説明

非接触IDタグ書き込み装置

【課題】 非接触IDタグに対し、高速で書き込み可能な非接触IDタグ書き込み装置を実現すること。
【解決手段】 非接触IDタグ11が取り付けられた物品40を、整列部51を搬送することで、アンテナ52の前に複数整列させる。そして、アンテナ52の前に存在する複数の物品40に取り付けられた非接触IDタグ11に対し、同一のデータを同時に書き込む。複数の非接触IDタグに対し、同一のデータを同時に書き込むことで、高速な書き込みを実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は書き込み可能な非接触ICタグに所定のデータを高速に書き込むための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線ICタグやRFID(Radio Frequency Identification)タグと呼ばれる非接触IDタグを、生産管理や物流管理などに応用する動きが活発化している。非接触IDタグ(以下、単にタグと呼ぶことがある)は、アンテナとメモリ並びにその周辺回路とから構成され、リーダライタを用いてタグと通信することにより、タグのメモリに対して外部からアクセスすることが可能である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−134140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような非接触IDタグを例えば製品管理に利用する場合、個々の製品に取り付けたタグに、製造ラインや日時などの情報をその場で書き込む必要がある。しかしながら、通常タグにデータを書き込むために必要な時間は、読み出しに必要な時間に比べてかなり大きい。従って、書き込みに時間がかかりすぎると、タグの書き込みのための待ち時間が発生し、生産ラインの製造能力を低下させる可能性もある。また、食料品のトレーサビリティやSCM(Supply-Chain Management)を実現するためにタグを用いる場合、1つ1つの物品にタグを用いることになるため、使用するタグの数は膨大であり、物品にタグを取り付ける前にデータを書き込む場合にも、高速な書き込みが求められる。
【0005】
しかしながら、タグの実用化は始まったばかりであり、タグの書き込みを高速に行う書き込み装置についての具体的な提案はなされていなかった。
【0006】
本発明はこのような従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、書き込み可能な非接触IDタグにデータを高速に書き込むための非接触IDタグ書き込み装置を提供することをその主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明の要旨は、非接触IDタグが取り付けられた物品を搬送する搬送手段であって、複数の物品が、搬送路の所定位置において整列して搬送されるように構成された搬送手段と、搬送路の、所定位置に配置されたアンテナを有し、所定位置において整列して搬送されている複数の物品に取り付けられた複数の非接触IDタグに対し、アンテナから所定のデータを同時に書き込む書き込み手段とを有することを特徴とする非接触IDタグ書き込み装置に存する。
【発明の効果】
【0008】
このような構成により、書き込み可能な非接触IDタグに高速でデータを書き込むことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置の構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置の動作を説明する図である。
【図3】導電体13の配置及び大きさについて説明する図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の変形例1に係る非接触IDタグ書き込み装置の構成例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の変形例2に係る非接触IDタグ書き込み装置の構成例を示す図である。
【図6】、
【図7】本発明の第2の実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置の構成例を示す図である。
【図8】、
【図9】本発明の第2の実施形態の変形例1に係る非接触IDタグ書き込み装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明をその好適な実施形態に基づき詳細に説明する。
●(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置の主要構成例を示す側面図である。
図1において、非接触IDタグ書き込み装置10は、PC(パーソナルコンピュータ)201〜203と、リーダライタ211〜213と、アンテナ221〜223と、タグ選択部121〜123と、電磁遮蔽部材31と、書き込み後のタグにロゴなどを印刷するための印刷装置35とを有している。
【0011】
PC201〜203は、リーダライタ211〜213に対してタグに書き込むデータを供給したり、リーダライタ211〜213がタグから読み出したデータを取得し、その内容に応じてリーダライタ211〜213に命令を与えたりするコンピュータ(ホスト)であり、互いに他のPCと通信可能に接続されている。リーダライタ(R/W)211〜213は、無線送受信器であり、PCから受信したデータや命令などを、所定の無線周波数に変調してアンテナ221〜223に供給すると共に、アンテナ221〜223から受信した信号を復調してPC201〜203へ出力する。
【0012】
アンテナ221〜223はタグの搬送方向(図1右方向)に所定の長さを有し、アンテナ下部近傍を搬送されるタグに対してRF信号を供給する。アンテナ221〜223の担部には導電体から形成される電磁遮蔽部材31が設けられ、あるアンテナからの電磁波(RF信号)のみに対して応答すべきタグが、そのアンテナに隣接するアンテナから放射されるRF信号に対して応答しないように構成されている。また、図において左右両端に設けられた電磁遮蔽部材31は、後述するタグ選択部の導電体による動作制限が及ばない領域に存在するタグが、アンテナからのRF信号に応答することを防止するために設けられている。なお、電磁遮蔽部材31の配置位置及び形状は、これらの目的を達成しさえすれば任意に設定可能である。
【0013】
タグ選択部121〜123は、本実施形態においてはベルトコンベアであり、一対のローラ14a、14bに内周を支持されたベルト15が矢印方向に搬送される構成を有している。ベルト15の外周面上には周期的に導電体13a〜13dが設けられている。
タグ11は、本実施形態では長尺の台紙上に連続形成されたシール状のタグであり、図面左方向から右方向に一定速度で搬送される。
【0014】
次に、本実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置10の動作原理と、具体的な動作について説明する。上述したように、非接触IDタグの書き込みは読み込みに対してかなり長い時間を要する。そして、タグは書き込みの開始から終了に至るまでの間、リーダライタのアンテナが発する電磁波の受信範囲に存在しなくてはならない。
【0015】
そのため、アンテナが小さいなどの理由で受信範囲が狭い場合や、搬送速度が速い場合には、書き込み処理に必要な時間受信範囲内に止まることが出来ない状況が生じる。従って、例えば図1に示すような連続形成されたタグの各々に対してデータを書き込む場合、書き込み対象のタグが受信範囲に入ったらタグの搬送を一旦停止し、書き込みを行い、書き込み終了後に搬送を再開するという制御が必要になる。
【0016】
しかしながら、物品の製造ラインなどにおいて、搬送される物品に取り付けたタグにリアルタイムでデータを書き込む必要のある場合、タグの搬送停止は物品の搬送停止を意味し、到底受け入れられるものではない。そのため、本実施形態においては、搬送されるタグに対してリアルタイムに、かつ搬送を停止させることなく書き込みを可能とするため、図1に示すような構成を有している。
【0017】
具体的には、複数の書き込み機構(図において、PC、リーダライタ及びアンテナの組から構成され、タグに対するデータの読み書きを行う機構。便宜上書き込み機構と呼ぶが、読み出しも可能である。)をタグの搬送方向に沿って配置し、かつ個々のアンテナは、タグの書き込み処理に要する時間に渡って受信範囲内に存在するよう、タグの搬送方向に対して所定の長さを持たせている。しかし、アンテナが広範囲に電磁波を出力すると、連続形成されたタグの複数が応答し、1つのタグのみが応答する場合に対してさらに時間を必要とすることになるという問題が生じする。そのため、本実施形態においては、タグ選択部121〜123を用い、1つのアンテナに対しては常に1つのタグだけが応答するようにしている。
【0018】
上述したように、本実施形態においてタグ選択部121〜123は、外周面上に導電体13a〜13dが周期的に配置されたベルト15を有している。本実施形態では、導電体が近傍に存在するタグは、アンテナの電磁波の受信範囲内にあっても動作しないという特性を利用し、アンテナの下部を搬送される複数のタグのうち、1つのみがアンテナからの電磁波を受信できるように、導電体13a〜13dの位置を制御するものである。
【0019】
この点に関し、図2を用いてさらに説明する。図2は、1つのアンテナの交信範囲に連続する3つのタグが存在するような場合の、導電体13の配置を示している。なお、図2においては、理解を容易にするため、ベルト15を展開した形で記載してある。ベルト15はタグ11の移動速度(搬送速度)と等しい速度で移動するよう、図示しない制御手段によって制御される。そして、導電体13は、アンテナ221と交信可能な範囲に存在する3つのタグのうち1つ(この場合は「2」のタグ)に対応する部分を除いてベルト15上に設けられている。このように、1つのアンテナに対しては、搬送過程において必ず同じ間隔で1つのタグだけが交信可能なように隣接する導電体13の間隔及び導電体13の大きさが決定されている。
【0020】
このように、本実施形態では、1つのアンテナで書き込みを行うタグが搬送されるタグの3つに1つであるため、3系統の書き込み機構を設け、例えば、アンテナ221では「2」のタグを、アンテナ222では「1」のタグを、アンテナ223では「3」のタグを書き込むようにタグ選択部121〜123の導電体13の配置を決定することで、全てのタグに対してデータを書き込むことが可能になる。
【0021】
なお、本技術分野に属する当業者には容易に理解されるであろうが、書き込み機構を何系統設けるかは、タグ11の搬送速度及び書き込みに要する時間に応じて適宜決定すればよい。つまり、あるタグがあるアンテナと交信を開始し、書き込みを終了するまでの搬送距離をdとし、dの中に含まれるタグの数をnとした場合には、1つのアンテナで書き込みできるタグは連続するn個のうち1つであるから、n系統の書き込み機構を設ければ、全てのタグを書き込むことが可能となる。また、書き込みを終了したタグがすぐに交信範囲外に搬送されるよう、搬送方向における各アンテナの交信範囲は上述の搬送距離dとほぼ等しく設定されている。なお、ここで「アンテナの交信範囲」とは、そのアンテナ自身の性能であってもよいし、電磁遮蔽部材31などによって実際の交信可能範囲より制限された範囲であっても良い。
【0022】
本実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置10における、各書き込み機構における書き込み動作は、従前行われている周知のプロトコルに従って行えばよい。また、各書き込み機構によってタグに書き込むデータは、異なっていても同一であっても良い。また、タグ11を一定速度で搬送する図示しない搬送手段や、印刷装置35は、本実施形態の非接触IDタグ書き込み装置10の構成に含まれていても、含まれなくても良い。
【0023】
なお、本実施形態において、アンテナと交信可能なタグを選択(制限)するために用いられる導電体13は、金属のみならず、導電性樹脂など、対応するタグの動作を制限できる程度の導電性を有する任意の材質を用いることができる。また、平板状のみならず、他の断面形状であっても良い。
【0024】
図3は、導電体13とタグ11との配置の例を示す上面図である。図3(a)は、タグ11の全面を覆うような大きさの導電体13を用いた例を示す。一方、図3(b)は、タグ11の一部を覆うような大きさの導電体13を用いた例である。動作電源を持たず、アンテナ111から受信した電磁波から生成した電圧でメモリなどの回路112を動作させる所謂パッシブタグは、動作電圧が生成できない程度にアンテナ111の少なくとも一部を覆うことでもタグの動作を制限できる。予め搬送されるタグ11の回路配置が分かっていれば、導電体13の大きさを図3(b)に示すように構成しても良い。
【0025】
このように、本実施形態によれば、非接触IDタグに対するデータ書き込みを、非接触IDタグの搬送を停止させることなく、また高速に行うことが可能になる。
また、タグに対して個別にデータの書き込みを行うため、タグ毎に異なるデータを書き込むことができる。
なお、第1の実施形態においては、各アンテナと交信可能なタグを選択(又は、1つ以外のタグの動作を制限)する構成の一例として、導電体を近傍に配置する構成について説明したが、同様の機能を達成することが可能であれば、タグの種類などに応じて他の任意の構成を用いることが可能であることは言うまでもない。
【0026】
●(第1の実施形態の変形例1)
上述の例においては、アンテナ221〜223を、タグ11を挟んで導電体13と対向するように配置した構成を説明したが、例えば図4に示すように、アンテナ221〜223をタグ11からみて導電体13の裏側に配置するような構成であっても良い。この場合、リーダライタ211〜213と各アンテナ221〜223は、タグ選択部121〜123の側面を通じて接続することが可能である。また、例えば電磁遮蔽部材31は、タグ選択部121〜123の間に設けられる。このような構成によっても、図1の構成と同様の効果を得ることができる。
【0027】
●(第1の実施形態の変形例2)
非接触IDタグに対する書き込み手順においては、特にタグ毎に異なるデータを書き込む場合などにおいて、交信するタグを特定するため、最初に個々のタグに予め記録された固有情報(ID番号など)を取得するための通信手順が存在する場合がある。この手順は、予めタグの固有情報が分かっている場合には省略可能であるため、それだけ書き込みに要する時間を短縮することが可能になる。本変形例においては、書き込み処理を行う前に、タグの固有情報を取得し、その固有情報を各書き込み機構で利用することで、書き込み時間の短縮を実現するものである。
【0028】
例えば、図5に示すように、搬送経路の前段にアンテナ224と、リーダ214と、PC204とからなる読み出し機構を設ける。なお、読み出し機構は、上述した書き込み機構と同じ構成であっても良い。
【0029】
なお、上述したように、タグ11からのデータ読み出しは書き込みに比べて十分高速に行えるため、タグ選択部を設けることなく、アンテナ224によって各タグからデータを読み出すことが可能である。また、読み出したタグの固有情報は、3系統ある書き込み機構のPC201〜203に対して供給される。この際、個々の書き込み機構が処理するタグに対応する固有情報を、個々のPC201〜203に供給することは言うまでもない。つまり、図2を用いて説明すれば、例えば、アンテナ221では「2」のタグを、アンテナ222では「1」のタグを、アンテナ223では「3」のタグを書き込む場合、「2」のタグから読み出した固有情報はPC201に、「1」のタグから読み出した固有情報はPC202に、「3」のタグから読み出した固有情報はPC203にそれぞれ供給する。相手を指定したコンピュータ間の通信方法は周知であり、また本発明の本質とは無関係であるため説明は省略する。
【0030】
このような構成によれば、事前に取得したタグの固有情報を用いて書き込み処理を行うことができ、固有情報を取得するための交信手順を省略することが可能になるため、書き込みに必要な時間を短縮できる。そのため、上述した効果に加え、アンテナの小型化、もしくは搬送速度の向上を実現することが可能になる。
【0031】
●(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図6は、本実施形態に係る非接触IDタグ書き込み装置の構成例を模式的に示す図である。本実施形態の非接触IDタグ書き込み装置は、1つのアンテナを用い、共通したデータを複数のタグに同時書き込みする点で、第1の実施形態の構成と異なる。
【0032】
なお、ここでは、本実施形態の非接触IDタグ書き込み装置50が、ボトル状の物品にラベルとして取り付けされたタグ11に対して書き込みを行う場合を例にして説明するが、物品の形状やタグの取り付け位置や方法について特に制限はない。
【0033】
図6において、非接触IDタグ書き込み装置50は、物品40の搬送路に設けられている。タグ11が取り付けされた物品40は、流入経路56、整列部51を通り、流出経路54から次の工程へ搬送される。物品40をこのような経路で搬送するための機構は任意であり、振動フィーダやコンベアのように物品を積極的に移動させながら搬送してもよいし、例えば流入経路側が高く、流出経路側が低くなるようにして、物品が重力に従って移動するようにしてもよい。また、複数の搬送方法を組み合わせても良い。また、整列部51以外は元から設置されている搬送装置を流用してもよい。
【0034】
物品40は、整列部51を通過する過程で整列され、その結果アンテナ52の前に複数の物品40が並んで搬送される。アンテナ52、リーダライタ61及びPC71からなる書き込み機構は、アンテナ52の前に存在する複数の物品40に取り付けられたタグ11に対し、同一のデータを同時に書き込む。アンテナ52の前を通過した物品40は、流出経路54に向かう過程でアンテナ53の前を通過する。アンテナ53、リーダ62及びPC72からなる読み取り機構は、アンテナ53の前を通過する個々の物品40に取り付けられたタグ11を読み取り、アンテナ52による書き込みが正常に行われたか否かをチェックする。
【0035】
書き込み機構で書き込んだデータと読み出し機構で読み出したデータが一致するかなどのチェックにより、書き込みが正常に行われたことが確認された場合には、そのまま特に何も行わず、物品40は流出経路54から次の工程へ搬送される。一方、書き込みが正常に終了していないと判定された場合、PC72は経路制御部81を制御し、正しく書き込まれていないタグ11を有する物品40を流出経路54ではなくリトライ経路55へ送る。リトライ経路55は、読み取り機構よりも搬送路の下流側から、整列部51よりも上流の搬送路に戻す搬送手段であり、リトライ経路55へ送られた物品40は、上流へ向かって搬送され、整列部51の近傍で流入経路56へ戻される。
【0036】
図7は、図6の物品40の流れを示す上面図である。上流から搬送された物品40は、蛇行する経路を有する整列部51で少なくともアンテナ52の幅以上となるように整列される。そして、アンテナ52の前を通過する過程でデータの書き込みが行われる。この場合、全てのタグ11には同じデータが同時に書き込まれる(より正確には、複数のタグ11に対し、同時に書き込みコマンドを与える)。このような、1つのアンテナによる複数のタグに対する同時書き込みは、周知の方法を用いて行うことが可能である(例えばISO/IEC15693に定められる書き込みコマンドを用いて実施可能である)。この場合、書き込み機構は交信するタグを指定しない書き込みコマンドを例えば周期的に送信し、それを受信したタグがそれぞれ書き込みを実行することになる。書き込みコマンドの送信周期は、同じタグが複数回書き込みコマンドを受信すると効率が落ちるため、物品40の搬送速度に応じて適宜定める。
【0037】
アンテナ53で書き込みが正常に行われていないと判定された場合、PC72の制御を受け、経路制御部81が経路切替板61の位置を変更する。経路切替板61は例えば図7に実線と点線で記載する2つの状態が切替可能な構成を有し、書き込みが正常に行われていない物品40については実線の位置に、書き込みが正常に行われた物品40については点線の位置になるよう制御される。従って、書き込みが正常に行われなかった物品40は、経路切替板61に従ってリトライ経路55へ搬送され、整列部51近傍の流入経路56へ戻される。
【0038】
読み取り機構によって書き込み結果を確認し、書き込みが正しく行われてないタグを有する物品は再度処理を行うため、例えば搬送速度の変動や、物品の向き(タグとアンテナの距離や角度)のばらつきなどにより、書き込みコマンドを正しく受信できなかったタグが存在しても、最終的には確実に書き込みがなされる。
【0039】
このように、本実施形態によれば、複数のタグに対して一括して書き込み処理を行うことにより、物品の搬送を停止することなく、かつ高速なデータ書き込みが可能となる。
【0040】
●(第2の実施形態の変形例)
図6及び図7の構成では、物品がアンテナ52の前を通過しながら順次搬出されていく構成であったが、所定の個数の物品を処理単位としてアンテナ52の前に搬送し、処理が終了したら次の処理単位を処理するといった、所謂バッチ処理的な処理を行うような構成としてもよい。
【0041】
図8は、そのような構成を適用した例を示す図、図9は、図8におけるアンテナ52の周辺の構成例を側面から模式的に示す図である。流入経路56から搬送されてきたタグ11付きの物品40は、ゲート60を有する整列部51へ流入する。本変形例では整列部51はアンテナ52とほぼ同等の幅を有する単純な構成である。ゲート60は、所定周期で上下に移動する。ゲート60が下の位置にある場合には、物品40はゲート60に遮られ、アンテナ52へ到達することが出来ない。従って、物品40はゲート60に沿ってアンテナ52の幅方向に整列することになる。一方、ゲート60が上方に移動すると、物品40はアンテナ52方向に移動することが可能になる。ほぼ1列の物品40がゲート60の下を通過する時間が経過すると、ゲート60は再び下方に移動し、物品40のアンテナ52方向への移動を遮断する。
【0042】
このようなゲート60の上下移動により、アンテナ52の前には大凡アンテナ52の幅に対応した数の物品40がならぶことになる。そして、これら物品に対してアンテナ52から書き込み処理を行う。書き込み処理は上述したように複数のタグに対して一括して行う。
【0043】
書き込み処理が終了すると、アンテナ52は図9で点線によって示す位置に回転する。これにより、ゲート60とアンテナ52との間にあった物品はアンテナ52より下流に搬送される。所定時間経過すると、アンテナ52は元の位置(図9に実線で示す位置)に戻り、ゲート60が上方に移動する。このような処理を繰り返すことによって、複数のタグに対する書き込み処理を行う。本変形例においても、書き込みコマンドが正しく受信できなかったタグについては、下流の書き込み結果チェックによってリトライ経路55へ搬送され、再度書き込みがなされるため問題は生じない。
【0044】
なお、ゲート60の上下移動及びアンテナ52の回転移動は、モータやアクチュエータなど周知の駆動源を用いて任意の構成によって実現することができる。また、上述した移動制御は、例えばPC71の制御に従い、開閉制御部82が実行する。
【0045】
この構成は、アンテナ52とゲート60の間に存在する物品40の数が一定であるとは限らず、場合によっては物品40が搬送方向に2つ以上重なって存在することもありうる。また、図6、図7の構成と同様、アンテナ52と各物品40のタグ11との距離はバラバラ(物品の向きによって異なる)であるため、書き込み処理が全てのタグについて正常に行われるとは限らない。
【0046】
そのため、図6、図7の構成と同様に、アンテナ52の下流において、アンテナ53を用いて書き込み結果をチェックし、正しく書き込みがなされていないタグ11を有する物品40はリトライ経路55を通じて再度書き込み処理を行う。
【0047】
本変形例によっても、簡便な構成により、物品に取り付けられた状態のタグに対し、物品の搬送を停止することなく、高速にタグの書き込みを行うことが可能となる。
【0048】
●(他の実施形態)
なお、上述した第1及び第2の実施形態は組み合わせることも可能である。通常非接触IDタグのメモリは、ページと呼ばれる単位で読み書きされるが、個々のタグで異なる情報を書き込む必要のあるページには第1の実施形態を用いて書き込みを行い、その後物品に取り付けられたタグに第2の実施形態を用いて共通のデータを異なるページに書き込む、といった実施形態が考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触IDタグが取り付けられた物品を搬送する搬送手段であって、複数の前記物品が、搬送路の所定位置において整列して搬送されるように構成された搬送手段と、
前記搬送路の、前記所定位置に配置されたアンテナを有し、前記所定位置において整列して搬送されている前記複数の物品に取り付けられた複数の非接触IDタグに対し、前記アンテナから所定のデータを同時に書き込む書き込み手段とを有することを特徴とする非接触IDタグ書き込み装置。
【請求項2】
前記書き込み手段よりも前記搬送路の下流側に設けられ、前記物品の各々について、前記非接触IDタグを読み取り、前記所定のデータが正しく書き込まれているかをチェックする読み取り手段と、
前記読み取り手段によって、前記所定のデータが正しく書き込まれていないと判断された非接触IDタグを有する前記物品を、前記読み取り手段よりも前記搬送路の下流側から、前記搬送路の前記整列手段よりも上流に戻す搬送手段をさらに有することを特徴とする請求項記載の非接触IDタグ書き込み装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−301589(P2009−301589A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225549(P2009−225549)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【分割の表示】特願2004−73203(P2004−73203)の分割
【原出願日】平成16年3月15日(2004.3.15)
【出願人】(000144452)株式会社三宅 (14)
【出願人】(591037476)株式会社岩田レーベル (32)
【Fターム(参考)】