説明

非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられた(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードの鏡面劈開収率を向上させるための構造

非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられた(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードの鏡面劈開収率を向上させるための構造。 構造は、p型ドープアルミニウム含有導波管クラッド層がない場合の素子の動作のために十分な光閉じ込めを提供する導波管コアと、特定の結晶面に沿った面劈開を支援するために使用することができる1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層とを含む非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国特許法第119(e)に基づき、同時係属かつ同一人に譲渡された米国仮特許出願第61/224,368号(2009年7月9日出願、Robert M. Farrell, Matthew T. Hardy, Hiroaki Ohta, Steven P. DenBaars, James S. Speck、およびShuji Nakamura、名称「STRUCTURE FOR IMPROVING THE MIRROR FACET CLEAVING YIELD OF (Ga,Al,In,B)N LASER DIODES GROWN ON NONPOLAR OR SEMIPOLAR (Ga,Al,In,B)N SUBSTRATES」、代理人番号30794.319−US−P1 (2009−762−1))の利益を主張する。該出願は、参照により本明細書に引用される。
【0002】
本願は、以下の同時係属かつ同一人に譲渡された特許出願に関係する:
PCT出願第PCT/US2010/037629号(2010年6月7日出願、出願人:Arpan Chakraborty, You−Da Lin, Shuji Nakamura、およびSteven P. DenBaars、名称「ASYMMETRICALLY CLADDED LASER DIODE」、 代理人事件番号30794.314−US−WO (2009−614−2))であって、該出願は、米国特許法第119(e)に基づき、同時係属かつ同一人に譲渡された米国仮特許出願第61/184,668号(2009年6月5日出願、出願人:Arpan Chakraborty, You−Da Lin, Shuji Nakamura、およびSteven P. DenBaars、名称「ASYMMETRICALLY CLADDED LASER DIODE」、代理人事件番号30794.314−US−P1 (2009−614−1))の利益を主張する、出願、および、
米国特許出願第12/795,360号(2010年6月7日出願、出願人:Arpan Chakraborty, You−Da Lin, Shuji Nakamura、およびSteven P. DenBaars、名称「LONG WAVELENGTH NONPOLAR AND SEMIPOLAR (Al,Ga,In)N BASED LASER DIODES」、代理人事件番号30794.315−US−U1 (2009−616−2))であって、該出願は、米国特許法第119(e)に基づき、同時係属かつ同一人に譲渡された米国仮特許出願第61/184,729号(2009年6月5日出願、出願人:Arpan Chakraborty, You−Da Lin, Shuji Nakamura、およびSteven P. DenBaars、名称「LONG WAVELENGTH m−PLANE (Al,Ga,In)N BASED LASER DIODES」、代理人事件番号30794.315−US−P1 (2009−616−1))の利益を主張する、出願。これらの出願は、参照により本明細書に引用される。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられた(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードの鏡面劈開収率を向上させるための構造に関する。
【背景技術】
【0004】
(注:本願は、明細書の全体を通して示されるように、角括弧内の1つ以上の参照番号、例えば[Ref(s).x]によって多数の異なる刊行物を参照する。これらの参照番号により順序付けされたこれらの異なる刊行物の一覧は、以下の「参考文献」という表題の項に見出すことができる。これらの刊行物のそれぞれは、参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0005】
GaNおよび(Ga、Al、In、B)Nの合金の有用性が、可視および紫外線光電子素子ならびに高出力電子素子の製造に対して確立されている。 そのような素子は、レーザダイオード(LD)および発光ダイオード(LED)の両方を含む。
【0006】
現在の最先端(Ga、Al、In、B)N薄膜、ヘテロ構造、および素子は、[0001]c−軸に沿って成長させられる。そのような膜の全分極は、自発および圧電分極寄与から成り、その両方とも、ウルツ鉱(Ga、Al、In、B)N結晶構造の単極性[0001]c−軸から生じる。(Ga、Al、In、B)Nヘテロ構造が疑似形態的に成長させられると、分極断絶が、結晶内の表面および界面で形成される。これらの断絶は、表面および界面におけるキャリアの蓄積または枯渇につながり、電場を引き起こす。これらの分極誘発電場の整合は、(Ga、Al、In、B)N薄膜およびヘテロ構造の典型的[0001]成長方向と一致するため、これらの電場は、(Ga、Al、In、B)N素子のエネルギー帯を「傾動」させる効果を有する。
【0007】
c−平面(Ga、Al、In、B)N量子井戸では、「傾動された」エネルギー帯は、電子波動関数と正孔波動関数とを空間的に分離する。この空間電荷分離は、放射遷移の振動子強度を低減させ、放出波長を赤方偏移させる。これらの効果は、量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)の現れであって、(Ga、Al、In、B)N量子井戸について徹底的に分析されている[Ref.7、8]。加えて、大規模分極誘発電場は、ドーパントおよび注入されたキャリアによって部分的に遮蔽され[Ref.9]、放出特性を正確に設計することを困難にし得る。
【0008】
さらに、疑似形態的二軸性歪みは、c−平面InGa1−xN量子井戸内の有効価電子帯状態密度の低減にほとんど影響を及ぼさないことが理論的に予測されている[Ref.10]。これは、典型的III−V閃亜鉛鉱型InP系およびGaAs系量子井戸と対照的であり、典型的III−V閃亜鉛鉱型InP系およびGaAs系量子井戸は、上位2つの価電子帯の異方性歪み誘発分裂が、有効価電子帯状態密度の有意な低減につながる。有効価電子帯状態密度の低減は、典型的III−V閃亜鉛鉱型InPおよびGaAs系量子井戸内の任意の所与のキャリア密度に対する擬フェルミ準位分離の大幅な増加につながる。この擬フェルミ準位分離の増加の直接的結果として、遥かに小さいキャリア密度が、光学利得を発生させるために必要とされる[Ref.11]。しかしながら、InGa1−xN結晶構造の場合、二軸性歪みc−平面InGa1−xN量子井戸内の窒素原子の六方対称および小スピン軌道結合は、上位2つの価電子帯のごくわずかな分裂を生じる[Ref.10]。したがって、有効価電子帯状態密度は、二軸性歪みc−平面InGa1−xN量子井戸内の有効伝導帯状態密度より遥かに大きいままであり、非常に高い電流密度が、c−平面(Ga、Al、In、B)NのLDにおいて光学利得を発生させるために必要とされる。
【0009】
(Ga、Al、In、B)N素子内の分極効果を減少させる1つのアプローチは、結晶の非極性平面上で素子を成長させることである[Ref.10]。これらは、集合的にa−平面として知られている
【0010】
【化1】

平面と、集合的にm−平面として知られている
【0011】
【化2】

平面とを含む。そのような平面は、平面当たり等しい数のガリウム原子と窒素原子とを含有し、電荷中性である。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って分極されないであろう。
【0012】
(Ga、Al、In、B)N素子内の分極効果を低減する別のアプローチは、結晶の半極性平面上で素子を成長させることである。「半極性平面」という用語は、c−平面、a−平面、またはm−平面として分類することができない、あらゆる平面を指すために使用することができる。結晶学的用語では、半極性平面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する、任意の平面となるであろう。後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って、分極低下を有するであろう。
【0013】
歪みc−平面InGa1−xN量子井戸と異なり、歪み非極性または半極性InGa1−xN量子井戸は、上位2つの価電子帯の異方性分裂を呈するはずであり、それは、そのような構造に対する有効価電子帯状態密度の低減につながるはずであると予測されている[Ref.13]。圧縮歪みInGa1−xN量子井戸に対する多体光学利得の自己無撞着計算は、ピーク利得が、有効価電子帯状態密度および正味量子井戸分極に非常に敏感であって、ピーク利得は、一般的成長配向とc−軸との間の角度が増加するにつれて、劇的に増加し、c−軸に垂直な(すなわち、非極性平面上の)成長配向の最大値に達するはずであると示唆する[Ref.13]。
【0014】
最後に、市販のc−平面(Ga、Al、In、B)NのLEDおよびLDは、それらの電界発光において、いかなる程度の光分極も呈さない。他方で、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLEDおよびLDは、それらの電界発光において、強力な光分極を実証している[Ref.14、15]。この光分極は、圧縮歪み非極性または半極性InGa1−xN量子井戸内の上位2つの価電子帯の異方性歪み誘発分裂に起因し、異なる光学マトリクス要素の規模の有意差につながり得る。この光分極は、いくつかの素子用途に潜在的に利用することができる。
【0015】
ウルツ鉱型(Ga、Al、In、B)N結晶構造のc−平面上に成長させられた、従来の現在市販されている(Ga、Al、In、B)NのLD構造は、典型的には、分極関連電場の存在により、薄い(≦4nm)InGaN量子井戸(QW)を採用する。したがって、AlGaN/GaN超格子またはバルクAlGaN等の厚いAl含有導波路クラッド層が、c−平面(Ga、Al、In、B)NのLDの中で十分な光学モード閉じ込めを提供するために必要とされる。
【0016】
c−平面GaN基板上に成長させられた従来の(Ga、Al、In、B)NのLDと違って、m−平面発光素子内の分極関連電場の欠如は、放射効率の低減を伴わずにm−平面(Ga、Al、In、B)NのLEDおよびLDの中の比較的厚い(8nm)InGaN QWの実装を可能にする[Ref.1]。これらの厚いInGaN QWは、Al含有導波路クラッド層を必要とせずに、光学モードの十分な横導波路を提供することができる[Refs.2、3]。GaNクラッド層を伴うInGaNベースの別個の閉じ込めヘテロ構造の使用を伴う、同様の設計も、Al含有導波路クラッド層の必要性を軽減することができる[Ref.4]。
【0017】
以前の研究は、c−軸に沿って配向されたストライプを伴うm−平面(Ga、Al、In、B)NのLDの閾値電流密度が、a−軸に沿って配向されたストライプを伴うLDよりも低いことを判定している[Ref.5]。面劈開に非極性
【0018】
【化3】

m−平面を典型的に使用する、c−平面(Ga、Al、In、B)NのLDと違って、m−平面(Ga、Al、In、B)NのLDのc−軸に沿ったレーザ棒の配向は、結晶の極性{0001}c−平面に沿った面劈開を必要とする。個々のN平面とGa平面との間の分極が、結晶面間の単位面積あたりの結合エネルギーを増加させるので、極性{0001}c−平面に沿った劈開は、プロセスを複雑にする。これにより、一般に、(Ga、Al、In、B)Nウルツ鉱結晶構造の非極性平面上よりも極性平面上で高品質の劈開を得ることがより困難となり、c−軸に沿って配向されたストライプを伴うm平面(Ga、Al、In、B)NのLDの面均一性および素子収率を低減する。
【0019】
比較的厚いm−平面AlGaN層における異方性引っ張り歪みは、m−平面基板上で成長させられた素子構造の極性{0001}c−平面に沿って亀裂を引き起こすことが示されている[Ref.6]。そのような制御されていない亀裂は、素子製造に望ましくないが、厚いAl含有層は、結晶の極性{0001}c−平面に沿った面劈開を支援するために利用することができる。厚いInGaN QWを伴うm−平面(Ga、Al、In、B)NのLDの場合について、厚いn型Al含有層は、p型Al含有導波路クラッド層を必要とすることなく、極性{0001}c−平面に沿った面劈開を支援するために使用することができる。
【0020】
従来の(Ga、Al、In、B)NのLDでのp型Al含有導波路クラッド層の使用は、いくつかの製造関連問題を導入し得る。一般に、p型Al含有層は通常、同等のp型GaN層よりも高い抵抗性であり、p型Al含有層を伴わない同様の素子よりも、p型Al含有層を伴う素子に高い動作電圧をもたらす。加えて、p型Al含有層は、典型的には、同等のp型GaN層よりも高い成長温度で成長させられ、それは、高インジウム含有量のInGaN QWを熱的に劣化し得る。Al含有導波路クラッド層を伴わない非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの実現は、これらの問題の多くを軽減するはずである。
【0021】
同様に、向上した面劈開収率は、より良好な全体的素子収率、より高い面安定性、より高い壊滅的光損傷(COD)レベル、およびより長い素子寿命を含むが、それらに限定されない、非極性および半極性(Ga、Al、In、B)N素子製造業者にとってのいくつかの利点につながるはずである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記で説明される従来技術における制限を克服するため、および本明細書を読んで理解すると明白となる他の制限を克服するために、本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上に成長させられた(Ga、Al、In、B)NのLDの鏡面劈開収率を向上させるための構造を開示する。構造は、p型ドープアルミニウム含有導波管クラッド層がない場合の素子の動作のために十分な光閉じ込めを提供する、導波管コアと、特定の結晶面に沿った面劈開を支援するために使用することができる、1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層とを含む、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDを備える。
【0023】
p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層は、従来のLDの中のInGaN量子井戸から発せられる光の十分な光閉じ込めを提供するために使用される、アルミニウム含有層として規定され得、従来のLDの中のInGaN量子井戸は、4nm以下の厚さを有する。
【0024】
非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDは、導波路コアとして機能する量子井戸活性領域を含み得る。非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDは、量子井戸活性領域と、量子井戸活性領域に光学的に結合される、GaNよりも高い屈折率を伴う1つ以上の導波路層とを含み得、導波路層および量子井戸活性領域は、一緒に、導波路コアとして機能する。
【0025】
量子井戸活性領域、または量子井戸活性領域および導波路層は、p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の素子の光学モードを効果的に制限するように、高い屈折率を伴う十分な材料を提供し得る。
【0026】
n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、活性領域から500nmより小さくまたは500nmより大きく離れ得る。
【0027】
素子は、n型AlGaNクラッド層を含まないか、または、例えば、導波路コア用のクラッディングの役割を果たすように位置付けられる、n型AlInGaNクラッド層を備え得る。
【0028】
素子はさらに、レーザ空洞の鏡として機能する、レーザ空洞の対向端にある第1の面および第2の面によって境界をつけられたレーザ空洞をさらに備え得、第1の面および第2の面は、n型ドープアルミニウム含有層を伴わない素子構造の中の「劈開されたままの」面と比較して、より平面的かつ直線的である「劈開されたままの」面である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
全体を通して類似参照数字が対応する部品を表す、図面を参照する。
【図1−1】図1(a)は、サンプルAのエピタキシャル構造の断面概略図であり、図1(b)は、サンプルBのエピタキシャル構造の断面概略図であり、図1(c)は、サンプルAおよびBで使用された5周期MQW構造の2周期を図示する。
【図1−2】図1(a)は、サンプルAのエピタキシャル構造の断面概略図であり、図1(b)は、サンプルBのエピタキシャル構造の断面概略図であり、図1(c)は、サンプルAおよびBで使用された5周期MQW構造の2周期を図示する。
【図2】図2(a)は、成長方向(マイクロメートル、μm)に沿ったサンプルAの中の位置の関数として、屈折率および電場強度(任意の単位、a.u.)を描画する、サンプルAの計算された1次元(1−D)横モードプロファイルを示し、図2(b)は、成長方向(μm)に沿ったサンプルBの中の位置の関数として、屈折率および電場強度(a.u.)を描画する、サンプルBの計算された1−D横モードプロファイルを示す。
【図3】図3(a)は、スクライビング後であるが劈開前のサンプルAの頂面の光学顕微鏡写真であり、図3(b)は、スクライビング後であるが劈開前のサンプルBの頂面の光学顕微鏡写真であり、垂直および水平の目盛りは、図3(a)および図3(b)の両方で20μmであり、[10−10]、[0001]、および[11−20]方向も示されている。
【図4】図4(a)は、劈開後のサンプルAの頂面の光学顕微鏡写真であり、図4(b)は、劈開後のサンプルBの頂面の光学顕微鏡写真であり、垂直および水平の目盛りは、図4(a)および図4(b)の両方で125μmであり、[10−10]、[0001]、および[11−20]方向も示されている。
【図5】図5(a)は、サンプルAのレーザ棒あたりの面劈開収率のヒストグラムであり、図5(b)は、サンプルBのレーザ棒あたりの面劈開収率のヒストグラムである。
【図6】図6は、半導体光電子素子を製造する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を形成し、かつ本発明が実践され得る特定の実施形態を例証目的で示す添付図面を参照する。本開示の範囲から逸脱することなく、他の実施形態が用いられ得、また、構造的な変更が行われ得ることを理解されたい。
【0031】
(命名法)
GaN、ならびにアルミニウムおよびインジウムを組み込む、その三元および四元化合物(AlGaN、InGaN、AlInGaN)は、一般的に、(Al、Ga、In)N、III窒化物、III族窒化物、窒化物、0<x<1および0<y<1であるAl(1−x−y)InGaN、または本明細書で使用されるようなAlInGaNといった用語を使用して呼ばれる。これら全ての用語は、同等であることを目的とし、単一の種、Al、Ga、およびInのそれぞれの窒化物、ならびにそのようなIII族金属種の二元、三元、および四元化合物を含むと広義に解釈される。したがって、これらの用語は、そのような命名法に含まれる種として、化合物AlN、GaN、およびInN、ならびに三元化合物AlGaN、GaInN、およびAlInN、および四元化合物AlGaInNを包含する。(Ga、Al、In)構成種のうちの2つ以上が存在する時、(組成に存在する(Ga、Al、In)構成種のそれぞれを表す相対モル分率に関して)化学量論的割合ならびに「化学量論外」割合を含む、全ての可能な組成を、本発明の広義の範囲内で採用することができる。したがって、主にGaN材料に関する、以降の本発明の論議は、種々の他の(Al、Ga、In)N材料種の形成に適用可能であることが理解されるであろう。さらに、本発明の範囲内の(Al、Ga、In)N材料は、軽微な数量のドーパントおよび/または他の不純物あるいは包含物質をさらに含み得る。
【0032】
また、本開示の全体を通して、層材料の前の接頭語n−、p−、およびp++−は、それぞれ、層材料がn型、p型、または高濃度にp型ドープされていることを表す。例えば、n−GaNは、GaNがn型ドープされていることを示す。
【0033】
GaNまたはIII族窒化物ベースの光電子素子内の自発および圧電分極効果を排除する1つのアプローチは、結晶の非極性平面上でIII族素子を成長させることである。そのような平面は、等しい数のGa原子(またはIII族原子)およびN原子を含有し、電荷中性である。さらに、後続非極性層は、相互に同等であって、したがって、バルク結晶は、成長方向に沿って分極されないであろう。GaN内の対称同等非極性平面の2つのそのような族は、集合的にa−平面として知られている{11−20}族、および集合的にm−平面として知られている{1−100}族である。 したがって、非極性III族窒化物は、III族窒化物の(0001)c−軸と垂直な方向に沿って成長させられる。
【0034】
(Ga、Al、In、B)N素子内の分極効果を低減させる別のアプローチは、結晶の半極性平面上で素子を成長させることである。「半極性平面」という用語は、c−平面、a−平面、またはm−平面として分類することができない、あらゆる平面を指すために使用することができる。結晶学的用語では、半極性平面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する、任意の平面となるであろう。
【0035】
(技術説明)
本発明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上の(Ga、Al、In、B)NのLDの面劈開収率を向上させるために使用することができる、構造を説明する。 本発明者らは、Mitsubishi Chemical Co., Ltd.によって製造された独立m−平面GaN基板上に、金属有機化学蒸着(MOCVD)によって成長させられた(Ga、Al、In、B)N素子について、これらの効果を実験的に実証している。これらの基板は、c方向に水素化物気相エピタキシー(HVPE)によって成長させられ、次いで、m−平面表面を露出するように薄く切られた。m平面表面は、化学および機械的表面処理法によって調製された。基板は、製造業者によって測定されるように、5×10cm−2未満の貫通転位密度、約1×1017cm−3のキャリア濃度、および1nm未満の二乗平均平方根(RMS)表面粗度を有する。
【0036】
MOCVD成長条件は、典型的には、c−平面(Ga、Al、In、B)N薄膜に使用されたものと非常に類似していた。すべてのMOCVD成長は、気圧(AP)、典型的V/III比(>3000)、および典型的成長温度(>1000°C)で行われた。トリメチルガリウム(TMGa)またはトリエチルガリウム(TEGa)、トリメチルインジウム(TMIn)、トリメチルアルミニウム(TMAl)、アンモニア(NH)、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウム(CpMg)、およびシラン(SiH)が、それぞれ、Ga、In、Al、N、Mg、およびSi前駆体として使用された。
【0037】
面劈開収率への厚いn型Al含有層の影響を評価するために、2つの異なるサンプル(サンプルA100およびB102)が成長させられた。サンプルA100およびB102の概略図は、それぞれ図1(a)および図1(b)に示されている。
【0038】
厚いn型Al含有層を含有しなかった第1のサンプル(サンプルA100)は、他の場所で報告されたAlGaNクラッディングを含まない(ACF)LD構造と同様であった[Refs.2、3]。このACF LD構造は、厚さ10μmのSiドープn−GaNテンプレート層104、厚さ8nmのIn0.10Ga0.90N QWおよび厚さ8nmのGaN障壁を伴う5周期非ドープIn0.10Ga0.90N/GaN多重量子井戸(MQW)構造106、厚さ15nmのMgドープp−Al0.12Ga0.88N電子ブロッキング層108、厚さ1μmのMgドープp−GaNクラッディング層110、および厚さ20nmの高度Mgドープp++−GaN接触層112から成った。構造全体の中の唯一のAl含有層は、厚さ15nmのMgドープAl0.12Ga0.88N電子ブロッキング層108であった。
【0039】
第1のサンプル100と非常に類似していた、第2のサンプル(サンプルB102)は、面劈開収率を向上させるように、追加の厚いAl含有劈開支援層114(CAL)を含有した。サンプルBは、厚さ10μmのSiドープn−GaNテンプレート層104、厚さ1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CAL114、厚さ1μmのSiドープn−GaNスペーサ層116、厚さ8nmのIn0.10Ga0.90N QWおよび厚さ8nmのGaN障壁を伴う5周期非ドープIn0.10Ga0.90N/GaN多重量子井戸(MQW)構造106、厚さ15nmのMgドープp−Al0.12Ga0.88N電子ブロッキング層108、1μmの厚さMgドープp−GaNクラッディング層110、および厚さ20nmの高度Mgドープp++−GaN接触層112から成った。構造全体の中の唯一の厚いAl含有層は、1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CAL114であった。構造全体の中の唯一のp型Al含有層は、15nmのMgドープAl0.12Ga0.88N電子ブロッキング層108であった。
【0040】
c−平面GaN基板上で成長させられた従来の(Ga、Al、In、B)NのLDと違って、上記で説明される構造は、比較的厚い(8nm)In0.10Ga0.90N QWを含有した。
【0041】
図1(a)および図1(b)はまた、層104、114、116、106、108、110、および112のそれぞれの厚さ118、120、122、124、126、および128、130も図示する。素子構造102の全体厚さ132も示されている。
【0042】
図1(c)は、GaN障壁136の間にInGaN量子井戸134を備える、5周期MQW構造106の2周期を図示し、量子井戸134は、厚さ138を有し、障壁136は、厚さ140を有する。
【0043】
また、図1(a)および図1(b)には、LDの第1の面142および第2の面144も示されている。素子層106−112は、テンプレート層104の表面146上に堆積させられ、表面146は、III族窒化物のm−平面であり、面142および144は、c平面である(III族窒化物のc−軸と垂直である)。
【0044】
サンプルAの計算された1−D横モードプロファイル200が図2(a)で提示されている。モデルは、それぞれ、GaN、Al0.06Ga0.94N、In0.10Ga0.90N、およびAl0.12Ga0.88N層に、405nmの波長で2.522、2.487、2.730、および2.451の屈折率値を使用した[Ref.16]。計算されたモードプロファイル200によって図示されるように、厚いIn0.10Ga0.90N量子井戸(QW)は、Al含有導波路クラッド層を必要とせずに、光学モード200の十分な横導波路を提供した。この構造の計算された横閉じ込め係数Γは、0.142であった。また、図2(a)には、n−GaN層104、p−AlGaN電子ブロッキング層(EBL)108、およびp−GaN層110も示されている。
【0045】
図2(b)は、In0.10Ga0.90N/GaN MQWより1μm下側に位置する1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CALを含有することを除いて、サンプルAと非常に類似している、サンプルBの計算された1−D横モードプロファイル202を表示する。計算されたモードプロファイル202によって図示されるように、1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CALは、光学モード202にほとんど影響を及ぼさず、光学モードは、主にIn0.10Ga0.90N/GaN MQWによって誘導された。この構造の計算された横閉じ込め係数Γは、構造Aと同じ0.142であった。よって、たとえサンプルBが厚いn型Al含有CALを含有しても、依然としてACF LD構造と呼ばれる。また、図2(b)には、n−GaN層104、p−AlGaN EBL108、p−GaN層110、およびn型AlGaN CAL114も示されている。
【0046】
MOCVD成長後、サンプルAおよびBは、機械的研削およびラッピングによって約50μmの厚さまで薄くされた。次に、面劈開のためにサンプルを準備するために、ダイヤモンド針ベースのウエハスクライビング工具が、周期的スキップ・スクライブ技法と併せて使用された。スキップ・スクライブ技法は、ウエハにわたって共線的な一式の周期的85μmスキップステップおよび115μmスクライブステップを用いて、ウエハのエピタキシャル側面をスクライブすることから成る。両方のサンプルAおよびBについて、スクライブ方向は、結晶のa−軸と整合させられた。スキップステップ中に、ウエハをスクライブするために使用されたダイヤモンド針は、ウエハの表面から持ち上げられ、85μmの距離にわたってウエハをスクライブされていない状態にした。この85μmスキップ長は、典型的には、十分加工されたLDサンプルの場合にリッジ導波路LD構造が位置する場所である。同様の針角度、針圧力、切断速度、切断深度、およびウエハ載置が、サンプルAおよびBをスクライブするために使用された。
【0047】
スクライビング後であるが劈開前のサンプルAおよびBの頂面(これらの場合、p++接触層112の頂面)の代表的な光学顕微鏡写真が、それぞれ図3(a)および3(b)で提示されている。両方の図は、比較的高い倍率(50X)で撮影され、単一のスキップ・スクライブステップのみを示す。サンプルAについて、スキップした領域300は、スクライビングプロセス中にひび割れなかった。しかしながら、サンプルBについて、スキップした領域は、スクライビングプロセス中に、2つの隣接するスクライブ線304、306を接続する{0001}結晶面に沿った直線302で自発的にひび割れた。正確な機構は不明であるが、本発明者らは、サンプルBの自発的亀裂302が、異方的に歪んだ厚いn型Al含有CALの中の蓄積した歪みエネルギーに関係したと推測している。図3(a)および図3(b)では、矢印は、[0001]および[11−20]結晶方向を示し、点を囲む円は、[10−10]結晶方向を示す。
【0048】
スクライビングプロセスが完了した後、サンプルAおよびBは、従来のLD製造中に形成される棒とサイズおよび形状が同様の棒に劈開された。同様のサンプル載置および劈開技法が、両方のサンプルに使用された。スクライビング後のサンプルAおよびBのp++接触層112の表面の代表的な光学顕微鏡写真が、それぞれ図4(a)および4(b)で提示されている。両方の図は、比較的低い倍率(20X)で撮影され、いくつかのスキップ・スクライブステップを示す。図中の影付き領域が、スクライブされた領域に対応する一方で、影のない領域は、スキップされた領域に対応する。サンプルAについて、スキップした領域は、典型的には、結晶面に沿って常にひび割れるわけではないが、2つの隣接するスクライブ線402、404を接続する非結晶曲線または斜線400でしばしばひび割れる。しかしながら、サンプルBについて、スキップした領域は、2つの隣接するスクライブ線408、410を接続する{0001}結晶面に沿った直線406で常に劈開する。各サンプルからのいくつかの棒の検査が、同じ傾向を明らかにする。面の質および劈開均一性の向上のための正確な機構は不明であるが、本発明者らは、それが、異方的に歪んだ厚いn型Al含有CALの中の蓄積した歪みエネルギーに関係すると推測している。図4(a)および図4(b)では、矢印は、[0001]および[11−20]結晶方向を示し、点を囲む円は、[10−10]結晶方向を示す。
【0049】
図3(a)−(b)および図4(a)−(b)において上記で提示されるデータは、厚いn型Al含有CALを用いて、面劈開収率がサンプルについて増進されるという定性的証拠を提供する。図5では、本発明者らは、上記の観察を定量化しようとしている。図5(a)および5(b)は、それぞれ、サンプルAおよびBのレーザ棒あたりの面収率のヒストグラムを表示する。各レーザ棒は、約20のスキップ領域を含んだ。各レーザ棒の各スキップ領域の各劈開の質は、光学顕微鏡下で評価された。光学顕微鏡法によって観察されると完全に直線であったスキップした領域が、成功した劈開として分類された一方で、多少傾斜または湾曲していたスキップした領域は、失敗した劈開として分類された。次いで、レーザ棒あたりの面収率が、各サンプルについてヒストグラムとして描画された。図5(a)に示されるように、サンプルAの棒あたりの面収率は、0.579という棒あたりの平均面収率と0.113という標準偏差とを伴って、0.429から0.800の範囲内にある。対照的に、図5(b)に示されるように、サンプルBの棒あたりの面収率は、0.705という棒あたりの平均面収率と0.103という標準偏差とを伴って、0.478から0.773の範囲内にある。面劈開収率の向上のための正確な機構は不明であるが、本発明者らは、それが、異方的に歪んだ厚いn型Al含有CALの中の蓄積した歪みエネルギーに関係すると推測している。
【0050】
(プロセスステップ)
図6は、半導体光電子素子を製造する方法を図示するフローチャートである。方法は、以下のステップを含み得る。
【0051】
ブロック600は、例えば、n型GaNテンプレートのm−平面、非極性平面、または半極性平面上に、LDの特定の結晶面に沿った面劈開を支援するために使用することができる、1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層を堆積させることを表す。n型ドープアルミニウム含有層は、レーザ空洞の鏡の役割を果たす素子の面の自発的劈開のために十分厚くてもよい。例えば、n型ドープアルミニウム含有層は、厚さ50nmから2000nmの間であり得、3%から30%の間のAlの組成を伴うAlGaNを含み得るが、本発明は、この厚さおよび組成範囲に限定されない。一実施例では、特定の科学理論に縛られることなく、CALは、亀裂を形成するほど厚すぎること、および/またはAl組成が高すぎることなく、有意量の歪みエネルギーが存在するように、例えば、厚さ/組成が亀裂限界のすぐ下であり得るように、十分に厚く、および/または十分高いAl組成を有する(例えば、Ref.20の図1aに基づく)。しかしながら、上述のように、本発明は、この厚さ/組成に限定されない。
【0052】
テンプレート(図1(b)の104)は、表面146を有するIII族窒化物(例えば、GaN)基板であり得、表面は、後に堆積したIII族窒化物素子層が非極性または半極性層であるように、非極性平面、半極性平面、または、非極性平面に対して軸外であり得る。
【0053】
ブロック602は、n型ドープアルミニウム含有層上にn−GaNスペーサ層を堆積させることを表す。
【0054】
ブロック604は、スペーサ層上またはn型ドープアルミニウム含有層上に第1の導波路層を堆積させることを表す。
【0055】
ブロック606は、第1の導波路層上、スペーサ層、またはn型アルミニウム含有層上に量子井戸活性領域を堆積させることを表す。量子井戸活性領域は、導波路コアとして機能し得る(例えば、量子井戸は導波路コアであり得る)。量子井戸活性領域は、例えば、図2(b)に示されるように、p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合に素子の光学モードを効果的に制限するように、高い屈折率を伴う十分な材料を提供し得る。
【0056】
しかしながら、量子井戸層を含む量子井戸活性領域は、少なくとも図2(b)に示されるほど十分に、レーザの光学モードを制限するように十分厚くてもよいが、量子井戸層は、典型的には、量子井戸と見なされ、量子閉じ込めを提供するように十分薄い。量子井戸活性領域は、典型的には2から20nmの厚さ(しかしそれに限定されない)を有するInGaN量子井戸と、典型的には5から20nmの厚さ(しかしそれに限定されない)を有するGaN障壁とを含む、複数の量子井戸を含む。一実施例では、例えば、量子井戸の4nm以上の厚さが、例えば、m−平面素子で使用され得る。
【0057】
複数のn型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、活性領域から500nmより小さくまたは500nmより大きく離れていてもよく、光学モードの分布の効果があってもなくてもよい。
【0058】
ブロック608は、量子井戸活性領域上にAlGaN電子ブロッキング層を堆積させることを表す。
【0059】
ブロック610は、量子井戸活性領域上に第2の導波路層を堆積させることを表す。ブロック604および610での1つ以上の導波路層は、例えば、GaNよりも大きい屈折率を有し得る。量子井戸活性領域および導波路層は、p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合に素子の光学モードを効果的に制限するように、高い屈折率を伴う十分な材料を提供し得る。
【0060】
ブロック612は、第2の導波路層上にクラッド層、例えば、Mgドープp−GaNクラッド層を堆積させることを表す。
【0061】
ブロック614は、クラッド層上にp++GaN接触層を堆積させることを表す。
【0062】
ブロック616は、上記のステップの最終結果である、光電子素子層または構造を備えるウエハを表す。ブロック600−614での堆積ステップは、例えば、MOCVD成長または他の成長方法(例えば、MBE等)による、成長させるステップを含み得る。
【0063】
ブロック618は、例えば、機械的研削およびラッピングによって、素子構造を典型的には100μm以下の厚さ(しかしそれに限定されない)まで薄くすることを表す。
【0064】
ブロック620は、素子構造を備えるウエハ上で周期的スキップ・スクライブ技法を行い、それにより、個々の素子への面劈開のためにウエハを準備することを表す。スキップ・スクライブ技法は、ウエハにわたって共線的な一式スキップステップおよびスクライブステップを用いて、ウエハのエピタキシャル側面をスクライブすることを含み得る。スクライブ方向は、結晶のa−軸と整合させられ得る。スキップステップ中に、ウエハをスクライブするために使用されるスクライブは、ウエハの表面から持ち上げられ、ある距離にわたってウエハをスクライブされていない状態にし得る。このスキップ長は、典型的には、十分加工されたLDサンプルの場合にリッジ導波路LD構造が位置する場所である。スキップした領域は、2つの隣接するスクライブ線を接続する、{0001}結晶面に沿った直線で自発的に劈開する。
【0065】
ブロック622は、方法の最終結果であり、LD等の光電子素子を表す。ステップは、所望に応じて省略または追加され得、例えば、動作LD素子の加工で使用される他のステップが行われ得る。
【0066】
ブロック622の半導体光電子素子は、p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合に素子の動作のために十分な光閉じ込め(例えば、レージング動作のために十分な光閉じ込め)を提供する導波路コアと、導波路コアの上または下にある、1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層とを備える、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDを含み得るが、n型ドープアルミニウム含有層は、典型的には、導波路コアの下、または導波路コアと基板あるいはGaNテンプレートとの間にある。
【0067】
p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層は、従来の素子の動作のために十分な光閉じ込めを提供するために、従来の素子における必要なアルミニウム含有層として規定され得る。例えば、p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層は、従来のLDの中のInGaN量子井戸から発せられる光の十分な光閉じ込めを提供するために使用される、アルミニウム含有層として規定され得、従来のLDの量子井戸活性領域中のInGaN量子井戸は、c−平面極性であり、および/または、例えば、4nm以下の厚さを有する。
【0068】
非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDは、量子井戸活性領域および/またはGaNよりも大きい屈折率を伴う1つ以上の導波路層を含み得る。量子井戸活性領域は、導波路コアとして機能し得、または量子井戸活性領域および導波路層は、一緒に導波路コアとして機能し得る。例えば、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDは、量子井戸活性領域と、量子井戸活性領域に光学的に結合される、GaNよりも高い屈折率を伴う1つ以上の導波路層とを含み得、導波路層および量子井戸活性領域は、導波路コアとして一緒に機能する。
【0069】
量子井戸活性領域、量子井戸活性領域および導波路層は、p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合に素子の光学モードを効果的に制限するように、高い屈折率を伴う十分な材料を提供し得る。
【0070】
複数のn型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、活性領域から500nmより小さくまたは500nmより大きく離れ得る。
【0071】
素子は、AlGaNクラッド層を含まないか、または、例えば、緑色発光半極性LDの場合のように、導波路コア用のクラッディングの役割を果たすように位置付けられる、AlInGaNクラッド層を備え得る。
【0072】
素子はさらに、レーザ空洞の鏡として機能する、レーザ空洞の対向端にある第1の面142および第2の面144によって境界されるレーザ空洞を備え得、第1の面142および第2の面144は、n型ドープアルミニウム含有層を伴わない素子構造の中の「劈開されたままの」面と比較して(例えば、図4(a)の劈開された表面400と比較して)、より平面的かつ直線的である「劈開されたままの」面406である(例えば、さらなる研磨を伴わない)。
【0073】
一実施例では、直線面は、5度未満である(しかしそれに限定されない)「劈開されたままの」面とレーザリッジとの間の角度によって特徴付けられる。
【0074】
したがって、n型ドープアルミニウム含有層は、LDの特定の結晶面に沿った面劈開142、144を支援するために使用され得る。例えば、LDがm−軸方向に沿ってm−平面GaN基板上で成長させられると、劈開された面142、144の表面は、ウルツ鉱結晶構造のc−平面であり得る(すなわち、劈開された面142、144と垂直なc−軸方向)。しかしながら、素子は、他の方向に沿って劈開された他の平面または面上で成長させられ得る。
【0075】
(可能な修正および変形例)
また、成長温度、成長圧力、V/III比、前駆体流量、および源材料等のMOCVD成長条件の変形例も、本発明の範囲から逸脱することなく、可能である。界面の質の制御は、プロセスの重要な側面であって、特定のリアクタ設計の流量切替能力に直接関連する。成長条件の継続的最適化は、上記で説明される非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N薄膜のより正確な組成および厚さ制御をもたらすはずである。
【0076】
上記で説明される(Ga、Al、In、B)NのLDは、独立非極性GaN基板上に直接成長された複数の均質な層から成った。しかしながら、また、本発明の範囲はまた、可変または段階的組成を有する複数の層から成る、(Ga、Al、In、B)NのLDも含む。
【0077】
また、追加の不純物またはドーパントも、本発明で説明される非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N薄膜に組み込むことができる。例えば、Fe、Mg、Si、およびZnが、(Ga、Al、In、B)Nヘテロ構造内の種々の層および隣接する層の伝導特性を改変するように、それらの層に頻繁に追加される。そのようなドーパントおよび本明細書に列挙されないその他の使用も、本発明の範囲内である。
【0078】
また、本発明の範囲は、技術説明に引用される1つの非極性配向(m−平面)以外のものも含む。本概念はまた、(Ga、Al、In、B)N系半導体素子を成長させるために使用することができる、全ての非極性および半極性平面に関する。用語「非極性平面」は、集合的にa−平面として知られている
【0079】
【化4】

平面と、集合的にm−平面として知られている
【0080】
【化5】

平面とを含む。「半極性平面」という用語は、c−平面、a−平面、またはm−平面として分類することができない、あらゆる平面を指すために使用することができる。結晶学的用語では、半極性平面は、少なくとも2つの非ゼロのh、i、kミラー指数、および非ゼロのlミラー係数を有する、任意の平面となるであろう。
【0081】
また、本発明は、特定の結晶極性の選択も含む。波括弧{}の使用は、本書の全体を通して、対称性同等平面群を指す。したがって、
【0082】
【化6】

平面を含む。これらの平面はすべて、Ga−極性であって、結晶のc−軸が、基板から離れて指向することを意味する。同様に、
【0083】
【化7】

平面を含む。これらの平面はすべて、N−極性であって、結晶のc−軸が、基板に向かって指向することを意味する。単一結晶群内の全ての平面は、本発明の目的で同等であるが、極性の選択は、成長プロセスの挙動に影響を及ぼし得る。いくつかの用途では、N−極性平面上で成長することが望ましい一方で、他の場合では、Ga−極性平面上の成長が好ましいであろう。両方の極性が、本発明の実践のために容認可能である。
【0084】
さらに、独立非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板以外の基板を、(Ga、Al、In、B)NのLD成長に使用することができる。本発明の範囲は、全ての可能な外来基板の全ての可能な結晶学的配向上での非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの成長を含む。これらの外来基板は、炭化ケイ素、窒化ガリウム、シリコン、酸化亜鉛、窒化ホウ素、アルミン酸リチウム、ニオブ酸リチウム、ゲルマニウム、窒化アルミニウム、没食子酸リチウム、部分的置換スピネル、およびγ−LiAlO構造を共有する四成分正方晶酸化物を含むが、それらに限定されない。
【0085】
さらに、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N核生成(または緩衝)層および核生成層成長法における変形例が、本発明の実践のために容認可能である。核生成層の成長温度、成長圧力、配向、および組成は、後続非極性または半極性薄膜およびヘテロ構造の成長温度、成長圧力、配向、ならびに組成に合致する必要はない。本発明の範囲は、全ての可能な核生成層および核生成層成長法を使用した、全ての可能な基板上の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの成長を含む。
【0086】
上記で説明される非極性GaNのLDは、独立非極性GaN基板上で成長させられた。しかしながら、本発明の範囲はまた、エピタキシャル側方過成長(ELO)(Ga、Al、In、B)Nテンプレート上で成長させられた非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDも含む。ELO法は、後続エピタキシャル層内の貫通転位(TD)密度を低減する方法である。TD密度の減少は、素子性能の改良につながり得る。c−平面(Ga、Al、In、B)NのLDについて、これらの改良は、増加した内部量子効率、低減した閾値電流密度、およびより長い素子寿命を含むことができる[Ref.17]。これらの利点は、ELOテンプレート上で成長させられた全ての非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDに関連するであろう。
【0087】
上記で提示される技術説明は、水素化物気相エピタキシー(HVPE)によってc−方向に成長させられ、次いで、m−平面表面を露出するように薄く切られた、独立非極性GaN基板上の非極性(Ga、Al、In、B)NのLDの成長について論じた。独立非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板はまた、外来基板を厚い非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N層から取り去ることによって、バルク(Ga、Al、In、B)Nインゴットまたはブールを個々の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハに切生することによって、あるいは任意の他の可能な結晶成長またはウエハ製造法によって作成され得る。本発明の範囲は、全ての可能な結晶成長法およびウエハ製造法によって作成される、全ての可能な独立非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nウエハ上の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの成長を含む。
【0088】
上記で提示される技術説明は、素子の動作のために十分な光閉じ込めを提供するように、8nmのInGaN QWおよび8nmのGaN障壁を伴う5周期非ドープInGaN/GaN MQW構造を用いてACF(Ga、Al、In、B)NのLDを成長させることについて論じた。しかしながら、素子はまた、GaNよりも高い屈折率を伴う1つ以上の導波路層を含めることの可能性もある。この代替構造では、量子井戸活性領域および導波路層は、一緒になって、導波路コアとして機能する。GaNよりも高い屈折率を伴う任意の導波路層の使用が、本発明の実践に好適である。例えば、一実施形態では、単一の5nm量子井戸を包囲する、比較的厚い高In組成のInGaN導波路層(導波路コアのバルクを備える)を使用することができ、その場合、全体活性領域厚さは、わずか5nmである。
【0089】
しかしながら、本発明のいくつかの実施形態では、本発明は、特定の活性領域設計を必要としない。例えば、これらの実施形態では、本発明は単に、面劈開を支援するように、ある種のn型Al含有層(クラッディングまたはその他)を含む(しかしpp型Al含有クラッド層は含まない)素子を提供し得る。
【0090】
上記で提示される技術説明は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの鏡面劈開収率を向上させるために、1μmのn型Al0.06Ga0.94N CALを使用することについて論じた。しかしながら、面劈開収率を向上させるために、任意の組成または厚さの1つ以上のn型Al含有(Ga、Al、In、B)N層が使用される可能性がある。面劈開収率を向上させるための任意のn型Al含有(Ga、Al、In、B)N層の使用が、本発明の実践に好適である。
【0091】
上記で提示される技術説明は、InGaN/GaN MQWより1μm下側に位置する1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CALを用いて、ACF(Ga、Al、In、B)NのLDを成長させることについて論じた。図2(b)で図示されるように、1μmのSiドープn−Al0.06Ga0.94N CALは、InGaN/GaN MQWより1μm下側に位置した場合に、光学モードにほとんど影響を及ぼさなかった。しかしながら、n型Al含有CALは、光学モードにより有意な影響を及ぼすように、活性領域にはるかに近く位置されることも可能である。本発明の範囲は、活性領域に対するn型Al含有CALの配置にかかわらず、n型Al含有CALを伴う全ての非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDを含む。素子がp型Al含有導波路クラッド層を含まないならば、n型Al含有CALを含む任意の非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLD構造が、本発明の実践に好適である。
【0092】
AlGaN CALはまた、格子整合した四元AlInGaNクラッディングを使用したLDには、AlGaNクラッディングを含まないLDのように、引っ張り歪みを有さないので、これらの素子にも適用し得る。したがって、AlGaN CALは、AlInGaNクラッディングを備える半極性緑色発光LDで使用され得る。
【0093】
(利点および改良点)
上述のように、既存の実践は、極性[0001]c−方向に沿って(Ga、Al、In、B)NのLDを成長させることである。関連分極誘発電場および本質的に大きい有効価電子帯状態密度は、最先端のc−平面(Ga、Al、In、B)NのLDの性能に悪影響を及ぼす。非極性または半極性平面上での(Ga、Al、In、B)NのLDの成長は、上位2つの価電子帯の異方性歪み誘発分裂を通して、分極効果を減少させ、有効価電子帯状態密度を低減することによって、素子性能を有意に向上させることができる。分極誘発電場を減少させ、有効価電子帯状態密度を低減することにより、(Ga、Al、In、B)NのLD内で光学利得を発生させるために必要な電流密度を減少させるはずである。これは、(Ga、Al、In、B)NのLDの有意に少ない加熱につながるはずであり、それは、素子製造業者にとって、より長い素子寿命およびより高い生産収率をもたらすはずである。
【0094】
しかしながら、極性結晶面に沿った劈開に固有の困難により、素子製造業者が、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N素子の期待される利点を実現することが困難となる。本発明は、厚いp型Al含有導波路クラッド層を成長させる必要なく、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)N基板上で成長させられた(Ga、Al、In、B)NのLDの面劈開収率を向上させるために使用することができる、構造を説明する。向上した面劈開収率は、より良好な全体的素子収率、より高い面安定性、より高い壊滅的光損傷(COD)レベル、およびより長い素子寿命を含むが、それらに限定されない、非極性および半極性(Ga、Al、In、B)N素子製造業者にとっていくつかの利点につながるはずである。
【0095】
従来の(Ga、Al、In、B)NのLDの場合、面劈開収率を向上させるために、厚いn型およびp型Al含有導波路クラッド層を使用することができる。しかしながら、従来の(Ga、Al、In、B)NのLDでのp型Al含有導波路クラッド層の使用は、いくつかの製造関連問題を導入し得る。一般に、p型Al含有層は通常、同等のp型GaN層よりも高抵抗性であり、p型Al含有層を伴わない素子よりも、p型Al含有層を伴う素子に高い動作電圧をもたらす。加えて、p型Al含有層は、典型的には、同等のp型GaN層よりも高い成長温度で成長させられ、それは、高インジウム含有量のInGaN量子井戸を熱的に劣化し得る。p型Al含有導波路クラッド層を伴わない非極性または半極性(Ga、Al、In、B)NのLDの実現は、これらの問題の多くを軽減するはずである。
【0096】
本発明についてのさらなる情報を[Refs.21−23]で見出すことができる。
【0097】
(参考文献)
以下の参考文献は、参照することにより本明細書にその全体が組み込まれる。
1. K. C. Kim, M. C. Schmidt, H. Sato, F. Wu, N. Fellows, Z. Jia, M. Saito, S. Nakamura, S. P. DenBaars,およびJ. S. Speck, Appl. Phys. Lett., 91, 181120 (2007).
2. D. F. Feezell, M. C. Schmidt, R. M. Farrell, K. C. Kim, M. Saito, K. Fujito, D. A. Cohen, J. S. Speck, S. P. DenBaars,およびS. Nakamura, Jpn. J. Appl. Phys., 46, L284 (2007).
3. R. M. Farrell, D. F. Feezell, M. C. Schmidt, D. A. Haeger, K. M. Kelchner, K. Iso, H. Yamada, M. Saito, K. Fujito, D. A. Cohen, J. S. Speck, S. P. DenBaars,およびS. Nakamura, Jpn. J. Appl. Phys., 46, L761 (2007).
4. K. M. Kelchner, Y. D. Lin, M. T. Hardy, C. Y. Huang, P. S. Hsu, R. M. Farrell, D. A. Haeger, H. C. Kuo, F. Wu, K. Fujito, D. A. Cohen, A. Chakraborty, H. Ohta, J. S. Speck, S. Nakamura,およびS. P. DenBaars, “Nonpolar AlGaN−cladding−free Blue Laser Diodes with InGaN Waveguiding,”Appl. Phys. Express.において発行。
5. K. Okamoto, H. Ohta, S. F. Chichibu, J. Ichihara,およびH. Takasu, Jpn. J. Appl. Phys., 46, L187 (2007).
6. K. Okamoto, T. Tanaka, M. Kubota,およびH. Ohta, Jpn. J. Appl. Phys., 46, L820 (2007).
7.T. Takeuchi, S. Sota, M. Katsuragawa, M. Komori, H. Takeuchi, H. Amano,およびI. Akasaki, Jpn. J. Appl. Phys., 36, L382 (1997).
8.J.S. Im, H. Kollmer, J. Off, A. Sohmer, F. Scholz,およびA. Hangleiter, Phys. Rev. B, 57, R9435 (1998).
9.F. Della Sala, A. Di Carlo, P. Lugli, F. Bernardini, V. Fiorentini, R. Scholz,およびJ.M. Jancu, Appl. Phys. Lett., 74, 2002 (1999).
10.M. Suzuki,およびT. Uenoyama, Jpn. J. Appl. Phys., 35, L953 (1996).
11.E. Yablonovitch,およびE. O. Kane, J. Lightwave Tech., 4, 504 (1986).
12.P. Waltereit, O. Brandt, A. Trampert, H. T. Grahn, J. Menninger, M. Ramsteiner, M. Reiche,およびK. H. Ploog, Nature, 406, 865 (2000).
13.S. H. Park,およびD. Ahn, Appl. Phys. Lett. 90, 013505 (2007).
14.N. F. Gardner, J. C. Kim, J. J. Wierer, Y. C. Shen,およびM. R. Krames, Appl. Phys. Lett., 86, 111101 (2005).
15.M. Kubota, K. Okamoto, T. Tanaka,およびH. Ohta, Appl. Phys. Lett., 92, 011920 (2008).
16.M. Hansen: Dr. Thesis, Materials Department, University of California, Santa Barbara (2001).
17.S. Nakamura, M. Senoh, S. Nagahama, N. Iwasa, T. Yamada, T. Matsushita, H. Kiyoku, Y. Sugimoto, T. Kozaki, H. Umemoto, M. Sano,およびK. Chocho, Appl. Phys. Lett., 72, 211 (1998).
18.S. Nakamura,およびG. Fasol, The Blue Laser Diode, (Springer, Heidelberg, 1997). 本書は、c−平面(Ga,Al,In,B)Nの光電子工学技術の概略を提供する。
19.L. Coldren,およびS. Corzine, Diode Lasers and Photonic Integrated Circuits, (Wiley, New York, 1995).4章および付録8−11は、歪量子井戸レーザの設計に関連した理論を議論している。
20.E. C. Young他, Appl. Phys. Lett., 96, 041913 (2010).
21.Shuji Nakamuraによるプレゼンテーションスライド、名称“An overview of Laser Diodes (LDs) and Light Emitting Diodes (LEDs) Research at SSLEC,”,the 2009 Annual Review for Solid State Lighting and Energy Center (SSLEC), University of California, Santa Barbara (2009年11月5日).
22.Matthew T. Hardyによるプレゼンテーションスライド、名称“Backend Processing for m−plane Cleaved Facet Laser Diodes and Superluminescent Diodes,” the 2009 Annual Review for SSLEC, University of California, Santa Barbara (2009年11月6日).
23.Matthew T. Hardy, Robert M. Farrell, Po S. Hsu, Daniel A. Haeger, Kathryn M. Kelchner, Kenji Fujito, Arpan Chakraborty, Daniel A. Cohen, Shuji Nakamura, James S. Speck,およびSteven P. DenBaarsによる未出版原稿、名称“Effect of n−AlGaN Cleave Assistance Layers on the Morphology of c−plane Cleaved Facets for m−plane InGaN/GaN Lasers Diode Structures.”
(結論)
これは、本発明の好適な実施形態の説明を締めくくるものである。本発明の1つ以上の実施形態の上述の説明は、図解および説明のために示したものである。本記述は、網羅的であること、または本発明を開示された形態に限定することを意図したものではない。上述の教示に照らして、多数の修正および変形が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明によって限定されるのではなく、むしろ本明細書に添付された請求項によって限定されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードを備えた半導体光電子素子であって、
該非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードは、
(i)p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の該素子の動作のために十分な光閉じ込めを提供する導波路コアと、
(ii)該導波路コアの上または下にある1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層と
を含む、
素子。
【請求項2】
前記1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層は、前記レーザダイオードの特定の結晶面に沿った面劈開を支援する、請求項1に記載の素子。
【請求項3】
前記p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層は、従来のレーザダイオードの中のInGaN量子井戸から発せられる光の十分な光閉じ込めを提供するために使用されるアルミニウム含有層として規定され、該従来のレーザダイオードの中のInGaN量子井戸は、4nm以下の厚さを有する、請求項1に記載の素子。
【請求項4】
前記非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードは、前記導波路コアとして機能する量子井戸活性領域を含む、請求項1に記載の素子。
【請求項5】
前記量子井戸活性領域は、高い屈折率を伴う十分な材料を提供することにより、前記p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の前記素子の光学モードを効果的に閉じ込める、請求項4に記載の素子。
【請求項6】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより小さく離れている、請求項5に記載の素子。
【請求項7】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより大きく離れている、請求項5に記載の素子。
【請求項8】
前記非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードは、量子井戸活性領域と、該量子井戸活性領域に光学的に結合されたGaNよりも高い屈折率を伴う1つ以上の導波路層とを含み、該導波路層および該量子井戸活性領域は、一緒になって、前記導波路コアとして機能する、請求項1に記載の素子。
【請求項9】
前記量子井戸活性領域および前記導波路層は、高い屈折率を伴う十分な材料を提供することにより、前記p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の前記素子の光学モードを効果的に閉じ込める、請求項8に記載の素子。
【請求項10】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより小さく離れている、請求項9に記載の素子。
【請求項11】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより大きく離れている、請求項9に記載の素子。
【請求項12】
前記素子は、AlGaNクラッド層を含まない、請求項1に記載の素子。
【請求項13】
前記素子は、前記導波路コア用のクラッディングの役割を果たすように配置されたAlInGaNクラッド層を備えている、請求項1に記載の素子。
【請求項14】
第1の面および第2の面によって境界をつけられたレーザ空洞をさらに備え、該第1の面および該第2の面は、該レーザ空洞の対向端にあって、該レーザ空洞の鏡として機能し、該第1の面および該第2の面は、前記n型ドープアルミニウム含有層を伴わない素子構造の中の「劈開されたままの」面と比較して、より平面的かつ直線的である「劈開されたままの」面である、請求項1に記載の素子。
【請求項15】
前記n型ドープアルミニウム含有層の厚さおよび位置は、前記光閉じ込めに影響を及ぼさない、請求項1に記載の素子。
【請求項16】
半導体光電子素子を製造する方法であって、
該方法は、非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードを製造することを含み、
該非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードは、
(i)p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の該素子の動作のために十分な光閉じ込めを提供する導波路コアと、
(ii)該導波路コアの上または下にある1つ以上のn型ドープアルミニウム含有層と
を含む、
方法。
【請求項17】
前記n型ドープアルミニウム含有層は、前記レーザダイオードの特定の結晶面に沿った面劈開を支援する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層は、従来のレーザダイオードの中のInGaN量子井戸から発せられる光の十分な光閉じ込めを提供するために使用されるアルミニウム含有層として規定され、該従来のレーザダイオードの中のInGaN量子井戸は、4nm以下の厚さを有する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードは、前記導波路コアとして機能する量子井戸活性領域を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記量子井戸活性領域は、高い屈折率を伴う十分な材料を提供することにより、前記p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の前記素子の光学モードを効果的に閉じ込める、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより小さく離れている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより大きく離れている、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記非極性または半極性(Ga、Al、In、B)Nレーザダイオードは、量子井戸活性領域と、該量子井戸活性領域に光学的に結合されたGaNよりも高い屈折率を伴う1つ以上の導波路層とを含み、該導波路層および該量子井戸活性領域は、一緒になって、前記導波路コアとして機能する、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記量子井戸活性領域および前記導波路層は、高い屈折率を伴う十分な材料を提供することにより、前記p型ドープアルミニウム含有導波路クラッド層がない場合の前記素子の光学モードを効果的に閉じ込める、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより小さく離れている、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記n型ドープアルミニウム含有層のうちの最も近い1つは、前記活性領域から500nmより大きく離れている、請求項24に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−533179(P2012−533179A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519769(P2012−519769)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2010/041558
【国際公開番号】WO2011/006085
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(506115514)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (87)
【Fターム(参考)】