替えるように、送電量調整部122を制御する。このため、非接触充電システムでは、新たに充電器100に携帯電話機1が置かれた場合や、既に置かれている携帯電話機1の位置が移動させられた場合を特定することができる。この場合には、新たな充電状態に基づいて、各送電部110(1)〜(12)の送電を行えば、確実に携帯電話機1の充電が行えると共に、電池11の劣化や無駄な電力消費を抑えることができる。
【0039】
また、非接触充電システムでは、送電制御部121は、複数の携帯電話機1、1・・・から受信したそれぞれの充電状態の監視結果に応じて、送電部110(1)〜(12)の出力を行うように制御する。例えば、複数の携帯電話機1、1・・・のうち受電量が低い携帯電話機1に重点的に所望の受電量となるように送電部110(1)〜(12)の送電量を調整するように制御してもよい。また、複数の携帯電話機1、1・・・のうち充電残量が低い携帯電話機1への充電を重点的に行うように送電部110(1)〜(12)での送電を切り替えるように制御してもよい。この場合、優先的に送電を行った携帯電話機1が所定の充電状態になったことを判定して、他の携帯電話機1に送電を行うように構成することができる。これは、充電器100の送電能力の関係から、積極的に充電状態(受電量が低い、充電残量が低い等)の良くない携帯電話機1の充電を行うようにするものである。
また、複数の携帯電話機1、1・・・が特定の送電部110上に位置しており、特定の送電部110からの電力が複数の携帯電話機1、1・・・で受電されている場合に、各携帯電話機1の充電状態(受電量が低い、充電残量が低い等)の良くない携帯電話機1の充電を行うように送電部110の送電を制御する。このとき、優先的に送電を行った携帯電話機1が所定の充電状態になったことを判定して、他の充電状態の良くない携帯電話機1を重視した送電を行うように構成することができる。
【0040】
次に、非接触充電システムの充電処理の動作の流れについて図4を用いて説明する。図4は、非接触充電システムの充電処理の動作を示すフローチャートである。
【0041】
ステップST1において、充電状態監視部21は、携帯電話機1が充電器100に置かれたことを検知する。詳細には、充電状態監視部21は、受電部10への受電を検出することで、携帯電話機1が充電器100に置かれたことを検出する。この際、送電制御部121は、送電量調整部122に対して、各送電部110(1)〜(12)の送電を順次行うように制御する。これにより、充電状態監視部21は、携帯電話機1の受電部10(1)及び(2)が充電器100上の各送電部110(1)〜(12)から送電を受けているかを判定することができ、充電器100上の位置を検出することができる。
なお、送電制御部121は、所定のタイミングで、定期的に送電量調整部122に対して、各送電部110(1)〜(12)の送電を順次行うように制御する。これにより、新たに充電器100上に携帯電話機1が置かれた場合や、既に置かれている携帯電話機1の位置が移動した場合を検出することができる。
【0042】
ステップST2において、充電状態監視部21は、充電が適切か否かを判定する。詳細には、携帯電話機1においては、充電状態監視部21により、受電部10における受電量(電流値)を検出する。そして、充電状態監視部21は、充電状態監視部21により検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達しているか否かを判定する。
検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達している場合(YES)には、処理はステップST3に進む。
一方、検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達していない場合(NO)には、処理はステップST4に進む。
【0043】
ステップST3において、携帯電話機1では、通常の充電が行われる。詳細には、充電器100の送電部110においては、図1(a)に示すような充電器100の送電部110に対応した位置に受電部10が位置するように携帯電話機1が置かれた状態であるため、送電量を調整せずに、そのままの送電量で送電を行う。その結果、電池11においては、適正な受電量での充電が行われる。
【0044】
ステップST4において、充電状態監視部21は、充電電流が少ないか否かを判定する。詳細には、充電状態監視部21は、充電状態検出において検出された受電部10の受電量(電流値)から、受電した電流値が適正な充電が行える程度の電流値であるか否かを判定する。
受電した電流値が適正な充電が行える程度の電流値でない、つまり、充電電流が少ない場合(YES)には、処理はステップST5に進む。
受電した電流値が適正な充電が行える程度の電流値よりも多い、つまり、充電電流が多い場合(NO)には、処理はステップST13に進む。
【0045】
ステップST5において、携帯電話機側通信部14は、充電器100に送電コイル電流増加の電流増加指示信号を送信する。詳細には、携帯電話機側通信部14は、通信制御部22により、充電器100の送電量調整部122に送電部110の送電量を増加させるように制御する旨の信号(送電コイル電流増加指示信号)を送信するように制御される。その結果、携帯電話機側通信部14は、充電器100の送電量調整部122に送電部110の送電量を増加させるように制御する旨の信号を送信する。
【0046】
ステップST6において、充電器側通信部140は、送電コイル電流増加指示信号を受信する。
【0047】
ステップST7において、送電量調整部122は、送電コイル電流増加を制御する。詳細には、送電量調整部122は、送電量を増加させるように送電部110を制御する。その結果、送電部110は、送電量を増加させる。
【0048】
ステップST8において、充電状態監視部21は、充電が適切か否かを判定する。詳細には、充電状態監視部21は、検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達しているか否かを判定する。
検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達している場合(YES)には、処理はステップST9に進む。
一方、検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達していない場合(NO)には、処理はステップST7に戻る。
【0049】
ステップST9において、携帯電話機側通信部14は、充電開始信号を送信する。詳細には、携帯電話機側通信部14は、通信制御部22により、適正な充電電流となったため、充電器100に充電を開始する旨の信号(充電開始信号)を送信するように制御される。その結果、携帯電話機側通信部14は、充電開始信号を送信する。
【0050】
ステップST10において、充電器側通信部140は、充電開始信号を受信する。詳細には、充電器側通信部140は、携帯電話機側通信部14から送信された充電開始信号を受信する。
【0051】
ステップST11において、送電量調整部122は、電流増加をストップする。詳細には、送電量調整部122は、充電開始信号を受信したことをもって、適正な充電電流となったと判断して、送電量の増加をストップして、送電量を固定するように送電部110を制御する。
【0052】
ステップST12において、電池11は、充電を行う。詳細には、電池11は、受電部10から供給される電力により、充電を行う。その後処理は、終了する。
【0053】
ステップST13において、携帯電話機側通信部14は、充電器100に送電コイル電流減少の電流増加指示信号を送信する。詳細には、携帯電話機側通信部14は、通信制御部22により、充電器100の送電量調整部122に送電部110の送電量を減少させるように制御する旨の信号(送電コイル電流減少指示信号)を送信するように制御される。その結果、携帯電話機側通信部14は、充電器100の送電量調整部122に送電部110の送電量を減少させるように制御する旨の信号を送信する。
【0054】
ステップST14において、充電器側通信部140は、送電コイル電流減少指示信号を受信する。
【0055】
ステップST15において、送電量調整部122は、送電コイル電流減少を制御する。詳細には、送電量調整部122は、送電量を減少させるように送電部110を制御する。その結果、送電部110は、送電量を減少させる。
【0056】
ステップST16において、充電状態監視部21は、充電が適切か否かを判定する。詳細には、充電状態監視部21は、検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達しているか否かを判定する。
検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達している場合(YES)には、処理はステップST17に進む。
一方、検出した受電部10における受電量(電流値)が所定の値に達していない場合(NO)には、処理はステップST15に戻る。
【0057】
ステップST17において、携帯電話機側通信部14は、充電開始信号を送信する。詳細には、携帯電話機側通信部14は、通信制御部22により、適正な充電電流となったため、充電器100に充電を開始する旨の信号(充電開始信号)を送信するように制御される。その結果、携帯電話機側通信部14は、充電開始信号を送信する。
【0058】
ステップST18において、充電器側通信部140は、充電開始信号を受信する。詳細には、充電器側通信部140は、携帯電話機側通信部14から送信された充電開始信号を受信する。
【0059】
ステップST19において、送電量調整部122は、電流増加をストップする。詳細には、送電量調整部122は、充電開始信号を受信したことをもって、適正な充電電流となったと判断して、送電量の減少をストップして、送電量を固定するように送電部110を制御する。
【0060】
また、ステップST12において、電池11は、充電を行う。詳細には、電池11は、受電部10から供給される電力により、充電を行う。その後処理は、終了する。
【0061】
したがって、非接触充電システムにおいては、携帯電話機1が適正な充電量で充電を行うことができる。
【0062】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る非接触充電システムの基本構造及び機能構成は、第1の実施形態に係る非接触充電システムのものと同じであるので説明を省略する。
図5は、第2の実施形態における非接触充電システムを示す概念図である。詳細には、図5(a)は携帯電話機1及び充電器100の外観を示す図であり、図5(b)は携帯電話機1の展開状態を示す図であり、図5(c)は適正な位置での充電を示す模式図である。
【0063】
本実施形態における非接触充電システムは、図5(a)に示すように、携帯電話機1と、充電器100とを備える。本実施形態において、携帯電話機1への充電は、充電器100の上に携帯電話機1を載置することで可能となるように構成される。
【0064】
また、本実施形態で採用される非接触充電の方式は、2つの隣接するコイルの片方に電流を流すと発生する磁束を媒介して隣接したもう片方に起電力が発生する電磁誘導を利用した方式、いわゆる、電磁誘導方式が採用される。
【0065】
本実施形態における携帯電話機1は、後述する操作部5が設けられる操作部側筐体2と、後述する表示部6が設けられる表示部側筐体3の2つの筐体を、ヒンジ部4を介して、図5(a)に示すような非展開状態から図5(b)に示すような展開状態となる折り畳み状態に形態を変更可能に連結した、いわるゆ、折り畳み式の携帯電話機として構成される。なお、携帯電話機1は、本実施形態においては折り畳み式の携帯電話機1として構成したがこれに限られず、例えば、ストレート式の携帯電話機1やスライド式の携帯電話機1あってもよい。
【0066】
このような携帯電話機1は、図5(b)に示すように、操作部側筐体2側に2箇所の受電コイル10(第1の受電コイル10−1及び第2の受電コイル10−2)が設けられる。受電コイル10は、送電コイル110からの電力を受電可能に構成されるコイルであり、受電した電力は二次電池である電池11に蓄電される。
【0067】
充電器100は、携帯電話機1の受電コイル10に対応して、2箇所の送電コイル110(第1の送電コイル110−1及び第2の送電コイル110−2)が設けられる。送電コイル110は、商用電源等からの電力を受電コイル10に送電可能に構成可能なコイルである。
【0068】
ここで、非接触充電システムにおける適切な充電について説明する。
適切な充電は、図5(c)に示すように、充電器100の各送電コイル110に対応する位置(本実施形態においては、送電コイル110の直上)に携帯電話機1の各受電コイル10−1、10−2を位置させることにより、対応する受電コイル10が受電して、送電コイル110からの送電が行われる。
【0069】
次に、非接触充電システムにおける適切な充電が行われない場合について説明する。
非接触充電システムにおいては、図6(a)に示すように、携帯電話機1を逆に置いてしまうことで、送電コイル110と受電コイル10との距離が離れてしまい、適正な量を受電コイル10が受電できない。すなわち、受電コイル10と送電コイル110との距離が離れることで「送電距離が長い」状態となり、受電コイル10の「充電電流[小]」となる。その結果、適正な充電が行われなくなる。
【0070】
非接触充電システムにおいては、携帯電話機1を正規の位置からずらして置いてしまう、例えば、図6(b)に示すように、携帯電話機1が充電器100からはみ出してしまうことで、受電できない受電コイル10が出てしまい、適正な量を受電コイル10が受電できない。すなわち、受電していない受電コイル10があることで、受電コイル10の「充電電流[小]」となる。その結果、適正な充電が行われなくなる。
【0071】
非接触充電システムにおいては、携帯電話機1と充電器100との間に、例えば、図6(c)に示すように、間に絶縁物が挟まっている状態で送電コイル110からの送電が行われた場合には、受電コイル10では、挟まった絶縁物により送電コイル110と受電コイル10との距離が離れてしまい適正な充電量を受電コイル10が受電できなくなる。すなわち、絶縁物により、送電コイル110からの「送電距離が長い」状態となり、受電コイル10の「充電電流[小]」となる。その結果、適正な充電が行われなくなる。
【0072】
非接触充電システムにおいては、携帯電話機1と充電器100との間に、例えば、図6(d)に示すように、間に金属が挟まっている状態で送電コイル110からの送電が行われた場合には、「金属により磁束がまとまり充電電流が[大]」の状態となる。
受電コイル10では、挟まった絶縁物により送電コイル110と受電コイル10との距離が離れてしまい適正な充電量を受電コイル10が受電できなくなる。すなわち、絶縁物により、送電コイル110からの「送電距離が長い」状態となり、受電コイル10の「充電電流[小]」となる。その結果、適正な充電が行われなくなる。
【0073】
本実施形態においては、上述の充電パターンで充電した場合であっても、適正な充電が行われるように構成される。
【0074】
次に、上述した機能を実現する携帯電話機1及び充電器100の機能的構成について図6を用いて説明する。図7は、携帯電話機1の機能的構成を示す機能ブロック図である。
【0075】
まず、携帯電話機1の機能的構成について説明し、次に充電器100の機能的構成について説明する。
携帯電話機1は、図7に示すように、電池11と、第1の受電コイルである第1の受電部10−1と、第2の受電コイルである第2の受電部10−2と、携帯電話機側CPU12と、記憶部13と、携帯電話機側通信部14(第1の通信部)と、を備える。
電池11は、充電可能な二次電池である。
受電部10は、後述する送電部110(送電コイル110)との近接状態において、送電コイル110に電流を流すことにより発生する磁束を媒介に起電力が生じるコイルである。
また、受電部10は、本実施形態においては、第1の受電部10−1及び第2の受電部10−2の2つの受電部10から構成される。
適正な充電は、受電部10の送電部110との距離や、送電量が適正なものである場合に、受電部10が受電することにより行われる。
本実施形態においては、図5(c)に示すように、受電部10が送電部110の直上、かつ、近接した位置になるように携帯電話機1が充電器100に置かれることにより適正な充電が行われる。
【0076】
携帯電話機側CPU12は、詳細には、充電状態監視部21と、通信制御部22(命令部)と、を有する。
充電状態監視部21は、受電部10における受電の有無及び受電量を検出する。
充電状態監視部21は、充電状態監視部21により検出された受電部10における受電の有無及び受電量に基づいて、適正な充電が行われているか否かを判定する。また、充電状態監視部21は、受電部10の受電量が適正な充電が行われるために、どの程度の受電量が必要か否かを判定する。具体的には、充電状態監視部21は、受電量が適正な充電を行うには不足している場合には、どの程度受電量を増加させることにより適正な充電を行うことができるかを判定する。また、充電状態監視部21は、受電量が適正な充電となるためには多すぎる場合には、どの程度受電量を減少させることにより適正な充電を行うことができるかを判定する。
【0077】
通信制御部22は、充電状態監視部21による判定結果に基づいて、携帯電話機側通信部14の信号の送受信を制御する。具体的には、通信制御部22は、充電状態監視部21による判定結果が、受電量が少ない場合には、後述する送電量調整部122に送電部110の送電量を増加させるように制御する旨の信号(送電コイル電流増加指示信号)を送信するように携帯電話機側通信部14を制御する。また、通信制御部22は、充電状態監視部21による判定結果が、受電量が多い場合には、送電量調整部122に送電部110の送電量を減少させるように制御する旨の信号(送電コイル電流減少指示信号)を送信するように携帯電話機側通信部14を制御する。
【0078】
携帯電話機側通信部14は、後述する充電器側通信部140との間で、信号の送受信を行う。
記憶部13には、充電状態監視部21での判定に用いられる電池11の充電量等のデータが記憶される。
【0079】
次に、充電器100の機能的構成について説明する。
充電器100は、図7に示すように、送電部110と、充電器側CPU120と、充電器側通信部140と、を有する。
【0080】
送電部110は、受電部10(受電コイル10)との近接状態において、電流を流すことにより、磁束を発生させるコイルである。また、送電部110は、第1の受電部10−1及び第2の受電部10−2に対応して、第1の送電部110−1及び第2の送電部110−2が設けられる。
【0081】
充電器側CPU120は、詳細には、送電制御部121(実行部)と、送電量調整部122と、有する。
送電制御部121は、充電器側通信部140により受信された信号(送電コイル電流増加指示信号又は送電コイル電流減少指示信号)に基づいて、送電量調整部122による送電部110の送電量の調整を制御する。
送電量調整部122は、送電部110の送電量を調整する。
充電器側通信部140は、携帯電話機側通信部14との間で、信号の送受信を行う。
【0082】
以上のように構成される充電システムは、充電状態監視部21により監視される携帯電話機1における受電部10での受電量から、各種信号を充電器100に送信する。充電器100では、受信した各種信号からの指示に基づいて、送電制御部121は、送電量調整部122による送電部110の送電量を調整する。
【0083】
したがって、非接触充電システムでは、正常に充電できる位置ではない場所に置いてしまった場合であっても、適正な充電量で充電を行うことができる。
【0084】
非接触充電システムにおいては、例えば、適正な充電が行われていない図6(a)に示す場合には、携帯電話機1では、充電状態監視部21により第1の受電コイル10−1及び第2の受電コイル10−2の受電量が監視され、当該監視結果により、第1の受電コイル10−1及び第2の受電コイル10−2で適正な充電を行うには受電量が少ないと判定される。このため、携帯電話機1では、携帯電話機側通信部14から、送電コイル電流増加指示信号が送信される。一方、充電器100においては、充電器側通信部140により受信した送電コイル電流増加指示信号に基づいて、送電制御部121は、第1の送電部110−1及び第2の送電部110−2の送電量が増加するように送電量調整部122を制御する。
その結果、携帯電話機1では、適正な充電ができる受電量を得ることができる。
【0085】
また、適正な充電が行われていない図6(b)に示す場合には、携帯電話機1では、充電状態監視部21により第1の受電コイル10−1及び第2の受電コイル10−2の受電量が監視され、当該監視結果により、第2の受電コイル10−2では受電されておらず、第1の受電コイル10−1では適正な充電を行うには受電量が少ないと判定される。このため、携帯電話機1では、携帯電話機側通信部14から、送電コイル電流増加指示信号が送信される。一方、充電器100においては、充電器側通信部140により受信した送電コイル電流増加指示信号に基づいて、送電制御部121は、第2の送電部110−2の送電量が増加するように送電量調整部122を制御する。
その結果、携帯電話機1では、適正な充電ができる受電量を得ることができる。
【0086】
また、適正な充電が行われていない図6(c)に示す場合には、携帯電話機1では、充電状態監視部21により第1の受電コイル10−1及び第2の受電コイル10−2の受電量が監視され、当該監視結果により、携帯電話機1と充電器100との間に絶縁物があり、適正な充電を行うには受電量が少ないと判定される。このため、携帯電話機1では、携帯電話機側通信部14から、送電コイル電流増加指示信号が送信される。一方、充電器100においては、充電器側通信部140により受信した送電コイル電流増加指示信号に基づいて、送電制御部121は、第1の送電部110−1及び第2の送電部110−2の送電量が増加するように送電量調整部122を制御する。
その結果、携帯電話機1では、適正な充電ができる受電量を得ることができる。
【0087】
また、適正な充電が行われていない図6(d)に示す場合には、携帯電話機1では、充電状態監視部21により第1の受電コイル10−1及び第2の受電コイル10−2の受電量が監視され、当該監視結果により、携帯電話機1と充電器100との間に金属があり、当該金属により磁束がまとまり過剰に受電しているため適正な充電を行うには受電量が多いと判定される。このため、携帯電話機1では、携帯電話機側通信部14から、送電コイル電流減少指示信号が送信される。一方、充電器100においては、充電器側通信部140により受信した送電コイル電流減少指示信号に基づいて、送電制御部121は、第1の送電部110−1及び第2の送電部110−2の送電量が減少するように送電量調整部122を制御する。
その結果、携帯電話機1では、適正な充電ができる受電量を得ることができる。
【0088】
また、表示部6(報知部)では、例えば、充電状態監視部21からの監視結果により第1の受電部10による受電量が低い場合には、第1の受電部10の受電量が高くなる位置に携帯電子機器を移動させる旨の表示が行われる。
【0089】
これにより、ユーザは、適正な充電が行われていないことを認識することができ、かつ、どの位置に携帯電話機1を置くことで適正な充電を行うことができるかを知ることができる。結果として、非接触充電システムにおいては、適正な充電量で充電を行う機能を有する。
【0090】
<他の実施形態>
次に、他の実施形態について図8及び図9を用いて説明する。図8は、本発明の他の実施形態の携帯電話機1の外観を示す図である。図9は、他の実施形態の携帯電話機1における正常に充電が行われないパターンの一例を示す模式図である。なお、述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0091】
上述した実施形態では、折り畳み式の携帯電話機1について説明したが、本実施形態においては、ストレート式の携帯電話や表示部6と操作部が重畳的に構成されるタッチパネルのみで構成された、いわゆるスマートフォンタイプの携帯電話機1について説明する。なお、ケース等に入れて携帯される可能性が高いスマートフォンタイプの携帯電話機1の充電に非接触充電を採用することは、ケースから携帯電話機を出さずに手軽に充電を行うことができるが、受電量がケースのないものに比べて低下してしまう可能性がある。このような場合に、本発明に係る非接触充電システムは、好適に作用する。
【0092】
本実施形態における携帯電話機1は、受電コイル10が筐体の表面部側(以下、表面側という。)が逆の側(以下、裏面側という。)に配置されている。このため、携帯電話機1においては、非接触充電に際して、裏面側を充電器100側に向けて、充電器100の上に置いた場合と、表面側を充電器100側に向けて、充電器100の上に置いた場合とでは、受電部10における受電量が異なる。つまり、裏面側を充電器100側に向けて、充電器100の上に置いた場合には、送電コイル110と受電コイル10との距離が近接するために、適正な充電を行うことができる。一方、表面側を充電器100側に向けて、充電器100の上に置いた場合には、図9(a)に示すように、送電コイル110と受電コイル10との距離が離れてしまい、適正な充電が行われない受電量となってしまう。
【0093】
そこで、本実施形態の非接触充電システムにおいては、上述した第2の実施形態において説明した図6(a)の例と同様にして、送電量を増加させる制御を行うことにより、適正な充電を行うことができる。
【0094】
また、上述した第2の実施形態の図6(b)から図6(d)の例に対応する図9(b)から図9(d)の場合においても、図6(b)から図6(d)の場合と同様して、送電量を増加させる制御を行うことにより、適正な充電を行うことができる。また、図9(c)の場合は、絶縁性の素材により形成されケースに入れた場合と同様の状況であり、図9(d)の場合は、金属製のケースに入れた場合と同様の状況である。
【0095】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0096】
また、上述の実施形態では、コイル110との近接状態において、コイル110に電流を流すことにより発生する磁束を媒介に起電力が生じるコイルを、機能面で特定して「受電コイル(受電部)」という名称を用いたが、「受動コイル」という名称を用いてもよい。また、コイル10との近接状態において、コイル10に電流を流すことにより、磁束を発生させるコイルを、機能面で特定して「送電コイル(送電部)」という名称を用いたが、「誘導コイル」という名称を用いてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、非接触充電システムは、いわゆる、電磁誘導方式による方式により、電源コード等を用いずに充電する非接触充電を行うように構成したがこれに限られない。非接触充電システムは、電源コード等を用いずワイヤレスで携帯電話機1の充電を行えればよく、例えば、電流を電磁波に変換しアンテナを介して送受信することで携帯電話機1の充電を行う、いわゆる、電波方式や、電磁界の共鳴現象を利用して携帯電話機1の充電を行う、いわゆる、電磁界共鳴方式等の方式を採用することができる。
【0098】
また、上述の実施形態では、非接触充電システムは、受電部10を、受電部10(1)及び受電部10(2)の2つ設けるように構成したが、これに限られず、例えば、1つ又は3つ以上を設けるように構成してもよい。なお、この際には、受電部10に対応して、送電部110も同数又はそれ以上の数設けてもよい。
【0099】
また、第1及び第2の実施形態における携帯電話機1は、操作部5が設けられる操作部側筐体2と、後述する表示部6が設けられる表示部側筐体3の2つの筐体を、ヒンジ部4を介して、図1(a)に示すような展開状態から図1(b)に示すような非展開状態となる折り畳み状態に形態を変更可能に連結した、いわるゆ、折り畳み式の携帯電話として構成されたがこれに限られない。携帯電話機1は、本実施形態においては折り畳み式の携帯電話機1として構成したがこれに限られず、例えば、ストレート式の携帯電話機1やスライド式の携帯電話機1あってもよい。
【0100】
また、上述の本実施形態では、具体例として携帯電話機1(携帯電子機器)を想定して説明するが、これに限られず、例えば、PHS(Personal Handy phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistant)等の様々な携帯電子機器に適用可能である。
【0101】
[付記1]
非接触により電力を送る充電装置と、該充電装置から送られる電力を、該電力を非接触により受電して充電を行う二次電池を有する携帯電子機器と、を備える非接触充電システムにおいて、
前記携帯電子機器は、
前記充電装置から送られた電力を受ける受電部と、
前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部と、
前記充電装置と通信を行う第1通信部と、を有し、
前記充電装置は、
前記携帯電子機器に電力を送る送電部と、
前記携帯電子機器と通信する第2通信部と、
前記電力の授受の調整を前記充電状態監視部からの監視結果に基づいて実行する実行部と有する非接触充電システム。
[付記2]
前記受電部は、前記携帯電子機器の筐体内に複数配置される付記1記載の充電システム。
[付記3]
移動させる旨を報知する報知部を備え、
前記報知部は、前記充電状態監視部からの監視結果により所定の前記受電部による受電量が低い場合には、受電量が低い前記受電部の受電量が高くなる位置の方向に移動させる旨を報知する付記2に記載の非接触充電システム。
[付記4]
充電装置から送られた電力を受ける受電部と、
前記受電部が受けた電力により充電が行われる二次電池と、
前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部と、
前記充電装置と通信を行う通信部と、
前記通信部により前記充電状態監視部からの監視結果を前記充電装置の通信部に対して、充電装置から電力の授受の調整を実行するように命令する命令部と、を備える携帯電子機器。
[付記5]
携帯電子機器に電力を送る送電部と、
前記携帯電子機器と通信する通信部と、
前記携帯電子機器から受信した充電状態の結果に基づいて、前記送電部における電力の授受の調整を実行する実行部と、を備える充電装置。
[付記6]
非接触により電力を送る充電装置と、該充電装置から送られる電力を、該電力を非接触により受電して充電を行う二次電池を有する携帯電子機器と、を備える非接触充電システムの制御方法において、
前記携帯電子機器は、
前記充電装置から送られた電力を受ける受電ステップと、
前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視ステップと、
前記充電装置と通信を行う第1通信ステップと、を含み、
前記充電装置は、
前記携帯電子機器に電力を送る送電ステップと、
前記携帯電子機器と通信する第2通信ステップと、
前記電力の授受の調整を前記充電状態監視ステップでの処理による監視結果に基づいて実行する実行ステップと、を含む制御方法。
【符号の説明】
【0102】
1 携帯電話機(携帯電子機器)
11 電池
10 受電部(取得部)
14 携帯電話機側通信部(通信部)
21 充電状態監視部
22 送信制御部(出力制御部)
100 充電器(充電装置)
110 送電部(出力部)
121 送電制御部(出力制御部)
122 送電量調整部(切替部)
140 充電器側通信部(通信部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触にて給電を行うための電磁波を出力する機能を有する充電装置と、
該充電装置から出力される電磁波により電磁誘導にて二次電池を充電する機能を有する携帯電子機器と、を備える非接触充電システムにおいて、
前記携帯電子機器は、
前記充電装置から出力された電磁波を取得する、複数の取得部と、
前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部と、
前記充電装置と通信を行う第1通信部と、を有し、
前記充電装置は、
前記電磁波を出力する、複数の出力部と、
前記携帯電子機器と通信する第2通信部と、
前記出力部の出力を前記充電状態監視部からの監視結果に基づいて制御する出力制御部と、を有する非接触充電システム。
【請求項2】
前記充電装置は、前記出力部での出力を切り替える切替部を有し、
前記出力制御部は、出力を行う前記出力部を切り替えるように前記切替部を制御する請求項1に記載の非接触充電システム。
【請求項3】
前記出力制御部は、出力を行う前記出力部を順次切り替えるように前記切替部を制御し、
前記充電状態監視部は、前記出力制御部の前記切替部への制御に対応して、充電状態の監視を行うことで、電磁波を出力する前記出力部を特定する請求項2に記載の非接触充電システム。
【請求項4】
前記出力制御部は、定期的に出力を行う前記出力部を順次切り替えるように前記切替部を制御する請求項3に記載の非接触充電システム。
【請求項5】
前記出力制御部は、複数の前記携帯電子機器から受信したそれぞれの前記充電状態の監視結果に応じて、前記出力部の出力を行うように制御する請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非接触充電システム。
【請求項6】
電磁波を出力する充電装置から出力された電磁波を取得する、複数の取得部と、
前記取得部が取得した電磁波により電磁誘導にて充電が行われる二次電池と、
前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視部と、
前記充電装置と通信を行う通信部と、
前記通信部により前記充電状態監視部からの監視結果を前記充電装置の通信部を介して、前記充電装置により出力される電磁波を制御するように命令する命令部と、を備える携帯電子機器。
【請求項7】
携帯電子機器へ電磁波を出力し、当該携帯電子機器の二次電池への充電を行う、複数の出力部と、
前記携帯電子機器と通信する通信部と、
前記携帯電子機器から受信した充電状態の監視結果に基づいて、前記出力部から出力される電磁波を制御する出力制御部と、を備える充電装置。
【請求項8】
非接触にて給電を行うための電磁波を送る機能を有する充電装置と、該充電装置から送られる電磁波を非接触にて取得し、二次電池を充電する機能を有する携帯電子機器と、を備える非接触充電システムの制御方法において、
前記携帯電子機器は、
前記充電装置から出力された電磁波を取得する取得ステップと、
前記二次電池の充電状態を監視する充電状態監視ステップと、
前記充電装置と通信を行う第1通信ステップと、を有し、
前記充電装置は、
前記携帯電子機器に電磁波を送る出力ステップと、
前記携帯電子機器と通信する第2通信ステップと、
前記出力ステップの処理により出力を前記充電状態監視ステップからの監視結果に基づいて制御する出力制御ステップと、を含む制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210056(P2012−210056A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73662(P2011−73662)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】