説明

非標的部位のアミンが保護されたペプチド、その製造方法、及びこれを利用したPEGが特異的に接合されたペプチドの製造方法

本発明は、非標的部位のアミンが選択的に保護された合成ペプチド及びその製造方法とこれを利用して合成ペプチドの標的部位にPEGを特異的に接合する方法に関するものである。本発明により標的部位のアミンにPEGが特異的に結合したPEG接合ペプチドが非常に高い収率で得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は少なくとも2個の枝分れ(branched)アミンを有する合成ペプチドに少なくとも1つのPEG(ポリエチレングリコール)を標的部位のアミンに特異的に接合(conjugate)する方法に関するもので、更に非標的部位のアミンが選択的に保護された合成ペプチド及びその製造方法、並びに合成ペプチドの標的部位にPEGを特異的に接合し、イオン交換クロマトグラフィーで精製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペプチド及び蛋白にPEGを接合する技術は、DavisとAbuchowskiの研究(Abuchowski A. et al., J. Biol. Chem., 252, 3571-3581, 1977; Abuchowski A. et al., J. Biol. Chem., 252, 3582-3586, 1977)に基づく。PEGは親水性、生体適合性で、無毒の高分子であってH(OCH2CH2)nOHの構造を有し、ペプチド及び蛋白に接合された場合、糖蛋白中の糖鎖と同様の仕組みで酵素代謝を立体的に妨害して抑制し、接合PEGを有するペプチド及び蛋白の分子サイズを増加させて腎糸球体ろ過を減少させることにより、生理活性の持続時間を増加させることが知られている。ポリペプチドとPEGの共有結合に関しては、米国特許第4179337号に公開されており、ここでは蛋白と酵素をPEGで修飾すると免疫原性と抗原性が減少し、血中半減期が長くなると述べられている。
【0003】
ポリペプチドにPEGを共有結合させるには、PEGの末端水酸基部分を反応性官能基に転化する"活性化"過程が必要である。“活性化されたPEG”としては、PEGアルデヒド、PEGエポキシド及びPEGトレシレートのようなアルキル化剤とPEGエステルのようなアシル化剤を挙げることができ、その代表的な例としてはPEGスクシンイミジルスクシネートがある。ポリ(エチレングリコール)-N-スクシンイミドカーボネート及びその製造方法はAbuchowski et al., Cancer Biochem. Biophys. 7:175-186(1984)及び米国特許第512614号等から知られている。分子量2,000-40,000の範囲のPEGが使用でき、メトキシ化PEG及び分枝PEG等のPEGが使用できる。分枝PEGはR(-PEG-OH)mの構造で表わすことができ、ここでRはペンタエリスリトール又はグリセロールのような中心コア部分を、mは3-100の範囲の枝の数を定義する。水酸基は化学的修飾に利用できる。 (CH3O-PEG-)pR-Xの構造を有する他の分枝PEG (WO96/21469)が利用でき、ここでpは2ないし3、Rはリシン及びグリセロールのような中心コア部分を表し、Xはカルボキシル基のような活性化に使用される官能基を定義する。他の分枝PEGとしてのペンダントPEGは、PEG鎖の末端ではなくPEG主鎖上にカルボキシル部分のような官能基を有する。これらの分枝PEGは、全て前述のように"活性化"させて使用することができる。
【0004】
ペプチドのアミンに"活性化した"PEGを接合させる反応において、一般的にPEGは一つ以上のアミンに非特異的に結合するため、この技術の核心は特定位置のアミンにPEG分子を特異的に結合させる方法にある。しかしながら、アミノ酸配列中に少なくとも1つのリシンが含まれるペプチドの場合は2つ以上のアミンがその中に存在するため、特定部位のアミンに特異的にPEGを接合させるのは非常に難しい。一般的な方法でペプチドにPEGを接合させた場合は、PEGが1つ接合された接合体からPEGがアミンの数だけ接合された複合接合体まで多様な接合体が生成されうる。またPEGを1つだけ有する接合体(モノPEG接合体)の場合でもPEGの接合部位が互いに異なる位置異性体が形成されうる。通常、ペプチドのPEG接合体は結合したPEGの数や結合部位によって活性や酵素代謝が異なるために、多様な接合体を含むこのような混合物を製造する方法は活性収率が非常に低く、且つ混合物であるという短所を有する。混合物から特定の異性体を分離精製するのは、非常に複雑で収率が非常に低く且つ高いコストが伴う。このような短所を埋め合わせるために多様な方法による部位特異的PEG化が試されているが、特定位置のアミンに特異的にPEGを接合させることができる有効な方法は未だ開発されていない。
【0005】
Chem. Pharm. Bull. 39(12):3373-3375(1991)には、フィブロネクチン関連トリペプチド (Arg-Gly-Asp)とアミノ−ポリ(エチレングリコール)の接合体及びその活性が報告されている。ここではジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)/1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)で活性化したアスパラギン酸にアミノPEGを結合させることにより、PEG接合体を製造する方法が提示されている。しかしながら、この方法はC-末端の修飾にのみ使用することができ、ペプチドのC-末端を活性化する過程で隣接するアミノ酸のラセミ化が起こりうるという欠点がある。このようなラセミ化は、グリシンを除くすべてのアミノ酸で起こり得、結果的にペプチドの活性低下を招く。
【0006】
Journal of Protein Chemistry 10(6):623-627(1991)には合成樹脂を利用して、ペプチドにモノメトキシポリ(エチレングリコール)(mPEG)又はポリビニルアルコール(PVA)を結合させる方法が報告されている。この方法ではペプチドのN-末端に一つのポリマーが結合された接合体しかできないため、PEG接合効果を最大化する(ペプチドの活性期間を最長化し、酵素による代謝を最小化する)位置にPEGを結合させる方法を提供することにはならない。
【0007】
PCT特許出願第PCT/US94/06953号(1994)は、ペプチドの合成過程中でPEGを導入する、部位特異的PEGペプチドの製造方法を提供している。即ち、配列が標的部位のリシンに達するまでペプチドを部分的に合成した後にPEGを結合させ、最後に残りのペプチド部分を合成してPEGペプチドを完成する方法、標的部位のリシンとしてNα-アミンがFmoc(9-フルオレニルメトキシカルボニル)で保護され、枝分れアミンにPEGが結合されたリシンを使用することによりPEG接合ペプチドを製造する方法、及び標的部位のアミンにPEGが結合されたペプチド断片と残りのペプチド断片を別々に合成し、それらを結合してPEG接合ペプチドを完成させる方法を提供している。にもかかわらず、このような方法は予め結合させたPEGが合成の次の段階に影響を与えることにより、好ましくない結果が生じることがある。例えば、ペプチド合成中にPEGを導入し、残りの部分の合成を継続する場合、アミノ酸の配列中の少なくとも1個のアミノ酸を欠くペプチドが生成されることもあり、そのようなペプチドは生体に有害である可能性もあり、精製は殆ど不可能である。そのため、このような方法は医薬品として使用可能なPEG接合ペプチドを製造する方法として好ましくない。
【0008】
PCT特許出願第PCT/EP98/07748号は有機溶媒中でGRFのアミンにPEGを結合させ、できたLys(PEG)12-GRF、Lys(PEG)21-GRF、Lys(PEG)12, 21-GRF及び[Nα-PEG-Try1,Lys(PEG)12, 21]-GRFの混合物をゲルクロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィーで精製する方法を提供している。しかしながら、この方法はNα、Lys12及びLys21のアミン部分の間に特異性をもたらすことができない。当該特許はまた、[Lys(Alloc)12, 21]-GRF(1-29)と[Nα-イソプロピル-Try1,Lys(Alloc)12]-GRF(1-29)の合成、及びこれらを利用した特異的なPEG化の方法を提供しているが、[Lys(Alloc)12, 21]-GRF(1-29)の場合、PEGはNαアミンにのみ接合可能で、当該特許で効力が最も良いとされているLys21-PEG接合体の製造方法は提供されていない。また、[Nα-イソプロピル-Try1,Lys(Alloc)12]-GRF(1-29)を使用してPEG接合体を製造する場合は、GRF(1-29)-NH2のPEG接合体ではなく、[Nα-イソプロピル-Try1]-GRF(1-29)-NH2のPEG接合体、すなわち[Nα-イソプロピル-Try1, Lys(PEG)21]-GRF(1-29)が形成されることになる。そのため、この方法はN-末端にアミンを有する本来のペプチド、GRF(1-29)-NH2に対して完全に特異的なPEG化を提供することができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、非標的部位のアミンにPEGが接合された不純産物の形成を防止し、標的部位のアミンにのみPEGが接合された最終産物のみを形成することにより、製品収率を顕著に高め、最終産物の分離精製に必要な努力と費用を減らすことができる特異的なPEG化を開発することを目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は完全な選択性をもって、標的部位のアミンにのみPEGを接合させることにより、PEG接合効果が最大化された特異的PEG接合ペプチドの製造方法を提供するものである。
【0011】
本発明は非標的部位のアミンが選択的に保護された合成ペプチド、その製造方法、及び合成ペプチドの標的部位にPEGを特異的に接合する方法に関するものである。より詳しくは、(A)標的部位のアミンと非標的部位のアミンを異なる脱遮蔽条件下で除去される異なる保護基(例えば、ivDde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)-3-メチルブチル)又は Mtt(4-メチルトリチル)と Boc(tert-ブトキシカルボニル))で別々に遮蔽して、Nα-アミンをFmoc又はNscで保護してペプチドを合成する工程を含む、非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチドの製造方法、(B)上記方法により製造された非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチド、及び(C)(1)上記ペプチドを活性化PEGと反応させる工程と、(2)工程(1)で得られた化合物のアミン遮蔽基を酸塩基脱遮蔽条件下で除去する工程を含む、標的部位のアミンにPEGが特異的に接合された特異的PEG接合ペプチドの製造方法に関するものである。
本発明は更に、上記のように合成されたペプチドのNα-アミンを含む、非標的部位のアミンの保護基を最終的なアミン保護基で置換する工程を更に含む、非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチドの製造方法に関する。
【0012】
上記の最終的なアミン保護基としては、Fmoc、Nsc、Dde、ivDde及びその他の塩基性条件下で除去される保護基からなる群から選ばれた少なくとも1つを使用することができ、或いはBoc及びその他の酸性条件下で除去される保護基からなる群から選ばれた少なくとも1つを使用することができる。
【0013】
ペプチドを合成する一般的な方法の一つは、Nα-アミンが保護されたC-末端アミノ酸のカルボキシル部分を樹脂に結合させ、塩基性条件でアミンを脱遮蔽した後、配列に従ってNα-アミンが保護された次のアミノ酸を結合させる反応を繰り返してN-末端アミノ酸に到達するまで合成するものである。アミノ酸配列中に枝分れアミンを有するリシンが含まれている場合、枝分れアミンが酸性条件下で除去されるBocで保護されており、Nα-アミンが塩基性条件下で除去されるFmoc又はNsc(4-ニトロフェニルスルホニルエトキシカルボニル)で保護されているリシンを使用することにより、次のアミノ酸を結合させるためのNα-アミンの脱遮蔽条件下で枝分れアミンが脱遮蔽されることがない。しかしながら、少なくとも2個の枝分れアミンを有するペプチドの場合は、枝分れアミン間の区別が難しいため、完全に選択的に保護されたペプチドの合成は難しかった。本発明者等は、少なくとも2個の枝分れアミンを有するペプチドの合成においてNα-アミンの保護基としてFmoc又はNscを使用し、枝分れアミンの保護基として異なる条件下で除去される二種類のアミン保護基、すなわちBoc及びivDde又はMttを使用して酸塩基による脱遮蔽操作のみで枝分れアミンを区別することができる方法で選択的に保護されたペプチドを合成し、これに基づいて完全に特異的なPEG接合方法を開発することにより本発明を完成した。ここで非標的部位の枝分れアミンとN-末端アミンを区別して個々に異なる保護基を使用する理由は、ペプチド合成時にN-末端アミンだけを選択的に反応させなければならないためである。非標的部位のアミンは、PEG接合反応条件下での安定性の必要に応じてペプチド合成の最終工程で他の保護基で置換することができる。この方法は、単に酸塩基条件を変化させるだけで選択的に保護されたペプチドの合成が可能なため、還元反応又はアリル置換に基づく方法に比べて反応が簡単且つ経済的で、高純度のペプチドを得ることができるという長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
例えば、本発明の具体的な態様としては、次のような方法を挙げることができる。
標的部位の枝分れアミンをBocで、非標的部位の枝分れアミンをivDdeで保護する方法の場合、標的部位のリシンを導入する工程では、Nα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがBocで保護されたリシンを使用し、他の部位のリシンを導入する工程ではNα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがivDdeで保護されたリシンを使用してペプチドを合成する。合成過程において、Fmoc又はNscの脱遮蔽条件、例えば1%のDBU(1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデス-7-エン)-20%のピペリジン/DMF(N,N-ジメチルホルムアミド)条件下では、ivDdeは除去されない。合成されたペプチド樹脂(標的部位の枝分れアミンはBocで、非標的部位の枝分れアミンはivDdeで、N-末端アミンはFmoc又はNscで保護されている)の非標的部位の枝分れアミンのivDde及びN-末端アミンのFmocを除去した後、得られた遊離のアミンを(例えば、Fmoc-Osu(9-フルオレニルメトキシカルボニルスクシンアミド)又はNsc-OSuと反応させることにより)Fmoc又はNscで保護する。このとき上記脱遮蔽反応は、例えば2%のヒドラジン溶液で処理することにより行うことができる。このペプチド樹脂を開裂溶液(例えば、トリイソプロピルシラン(TIS):水:トリフルオロ酢酸(TFA)=2.5:2.5:95)で処理して樹脂からペプチドを分離し、同時に標的部位のアミンのBocを除去することにより、非標的部位のアミンがFmoc又はNscで保護されたペプチドが得られる。
【0015】
標的部位の枝分れアミンをBocで、非標的部位の枝分れアミンをMttで保護する方法の場合、標的部位のリシンを導入する工程ではNα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがBocで保護されているリシンを使用し、他の部位にリシンを導入する工程ではNα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがMttで保護されているリシンを使用してペプチドを合成する。合成過程中、Fmoc又はNscの除去に使用される塩基性条件下ではMttは除去されない。従って合成されたペプチド樹脂(標的部位の枝分れアミンはBocで、非標的部位の枝分れアミンはMttで、N-末端アミンはFmoc又はNscで保護されている)は非標的部位の枝分れアミン上でのMtt除去作用を受けることになる。この脱遮蔽処理は、例えば1%のTFA/MC(塩化メチレン)で処理することにより行うことができる。この時、標的部位のアミンの保護基であるBocは除去されない。このペプチド樹脂(標的部位の枝分れアミンはBocで、N-末端アミンはFmoc又はNscで保護され、非標的部位の枝分れアミンは遊離している)をFmoc-OSu又はNsc-OSuと反応させて非標的部位の枝分れアミンをFmoc又はNscで保護した後、開裂溶液(例えば、TIS:水:TFA=2.5:2.5:95)により標的部位のアミンの保護基であるBocを除去することにより選択的に保護されたペプチド(標的部位のアミンは遊離しており、非標的部位のアミンはFmoc又はNscで保護されている)が得られる。
【0016】
非標的部位のアミンがBocで保護されているペプチドは、標的部位のアミンをivDdeで、非標的部位のアミンをBocで保護する方法により製造することができる。標的部位のリシンを導入する工程では、Nα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがivDdeで保護されているリシンを使用し、他の部位のリシンを導入する工程ではNα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがBocで保護されているリシンを使用してペプチドを合成する。合成過程中、Fmoc又はNscの脱遮蔽条件下、例えば 1%DBU-20%ピペリジン/DMF条件下ではivDdeは除去されない。合成された上記ペプチド樹脂(標的部位の枝分れアミンはivDdeで、非標的部位の枝分れアミンはBocで、N-末端アミンはFmoc又はNscで保護されている)において、N-末端アミンの保護基であるFmocの除去を(例えば、DMF中1% DBU-20%ピペリジンで処理して)行い、その後開裂溶液(例えば、TIS:水:TFA=2.5:2.5:95)で処理して樹脂とペプチドを分離する。この時、標的部位の枝分れアミンの保護基であるBocは除去される。このペプチド(標的部位の枝分れアミンはivDdeで保護され、非標的部位の枝分れアミンとN-末端アミンは遊離している)の遊離しているアミンをBocで保護し、標的部位のアミンのivDdeを除去することにより、非標的部位のアミンがBocで保護されたペプチドが得られる。この時、上記保護反応は、例えば、Boc2O(ジ-tert-ブチルジカーボネート)と反応させることにより行うことができ、上記脱遮蔽反応は、例えば、2%のヒドラジン溶液で処理することにより行うことができる。
【0017】
非標的部位のアミンがBocで保護されているペプチドは、標的部位のアミンをMttで、非標的部位のアミンをBocで保護する方法でも製造できる。この方法では、2-CLTR(2-クロロトリチル樹脂)のような酸に対する感受性が非常に高い樹脂を使用するべきで、湿気により収率や純度が低下することがあるため注意が必要である。この方法では、標的部位のリシンを導入する工程ではNα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがMttで保護されているリシンを使用し、他の部位のリシンを導入する工程ではNα-アミンがFmoc又はNscで保護され枝分れアミンがBocで保護されているリシンを使用してペプチドを合成する。合成過程中、Fmoc又はNscの除去に使用する塩基性条件下ではMttは除去されない。合成されたペプチド樹脂(標的部位の枝分れアミンはMttで、非標的部位の枝分れアミンはBocで、N-末端アミンはFmoc又はNscで保護されている)において、N-末端アミンの保護基であるFmoc又はNscの除去を行い、N-末端の遊離のNα-アミンの保護をBocで行う。上記脱遮蔽処理は、例えば、DMF中1%のDBU-20%のピペリジンで処理することにより行うことができ、上記保護処理は、例えば、Boc2Oと反応させることにより行うことができる。このように合成されたペプチド樹脂(標的部位の枝分れアミンがMttで、非標的部位のアミンがBocで保護され、C-末端が樹脂に結合されている)をTFA/MCで処理して樹脂とペプチドを分離し、標的部位のアミンの保護基Mttを除去することにより、非標的部位のアミンがBocで保護されているペプチドが得られる。こうして得られる保護されたペプチドは、非標的部位のアミンがBocで保護されており、アミン以外の活性部分、即ち水酸基やカルボキシル基は保護されており、これらの保護基はPEG接合後に開裂溶液(例えば、TIS:水:TFA=2.5:2.5:95)でBocを除去する過程で同時に除去されることになる。
上記の方法以外にも多様な方法を本発明から導くことができ、これらもまた本発明に含まれる。
【0018】
また、本発明により合成されたペプチドは直接PEG接合に使用することができ、必要に応じて最終的なアミン保護基でNα-アミンを含む非標的部位のアミンを保護する工程を更に経た後、PEG接合に使用することもできる。この時、最終的なアミン保護基は、Fmoc、Nsc、Dde(1-(4,4-ジメチル-2,6-ジオキソシクロヘキシリデン)エチル)、ivDde又は他の塩基性条件下で除去される保護基からなる群から選ばれる少なくとも1つの保護基でもよく、Boc又は他の酸性条件下で除去される保護基からなる群から選ばれる少なくとも1つの保護基でもよい。
【0019】
本発明は更に、ペプチド合成の効率性を高めるためにペプチドを二つ以上の断片に分けて別々に合成し、これらを縮合させて非標的部位のアミンが保護されているペプチドを製造する方法を含む。この場合もアミンの保護−脱遮蔽は先に述べたものと同様であるが、ただ断片の縮合中にラセミ化が起こり得るため、この方法はアミノ酸配列中に縮合反応時にラセミ化を起こさないGly又はProを含むペプチドに対して効果的に使用することができ、合成や精製が難しいペプチドの場合に、より有用に使用できる。この方法では例えば、ペプチドを2つの断片、すなわちN-末端からGly又はProまでの一方の断片と次のアミノ酸からC-末端までの他方の断片に分けて合成し、2つの断片を縮合してペプチドを形成する。N-末端領域を有する断片の合成に使用する樹脂は酸に極度に敏感であるべきなのでTRT系列の樹脂を使用し、断片の合成が完了した時点で、他の保護基を維持しながら酸性条件下で断片を樹脂から分離する。C-末端領域を有する断片は普通の樹脂を使用して合成し、樹脂に結合された状態でN-末端断片と縮合した後、樹脂から分離してもよく、或いは、酸−感受性の樹脂を使用してC-末端断片を合成し、保護基を維持した状態で樹脂から分離した後、溶液相でN-末端断片と縮合することもできる。酸−感受性の樹脂と枝分れアミン保護基としてMttを使用して断片を合成した後に樹脂から分離する場合は、Mttが除去されないようにAcOH:TFE(2,2,2-トリフルオロエタノール):MC(1:1:8)、又はTFE:MC(2:8)の条件下で分離を行う。N-末端断片の非標的部位の枝分れアミンをivDdeで保護する場合には、縮合反応を完了した後、全体配列のペプチドを樹脂から分離する前に、保護基をFmoc又はNscで置換してもよい。更に、N-末端断片に標的部位のアミンが存在する場合は、Bocの除去が起きない条件下で樹脂からの分離を行う必要がある。C-末端断片は連続合成法と同様の方法で合成する。
【0020】
本発明で使用できるペプチドの合成方法としては、本発明に適用可能であれば特に限定されないが、好ましくは固体相ペプチド合成法が使用される。
本発明が適用できるペプチドとしては、少なくとも2個の枝分れアミンを有するペプチドであれば特に限定されない。本発明は特定部位にPEGを結合させることにより、生物学的半減期を延長させたり免疫原性や抗原性を減少させる必要があるペプチドにおいて有用である。例えばカルシトニン又はGRF(1-29)を挙げることができる。
【0021】
非標的部位のアミンが保護されているペプチドは、ペプチドに対する完全に特異的なPEG接合を可能にする。非標的部位のアミンがFmoc、Nsc、Boc又はPEG接合反応条件下で安定な他のアミン保護基で保護されているペプチドを活性化されたPEGと反応させることにより、PEGは標的部位のアミンにのみ特異的に結合し、当量比と反応条件に従って反応はほぼ完全に進行する。このように保護されたペプチド-PEG接合体(標的部位のアミンにPEGが結合し、非標的部位のアミンが保護基で保護されている)を脱遮蔽(例えば、保護基がFmoc又はNscの場合、5%のピペリジン/DMFの条件で、保護基がBocの場合、開裂溶液(TIS:水:TFA=2.5:2.5:95)の条件で)することにより、標的部位のアミンにPEGが特異的に結合したペプチドを形成することができる。
【0022】
よって、本発明の別の態様は(1)非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチドを活性化されたPEGと反応させる工程、及び(2)そのようにして得られた化合物のアミン保護基を酸塩基脱遮蔽条件下で除去する工程を含む、標的部位のアミンにPEGが特異的に結合した特異的PEG接合ペプチドを製造するための方法である。
上記の反応混合物は他のペプチド由来物質を含まないことが確認されており、イオン交換クロマトグラフィーで未結合のPEGと遊離した保護基を除去し、逆相樹脂(例えば、C-18 Sep-Pakカートリッジ)により塩を除去した後、凍結乾燥することにより、高純度の特異的ペプチドPEG接合体を得ることができる。
【0023】
本発明に従って製造される非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチドと接合できる活性化PEGは特に限定されず、前述した全てのPEGが含まれるが、好ましくは1,000ないし40,000の直鎖又は分枝型のヒドロキシ又はメトキシ型のアルキル化又はアシル化PEGであり、より好ましくはモノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルスクシナート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルプロピオネート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルカーボネート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルカルバメート及びモノメトキシポリ(エチレングリコール)トレシレートからなる群から選択される少なくとも1つを使用することができる。
【0024】
本発明の特異的ペプチドPEG接合体は、治療上有効な量のペプチドを含有する投薬形態に処方することができる。注射剤、点滴剤、注射用デポ剤、吸入剤等の処方が利用でき、緩衝剤、等張化剤、安定化剤、界面活性剤、粘増剤、保存剤、着色剤、芳香剤を添加することができる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例により本発明の詳細な方法を例示する。しかしながら、実施例が本発明の範囲を限定するものではない。
本実施例中で使用される略語は以下の意味を有する。
Ac=アセチル、Ac2O=無水酢酸、AcCN=アセトニトリル、AcOH=酢酸、Bop=ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、Clt=2-クロロトリチル、DCM=ジクロロメタン、DIC=1,3-ジイソプロピルカルボジイミド、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMSO=ジメチルスルホキシド、EDT=1,2-エタンジチオール、EtOAc=酢酸エチル、HBTU=N-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)(ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチルメタンアンモニウムヘキサフルオロホスフェート N-オキシド、HOBt=1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、Pbf=2,2,4,6,7-ペンタメチルジヒドロベンゾフラン-5-スルホニル、Pmc=2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル、PyBop =ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリ(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、SPPS=固体相ペプチド合成、TBTU=N-[(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)(ジメチルアミノ)メチレン]-N-メチルメタンアンモニウムテトラフルオロボレート N-オキシド、tBu=tert-ブチル、TEA=トリエチルアミン、及びTrt=トリチル
【0026】
実施例1. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,11-diFmoc-サケカルシトニンの連続合成
構造:Fmoc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Fmoc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表1】

【0027】
下記の反応順序でペプチドを合成した。
反応順序:Nsc-Pro, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Ser(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Pro, Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-His(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Glu(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Nsc-Cys(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Nsc-Asn(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Cys(trt)
【0028】
2.0gのリンクアミド樹脂を50mlのペプチド反応容器に入れ、20mlのDCMを注ぎ30分間放置して樹脂が十分に膨脹するようにした後、溶液を濾去した。20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)を加え5分間反応させて(この過程を2回繰り返した)Fmocを除去し、20mlのDMFで5−7回洗浄した。残っていたピペリジンとジベンゾフルベンの除去をクロラニル試験(この試験はNsc又はFmoc関連付加物及び残余ピペリジンが完全に除去されているかどうかを調べるために使用することができる。試験溶液は、トルエン中のクロラニル飽和溶液1滴をアセトン約1mlに加えて調製する。DMF洗浄液は洗浄溶液1滴をクロラニル試験溶液に加えることで試験することができる。青又は紫色が第二アミンの存在に対する陽性呈色である)で確認した。
【0029】
カルシトニンのC-末端アミノ酸であるProを導入するために、Nsc-Pro-OH(1.5eq)、Bop(1.5eq)、HOBt(1.5eq)及びDIPEA(1.5eq)を、4mlのDMFと8mlのDCMに溶かして樹脂が入っている上記反応器に入れた。反応溶液を更に8mlのDCMで洗浄して反応器に入れ、DIPEA(1.5eq)を更に加えた後、35℃から40℃の温度で適当な混合機を用いて攪拌しながら1時間反応させた。反応の終点をカイザー試験法で調べ(定性ニンヒドリン試験にて反応の終結を確認するために、樹脂サンプル2-10mgを取りエタノールで洗浄した。80%のフェノール溶液2滴、ピリジン中0.02mMのKCN2滴、及びエタノール中5%のニンヒドリン2滴をサンプルに加える。サンプルを約120℃で4-6分間ヒートブロック中に置く。青又は紫色が遊離アミンの存在の陽性呈色である)、反応が完了していなければ反応溶液を更に30分から1時間反応させた。反応完了時に、反応溶液をろ過して除去し、3x20mlのDMFで洗浄し、2x20mlの脱遮蔽溶液で各5分ずつ反応させた後、DMFで十分に洗浄した。
【0030】
アミノ酸の連続的導入は上記の方法に従って行い、反応はカルシトニンのC-末端のPro32から開始して順に進行し、保護されたアミノ酸の導入後に脱遮蔽溶液を利用してNsc又はFmocの除去を繰り返し行った。Nsc-Cys(Trt)を導入した後、ペプチドを3x20mlの2%ヒドラジン溶液で10-30分間反応させ、ivDde及びNscを除去した後、樹脂をろ過し4x20mlのDMF、4x20mlのDCM及び4x20mlのDMFで十分に洗浄した。反応器にFmoc-OSu(5.0eq)をDMF 20mlに溶かし入れ、1から2時間十分に混合して1,11位のアミンにそれぞれFmocを導入させた。反応の進行はカイザー試験で確認し、完了したと判断した時点で反応溶液を濾去し、4x20mlのDMF及び4x20mlのDCMで十分に洗浄し、窒素気流下で乾燥させて8.5gのペプチド付着樹脂を得た。
【0031】
1,7ジスルフィド結合は、I2酸化により形成することができた。上記のように得られたペプチド樹脂をろ過用150mlペプチド反応器に入れ、50mlのDMFを注ぎ30分間平衡を保つようにした。反応器に更に50mlのDMF中0.1MのI2を入れ、2時間十分に攪拌し酸化反応を進行させた。反応の進行はHPLCでモニターし、反応が完了した時点で、5x50mlのDMF及び5x50mlのアスコルビン酸で各5分間ろ過洗浄を行い残っていたI2を完全に除去した。更に、3x20mlのDMF、3x20mlのDCM、3x20mlのMeOH、及び3x20mlのヘプタンでペプチド樹脂を洗浄し、窒素で乾燥し、6時間減圧乾燥して8.1gの乾燥ペプチド付着樹脂を得た。
【0032】
上記の乾燥樹脂を80mlの開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で常温で1.5時間反応させた後、樹脂を除去し、得られたペプチドをTFA約10mlで洗浄した。洗浄液とろ過液を集めて500mlのエーテルに加え、生成された浮遊物を遠心分離で沈殿させ、更に3x200mlのエーテルで遠心分離して洗浄した。沈殿物を窒素で乾燥して4.8gの乾燥ペプチド混合物を得て、この混合物を分取HPLCで精製し、凍結乾燥にかけて896mgの1,11-diFmoc-サケカルシトニンを得た。本実施例で製造されたペプチドの標的部位はLys18のアミンである。
【0033】
[分取HPLCの精製条件]
ヴィダックプロテインアンドペプチド-C18、20x250mm、5μ、300A
TFA緩衝AcCN及び水による勾配
[ペプチド分析条件1]
機器:ウォーターズ アライアンス
流速:1.0ml/分
勾配:0-45分、B 0-100% (A : 水中0.1%のTFA, B : AcCN中0.1%のTFA)
カラム:Nova-Pak-C18、3.9mmx150mm、5μ、100A
[質量分析条件]
機器:ボイジャー DE-STR Maldi Tof Mass(Perseptive)
運転モード:レフレクター
抽出モード:ゆっくり
極性:陽性
マトリックス:α-シアノ-4-ヒドロキシ桂皮酸
Maldi Tof;3877.43, (M+1=3877.44) HPLC;98%回収(ペプチド分析条件1)
【0034】
実施例2. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,18-diFmoc-サケカルシトニンの連続合成
構造:Fmoc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys(Fmoc)-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2(1,7-ジスルフィド結合)
【表2】

【0035】
反応順序:Nsc-Pro, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Ser(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Pro, Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-His(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Glu(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Nsc-Cys(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Nsc-Asn(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Cys(trt).
【0036】
反応は上記の表とアミノ酸反応順序に従って実施例1に述べたように行った。ivDdeの除去とdiFmocの導入、及びI2酸化過程を行った時点で、ペプチド付着樹脂は8.2gで、実施例1に開示したようにTFA-開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で処理し、分取HPLCで精製して892mgの1,18-diFmoc-サケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3877.33, (M+1=3877.44) HPLC; 97%回収(ペプチド分析条件1)
【0037】
実施例3. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する11,18-diFmoc-サケカルシトニンの連続合成
構造:H-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Fmoc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys(Fmoc)-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表3】

【0038】
反応順序:Nsc-Pro, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Ser(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Pro, Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-His(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Glu(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Nsc-Cys(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Nsc-Asn(Trt), Nsc-Ser(tBu), Boc-Cys(trt).
反応は上記の表とアミノ酸反応順序に従って実施例1に述べたように行った。ivDde除去とdiFmoc導入、及びI2酸化過程を行った時点で、ペプチド付着樹脂は8.2gで、実施例1に開示したようにTFA-開裂溶液(2.5:2.5:95 =TIS:水:TFA)で処理し、分取HPLCで精製して890mgの11,18-diFmoc-サケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3877.23, (M+1=3877.44) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0039】
実施例4. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,12-diFmoc-GRF(1-29)の連続合成
構造:Fmoc-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Fmoc)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表4】

【0040】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Nsc-Tyr(tBu)
【0041】
2.0gのリンクアミド樹脂を50mlのペプチド反応容器に入れ、20mlのDCMを注ぎ30分間放置して樹脂が十分に膨脹するようにした後、溶液を濾去した。20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)を加え5分間反応させて(この過程を2回繰り返した)Fmocを除去し、20mlのDMFで5‐7回洗浄した。残っていたピペリジンとジベンゾフルベンの除去をクロラニル試験で確認した。
【0042】
GRF(1-29)のC-末端アミノ酸であるArgを導入するために、Nsc-Arg(Pbf)-OH(1.5eq)、Bop(1.5eq)、HOBt(1.5eq)及びDIPEA(1.5eq)を、2mlのDMFと8mlのDCMに溶かして樹脂が入っている上記反応器に入れた。反応溶液を更に8mlのDCMで洗浄して反応器に注ぎ、DIPEA(1.5eq)を更に加えた後、35℃から40℃の温度で適当な混合機を用いて攪拌しながら1時間反応させた。反応の終点をカイザー試験法で調べ、反応が完了していなければ反応溶液を更に30分から1時間反応させた。反応完了時に、反応溶液を濾過して除去し、3x20mlのDMFで洗浄し、2x20mlの脱遮蔽溶液で各5分ずつ反応させた後、DMFで十分に洗浄した。
【0043】
アミノ酸の連続的導入は上記のように行い、反応はGRF(1-29)のC-末端のArgから開始して順に進行し、保護されたアミノ酸の導入後に脱遮蔽溶液を利用してNsc又はFmocの除去を繰り返し行った。Nsc-Tyr(tBu)を導入した後、3x20mlの2%ヒドラジン溶液でそれぞれ10-30分間反応させてivDde及びNscを除去した後、樹脂をろ過し4x20mlのDMF、4x20mlのDCM、4x20mlのDMFで十分に洗浄した。反応器にFmoc-OSu(5.0eq)をDMF20mlに溶かして入れ、1から2時間十分に混合して、1,12位のアミンにそれぞれFmocを導入させた。反応の進行はカイザー試験で確認し、反応が完了したと判断した時点で反応溶液を濾去し、4x20mlのDMF及び4x20mlのDCMで十分に洗浄し、窒素気流下で乾燥させて8.5gのペプチド付着樹脂を得た。
上記の乾燥樹脂1gを取り10mlの開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で常温で1.5時間反応させ、更にTMS-Br及びEDTと15分間反応させた。樹脂を濾去し、その樹脂をTFA2mlで洗浄した。洗浄液とろ過液を集めて100mlのエーテルに加え、生成された浮遊物を遠心分離で沈殿させ、更に3x50mlのエーテルで遠心分離して洗浄した。沈殿物を窒素で乾燥して690mgの乾燥ペプチド混合物を得て、この混合物を分取HPLCで精製し、凍結乾燥にかけて116mgの1,12-diFmoc-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3803.39, (M+1=3803.46) HPLC; 96%回収(ペプチド分析条件1)
【0044】
実施例5. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1, 21-diFmoc-GRF(1-29)の連続合成
構造:Fmoc-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys(Fmoc)-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表5】

【0045】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Nsc-Tyr(tBu)
【0046】
反応は上記の表に示された試薬と溶媒を用いて実施例4に述べたように行った。DiFmocの導入は、実施例4と同様の方法によりDMF中2%のヒドラジンでivDdeを除去した後、Fmoc-OSu(20mlのDMF中3.37g)を使用して行うことができ、反応後、乾燥樹脂7.9gが得られた。このように得られたペプチド樹脂1gを取り10mlの開裂溶液 (2.5:2.5:95=TIS/水/TFA)と混合して1.5時間反応させ、反応溶液に更にEDT(0.130ml)及びTMS-Br(0.157ml)を加え、15分間更に攪拌した。反応溶液を実施例4と同様にエーテルで処理してペプチド混合物710mgを得て、分取HPLC精製過程を経て86mgの1,21-diFmoc-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3803.59, (M+1=3803.46) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0047】
実施例6. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する12,21-diFmoc-GRF(1-29)の連続合成
構造:H-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Fmoc)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys(Fmoc)-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表6】

【0048】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Boc-Tyr(tBu)
【0049】
反応は上記の表に示された試薬と溶媒を用いて実施例4に述べたように行った。DiFmocの導入は、実施例4と同様の方法によりDMF中2%のヒドラジンでivDdeを除去した後、Fmoc-OSu(20mlのDMF中3.37g)を使用して行うことができ、反応後、乾燥樹脂8.4gが得られた。このように得られたペプチド樹脂1gを取り10mlの開裂溶液 (2.5:2.5:95=TIS/水/TFA)と混合して1.5時間反応させ、反応溶液に更にEDT(0.130ml)及びTMS-Br(0.157ml)を加え、15分間更に攪拌した。反応溶液を実施例4と同様にエーテルで処理してペプチド混合物710mgを得て、分取HPLC精製過程を経て86mgの12,21-diFmoc GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3803.39, (M+1=3803.46) HPLC; 96%回収(ペプチド分析条件1)
【0050】
実施例7. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,12-diNsc-GRF(1-29)の連続合成
構造:Nsc-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Nsc)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表7】

【0051】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc) Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Nsc-Tyr(tBu)
【0052】
合成は上記の表に示された試薬と溶媒を用いて実施例4に述べたように行った。DiNscの導入は、実施例4と同様の方法によりDMF中2%のヒドラジンでivDdeを除去した後、Nsc-OSu(20mlのDMF中3.72g)を使用して行うことができ、反応後、乾燥樹脂8.1gが得られた。このように得られたペプチド樹脂1gを取り10mlの開裂溶液 (2.5:2.5:95=TIS/水/TFA)と混合して1.5時間反応させ、反応溶液に更にEDT(0.130ml)及びTMS-Br(0.157ml)を加え、15分間更に攪拌した。反応溶液を実施例4と同様にエーテルで処理してペプチド混合物700mgを得て、分取HPLC精製過程を経て136mgの1,21-diNsc GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3874.46 (M+1=3874.39) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0053】
実施例8. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1, 12-di(ivDde)-GRF(1-29)の連続合成
構造:ivDde-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(ivDde)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表8】

【0054】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Nsc-Tyr(tBu)
【0055】
合成は上記の表に示された試薬と溶媒を用いて実施例4に述べたように行った。Nsc-Tyr(tBu)との反応とそれに続くNscの除去の後、N-末端へのivDdeの導入を2-イソバレリルジメドン(20mlのDMF中1.0g)と12時間反応させることにより行うことができた。この反応の結果、乾燥樹脂8.1gが得られた。このペプチド樹脂1gを取り10mlの開裂溶液 (2.5:2.5:95=TIS/水/TFA)と混合して1.5時間反応させ、反応溶液に更にEDT(0.130ml)及びTMS-Br(0.157ml)を加え、15分間更に攪拌した。反応溶液を実施例4と同様にエーテルで処理してペプチド混合物680mgを得て、分取HPLC精製過程を経て97mgの1,12-di(ivDde)-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3771.39, (M+1=3771.55) HPLC; 94 %回収(ペプチド分析条件1)
【0056】
実施例9. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1, 12-diBoc-GRF(1-29)の連続合成
実施例9-1. 21-Nsc-GRF(1-29)の合成
構造:H-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys(Nsc)-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表9】

【0057】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Boc-Tyr(tBu)
【0058】
合成は上記の表に示された試薬と溶媒を用いて実施例4に述べたように行った。Nscの導入は、実施例4と同様の方法によりDMF中2%のヒドラジンでivDdeを除去した後、Nsc-OSu(20mlのDMF中3.72g)を使用して行うことができ、反応後、乾燥樹脂7.5gが得られた。このように得られたペプチド樹脂を80mlの開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS/水/TFA)と1.5時間反応させ、反応溶液に更にEDT(1.26ml)及びTMS-Br(1.04ml)を加え、15分間更に攪拌した。反応溶液を実施例4と同様にエーテルで処理してペプチド混合物4.1 gを得て、分取HPLC精製過程を経て520mgの21-Nsc-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3616.39, (M+1=3616.17) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0059】
実施例9-2. 1,12-diBoc-GRF(1-29)の合成
構造:Boc-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Boc)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表10】

【0060】
合成した21-Nsc-GRF(1-29)360mgとDMF 5mlを、マグネチックスターラーを入れた25mlのシングルネック反応器に入れ溶解した。反応物を窒素ガスを用いて空気が遮断された環境下に置かれるようにし、氷水槽を利用して温度を0から5℃に下げた。反応溶液にBoc2O (1g/5ml DMF)を0から5℃で滴下混合し、約10分間その温度を維持した後、氷水槽を取り除いて温度が徐々に常温になるようにした。3から4時間攪拌を維持し、1時間毎にサンプルを採取して反応の進行をHPLC(ペプチド分析条件1)でモニターした。反応が完了した時点で、反応溶液に5%のNa2CO3 10mlを沈殿を起こさないように攪拌しながら滴下混合した。約30分間反応を行わせ、Nsc除去の進行はHPLCで確認した。反応溶液を1/4に濃縮し、150mlのヘキサンで洗浄して粘着性のオイルを得た。このオイルに20mlのMTBEを注ぎ、12時間放置して沈殿させ、この沈殿を遠心分離機で分離した。2x20mlのMTBEで更に洗浄し、窒素ガスで乾燥して330mgの1,12-diBoc-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3559.21, (M+1=3559.20) HPLC; 92%回収(ペプチド分析条件1)
【0061】
実施例10. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてDdeを使用する1, 12-di(Dde)-GRF(1-29)の連続合成
構造:Dde-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Dde)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表11】

【0062】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(Dde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Nsc-Tyr(tBu)
【0063】
合成は上記の表に示された試薬と溶媒を用いて実施例4に述べたように行った。Nsc-Tyr(tBu)との反応とNscの除去の後、N-末端へのDdeの導入を2-アセチルジメドン(20mlのDMF中1.0g)と6時間反応させることにより行うことができた。反応後、乾燥樹脂8.8gが得られた。このペプチド樹脂1gを取り10mlの開裂溶液 (2.5:2.5:95=TIS/水/TFA)と1.5時間反応させ、反応溶液に更にEDT(0.130ml)及びTMS-Br(0.157ml)を加え、15分間更に攪拌した。反応溶液を実施例4と同様にエーテルで処理してペプチド混合物590mgを得て、分取HPLC精製過程を経て104mgの1,12-diDde-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3687.69, (M+1=3687.55) HPLC; 95%回収(ペプチド分析条件1)
【0064】
実施例11. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてMttを使用する1,11-diFmoc-サケカルシトニンの連続合成
構造:Fmoc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Fmoc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2(1,7-ジスルフィド結合)
【表12】

【0065】
反応順序:Nsc-Pro, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Ser(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Pro, Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-His(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Glu(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(Mtt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Nsc-Cys(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Nsc-Asn(Trt), Nsc-Ser(tBu), Fmoc-Cys(trt)
【0066】
2.0gのリンクアミド樹脂を50mlのペプチド反応容器に入れ、20mlのDCMを注ぎ30分間放置して樹脂が十分に膨脹するようにした後、溶液を濾去した。2x20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)とそれぞれ5分間反応させてFmocを除去し、20mlのDMFで5-7回洗浄した。残っていたピペリジンとジベンゾフルベンの除去をクロラニル試験で確認した。
カルシトニンのC-末端アミノ酸であるProを導入するために、Nsc-Pro-OH(1.5eq)、Bop(1.5eq)、HOBt(1.5eq)及びDIPEA(1.5eq)を4mlのDMFと8mlのDCMに溶かして樹脂が入っている上記反応器に入れた。反応溶液を更に8mlのDCMで洗浄して反応器に入れ、DIPEA(1.5eq)を更に加えた後、35℃から40℃の温度で適当な混合機で約1時間十分に攪拌しながら反応させた。反応の終点をカイザー試験で調べ、反応が完了していなければ反応溶液を更に30分から1時間反応させた。反応完了時に、反応溶液を濾過して除去し、3x20mlのDMFで洗浄し、2x20mlの脱遮蔽溶液で各5分ずつ反応させた後、DMFで十分に洗浄した。
【0067】
アミノ酸の連続的導入は上記の方法に従って行い、反応はカルシトニンのC-末端のPro32から開始して順に進行し、順序に従ってカップリング反応及び脱遮蔽反応を繰り返した。上記で説明したような繰り返し反応であるカップリング反応と脱遮蔽反応は、自動装置を利用して行うこともできる。最後に、N-末端にFmoc-Cys(Trt)を導入した後、樹脂をDCMで洗浄した。樹脂を3x20mlの1% TFA溶液とそれぞれ10から30分間反応させて11位のMttを除去した。Mttの除去は、反応溶液のUV及びTFA蒸気に対する反応性をブランクと比較することに基づくTLC分析により確認した。反応完了時に樹脂を濾取し、4x20mlのDMF、4x20mlのDCM及び4x20mlのDMFで十分に洗浄した。反応器にFmoc-OSu(5.0eq)をDMF 20mlに溶かして入れ、1から2時間十分に混合して11位のLysにFmocを導入させた。この反応の進行はカイザー試験で確認し、完了したと判断した時点で反応溶液を濾去し、4x20mlのDMF及び4x20mlのDCMで十分に洗浄し、窒素気流下で乾燥させて8.5gのペプチド付着樹脂を得た。
【0068】
1,7ジスルフィド結合は、I2酸化により形成することができた。上記のように得られたペプチド樹脂をろ過用150mlペプチド反応器に入れ、50mlのDMFを注ぎ30分間平衡を保つようにした。反応器に更に50mlのDMF中0.1MのI2を入れ、2時間十分に混合して酸化反応を進行させた。反応の進行はHPLCでモニターし、反応が完了した時点で、5x50mlのDMF及び5x50mlのアスコルビン酸で各5分間ろ過洗浄を行い残っていたI2を完全に除去した。更に、得られた生成物を3x20mlのDMF、3x20mlのDCM、3x20mlのMeOH及び3x20mlのヘプタンで洗浄し、窒素下で乾燥させ、6時間減圧乾燥して8.1gの乾燥ペプチド付着樹脂を得た。
【0069】
上記の乾燥樹脂を80mlの開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で常温で1.5時間反応させた後、樹脂を除去し約10mlのTFAで洗浄した。洗浄液とろ過液を集めて500mlのエーテルに加え、生成された沈殿物を遠心分離で沈殿させ、更に3x200mlのエーテルで遠心分離して洗浄した。沈殿物を窒素で乾燥して4.8gの乾燥ペプチド混合物を得て、この混合物を分取HPLCで精製し、凍結乾燥にかけて896mgの1,11-diFmoc-サケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3877.43, (M+1=3877.44) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0070】
実施例12. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてMttを使用する1,12-diFmoc-GRF(1-29)の連続合成
構造:Fmoc-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Fmoc)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表13】

【0071】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt), Nsc-Gly, Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(Mtt), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Fmoc-Tyr(tBu)
【0072】
2gのリンクアミド樹脂を50mlのペプチド反応容器に入れ、20mlのDCMを注ぎ30分間放置して樹脂が十分に膨脹するようにした後、溶液を濾去した。2x20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)で各5分ずつ反応させてFmocを除去し、20mlのDMFで5-7回洗浄した。残っていたピペリジン及びジベンゾフルベンの除去をクロラニル試験で確認した。GRF(1-29)のC-末端アミノ酸であるArgを導入するために、Nsc-Arg(Pbf)-OH(1.5eq)、Bop(1.5eq)、HOBt(1.5eq)及びDIPEA(1.5eq)を、4mlのDMFと8mlのDCMに溶かして樹脂が入っている上記反応器に入れた。反応溶液を更に8mlのDCMで洗浄して反応器に入れ、DIPEA(1.5eq)を更に加えた後、35℃から40℃の温度で適当な混合機を用いて十分に攪拌しながら約1時間反応させた。反応の終点をカイザー試験で調べ、反応が完了していなければ反応溶液を更に30分から1時間更に反応させた。反応完了時に、反応溶液を濾過して除去し、3x20mlのDMFで洗浄し、2x20mlの脱遮蔽溶液で各5分ずつ反応させた後、DMFで十分に洗浄した。
【0073】
アミノ酸の連続的導入は上記の方法に従って行い、反応はGRF(1-29)のC末端のArgから開始して順に進行し、順序に従ってカップリング反応及び脱遮蔽反応を繰り返した。上記で説明したような繰り返し反応であるカップリング反応と脱遮蔽反応は、自動装置を利用して行うこともできる。N-末端にFmoc-Tyr(tBu)を導入した後、樹脂をDCMで洗浄し、20mlのDCMに約15分間浸けた。DCMを除去した後、樹脂に3x20mlの1%のTFA溶液と10から30分間それぞれ反応させて12位のMttを除去した。Mttの除去は、反応溶液のUV及びTFA蒸気に対する反応性をブランクと比較することに基づくTLC分析により確認した。反応完了時に樹脂を濾取し、4x20mlのDMF、4x20mlのDCM及び4x20mlのDMFで十分に洗浄した。反応器にFmoc-OSu(5.0eq)をDMF 20mlに溶かして入れ、1から2時間十分に混合して12位のLysにFmocを導入させた。この反応の進行はカイザー試験で確認し、完了したと判断した時点で反応溶液を濾去し、4x20mlのDMF及び4x20mlのDCMで十分に洗浄し、窒素気流下で乾燥させて8.5gのペプチド付着樹脂を得た。
【0074】
上記の乾燥樹脂1gを取り、10mlの開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で常温で1.5時間反応させ、更にTMS-Br及びEDTと15分間更に反応させた。樹脂を濾去し、約2mlのTFAで洗浄した。洗浄液とろ過液を集めて100mlのエーテルに加え、生成された浮遊物を遠心分離で沈殿させ、更に3x50mlのエーテルで遠心分離して洗浄した。沈殿物を窒素で乾燥して690mgの乾燥ペプチド混合物を得て、この混合物を分取HPLCで精製し、凍結乾燥にかけて116mgの1,12-diFmoc-GRF(1-29)を得た。
Maldi Tof; 3803.39, (M+1=3803.46) HPLC; 96%回収(ペプチド分析条件1)
【0075】
実施例13. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,11-diFmoc-サケカルシトニンの断片縮合合成
実施例13-1. Nsc-Gly-2-ClTrt-樹脂の合成
【表14】

【0076】
10gの2-CLTR樹脂を250mlのペプチド反応器に入れ、100mlのDCMを注ぎ30分間放置して樹脂が十分に膨脹するようにした後、溶液を濾去した。Nsc-Gly-OH(3.32g)及びDIPEA(5.22ml)を100mlのDCMに溶かし、その溶液を樹脂が入っている上記反応器に入れ、常温で約1時間混合して反応を進行させた。反応溶液を濾去し、100mlのDCMで洗浄し80mlのDCM:MeOH:DIPEA(17:2:1)と20分間反応させ、樹脂の活性部分をMeOHで置換することにより除去した。4x100mlのDCMで洗浄した後、窒素下で乾燥させてNsc-Gly-CLTR13.1gを得た[UV-スペクトルアッセイ(機器:BioRad Smart Spec 3000、Nscの吸光係数 : 2000cm-1M-1 at 300nm ; 容量0.61mmol/g)]。
【0077】
実施例13-2. Nsc-AAsCt(1-10)-OHの合成
構造:Nsc-Cys1-Ser(tBu)-Asn(Trt)-Leu-Ser(tBu)-Thr(tBu)-Cys7-Val-Leu-Gly10-OH (1,7-ジスルフィド結合)
【表15】

【0078】
上記のように合成した8.2gのNsc-Gly-2-CLTR(容量0.61mmol/g)を200mlのペプチド反応器に入れ、DCM50mlを注ぎ30分間放置して反応混合物を平衡に到達させた。DCMを濾去し、2x50mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%DBU-20%ピペリジン)で各5分ずつ反応させた後、5x50mlのDMFで十分に洗浄した。ペプチドの配列に従って、上記の表に示す試薬を用いてC-末端から開始してカップリング反応及び脱遮蔽反応を実施例1に述べたように繰り返して行った。反応順序はLeu、Val、Cys(Trt)、Thr(tBu)、Ser(tBu)、Leu、Asn(Trt)、Ser(tBu)及びCys(Trt)の順であり、Nsc-Cys(Trt)-OHの縮合反応の後、次の反応のためにNscは除去しなかった。
【0079】
1,7ジスルフィド結合は、I2酸化により形成することができた。上記のように得られたペプチド樹脂をろ過用800mlペプチド反応器に入れ、250mlのDCMを注ぎ30分間平衡を保つようにした。更に250mlのDCM中0.1MのI2を反応器に加え、2時間十分に混合して酸化反応を進行させた。反応の進行はHPLC(ペプチド分析条件2)でモニターし、反応が完了した時点で、5x100mlのDMFで各10分ずつろ過洗浄を行い、残っていたI2を完全に除去した。更に反応生成物を3x100mlのDMF、3x100mlのDCM、3x100mlのMeOH、及び3x100mlのヘプタンで洗浄し、窒素ガスで乾燥し6時間減圧乾燥して16.9gの乾燥ペプチド付着樹脂を得た。
【0080】
ペプチドを温和な酸性条件下で保護基を維持したまま脱離させ、150mlのDCM中1%のTFAで2分間処理してろ過し、こうして得られた溶液を100mlのDCM中0.5%のTFAで1分間処理して、この溶液を消費したTFAと同量のピリジンにより直ちに中和した。この溶液を1/4の容量まで減圧濃縮した後、50mlのエタノールで処理し、再濃縮にかけて最終容積が約50mlになるようにした。100mlの水をこの溶液に加えて沈殿させ、沈殿物を遠心分離によって分離し、2x50mlの水で沈殿物を洗浄した。沈殿物を十分に減圧乾燥して、6.8gのNsc-AAsCt(1-10)-OH(93%のHPLC純度)を得た。
【0081】
[ペプチド分析条件2]
機器:ウォーターズ アライアンス
流速:1.0ml/分
勾配:0-50分、B 40-100% (A : 水中0.1%のTFA、B : AcCN中0.1%の TFA)
カラム:Nova-Pak-C18、3.9 mm x 150 mm、5μ、100 A
Maldi Tof; 1663.23, (M+1=1662.09) HPLC; 93%回収(ペプチド分析条件2)
【0082】
実施例13-3. 11-Nα-Fmoc-11-ivDde-18-Boc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂の合成
構造:Fmoc-Lys(ivDde)-Leu-Ser(tBu)-Gln(Trt)-Glu(tBu)-Leu-His(Trt)-Lys(Boc)-Leu-Gln(Trt)-Thr(tBu)-Tyr(tBu)-Pro-Arg(Pbf)-Thr(tBu)-Asn(Trt)-Thr(tBu)-Gly-Ser(tBu)-Gly-Thr(tBu)-Pro-リンクアミド樹脂
【表16】

【0083】
2.0gのリンクアミド樹脂をペプチド反応容器に入れ、20mlのDCMを注ぎ30分間放置して反応を平衡に到達させた。樹脂に付着したFmocの除去を、2x20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%DBU-20%ピペリジン)で各5分間反応させて行い、5x20mlのDMFで樹脂を十分に洗浄した。ペプチドの配列に従って、上記の表に示す試薬を用いてC-末端から開始して実施例1に述べたように縮合及び脱遮蔽反応を繰り返して行った。反応順序はPro、Thr(tBu)、Gly、Ser(tBu)、Gly、Thr(tBu)、Asn(Trt)、Thr(tBu)、Arg(Pbf)、Pro、Tyr(tBu)、Thr(tBu)、Gln(Trt)、Leu、Lys(Boc)、His(Trt)、Leu、Glu(tBu)、Gln(Trt)、Ser(tBu)、Leu及びLys(ivDde)の順であった。Fmoc-Lys(ivDde)-OHの縮合を行った後、Fmocは維持させたまま樹脂を4x20mlのDMF及び4x20mlのDCMで洗浄し、窒素下で乾燥させて6.5gのペプチド付着樹脂を得た(UV-スペクトルアッセイ;容量0.14mmol/g)。
【0084】
実施例13-4. Nsc-AAsCt(1-10)-OHとFmoc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂の縮合による1, 11-diFmoc-サケカルシトニンの合成
構造:Fmoc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Fmoc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表17】

【0085】
上記のように製造したFmoc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂3.85gをペプチド反応器に入れ、30mlのDCMで十分に膨脹させる。反応器中の溶液を除去し、2x20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%DBU-20%ピペリジン)で各5分ずつ処理してFmocを除去し、残留物の除去をクロラニル試験で確認しながら20mlのDMFで7-9回十分に洗浄した。
【0086】
上記で製造したペプチド断片Nsc-AAsCt(1-10)-OH 1.25gを4mlのDMFに溶かし、HOBt(0.108g)及びDIPEA(0.160ml)を入れ、反応溶液の温度を氷水槽を用いて0-5℃に下げた。窒素下で反応溶液にBop(0.332g)を入れ、温度を0-5℃に維持しながら10分間十分に混合した。反応溶液を上記樹脂が入れられたペプチド反応器に注ぎ、10分間攪拌混合し、DIPEA(0.100ml)を加えた。反応を常温で約12時間行い、反応の進行はカイザー試験及び分析用HPLC(ペプチド分析条件1)に基づいて調べた。反応完了時に、樹脂を3x20mlのDMFで洗浄し、2%のヒドラジン3x20mlで10-30分間処理して塩基−非安定性のNsc及びivDdeを除去した。ivDdeの除去は、処理された溶液と2%ヒドラジン溶液をTLCプレートにそれぞれスポットしUV吸光度を比較するTLC分析で確認した。除去完了時に、樹脂を4x20mlのDMF、4x20mlのDCM、3x20mlのDMFでろ過洗浄し、Fmoc-OSu(20mlのDMF中3.37g)を加えて2時間反応させてdiFmocを導入した。Fmocの導入は定性カイザー試験法で確認し、樹脂を4x20mlのDMFと4x20mlのDCMで洗浄して、窒素下で乾燥して4.3gのペプチド付着樹脂を得た。
【0087】
上記で得られた樹脂を40mlのTFA-開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で常温で約2時間反応させて得た反応溶液をろ過し、冷たい300mlのエーテルに加えてペプチド沈殿を誘導した。沈殿を遠心分離し、更に2x100mlのエーテルで洗浄して乾燥させて、ペプチド混合物として2.6gを得た。このペプチド混合物を分取HPLCで精製し、凍結乾燥機で濃縮乾燥して1036mgの1,11-diFmocサケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3877.41, (M+1=3877.44) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0088】
実施例14. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,11-diNsc-サケカルシトニンの断片縮合合成
構造:Nsc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Nsc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2(1,7-ジスルフィド結合)
【表18】

【0089】
実施例13で製造したFmoc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂3.57gと、 Nsc-AAsCt(1-10)-OH及び上記の表に示した溶媒と試薬を使用して実施例13と同様の方法に従って断片縮合を行い、Nsc-Osu (20mlのDMF中3.72g)と反応させてdiNscを導入し、ペプチド付着樹脂4.8gを得た。このペプチド付着樹脂及びTFA開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)から得たペプチド混合物を分離精製して1228mgの1,11-diNscサケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3947.40, (M+1=3947.38) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0090】
実施例15. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,18-diFmoc-サケカルシトニンの断片縮合合成
実施例15-1. 11-Nα-Nsc-11-Boc-18-ivDde-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂の合成
構造:Nsc-Lys(Boc)-Leu-Ser(tBu)-Gln(Trt)-Glu(tBu)-Leu-His(Trt)-Lys(ivDde)-Leu-Gln(Trt)-Thr(tBu)-Tyr(tBu)-Pro-Arg(Pbf)-Thr(tBu)-Asn(Trt)-Thr(tBu)-Gly-Ser(tBu)-Gly-Thr(tBu)-Pro-リンクアミド樹脂
【表19】

【0091】
反応順序:Nsc-Pro, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Ser(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Pro, Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-His(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Glu(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc)
実施例13のFmoc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂の合成と同様の方法に従って合成を行い、その結果、6.8gの十分に乾燥された樹脂を得て、UV-スペクトル分析により樹脂のペプチド容量が0.13mmol/gと測定された(UV-スペクトルアッセイ;容量0.13mmol/g)。
【0092】
実施例15-2. Nsc-AAsCt(1-10)-OHのNsc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂との縮合に基づく1,18-diFmoc-サケカルシトニンの合成
構造:Fmoc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys(Fmoc)-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表20】

【0093】
上記で製造したNsc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂3.85gと実施例13で合成したNsc-AAsCt(1-10)-OH 1.2g及び上記の表に示された溶媒と試薬を用いて実施例13と同様の方法に従って断片縮合を行い、Fmoc-Osuの使用によりdiFmocを導入してペプチド付着樹脂4.2gを得た。このペプチド付着樹脂をTFA開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)と反応させることにより得たペプチド混合物を分離精製して949mgの1,18-diFmocサケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3877.41, (M+1=3877.44) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0094】
実施例16. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1,18-diNsc-サケカルシトニンの断片縮合合成
構造:Nsc-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys(Nsc)-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表21】

【0095】
実施例15で製造したNsc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂 3.85gと実施例13で製造したNsc-AAsCt(1-10)-OH 1.2g及び上記の表に示された溶媒と試薬を用いて実施例13と同様の方法に従って断片縮合を行い、Nsc-OSu(20mlのDMF中3.72g)を使用してdiNscを導入しペプチド付着樹脂4.2gを得た。このペプチド付着樹脂をTFA開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)と反応させることにより得たペプチド混合物を分離精製して941mgの1,18-diNscサケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3947.41, (M+1=3947.38) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0096】
実施例17. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する11,18-diFmoc-サケカルシトニンの断片縮合合成
実施例17-1. 11-Nα-Fmoc-11, 18-di(ivDde)-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂の合成
構造:Fmoc-Lys(ivDde)-Leu-Ser(tBu)-Gln(Trt)-Glu(tBu)-Leu-His(Trt)-Lys(ivDde)-Leu-Gln(Trt)-Thr(tBu)-Tyr(tBu)-Pro-Arg(Pbf)-Thr(tBu)-Asn(Trt)-Thr(tBu)-Gly-Ser(tBu)-Gly-Thr(tBu)-Pro-リンクアミド樹脂
【表22】

【0097】
反応順序:Nsc-Pro, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Ser(tBu), Nsc-Gly, Nsc-Thr(tBu), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Pro, Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-His(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Glu(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Ser(tBu), Nsc-Leu, Fmoc-Lys(ivDde)
実施例13と同様の方法に従って合成を行い、その結果、6.1gの十分に乾燥した樹脂を得て、UVスペクトル分析により樹脂のペプチド容量は0.15mmol/gと測定された(UVスペクトルアッセイ;容量0.15mmol/g)。
【0098】
実施例17-2. Nsc-AAsCt(1-10)-OHのNsc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂との縮合による11,18-diFmoc-サケカルシトニンの合成
構造:H-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Fmoc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys(Fmoc)-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表23】

【0099】
先に合成したFmoc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂3.33gと実施例13で製造したNsc-AAsCt(1-10)-OH 1.2g及び上の表に示された溶媒と試薬を用いて実施例13と同様の方法に従って断片縮合を行った。縮合後、脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)2x20mlと各5分ずつ反応させてNscの除去を行い、4x20mlのDMFで洗浄して、過剰量のBoc2O(20mlのDMF中0.55g)と反応させてN-末端をBocで保護し、5x20mlのDMFで十分に洗浄した。その後、この反応生成物を2%のヒドラジン3x20mlで10から30分間処理して塩基−非安定性のivDdeを除去し、ivDde除去は反応溶液と2%ヒドラジンの間のUV吸光度の比較に基づくTLC分析により確認した。ivDdeの除去が完了した時点で、樹脂を4x20mlのDMF、4x20mlのDCM、4x20mlのDMFでろ過洗浄し、Fmoc-OSu(20mlのDMF中3.37g)を加えて2時間反応させdiFmocを導入した。Fmocの導入は定性カイザー試験で確認し、樹脂を4x20mlのDMFと4x20mlのDCMで洗浄して、窒素下で乾燥させて4.5gのペプチド付着樹脂を得た。
【0100】
上記で得られた樹脂を40mlのTFA-開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)で常温で約2時間反応させて得た反応溶液をろ過し、冷たい300mlのエーテルに加えてペプチド沈殿を誘導した。沈殿を遠心分離し、更に2x100mlのエーテルで洗浄して乾燥させて、ペプチド混合物として2.6gを得た。そのペプチド混合物を分取HPLCで精製し、濃縮して凍結乾燥にかけて769mgの11,18-diFmocサケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3877.41, (M+1=3877.44) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0101】
実施例18. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する11,18-diNsc-サケカルシトニンの断片縮合合成
構造:H-Cys1-Ser-Asn-Leu-Ser-Thr-Cys7-Val-Leu-Gly10-Lys(Nsc)-Leu-Ser-Gln-Glu-Leu-His-Lys(Nsc)-Leu-Gln20-Thr-Tyr-Pro-Arg-Thr-Asn-Thr-Gly-Ser-Gly30-Thr-Pro-NH2 (1,7-ジスルフィド結合)
【表24】

【0102】
実施例17で合成したFmoc-AAsCt(11-32)-リンクアミド樹脂3.33gと実施例13で合成したNsc-AAsCt(1-10)-OH 1.2g及び上記の表に示された溶媒と試薬を用いて実施例13と同様の方法に従って断片縮合を行い、実施例17に述べたようにBoc(20mlのDMF中0.55g)を導入して、ivDdeを除去し、Nsc-OSu(20mlのDMF中3.72g)を用いてdiNscを導入してペプチド付着樹脂4.3gを得た。このペプチド付着樹脂をTFA開裂溶液と反応させることにより得たペプチド混合物を分離精製して942mgの11,18-diNscサケカルシトニンを得た。
Maldi Tof; 3947.39, (M+1=3947.38) HPLC; 98%回収(ペプチド分析条件1)
【0103】
実施例19. 非標的部位の枝分れアミンの保護基としてivDdeを使用する1, 12-diFmoc-GRF(1-29)の断片縮合合成
実施例19-1. Nsc-AAGRF(1-15)-OHの合成
構造:Nsc-Tyr(tBu)-Ala-Asp(tBu)-Ala-Ile-Phe-Thr(tBu)-Asn(Trt)-Ser(Trt)-Tyr10(tBu)-Arg(Pbf)-Lys(ivDde)-Val-Leu-Gly-OH
【表25】

【0104】
反応順序:Nsc-Leu, Nsc-Val, Fmoc-Lys(ivDde), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Tyr(tBu), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Asn(Trt), Nsc-Thr(tBu), Nsc-Phe, Nsc-Ile, Nsc-Ala, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Ala, Nsc-Tyr(tBu)
実施例13のように合成したNsc-Gly-2-CLTRを200mlのペプチド反応器に入れ、50mlのDCMを注いで樹脂が十分に膨脹するように放置した。DCMをろ過して除去し、2x50mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)で各5分間処理してNscを除去した。その後、得られた混合物を次の反応のためにDMFで5-7回十分に洗浄した。カップリング反応は、上に示した反応順序に従って、Nsc又はFmocで保護されたアミノ酸(1.5eq)、HOBt(1.5q)、Bop(1.5eq)及びDIPEA(3.0eq)を使用して実施例1で述べたように行った。反応はカイザー試験で確認し、洗浄溶液中のアミンの存在をクロラニル試験で確認した。
【0105】
こうして得られたペプチド付着樹脂を、他の保護基は維持しながらペプチドを2-CTRL樹脂から分離することができる条件、すなわち、100mlのDCM:TFE:AcOH(8:1:1)で3時間処理した後、反応溶液をろ過して分離し、樹脂を2x100mlのDCMで洗浄した。反応溶液と洗浄液を集めて1/4容量に濃縮し、100mlのエタノールと100mlの水で希釈して冷蔵庫内に12時間放置した。こうして形成された固体をろ過し、乾燥して12.6gのNsc-AAGRF(1-15)-OHを得た。
Maldi Tof; 3144.09, (M+1=3143.95) HPLC; 92%回収(ペプチド分析条件2)
【0106】
実施例19-2. Nsc-AAGRF(16-29)-リンクアミド樹脂の合成
構造:Nsc-Gln(Trt)-Leu-Ser(Trt)-Ala-Arg(Pbf)-Lys(Boc)-Leu-Leu-Gln(Trt)-Asp(tBu)-Ile-Met-Ser(Trt)-Arg(Pbf)-リンクアミド樹脂
【表26】

【0107】
反応順序:Nsc-Arg(pbf), Nsc-Ser(Trt), Nsc-Met, Nsc-Ile, Nsc-Asp(tBu), Nsc-Gln(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Leu, Nsc-Lys(Boc), Nsc-Arg(Pbf), Nsc-Ala, Nsc-Ser(Trt), Nsc-Leu, Nsc-Gln(Trt)
リンクアミド樹脂2.0g及び上記の表に示された試薬と溶媒を用いて上に示した反応順序に従って、実施例1で述べたようにカップリング反応と脱遮蔽反応を行った。カップリング反応はカイザー試験で確認し、洗浄液中に残存する副反応物の除去はクロラニル試験により確認した。最終的に得られたペプチド付着樹脂は6.5gで、UVアッセイに基づき反応容量は0.12mmol/gと測定された。
【0108】
実施例19-3. Nsc-AAGRF(1-15)-OHのNsc-AAGRF(16-29)-リンクアミド樹脂との縮合による1,12-diFmoc-GRF(1-29)の合成
構造:Fmoc-Tyr-Ala-Asp-Ala-Ile-Phe-Thr-Asn-Ser-Tyr10-Arg-Lys(Fmoc)-Val-Leu-Gly-Gln-Leu-Ser-Ala-Arg20-Lys-Leu-Leu-Gln-Asp-Ile-Met-Ser-Arg-NH2
【表27】

【0109】
上記のように合成したNsc-AAGRF(16-29)-リンクアミド樹脂4.17gを適当なペプチド反応器に入れた。反応器に30mlのDCMを注いで樹脂を十分に膨脹させ、溶液を濾去し、2x20mlの脱遮蔽溶液(DMF中1%のDBU-20%のピペリジン)で各5分間処理してNscを除去した。樹脂をDMFで十分に洗浄し、先に製造した 2.36gのNsc-AAGRF(1-15)-OHを10mlのDMSOに溶かして反応器に入れた。反応溶液に上記の表に示したHOBt、 DIPEA、 Bop等を加え、12時間反応させた。反応の進行はHPLCで2時間毎に確認し、完了が確認された時点で、反応溶液をDMFで十分に洗浄した。
【0110】
断片縮合が完了した後、樹脂を3x20mlのDMF中2%のヒドラジンで各20分間処理してivDde及びNscを除去した。ivDdeの除去は、実施例4で述べたようにTLCにより確認し、得られた生成物を洗浄溶媒で十分に洗浄した。Fmoc-OSu(20mlのDMF中3.37g)で2時間処理することにより、1,12位にFmocを導入し、樹脂を十分に洗浄して減圧乾燥にかけて4.3gのペプチド付着樹脂を得た。
【0111】
上記の乾燥樹脂1gを取り、10mlの開裂溶液(2.5:2.5:95=TIS:水:TFA)と常温で約90分間反応させ、TMS-Br及びEDTと更に15分間反応させた。樹脂を濾去し、その樹脂を2ml TFAで洗浄した。洗浄液とろ過液を集めて100mlのエーテルに加え、形成された沈殿を遠心分離にかけて沈殿させ、更に3x50mlのエーテルで遠心分離して洗浄した。沈殿物を窒素で乾燥して654mgの乾燥ペプチド混合物を得て、この混合物を分取HPLCで精製し、凍結乾燥して141mgの1,12-diFmoc-GRF(1-29)を得た。
Maldi-Tof; 3803.49, (M+1=3803.46) HPLC; 97%回収(ペプチド分析条件1)
【0112】
実施例20. 1,11-diFmocサケカルシトニンを利用したLys18-PEG 2K-サケカルシトニンの製造
1,11-diFmocサケカルシトニン10mg当量をDMF 1mlに溶かし、0.2% TEAを加えた後、ポリ(エチレングリコール) 2,000 スクシンイミジルプロピオネート5当量を加えて45℃で1時間反応させた。ピペリジン50μlを加え、5分間反応させてFmocを除去した後、10%のトリフルオロ酢酸/アセトニトリル 500μlを加えて酸性化した。この反応溶液を20mMの酢酸ナトリウム緩衝液 (pH4.5)で10倍に希釈して下記条件のイオン交換クロマトグラフィーで精製した。溶出液をC-18 Sep-Pak カートリッジに加えて吸着させた後、20mlの蒸留水で洗浄し、5mlの70%アセトニトリルで溶出した。窒素下で溶出液中のアセトニトリルを蒸発させた後、凍結乾燥した。
【0113】
実験例1に述べるように測定すると、当該サンプルの逆相クロマトグラムは単一ピークを示し(図1-B)、MALDI-TOF質量スペクトルでもモノ-PEG 2K-サケカルシトニン以外には未反応のサケカルシトニン、ジ-PEG 2K-サケカルシトニン、トリ-PEG 2Kサケカルシトニン等は同定されなかった(図2)。また実験例1に述べるように測定したLys-C酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトルでは、Lys18-PEG 2K-GRF(1-29) 断片に対応するピークのみが示された(図3-B)。このサンプルを蒸留水に溶解して実験例1に述べるような逆相クロマトグラフィーでサケカルシトニン標準液を基準に測定すると収率は87.6%であった。
【0114】
[イオン交換クロマトグラフィー条件]
カラム:TSK SP-5PW(55x200mm、15μm)(強カチオン交換媒質)
溶離液
溶離液A:20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)
溶離液B:300mM塩化ナトリウム/20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)
溶離液C:1M塩化ナトリウム/20mM酢酸ナトリウム(pH4.5)
00-10分:100% A
10-40分:0% A →100% B
40-50分:100% C
流速:3ml/分
検出:UV 215nm
【0115】
比較例1. サケカルシトニンを利用したモノPEG 2K-サケカルシトニンの製造
サケカルシトニン10mgを10mMリン酸ナトリウム緩衝液 (pH7.5) 5mlに溶かし、ポリ(エチレングリコール)2,000スクシンイミジルプロピオネート1.5当量を加えて常温で20分間反応させた後、1Mグリシン溶液50μlを加え、30分間放置して反応を完了させた。この反応溶液をサイズ排除クロマトグラフィーを用いて5成分に分け、モノ-PEG接合体を分離した。この溶出液を集めてC-18 Sep-Pakカートリッジに吸着させ、20mlの蒸留水で洗浄し、5mlの70%のアセトニトリルで溶出させた。窒素下で溶出液中のアセトニトリルを蒸発させた後、凍結乾燥した。
実験例1に述べているように測定すると、このサンプルの逆相クロマトグラムはCys1-Nα-PEG 2K-サケカルシトニン、Lys11- PEG 2K-サケカルシトニン及びLys18-PEG 2K-サケカルシトニンの3つのピークを示し(図1-A)、ピーク面積の比率は約1:1:1であった。サンプルを蒸留水に溶かして実験例1に述べるような逆相クロマトグラムに基づいてサケカルシトニン標準液を基準に測定し、収率は28.4%であった。
[サイズ排除クロマトグラフィー条件]
カラム:スペローズ 12 HR 10/30(アマシャム ファルマシア)
溶離液:10mM PBS (pH7.4)
流速:0.4ml/分
検出:UV 215nm
【0116】
実験例1. Lys18-PEG 2K-サケカルシトニンの同定
実験例1-1. 逆相クロマトグラフィーに基づく異性体の同定及び測定
実施例20及び比較例1で得たサンプルをPharm. Res., 16(6), 813-818, 1999に述べられている方法に従って下記条件の逆相クロマトグラフィーで比較した。実施例20のサンプルはLys18-PEG 2k-サケカルシトニンの単一ピークを示したが(図1-B)、比較例1のサンプルはCys1-Nα-PEG 2K-サケカルシトニン、Lys11- PEG 2K-サケカルシトニン及びLys18- PEG 2K-サケカルシトニンに対応するピークを1:1:1の比率で示した(図1-A)。実施例20の収率は、サケカルシトニン標準液のピーク面積に対するLys18-PEG 2K-サケカルシトニンのピーク面積の比率で計算すると、87.6%であった。比較例1において、モノ-PEG接合体の全体の収率は、サケカルシトニン標準液ピーク面積に対する3つの位置異性体のピーク面積の合計の比率に基づいて計算すると28.4%で、Lys18-PEG 2K-サケカルシトニン(ピーク2)の収率は10.2%であった。
[逆相クロマトグラフィー条件]
カラム:リクロスファー100 RP-8 (4mm IDx250mm L、5μm、メルク)
移動相
溶離液A:0.1% TFA/D.W.
溶離液B:0.1% TFA/ACCN
00-30分:36% B→44% B
流速:1ml/分
検出:UV 215nm
【0117】
実験例1-2. MALDI-TOF質量分析による副反応物及び異性体の同定
実施例20のサンプルを、下記のMALDI-TOF質量分析条件で分析すると、モノ-PEG 2K-サケカルシトニンに対応するピークのみを示し、未反応サケカルシトニン、ジ-PEG 2K-サケカルシトニン、トリ-PEG 2Kサケカルシトニン等は示されなかった(図2)。実施例20のサンプルをLys-C酵素で処理して得られたペプチド断片のMALDI-TOF質量スペクトルを同様に処理したサケカルシトニン標準品と比較して図3に示した。Lys-C酵素処理サンプルは、サンプル液10μlをLys-C酵素 (0.1μg/ml) を含有する50mMトリス緩衝液(pH8.5) 5μlと37℃で1時間反応させた後、マトリックス溶液と1:2の比率で混合して製造した。サケカルシトニンのLys-C酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトル(図3-A)では、Pro1-Gly10断片、Lys11-His17断片及びLys18-Pro32断片に対応するピークが確認されたが、実施例20のサンプルのLys-C 酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトル(図3-B)では、Pro1-Gly10断片及びPEGが結合したLys11-Pro32断片に対応するピークだけが見られ、Lys11-His17断片及びLys18-Pro32断片のピークは検出されなかった。この結果に基づいて、実施例20のサンプルはLys18-位置にのみPEGが結合されたLys18-モノ-PEG 2K-サケカルシトニンであることが確認できた。
[MALDI-TOF質量分析条件]
イオン選択:陽イオン
マトリックス溶液:α-シアノ-4-ヒドロキシケイ皮酸飽和溶液(0.1% TFA/50% ACCN/DW)
モード:線形
サンプル:マトリックス=1:2
加速電圧:25kV
【0118】
実施例21. 1,11-diFmoc-サケカルシトニンを利用したLys18-PEG 1K-サケカルシトニン、Lys18-PEG 5K-サケカルシトニン及びLys18-PEG 10K-サケカルシトニンの製造
1,11-diFmoc-サケカルシトニンとポリ(エチレングリコール)1,000スクシンイミジルプロピオネート、ポリ(エチレングリコール)5,000スクシンイミジルプロピオネート及びポリ(エチレングリコール)10,000スクシンイミジルプロピオネートを使用して、実施例20で述べた方法に従って、Lys18-PEG 1K-サケカルシトニン、Lys18-PEG 5K-サケカルシトニン及びLys18-PEG 10K-サケカルシトニンをそれぞれ製造した。個々のサンプルを実験例1で述べた手順で測定し、収率はそれぞれ86.9%, 81.5%, 82.7%で、Lys18-PEG接合体以外の他のペプチド由来物質又は異性体は何も同定されなかった。
【0119】
実施例22. 1,11-diNsc-サケカルシトニンを利用したLys18-PEG 2K-サケカルシトニンの製造
1,11-diNscサケカルシトニン10mg eq をDMF 1mlに溶かし、0.2% TEAを加えた後、ポリ(エチレングリコール)2,000スクシンイミジルプロピオネート5 eq を加えて45℃で1時間反応させた。ピペリジン100μlを加え、5分間反応させてNscを除去した後、10%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル500μlを加えて酸性化した。この反応溶液を実施例20と同様の条件下で精製し、実験例1の方法でサケカルシトニンに対して定量して得られた収率は84.8%であった。更に実験例1で述べたようにして得られたLys-C酵素処理断片の逆相クロマトグラムとMALDI-TOF質量スペクトルの両方で、Lys18-PEG 2K-サケカルシトニン以外のペプチド由来物質又は異性体は同定されなかった
【0120】
実施例23. 1,12-diFmoc-GRF(1-29)を利用したLys21-PEG 5K-GRF(1-29)の製造
1,12-diFmoc-GRF(1-29) 10mg eq をDMF 1mlに溶かし、0.2%TEAを加えた後、ポリ(エチレングリコール)5,000スクシンイミジルプロピオネート5 eq を加えて45℃で1時間反応させた。ピペリジン50μlを加え、5分間反応させてFmocを除去した後、10%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル500μlを加えて酸性化した。この反応溶液を実施例20と同様の方法で精製してPEG接合ペプチドを得た。このサンプルを実験例2に述べたように測定すると、サンプルの逆相クロマトグラムは単一のピークを示し(図4-B)、MALDI-TOF質量スペクトルでもモノ-PEG 5K-GRF(1-29)に対応するピークだけが示され、未反応GRF(1-29)、ジ-PEG 5K-GRF(1-29)及びトリ-PEG 5K-GRF(1-29)は同定されなかった(図5)。更に、実験例2に述べたようにして得られたLys-C酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトルでもLys21-PEG 5K-GRF(1-29)断片に対応するピークだけが示された(図6-B)。このサンプルを蒸留水に溶かし、GRF(1-29)標準液を基準として実験例2に述べたような逆相クロマトグラフィーに基づく分析にかけたところ、収率は91.2%であった。
【0121】
実験例2. Lys21-PEG 5K-GRF(1-29)の同定
実施例23のサンプルは、下記の条件下で得られた逆相クロマトグラムによるとモノ-PEG 5K-GRF(1-29)に対応する単一ピークを示し(図4-B)、未反応GRF(1-29)に対応するピーク(図4-A)やその他のピークは示さなかった。また実験例1と同様の方法で得られたMALDI-TOF質量スペクトルでモノ-PEG 5K-GRF(1-29)以外の他のペプチド由来のピークは見られなかった(図5)。更に、実験例1と同様の方法で得られたLys-C酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトル(図6-B)でもTry1-Arg11断片及びPEG 5Kが結合したLys12-Arg29断片のみが示され、同様に処理したGRF(1-29)について得られたMALDI-TOF質量スペクトル(図6-A)で同定されたLys12-Arg20断片又はLys21-Arg29断片のピークは同定されなかった。この結果に基づき、実施例23のサンプルはLys21-位にのみPEGが結合したLys21-モノ-PEG 5K-GRF(1-29)であることが確認できた。
[逆相クロマトグラフィー条件]
カラム:リクロスファー100 RP-8 (4mm IDx250mm L、5μm、メルク)
移動相
溶離液A:0.1% TFA/D.W.
溶離液B:0.1% TFA/ACCN
00-15分:34% B→55% B
流速:1ml/分
検出:UV 215nm
【0122】
実施例24. 1,12-diNsc-GRF(1-29)を利用したLys21-PEG 1K- GRF(1-29)の製造
1,12-diNsc-GRF(1-29)10mg eq をDMF 1mlに溶かし、0.2%TEAを加えた後、ポリ(エチレングリコール)1,000スクシンイミジルプロピオネート5 eq を加えて45℃で1時間反応させた。ピペリジン100μlを加え、5分間反応させてNscを除去した後、10%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル500μlを加えて酸性化した。この反応溶液を実施例20と同様の条件下で精製し、GRF(1-29)を基準として実験例2で述べたような逆相クロマトグラフィーによる分析にかけると、収率は92.8%であった。また実験例1に述べたようにして得られたMALDI-TOF質量スペクトルは、モノ-PEG 1K-GRF(1-29)に対応するピークだけを示し、Lys-C酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトルもLys21-PEG 1K-GRF(1-29)の断片に対応するピークのみを示した。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明により単に酸塩基条件を変化させるだけで、非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチドの合成が可能となる。従って、標的部位のアミンにPEGが特異的に結合したPEG接合ペプチドを製造するための従来の方法に比較すると、本発明は以下の利点を有する;すなわち、非常に高い収率で最終製品を得ることができ、複雑な分離及び精製工程が必要なく、そのため本発明は経済的な方法を提供するものであり、従来の工程が必然的に伴っていた副産物の形成が抑制されており、ゆえに本発明による製品は臨床的用途により適している。よって、本発明のPEG接合ペプチドを臨床的用途に使用するとPEG接合による効果を最大なものにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、実施例20のLys18-PEG 2K-サケカルシトニン(B)及び比較例1のモノPEG 2K-サケカルシトニン(A)の逆相クロマトグラムを表わす。
【図2】図2は、サケカルシトニン(A)及び実施例20のLys18-PEG 2K-サケカルシトニン(B)のLys-C 酵素処理断片のMALDI-TOF質量スペクトルを示す。
【図3】図3は、サケカルシトニン(A)及び実施例20のLys18-PEG 2K-サケカルシトニン(B)のMALDI -TOF質量スペクトルを表す。
【図4】図4は、GRF(1-29)(A)及び実施例23のLys21-PEG 5K-GRF(1-29)(B)の逆相クロマトグラムを示す。
【図5】図5は、実施例23のLys21-PEG 5K-GRF(1-29)のMALDI-TOF質量スペクトルを表す。
【図6】図6は、GRF(1-29)(A)及び実施例23のLys21-PEG 5K-GRF(1-29)(B)のLys-C酵素処理断片のMALDI -TOF質量スペクトルを表す。
【配列表フリーテキスト】
【0125】
<110> PEGSPHERE CO., LTD.

<120> 非標的部位のアミンが保護されたペプチド、その製造方法、
及びこれを利用したPEGが特異的に接合されたペプチドの製造方法

<130> 03op101p
<160> 2
<170> KopatentIn 1.71
<210> 1
<211> 32
<212> PRT
<213> Oncorhynchus keta
<300>
<301> O'Dor, RK
Parkes, CO
Copp, DH
<302> Amino acid composition of salmon calcitonin
<303> Can. J. Biochem.
<305> 47
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<307> 1969-01-01
<400> 1
Cys Ser Asn Leu Ser Thr Cys Val Leu Gly Lys Leu Ser Gln Glu Leu
1 5 10 15

His Lys Leu Gln Thr Tyr Pro Arg Thr Asn Thr Gly Ser Gly Thr Pro
20 25 30

<210> 2
<211> 29
<212> PRT
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<300>
<301> Rivier, J. et al.
<302> Characterization of a growth hormone-releasing factor from a
human pancreatic islet tumor
<303> Nature
<305> 300
<306> 276-278
<307> 1982-01-01
<400> 2
Tyr Ala Asp Ala Ile Phe Thr Asn Ser Tyr Arg Lys Val Leu Gly Gln
1 5 10 15

Leu Ser Ala Arg Lys Leu Leu Gln Asp Ile Met Ser Arg
20 25
【配列表】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的部位の枝分れアミンと非標的部位の枝分れアミンをそれぞれivDde又はMttのいずれか、及びBocで別々に遮蔽し、Nα-アミンをFmoc又はNscで保護してペプチドを合成する工程を含む、非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチドの製造方法。
【請求項2】
Nα-アミンを含む非標的部位のアミンのアミン保護基を、Fmoc、Nsc、Dde及びivDdeからなる群から選ばれる少なくとも1つの最終的なアミン保護基で置換する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Nα-アミンを含む非標的部位のアミンのアミン保護基をBocで置換する工程を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ペプチド合成が固体相合成法によって行われる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
ペプチド配列を少なくとも二つの断片に分け、これらの断片を別々に合成した後に縮合させてペプチドを形成させる、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法によって製造された非標的部位のアミンが選択的に保護されたペプチド。
【請求項7】
上記ペプチドがカルシトニン又はGRF(1-29)である、請求項6に記載のペプチド。
【請求項8】
(1)請求項6に記載のペプチドを活性化されたPEGと反応させる工程、及び(2)工程(1)で得られた化合物のアミン保護基を酸塩基脱遮蔽条件下で除去する工程を含む、標的部位のアミンにPEGが特異的に接合された特異的PEG接合ペプチドの製造方法。
【請求項9】
工程(2)の生成物を精製する工程を更に含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記精製工程が生成物をイオン交換クロマトグラフィーで分離し、塩を除去した後乾燥させることを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
上記の活性化されたPEGが1,000から40,000の範囲の分子量を有する直鎖又は分枝のヒドロキシ又はメトキシ型のアルキル化又はアシル化PEGである、請求項8ないし10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
上記の活性化されたPEGがモノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルスクシナート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルプロピオネート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルカーボネート、モノメトキシポリ(エチレングリコール)スクシンイミジルカルバメート及びモノメトキシポリ(エチレングリコール)トレシレートからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項11に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−524184(P2006−524184A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567163(P2004−567163)
【出願日】平成15年1月18日(2003.1.18)
【国際出願番号】PCT/KR2003/000118
【国際公開番号】WO2004/065412
【国際公開日】平成16年8月5日(2004.8.5)
【出願人】(504024335)ペスフェア カンパニー リミテッド (1)
【Fターム(参考)】