説明

非水系温感頭皮洗浄用組成物

【課題】頭皮上での広がり性に優れるとともに、頭皮を擦らなくとも、頭皮の皮脂汚れを十分に取り除くことができる頭皮洗浄用組成物の提供。
【解決手段】(A)非極性油、(B)発熱剤および(C)変性シリコーンを含有してなる非水系温感頭皮洗浄用組成物とする。所望により、(D)炭酸塩、並びに(E)有機酸および/又は無機酸を含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水系温感頭皮洗浄用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪に付着した汚れや、毛穴などに詰まった頭皮の皮脂汚れなどを除去するため、通常、シャンプーが用いられている。そして、シャンプー中には、汚れ除去成分として、様々な界面活性剤が配合されている。しかしながら、シャンプー中に配合される界面活性剤に多くは、洗浄効果に優れ、毛髪に付着した汚れを十分に除去することはできるものの、皮脂に対する溶解性が低いために、頭皮の皮脂汚れを十分に取り除くことができないといった欠点がある。
【0003】
そのため、頭皮の皮脂汚れを取り除くためには、指先などを用いて、頭皮を擦ることに頼らざるを得ないという現状がある。しかしながら、これら手段では、頭皮を爪で傷つけてしまったり、髪の絡まりに指が引っかかって髪が抜けてしまうといった恐れがあり、最善の頭皮洗浄手段であるとは言いがたいものである。また、指先などで擦れていない範囲においては、皮脂汚れを十分に除去することに劣るとい言った問題もある。
【0004】
これまでも、頭皮の洗浄効果を高める試みがなされている。例えば、特定の構造を有するポリオキシエチレンジカルボン酸エステルを洗浄剤として頭皮を洗浄する頭皮ケア組成物(例えば、特許文献1を参照)、アニオン界面活性剤、経皮吸収促進物質および殺菌成分を含有する頭皮洗浄剤(例えば、特許文献2を参照)、殺菌有効成分、常温で固形の非イオン界面活性剤、消臭・防臭エキスおよび低級アルコールを含有する頭皮用洗浄剤組成物(例えば、特許文献3を参照)などが提案されている。
【0005】
しかしながら、これら試みに拠っても、洗浄成分として界面活性剤が用いられているため、頭皮の皮脂汚れを十分に取り除くことに劣るといった問題がある。また、洗浄効果をより高めるためには、頭皮を擦らざるを得ないことから、頭皮に対する負担を低減するものではない。
【0006】
また、通常、シャンプーなどの洗浄剤は、塗布部からの垂落ちを抑えるため、ある程度の粘性を持たせているものが多い。しかしながら、粘性を持つ組成物は、毛髪が邪魔となって頭皮全体へ広がり難いといった問題がある。
【0007】
そこで、剤の低粘度化の試みもなされている。例えば、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤およびノニオン界面活性剤から選ばれる1種以上の界面活性剤10〜60質量%と、炭素数1〜3の一価アルコール12〜30質量%とを含有し、25℃の粘度が100mPa・s以下である頭皮洗浄剤(例えば、特許文献4を参照)などが提案されている。
【0008】
しかしながら、ある程度、頭皮への広がりに優れたものとすることはできるものの、洗浄成分として界面活性剤が用いられているため、頭皮の皮脂汚れを十分に取り除くことに劣り、頭皮を擦らざるを得ないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−277343号公報
【特許文献2】特開2007−031376号公報
【特許文献3】特開2008−156267号公報
【特許文献4】特開2000−095651号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、頭皮上での広がり性に優れるとともに、頭皮を擦らなくとも、頭皮の皮脂汚れを十分に取り除くことができる頭皮洗浄用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)非極性油、(B)発熱剤および(C)変性シリコーンを含有してなる非水系温感頭皮洗浄用組成物、
〔2〕(A)成分が、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサンである前記〔1〕に記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物、
〔3〕(B)成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である前記に記載〔1〕又は〔2〕に記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物、
〔4〕(C)成分が、アルキル変性シリコーンである前記〔1〕〜〔3〕の何れかに記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物、並びに
〔5〕更に、(D)炭酸塩、並びに(E)有機酸および/又は無機酸を含有してなる前記〔1〕〜〔4〕の何れかに記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物
に関する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の非水系温感頭皮洗浄用組成物は、頭皮上での広がり性に格段に優れた効果を奏する。また、水との混合によって瞬時に発生する温熱効果で毛穴を広げ、毛穴などに詰まった頭皮の皮脂汚れ浮かせ、皮脂と相溶性の高い非極性油に溶解させることで、頭皮上の皮脂汚れを除去することができる効果を奏することから、頭皮を擦る必要がなく、頭皮への負担を低減するものである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の非水系温感頭皮洗浄用組成物は、(A)非極性油、(B)発熱剤および(C)変性シリコーンを含有してなる。
【0014】
(A)成分の非極性油としては、例えば、炭化水素油、揮発性シリコーンなどが挙げられる。炭化水素油の具体例としては、オゾケライト、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、セレシン、パラフィン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリンなどを例示することができる。また、揮発性シリコーンの具体例としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、メチルシクロポリシロキサンなどの環状シリコーン;オクタメチルトリシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、低粘度メチルポリシロキサンなどの鎖状シリコーンなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(A)成分としては、頭皮の脂質との相溶性の観点から、軽質イソパラフィン、流動パラフィン、低粘度メチルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましく、中でも、流動パラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサンを用いることがより好ましい。
【0015】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、非水系とする観点、並びに、頭皮の脂質との相溶性の観点から、組成物中、10質量%以上が好ましく、より好ましくは15質量%以上である。また、油性感を低減する観点から、60質量%以下が好ましく、より好ましくは50質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは15〜50質量%である。
【0016】
(B)成分の発熱剤は、水と混合することで瞬時に発熱し、適度な温熱感を発現するものであれば特に限定されないが、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化第二鉄、塩化亜鉛、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸第一鉄、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの無機塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。これら(B)成分の中でも、水との混合後、素早く発熱し、適度な温熱感を奏する観点から、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウムを用いることが好ましく、中でも、塩化カルシウム、硫酸マグネシウムを用いることがより好ましい。
【0017】
尚、(B)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。塩化カルシウムの市販品としては、例えば、塩化カルシウムH(商品名,富田製薬社製)、塩化マグネシウムの市販品としては、例えば、塩化マグネシウム(商品名,富田製薬社製)、硫酸カルシウムの市販品としては、例えば、硫酸カルシウム(商品名,馬居化成工業社製)、硫酸マグネシウムの市販品としては、例えば、無水硫酸マグネシウムO−TS(商品名,富田製薬社製)などを例示することができる。
【0018】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、温熱感を発現する観点から、組成物中、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上である。また、適度な温熱感とする観点から、50質量%以下が好ましく、より好ましくは45質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは5〜50質量%、より好ましくは10〜45質量%である。
【0019】
(C)成分の変性シリコーンとしては、例えば、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどが挙げられる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な(C)成分としては、頭皮上での広がり性の観点から、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーンを用いることが好ましく、中でも、アルキル変性シリコーンを用いることがより好ましい。
【0020】
具体的なアミノ変性シリコーンとしては、例えば、アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などを例示することができる。アルキル変性シリコーンとしては、例えば、カプリリルメチコン、セチルジメチコンなどを例示することができる。
【0021】
尚、(C)成分は、市販品をそのまま用いることもできる。カプリリルメチコンの市販品としては、例えば、FZ−3196、SS−3408(商品名,何れも東レ・ダウコーニング社製)、SILSOFT034(商品名,モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)などを例示することができる。
【0022】
(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、頭皮上での広がり観点から、組成物中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。また、使用感の観点から、10質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以下である。これらの観点から、(V)成分の含有量は、好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.5〜5質量%である。
【0023】
本発明では、頭皮上の皮脂汚れ除去効果を更に高める観点、並びに、非水系剤型特有の油性感を低減させる観点から、(D)炭酸塩、並びに(E)有機酸および/又は無機酸を含有させることができる。本発明においては、両成分を併用することで、施術時における水との混合により、炭酸ガスの気泡を発生させて皮脂汚れを浮き上がらせることで除去効果を高めるとともに、油性感を低減することで、非水系であるにもかかわらず軽い使用感とすることができる。
【0024】
(D)成分の炭酸塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、セスキ炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素アンモニウム塩、炭酸アンモニウム塩、セスキ炭酸アンモニウム塩などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。本発明においては、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムを用いることが好ましい。
【0025】
(E)成分の有機酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸などのジカルボン酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸などの直鎖脂肪酸;グルタミン酸、アスパラギン酸などの酸性アミノ酸;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α−オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などのオキシ酸、並びにこれらの有機酸の酸性塩などを例示することができる。また、無機酸としては、例えば、リン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0026】
(D)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、十分な炭酸ガスを発生させる観点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは2質量%以上である。また、温熱感の低減を抑制する観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。これらの観点から、(D)成分の含有量は、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜25質量%である。
【0027】
また、(E)成分の含有量は、炭酸ガスが発生する量あれば特に限定されないが、配合される炭酸塩1モルに対して、0.2〜2モルを用いることが好ましく、0.3〜1.5モル用いることがより好ましい。
【0028】
本発明の非水系温感頭皮洗浄用組成物には、皮脂汚れ除去効果の観点から、粘土鉱物を配合させることができる。用いられる粘土鉱物としては、天然物、天然物からの精製物又は合成の何れのものであっても特に限定されないが、例えば、カオリン、ナクライト、ディッカイト、ハロサイトなどのカオリン族粘土鉱物;アンティゴライト、アメサイト、クロンステダイトなどのアンティゴライト族粘土鉱物;パイロフィライト、タルク(滑石)などのパイロフィライト族粘土鉱物;イライト、海緑石、セラドナイト、セリサイト、マイカ(雲母)、白雲母、クロム白雲母、黒雲母などの雲母族粘土鉱物;ベントナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ノントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ルーセンタイトなどのスメクタイト族粘土鉱物;バーミキュライトなどのバーミキュライト族粘土鉱物;緑泥石(クロライト)などの緑泥石族粘土鉱物;スメクタイト族やバーミキュライト族の粘土鉱物を塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウムなどの第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤で処理した有機変性粘土鉱物などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0029】
本発明においては、皮脂汚れ除去の観点から、カオリン、タルク、マイカ、セリサイト、ベントナイト、サポナイト、ヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトを用いるのが好ましく、中でも、カオリン、タルク、マイカ、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、ジメチルジステアリルアンモニウムベントナイトを用いることがより好ましい。
【0030】
粘土鉱物の含有量は、所望の効果が付与されるのであれば特に限定されないが、通常、皮脂汚れ除去の観点から、組成物中、0.5質量%以上が好ましく、より好ましくは1質量%以上である。また、使用感の観点から、40質量%以下が好ましく、より好ましくは35質量%以下である。これらの観点から、粘土鉱物の含有量は、好ましくは0.5〜40質量%、より好ましくは1〜30質量%である。
【0031】
また、本発明の非水系温感頭皮洗浄用組成物には、洗い落ちの観点から、非イオン性界面活性剤を含有させることができる。用いられる非イオン性界面活性剤としては、例えば、モノステアリン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなどのソルビット脂肪酸エステル;モノステアリン酸グリセリン、モノカプリル酸グリセリン、モノオレイン酸グリセリンなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノミリスチン酸ヘキサグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノリノール酸デカグリセリル、モノオレイン酸デカグリセリルなどのポリグリセリン脂肪酸エステル;モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどのポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル;モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンヒマシ油;ポリオキシエチレンラノリン;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。本発明においては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビット脂肪酸エステルを用いることが好ましく、中でも、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、セスキオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビットを用いることが好ましい。
【0032】
非イオン性界面活性剤の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、洗浄性の観点から、組成物中、3質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上である。また、使用感の観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは25質量%以下である。これらの観点から、非イオン性界面活性剤の含有量は、好ましくは3〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%である。
【0033】
本発明の非水系温感頭皮洗浄用組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、イソプレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオールなどの多価アルコール;シリカ、球状ポリエチレン、結晶セルロースなどの粉体;デキストリン脂肪酸エステル、増粘性高分子などの増粘性成分;固形ロウ類、油脂、高級脂肪酸などの油性成分;陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性などの界面活性剤;無機顔料、有機顔料、パール顔料などの粉体;酸化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、植物抽出エキス、香料などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0034】
非水系温感頭皮洗浄用組成物を製造する場合、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えば、ディスパーミルで攪拌することにより製造することができる。尚、本発明における「非水系」とは、「別途、水を含有させることはしない」という意味であり、各配合成分に含有される少量の水までを除外するものではない。
【0035】
使用方法としては、特に限定されないが、例えば、(1)該組成物を乾いた頭皮に塗布後、水で濡らした指先で馴染ませる方法;(2)該組成物を濡れた頭皮に塗布後、乾いた指先又は水で濡らした指先で馴染ませる方法;(3)該組成物を乾いた指先に取り、該化粧料と指先に水を含ませた後、頭皮に塗布して馴染ませる方法;(4)該組成物を水で濡らした指先に取り、頭皮に塗布して馴染ませる方法などを例示することができる。
【0036】
尚、本発明の非水系温感頭皮洗浄用組成物の商品形態は、特に限定されないが、ボトル容器、チューブ容器、ポンプ容器などに充填した商品形態とすることができる。また、使用形態としては、頭皮上での広がり性に格段に優れ、頭皮上の皮脂汚れ除去効果に優れることから、通常のシャンプーの形態、若しくは、シャンプーの前処理剤、所謂、プレシャンプーとしての形態で使用することが好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。また、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。
【0038】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜5および比較例1〜5の非水系温感頭皮洗浄用組成物を常法に準じてそれぞれ調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。
【0039】
(試験例1:皮脂汚れ除去力の評価)
モデル皮脂を付着させたガラス板を、各実施例および各比較例で得られた試料に浸漬してすぐに各試料と同量の水を加え、1分間放置した後、水洗した。乾燥後、ガラス板上のモデル皮脂の重量を測定して、皮脂汚れ除去率(%)を下記式により算出し、皮脂汚れ除去力を以下の評価基準に従って評価した。
皮脂汚れ除去率(%)=(塗布皮脂重量−洗浄後皮脂重量)/塗布皮脂重量×100
【0040】
尚、モデル皮脂は、パルミチン酸セチル30質量%、パーム油25質量%、パルミチン酸25質量%、スクワラン10質量%、流動パラフィン10質量%の組成のものを調製して用いた。
【0041】
<皮脂汚れ除去力の評価基準>
◎:皮脂汚れ除去率が80%以上
○:皮脂汚れ除去率が50%以上80%未満
△:皮脂汚れ除去率が20%以上50%未満
×:皮脂汚れ除去率が20%未満
【0042】
(試験例2:実使用評価1)
専門パネル20名により、頭皮、並びに頭髪をぬるま湯で流してもらった後、各実施例および各比較例で得られた試料を、実際に頭皮に塗布してもらい、指先で軽く馴染ませるように頭皮を洗浄してもらった。そして、施術中の頭皮に対する「広がり性」、「温熱感」について、以下の評価基準に従って官能評価した。
【0043】
<広がり性の評価基準>
◎:20名中16名以上が頭皮上での広がり性に優れると回答
○:20名中11〜15名が頭皮上での広がり性に優れると回答
△:20名中6〜10名が頭皮上での広がり性に優れると回答
×:20名中5名以下が頭皮上での広がり性に優れると回答
【0044】
<温熱感の評価基準>
◎:20名中16名以上が適度な温熱感があると回答
○:20名中11〜15名が適度な温熱感があると回答
△:20名中6〜10名が適度な温熱感があると回答
×:20名中5名以下が適度な温熱感があると回答
【0045】
(試験例3:実使用評価2)
同パネル20名により、試験例2の評価後、ぬるま湯で頭皮を洗い流してもらい、施術後の「皮脂汚れ除去感」、「頭皮への負担」について、以下の評価基準に従って官能評価した。
【0046】
尚、頭皮への負担については、頭皮を擦らずに皮脂汚れ除去感が得られるものを、頭皮への負担がないものとして評価した。
【0047】
<皮脂汚れ除去感の評価基準>
◎:20名中16名以上がさっぱり感があり、皮脂汚れ除去効果に優れると回答
○:20名中11〜15名がさっぱり感があり、皮脂汚れ除去効果に優れると回答
△:20名中6〜10名がさっぱり感があり、皮脂汚れ除去効果に優れると回答
×:20名中5名以下がさっぱり感があり、皮脂汚れ除去効果に優れると回答
【0048】
<頭皮への負担の評価基準>
◎:20名中16名以上が頭皮を擦る必要がなく、頭皮への負担はないと回答
○:20名中11〜15名が頭皮を擦る必要がなく、頭皮への負担はないと回答
△:20名中6〜10名が頭皮を擦る必要がなく、頭皮への負担はないと回答
×:20名中5名以下が頭皮を擦る必要がなく、頭皮への負担はないと回答
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
表1および表2に示された結果から、実施例の非水系温感頭皮洗浄用組成物は、皮脂汚れ除去力に優れたものであることが分かる。また、実使用において、塗布時の頭皮上での広がり性に優れ、適度な温熱効果を発現することから、皮脂汚れ除去感に優れるだけでなく、頭皮を擦る必要がないため、頭皮への負担がないことが分かる。
【0052】
これに対し、本発明の構成を充足しない比較例は、頭皮上での広がり性に劣る、若しくは、適度な温熱感が得られないことから、十分な皮脂汚れ除去感が得られないことが分かる。また、十分な皮脂汚れ除去感を得るためには、頭皮を擦らざるを得ないことから、頭皮に対して負担となるものであった。
【0053】
以下、本発明に係る非水系温感頭皮洗浄用組成物の処方例を示す。尚、含有量は質量%である。
【0054】
(処方例1)
流動パラフィン 30.8
硫酸マグネシウム 30.0
炭酸水素ナトリウム 8.0
クエン酸 5.0
トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリコール(20E.O.) 10.0
カプリリルメチコン 3.0
イソノナン酸イソノニル 2.0
ミリスチン酸イソプロピル 10.0
l−メントール 1.0
トコフェロール 0.2
合 計 100.0
【0055】
(処方例2)
デカメチルペンタシクロペンタシロキサン 39.8
塩化カルシウム 10.0
硫酸マグネシウム 15.0
炭酸水素ナトリウム 10.0
乳酸 5.0
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 8.0
カプリリルメチコン 1.0
ミリスチン酸オクチルドデシル 5.0
ジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト 3.0
タルク 3.0
トコフェロール 0.2
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)非極性油、(B)発熱剤および(C)変性シリコーンを含有してなる非水系温感頭皮洗浄用組成物。
【請求項2】
(A)成分が、流動パラフィンおよび/又はデカメチルシクロペンタシロキサンである請求項1に記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物。
【請求項3】
(B)成分が、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸カルシウムおよび硫酸マグネシウムの群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物。
【請求項4】
(C)成分が、アルキル変性シリコーンである請求項1〜3の何れかに記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物。
【請求項5】
更に、(D)炭酸塩、並びに(E)有機酸および/又は無機酸を含有してなる請求項1〜4の何れかに記載の非水系温感頭皮洗浄用組成物。

【公開番号】特開2012−56869(P2012−56869A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−200600(P2010−200600)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】