説明

非接触送受信システム、および、非接触送受信方法

【課題】非接触ICと、携帯情報端末と、携帯端末側アプリケーションと、外部読み書き装置とを備えた非接触送受信システムにおいて、起動コマンドの管理を簡素化する。
【解決手段】非接触IC220は、携帯端末側アプリケーション250を携帯情報端末200に格納する場合に、携帯端末側アプリケーション250の起動を要求する起動コマンドに含まれる起動パラメータの一部を、携帯端末側アプリケーション250に対応付けて特定領域242、244、246に格納する。外部読み書き装置100は、携帯情報端末200が外部読み書き装置100から所定の範囲内に接近した場合に、非接触IC220の特定領域242、244、246に格納された起動パラメータの一部を取得し、取得した起動パラメータの一部を含んだ起動コマンドを生成し、非接触IC220に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触送受信システム、および、非接触送受信方法に関する。特に、本発明は、起動コマンドを生成し非接触ICに送信する非接触送受信システム、および、非接触送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非接触ICを搭載する携帯情報端末と、この携帯情報端末の非接触ICとの間でデータを読み書きする外部読み書き装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、この外部読み書き装置は、携帯情報端末に格納されている特定のアプリケーションを起動させる所定の起動コマンドを、非接触ICを介して、この携帯情報端末に送信することにより、そのアプリケーションを非接触に起動する。
【特許文献1】特開2005−108044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、同一のアプリケーションを起動させる起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末によらず同一である場合に対して、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末に応じて異なる場合が想定されるに至った。例えば、サービスの提供者が携帯情報端末の利用者に応じたきめ細かなサービスを提供する目的で、アプリケーションの起動コマンドを携帯情報端末に応じて使い分ける場合などが想定されるに至った。
【0004】
そして、起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末に応じて異なる場合には、外部読み書き装置は、携帯情報端末に対応付けて複数の起動コマンドを記憶しなければならず、外部読み書き装置側の起動コマンドの管理が煩雑になるという不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態においては、非接触送受信システムであって、非接触でデータの読み書きが可能な非接触ICと、非接触ICを保持する携帯情報端末と、携帯情報端末上で実行され、携帯情報端末による非接触ICのデータの読み書きを制御する携帯端末側アプリケーションと、携帯情報端末が所定の範囲内に接近した場合に、携帯情報端末に保持された非接触ICのデータを非接触で読み書き可能な外部読み書き装置とを備え、非接触ICは、携帯端末側アプリケーションの起動を要求する起動コマンドに含まれる起動パラメータの一部を、携帯端末側アプリケーションに対応付けて特定領域に格納し、外部読み書き装置は、携帯情報端末が外部読み書き装置から所定の範囲内に接近した場合に、非接触ICの特定領域に格納された起動パラメータの一部を取得し、取得した起動パラメータの一部を含んだ起動コマンドを生成し、非接触ICに送信する。これにより、非接触ICは起動パラメータの一部を予め保持し、外部読み書き装置は非接触ICから起動パラメータの一部を取得して起動コマンドを生成するので、同一のアプリケーションを起動させる起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末に応じて異なる場合において、起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0006】
起動パラメータの一部は、携帯情報端末の利用者を特定する利用者特定情報を含んでもよい。これにより、起動コマンドが、携帯情報端末の利用者に応じて異なる場合において、利用者毎の起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0007】
利用者特定情報は、携帯端末側アプリケーションを携帯情報端末に格納する場合に、携帯情報端末の利用者から入力された情報に対応付けて生成されてもよい。これにより、起動コマンドが、携帯情報端末の利用者に応じて異なる場合において、利用者毎の起動コマンドの管理をより簡素化することができる。
【0008】
利用者が入力する情報は、携帯端末側アプリケーションを用いて提供されるサービスに対する会員登録用の情報であってもよい。これにより、起動コマンドが、携帯情報端末の利用者に応じて異なる場合において、会員登録用の情報を用いた他のシステムと連係させて利用者毎の起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0009】
起動パラメータの一部は、携帯情報端末の利用者のグループを特定する利用グループ特定情報を含んでもよい。これにより、起動コマンドが、携帯情報端末の利用者のグループに応じて異なる場合において、利用者のグループ毎の起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0010】
外部読み書き装置は、非接触ICの特定領域から起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、予め定められた所定の情報を追加して起動コマンドを生成してもよい。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合であっても、所定の起動コマンドを送信することができる。
【0011】
外部読み書き装置は、非接触ICの特定領域から起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、起動パラメータの一部を省略した起動コマンドを生成してもよい。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合であっても、所定の起動コマンドを送信することができる。
【0012】
外部読み書き装置は、非接触ICの特定領域から起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、その旨を携帯情報端末に通知し、携帯情報端末は、外部読み書き装置から通知を受けた場合に、起動パラメータの一部を読み取ることができない旨を表示してもよい。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合には、携帯情報端末の利用者に通知することができる。
【0013】
外部読み書き装置は、非接触ICの特定領域から起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、その旨を表示してもよい。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合には、外部読み書き装置の利用者に通知することができる。
【0014】
外部読み書き装置は、非接触ICの特定領域から起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、起動パラメータの一部を読み取ることができた場合と異なる予め定められた起動コマンドを送信してもよい。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合であっても、所定の起動コマンドを送信することができる。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第2の形態においては、非接触でデータの読み書きが可能な非接触ICと、非接触ICを保持する携帯情報端末と、携帯情報端末上で実行され、携帯情報端末による非接触ICのデータの読み書きを制御する携帯端末側アプリケーションと、携帯情報端末が所定の範囲内に接近した場合に、携帯情報端末に保持された非接触ICのデータを非接触で読み書き可能な外部読み書き装置とを備える非接触送受信方法であって、非接触ICは、携帯端末側アプリケーションの起動を要求する起動コマンドに含まれる起動パラメータの一部を、携帯端末側アプリケーションに対応付けて特定領域に格納する手順、外部読み書き装置は、携帯情報端末が外部読み書き装置から所定の範囲内に接近した場合に、非接触ICの特定領域に格納された起動パラメータの一部を取得し、取得した起動パラメータの一部を含んだ起動コマンドを生成し、非接触ICに送信する手順を備える。これにより、第1の形態と同様の効果を得ることができる。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0017】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、同一のアプリケーションを起動させる起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末に応じて異なる場合において、起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【実施例1】
【0019】
図1は、非接触送受信システム10の概念図を示す。非接触送受信システム10は、非接触でデータの読み書きが可能な非接触IC220を保持する携帯情報端末200、および、表示部106を有する外部読み書き装置100を備える。ここで携帯情報端末200の一例は携帯電話である。
【0020】
外部読み書き装置100は、端末300に接続する。外部読み書き装置100、および、端末300は、非接触IC220を用いるサービスを提供する店舗等に設置される。端末300、および、携帯情報端末200は、インターネット320を介して、携帯情報端末200上で実行されて動作する携帯端末側アプリケーション等を格納するサーバ310と通信する。
【0021】
携帯情報端末200は、格納した携帯端末側アプリケーションによって、非接触IC220のデータを読み書きし、外部読み書き装置100は、電波を用いて非接触IC220のデータを非接触で読み書きする。すなわち外部読み書き装置100と携帯情報端末200とは、非接触IC220を介して非接触に双方向に通信する。具体的には、まず、携帯情報端末200が外部読み書き装置100から所定の範囲内に接近すると、携帯情報端末200に保持された非接触IC220は、外部読み書き装置100から送信された電波を受信する。非接触IC220は受信した電波から起電力を得る。また非接触IC220は、この電波に搬送された情報を取得する。そして非接触IC220は、得られた起電力を利用して、非接触IC220のデータを電波によって外部読み書き装置100に送信する。
【0022】
なお、非接触IC220は、電池等を備え、この電源を利用して送受信してもよい。また、上記送受信方法の一例はFeliCa(登録商標)であるが、これに限られない。
【0023】
図2は、非接触送受信システム10のブロック図の一例を示す。携帯情報端末200は、入出力部222と、記憶部230とを備える非接触IC220、携帯端末側アプリケーションA、B、Cを格納するアプリケーション格納部250、および、処理判断部260を備える。
【0024】
アプリケーション格納部250は、サーバ310からダウンロードした携帯端末側アプリケーションA、B、Cを格納する。また、アプリケーション格納部250は、携帯端末側アプリケーションA、B、Cに加えて、サーバ310からダウンロードした携帯端末側アプリケーションA、B、Cの起動に関する情報を格納する。具体的には、アプリケーション格納部250は、携帯端末側アプリケーションA、B、Cの起動パラメータ、または、処理判断部260が起動コマンドの解釈時に参照する情報を格納する。
【0025】
記憶部230は、携帯端末側アプリケーションA、B、Cのそれぞれに対応付けて、携帯端末側アプリケーションA、B、Cのそれぞれがデータを読み書きするアプリケーション使用領域232、234、236を有する。アプリケーション使用領域232、234、236は、それぞれ、携帯端末側アプリケーションA、B、Cの起動を要求する起動コマンドに含まれる起動パラメータの一部である個別情報を格納する特定領域242、244、246を有する。アプリケーション使用領域232、234、236のうち特定領域242、244、246以外の領域は、アプリケーション使用領域232、234、236とアプリケーションA、B、Cとを対応付ける情報、クーポン等のコンテンツ、携帯端末側アプリケーションA、B、Cが生成した情報を記録する。
【0026】
入出力部222は、外部読み書き装置100との間で電波を送受信する。具体的には例えば、入出力部222は、後述する外部読み書き装置100の入出力部102から送信される起動コマンドを受信して記憶部230、および、処理判断部260に供給する。また、入出力部222は、特定領域242、244、246に格納された個別情報を読み出して入出力部102に送信する。
【0027】
処理判断部260は、入出力部222から供給される情報を処理等する。具体的には例えば、処理判断部260は、入出力部222から供給される起動コマンドに基づいて、携帯端末側アプリケーションAを起動する。また、携帯情報端末200の利用者からの指示に基づいて携帯端末側アプリケーションAを起動する。
【0028】
外部読み書き装置100は、入出力部102、処理判断部104、表示部106、および、格納部108を備える。入出力部102は、携帯情報端末200との間で電波を送受信する。例えば、入出力部102は、入出力部222から送信される個別情報を受信して処理判断部104に供給する。また、入出力部102は、処理判断部104が生成した起動コマンドを取得して入出力部222に送信する。
【0029】
また、入出力部102は、端末300と通信する。例えば、入出力部102は、端末300から、処理判断部104が起動コマンドの生成時に参照する情報を取得して処理判断部104に供給する。なお、端末300は、この参照する情報をサーバ310からダウンロードして格納する。
【0030】
処理判断部104は、入出力部102等から供給される情報、または、入出力部102等に供給する情報を処理等する。例えば、処理判断部104は、入出力部102から供給される個別情報に基づいて、起動コマンドを生成する。
【0031】
表示部106は、処理判断部104から供給された情報に基づいた情報をユーザに表示する。格納部108は、処理判断部104から処理判断部104が起動コマンドの生成時に参照する情報を取得して格納する。
【0032】
図3は、起動コマンドの一例を示す。起動コマンドは、図3(a)に示すように、2つの起動パラメータを有する。外部読み書き装置100の処理判断部104は、2つのパラメータをデータ本体(ペイロード)にセットし所定のヘッダ情報を付加して起動コマンドを生成する。
【0033】
一方、携帯情報端末200の処理判断部260は、アプリケーション格納部250に格納された携帯端末側アプリケーションA、B、Cの起動に関する情報を参照し、起動コマンドに含まれる2つのパラメータに基づいて起動コマンドを解釈する。なお、「COMMAND」は携帯端末側アプリケーションを起動する旨の情報を格納したヘッダ情報を模式的に示す。
【0034】
起動コマンドに含まれる起動パラメータの一つであるパラメータ1は、図3(b)に示すように、起動パラメータの一部として、共通情報と、個別情報とを有する。共通情報は、アプリケーション固有の値をもつ。個別情報は、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末に応じて異なる値をもつ。個別情報は、例えば、図3(b)に示すように、携帯情報端末200の利用者を特定する利用者特定情報を含む。利用者特定情報は、携帯端末側アプリケーションAを用いて提供されるサービスの会員を特定する会員情報であることが好ましい。これにより、起動コマンドが、携帯情報端末200の利用者に応じて異なる場合において、会員登録用の情報を用いた他のシステムと連係させて利用者毎の起動コマンドの管理を簡素化することができる。なお、パラメータ1は、各携帯端末側アプリケーションをサーバ310からダウンロードするときに指定するURL、すなわち、各携帯端末側アプリケーションのアプリケーション定義ファイルのURLであることが好ましい。
【0035】
具体的には、携帯情報端末200の利用者が「甲」、携帯端末側アプリケーションAについての甲の利用者特定情報が「USER1」である場合には、処理判断部104は、その携帯情報端末200の携帯端末側アプリケーションAを起動させるときには、図3(c)に示す起動コマンドを生成する。すなわち、処理判断部104は、まず、パラメータ1の共通情報「PRM_1_A」とパラメータ1の個別情報「USER1」とを結合してパラメータ1「PRM_1_A_USER1」を生成する。処理判断部104は、生成したパラメータ1とパラメータ2を用いて起動コマンドを生成する。同様に、携帯情報端末200の利用者が「乙」、携帯端末側アプリケーションAについての乙の利用者特定情報が「USER2」である場合には、処理判断部104は、その携帯情報端末200の携帯端末側アプリケーションAを起動させるときには、図3(d)に示す起動コマンドを生成する。ここで処理判断部104は、起動パラメータの一部である利用者特定情報を非接触IC220の特定領域242から取得する。これにより、非接触IC220は起動パラメータの一部を予め保持し、外部読み書き装置100は非接触IC220から起動パラメータの一部を取得して起動コマンドを生成するので、同一のアプリケーションを起動させる起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末200に応じて異なる場合において、起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0036】
処理判断部104は、また、所定の条件の下、利用者特定情報に替えて、予め定められた所定の値「ALL」を用いて、図3(e)に示す起動コマンドを生成する。具体的には、処理判断部104は、起動させようとするアプリケーションに係る特定領域から個別情報を読み取ることができない場合に、利用者特定情報に替えて、予め定められた所定の値「ALL」を用いて、図3(e)に示す起動コマンドを生成する。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合であっても、所定の起動コマンドを送信することができる。
【0037】
携帯情報端末200の利用者が甲である場合に、携帯情報端末200が図3(c)に示す起動コマンドを取得したときは、携帯情報端末200の処理判断部260は、図3(c)に示す起動コマンドに含まれるパラメータ1「PRM_1_A_USER1」により特定される携帯端末側アプリケーションAを起動する。
【0038】
同様に、携帯情報端末200の利用者が乙である場合に、処理判断部260は、図3(d)に示す起動コマンドを取得したときは、図3(d)に示す起動コマンドに含まれるパラメータ1「PRM_1_A_USER2」により特定される携帯端末側アプリケーションAを起動する。
【0039】
なお、処理判断部260は、図3(e)に示す起動コマンドを取得したときは、携帯端末側アプリケーションAを起動し、かつ、携帯端末側アプリケーションAによりエラーの表示をさせる。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合には、携帯情報端末200の利用者に通知することができる。
【0040】
なお、起動コマンドに含まれる起動パラメータの一つであるパラメータ2は、図3(b)に示すように、本実施例において共通情報を有するが、個別情報を有しないものとする。なお、パラメータ2は、携帯端末側アプリケーションを起動するときに処理判断部260が起動の可否をチェックする起動チェックコードであることが好ましい。
【0041】
図4は、格納部108に格納された情報の一例を示す。格納部108は、図4(a)(b)に示すように、携帯端末側アプリケーションA、B、Cに対応付けて起動コマンドの起動パラメータを格納する。格納部108は、図4(a)に示すように、起動コマンドのデータ本体にセットする順に並べてパラメータ1、パラメータ2を格納する。ただし、格納部108は個別情報を格納しない。また、格納部108は、パラメータ1の個別情報に替えて、図4(b)に示す予め定められた値「ALL」を格納する。これにより、非接触IC220は起動パラメータの一部を予め保持し、外部読み書き装置100は非接触IC220から起動パラメータの一部を取得して起動コマンドを生成するので、同一のアプリケーションを起動させる起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末200に応じて異なる場合において、起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0042】
なお、格納部108は、起動コマンドの起動パラメータ、および、予め定められた値「ALL」に加えて、携帯端末側アプリケーションA、B、Cに対応付けて、各起動パラメータが個別情報を有するか否か示す情報を格納する。なお、図3(b)に示すとおり、携帯端末側アプリケーションAのパラメータ1は個別情報を有し、携帯端末側アプリケーションAのパラメータ2は個別情報を有しない。
【0043】
図5は、特定領域242、244、246に格納された情報の一例を示す。携帯情報端末200は、特定領域242、244、246に、パラメータ1の個別情報を格納する。例えば、携帯情報端末200は、図5に示すように、携帯端末側アプリケーションAの個別情報「USER1」を特定領域242に格納する。
【0044】
図6は、非接触送受信システム10の動作をフローチャートで示す。本フローチャートは、携帯情報端末200の利用者甲の指示により、携帯情報端末200がサーバ310に、携帯端末側アプリケーションAをダウンロードする旨の要求をしたことにより開始する。なお、本フローチャートの開始時において、アプリケーション格納部250には携帯端末側アプリケーションAが格納されておらず、特定領域242には個別情報が記憶されていないものとする。なお、端末300は、サーバ310に携帯端末側アプリケーションAがアップロードされたときに、アプリケーションAに対応付けて、起動コマンドの起動パラメータ等、および、パラメータ1が個別情報を有する旨の情報を取得しているものとする。
【0045】
携帯情報端末200は、サーバ310から、サーバ310のウェブページ上の入力欄に、個別情報として利用者特定情報を入力すべき旨の指示を受け付ける。携帯情報端末200は、この入力欄に利用者特定情報「USER1」を入力する(S100)。
【0046】
携帯情報端末200は、利用者特定情報「USER1」を含んだURLが示す、サーバ310上の携帯端末側アプリケーションAの格納場所から、携帯端末側アプリケーションAを取得する(S102)。また、携帯情報端末200は、サーバ310から、携帯端末側アプリケーションAに加えて、処理判断部260が起動コマンドの解釈時に参照する情報を取得する。
【0047】
より詳しくは、サーバ310は、まず、CGIを利用して、利用者特定情報「USER1」に基づいて、携帯端末側アプリケーションAのアプリケーション定義ファイルのURLを生成する。すなわち、サーバ310は、携帯端末側アプリケーションAのパラメータ1の共通情報「PRM_1_A」と、パラメータ1の個別情報である利用者特定情報「USER1」を結合し、携帯端末側アプリケーションAのアプリケーション定義ファイルのURL「PRM_1_A_USER1」を生成する。サーバ310は、生成したURLからアプリケーション定義ファイルを携帯情報端末200にダウンロードさせる。携帯情報端末200は、ダウンロードしたアプリケーション定義ファイルに記述された携帯端末側アプリケーションAのURLから、携帯端末側アプリケーションAをダウンロードする(同ステップ)。
【0048】
また、携帯情報端末200は、ダウンロードした携帯端末側アプリケーションAをアプリケーション格納部250に格納する。さらに、携帯情報端末200は、携帯端末側アプリケーションAに加えて、携帯端末側アプリケーションAに対応付けて、処理判断部260が起動コマンドの解釈時に参照する情報をアプリケーション格納部250に格納する。具体的には、携帯情報端末200は、ステップS100において入力した利用者特定情報「USER1」、携帯端末側アプリケーションAのアプリケーション定義ファイルのURL「PRM_1_A_USER1」、パラメータ2の共通情報「PRM_2_A」、および、予め定められた所定の値「ALL」をアプリケーション格納部250に格納する。そして本フローチャートは終了する。
【0049】
なお、携帯端末側アプリケーションAは、甲からの指示に基づいて起動するときに、アプリケーション格納部250に格納された利用者特定情報「USER1」を読み出して特定領域242に書き込む。ただし、携帯端末側アプリケーションAは、既に特定領域242に利用者特定情報「USER1」が書き込まれているときは、この書き込みを省略してもよい。
【0050】
図7は、非接触送受信システム10の動作をフローチャートで示す。本フローチャートは、外部読み書き装置100が甲の携帯情報端末200上で携帯端末側アプリケーションAを起動させようとする場合において、携帯情報端末200が外部読み書き装置100から所定の範囲内に接近したことにより開始する。なお、本フローチャートの開始時において、アプリケーション格納部250には携帯端末側アプリケーションAが格納されており、特定領域242には利用者特定情報「USER1」が記憶されているものとする。
【0051】
格納部108は、サーバ310に携帯端末側アプリケーションAがアップロードされたときに、端末300から、携帯端末側アプリケーションAに対応付けて、起動コマンドの起動パラメータ、および、値「ALL」を取得し図4に示すように格納しているものとする。また、格納部108は、端末300から、パラメータ1が個別情報を有する旨の情報を取得し格納しているものとする。
【0052】
外部読み書き装置100は、携帯端末側アプリケーションAが使用するアプリケーション使用領域232を特定する(S200)。より詳しくは、まず、外部読み書き装置100は、これから起動しようとする携帯端末側アプリケーションAについて格納部108を参照する。これにより、外部読み書き装置100は、当該携帯端末側アプリケーションAのパラメータ1には個別情報が含まれるべきことを認識する。外部読み書き装置100は、アプリケーション使用領域232、234、236とアプリケーションA、B、Cとを対応付ける情報を参照して、携帯端末側アプリケーションAがデータを読み書きするアプリケーション使用領域232を特定する(同ステップ)。
【0053】
外部読み書き装置100は、アプリケーション使用領域232の特定領域242から個別情報である利用者特定情報を読み出したか否かを判断する(S202)。外部読み書き装置100は、特定領域242から利用者特定情報「USER1」を読み出した場合(S202:Yes)、外部読み書き装置100は、その利用者特定情報「USER1」を含んだ起動コマンドを生成する(S204)。具体的には、外部読み書き装置100は、図3(C)に示す、起動コマンドを生成する(同ステップ)。外部読み書き装置100は、生成した起動コマンドを携帯情報端末200に送信する(S206)。
【0054】
起動コマンドを受信した処理判断部260は、携帯端末側アプリケーションAを起動する(S208)。より詳しくは、処理判断部260は、まず、受信した起動コマンドに含まれる起動パラメータ1であるアプリケーション定義ファイルのURLと、アプリケーション格納部250に格納された携帯端末側アプリケーションのパラメータ1であるURLとをマッチングする。そして処理判断部260は、受信した起動コマンドに含まれる起動パラメータ1であるアプリケーション定義ファイルのURL「PRM_1_A_USER1」に一致する携帯端末側アプリケーションとして、アプリケーション定義ファイルのURL「PRM_1_A_USER1」を有する携帯端末側アプリケーションAを選択する。すなわち処理判断部260は、受信した起動コマンドがアプリケーション格納部250に格納された携帯端末側アプリケーションAに関する起動コマンドであると解釈する。
【0055】
次に、処理判断部260は、受信した起動コマンドに含まれる起動パラメータ2である起動チェックコードと、アプリケーション格納部250に格納された携帯端末側アプリケーションAのパラメータ2の共通情報「PRM_2_A」が一致するか否かを判断して、一致する場合に、携帯端末側アプリケーションAを起動する(同ステップ)。
【0056】
外部読み書き装置100は、特定領域242から利用者特定情報を読み出せなかった場合(S202:No)、外部読み書き装置100は、予め定められた所定の情報「ALL」を追加して起動コマンドを生成する(S224)。具体的には、外部読み書き装置100は、図3(e)に示す、起動コマンドを生成する(同ステップ)。外部読み書き装置100は、生成した起動コマンドを携帯情報端末200に送信する(S226)。
【0057】
起動コマンドを受信した処理判断部260は、起動コマンドの解釈時に参照する情報を確認して、携帯端末側アプリケーションAを起動して、個別情報である利用者特定情報が読みとれなかった旨のエラーを表示させる(S228)。また、外部読み書き装置100も、個別情報である利用者特定情報が読みとれなかった旨のエラーを表示させる(S230)。これにより、起動パラメータの一部を読み取ることができない場合には、外部読み書き装置100の利用者に通知することができる。そして本フローチャートは終了する。
【0058】
なお、ステップS200において、外部読み書き装置100は、例えば、携帯端末側アプリケーションAと異なる携帯端末側アプリケーションBの起動パラメータが個別情報を有しないと判断して場合には、ステップS202は省略され、S200、S204、S206、および、S208が実行される。ただし、ステップS204において、外部読み書き装置100は、個別情報を含まない起動コマンドを生成する。
【0059】
図8は、起動コマンド等の他の一例を示す。処理判断部104は、所定の条件の下、図3(e)に示す起動コマンドを生成することに替えて、図8(a)に示すパラメータ1の個別情報を省略した起動コマンドを生成してもよい。具体的には、処理判断部104は、起動させようとするアプリケーションに係る特定領域から個別情報を読み取ることができない場合に、パラメータ1の個別情報を省略して、図8(a)に示す起動コマンドを生成してもよい。なお、処理判断部260は、図8(a)に示す起動コマンドを取得したときは、携帯端末側アプリケーションAを起動し、かつ、携帯端末側アプリケーションAにより、個別情報である利用者特定情報が読みとれなかった旨の表示をさせる。
【0060】
また、格納部108は、サーバ310に携帯端末側アプリケーションAがアップロードされたときに、図4に示す情報に加え図8(b)に示す起動コマンドの起動パラメータを取得し格納してもよい。
【0061】
なお、処理判断部260は、図3(e)、または、図8(a)に示す起動コマンドを取得したときは、携帯端末側アプリケーションAを起動することなく、個別情報である利用者特定情報が読みとれなかった旨の表示をさせてもよい。これに代えて、予め指定された携帯端末側アプリケーションを起動してもよい。
【0062】
以上、本実施例によれば、非接触IC220は起動パラメータの一部を予め保持し、外部読み書き装置100は非接触IC220から起動パラメータの一部を取得して起動コマンドを生成するので、同一のアプリケーションを起動させる起動コマンドが、そのアプリケーションを格納している携帯情報端末200に応じて異なる場合において、起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0063】
なお、パラメータ1に替えて、または、加えて、パラメータ2が個別情報を有してもよい。また、起動コマンドに含まれる起動パラメータの数は3以上であってもよい。複数の起動パラメータが個別情報を有する場合には、特定領域242、244、246、および、格納部108等は、起動パラメータに対応付けて個別情報を格納する。
【0064】
また、起動パラメータが共通情報と個別情報とを有することにかえて、起動パラメータ全体が個別情報であってもよい。この場合、特定領域242、244、246、および、アプリケーション格納部250等は、起動パラメータ全体を格納する。
【0065】
また、個別情報は、利用者特定情報にかえて、利用者のグループを特定する利用者グループ特定情報であってもよい。これにより、起動コマンドが、携帯情報端末200の利用者のグループに応じて異なる場合において、利用者のグループ毎の起動コマンドの管理を簡素化することができる。
【0066】
また、図6のステップS102において、携帯情報端末200は、ダウンロードした携帯端末側アプリケーションA、および、処理判断部260が起動コマンドの解釈時に参照する情報をアプリケーション格納部250に格納することに加えて、利用者特定情報「USER1」を特定領域242に格納してもよい。例えば、利用者特定情報「USER1」を保持するサーバ310、または、処理判断部260が利用者特定情報「USER1」を特定領域242に格納するか、ダウンロード後に携帯端末側アプリケーションAを自動起動させ利用者特定情報「USER1」を特定領域242に格納してもよい。
【0067】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】非接触送受信システム10の概念図を示す。
【図2】非接触送受信システム10のブロック図の一例を示す。
【図3】起動コマンドの一例を示す。
【図4】外部読み書き装置100の格納部108に格納された情報の一例を示す。
【図5】特定領域242、244、246に格納された情報の一例を示す。
【図6】非接触送受信システム10の動作をフローチャートで示す。
【図7】非接触送受信システム10の動作をフローチャートで示す。
【図8】起動コマンド等の他の一例を示す。
【符号の説明】
【0069】
10 非接触送受信システム
100 外部読み書き装置
102 入出力部
104 処理判断部
106 表示部
108 格納部
200 携帯情報端末
220 非接触IC
222 入出力部
230 記憶部
232 アプリケーション使用領域
234 アプリケーション使用領域
236 アプリケーション使用領域
242 特定領域
244 特定領域
246 特定領域
250 アプリケーション格納部
260 処理判断部
300 端末
310 サーバ
320 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触でデータの読み書きが可能な非接触ICと、
前記非接触ICを保持する携帯情報端末と、
前記携帯情報端末上で実行され、前記携帯情報端末による前記非接触ICのデータの読み書きを制御する携帯端末側アプリケーションと、
前記携帯情報端末が所定の範囲内に接近した場合に、前記携帯情報端末に保持された前記非接触ICのデータを非接触で読み書き可能な外部読み書き装置と
を備え、
前記非接触ICは、前記携帯端末側アプリケーションの起動を要求する起動コマンドに含まれる起動パラメータの一部を、前記携帯端末側アプリケーションに対応付けて特定領域に格納し、
前記外部読み書き装置は、前記携帯情報端末が前記外部読み書き装置から所定の範囲内に接近した場合に、前記非接触ICの前記特定領域に格納された前記起動パラメータの一部を取得し、取得した前記起動パラメータの一部を含んだ前記起動コマンドを生成し、前記非接触ICに送信する非接触送受信システム。
【請求項2】
前記起動パラメータの一部は、前記携帯情報端末の利用者を特定する利用者特定情報を含む請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項3】
前記利用者特定情報は、前記携帯端末側アプリケーションを前記携帯情報端末に格納する場合に、前記携帯情報端末の利用者から入力された情報に対応付けて生成される請求項2に記載の非接触送受信システム。
【請求項4】
前記利用者が入力する情報は、前記携帯端末側アプリケーションを用いて提供されるサービスに対する会員登録用の情報である請求項3に記載の非接触送受信システム。
【請求項5】
前記起動パラメータの一部は、前記携帯情報端末の利用者のグループを特定する利用グループ特定情報を含む請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項6】
前記外部読み書き装置は、前記非接触ICの前記特定領域から前記起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、予め定められた所定の情報を追加して前記起動コマンドを生成する請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項7】
前記外部読み書き装置は、前記非接触ICの前記特定領域から前記起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、前記起動パラメータの一部を省略した前記起動コマンドを生成する請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項8】
前記外部読み書き装置は、前記非接触ICの前記特定領域から前記起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、その旨を前記携帯情報端末に通知し、
前記携帯情報端末は、前記外部読み書き装置から前記通知を受けた場合に、前記起動パラメータの一部を読み取ることができない旨を表示する請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項9】
前記外部読み書き装置は、前記非接触ICの前記特定領域から前記起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、その旨を表示する請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項10】
前記外部読み書き装置は、前記非接触ICの前記特定領域から前記起動パラメータの一部を読み取ることができない場合に、前記起動パラメータの一部を読み取ることができた場合と異なる予め定められた起動コマンドを送信する請求項1に記載の非接触送受信システム。
【請求項11】
非接触でデータの読み書きが可能な非接触IC、前記非接触ICを保持する携帯情報端末、前記携帯情報端末上で実行され、前記携帯情報端末による前記非接触ICのデータの読み書きを制御する携帯端末側アプリケーション、および、前記携帯情報端末が所定の範囲内に接近した場合に、前記携帯情報端末に保持された前記非接触ICのデータを非接触で読み書き可能な外部読み書き装置の間で情報を送受信する非接触送受信方法であって、
前記非接触ICが、前記携帯端末側アプリケーションの起動を要求する起動コマンドに含まれる起動パラメータの一部を、前記携帯端末側アプリケーションに対応付けて特定領域に格納する手順と、
前記外部読み書き装置が、前記携帯情報端末が前記外部読み書き装置から所定の範囲内に接近した場合に、前記非接触ICの前記特定領域に格納された前記起動パラメータの一部を取得し、取得した前記起動パラメータの一部を含んだ前記起動コマンドを生成し、前記非接触ICに送信する手順と
を備える非接触送受信方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−115194(P2007−115194A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308739(P2005−308739)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(500438172)テックファーム株式会社 (14)
【Fターム(参考)】