説明

非水二次電池

【課題】負荷特性に優れた非水二次電池の構成を得る。
【解決手段】平坦なシート形状の表面に凹凸部が形成された負極14と、前記負極14の凹凸部を有する面に沿うように配置されたセパレータ15と、前記負極14よりも表面積が小さく、前記セパレータ15によって形成される凹凸に嵌合する表面を有するシート状の正極13とを備える。前記負極14と前記正極13とは、積層方向において充放電が可能なように対向するとともに、積層方向と垂直な方向においても充放電が可能なように対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は非水二次電池に関し、より詳しくは、積層型の非水二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水二次電池は、エネルギー密度の高い電池として利用されている。車載用、産業用といった用途では、エネルギー密度が高いことに加え、高い負荷特性(入出力特性)が求められている。
【0003】
特開2010−118164号公報には、集電体の表面に凹凸が形成されており、電極材層(電極合剤層)が、集電体の凹部に充填された第1電極材と、該第1電極材を覆うように集電体表面全体にわたって広がった第2電極材とによって形成された二次電池の電極が開示されている。
【0004】
この二次電池の電極は、集電体表面に凹凸を形成することにより、集電体と電極材層との密着性を高めている。そして、第1電極材が第2電極材よりも低電気抵抗であることにより、集電体と電極材層との界面での反応性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−118164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
非水二次電池の電極反応は、電極合剤層内部での活物質の拡散が律速過程と考えられる。したがって、前記文献に記載の二次電池の電極による負荷特性向上には限界があった。
【0007】
本発明の目的は、負荷特性に優れた非水二次電池の構成を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明が開示する非水二次電池は、平坦なシート形状の表面に凹凸部が形成された負極と、前記負極の凹凸部を有する面に沿うように配置されたセパレータと、前記負極よりも表面積が小さく、前記セパレータによって形成される凹凸に嵌合する表面を有するシート状の正極とを備える。前記負極と前記正極とは、積層方向において充放電が可能なように対向するとともに、積層方向と垂直な方向においても充放電が可能なように対向している。
【0009】
上記の構成によれば、前記負極と前記正極とが、積層方向において対向するとともに、積層方向と垂直な方向においても対向している。そのため、積層方向に加えて、これと垂直な方向においても活物質の授受を行うことができる。反応速度は電極の面積に比例する。そのため、積層方向と垂直な方向において対向する面積の分だけ、負荷特性を向上させることができる。
【0010】
なお、上記の構成によれば、前記負極と前記正極とが、セパレータを介して嵌合する。そのため、特別な治具や装置によらなくても、前記負極と前記正極との位置規制を正確に行うことができる。また、積層させた後にずれが発生しにくい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、負荷特性に優れた非水二次電池の構成が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池の概略構成を示す正面図である。
【図2】図2は、図1におけるII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極、およびセパレータを抜き出して示した分解斜視図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極、およびセパレータを抜き出して示した斜視図である。
【図5】図5は、図4BにおけるV−V線に沿った断面図である。
【図6】図6は、図5の拡大図である。
【図7】図7は、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池における、活物質の授受を概念的に示した図である。。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池の、負極の製造方法の一工程を示す図である。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池の、負極の製造方法の一工程を示す図である。
【図8C】図8Cは、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池の、負極の製造方法の一工程を示す図である。
【図9A】図9Aは、本発明の第1の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した分解斜視図である。
【図9B】図9Bは、本発明の第1の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【図10A】図10Aは、本発明の第2の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【図10B】図10Bは、本発明の第3の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【図10C】図10Cは、本発明の第4の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【図10D】図10Dは、本発明の第5の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【図10E】図10Eは、本発明の第6の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【図10F】図10Fは、本発明の第7の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極、負極およびセパレータを抜き出して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0014】
[非水二次電池の構成]
図1は、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池10の概略構成を示す正面図である。非水二次電池10は、正極タブ11と、負極タブ12と、ラミネート外装16とを備えている。
【0015】
非水二次電池10は、正面視で略矩形の扁平形状をしており、その一辺から、正極タブ11と負極タブ12とが延出している。なお、この構成は例示であって、非水二次電池10は任意の形状を取り得るし、正極タブ11と負極タブ12とを異なる辺から延出させても良い。
【0016】
図2は、図1におけるII−II線に沿った断面図であり、図3は、図1におけるIII−III線に沿った断面図である。非水二次電池10は、複数の正極13と、複数の負極14と、複数のセパレータ15と、正極リード17と、負極リード18とをさらに備えている。
【0017】
非水二次電池10は、図2および図3に示すように、複数の正極13と複数の負極14とが、セパレータ15を挟んで積層された構成を有する。そして、これらは図示しない電解液とともに、ラミネート外装16に収容されている。図2および図3では、正極13を2枚、負極14を3枚、それぞれ積層させた構成を例示しているが、積層させる枚数は任意である。2枚の正極13はそれぞれ、正極リード17を介して、ラミネート外装16の外部に引き出された正極タブ11と接続している。同様に、3枚の負極14はそれぞれ、負極リード18を介して、ラミネート外装16の外部に引き出された負極タブ12と接続している。
【0018】
なお、本実施形態ではラミネート型の電池を例示しているが、電極および電解液をアルミニウム等の金属からなる缶体に収容させた構成としても良い。
【0019】
図4A〜図6を参照して、正極13および負極14の詳しい構成を説明する。図4Aは、非水二次電池10から一組の正極13、負極14、およびセパレータ15を抜き出して示した分解斜視図である。図4Bは、組み立て後の斜視図である。
【0020】
図4Aに示すように、正極13は、平面視矩形でシート状の正極集電体131と、該正極集電体131の両面に形成された正極合剤層132とを備えている。また負極14は、平面視矩形でシート状の負極集電体141と、該負極集電体141の両面に、正極合剤層132よりも大きな面積に形成された平面視矩形の負極合剤層142とを備えている。
【0021】
なお、図4Aおよび今後参照する図面ではすべて、正極集電体131の両面に正極合剤層132を形成している。しかし、正極集電体131の片面にのみ正極合剤層132を形成しても良い。負極14についても同様であり、負極集電体141の片面にのみ負極合剤層141を形成しても良い。
【0022】
また、図4Aではセパレータ15として、フィルム状のセパレータを用いている例を示しているが、本発明はこれに限定されない。後述するように、フィラー粒子とバインダとからなる液状組成物を、正極13および負極14より選ばれる少なくとも一方に塗布することにより、セパレータ15を形成しても良い。
【0023】
負極合剤層142は、その周縁部に凸部142aが一体的に成型されている。これにより、負極合剤層142の中央部には、凸部142aによって囲まれた窪み(凹部)が形成される。正極合剤層132は、セパレータ15を間に挟んでこの窪みと嵌合するように形成されている。
【0024】
図5は、図4BにおけるV−V線に沿った断面図である。上述のとおり、負極合剤層142の周縁部には凸部142aが一体的に成型されている。そして、この負極合剤層142の凹凸を有する面に沿うように、セパレータ15が配置されている。セパレータ15は、正極13と負極14との短絡を防止するため、正極13および負極14よりも大きな面積に形成されていることが望ましい。そして、このセパレータ15によって形成される凹凸に嵌合するように、正極合剤層132が配置されている。
【0025】
図6は、図5の拡大図である。ここでh1は、負極合剤層142の平坦部の厚さを表している。h2は、負極合剤層142の凸部142aの厚さを表している。gは、正極合剤層132と負極合剤層142との面間距離を表している。この値はセパレータ15の厚みによって規制される。dは、凸部142aの厚さh2と面間距離gとの差を表している。すなわちd=h2−gである。この値は、図6に示すように、正極合剤層132と負極合剤層142の凸部142aの厚み方向での重なりの長さを表している。
【0026】
これまで、負極合剤層142の周縁部に凸部142aを形成するという表現を用いてきた。しかし、負極合剤層142の中央部に凹部が設けられているとしても良い。後述するように、負極合剤層142は、凸部142aを含めて一体的に成型されるものである。なお、電池容量は活物質の量に比例するため、負極合剤層142の体積は大きい方が望ましい。その点では平坦部の厚みh1は、従来のものと同程度であることが望ましい。
【0027】
d=h2−gの値が大きいこと、すなわち、h2の値が大きく、gの値が小さいことが望ましい。dの値が正であること、すなわちh2>gであることが望ましいが、そうでなくても一定の効果は得られる。
【0028】
図6に示すように、凸部142aには積層方向に向かって順テーパーが設けられている。屈曲部に応力が集中しないようにして、凸部142aの強度を高めるためである。図6では、凸部142aの外側の周壁が積層方向となす角度αと、凸部142aの内側の周壁が積層方向となす角βとが、異なる角度である場合を示している。しかし、これらは同じ角度であっても良い。
【0029】
なお、正極合剤層132の周壁にも、負極合剤層142に設けられた凹凸に沿うように(より正確には、負極合剤層142に沿うように配置されたセパレータ15に沿うように)、負極合剤層142の内側の周壁と同じ角度βのテーパーが設けられている。
【0030】
図7は、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池10における、活物質の授受を概念的に示した図である。図7に示すように、本実施形態によれば、正極合剤層132と負極合剤層142とは、積層方向において対向するとともに、積層方向と垂直な方向においても対向している。そのため、積層方向に加えて、これと垂直な方向においても活物質の授受を行うことができる。反応速度は電極の面積に比例する。そのため、積層方向と垂直な方向において対向する面積の分だけ、負荷特性を向上させることができる。
【0031】
また、この構成によれば、正極合剤層132と負極合剤層142とをセパレータ15を介して嵌合させることにより、正極13と負極14との位置決めを正確に行うことができる。従来、このような位置規制には、専用に設計された治具や装置が必要であった。しかし、この構成によれば位置規制を手作業でも正確に行うことができる。また、積層させた後にずれが発生しにくい。
【0032】
[非水二次電池の製造方法]
以下、本発明の一実施形態にかかる非水二次電池10の製造方法を説明する。
【0033】
まず、図8A〜図8Cを参照して、負極14の製造方法を説明する。負極合剤層142として、活物質と、バインダとを純水中で混合してスラリー142’を調整する。負極の活物質としては、天然黒鉛、メソフェーズカーボン、または非晶質カーボン等を使用することができる。負極のバインダとしては、カルボキシメチルセルロース(CMC)・ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)等のセルロースや、スチレンブタジエンゴム(SBR)・アクリル等のゴムバインダを、単独または混合して用いることができる。
【0034】
調整したスラリー142’を、負極集電体141の両面に塗布する(図8A)。スラリー142’は負極集電体141の両面に均一に塗布しても良く、凸部142aが形成される部分に厚く塗布しても良い。負極集電体141としては、銅・ニッケル・ステンレス等の箔、平織金網、エキスパンドメタル、ラス網、またはパンチングメタル等を用いることができる。負極タブ12および負極リード18も、同種のものを用いることができる。
【0035】
スラリー142’に、プレス成型を行って凹凸を形成する(図8B)。プレス成型は、加熱で行っても、常温で行っても良い。スラリー142’が金型90の凹凸に隙間なく流動するように、スラリー142’の粘度をあらかじめ調整する。スラリー142’の粘度は、活物質の粒度や、溶媒である純水の量によって調整する。また、増粘剤を加えても良い。
【0036】
加圧状態のまま乾燥を行い、カレンダ処理を行う。このとき、凸部142aとその他の部分で密度が異なっていても構わない。
【0037】
その後、負極集電体141を所定の大きさに切断する(図8C)。もっとも、あらかじめ所定の大きさに切断されたものを用いても良い。また、負極14の端面には、ラミネート外装16と絶縁するために、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン共重合体、またはポリアミド共重合体等を塗布する。
【0038】
同様の手順により、正極13を作製する。正極合剤層132として、活物質と、導電助剤と、バインダとを有機溶媒中で混合してスラリーを調整する。正極の活物質としては、マンガン酸リチウム、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、酸化バナジウム、または酸化モリブデン等を用いることができる。正極の導電助剤としては、黒鉛、カーボンブラック、またはアセチレンブラック等を用いることができるが、主成分としてカーボンブラックを用いることが好ましい。正極のバインダとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミドバインダ、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ディスパージョン、PTFE粉末、ゴム系バインダ、またはポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を用いることができるが、PVDFを用いることが好ましい。
【0039】
このように調整したスラリーを、正極集電体131の両面に塗布する。正極集電体131としては、アルミニウムやチタン等の箔、平織金網、エキスパンドメタル、ラス網、またはパンチングメタル等を用いることができる。正極タブ11および正極リード17も、同種のものを用いることができる。
【0040】
そして、負極用の金型90と所定のクリアランスを介して嵌合するよう形成された正極用金型により凹凸を形成する。すなわち、正極合剤層132は、負極合剤層142と、所定の厚み(例えば、セパレータ15分の厚み)を隔てて嵌合するように、その表面形状が成型される。
【0041】
なお、本実施形態のように、負極合剤層142の周縁部にのみ凸部142aを形成した場合には、正極合剤層132の表面に凹凸を形成する必要がない。正極合剤層132の寸法の規制や、端部の処理だけを行えばよく、加工が比較的容易になる。
【0042】
セパレータ15としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、またはポリフェニルサルフィド(PPS)等の、微孔性フィルムや不織布を用いることができる。
【0043】
またセパレータ15は、フィラー粒子と、バインダ樹脂とからなる液状組成物を、正極13および負極14より選ばれる少なくとも一方に塗布して形成することもできる。この場合、上述の微孔性フィルムや不織布を用いる場合と比較して、セパレータ15の厚みを薄くできる。また、正極合剤層132および負極合剤層142の凹凸に対する追従性が良くなるため好適である。
【0044】
フィラー粒子としては、耐熱性および電気絶縁性を有しており、電解液やセパレータ15の製造の際に使用する溶媒に対して安定であり、さらに、電池の作動電圧範囲において酸化還元されにくい電気化学的に安定な微粒子が用いられる。具体例として、アルミナ、シリカ、またはベーマイト等を用いることができる。また、セパレータ15の形状安定性や柔軟性を確保するため、繊維状物を混在させても良い。
【0045】
このフィラー粒子とバインダとを、溶媒に分散または溶解させて液状組成物とする。この液状組成物は、固体分量が10〜40質量%であることが望ましい。そして、この液状組成物を正極13および負極14より選ばれる少なくとも一方に塗布し、所定の温度で乾燥させる。これにより、多数のフィラー粒子からなる多孔質基体が、セパレータ15として正極または負極と一体化して形成される。
【0046】
この液状組成物には、融点が80〜140℃の範囲にある樹脂の微粒子(シャットダウン樹脂)を混在させても良い。シャットダウン樹脂は、異常発熱時に溶融してセパレータ15の空孔を塞ぎ、電気化学反応の進行を抑制する。具体例として、ポリエチレン、ポリオレフィンワックス、またはエチレン―酢酸ビニル共重合体等を用いることができる。
【0047】
なお、この液状組成物を、上述の正極合剤層のスラリーおよび負極合剤層のスラリー142’より選ばれる少なくとも一方の表面に塗布し、電極の成型とセパレータ15の形成とを同時に行っても良い。
【0048】
このようにして作製した正極13と負極14とを、セパレータ15を介して所定の枚数積層させる。または、少なくとも一方がセパレータ15と一体化した正極13および負極14とを、所定の枚数積層させる。正極13の各々は、正極リード17を介して、正極タブ11と接続される。同様に負極14の各々は、負極リード18を介して、負極タブ11と接続される。正極13と正極リード17、正極リード17と正極タブ11、負極14と負極リード18、および負極リード18と負極タブ12の接続には、抵抗溶接、超音波溶接、レーザー溶接、カシメ、または導電性接着剤などを用いることができる。
【0049】
上記により得られた電極積層体を、ラミネート外装16に収容し、電解液を注入する。その後、ラミネート外装を熱融着樹脂により封止する。
【0050】
ラミネート外装16としては、アルミニウムラミネートシート等を用いることができる。電解液としては、有機溶媒にリチウム塩を溶解させた溶液が使用される。有機溶媒としては、ビニレンカーボネート(VC)、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、およびγーブチロラクトン等から、一種類または2種類以上を混合して用いることができる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、またはLiN(CFSO等を用いることができる。
【0051】
以上、本実施形態にかかる非水二次電池10の製造方法を説明した。上記から明らかなように、本実施形態では、非水二次電池10がラミネート型のリチウムイオン二次電池である場合を例示している。本発明は、非水二次電池10がこの種の電池の場合に特に有用である。しかし、これは本発明の用途を限定するものではなく、発明の趣旨の範囲で種々の非水二次電池に適用可能である。
【0052】
[その他の実施形態]
次に、図9A〜図10Fを参照して、本発明の実施形態の変形例について説明する。
【0053】
図9Aは、本発明の第1の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した分解斜視図である。図9Bは、本変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した断面図である。本変形例においても、正極13は、正極集電体131と、正極合剤層132とからなる。同様に、負極14は、負極集電体141と、負極合剤層142とからなる。
【0054】
前述の実施形態においては、負極合剤層142の周縁部に凸部142aが形成されていた。本変形例では、負極合剤層142の中央部に凸部142bが形成されている。そして、負極合剤層142によって形成される凹凸に沿うように、セパレータ15が配置されている。さらに、このセパレータ15によって形成される凹凸と嵌合するように、正極合剤層132の周縁部に凸部132bが形成されている。
【0055】
本変形例によっても、正極13と負極14とが対向する面積を増やすことができる。したがって負荷特性を向上させることができる。
【0056】
図10Aは、本発明の第2の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した分解斜視図である。本変形例では、負極合剤層142の周縁部に形成された凸部142c’に加えて、周縁部の内側にも複数の凸部142cが形成されている。そして、負極合剤層142によって形成される凹凸に対応して、セパレータ15を介して嵌合するように、正極合剤層132の表面にも複数の凸部132cが形成されている。
【0057】
なお、この凸部132cおよび凸部142cが平面視でどのような形状をしているかは任意である。例えば、線上に形成された凸部を一方向に整列して配置した形状としても良いし、円形に形成された凸部を同心円状に配置した形状としても良い。
【0058】
本変形例によれば、正極13と負極14とが対向する面積がさらに増える。したがって負荷特性をさらに向上させることができる。
【0059】
図10Bは、本発明の第3の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した断面図である。本変形例では、第2の変形例と同じく、負極合剤層142の周縁部に凸部142d’が形成され、周縁部の内側に複数の凸部142dが形成されている。また、負極合剤層142によって形成される凹凸に対応して、セパレータ15を介して嵌合するように、正極合剤層132が形成されている。本変形例では、第2の変形例と異なり、正極合剤層132は断面視で互いに離間した、複数の断面視矩形の凸部132dから構成されている。すなわち、正極集電体131の表面に複数の凸部132dが形成されている。なお、第2の変形例と同様、平面視における凸部132d,142d,142d’の形状は任意である。凸部132dは断面視で互いに離間しているが、平面視においては連続していても構わない。
【0060】
図10Cは、本発明の第4の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した断面図である。本変形例と第2の変形例とは、負極合剤層142および正極合剤層132に形成された凸部の断面形状が異なる。すなわち、第2の変形例では、負極合剤層142の上に、断面視略矩形の凸部142cが形成されていた。本変形例では、負極合剤層142の上に、断面視三角形状の凸部142eが形成されている。これに対応して、セパレータ15を介して嵌合するように、正極合剤層132の表面にも、断面視三角形状の凸部132eが形成されている。
【0061】
図10Dは、本発明の第5の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した断面図である。本変形例では、正極合剤層132は断面視で互いに離間した、複数の断面視三角形状の凸部132fから構成されている。すなわち、正極集電体131の表面に複数の凸部132fが形成されている。また、負極合剤層142は断面視で互いに離間した、複数の断面視三角形状の凸部142fから構成されている。すなわち、負極集電体141の表面に複数の凸部142fが形成されている。そして、正極合剤層132と負極合剤層142とは、セパレータ15を介して互いに嵌合するように形成されている。
【0062】
図10Eは、本発明の第6の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した断面図である。本変形例では、正極合剤層132の表面に、断面視円弧状の凸部132gが形成されている。これに対応して、セパレータ15を介して嵌合するように、負極合剤層142の表面に円弧状の凹部142g,142g’が形成されている。
【0063】
図10Fは、本発明の第7の変形例にかかる非水二次電池から、一組の正極13、負極14およびセパレータ15を抜き出して示した断面図である。本変形例では、正極合剤層132の表面に、断面視円弧状の凸部132hが間隔をあけて形成されている。これに対応して、セパレータ15を介して嵌合するように、負極合剤層142の表面に円弧状の凹部142h、142h’が形成されている。
【0064】
これらの変形例によっても、正極13と負極14とが対向する面積を増やすことができる。したがって負荷特性を向上させることができる。
【0065】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態および各変形例にのみ限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、非水二次電池に利用可能である。
【符号の説明】
【0067】
10 非水二次電池、11 正極タブ、12 負極タブ、13 正極、131、正極集電体、132 正極合剤層、14 負極、141 負極集電体、142 負極合剤層、142a 凸部、15 セパレータ、16 ラミネート外装、17正極リード、18 負極リード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦なシート形状の表面に凹凸部が形成された負極と、
前記負極の凹凸部を有する面に沿うように配置されたセパレータと、
前記負極よりも表面積が小さく、前記セパレータによって形成される凹凸に嵌合する表面を有するシート状の正極とを備え、
前記負極と前記正極とは、積層方向において充放電が可能なように対向するとともに、積層方向と垂直な方向においても充放電が可能なように対向している、非水二次電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水二次電池であって、
前記セパレータは、前記正極および前記負極より選ばれる少なくとも一方と一体化されている、非水二次電池。
【請求項3】
請求項1または2に記載の非水二次電池であって、
前記負極表面の周縁部に凸部が形成されている、非水二次電池。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水二次電池であって、
前記凹凸部の凸部が順テーパー状である、非水二次電池。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図10F】
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【公開番号】特開2012−238508(P2012−238508A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107448(P2011−107448)
【出願日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511084555)日立マクセルエナジー株式会社 (212)
【Fターム(参考)】