説明

非水系レジスト剥離液組成物

本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、(a)塩基性化合物、(b)アミド化合物、(c)極性溶媒、及び(d)アルカノールアミン塩を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系レジスト剥離液組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平板表示装置の高解像度の実現に対する要求が益々増大している。よって、平板表示装置の高解像度を実現するために、当業者は平板表示装置の単位面積当たりの画素数を増加するための努力を行い続けている。平板表示装置の画素数を増加するための方法の一つは、薄膜トランジスタの配線幅を減少して、配線の微細化を実現することである。ところが、配線の微細化を実現するためには、条件が過酷な工程、例えばドライエッチング工程などを導入しなければならないが、このような過酷な工程条件によって変性したレジスト及びエッチング残渣に関する問題が生じることとなる。変性したレジスト及びエッチング残渣を除去するための解決策は、先行文献に提示されており、その代表的なものは下記のとおりである。
【0003】
特許文献1では、水溶性有機アミン、プロトン性アルキレングリコールモノアルキルエーテル化合物、極性非プロトン性溶媒、剥離促進剤及び腐食防止剤を含むフォトレジスト用ストリッパー組成物を開示している。前記組成物は、変性及び硬化したレジストを短時間内で除去することができるが、金属配線の腐食抑制効果が足りないという欠点がある。
【0004】
特許文献2では、環状アミン、溶媒及び剥離促進剤を含むフォトレジスト剥離液組成物を開示している。前記組成物によりフォトレジストを剥離すると、剥離力を大きく向上でき、イソプロピルアルコールリンス工程を省略しても金属配線に対する追加腐食を防止することができる。ところが、環状アミンを用いることにより、ドライエッチング残渣などの過酷な条件で生成されたレジストに対する剥離力が十分ではない。
【0005】
特許文献3では、アルカノールアミン塩、ヒドロキシルアミン、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、防食剤としてのソルビトールなどの糖化合物及び水を含むストリッパー組成物を開示している。しかし、前記組成物でフォトレジストを剥離すると、金属膜質に対する腐食抑制効果が極めて小さい。
【0006】
よって、当該分野において、上述の問題点を解決するために、新規のレジスト剥離液組成物の開発が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国公開特許第2004−0098751号明細書
【特許文献2】韓国公開特許第2006−0024478号明細書
【特許文献3】特開平9−152721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、レジストパターン、及びドライエッチング又はウェットエッチングの際に発生した残渣に対する除去能力に優れた、非水系レジスト剥離液組成物を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、アルミニウム及び/又は銅を含む金属配線の腐食防止力に優れた非水系レジスト剥離液組成物を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、処理枚数を向上できる経済的な非水系レジスト剥離液組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、(a)下記化学式1で表される塩基性化合物、(b)下記化学式2で表されるアミド化合物、(c)極性溶媒、及び(d)アルカノールアミン塩を含むことを特徴とする、非水系レジスト剥離液組成物を提供する。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
前記化学式1及び化学式2において、R、R及びRは、それぞれ独立に水素;アミノ基で置換された、若しくは非置換の炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;炭素数が2〜10のアルケニル基;炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;又はヒドロキシで置換された、若しくは非置換の炭素数が1〜10のアルコキシで置換された炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基であり、R、R及びRは、それぞれ独立に水素;炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;炭素数が2〜10のアルケニル基;炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;炭素数が1〜10のアルコキシで置換された炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;又は炭素数が1〜4のアルキル基で置換された、若しくは非置換のアミノ基であり、前記R及びRは共に環を形成することもできる。
【0015】
本発明は、前記非水系レジスト剥離液組成物を用いて製造されたことを特徴とする平板表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、レジストパターンとドライエッチング工程及びウェットエッチング工程の際に発生した残渣とに対する除去力に優れる。また、本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、アルミニウム及び/又は銅を含む金属配線に対する腐食防止力に優れる。このため、高解像度を実現するために微細パターンが適用され且つ銅配線が用いられた平板表示装置の製造工程に有用に用いることができる。また、本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、多数の基板を処理することが可能なので、コストダウンに大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】基板処理枚数評価の基準を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物は水を含まない。その理由は水が塩基性化合物、すなわちアミンを活性化させてレジストパターンの下部に位置する金属膜、例えばアルミニウム膜や銅膜の腐食を促進させるためである。
【0020】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、(a)塩基性化合物、(b)アミド化合物、(c)極性溶媒、及び(d)アルカノールアミン塩を含む。
【0021】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物に含まれる(a)塩基性化合物は、下記化学式1で表される。
【0022】
【化3】

【0023】
前記化学式1において、R、R及びRは、それぞれ独立に水素;アミノ基で置換された、若しくは非置換の炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;炭素数が2〜10のアルケニル基;炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;又はヒドロキシで置換された、若しくは非置換の炭素数が1〜10のアルコキシで置換された炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基である。
【0024】
前記(a)化学式1で表される塩基性化合物は、エッチング工程、アッシング(ashing)工程又はイオン注入工程(ion implant processing)などの種々の工程条件の下で変質又は架橋されたレジスト(resist)のマトリックスに強力に浸透し、マトリックスを構成する分子内結合又は分子間結合を壊す。このような塩基性化合物の作用は、基板に残留するレジスト内部の構造的に脆弱な部分に空間を形成させて、レジストを無定形の高分子ゲル塊状に変形させる。これにより、基板の上部に付着したレジストが容易に除去できる。ここで、エッチング工程はドライエッチング工程及びウェットエッチング工程の少なくとも一つを意味する。
【0025】
前記(a)化学式1で表される塩基性化合物は、組成物の総重量に対して、5〜30重量%で含まれることが好ましく、5〜15重量%で含まれることがより好ましい。上述した範囲で含まれると、本発明のレジスト剥離液組成物がレジスト剥離効果に優れ、アルミニウム及び銅配線に対する腐食速度が急激に増大しない。
【0026】
前記(a)化学式1で表される塩基性化合物は、1級アミン、2級アミン、3級アミン、アルカノールアミン及びアルコキシアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましく、より好ましくは、メチルアミン、エチルアミン、モノイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、メチルジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノエタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、ジブタノールアミン、(ブトキシメチル)ジエチルアミン、(メトキシメチル)ジエチルアミン、(メトキシメチル)ジメチルアミン、(ブトキシメチル)ジメチルアミン、(イソブトキシメチル)ジメチルアミン、(メトキシメチル)ジエタノールアミン、(ヒドロキシエチルオキシメチル)ジエチルアミン、メチル(メトキシメチル)アミノエタン、メチル(メトキシメチル)アミノエタノール、メチル(ブトキシメチル)アミノエタノール、及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。これらの中でも、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、1−アミノ−2−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルアミノエタノール、又は2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノールを用いることがより好ましい。
【0027】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物に含まれる(b)アミド化合物は下記化学式2で表される。
【0028】
【化4】

【0029】
前記化学式2において、R、R及びRは、それぞれ独立に水素;炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;炭素数が2〜10のアルケニル基;炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;炭素数が1〜10のアルコキシで置換された炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;又は炭素数が1〜4のアルキル基で置換された、若しくは非置換のアミノ基であり、前記R及びRは共に環を形成することもできる。
【0030】
前記(b)化学式2で表されるアミド化合物は、強いアルカリ性を有する非プロトン性極性溶媒であって、ドライエッチングなどによって変質又は架橋されたレジスト高分子の分解及び溶解に非常に効果的である。そして、前記(b)化学式2で表されるアミド化合物は、レジストの主原料としてのアルカリ可溶性樹脂の溶解容量面においてその他の極性溶媒に比べて卓越した効果を発揮する。
【0031】
前記(b)化学式2で表されるアミド化合物は、組成物の総重量に対して、20〜80重量%で含まれることが好ましく、30〜70重量%で含まれることがより好ましい。上述した範囲を満足すると、エッチングなどによって変質又は架橋されたレジスト高分子の除去力に優れるうえ、基板処理枚数も増加できる。
【0032】
前記(b)化学式2で表されるアミド化合物は、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−(2−エチルヘキシルオキシ)−N,N−ジメチルプロピオンアミド及び3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。これらの中でも、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、及びN,N−ジメチルアセトアミドがより好ましい。
【0033】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物に含まれる(c)極性溶媒は、前記(b)化学式2で表されるアミド化合物を補助して、前記(a)化学式1で表される塩基性化合物によってゲル化されたレジスト高分子を溶解する。また、レジスト剥離の後、DIリンス過程における水による剥離液の除去を容易にして、剥離液組成物内に溶解されたレジストの再析出を最小化する。
【0034】
前記(c)極性溶媒は、組成物の総重量に対して、10〜70重量%で含まれることが好ましく、20〜50重量%で含まれることがより好ましい。上述した範囲を満足すると、水による剥離液組成物の洗浄力低下を防止することができ、これにより基板処理枚数の減少を防ぐ。
【0035】
前記(c)極性溶媒は、プロトン性極性溶媒又は非プロトン性極性溶媒である。前記プロトン性極性溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエテール、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。前記非プロトン性極性溶媒は、ピロリドン化合物、イミダゾリジノン化合物、ラクトン化合物、スルホキシド化合物、ホスフェート化合物及びカーボネート化合物からなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。より好ましくは、前記非プロトン性極性溶媒は、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルカーボネート及びエチレンカーボネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることが好ましい。
【0036】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物に含まれる(d)アルカノールアミン塩は、アルカノールアミンと酸との塩の形態を意味するもので、フォトレジスト除去工程の際に、基板上に位置する金属パターンの腐食を防止する。そして、前記(d)アルカノールアミン塩は、フォトレジスト除去工程の際に、基板上に位置する酸化膜の過エッチングを防止する。前記(d)アルカノールアミン塩は、その製造の際に塩生成反応の温度が90℃以下に維持されることが好ましい。
【0037】
前記(d)アルカノールアミン塩は、組成物の総重量に対して、0.01〜10重量%で含まれることが好ましく、0.1〜3重量%で含まれることがより好ましい。上述した範囲を満足すると、アルミニウムなどの金属膜の損傷を最小化し、経済的である。
【0038】
前記(d)アルカノールアミン塩は、アルキル部分が通常低級アルキル、すなわちC1〜C5アルキルであるアルカノールアミン塩から選択されることが好ましい。
【0039】
前記(d)アルカノールアミン塩は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノエタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ニトリロトリエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1ブタノール及びジブタノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルカノールアミンの塩であることが好ましい。前記(d)アルカノールアミン塩は、前記アルカノールアミンと、シュウ酸(oxalic acid)、乳酸(lactic acid)、酒石酸(tartaric acid)、酢酸(acetic acid)、サリチル酸(salicylic acid)、クエン酸(citric acid)、安息香酸(benzoic acid)及びβ−ナフタル酸(β-naphthalic acid)からなる群から選ばれる1種又は2種の酸とを反応させて製造できる。また、前記(d)アルカノールアミン塩は、市販のEMADOX BBA、EMADOX BBC、EMADOX 201、EMADOX 301、EMADOX 401、EMADOX M、EMADOX NB、EMADOX D520などのLaboratories LABEMA社製を用いることもできる。
【0040】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、平板表示装置の製造方法に用いられることが好ましい。より詳しくは、平板表示装置の微細パターン、配線、及び電極形成の際に用いられることが好ましい。
【0041】
本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、レジストパターンと、ドライエッチング工程又はウェットエッチング工程の際に発生した残渣とに対する除去力に優れる。また、本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、アルミニウム及び/又は銅を含む金属配線に対する腐食防止力に優れる。このため、高解像度を実現するために微細パターンが適用され且つ銅配線が使用された平板表示装置の製造工程に有用に使用できる。また、本発明の非水系レジスト剥離液組成物は、多数の基板を処理することが可能なので、コストダウンに大きく寄与できる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例及び試験例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明の範囲はこれらの実施例及び試験例に限定されるものではない。
【0043】
(実施例1〜実施例11、比較例1〜比較例4:非水系レジスト剥離液組成物の製造)
下記表1に記載された成分及び含量を混合して非水系レジスト剥離液組成物を製造した。
【0044】
【表1】

【0045】
(試験例:非水系レジスト剥離液組成物の特性評価)
まず、ガラス基板上に薄膜スパッタリング法を用いてMo/Al層を形成した。次に、前記Mo/Al層上にフォトレジストパターンを形成した。その後、ウェットエッチング及びドライエッチング方式によってMo/Al層をエッチングして多数の第1試験用基板を用意した。
【0046】
これとは別に、ガラス基板上に薄膜スパッタリング法を用いてCu/Mo層を形成した。その後、前記Cu/Mo層上にフォトレジストパターンを形成した。そして、ウェットエッチング及びドライエッチング方式によってCu/Mo層をエッチングして多数の第2試験用基板を用意した。
【0047】
<剥離性能の評価>
実施例1〜7、比較例1及び比較例2の非水系レジスト剥離用組成物を、恒温槽を用いて50℃に温度を一定に維持した後、それに前記第1及び第2試験用基板を10分間浸漬して剥離力を評価した。その後、前記第1及び第2試験用基板上に残留する剥離液の除去のために純水で1分間洗浄を行った。洗浄の後、試片上に残留する純水を除去するために窒素を用いて基板を完全に乾燥させた。前記試験用基板上に残っている変性又は硬化レジスト及びエッチング残渣を走査電子顕微鏡(SEM、Hitach S−4700)を用いて確認し、その結果を下記表2に示した。
【0048】
<基板処理枚数の評価>
実施例3、実施例8、実施例9及び比較例3の非水系レジスト剥離液組成物に固形化されたフォトレジストを表1に記載の含量でそれぞれ溶解した。ここで、前記固形化されたフォトレジストは130℃で1日間熱処理によって溶媒を全て除去して、固形化したフォトレジストである。
【0049】
次いで、前記固形化されたフォトレジストが溶解された非水系レジスト剥離液組成物に前記第1試験用基板を50℃で10分間浸漬した。ここで、前記第1試験用基板は1回のみ使用する。
【0050】
その後、前記浸漬した第1試験用基板を洗浄し、乾燥させた。乾燥した第1試験用基板の表面に対して走査電子顕微鏡(SEM、Hitach S−4700)を用いて残渣有無を撮影した。その評価基準は図1に示した。
【0051】
<腐食防止性能の評価>
金属配線に対する腐食評価は、60℃で実施例3、実施例10、実施例11及び比較例4のレジスト剥離液組成物原液に前記第1及び第2試験用基板を30分間浸漬した後、洗浄及び乾燥を経て走査電子顕微鏡(SEM、Hitach S−4700)を用いて行った。その結果を下記表4に示した。
【0052】
【表2】

【0053】
【表3】

【0054】
【表4】

【0055】
表2を参照すると、実施例1〜実施例7の非水系レジスト剥離用組成物は、ウェットエッチングによるレジスト剥離力に優れている。そして、実施例1〜実施例7のレジスト剥離用組成物は、ドライエッチングを経たレジスト及びエッチング残渣の除去に対して全て優れた性能を示した。ところが、アミンを含有していない比較例1の場合、ウェットエッチング工程を経たフォトレジストに対しては普通の性能を示したが、ドライエッチングを経たレジスト及びエッチング残渣の除去効果は不良であった。また、アミド化合物を含有していない比較例2の場合は、ドライエッチング基板に対するレジスト除去性能が不良であった。
【0056】
表3を参照すると、実施例3、実施例8及び実施例9のレジスト剥離液組成物は、固形化されたフォトレジストが3〜4重量%溶解された後から残渣が発生し始めた。これに対し、極性溶媒を含んでいない比較例3のレジスト剥離液組成物は、固形化されたフォトレジストが1〜2重量%溶解された後から残渣が発生し始めた。このような結果から確認できるように、本発明のレジスト剥離液組成物は、従来の剥離液組成物よりも多数の基板を処理することができる。
【0057】
表4を参照すると、実施例3、実施例10及び実施例11のレジスト剥離液組成物は、金属配線に対して優れた腐食防止性能を示した。これに対し、アルカノールアミン塩化合物を含んでいない比較例4のレジスト剥離液組成物は、不良な腐食防止性能を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記化学式1で表される塩基性化合物と、
(b)下記化学式2で表されるアミド化合物と、
(c)極性溶媒と、
(d)アルカノールアミン塩と、を含むことを特徴とする、非水系レジスト剥離液組成物。
【化1】

【化2】

(前記化学式1及び化学式2において、
、R及びRは、それぞれ独立に水素;アミノ基で置換された、若しくは非置換の炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;炭素数が2〜10のアルケニル基;炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;又はヒドロキシで置換された、若しくは非置換の炭素数が1〜10のアルコキシで置換された炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基であり、
、R及びRは、それぞれ独立に水素;炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;炭素数が2〜10のアルケニル基;炭素数が1〜10のヒドロキシアルキル基;カルボキシル基;炭素数が1〜10のアルコキシで置換された炭素数が1〜10の直鎖若しくは側鎖アルキル基;又は炭素数が1〜4のアルキル基で置換された、若しくは非置換のアミノ基であり、
前記R及びRは、共に環を形成できる。)
【請求項2】
組成物の総重量に対して、
5〜30重量%の前記(a)化学式1で表される塩基性化合物と、
20〜80重量%の前記(b)化学式2で表されるアミド化合物と、
10〜70重量%の前記(c)極性溶媒と、
0.01〜10重量%の前記(d)アルカノールアミン塩と、を含むことを特徴とする、請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物。
【請求項3】
前記(a)化学式1で表される塩基性化合物は、メチルアミン、エチルアミン、モノイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、イソブチルアミン、t−ブチルアミン、ペンチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルイソプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルイソブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、ジメチルエチルアミン、メチルジエチルアミン、メチルジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノエタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルアミノエタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、ジブタノールアミン、(ブトキシメチル)ジエチルアミン、(メトキシメチル)ジエチルアミン、(メトキシメチル)ジメチルアミン、(ブトキシメチル)ジメチルアミン、(イソブトキシメチル)ジメチルアミン、(メトキシメチル)ジエタノールアミン、(ヒドロキシエチルオキシメチル)ジエチルアミン、メチル(メトキシメチル)アミノエタン、メチル(メトキシメチル)アミノエタノール、メチル(ブトキシメチル)アミノエタノール、及び2−(2−アミノエトキシ)エタノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物。
【請求項4】
前記(b)化学式2で表されるアミド化合物は、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、3−(2−エチルヘキシルオキシ)−N,N−ジメチルプロピオンアミド、及び3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物。
【請求項5】
前記(c)極性溶媒は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエテール、トリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジプロピル−2−イミダゾリジノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、スルホラン、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、ジメチルカーボネート、及びエチレンカーボネートからなる群から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物。
【請求項6】
前記(d)アルカノールアミン塩は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、2−アミノエタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、2−(メチルアミノ)エタノール、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、ジエチルアミノエタノール、ニトリロトリエタノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−(2−アミノエチルアミノ)−1−エタノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、及びジブタノールアミンからなる群から選ばれる1種又は2種以上のアルカノールアミンの塩であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物。
【請求項7】
前記(d)アルカノールアミン塩は、前記アルカノールアミンと、シュウ酸、乳酸、酒石酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、安息香酸又はβ−ナフタル酸との塩であることを特徴とする、請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の非水系レジスト剥離液組成物を用いて製造されたことを特徴とする、平板表示装置。

【図1】
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【公表番号】特表2013−511063(P2013−511063A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538766(P2012−538766)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/KR2010/008043
【国際公開番号】WO2011/059280
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(506171277)ドンウー ファイン−ケム カンパニー リミテッド (15)
【Fターム(参考)】