説明

非環状置換基を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体、それを含有する医薬組成物およびそれらの医薬用途

【課題】非環状置換基を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体、それを含有する医薬組成物およびその医薬用途
【解決手段】 一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ。
【化1】


〔式中、Rはハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基であり、RはC1−6アルキル基、ハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基であり、Xはハロゲン原子であり、但し、RおよびRは同時に2−ヒドロキシエチル基ではない〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用な非環状置換基を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、あるいはそれらのプロドラッグ、それを含有する医薬組成物およびそれらの医薬用途に関するものである。
【0002】
さらに詳しく述べれば、本発明は、2型アルギニンバゾプレッシン受容体(以後V2受容体と称する)刺激作用を有する新規な非環状置換基を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、あるいはそれらのプロドラッグ、それを含有する医薬組成物およびそれらの医薬用途に関するものである。
【背景技術】
【0003】
アルギニンバゾプレッシンは、視床下部で生合成され、下垂体後葉より分泌されるニューロホルモンの一つである。アルギニンバゾプレッシンの受容体は、V1a、V1b、V2のサブタイプに分類される。腎集合管にはV2受容体が存在し、アルギニンバゾプレッシンが、その腎集合管に存在するV2受容体に結合し、V2受容体作動作用を発揮することにより、腎集合管での水の再吸収を促進し、尿量を減少させることから、抗利尿ホルモンと呼ばれている(非特許文献1を参照)。そのためアルギニンバゾプレッシンが不足することにより多尿を呈することになり、具体的な疾患として、特に、中枢性尿崩症、小児の夜尿症、加齢による夜間頻尿等が挙げられる(非特許文献2および3を参照)。
【0004】
従来、V2受容体作動薬としてペプチドタイプの化合物が中枢性尿崩症・夜尿症の治療に使用されている(非特許文献3を参照;デスモプレシン(DDAVP)。しかしながら、ペプチドタイプの化合物は、経口吸収率の面において、吸収に個人差が見られるため血中濃度のばらつきが報告されている(非特許文献4を参照)。そのため、これに起因する副作用の発生が懸念され、安全上必ずしも満足できるものではない。上記疾患に対する薬剤としては、非ペプチド性薬剤即ち低分子化合物によるV2受容体作動薬がもっとも望ましいと考えられる。
【0005】
これまでバゾプレッシン受容体を刺激する作用を有する非ペプチド性化合物としては、特許文献1、2に下記一般式(II−1)、一般式(II−2)で表される化合物が報告されている。
【0006】
【化1】

(式中の記号は該特許文献を参照)
【0007】
また、バゾプレッシン受容体を刺激する作用、バゾプレッシン/オキシトシン拮抗作用を有する化合物として、特許文献3に下記化合物(III−1)が報告されている。
【0008】
【化2】

(式中の記号は該特許文献を参照)
【0009】
また、バゾプレッシン拮抗作用を有する化合物として、特許文献4〜7に下記一般式(IV−1)、一般式(IV−2)、一般式(IV−3)、一般式(IV−4)で表される化合物が報告されている。
【0010】
【化3】

(式中の記号は該特許文献を参照)
【0011】
しかしながら、いずれの特許文献にも、非環状置換基を有し環内にアミド結合を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体に関する開示は一切ない。
【0012】
【特許文献1】国際公開第2002/000626号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2001/049682号パンフレット
【特許文献3】国際公開第95/34540号パンフレット
【特許文献4】国際公開第99/37637号パンフレット
【特許文献5】国際公開第94/04525号パンフレット
【特許文献6】特開平06−016643号報
【特許文献7】特開平04−321669号報
【非特許文献1】Goodman & Gilman’s,「The Pharmacological Basis of Therapeutics (Tenth Edition),McGraw−Hill社発行
【非特許文献2】Tsutomu Aikawa,他2名,「Scand.J.Urol.Nephrol.Suppl」,1999年,第202巻,p.47−49
【非特許文献3】Jeffrey P. Weiss,他1名,「J.Urol.」,第163巻,2000年,p.5−12
【非特許文献4】Mogens Hammer,他1名,「J.Pharmacol.Exp.Ther.」,第234巻,1985年,p.754−760
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、V2受容体刺激作用を有する、新規な化合物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者等は、V2受容体刺激作用を発現する化合物を見出すべく鋭意研究した結果、下記一般式(I)で表されるある種の非環状置換基を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体が、驚くべきことにV2受容体刺激作用を有し、下記の如く尿量減少作用を有する優れた薬剤であるという知見を得、本発明を成すに至った。
【0015】
即ち、本発明は、一般式(I)
【0016】
【化4】

【0017】
〔式中、Rはハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基であり、RはC1−6アルキル基、ハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基であり、Xはハロゲン原子であり、但し、RおよびRは同時に2−ヒドロキシエチル基ではない〕で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグに関する。
【0018】
また別の局面において、前記一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0019】
さらに別の局面において、V2受容体作動薬である、前記一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0020】
さらに別の局面において、尿崩症、夜間頻尿または夜尿症の治療または予防剤である、前記一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0021】
さらに別の局面において、V2受容体作動薬以外の尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬から選択される少なくとも1種の薬剤を組み合わせてなる、前記一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物に関する。
【0022】
さらに別の局面において、V2受容体作動薬以外の尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬から選択される薬剤が、α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K-チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬である、前記一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物に関する。選択される薬剤としては、好適にはα1遮断薬、カルシウム拮抗薬、K-チャネルオープナー、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬である。
【0023】
さらに別の局面において、尿崩症、夜間頻尿または夜尿症の治療または予防剤を製造するための、前記一般式(I)で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの使用に関する。
【0024】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物のV2受容体刺激作用は、ヒトV2受容体を発現させた細胞を用いることにより確認することができ、本発明の化合物は強いV2受容体刺激作用を有することが確認された。また、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、低浸透圧溶液還流ラットを用いた抗利尿作用確認試験により、強い抗利尿作用を発揮することが確認された。
【0025】
本発明において、下記の用語は、特に断らない限り、以下の意味を有する。
【0026】
「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子を意味する。Xにおけるハロゲン原子は、好適には塩素原子であり、RおよびRにおけるハロゲン原子は好適にはフッ素原子である。
【0027】
「C1−6アルキル基」とは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基等の炭素数1〜6の直鎖または枝分かれ状の非環状アルキル基を意味する。好適には「C2−4アルキル基」で表される炭素数2〜4のアルキル基であり、さらに好適には、エチル基、n−プロピル基またはイソブチル基である。
【0028】
「ハロ(C1−6アルキル)基」または「ハロ(C1−6アルキル)−」とは、トリフルオロメチル基、2−クロロエチル基、2−フルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,2−トリクロロエチル基等の、1〜3個の同種または異種の上記ハロゲン原子で置換された非環状C1−6アルキル基を意味する。好適にはフッ素原子で置換されたC2−3アルキル基であり、さらに好適には2−フルオロエチル基または2,2,2−トリフルオロエチル基である。
【0029】
「ヒドロキシ(C1−6アルキル)基」とは、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基または2−メチル−2−ヒドロキプロピル基等のヒドロキシ基で置換された非環状の炭素数1〜6の直鎖または枝分かれ状のアルキル基を意味する。好適にはヒドロキシ基で置換された「C2−4アルキル基」で表される炭素数2〜4のヒドロキシアルキル基であり、さらに好適には、2−ヒドロキシエチル基または2−メチル−2−ヒドロキプロピル基である。
【0030】
「C1−6アルコキシ基」または「C1−6アルコキシ−」とは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の、直鎖または枝分かれ状の炭素数1〜6の非環状アルコキシ基を意味する。好適には炭素数1〜3のアルコキシ基であり、さらに好適にはメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基であり、 「C1−3アルコキシ基」または「C1−3アルコキシ−」として表される。
【0031】
「C1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基」とは、上記C1−6アルコキシ基で置換された非環状C1−6アルキル基を意味する。好適には、C1−3アルコキシ(C1−4アルキル)基で表される置換基であり、さらに好適には、2−メトキシエチル基、2−イソプロポキシエチル基または3−メトキシプロピル基である。
【0032】
「C2−6アルケニル基」とは、例えば、アリル基、イソプロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基等の二重結合を有する炭素数2〜6の置換基である。
【0033】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物において1つまたはそれ以上の不斉炭素原子が存在する場合、本発明は各々の不斉炭素原子がR配置の化合物、S配置の化合物、およびそれらの任意の組み合せの化合物のいずれも包含する。またそれらのラセミ化合物、ラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物が本発明の範囲に含まれる。また本発明の前記一般式(I)で表される化合物において1つまたはそれ以上の幾何学異性が存在する場合、本発明はそのcis異性体、trans異性体、それらの混合物のいずれも包含する。さらに本発明の前記一般式(I)で表される化合物には、水和物やエタノール等の医薬品として許容される溶媒との溶媒和物も含まれる。
【0034】
本発明において、プロドラッグとは、薬理学的に許容できる通常プロドラッグにおいて使用される基で親化合物を修飾した化合物をいい、例えば、安定性や持続性の改善等の特性が付与され、生体内で親化合物に変換されて効果を発現することが期待できる。本発明の前記一般式(I)で表される化合物のプロドラッグは、相当するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、前記一般式(I)で表される化合物における水酸基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、所望に応じ、適宜常法に従い単離精製することにより製造することができる。(「月刊薬事 医薬品適正使用のための臨床薬物動態」,2000年3月号臨時増刊号,第42巻,第4号,p.669−707、「新・ドラッグデリバリーシステム」,株式会社シーエムシー発行,2000年1月31日,pp67−173参照)。
【0035】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物が水酸基を有する場合、プロドラッグとして、当該水酸基の水素原子と、以下のような基:C2−7アシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基など);C1−6アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基など);スクシノイル基;C2−7アシルオキシメチル基(例えば、ピバロイルオキシメチル基など);1−(C2−7アシルオキシ)エチル基(例えば、1−(ピバロイルオキシ)エチル基など);またはC1−6アルコキシカルボニルオキシメチル基(例えば、tert−ブトキシカルボニルオキシメチル基など);C3−8シクロアルコキシカルボニル基(例えばシクロヘキシルオキシカルボニル基など)との置換により形成される化合物が挙げられる。。
【0036】
本発明の別の好ましい実施態様は、一般式(Ia)
【化5】

【0037】
〔式中、R10はハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−3アルコキシ(C1−4アルキル)基であり、R22はC1−6アルキル基、ハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−3アルコキシ(C1−4アルキル)基であり、Xは塩素原子であり、但し、R10およびR22は同時に2−ヒドロキシエチル基ではない〕で表される1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体である。
【0038】
本発明のさらに別の好ましい実施態様は、一般式(Ia)において、R11が2−ヒドロキシエチル基、2−メチル−2−ヒドロキシプロピル基または2−フルロロエチル基であり、R22がエチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基または2−フルオロエチル基であるのが好ましい。
【0039】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、以下のスキーム1〜3に示した方法若しくはそれに準じた方法、またはその他文献記載の方法若しくはそれらに準じた方法等に従い製造することができる。尚、官能基の種類により保護基が必要な場合は、常法に従い適宜導入および脱離の操作を組み合わせて実施することができる。保護基の種類、導入、脱離に関しては例えば、WILEY−INTERSCIENCE社出版の「Protective Groups in Organic Synthesis(third edition)」(Green&Wuts著編)に記載の方法を挙げることができる。
【0040】
以下に代表的な製造方法を示す。下記各スキームにおける各工程は、多段階の反応を組み合わせて実施される場合もあり、当該業者が通常選択しうる複数の工程を組み合わせても良い。
【0041】
【化6】

【0042】
(式中のXはハロゲン原子、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基またはp−トルエンスルホニルオキシ基であり、Xはハロゲン原子であり、R11は、保護基を有していても良いハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基、C1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基またはC2−6アルケニル基であり、R23は保護基を有していても良いC1−6アルキル基、ハロC1−6アルキル基、ヒドロキシC1−6アルキル基、C2−6アルケニル基、C1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基を意味し、Xは前記と同じ意味を持つ)
【0043】
工程1−1
一般式(II)で表される化合物と、一般式R11−Xで表される反応性官能的誘導体(III)とを、塩基存在下溶媒中反応させることにより、化合物(IV)を得ることができる。この時、必要に応じ保護基の導入や除去を行うことができる。用いられる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、それらの混合溶媒などを挙げることができ、塩基としては、水素化ナトリウム、水酸化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、4−ジメチルアミノピリジン、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド等を挙げることができる。塩基及び反応性官能的誘導体(III)は化合物(II)に対して1〜5当量用いるのが望ましい。反応温度は通常−20℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。
【0044】
工程1−2
一般式(IV)で表される化合物と、一般式(V)で表される反応性官能的誘導体とを、溶媒中、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジン等の塩基存在下、縮合し、前記一般式(I)で表される化合物を得ることができる。この時、必要に応じ保護基の導入や除去を行うことができる。該反応に用いられる溶媒としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、それらの混合溶媒などが挙げられる。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。反応性官能的誘導体としては、化合物(IV)に対し0.5〜1.5当量用いるのが望ましく、塩基は化合物(IV)に対し1〜10当量用いるのが望ましい。
【0045】
工程1−2には、所望により、当該業者が通常採択しうる工程、例えば、下記に挙げる工程を適宜選択したり、順序を変えることにより実施することができる。
【0046】
反応(a):オレフィンの酸化反応
例えば、NAGAYAMA,S.;ENDO,M.;KOBAYASHI,S.;J Org Chem,1998,63(18),pp6094−6095に記載の方法を適用することによりオレフィンを1,2−ジオールに変換する事ができ、相当する化合物(I)に変換することができる。また、Kato,K.;Yamada,T.;Takai,T.;Inoki,S.;Isayama,S.;Bull Chem Soc Jpn,1990,63(1),p179に記載の方法を適用することによりオレフィンをアルコールに変換する事ができる。
反応(b):アルコールの酸化反応
反応(c):アルデヒドの還元反応
例えば、REESE,C.B.;YAN,H.;J Chem Soc,Perkin Trans 1,2001,(15),pp1807−1815に記載の方法を適用することによりアルデヒドをアルコールに還元することができる。
反応(d):ジオールの酸化的開裂
例えば、REESE,C.B.;YAN,H.;J Chem Soc,Perkin Trans 1,2001,(15),pp1807−1815に記載の方法を適用することにより1,2−ジオールをアルコールに還元することができる。
【0047】
例えば、前記一般式(IV)で表される化合物において、R11がC2−6アルケニル基の場合、文献記載の反応(a)〜(c)を適宜組み合わせて実施することにより、R11がヒドロキシ(C1−6アルキル)基である前記一般式(I)で表される化合物を得ることができる。
【0048】
上記スキームで使用する、前記一般式(II)で表される化合物は、下記のスキーム2に示す方法によって製造することができる。
【0049】
【化7】

【0050】
(式中のR24はC1−6アルキル基を意味し、Xは前記と同じ意味をもつ)
【0051】
工程2−1
一般式(VI)で表される化合物を、一般式(VII)で表される反応性官能的誘導体を用いて、溶媒中、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウム等の塩基存在下、アルキル化し、一般式(VIII)で表される化合物を得ることができる。この時、必要に応じ保護基の導入や除去を行うことができる。該反応に用いられる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、それらの混合溶媒などが挙げられる。前記一般式(VII)で表される反応性官能的誘導体、塩基はいずれも化合物(VI)に対して1〜5当量用いるのが望ましい。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。
【0052】
工程2−2
一般式(VIII)で表される化合物を、溶媒中、必要に応じ水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の塩基存在下又は非存在下、環化し、前記一般式(II)で表される化合物を得ることができる。該反応に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、それらの混合溶媒などが挙げられる。この時、必要に応じ保護基の導入や除去を行うことができる。塩基は化合物(VIII)に対して1〜5当量用いるのが望ましい。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。
【0053】
上記スキームで使用する、一般式(V)で表される反応性官能的誘導体は、文献既知の方法若しくはそれに準じる方法で製造することができ、例えば、下記のスキーム3に示す方法で製造することができる。
【0054】
【化8】

【0055】
(式中のR23、XおよびXは前記と同じ意味をもつ)
【0056】
工程3−1
一般式(IX)で表される化合物と、一般式(X R23−X)で表される反応性官能的誘導体とを、溶媒中、炭酸セシウムまたは炭酸カリウム等の塩基存在下反応させ、前記一般式(XI)で表される化合物を得ることができる。この時、必要に応じ保護基の導入や除去を行うことができる。該反応に用いられる溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、それらの混合溶媒などが挙げられる。前記一般式(X)で表される反応性官能的誘導体、塩基はいずれも化合物(XI)に対して1〜5当量用いるのが望ましい。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。また該反応は、よう化ナトリウムまたはよう化カリウムなどのアルカリ金属ハロゲン化物を添加することにより、促進することができる。
【0057】
工程3−2
前記一般式(XI)で表される化合物を、加水分解または加水素分解後、溶媒中、塩化チオニルまたは塩化オキサリル等のハロゲン化剤を用いてハロゲン化することにより、前記一般式(V)で表される反応性官能的誘導体を得ることができる。この時、必要に応じ保護基の導入や除去を行うことができる。該反応に用いられる溶媒としては、クロロホルム、ジクロロメタン、それらの混合溶媒などが挙げられる。ハロゲン化剤は化合物(XI)に対して1〜20当量用いるのが望ましい。反応温度は、通常0℃〜溶媒還流温度であり、反応時間は用いる原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常30分〜3日間である。また該反応に、N−メチルピロリドンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどを添加することにより、反応を促進することができる。
【0058】
上記スキームで使用するR23−Xで表される反応性官能的誘導体(X)は文献既知の方法、若しくはそれに準じる方法により製造することができる。また、適宜、市販品として得ることもできる。
【0059】
上記スキームに示す方法により製造することのできる前記一般式(I)で表される化合物は、必要に応じて常法に従いその薬理学的に許容される塩とすることができる。このような塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸などの鉱酸等の酸付加塩、ギ酸、酢酸、アジピン酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、オレイン酸、乳酸、ステアリン酸、コハク酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、リンゴ酸、炭酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸との酸付加塩、2−アミノエタノール、ピペリジン、モルホリン、ピロリジン、N−メチル−D−グルカミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アルギニン、リジン等の有機塩基との塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等の無機塩との塩を挙げることができる。
【0060】
上記に示したスキームは、本発明の化合物またはその製造中間体を製造するための方法のいくつかの例示であり、それらは当該業者には容易に理解され得るようなスキームへの様々な改変が可能である。
【0061】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物、および当該化合物を製造するために使用される中間体は、必要に応じて、当業者に周知の単離・精製手段である溶媒抽出、再結晶、クロマトグラフィー、分取高速液体クロマトグラフィーなどの操作を行うことにより、単離・精製することができる。
【0062】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬組成物は、用法に応じ種々の剤型のものが使用される。このような剤型としては例えば、散剤、顆粒剤、細粒剤、ドライシロップ剤、錠剤、カプセル剤、注射剤、液剤、軟膏剤、坐剤、貼付剤、舌下剤などを挙げることができ、経口または非経口的に投与される。
【0063】
これらの医薬組成物は、その剤型に応じ製剤学的に公知の手法により、適切な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤、希釈剤、緩衝剤、等張化剤、防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤、溶解補助剤などの医薬品添加物と適宜混合または希釈・溶解することにより調剤することができる。
【0064】
本発明でいうV2受容体作動薬とは、V2受容体を刺激する作用を有し、V2受容体に対しアゴニスト、またはV2受容体のパーシャルアゴニストとして作用することを意味する。本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、V2受容体に対し、アゴニストまたはパーシャルアゴニストとして作用し得る。
【0065】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、V2受容体刺激作用測定試験において強力なヒトV2受容体刺激作用を示す。それ故、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、尿量を有意に低下させることができる。そのため、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、尿の排出量の増加を要因とする全ての症状に適用されうる。また、血液第VIII因子及びフォンウィルブランド因子放出作用を有するので出血性疾患の治療を行うことができる。例えば、様々な排尿障害、大量尿又は出血傾向に有用であり、頻尿、尿失禁、遺尿症、中枢性尿崩症、夜間頻尿、自然発生性出血、血友病、フォンウィルブランド病、先天的又は後天的血小板機能障害等の治療または予防剤として好適である。また、本発明の化合物の、チトクロームP−450(CYP)酵素阻害活性が非常に弱いため、高齢者もしくは他剤と併用する場合でも安心して使用することができるものである。
【0066】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩は、少なくとも1種類の下記薬剤と適宜組み合わせて使用することもできる。本発明の前記一般式(I)で表される化合物と組み合わせて使用できる薬剤としては、α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K-チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬等が挙げられる。
【0067】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物と上記の薬剤を1種類又はそれ以上組み合わせて使用する場合、本発明は、単一の製剤としての同時投与、別個の製剤としての同一又は異なる投与経路による同時投与、及び別個の製剤としての同一又は異なる投与経路による間隔をずらした投与のいずれの投与形態を含み、本発明の化合物と上記の薬剤を組み合わせてなる医薬とは、上記の如く単一製剤としての投与形態や別個の製剤を組み合わせた投与形態を含む。
【0068】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、1種類又はそれ以上の上記薬剤と組み合わせて使用することにより、上記疾患の予防又は治療上相加以上の有利な効果を得ることができる。または、同様に、単独に使用する場合に比較してその使用量を減少させたり、或いは併用する薬剤の副作用を回避又は軽減させることができる。
【0069】
組み合わせて使用される薬剤の具体的な化合物や処置すべき好適な疾患について以下の通り例示するが、本発明の内容はこれらに限定されるものでなく、具体的な化合物においてはそのフリー体、及びその薬理学的に許容される塩を含む。
【0070】
α1遮断薬としては、テラゾシン、ブナゾシン、ウラピジル、タムスロシン、ブニトロロール、ドキサゾシン、プラゾシン、カルベジロール、ベバントロール、WY−21901、ナフトピジル、アルフゾシン、レボブノロール、シロドシン、IDR−16804、フィデュキソシン、SPM−969、(S)−doxazosin、KRG−3332等が挙げられる。
【0071】
抗コリン薬としては、プロピベリン、オキシブチニン、トルテロジン、ソリフェナシン等が挙げられる。
【0072】
コリン作動薬としては、ベサコリン等が挙げられる。
【0073】
鎮痙薬としてはフラボキサート等が挙げられる。
【0074】
アンチアンドロゲン薬としては、酢酸クロルマジノン、アリルエストレノール等が挙げられる。
【0075】
抗鬱薬としては、イミプラミン等が挙げられる。
【0076】
カルシウム拮抗薬としては、ファスジル、ニフェジピン、ニモジピン、ニルバジピン、ベプリジル、マニジピン、バルニジピン、ニトレンジピン、ベニジピン、イスラジピン、ニカルジピン、レルカニジピン、アムロジピン、ニソルジピン、エホニジピン、ガロパミル、ジルチアゼム、シルニジピン、アゼルニジピン、フェロジピン、ラシジピン、アラニジピン、プラニジピン、ラノラジン、IQB-875D、イガニジピン等が挙げられる。
【0077】
K-チャネルオープナーとしては、NS−8、ニコランジル、チリソロール、ピナシジル、レブクロマカリム、GKE−841、PNU−83757、NN−414、KCO−912、AZD−0947、ABT−598等が挙げられる。
【0078】
知覚神経抑制剤としては、KW−7158等が挙げられる。
【0079】
ベータ作動薬としては、マブテロール、リトドリン、フェノテロール、デノパミン、ドカルパミン、クレンブテロール、フォルモテロール、プロカテロール、ピルブテロール、KWD−2183、キサモテロール、テルブタリン、ツロブテロール、サルメテロール、ドペキサミン、levalbuterol、エフェドリン、メルアドリン、SR−58611、arformoterol、CHF−4226、KUR−1246、KUC−7483、YM−178、QAB−149、TD−3327、LY−362884、GW−427353、N−5984、KUL−7211等が挙げられる。
【0080】
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては、ドネペジル、イトプリド、リバスチグミン、メトリフォネート、ガランタミン、phenserine、KA−672、CHF−2819、T−82、EN−101、ZT−1、TAK−802、ladostigil等が挙げられる。
【0081】
抗アレルギー薬としては、トシル酸スプラタスト等が挙げられる。
【0082】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患および治療の程度等により適宜決定されるが、経口投与の場合成人1日当たり約0.01mg〜約1000mgの範囲で、非経口投与の場合も、成人1日当たり約0.01mg〜約1000mgの範囲で、一回または数回に分けて適宜投与することができる。
【0083】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物またはその薬理学的に許容される塩と、V2受容体作動薬以外の尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬から選択される少なくとも1種とを組み合わせてなる医薬において、薬剤の投与量は、患者の年齢、性別、および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせなどにより、適宜選択することができる。
【発明の効果】
【0084】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、強力なヒトV2受容体刺激作用を示した。それ故、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、尿量を有意に低下させることができる。そのため、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、本作用に基づくプロフィールの抗利尿作用、血液第VIII因子及びフォンウィルブランド因子放出作用を有し、様々な排尿障害、大量尿又は出血傾向に有用であり、頻尿、尿失禁、遺尿症、中枢性尿崩症、夜間頻尿、自然発生性出血、血友病、フォンウィルブランド病、先天的又は後天的血小板機能障害等の治療または予防剤として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0085】
本発明の内容を以下の試験例により更に詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。尚、表中で用いている記号のうち、1H−NMRはH−NMRを示し、(溶媒)はH−NMRの測定溶媒であり、CDCl3はCDClを意味し、DMSO−d6はDMSO−dを意味し、CD3ODはCDODを意味する。また、MSは質量分析を意味する。また、参考例番号を「Ref.No.」、実施例番号を「Ex.No.」として表している。
【実施例】
【0086】
(参考例1)
エチル=2−クロロ−4−エトキシベンゾアート
氷冷撹拌下、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸(2.00g)および炭酸カリウム(4.00g)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)懸濁液にヨードエタン(5.42g)を滴下した。反応混合物を室温で5時間、60℃で2時間撹拌した。水冷撹拌下、反応混合物にジメチルアミン水溶液(1.57mL)を加えて室温下に反応混合物を終夜撹拌した。反応混合物に水を加えて酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで再抽出した。有機層を合一し、1mol/L塩酸、水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、エチル=2−クロロ−4−エトキシベンゾアート(2.61g)を得た。
【0087】
1H-NMR (DMSO-d6) δ ppm:
1.25-1.40 (6H, m), 4.12 (2H, q, J=6.9Hz), 4.28 (2H, q, J=7.3Hz), 7.00 (1H, dd, J=8.8, 2.5Hz), 7.10 (1H, d, J=2.5Hz), 7.82 (1H, d, J=8.8Hz)
【0088】
(参考例2−1〜2−3)
ヨードエタンの代わりに対応するアルキル化剤と2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸とを用いて、参考例1と同様な方法で、以下の参考例2−1〜2−3の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表1に示した。
【0089】
【表1】

【0090】
(参考例3)
メチル=4−(2−ベンジルオキシエトキシ)−2−クロロベンゾアート
室温下、メチル=2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾアート(9.53g)、炭酸セシウム(25.0g)およびヨウ化ナトリウム(8.42g)のN,N−ジメチルホルムアミド(130mL)懸濁液にベンジル=2−ブロモエチル=エーテル(9.69mL)を加え、その懸濁液を80℃で6時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、メチル=4−(2−ベンジルオキシエトキシ)−2−クロロベンゾアート(17.7g)を得た。
【0091】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
3.80-3.85 (2H, m), 3.89 (3H, s), 4.15-4.20 (2H, m), 4.63 (2H, s), 6.84 (1H, dd, J=2.5, 8.8Hz), 7.00 (1H, d, J=2.5Hz), 7.25-7.40 (5H, m), 7.87(1H, d, J=8.8Hz)
【0092】
(参考例4)
2−フルオロエチル=2−クロロ−4−フルオロベンゾアート
氷冷撹拌下、2−フルオロエタノール(0.560mL)およびピリジン(1.18mL)のジクロロメタン(6.0mL)溶液に2−クロロ−4−フルオロベンゾイル=クロリド(0.960mL)を滴下した。この混合物を室温で終夜撹拌した。反応混合物に酢酸エチルと2mol/L塩酸を加え、有機層を分離した。有機層を1mol/L塩酸、飽和炭酸ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、2−フルオロエチル=2−クロロ−4−フルオロベンゾアート(1.57g)を得た。
【0093】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
4.50-4.85 (4H, m), 7.00-7.10 (1H, m), 7.22 (1H, dd, J=8.7, 2.5Hz), 7.96 (1H, dd, J=8.7, 6.1Hz)
【0094】
(参考例5)
2−フルオロエチル=2−クロロ−4−(2−フルオロエトキシ)ベンゾアート
氷冷撹拌下、水素化ナトリウム(約60%:0.165g)のN,N−ジメチルホルムアミド(6.0mL)懸濁液に2−フルオロエタノール(0.280mL)を加え、同温で10分間撹拌した。氷冷撹拌下、混合物に2−フルオロエチル=2−クロロ−4−フルオロベンゾアート(0.500mL)を滴下した。この混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物に2mol/L塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄し、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、2−フルオロエチル=2−クロロ−4−(2−フルオロエトキシ)ベンゾアート(0.706g)を得た。
【0095】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
4.20-4.35 (2H, m), 4.45-4.85 (6H, m), 6.87 (1H, dd, J=8.8, 2.5Hz), 7.02 (1H, d, J=2.5Hz), 7.95 (1H, d, J=8.8Hz)
MS(ESI,m/z): 265(M+H)+
【0096】
(参考例6)
2−クロロ−4−エトキシ安息香酸
氷冷撹拌下、エチル=2−クロロ−4−エトキシベンゾアート(2.61g)の1,4−ジオキサン(20mL)−水(10mL)溶液に水酸化リチウム一水和物(0.574g)を加え、室温下に反応混合物を2時間、70℃で3時間撹拌した。氷冷撹拌下、反応混合物に1mol/L塩酸、水を加え、混合物を同温で20分間撹拌した。析出した固体をろ取し、水で洗浄した。40℃にて終夜減圧乾燥して、2−クロロ−4−エトキシ安息香酸(1.92g)を得た。
【0097】
1H-NMR (DMSO-d6) δ ppm:
1.33 (3H, t, J=6.9Hz), 4.11 (2H, q, J=6.9Hz), 6.97 (1H, dd, J=8.8, 2.5Hz), 7.07 (1H, d, J=2.5Hz), 7.82 (1H, d, J=8.8Hz), 12.99 (1H, brs)
【0098】
(参考例7−1〜7−5)
エチル=2−クロロ−4−エトキシベンゾアートの代わりに対応するエステルを用いて、参考例6と同様な方法で、以下の参考例7−1〜7−5の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表2に示した。
【0099】
【表2】

【0100】
(参考例8)
ベンジル=4−(2−アセトキシエトキシ)−2−クロロベンゾアート
氷冷撹拌下、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸一水和物(20.0g)および炭酸ナトリウム(10.6g)のN,N−ジメチルホルムアミド(180mL)懸濁液にベンジルブロミド(17.1g)を滴下し、反応混合物を室温で終夜撹拌した。室温撹拌下、反応混合物に2−(2−ヒドロキシエチルアミノ)エタノール(5.26g)を加え、反応混合物を同温で2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮した。得られた粗生成物にヘキサンおよび酢酸エチルを加えて磨り潰し、その懸濁液を2時間還流した。続いてその懸濁液を室温で終夜、氷冷で1時間撹拌した。沈殿物をろ取し、ベンジル=2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾアート(20.6g)を得た。
氷冷撹拌下、ベンジル=2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾアート(8.03g)、炭酸セシウム(11.0g)およびヨウ化ナトリウム(0.917g)のN,N−ジメチルホルムアミド(80mL)懸濁液に2−ブロモエチル=アセタート(0.562g)を加え、反応混合物を内温83℃で4.5時間撹拌した。反応混合物を室温に戻し終夜撹拌した。室温下、反応混合物に炭酸セシウム(0.996g)、ヨウ化ナトリウム(0.458g)、2−ブロモエチル=アセタート(0.511g)を順次加え、内温85℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷後、反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで再抽出した。有機層を合わせ、水−飽和食塩水、1mol/L塩酸、水および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮してベンジル=4−(2−アセトキシエトキシ)−2−クロロベンゾアート(11.8g)を得た。
【0101】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.10 (3H, s), 4.15-4.25 (2H, m), 4.40-4.45 (2H, m), 5.35 (2H, s), 6.82 (1H, dd, J=8.8, 2.5Hz), 6.99 (1H, d, J=2.5Hz), 7.30-7.50 (5H, m), 7.92 (1H, d, J=8.8Hz)
【0102】
(参考例9)
4−(2−アセトキシエトキシ)−2−クロロ安息香酸
水素雰囲気下、ベンジル=4−(2−アセトキシエトキシ)−2−クロロベンゾアート(10.7g)、10%パラジウム−炭素(56%含水:0.976mg)およびテトラヒドロフラン(120mL)の混合物を室温にて6時間撹拌した。触媒をセライトろ過によって除去し、酢酸エチルで洗浄した。溶媒を減圧下に濃縮して目的物の粗生成物を得た。この粗生成物を酢酸エチルおよびトルエンから再結晶し、4−(2−アセトキシエトキシ)−2−クロロ安息香酸(6.75g)を得た。
【0103】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.04 (3H, s), 4.20-4.40 (4H, m), 7.01 (1H, dd, J=8.8, 2.5Hz), 7.13 (1H, d, J=2.5Hz), 7.83 (1H, d, J=8.8Hz), 13.04 (1H, brs)
【0104】
(参考例10)
2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル=クロリド
氷冷撹拌下、塩化チオニル(0.353mL)のジクロロメタン(2.0mL)溶液に2−クロロ−4−プロポキシ安息香酸(0.208mg)および触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドを順次加え、この懸濁液を室温下に2時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮し、2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル=クロリド(0.225g)を得た。
【0105】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.05 (3H, t, J=7.5Hz), 1.75-1.90 (2H, m), 4.00 (2H, t, J=6.5Hz), 6.88 (1H, dd, J=9.0, 2.5Hz), 7.00 (1H, d, J=2.5Hz), 8.20 (1H, d, J=9.0Hz)
【0106】
(参考例11−1〜11−6)
2−クロロ−4−プロポキシ安息香酸の代わりに対応するカルボン酸と塩化チオニルとを用いて、参考例10と同様な方法で、以下の参考例11−1〜11−6の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表3に示した。
【0107】
【表3】

【0108】
(参考例12)
4−(4−ベンジルオキシブチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
氷冷撹拌下、水素化ナトリウム(約60%:0.543g)のテトラヒドロフラン(40mL)懸濁液に1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(2.00g)を加えた。水冷撹拌下、この懸濁液を15分間撹拌した。水冷撹拌下、この懸濁液に4−ブロモブトキシメチルベンゼン(3.92mL)のテトラヒドロフラン(9.2mL)溶液を10分間掛けて滴下した。この混合物を水冷撹拌下15分間撹拌した後、この反応混合物を50℃で14時間撹拌した。氷冷撹拌下、反応混合物に酢酸水溶液および酢酸エチルを加え、有機層を分取した。水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を合一し、水,飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。抽出液を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をアミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、4−(4−ベンジルオキシブチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(1.44g)を得た。
【0109】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.50-1.80 (4H, m), 3.42 (2H, t, J=6.2Hz), 3.51 (2H, t, J=6.9Hz), 3.90-4.20 (3H, m), 4.45 (2H, s), 4.52 (2H, s), 6.50-6.65 (2H, m), 6.85-7.10 (2H, m), 7.25-7.45 (5H, m)
MS(ESI, m/z) : 325(M+H)+
【0110】
(参考例13−1〜13−8)
4−ブロモブトキシメチルベンゼンの代わりに対応するアルキル化剤および1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オンとを用いて、参考例12と同様な方法で、以下の参考例13−1〜13−8の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表4に示した。
【0111】
【表4】

【0112】
(参考例14)
4−(3−ベンジルオキシプロピル)−1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
氷冷撹拌下、4−(4−ベンジルオキシブチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0523g)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.0840mL)のジクロロメタン(0.48mL)溶液に2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル=クロリド(約0.48mol/Lジクロロメタン溶液:0.500mL)を5分かけて滴下、この混合物を室温下に1時間撹拌した。室温撹拌下、反応混合物にジクロロメタンおよび水を加え、有機層を分取した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ろ過した。ろ液を減圧下に濃縮し、残渣をアミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、4−(3−ベンジルオキシプロピル)−1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0585g)を得た。
【0113】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
0.75-1.15 (3H, m), 1.50-1.90 (6H, m), 3.40-5.50 (12H, m), 6.45-7.70 (12H, m)
MS(ESI, m/z) : 521(M+H)+
【0114】
(参考例15−1〜15−12)
4−(4−ベンジルオキシブチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オンの代わりに対応するアニリン誘導体および2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル=クロリドの代わりに対応する酸塩化物とを用いて、参考例14と同様な方法で、以下の参考例15−1〜15−12の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表5および6に示した。
【0115】
【表5】

【0116】
【表6】

【0117】
(参考例16)
1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
室温で4−アリル−1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0447g)の水(0.30mL)−アセトン(0.30mL)−アセトニトリル(0.30mL)溶液にマイクロカプセル化酸化オスミウム(VIII)(酸化オスミウム10%含有:0.233g)、4−メチルモルホリン−4−オキシド(0.0152g)を加え、反応混合物を室温下23時間撹拌した。不溶物をろ去した。ろ液を減圧下に濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0349g)を得た。
【0118】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.50-5.40 (11H, m), 6.50-7.70 (12H, m)
MS(ESI, m/z) : 481(M+H)+
【0119】
(参考例17)
〔1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕アセトアルデヒド
1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0319g)のテトラヒドロフラン(0.600mL)溶液に、水(0.200mL)、炭酸水素ナトリウム(6.0mg)および過ヨウ素酸ナトリウム(0.0284g)を室温で加えた。この混合物を同温で3時間撹拌した。反応混合物を減圧下に濃縮した。残渣にジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合一した後、減圧下に溶媒を留去し、〔1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕アセトアルデヒド(0.0324g)を得た。
【0120】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.70-5.50 (8H, m), 6.50-7.70 (12H, m), 9.62 (1H, s)
MS(ESI, m/z) : 449(M+H)+
【0121】
(参考例18)
1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
室温下、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(10.0mg)のエタノール(0.600mL)懸濁液に〔1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕アセトアルデヒド(0.0298g)のジクロロメタン(1.0mL)溶液を滴下し、アルゴン雰囲気下この混合物を室温で1時間撹拌した。反応混合物にアセトンを加え、15分間放置した。この混合液を減圧下に濃縮した。残渣にジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。有機層を合一して減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−メタノール)で精製し、1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0223g)を得た。
【0122】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
3.50-5.50 (10H, m), 6.50-7.70 (12H, m)
MS(ESI, m/z) : 451(M+H)+
【0123】
(参考例19)
2−〔1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート
室温下、1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2−ヒドロキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0204g)の酢酸エチル(1.0mL)溶液に、トリエチルアミン(14.0μL)および無水酢酸(9.0μL)を順次加え、この混合物を40℃で1時間撹拌した。室温下、この混合物にトリエチルアミン(6.3μL)および無水酢酸(4.3μL)を順次加え、同温で終夜撹拌した。反応混合物に水を加え、有機層を分取した。減圧下に溶媒を留去し、2−〔1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート(0.0224g)を得た。
【0124】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.05-2.15 (3H, s), 3.50-5.50 (10H, m), 6.50-7.70 (12H, m)
MS(ESI, m/z) : 493(M+H)+
【0125】
(参考例20−1)
2−〔1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート
水素雰囲気下、2−〔1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート(0.0198g)、10%パラジウム−炭素(0.045g)およびテトラヒドロフラン(1.0mL)の混合物を室温にて1時間撹拌した。触媒をセライトでろ去し、ろ液を減圧下に濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製し、2−〔1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート(0.0124g)を得た。
【0126】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.11 (3H, s), 3.50-5.50 (8H, m), 6.50-7.70 (7H, m)
MS(ESI, m/z) : 403(M+H)+
【0127】
(参考例20−2)
1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−4−(2−メトキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
水素雰囲気下、1−(4−ベンジルオキシ−2−クロロベンゾイル)−4−(2−メトキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(1.18g)、触媒量の2%パラジウム−硫酸バリウム、4mol/L塩化水素−1,4−ジオキサン(0.667mL)、メタノール(30mL)、テトラヒドロフラン(150mL)の混合物を室温下に2時間撹拌した。触媒をセライトでろ去し、減圧下に溶媒を留去して1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−4−(2−メトキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.945g)を得た。
【0128】
1H-NMR (DMSO-d6) δ ppm:
3.25 (3H, s), 3.40-5.50 (8H, m), 6.40-7.70 (7H, m), 10.13 (1H, br s)
MS(ESI, m/z) : 375(M+H)+
【0129】
(参考例21)
4−(4−ベンジルオキシブチル)−1−〔2−クロロ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイル〕−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
氷冷撹拌下、2−{4−〔4−(4−ベンジルオキシブチル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕−3−クロロフェノキシ}エチル=アセタート(0.0710g)のメタノール(1.0mL)溶液に5mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.0502mL)を加え、室温下に1時間撹拌した。この混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、4−(4−ベンジルオキシブチル)−1−〔2−クロロ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイル〕−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0501g)を得た。
【0130】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.50-1.80 (4H, m), 1.85-2.05 (1H, m), 3.40-3.65 (4H, m), 3.85-6.00 (10H, m), 6.50-7.60 (12H, m)
MS(ESI, m/z) : 523(M+H)+
【0131】
(参考例22)
2−{4−〔4−(4−ベンジルオキシブチル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕−3−クロロフェノキシ}エチル=アセタートの代わりに対応するエステルを用いて、参考例21と同様な方法で、以下の参考例22の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表7に示した。
【0132】
【表7】

【0133】
(実施例1)
1−(2−クロロ−4−イソブトキシベンゾイル)−4−(2−フルオロエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
氷冷撹拌下、4−(2−フルオロエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.335g)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.112mL)のジクロロメタン(0.50mL)溶液に2−クロロ−4−イソブトキシベンゾイル=クロリド(約0.48mol/Lジクロロメタン溶液:0.500mL)を滴下し、反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮して、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−へキサン)で精製し、1−(2−クロロ−4−イソブトキシベンゾイル)−4−(2−フルオロエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0212g)を得た。
【0134】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
0.80-1.20 (6H, m), 1.80-2.20 (1H, m), 3.50-5.50 (10H, m), 6.40-7.60 (7H, m)
MS(ESI, m/z) : 419 (M+H)+
【0135】
(実施例2−1〜2−7)
4−(2−フルオロエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オンの代わりに対応するアニリン誘導体および2−クロロ−4−イソブトキシベンゾイル=クロリドの代わりに対応する酸塩化物を用いて、実施例1と同様な方法で、以下の実施例2−1〜2−7の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表8に示した。
【0136】
【表8】

【0137】
(実施例3)
2−{3−クロロ−4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕フェノキシ}エチル=アセタート
酸素雰囲気下,2−{3−クロロ−4−〔4−(2−メチルアリル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕フェノキシ}エチル=アセタート(30.0mg)とビス(2,4−ペンタジオナト)コバルト(7.70mg)の2−プロパノール(0.66mL)懸濁液を75℃で1.5時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:ヘキサン−酢酸エチル)で精製し、2−{3−クロロ−4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕フェノキシ}エチル=アセタート(12.7mg)を得た。
【0138】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
1.20-1.35 (6H, m), 1.68 (1H, brs), 2.00-2.15 (3H, m), 3.00-5.50 (10H, m), 6.35-7.75 (7H, m)
MS(ESI, m/z) : 475(M+H)+
【0139】
(実施例4−1〜4−2)
4−(2−フルオロエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オンの代わりに対応するアニリン誘導体および2−クロロ−4−イソブトキシベンゾイル=クロリドの代わりに対応する酸塩化物を用いて、実施例3と同様な方法で、以下の実施例4−1〜4−2の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表9に示した。
【0140】
【表9】

【0141】
(実施例5)
2−〔1−(2−クロロ−4−エトキシベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート
2−〔1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート(0.0400g)および炭酸カリウム(0.0316g)のN,N−ジメチルホルムアミド(0.80mL)懸濁液にヨードエタン(0.0320mL)を加え、60℃で終夜撹拌した。水および酢酸エチルを加え、有機層を分離した。有機層を濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル)で精製し、2−〔1−(2−クロロ−4−エトキシベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタート(0.0350g)を得た。
【0142】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
2.11 (3H, s), 3.50-5.50 (8H, m), 6.50-7.70 (7H, m)
MS(ESI, m/z) : 403(M+H)+
【0143】
(実施例6−1〜6−8)
対応するアルキル化剤および2−〔1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−3−オキソ−1,2,3,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−4−イル〕エチル=アセタートまたは1−(2−クロロ−4−ヒドロキシベンゾイル)−4−(2−メトキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オンを用いて、実施例5と同様な方法で、以下の実施例6−1〜6−8の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表10および11に示した。
【0144】
【表10】

【0145】
【表11】

【0146】
(実施例7)
1−〔2−クロロ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイル〕−4−(2−メトキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
2−{3−クロロ−4−〔4−(2−メトキシエチル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕フェノキシ}エチル=アセタート(0.0276g)のエタノール(0.80mL)溶液に1mol/L水酸化ナトリウム水溶液(0.120mL)を加え、室温で1時間撹拌した。反応混合物に1mol/L塩酸を加えた。この溶液をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−メタノール)で精製し、1−〔2−クロロ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾイル〕−4−(2−メトキシエチル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0153g)を得た。
【0147】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
3.36 (3H, s), 3.45-5.50 (12H, m), 6.40-7.70 (7H, m)
MS(ESI, m/z) : 419(M+H)+
【0148】
(実施例8−1〜8−7)
2−{3−クロロ−4−〔4−(2−メトキシエチル)−3−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−1−カルボニル〕フェノキシ}エチル=アセタートの代わりに対応するエステルを用いて、実施例7と同様な方法で、以下の実施例8−1〜8−7の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表12に示した。
【0149】
【表12】

【0150】
(実施例9)
1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン
水素雰囲気下、4−(3−ベンジルオキシプロピル)−1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0653g)、触媒量の10%パラジウム−炭素、テトラヒドロフラン(3.0mL)の混合物を室温下に6時間撹拌した。触媒をセライトでろ去し、ろ液を濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル−ヘキサン)で精製し、1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−4−(3−ヒドロキシプロピル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オン(0.0389g)を得た。
【0151】
1H-NMR (CDCl3) δ ppm:
0.90-1.10 (3H, m), 1.65-2.00 (4H, m), 3.40-5.30 (12H, m), 6.50-7.70 (12H, m)
MS(ESI, m/z) : 417(M+H)+
【0152】
(実施例10−1〜10−10)
4−(3−ベンジルオキシプロピル)−1−(2−クロロ−4−プロポキシベンゾイル)−1,2,4,5−テトラヒドロベンゾ[e]−1,4−ジアゼピン−3−オンの代わりに対応するベンジルエーテルを用いて、実施例9と同様な方法で、以下の実施例10−1〜10−10の化合物を得た。これらの構造式および物性値を表13および14に示した。
【0153】
【表13】

【0154】
【表14】

【0155】
試験例1
ヒトV2受容体の刺激作用確認試験
下記の方法にて調製したヒトV2受容体刺激作用確認試験用の細胞を用い、各試験化合物に対するヒトV2受容体の反応を試験した。
試験化合物をジメチルスルホキシドにて10mMとなるよう溶解し、さらに、Assay buffer(0.1% BSA、20mM HEPES/Hank’s Balanced Salt Solution、pH 7.4 )を用いて、10倍段階希釈することにより、0.1nM〜10μMになるよう調製し、これらを試験に用いた。
ヒトV2受容体はG蛋白質の1つであるGs蛋白質と共役し、アデニル酸シクラーゼを介してcyclic adenosine 3’,5’−monophosphate(cAMP)を産生させるが、Gqsキメラ蛋白質とヒトV2受容体を共発現させることによりcAMP産生を細胞内Ca2+上昇に置換させることができる(Mol.Pharmacol.、第50巻、p.885−890(1996年))。この細胞内Ca2+の測定をもって各試験化合物に対するヒトV2受容体の反応性を定量化した。FLIPR CALCIUM ASSAY KIT(Molecular Devices社製)を用い、上記試験化合物の各濃度(0.1nM〜10μM)における試験化合物添加後の細胞内Ca2+ 濃度変化をFlexStation(Molecular Devices社製)にて検出した。
試験化合物のIntrinsic activity(IA)はAVPによる最大反応を1.00として算出した。また、各試験化合物のEC50値は最大反応を100%として算出した。試験化合物の濃度−反応曲線から50%の反応を示す値をEC50値とした。得られたEC50値を、ヒトV2受容体を刺激する作用の値として、下記の表15に示した。
【0156】
ヒトV2受容体刺激作用確認試験用の細胞(ヒトV2受容体及びGqsキメラ蛋白質を発現させたHEK293細胞)の調製
HEK293細胞(American Type Culture Collection)を1mM sodium pyruvate、nonessential amino acids(0.1mM)、streptomycin(100μg/mL)、penicillin(Invitrogen Japan K.K.)(100U/mL)、10% fetal calf serum(三光純薬社製)を添加したEagle’s Minimum Essential Medium(EMEM、Invitrogen社製)にて37℃で5%CO incubator内で培養した。トランスフェクションは、confluentに達した細胞を用いて抗生物質を含まない上記EMEM にて1x10 cells/mLに細胞懸濁液を調製し、Opti−MEM I Reduced Serum Medium(Invitrogen Japan K.K.)にて希釈したpCI−neo/hV2、Gqsキメラ蛋白質をコードする遺伝子を挿入した発現ベクター(pLEC−Gqs5、LiveWare、Molecular Devices社製)及びLipofectamine2000(Invitrogen社製)を細胞懸濁液に混和することにて行なった。トランスフェクション後、2日間、5%CO incubator内で培養した細胞(ヒトV2受容体及びGqsキメラ蛋白質を発現させたHEK293細胞)を、ヒト受容体刺激作用確認用の細胞として用い、試験化合物の評価に用いた。尚、上記pCI−neo/hV2で表されるヒトV2受容体発現プラスミドベクターは、以下の方法にて作製した。
【0157】
ヒトV2受容体発現プラスミドベクターの作製
ヒト腎臓由来total RNAをSuperScript II RNase HReverse Transcriptase(Invitrogen Japan K.K.)及びオリゴdTにて逆転写し、cDNAライブラリ−を作製した。このcDNAライブラリ−を鋳型として、下記の配列番号1から3に示したForward primer、下記の配列番号4から6に示したReverse primer それぞれの組み合わせを使用し、pfu DNA polymerase(Stratagene社製)を用いたPCR反応によりヒトV2受容体をコードするDNA断片を増幅した。この増幅されたDNA断片とクローニング用プラスミドベクター、pCR−Blunt(Invitrogen Japan K.K.)をこのキットの標準法に準じてライゲーションした。このライゲーション産物を常法により大腸菌TOP10(Invitrogen Japan K.K.)に導入し、形質転換株をカナマイシン50 μg/mL含有LB寒天培地で選択した。形質転換株の1つを液体LB培地にて増殖させ、ベクターを抽出・精製した。このベクターを制限酵素EcoRIにて切断しDNA 断片を得た。一方、哺乳類発現プラスミドベクターであるpCI−neo(Promega社製)を制限酵素EcoRIにて切断し、自己ライゲーション防止のためにCalf intestinal alkaline phosphatase処理を施した。このpCI−neoと上記EcoRI切断により得られたDNA断片をQuick Ligation Kit(New England BioLabs社製)によりライゲーションした。常法によりこのライゲーション産物を大腸菌TOP10に導入した後、形質転換株をアンピシリン100μg/mL含有LB寒天培地にて選択した。この形質転換株の1つを液体LB培地にて増殖させ、ベクターを抽出・精製した。このベクターのマルチクローニングサイトに挿入されたDNA断片の塩基配列を調べたところ、GenBank/EMBLデータベースにAccession No.AF030626として登録されているヒトV2受容体と一致した。このヒトV2受容体発現プラスミドベクターをpCI−neo/hV2とした。
【0158】
配列番号1 AGTCCGCACATCACCTCCAG
配列番号2 ATGCTCATGGCGTCCACCAC
配列番号3 GCCCTCAGAACACCTGC
配列番号4 GCTCCTCACGATGAAGTGTC
配列番号5 GCAAGACACCCAACAGCTCC
配列番号6 GCTGAGCTTCTCAAAGCCTCT
【0159】
【表15】

【0160】
試験例2
抗利尿試験−麻酔下低浸透圧溶液還流ラットを用いた、低浸透圧負荷利尿に対する抗利尿作用確認試験
低浸透圧溶液を静脈内に還流させると血中AVP濃度が減少することが報告されている(J.Endocrinol.、Vol.141、pp.59−67(1994))。Angchanpenらの方法(Br.J.Pharmacol.、Vol.93、pp.151−155(1988))に記載の方法に準じて、利尿状態が誘発したラットに対する試験化合物の抗利尿作用を試験した。
試験化合物をジメチルスルホキシドにて、10mMとなるよう調製し、試験に用いた。
雄性SDラット(200−400g)に対し、Inactin(Sigma社製)100 mg/kgを腹腔内投与することにより麻酔し、次いで、気管カニューレ、頚静脈カニューレ、膀胱カニューレ及び大腿静脈カニューレを挿入した。低浸透圧溶液(0.3% NaCl、0.83% glucose)を大腿静脈から9mL/hourにてインフュージョンした。10分ごとに膀胱カニューレより採取した尿量を測定し、尿量が30分間安定した時点で、頚静脈カニューレから上記調製した試験化合物を、10μg/kgとなるよう投与した。Vehicleは0.3% ジメチルスルホキシド/salineを使用した。投与前30分間における10分間尿量の平均値を投与前値(0%)とし、試験化合物投与後、尿量を10分ごとに測定した。抗利尿作用は、試験化合物を投与することにより現れた投与前の尿量に対する減少率(マイナス%)として算出した。また、本試験系において、vehicle投与後の尿量の最大減少率は−20%であったことから、試験化合物投与後、尿量の減少率が試験化合物投与前の値の−20%まで戻るまでに時間を、薬効持続時間の指標として算出した。各々の試験結果を以下の表16に示した。
【0161】
【表16】

【0162】
試験例3
ヒト小腸上皮細胞を用いた薬物透過試験
1)培養培地の調製
10%ウシ胎仔血清(三光純薬)、1%MEM−Non essential amino acid solution、1%(200mM L−Glutamine)、1% Antibiotics(10000U/mL ペニシリンG、10000μg/mL ストレプトマイシン)、(Invitrogen Japan K.K.)を含むDMEM培地(Invitrogen Japan K.K.)を調製し、培養培地とした。
2)Caco−2細胞の培養
Caco−2細胞(American Type Culture Collection社)を調製した培養培地でカルチャーフラスコにて継代培養した。
細胞がコンフルエントに達する前に培養培地を除去後、Hank’s balanced salt solution Ca、Mg Free(Invitrogen Japan K.K.)にて洗浄した。0.25%トリプシン/1mM EDTA処理により細胞を剥がし、細胞を遠心により回収した。細胞を培養培地にて再懸濁し1.18x10cells/mLに調製した。その細胞をcollagene−coated membrane filter(3μm pores、0.33cm growth area)を有するTranswell cell culture chamber (Costar社)に播種し、5%CO、加湿下37℃インキュベーター内で培養した。21〜25日培養後、Millicell−ERS(Millipore社)にて膜抵抗値を測定し、250Ω・cm以上のものを薬物の透過性試験に用いた。
3)薬物透過性試験
TranswellのInside側およびOutside側の培養培地を除去後、Inside側を透過性試験用の緩衝液10mM MES pH6.0、Outside側を透過性試験用の緩衝液10mM HEPES pH7.4で置換した。Inside側(0.15mL)はpH6.0、Outside側(0.85mL)はpH7.4に保持した。Inside側を薬液入り緩衝液(pH6.0)に置換した。37℃でインキュベーションし、Outside側に透過された薬物を定量するために1時間後、Outside側の緩衝液を100μL採取した。
膜透過係数を下式により算出した。すなわち、採取されたOutside側の緩衝液中薬物量を時間により除して、単位時間(秒)あたりの透過薬物量を添加薬物濃度および膜表面積で除して算出した。
【0163】
【数1】

Papp:膜透過係数
dQ/dt:単位時間あたりの薬物透過量
Co:添加薬物濃度(100μM)
A:膜表面積(0.33cm
【0164】
薬物定量は下記条件の高速液体クロマトグラフィーにて行し、結果を表17に示した。
(測定条件)
装置:CLASS−VP(SHIMADZU社)
カラム:Inertsil ODS−3(5μm、4.6x250mm、GL Science社)
移動相:10mM酢酸アンモニウム水溶液:アセトニトリル混液=10:70(v/v%)
流速:1.0mL/min
注入量:30μL
検出波長:226nm
【0165】
【表17】

【0166】
陽性対象として用いたアテノロールは、ヒト消化管吸収率が標準的には約50%である。よって、本発明の化合物は、アテノロールに比べて良好な透過係数を示したことからヒトにおいて十分な経口吸収性を有すると期待できる。
【0167】
試験例4
ヒトV2受容体結合実験
ヒトV2受容体結合実験は例えば以下の方法により確認することができる。
試験化合物を、10mMとなるようジメチルスルホキシドに溶解し調製する。ヒトV2受容体を発現させたCHO細胞膜(Perkin−Elmer Japan社製)を用い、各化合物のヒトV2受容体に対する親和性を[H]−arginine vasopressin(AVP)(Perkin−Elmer Japan社製)の結合に対する阻害から求める。
上述の細胞膜をAssay buffer (50mM Tris−HCl、10mM MgCl、0.1% bovine serum albumin(BSA)、pH7.4)にて適当な蛋白量に懸濁し、細胞膜懸濁液とする。また、上記ジメチルスルホキシドにて調製した試験化合物を最終濃度が10nM、100nM、1μM、10μMになるようにAssay bufferにて希釈し調製する(この時、試験化合物のどの濃度においてもジメチルスルホキシドが0.5%になるよう調製する)。細胞膜懸濁液(50μL)と3nM[H]−AVP(50μL)、Assay buffer(50μL)及び各濃度の試験化合物溶液(50μL)をMultiScreen 96 well plate(Millipore社製)に入れて、軽く震盪しながら25℃にて、1時間インキュベートする。その後吸引ろ過し、氷冷したWashing buffer(50mM Tris−HCl、10mM MgCl、pH 7.4)にて3回洗浄する。MultiScreenを乾燥させた後、各wellにマイクロシンチ−20(Perkin−Elmer Japan社製)を添加し軽く震盪した後、マイクロプレートシンチレーションカウンターTopCount(Perkin−Elmer Japan社製)にて放射活性を測定する。細胞膜に対する[H]−AVPの非特異的結合は試験化合物の代わりに1μMの非標識AVPを添加することにより求める。[H]−AVPの特異的結合を50%阻害する各試験化合物の濃度をIC50値とし算出し、下記の方法により求めたKd値よりKi値を算出し、各試験化合物のヒトV2受容体に対する親和性の指標とする。
【0168】
ヒトV2受容体発現細胞膜に対する[H]−AVP結合におけるKd値の算出
ヒトV2発現細胞膜を、適宜上記Assay bufferにて希釈し調製する。[H]−AVPの放射活性を考慮し、異なる6種類の濃度(最終濃度約100pMから6000pM)をAssay bufferにて2から3倍段階希釈し調製する。細胞膜懸濁液(50μL)、各濃度の[H]−AVP(50μL)、Assay buffer(50μL)及び1μMの非標識AVP或いはAssay buffer(50μL)をMultiScreen 96 well plate(Millipore社製)に入れて、軽く震盪しながら25℃にて、1時間インキュベートする。既述した方法により各濃度の[H]−AVPのそれぞれの特異的結合量(B値)を測定し、各濃度の[H]−AVP濃度における非結合量(F値)を求める。これらB値、F値を用い、Scatchard plotにより解析し、Kd値を得ることができる。
【0169】
試験例5
ヒト肝ミクロソーム由来チトクロームP−450酵素(CYP3A4)阻害試験
ヒト肝ミクロソーム由来チトクロームP−450酵素(CYP3A4)阻害試験は、例えば以下の方法により確認することができる。
試験化合物をジメチルスルホキシドに溶解し10mMとし、これをMgCl2(10mM)を含有する0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に添加し、酵素源としてヒト肝ミクロソーム(1.0mg/mL)を、CYP3A4の基質としてテストステロン(50μM)を添加し、最終的に試験化合物濃度が10μMになるよう0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)で調製した溶液(0.2mL)に、NADPH(1mg/mL)を添加して、37℃にて5分間インキュベーションする。アセトニトリルを添加し反応を停止させた後、テストステロンの残存量をLC/MS/MSにより測定し、反応開始時のテストステロン含有量との比より、基質の代謝率(A値)を計算する。また、同様に、試験化合物を添加しない場合についても、上記試験を実施し、この場合のテストステロンの残存量を同様に測定し、反応開始時のテストステロン含有量との比より、基質代謝率(B値)を計算しこれをコントロールとする。B値に対するA値の比を、試験化合物の基質代謝率への影響度として計算し、ヒト肝ミクロソーム由来チトクロームP−450酵素(CYP3A4)阻害の指標とすることができる。
【0170】
上記で使用した略語は以下の通りである。
AVP:アルギニンバゾプレッシン
H]−AVP:トリチウムラベル化されたバゾプレッシン
HEPES:4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
HEK:human embryonic kidney
Tris:2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール
CHO:Chinese hamster ovary cell
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、強力なヒトV2受容体刺激作用を示した。それ故、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、尿量を有意に低下させることができる。そのため、本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、本作用に基づくプロフィールの抗利尿作用、血液第VIII因子及びフォンウィルブランド因子放出作用を有し、様々な排尿障害、大量尿又は出血傾向に有用であり、頻尿、尿失禁、遺尿症、中枢性尿崩症、夜間頻尿、自然発生性出血、血友病、フォンウィルブランド病、先天的又は後天的血小板機能障害等の治療または予防剤として好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
【化1】

〔式中、Rはハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基であり、RはC1−6アルキル基、ハロ(C1−6アルキル)基、ヒドロキシ(C1−6アルキル)基またはC1−6アルコキシ(C1−6アルキル)基であり、Xはハロゲン原子であり、但し、RおよびRは同時に2−ヒドロキシエチル基ではない〕で表される非環状置換基を有する1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ。
【請求項2】
下記の群から選択される化合物である、請求項1記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体。
【化2】

【請求項3】
が、2−ヒドロキシエチル基、2−メチル−2−ヒドロキプロピル基または2−フルオロエチル基であり、Rがエチル基、プロピル基、2−ヒドロキシエチル基または2−フルオロエチル基であり、Xが塩素原子であり、但し、RおよびRは同時に2−ヒドロキシエチル基ではない請求項1記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項5】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有するヒト2型アルギニンバゾプレッシン受容体作動薬。
【請求項6】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する中枢性尿崩症の治療剤。
【請求項7】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する夜間頻尿の予防または治療剤。
【請求項8】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効成分として含有する夜尿症の予防または治療剤。
【請求項9】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効量投与することからなる、中枢性尿崩症の治療方法。
【請求項10】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効量投与することからなる、夜間頻尿の予防または治療方法。
【請求項11】
請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効量投与することからなる、夜尿症の予防または治療方法。
【請求項12】
中枢性尿崩症の治療用の医薬組成物を製造するための、請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの使用。
【請求項13】
夜間頻尿の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの使用。
【請求項14】
夜尿症の予防または治療用の医薬組成物を製造するための、請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグの使用。
【請求項15】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)2型アルギニンバゾプレッシン受容体作動薬以外の中枢性尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を組み合わせてなる医薬組成物。
【請求項16】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K−チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を組み合わせてなる医薬組成物。
【請求項17】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)2型アルギニンバゾプレッシン受容体作動薬以外の中枢性尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を有効量投与することからなる、中枢性尿崩症の治療方法。
【請求項18】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)2型アルギニンバゾプレッシン受容体作動薬以外の中枢性尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を有効量投与することからなる、夜間頻尿の予防または治療方法。
【請求項19】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)2型アルギニンバゾプレッシン受容体作動薬以外の中枢性尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を有効量投与することからなる、夜尿症の予防または治療方法。
【請求項20】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K−チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を有効量投与することからなる、中枢性尿崩症の治療方法。
【請求項21】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K−チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を有効量投与することからなる、夜間頻尿の予防または治療方法。
【請求項22】
薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K−チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤を有効量投与することからなる、夜尿症の予防または治療方法。
【請求項23】
中枢性尿崩症、夜間頻尿または夜尿症の予防・治療用の医薬組成物を製造するための、薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)2型アルギニンバゾプレッシン受容体作動薬以外の中枢性尿崩症治療薬、夜間頻尿治療薬および夜尿症治療薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤の使用。
【請求項24】
中枢性尿崩症、夜間頻尿または夜尿症の予防・治療用の医薬組成物を製造するための、薬物群(A)請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグ、および薬物群(B)α1遮断薬、抗コリン薬、コリン作動薬、鎮痙薬、アンチアンドロゲン薬、抗鬱薬、カルシウム拮抗薬、K−チャネルオープナー、知覚神経抑制剤、β作動薬、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、抗アレルギー薬からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤の使用。
【請求項25】
ヒト2型アルギニンバゾプレッシン受容体を刺激することにより改善される疾患の予防または治療薬であって、請求項1〜3の何れか1項に記載の1,4−ベンゾジアゼピン−3−オン誘導体またはその薬理学的に許容される塩、或いはそれらのプロドラッグを有効量投与することを含む方法。
【請求項26】
ヒト2型アルギニンバゾプレッシン受容体を刺激することにより改善される疾患が、中枢性尿崩症、夜間頻尿および夜尿症の群から選択される請求項25記載の方法。

【公開番号】特開2007−308391(P2007−308391A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136718(P2006−136718)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】