説明

非接触型ICリーダ、非接触型IC及び電子マネーの決済方法

【課題】電子決済に対する信頼性を向上させることができるリーダライタ、非接触型ICカード及び電子マネーの決済方法を提供する。
【解決手段】非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で1回目の通信が行われると、リーダライタ20から非接触型ICカード10に対して支払額が送信される。そして、非接触型ICカード10では、この支払額が表示される。その後、所定時間内に、非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で2回目の通信が行われると、リーダライタ20から非接触型ICカード10に対して支払処理信号が送信される。そして、非接触型ICカード10では、支払額の支払処理が行われる。このため、支払処理が行われる前に、非接触型IC側で支払処理情報を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICと無線通信を行い前記非接触型ICに支払処理を行わせる非接触型ICリーダ、非接触型ICリーダと無線通信を行って支払処理を行う非接触型IC、及び、非接触型ICリーダと無線通信を行う非接触型ICの電子決済を行う電子マネーの決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストア等における決済(小額決済)として、無線通信を行う非接触型ICが内蔵された非接触型ICカードを用いた電子マネーの決済が行われるようになってきた。この非接触型ICカードは、事前に所定額の電子マネーをチャージしておくと、レジ(精算装置)に接続された非接触型のリーダライタに近接させる(かざす)ことで、非接触型ICカードから支払額が減額され、決済処理が行われるようになっている。なお、非接触型ICカードに電子マネーを再チャージすることで、何度でも繰り返し使用することが可能となっている。
【0003】
ところで、このような非接触型ICカードを用いて決済を行う場合、利用者は、レジやリーダライタに表示された金額を見てから、非接触型ICカードをリーダライタに近接させている。特許文献1には、支払処理を行う前に、非接触型ICカードの残高を表示させることが開示されている。
【特許文献1】特開2003−085623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、非接触型ICカードによる決済では、現金の引渡しが行わないため、利用者は、リーダライタに表示された支払額を信用する以外に、非接触型ICカードから減額される支払額を確認することができず、電子決済に対する信頼性が十分でないという問題があった。なお、特許文献1では、支払処理を行う前に非接触型ICカードの残高を表示させているが、支払額は非接触型ICカードリーダ側でしか表示されない。このため、例えば、悪意ある者による非接触型ICカードリーダの改造により、実際に支払処理される支払額よりも安価に表示されるおそれがあり、信頼性の高い自分の非接触型ICカードにおいて、減額される支払額を事前に確認することができないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、電子決済に対する信頼性を向上させることができる非接触型ICリーダ、非接触型IC及び電子マネーの決済方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る非接触型ICリーダは、非接触型ICと無線通信を行い非接触型ICに支払処理を行わせる非接触型ICリーダであって、非接触型ICとの通信を検出すると、支払情報を非接触型ICに送信する支払情報送信手段と、支払情報送信手段により支払情報が送信された後、再度非接触型ICとの通信を検出すると、支払情報の支払処理を行わせる支払処理信号を非接触型ICに送信する支払処理信号送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る非接触型ICリーダによれば、まず、非接触型ICとの通信が行われると、非接触型ICに支払情報が送信され、その後、再度非接触型ICとの通信が行われることで、非接触型ICに支払処理を行わせる。このように、利用者は、支払処理が行われる前に、非接触型IC側で支払処理情報を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【0008】
この場合、上記支払処理信号送信手段は、非接触型ICから送信される支払可信号を検出する場合にのみ、支払処理信号を非接触型ICに送信することが好ましい。この非接触型ICリーダによれば、支払可信号が検出されなければ、非接触型ICに支払処理信号が送信されないため、意図しない非接触型ICの通信により支払処理が行われるのを防止することができる。
【0009】
本発明に係る非接触型ICは、非接触型ICリーダと無線通信を行って支払い処理を行う非接触型ICであって、非接触型ICリーダとの通信を検出すると、非接触型ICリーダから送信される支払情報を表示する支払情報表示処理手段と、支払情報表示処理手段により支払情報が表示された後、再度非接触型ICリーダとの通信を検出すると、非接触型ICから送信される支払処理信号に基づき支払情報の支払処理を行う支払処理手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る非接触型ICによれば、まず、非接触型ICリーダから送信される支払情報が表示され、その後、非接触型ICリーダから送信される支払処理信号に基づき支払処理が行われる。このように、利用者は、支払処理が行われる前に、非接触型IC側で支払処理情報を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【0011】
この場合、上記非接触型ICリーダから送信される支払情報を検出すると、支払予定額と支払処理後の予定残高の少なくとも一方を非接触型ICリーダに送信する残高情報送信手段を更に備えることが好ましい。この非接触型ICによれば、非接触型ICリーダから送信された支払情報が検出されると、支払予定額と支払処理後の予定残高の少なくとも一方が非接触型ICリーダに送信される。このように、利用者は、支払処理が行われる前に、非接触型ICリーダ側でも、非接触型ICで支払処理が行われる支払予定額と支払処理後の予定残高の少なくとも一方を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【0012】
本発明に係る電子マネーの決済方法は、非接触型ICリーダと無線通信を行う非接触型ICの電子決済を行う電子マネーの決済方法であって、非接触型ICと非接触型ICリーダとの通信を検出すると、支払予定額と支払処理後の予定残高の少なくとも一方を利用者に通知する支払額情報通知ステップと、支払額情報通知ステップの後、再度非接触型ICと非接触型ICリーダとの通信を検出すると、支払予定額の決済処理を行う決済処理ステップと、を備えることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る電子マネーの決済方法によれば、まず、非接触型ICと非接触型ICとの通信が検出されると、支払予定額と決済後の予定残高の少なくとも一方が通知され、その後、再度非接触型ICと非接触型ICリーダとの通信が検出されることで、決済処理が行われる。このように、利用者は、決済処理が行われる前に、支払予定額と決済処理後の予定残高の少なくとも一方を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【0014】
この場合、上記決済処理ステップは、決済処理が許可される支払可信号を検出する場合にのみ、決済処理を行うことが好ましい。この電子マネーの決済方法によれば、支払可信号が検出されなければ、決済処理が行われないため、意図しない非接触型ICと非接触型ICリーダとの通信により決済処理が行われるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る非接触型ICリーダ、非接触型IC及び電子マネーの決済方法の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、第1の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。図1に示すように、第1の実施形態に係る決済処理システム1は、非接触型ICカード10と、この非接触型ICカード10と無線通信可能なリーダライタ(非接触型ICリーダ)20とにより構成されている。
【0018】
リーダライタ20は、コンビニエンスストアなどの店舗のレジに接続されており、非接触型ICカード10と無線通信を行うことにより、非接触型ICカード10に支払処理(減算処理)を行わせるものである。このリーダライタ20には、各種情報が表示される表示部220と、非接触型ICカード10と無線通信を行い非接触型ICカード10から各種情報を読み出すと共に書き込む非接触R/W(Read / Write)部230と、非接触R/W部230に接続されたアンテナ部240と、非接触型ICカード10の全体制御を行う制御部210とが設けられている。
【0019】
制御部210は、機能的には、通信検出部210a、支払情報送信部210b及び支払処理信号送信部210cが含まれている。この制御部210は、物理的には、表示部220及び非接触R/W部230と接続されており、主に、CPU211とメモリ212とにより構成されている。
【0020】
そして、制御部210は、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されることにより1回目の通信を検出すると、非接触型ICカード10に対して支払額を送信する。また、制御部210は、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されて2回目の通信が検出されると、非接触型ICカード10に対して、支払処理を行わせる支払処理信号を送信する。このように、制御部210は、通信検出部210a、支払情報送信部210b及び支払処理信号送信部210cとして機能する。
【0021】
非接触型ICカード10は、リーダライタ20と無線通信が可能なカード状に形成されており、電子マネーによる支払処理を行うものである。この非接触型ICカード10には、リーダライタ20と無線通信を行うことにより、電子マネーによる支払処理を行う非接触型IC100が搭載されている。この非接触型IC100には、リーダライタ20と無線通信を行う非接触ICC(IC Chip)部120と、非接触ICC部120に接続されたアンテナ部130と、非接触型ICカード10の全体制御を行う制御部110とが内蔵されている。また、非接触型ICカード10には、各種情報が表示される表示部140と、電子マネーの残高が記憶される残高保持部150とが設けられており、この表示部140及び残高保持部150は、非接触型IC100に接続されている。
【0022】
残高保持部150には、非接触型ICカード10にチャージ(保持)されている電子マネーの残高が記憶されている。この残高保持部150に記憶される残高は、非接触型ICカード10により電子決済されると、支払処理により支払額が減算される。また、この残高保持部150に記憶される残高は、所定のリーダライタにより所定額チャージされると、チャージされた所定額だけ加算される。
【0023】
制御部110は、機能的には、支払処理部110a及び支払情報表示処理部110bが含まれている。この制御部110は、物理的には、非接触ICC部120と接続されて、主に、CPU111とメモリ112とにより構成されている。
【0024】
そして、制御部110は、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されることにより1回目の通信を検出し、リーダライタ20から送信された支払額を受信すると、この支払額を表示部140に表示させる。また、制御部110は、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されて2回目の通信が検出され、リーダライタ20から送信された支払処理信号を検出すると、残高保持部150に記憶されている電子マネーの残高から支払額を減算する。このように、制御部110は、支払処理部110a及び支払情報表示処理部110bとして機能する。
【0025】
次に、図2〜図4を参照して、本実施形態に係る決済処理システム1の決済処理動作について説明する。図2は、決済処理システム1の決済処理動作を説明するためのシーケンス図であり、図3は、リーダライタの決済処理動作を説明するためのフローチャートであり、図4は、非接触型ICカードの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0026】
まず、図2を参照して、決済処理システム1の決済処理動作について簡単に説明する。
【0027】
非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で1回目の通信が行われると(ステップS1)、リーダライタ20から非接触型ICカード10に対して支払額が送信される(ステップS2)。そして、非接触型ICカード10では、この支払額が表示される(ステップS3)。
【0028】
その後、所定時間内に、非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で2回目の通信が行われると(ステップS4)、リーダライタ20から非接触型ICカード10に対して支払処理信号が送信される(ステップS5)。そして、非接触型ICカード10では、支払額の支払処理が行われる(ステップS6)。
【0029】
次に、図3を参照して、リーダライタ20の詳しい決済処理動作について説明する。
【0030】
まず、事前準備としてレジが登録され、非接触型ICカード10による電子決済を行うように支払方法が設定される(ステップS11)。
【0031】
そして、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されることにより非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で1回目の通信が行われると(ステップS12:YES)、制御部210は、非接触型ICカード10に対して支払額を送信する(ステップS13)。
【0032】
ステップS13の後、所定時間内に、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されることにより非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で2回目の通信が行われると(ステップS14:YES)、制御部210は、非接触型ICカード10に対して支払処理信号を送信する(ステップS15)。
【0033】
一方、ステップS13の後、所定時間内に、2回目の通信が行われないと(ステップS14:NO)、制御部210は、非接触型ICカード10に対して支払処理信号を送信せずに、処理を終了する。
【0034】
次に、図4を参照して、非接触型ICカード10の詳しい決済処理動作について説明する。
【0035】
まず、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されることにより非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で1回目の通信が行われると(ステップS21:YES)、制御部110は、リーダライタ20から送信された支払額を受信する(ステップS22)。そして、制御部110は、ステップS22において受信した支払額を、表示部140に表示させる(ステップS23)。
【0036】
ステップS23の後、所定時間内に、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接されることにより非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で2回目の通信が行われると(ステップS24:YES)、制御部110は、リーダライタ20から送信された支払処理信号を受信する(ステップS26)。そして、制御部110は、残高保持部150に記憶された電子マネーの残高から支払額を減算する支払処理を行う(ステップS27)。なお、ステップS27において、電子マネーの残高から減算される支払額は、ステップS23において表示された支払額となる。
【0037】
一方、ステップS23の後、所定時間内に、非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で2回目の通信が行われないと(ステップS24:NO)、制御部110は、支払処理を中止する(ステップS27)。そして、残高保持部150に記憶された電子マネーの残高から支払額を減算することなく、処理を終了する。
【0038】
[第2実施形態]
次に、第2の実施形態に係る決済処理システムについて説明する。図5は、第2の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。図5に示すように、第2の実施形態に係る決済処理システム2は、第1の実施形態の非接触型ICカード10に圧力検出部360が追加された非接触型ICカード30と、第1の実施形態のリーダライタ20と同一構成のリーダライタ40とにより構成されている。
【0039】
非接触型ICカード30の圧力検出部360は、非接触型ICカード30の表面付近に設けられる圧力センサ(不図示)であって、利用者が圧力センサを押圧する圧力を検出するものである。そして、圧力検出部360は、圧力を検出すると、制御部110に対して圧力検出信号を送信する。
【0040】
非接触型ICカード30の制御部110には、支払処理部110a及び支払情報表示処理部110bが設けられており、更に、支払可信号送信部110cの機能が設けられている。そして、制御部110は、圧力検出部360から送信された圧力検出信号を受信しているときに、リーダライタ40との2回目の通信を検出すると、リーダライタ40に対して支払可信号を送信する。このように、制御部110は、支払可信号送信部110cとして機能する。
【0041】
一方、リーダライタ40の制御部210は、非接触型ICカード30との2回目の通信を検出し、非接触型ICカード30から送信された支払可信号を検出すると、非接触型ICカード30に対して支払処理信号を送信する。
【0042】
次に、図6を参照して、非接触型ICカード30の詳しい決済処理動作について説明する。図6は、非接触型ICカード30の決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、第1の実施形態の非接触型ICカード10と同様に、ステップS21〜ステップS23の処理を行う。
【0044】
そして、ステップS23の処理が終了すると、制御部110は、所定時間内に、圧力検出状態で2回目の通信を検出したか否かを判定する(ステップS31)。すなわち、ステップS31では、圧力検出部360から圧力検出信号を受信しているときに、非接触型ICカード10がリーダライタ20に近接され、非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で2回目の通信が行われたか否かが判定される。なお、ステップS31の判定では、ステップS23において支払額が表示されてから2回目の通信が行われるまでの間に圧力検出信号を受信した場合に、圧力検出状態で2回目の通信を検出したと判定してもよい。
【0045】
ステップS31の判定において、所定時間内に、圧力検出状態で2回目の通信を検出した場合(ステップS31:YES)、制御部110は、リーダライタ20に対して支払可信号を送信する(ステップS32)。その後、制御部110は、リーダライタ20から送信された支払処理信号を受信し(ステップS26)、残高保持部150に記憶された電子マネーの残高から支払額を減算する支払処理を行う(ステップS27)。
【0046】
一方、ステップS31の判定において、所定時間内に、圧力検出状態で2回目の通信を検出しない場合(ステップS31:NO)、制御部110は、支払処理を中止する(ステップS25)。そして、残高保持部150に記憶された電子マネーの残高から支払額を減算することなく、処理を終了する。
【0047】
次に、図7を参照して、リーダライタ40の詳しい決済処理動作について説明する。図7は、リーダライタ40の決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0048】
まず、第1の実施形態のリーダライタ20と同様に、ステップS11〜ステップS14の処理を行う。
【0049】
そして、ステップS14において、2回目の通信を検出した場合(ステップS14:YES)、制御部210は、非接触型ICカード30から送信された支払可信号を検出したか否かを判定する(ステップS41)。
【0050】
ステップS41において、支払可信号を検出したと判定した場合(ステップS41:YES)、制御部210は、非接触型ICカード30に対して支払処理信号を送信する(ステップS15)。
【0051】
一方、ステップS41において、支払可信号を検出しない判定した場合(ステップS41:NO)、制御部210は、非接触型ICカード10に対して支払処理信号を送信せずに、処理を終了する。
【0052】
[第3実施形態]
次に、第3の実施形態に係る決済処理システムについて説明する。図8は、第3の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。図8に示すように、第3の実施形態に係る決済処理システム3は、第1の実施形態の非接触型ICカード10と同一構成の非接触型ICカード50と、第1の実施形態のリーダライタ20と同一構成のリーダライタ60とにより構成される。
【0053】
リーダライタ20の制御部210には、通信検出部210a、支払情報送信部210b及び支払処理信号送信部210cが設けられており、更に、残高情報要求部210dが設けられている。この制御部210は、非接触型ICカード10との1回目の通信を検出すると、電子マネーの残高、支払予定額及び支払い後の予定残高の要求を行う残高情報要求を送信する。このように、制御部210は、残高情報要求部210dとして機能する。
【0054】
非接触型ICカード10の制御部110には、支払処理部110a及び支払情報表示処理部110bが設けられており、更に、残高情報送信手段110dが設けられている。この制御部110は、リーダライタ20との1回目の通信を検出し、リーダライタ20から送信された支払額及び残高要求信号を受信すると、残高保持部150に記憶されている電子マネーの残高を読み出し、この残高から減算される支払予定額と、支払処理した後の電子マネーの予定残高とを算出する。そして、制御部110は、電子マネーの残高、支払予定額及び支払い後の予定残高を残高情報としてリーダライタ20に送信する。このように、制御部110は、残高情報送信手段110dとして機能する。
【0055】
次に、図9を参照して、非接触型ICカード50の詳しい決済処理動作について説明する。図9は、非接触型ICカード50の決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0056】
まず、第1の実施形態の非接触型ICカード10と同様に、ステップS21〜ステップS23の処理を行う。
【0057】
ステップS23の処理が終了すると、制御部110は、リーダライタ60から送信された残高情報要求を受信する(ステップS61)。そして、制御部110は、残高保持部150に記憶されている電子マネーの残高を読み出し、この残高から減算される支払予定額と、支払処理した後の電子マネーの予定残高とを算出する。そして、制御部110は、電子マネーの残高、支払予定額及び支払い後の予定残高を残高情報としてリーダライタ20に送信する(ステップS62)。
【0058】
その後、第1の実施形態の非接触型ICカード10と同様に、制御部110は、所定時間内に2回目の通信を検出すると(ステップS24:YES)、支払処理信号を受信して(ステップS26)、支払処理を行う(ステップS27)。一方、制御部110は、所定時間内に2回目の通信を検出しないと(ステップS24:NO)、支払処理を中止して(ステップS25)、処理を終了する。
【0059】
次に、図10を参照して、リーダライタ60の詳しい決済処理動作について説明する。図10は、リーダライタ60の決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0060】
まず、第1の実施形態のリーダライタ20と同様に、ステップS11〜ステップS12の処理を行う。
【0061】
そして、制御部210は、非接触型ICカード50との1回目の通信を検出すると(ステップS12:YES)、非接触型ICカード50に対して、支払額を送信すると共に(ステップS13)、残高情報要求を送信する(ステップS14)。
【0062】
その後、制御部210は、非接触型ICカード50から送信された残高情報を受信すると(ステップS52)、この残高情報に含まれる、電子マネーの残高、支払予定額及び支払処理した後の電子マネーの予定残高を、表示部220に表示させる(ステップS53)。
【0063】
その後、制御部210は、2回目の通信を検出すると(ステップS14:YES)、非接触型ICカード50に支払処理信号を送信し、2回目の通信を検出しないと(ステップS14:NO)、非接触型ICカード50に支払処理信号を送信せずに、処理を終了する。
【0064】
[第4実施形態]
次に、第4の実施形態に係る決済処理システムについて説明する。図11は、第4の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。図11に示すように、第4の実施形態に係る決済処理システム4は、第2の実施形態のリーダライタ40と、このリーダライタと無線通信を行う携帯電話70とにより構成されている。
【0065】
携帯電話70には、基地局と無線通信を行う無線通信部730と、無線通信部730に接続された無線通信アンテナ部720と、各種情報が表示される表示部740と、利用者が携帯電話70の操作を行うための操作部750と、電子マネーの残高が記憶される残高保持部760と、リーダライタ40と無線通信を行い電子マネーによる電子決済を行う非接触型IC100とが設けられている。この非接触型IC100には、リーダライタ40と無線通信を行う非接触ICC部770と、非接触ICC部770に接続されたアンテナ部780と、携帯電話70の全体制御を行う制御部710とが設けられている。
【0066】
操作部750は、携帯電話70の操作を行うものであり、支払処理を許容するための操作ボタン(不図示)が設けられている。そして、この操作ボタンが押下されると、ボタン操作検出信号を制御部710に送信する。
【0067】
制御部710は、第2の実施形態の非接触型ICカード30の制御部210と同様に、機能的には、支払処理部710a、支払情報表示処理部710b及び支払可信号送信部710cが含まれている。この制御部710は、物理的には、非接触ICC部770と接続されており、主に、CPU711とメモリ712とにより構成されている。
【0068】
そして、制御部710は、携帯電話70がリーダライタ40に近接されることにより1回目の通信を検出すると、リーダライタ40から送信された支払額を受信して、この支払額を表示部740に表示させる。また、制御部710は、操作部750から送信された圧力検出信号を受信しているときに、携帯電話70がリーダライタ40に近接されることにより2回目の通信を検出すると、リーダライタ40に対して支払可信号を送信する。その後、リーダライタ40から送信された支払処理信号を検出すると、残高保持部760に記憶されている電子マネーの残高から支払額を減算する。このように、制御部710は、支払処理部710a、支払情報表示処理部710b及び支払可信号送信部710cとして機能する。
【0069】
なお、決済処理システム4の決済処理動作は、第2の実施形態に係る決済処理システム2の決済処理動作と同様であり、携帯電話70は図6に示す決算処理動作を行い、リーダライタ40は図7に示す決算処理動作を行う。
【0070】
[第5実施形態]
次に、第5の実施形態に係る決済処理システムについて説明する。図12は、第5の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。図12に示すように、決済処理システム5は、第2の実施形態の非接触型ICカード30と同一構成の非接触型ICカード80と、第2の実施形態のリーダライタ40と同一構成のリーダライタ90とにより構成される。
【0071】
非接触型ICカード80の制御部110は、リーダライタ90との通信回数に関わらず、通信検出時に圧力検出信号を受信したか否かにより、支払可信号を送信するか否かを判断する。すなわち、制御部110は、リーダライタ40との通信を検出したときに、圧力検出信号を受信していると、リーダライタ40に対して支払可信号を送信する。一方、制御部110は、リーダライタ40との通信を検出したときに、圧力検出信号を受信していなければ、リーダライタ40に対して支払可信号を送信しない。
【0072】
リーダライタ90の制御部210は、非接触型ICカード80との通信回数に関わらず、通信検出時に支払可信号を検出したか否かにより、支払額を送信するのか支払処理信号を送信するのかを判断する。すなわち、制御部210は、非接触型ICカード80との通信を検出したときに、非接触型ICカード80から送信される支払可信号を検出していないと、非接触型ICカード80に対して支払額を送信する。一方、制御部210は、非接触型ICカード80との通信を検出したときに、非接触型ICカード80から送信される支払可信号を検出していると、非接触型ICカード80に対して支払処理信号を送信する。
【0073】
次に、図13を参照して、非接触型ICカード80の詳しい決済処理動作について説明する。図13は、非接触型ICカード80の決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0074】
まず、非接触型ICカード80がリーダライタ90に近接され、非接触型ICカード80とリーダライタ90との間で通信が行われると(ステップS71:YES)、制御部110は、圧力検出部360から送信される圧力検出信号を検出したか否かを判定する(ステップS72)。
【0075】
ステップS72において、圧力検出信号を検出していないと判定した場合(ステップS72:NO)、制御部110は、リーダライタ90に対して支払可信号を送信せずに、リーダライタ90から支払額が送信されるのを待つ。その後、制御部110は、リーダライタ90から送信される支払額を受信すると(ステップS73)、この支払額を表示部140に表示させて(ステップS74)、ステップS71に戻り、処理を繰り返す。
【0076】
一方、ステップS72において、圧力検出信号を検出したと判定した場合(ステップS72:YES)、制御部110は、リーダライタ90に対して支払可信号を送信し、リーダライタ90から支払処理信号が送信されるのを待つ。その後、制御部110は、リーダライタ90から送信される支払処理信号を受信すると(ステップS76)、残高保持部150に記憶された電子マネーの残高から支払額を減算する支払処理を行い(ステップS77)、処理を終了する。
【0077】
次に、図14を参照して、リーダライタ90の詳しい決済処理動作について説明する。図14は、リーダライタ90の決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【0078】
まず、事前準備としてレジが登録され、非接触型ICカード80による電子決済を行うように支払方法が設定される(ステップS81)。
【0079】
そして、非接触型ICカード80がリーダライタ90に近接され、非接触型ICカード10とリーダライタ20との間で通信が行われると(ステップS82:YES)、制御部210は、非接触型ICカード80から送信される支払可信号を検出したか否かを判定する(ステップS83)。
【0080】
ステップS83において、支払可信号を検出していないと判定した場合(ステップS83:NO)、制御部210は、非接触型ICカード10に対して支払額を送信する(ステップS84)。
【0081】
一方、ステップS83において、支払可信号を検出したと判定した場合(ステップS83:YES)、制御部210は、非接触型ICカード10に対して支払処理信号を送信し(ステップS85)、処理を終了する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る決済処理システムによれば、まず、非接触型ICカードがリーダライタに近接され、非接触型ICカードとリーダライタとの間で1回目の通信が行われると、リーダライタから非接触型ICカードに支払額が送信され、非接触型ICカードにおいて、この支払額が表示される。その後、非接触型ICカードとリーダライタとの間で2回目の通信が行われることで、リーダライタから非接触型ICカードに支払処理信号が送信され、非接触型ICカードの支払処理が行われる。このように、利用者は、実際に支払処理が行われる前に、非接触型ICカード側で支払額を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【0083】
また、第2の実施形態に係る決済処理システム2及び第4の実施形態に係る決済処理システム4によれば、支払可信号が検出されなければ、リーダライタ40から非接触型ICカード30(携帯電話70)に支払処理信号が送信されないため、支払処理を行うとの利用者の意思に基づき支払い処理を行うことができ、意図しない非接触型ICカード30(携帯電話70)とリーダライタ40との通信により支払処理が行われるのを防止することができる。
【0084】
また、第3の実施形態に係る決済処理システム3によれば、非接触型ICカード50においてリーダライタ60から送信された支払情報が検出されると、電子マネーの残高、支払予定額及び支払い後の予定残高がリーダライタ60に送信されて表示される。このように、利用者は、支払処理が行われる前に、リーダライタ60側でも、電子マネーの残高、支払予定額及び支払い後の予定残高を確認することができるため、電子決済に対する信頼性を向上させることができる。
【0085】
また、第4の実施形態に係る決済処理システム4によれば、携帯電話70に非接触型IC100を搭載することで、携帯電話70には、本来の機能に加えて信頼性の高い電子マネーとしての機能を追加することができるため、携帯電話70の利用範囲を広げることができる。
【0086】
また、第5の実施形態に係る決済処理システム5によれば、非接触型ICカード80をリーダライタ90に近接させる際に、圧力検出信号を受信したか否か(圧力検出部360を押圧したか否か)により、非接触型ICカード80に支払額を表示させる場合と、支払処理を行う場合とを分けることができる。このため、意図しない非接触型ICカード80とリーダライタ90との通信により支払処理が行われるのを防止しながら、迅速に、支払額の表示と支払処理とを選択実行させることができる。
【0087】
以上、本発明をその実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態において、支払可信号は、圧力検出部360から圧力検出信号が送信された場合に、リーダライタ40から非接触型ICカード30送信されるものとして説明したが、利用者の意思を反映させることができるものであれば、如何なる手段によって支払可信号を送信するようにしてもよい。例えば、特定のキー(又はキーの組合せ)に支払可の機能を割り当て、その押下を検出した場合に支払可信号を送信させてもよい。
【0088】
また、上記実施形態において、非接触型ICカード(携帯電話)は、リーダライタから送信された支払額を表示させるものとして説明したが、利用者に支払額を通知できる手段であれば如何なる手段で通知してもよい。例えば、音声により支払額を利用者に通知するようにしてもよい。
【0089】
また、第3の実施形態において、1回目の通信では、リーダライタ60は支払額と残高情報要求を送信し、非接触型ICカード50は、この支払額と残高情報要求の受信に対応して残高情報を送信するように説明したが、例えば、リーダライタ60は残高情報要求を送信せず支払額のみを送信し、非接触型ICカードは、支払額の受信に対応して残高情報を送信するようにしてもよい。また、例えば、リーダライタ60は、残高情報を送信することなく、非接触型ICカード50の残高保持部150から電子マネーの残高を読み出し、リーダライタ60において、この読み出した残高から減算される支払予定額と、支払処理した後の電子マネーの予定残高とを算出し、表示部220に表示させるようにしてもよい。
【0090】
また、上記実施形態において、非接触型ICは、電子マネーを減算することにより支払処理を行うものとして説明したが、例えば、クレジット機能のように、支払額を事後的に引き落としてもよく、別途利用者に請求するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】第1の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。
【図2】決済処理システム1の決済処理動作を説明するためのシーケンス図である。
【図3】リーダライタの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図4】非接触型ICカードの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。
【図6】非接触型ICカードの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】リーダライタの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】第3の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。
【図9】非接触型ICカードの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】リーダライタの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】第4の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。
【図12】第5の実施形態に係る決済処理システムを示すシステム構成図である。
【図13】非接触型ICカードの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【図14】リーダライタの決済処理動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0092】
1,2,3,4,5…決済処理システム、100…非接触型IC、20,40,60,90…リーダライタ(非接触型ICリーダ)、110…制御部(支払処理手段、支払情報表示処理手段、支払可信号送信手段、残高情報送信手段)、110a…支払処理部、110b…支払情報表示処理部、110c…支払可信号送信部、110d…残高情報送信手段、210 制御部(支払情報送信手段、支払処理信号送信手段)、210b…支払情報送信手段、210c…支払処理信号送信手段、210d…残高情報要求手段、710…制御部(支払処理手段、支払情報表示処理手段、支払可信号送信手段)、710a…支払処理部、710b…支払情報表示処理部、710c…支払可信号送信部。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICと無線通信を行い前記非接触型ICに支払処理を行わせる非接触型ICリーダであって、
前記非接触型ICとの通信を検出すると、支払情報を前記非接触型ICに送信する支払情報送信手段と、
前記支払情報送信手段により前記支払情報が送信された後、再度前記非接触型ICとの通信を検出すると、前記支払情報の支払処理を行わせる支払処理信号を前記非接触型ICに送信する支払処理信号送信手段と、
を備えることを特徴とする非接触型ICリーダ。
【請求項2】
前記支払処理信号送信手段は、前記非接触型ICから送信される支払可信号を検出する場合にのみ、前記支払処理信号を前記非接触型ICに送信することを特徴とする請求項1に記載の非接触型ICリーダ。
【請求項3】
非接触型ICリーダと無線通信を行って支払い処理を行う非接触型ICであって、
前記非接触型ICリーダとの通信を検出すると、前記非接触型ICリーダから送信される支払情報を表示する支払情報表示処理手段と、
前記支払情報表示処理手段により前記支払情報が表示された後、再度前記非接触型ICリーダとの通信を検出すると、前記非接触型ICから送信される支払処理信号に基づき前記支払情報の支払処理を行う支払処理手段と、
を備えることを特徴とする非接触型IC。
【請求項4】
前記非接触型ICリーダから送信される前記支払情報を検出すると、支払予定額と支払処理後の予定残高の少なくとも一方を前記非接触型ICリーダに送信する残高情報送信手段を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の非接触型IC。
【請求項5】
非接触型ICリーダと無線通信を行う非接触型ICの電子決済を行う電子マネーの決済方法であって、
前記非接触型ICと前記非接触型ICリーダとの通信を検出すると、支払予定額と支払処理後の予定残高の少なくとも一方を利用者に通知する支払額情報通知ステップと、
前記支払額情報通知ステップの後、再度前記非接触型ICと前記非接触型ICリーダとの通信を検出すると、前記支払予定額の決済処理を行う決済処理ステップと、
を備えることを特徴とする電子マネーの決済方法。
【請求項6】
前記決済処理ステップは、決済処理が許可される支払可信号を検出する場合にのみ、前記決済処理を行うことを特徴とする請求項5に記載の電子マネーの決済方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−134614(P2009−134614A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311137(P2007−311137)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】