説明

非破壊検査装置及び非破壊検査方法

【課題】磁位差計の手法を用いることにより、リフトオフの影響をとり除くことができるとともに、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂を比較的低コストかつ短時間で安定して評価できる小型軽量化が可能な非破壊検査装置を提供する。
【解決手段】非破壊検査装置は、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、被検体の外部から測定するためのピックアップコア8、第4コイル9、第2積分器10、第2パワーアンプ11、及び第3コイル12とを備え、
被検体と相対的に移動させたときに、測定する磁位差の変化を検知することで、被検体の内部の欠陥の存在を検知するためのA/Dコンバータ13及びマイクロコンピュータ1を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁位差を用いた非破壊検査装置及び非破壊検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、溶接技術が用いられる船体構造部材や橋梁構造部材等の被検体の溶接部位における亀裂損傷の検査は目視に頼るところが多く、検査の精度・効率が良いとは言えない。一方、被検体を破壊することなく被検体内部の状態を検査する従来の非破壊検査装置には、超音波、X線及び被検体の電気特性などを利用するものがある。
【0003】
超音波を利用する非破壊検査装置では、検査の対象部位の表面がきれいである必要があるため、ペイントの除去等の前処理が要求される。X線を利用する非破壊検査装置では、X線自体が人体に有害なものであり、また、X線を取り扱うためには、特別な専門知識が要求される。被検体の電気特性を利用する非破壊検査装置では、電流を被検体における検査の対象部位に流す必要があるため、非破壊検査装置を検査の対象部位に接触させる必要がある。
【0004】
したがって、非接触で被検体を検査することが可能であり、ペイントの除去等の前処理が不要であり、被検体の表面部に加え裏面部の検査も可能であり、人体に無害であるといった特徴をもち、検査員の技量に左右されない簡便な、亀裂損傷検出のための非破壊検査装置の開発が望まれる。
【0005】
ところで、原理的に被検体に電流を流す必要がある電気特性を利用した非破壊検査装置と異なり、被検体の磁気特性を用いた非破壊検査装置は、磁界を用いるため、非破壊検査装置を被検体に接触させる必要は無い。この被検体の磁気特性については、磁気ひずみによる残留応力の計測、バルクハウゼンノイズによる疲労損傷度診断、漏洩磁束によるきず検出をはじめ、多くの例がある。
【0006】
このような、従来の被検体の磁気特性を用いた非破壊検査装置の一例として、特許文献1に開示された磁気探傷装置がある。この磁気探傷装置は、磁化器の中心位置と該中心位置から離れた位置とに設けられた2つの磁気センサで、強い磁化条件の下での漏洩磁束の検出を行い、この2つの磁気センサからの2つの信号を演算することによって、両者に共通に含まれるノイズ成分をキャンセルし、S/N比の良い欠陥検出を可能としたものである。
【0007】
その他、従来の被検体の磁気特性を用いた非破壊検査装置の例としては、非特許文献1及び2に開示されたものがある。
【特許文献1】特開2000−227419号公報(平成12年8月15日公開)
【非特許文献1】橋本聖史、冨田康光、大沢直樹他2名、「磁気特性を用いた非破壊検査によるき裂損傷検出システムに関する研究」、日本造船学会講演会論文集、第4号、p131−132、平成16年11月25,26日
【非特許文献2】橋本聖史、冨田康光、大沢直樹他2名、「磁気特性を用いた非破壊検査によるき裂損傷検出システムに関する研究−その2 溶接継手部への適用−」、日本船舶海洋工学会講演会論文集、第1号、平成17年11月24,25日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、被検体の亀裂には、表面亀裂および内部亀裂があり、表面亀裂は検査面に存在するニヤサイド亀裂と裏面に存在するファーサイド亀裂とに分けられるが、前記従来の漏れ磁束を利用する磁気探傷検査では内部亀裂及びファーサイド亀裂をともに評価することが出来ないという問題点がある。
【0009】
また、人体や環境に悪影響を及ぼさない磁気を利用した非破壊検査の方法として被検体の磁気抵抗を利用する方法もあるが、この磁気抵抗を利用する方法では内部亀裂及びファーサイド亀裂も評価可能であるが、計測時のリフトオフの影響が大きく、安定した評価が困難であるという問題点もある。
【0010】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、非接触で被検体を検査することが可能であり、リフトオフの影響をとり除くことができるとともに、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂を比較的低コストかつ短時間で安定して評価でき、小型軽量化が可能な非破壊検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の非破壊検査装置は、前記課題を解決するために、被検体の内部の欠陥を検査するための非破壊検査装置であって、前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定するための磁位差測定手段と、前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する欠陥検知手段とを備えることを特徴ととしている。
【0012】
また、本発明の非破壊検査方法は、前記課題を解決するために、非破壊検査装置を用いて被検体の内部の欠陥を検査するための非破壊検査方法であって、前記非破壊検査装置に備えられた磁位差測定手段により、前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定する磁位差測定ステップと、前記非破壊検査装置に備えられた欠陥検知手段により、前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する欠陥検知ステップとを備えることを特徴としている。
【0013】
前記構成及び方法によれば、磁位差測定手段は、前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定する。それから前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する。
【0014】
それゆえ、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を用いて検査し、磁界を利用しているので、非破壊検査装置を被検体に接触させる必要がない。また、磁位差を用いて検査する場合、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁気抵抗のみを考慮すれば良いので、非破壊検査装置と被検体との距離が変化することによるリフトオフの影響をとり除くことができる。このため、安定して被検体に存在する欠陥を評価することができる。
【0015】
さらに、透過磁束を被検体の表面から深いところに透過させることで、被検体内部の様々な位置に存在する欠陥を検知することができる。なお、欠陥には、表面亀裂や、内部亀裂などの亀裂の他、被検体の特異点となる様々なものが含まれる。また、表面亀裂は、いわゆるニヤサイド亀裂、及びファーサイド亀裂に分類できるが、本発明の非破壊検査装置及び非破壊検査方法を用いることで、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂のいずれであっても評価することが可能である。ここで「ニヤサイド亀裂」とは被検体の測定面側にある表面亀裂のことであり、「ファーサイド亀裂」とは、被検体の測定面の裏側にある表面亀裂のことである。また、「内部亀裂」とは、被検体内部の亀裂のことである。
【0016】
また、前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知するだけで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知できるので、短時間で評価可能である。それから、磁位差の変化を検知するため、被検体の測定部位を磁気飽和させる必要が無く装置の小型軽量化が可能である。さらに、磁位差を用いるという簡便な方法なので回路構成も簡単であり、低コストで非破壊検査装置の作成ができる。
【0017】
以上より、非接触で被検体を検査することが可能であり、リフトオフの影響をとり除くことができるとともに、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂を比較的低コストかつ短時間で安定して評価でき、小型軽量化が可能な非破壊検査装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記2点間を結んで前記被検体の外部に設けられた磁路に、前記透過磁束の一部が透過しないように逆磁界を印加する逆磁界印加手段を備え、前記磁位差測定手段は、前記逆磁界の磁界の強さから前記2点間における磁位差を測定することが好ましい。
【0019】
前記構成によれば、逆磁界印加手段は、前記2点間を結んで前記被検体の外部に設けられた磁路に、前記透過磁束の一部が透過しないように逆磁界を印加する。また、前記磁位差測定手段は、前記逆磁界の磁界の強さから前記2点間における磁位差を測定する。
【0020】
それゆえ、前記磁路に透過磁束の一部を透過させないので、該磁路及び非破壊検査装置の磁気抵抗の影響を大幅に低減できる。このため、非破壊検査装置と被検体との距離が変化することによるリフトオフの影響をとり除くことができる。
【0021】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記被検体の外部から前記透過磁束を生じさせる外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、前記透過磁束が一定となるように前記外部磁界の強さを補正する外部磁界補正手段とを備えることが好ましい。
【0022】
前記構成によれば、外部磁界印加手段と被検体との距離が離れても、被検体内部の透過磁束が一定となる。それゆえ、前記非破壊検査装置において、非破壊検査装置と被検体との距離が変化することによるリフトオフの影響を取り除くことができる。
【0023】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記外部磁界印加手段は、流れる電流に応じて磁界を発生するコイルと、前記コイルの内部の透磁率を高め、前記外部磁界を前記被検体に印加させるための励磁コアとを備えることが好ましい。
【0024】
前記構成によれば、コイルに流れる電流に応じて、コイルに発生する磁界の強さを変化させることができる。また、励磁コアはコイル内部の透磁率を高めるような素材、例えば、アモルファスフェライトや高透磁率鋼などの高透磁率素材を用いて構成することで、記被検体に印加させる外部磁界の強さを大きく、かつ、被検体の測定部位に集中させることができる。
【0025】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記電流が交流電流であることが好ましい。
【0026】
前記構成によれば、交流の特性を変化させることで、前記透過磁界の特性を変化させることができる。例えば、交流電流又は電圧の振幅、周波数又は波形を変化させることにより、それぞれの変化に応じて透過磁界を変化させることができる。
【0027】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記交流電流の周波数を調整する周波数調整手段を備えることが好ましい。
【0028】
前記構成によれば、交流電流の周波数を変化させて、表皮効果を利用(透過磁束の被検体表面からの深さを調節)すれば、測定側の被検体表面から亀裂深さなどの計測が可能となる。例えば、表皮効果については、磁束密度が表面部の約37%となる被検体の測定面側の表面からの深さsが、交流電流の周波数ωの関数であり、次式で与えられることがわかっている。
【0029】
【数1】

【0030】
ここで、ρは被検体の抵抗率、μは被検体の透磁率である。
【0031】
それゆえ、交流の周波数ωを大きくすることにより、深さsを浅くし、周波数ωを小さくすることにより、深さsを深くすることができる。
【0032】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記交流電流の振幅を、次第に大きくした後、次第に小さくすることが好ましい。
【0033】
前記構成によれば、強い前記外部磁界を印加することによって、被検体に生じた磁化を取り除くことができ、次の測定に際し、被検体の磁化による影響を低減させることができる。
【0034】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記励磁コアの形状が、ドーナツ型の形状をm/n(m<nであり、m,nは1以上の整数とする)に分割したもののうちの一片が有する形状であることを特徴とするが好ましい。
【0035】
前記構成によれば、励磁コアがドーナツ型の形状をm/n(m<nであり、m,nは1以上の整数とする)に分割したもののうちの一片が有する形状を採用している。それゆえ、励磁コアの被検体に対する測定部である一方及び他方の端面のそれぞれを含む平面のなす角を適宜調整することができる。このため、被検体が、平板を上記平面のなす角と同じ大きさの角度で曲げたときにできる形状である場合であっても、非破壊検査装置の使用を可能とすることができる。
【0036】
また、本発明の非破壊検査装置は、前記構成に加えて、前記励磁コアにおける前記被検体に対する測定部が、まるみを帯びていることが好ましい。
【0037】
前記構成によれば、励磁コアにおける前記被検体に対する測定部が、まるみを帯びているので、非破壊検査装置の形状を変えることなく様々な形状の被検体に、励磁コアの測定部位を接触させることができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の非破壊検査装置は、以上のように、被検体の内部の欠陥を検査するための非破壊検査装置であって、前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定するための磁位差測定手段と、前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する欠陥検知手段とを備えるものである。
【0039】
また、本発明の非破壊検査方法は、以上のように、非破壊検査装置を用いて被検体の内部の欠陥を検査するための非破壊検査方法であって、前記非破壊検査装置に備えられた磁位差測定手段により、前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定する磁位差測定ステップと、前記非破壊検査装置に備えられた欠陥検知手段により、前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する欠陥検知ステップとを備える方法である。
【0040】
それゆえ、非接触で被検体を検査することが可能であり、リフトオフの影響をとり除くことができるとともに、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂を比較的低コストかつ短時間で安定して評価でき、小型軽量化が可能な非破壊検査装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明の一実施形態について図1ないし図7に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0042】
まず、図1に基づき、本発明の一実施形態である非破壊検査装置20の構成について説明する。図1は、非破壊検査装置20の構成を示すブロック図である。
【0043】
非破壊検査装置20は、被検体の内部の欠陥を検査するための装置であり、図1に示すように、マイクロコンピュータ(周波数調整手段、欠陥検知手段)1、信号発生器(外部磁界印加手段)2、プリアンプ(外部磁界印加手段)3、第1パワーアンプ(外部磁界印加手段)4、第1コイル(外部磁界印加手段,コイル)5、励磁コア(外部磁界印加手段)6、ピックアップコア(磁路)8、第4コイル(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)9、第2積分器(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)10、第2パワーアンプ(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)11、第3コイル(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)12、A/Dコンバータ(欠陥検知手段)13、第2コイル(外部磁界補正手段)14、及び第1積分器(外部磁界補正手段)15を備えるものである。
【0044】
なお、被検体7は、非破壊検査装置20の検査対象であり、通常は、磁性体で構成されるものであるが、これに限られず、磁性体を含む素材で構成されたものであれば、何であっても良い。
【0045】
マイクロコンピュータ1は、図示しない入力部の指示に従い、信号発生器2が発生する電流又は電圧の大きさや交流の場合における周波数などを制御するとともに、A/Dコンバータ13から送られてくるデジタルデータを演算処理して、図示しない表示部に処理結果を表示させるなど様々な処理を行なうものである。
【0046】
なお、マイクロコンピュータ1は、制御部、演算部、及びメモリを備えたものであればどのようなものであっても良く、非破壊検査装置20の内部及び外部のいずれに設けられたものであっても良い。
【0047】
信号発生器2は、直流や交流の電流の種類や、電流又は電圧の大きさや、交流の場合における振幅、周波数及び波形などをマイクロコンピュータ1の指示にしたがって決定し、プリアンプ3に電流を流し、又は電圧を与えるものである。
【0048】
プリアンプ3は、信号発生器2と第1積分器15とから送られてくる電流又は電圧を加算するとともに、加算した電流又は電圧を増幅して第1パワーアンプ4に送るものである。第1パワーアンプ4は、プリアンプ3から送られてくる電流又は電圧を増幅して第1コイル5に与え、又は流すものである。また、第1パワーアンプ4は、第1コイル5に与えられる電圧値、又は流れる電流値のアナログデータをA/Dコンバータ13に送るものである。
【0049】
第1コイル5は、第1パワーアンプ4から与えられ、又は流れてきた電流に応じて第1コイル5の内部に磁界を発生するものである。励磁コア6は、第1コイル5の内部の透磁率を高め、第1コイル5の内部に発生した磁界を強めて外部磁界として被検体7に印加させるためのものである。第1コイル5の内部の透磁率を高めるような素材としては、例えば、アモルファスフェライトや高透磁率鋼などの高透磁率素材などが好ましい。励磁コア6を高透磁率素材を用いて構成することで、記被検体に印加させる外部磁界の強さを大きく、かつ、被検体の測定部位に集中させることができる。
【0050】
ピックアップコア8は、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間を結んで被検体の外部に設けられた磁路を形成させるためのものである。第4コイル9は、ピックアップコア8内の磁束の変化に応じた誘導起電力を第2積分器10に与えるものである。
【0051】
第2積分器10は、第4コイル9によって与えられた誘導起電力を積分した結果を電流値又は電圧値として第2パワーアンプ11に送るものである。
【0052】
第2パワーアンプ11は、第2積分器10から送られてくる電流又は電圧を増幅して、第3コイル12及びA/Dコンバータ13に送るものである。
【0053】
第3コイル12は、第2パワーアンプ11から送られてきた電流又は電圧に応じて、被検体に印加される外部磁界と逆向きの磁界(以下「逆磁界」と呼ぶ)を印加して、ピックアップコア8内に透過磁界の一部が透過しないようにするためのものである。
【0054】
A/Dコンバータ13は、第1パワーアンプ4及び第2パワーアンプ11から得られるアナログの電流値又は電圧値をデジタルデータに変換して、測定値としてマイクロコンピュータ1に送るものである。第2コイル14は、励磁コア6内の磁束の変化に応じた誘導電圧を第1積分器15に与えるものである。
【0055】
第1積分器15は、第2コイル14によって与えられた誘導起電力を積分した結果を、プリアンプ3に送るものである。なお、プリアンプ3、第1パワーアンプ4、及び第2パワーアンプ11の増幅率は、それぞれ、第1コイル5、第2コイル14、第3コイル12、及び第4コイル9の材質や巻数や励磁コア6及びピックアップコア8の透磁率などに依存するが、目的にあわせて、あらかじめ適切な値を設定しておけば良い。
【0056】
ここで、図2(a)〜(c)に基づいて非破壊検査装置20の形態の例について説明する。図2(a)・図2(b)に示す形態は、励磁コア6の形状が、ドーナツ型の形状をそれぞれ、1/2に分割した形状・1/4に分割した形状である場合について示している。なお、このような場合に限られず、励磁コア6の形状が、m/n(m<nであり、m,nは1以上の整数とする)に分割したもののうちの一片が有する形状を採用することが可能である。
【0057】
図2(a)は、被検体の測定部位が平面的である場合に用いられる非破壊検査装置20の形態の一例である。この形態では、励磁コア6が、ドーナツ型の形状をちょうど対称軸に沿って真っ二つに切った形状(1/2分割した形状)となっている。図2(a)の下部に示される略長方形の2つの面A・Bが、ドーナツ型の形状の切り口に相当する部分である。この2つの面A・Bはほぼ同一平面上にあるため、被検体7が平面的である場合に、励磁コア6を被検体7に接触させやすい構造となっている。
【0058】
図2(b)は、被検体が直角に折れ曲がった形状である場合の欠陥を検査する場合に用いられる非破壊検査装置20の形態の他の例である。この形態では、励磁コア6が、ドーナツ型の形状を1/4分割した形状となっている。図2(b)の下部に示されるドーナツ型の形状の切り口に相当する2つの面C・Dが、図2(a)の場合と比較して、斜めに傾いている。傾き方は、右側の面Dが、図2(a)の場合と比較して、右上がりに約45度傾いている。左側の面Cは、左上がりに約45度傾いている。そうすると、この左側の面Cと、右側の面Dとは、それぞれの面を含む平面同士のなす角がほぼ90度となっているので、被検体7の形状が、平板を90度折り曲げた形状である場合に、励磁コア6を被検体7に接触させやすい構造となっている。
【0059】
これらの例でわかるとおり、半ドーナツ型の励磁コア6の被検体に対する測定部である2つの端面のそれぞれを含む平面の為す角を適宜調整することにより、被検体が、平板を上記平面のなす角と同じ大きさの角度で曲げたときにできる形状である場合であっても、非破壊検査装置の使用を可能とすることができる。
【0060】
なお、図2(c)は非破壊検査装置20の形態のさらに他の例を示すものであり、その形状は、励磁コア6における被検体7に対する測定部Eが、まるみを帯びているという特徴をもっている。このため、励磁コア6における被検体7に対する測定部Eが、まるみを帯びているので、非破壊検査装置20の形状を変えることなく様々な形状の被検体7に、励磁コアの測定部位を接触させることができる。
【0061】
次に、図1、図3(a)・図3(b)、図4(a)・図4(b)、図5(a)・図5(b)、図6及び図7に基づき、非破壊検査装置20の動作について説明する。まず、図3(a)・図3(b)に基づき、非破壊検査装置20が被検体内部の欠陥を検知する原理について説明する。図3(a)は被検体7に欠陥が無い場合の非破壊検査装置20に流れる磁束の状態を示す概略図であり、図3(b)は、被検体7に欠陥がある場合の非破壊検査装置20に流れる磁束の状態を示す概略図である。
【0062】
図3(a)に示すように被検体7に欠陥が無い場合に、励磁コア6によって被検体7の内部に生じる磁束は全部で8本あり、そのうち2本がピックアップコア8を透過している。一方、図3(b)に示すように、被検体7に欠陥がある場合に、励磁コア6によって被検体7の内部に生じる磁束は全部で8本あり、そのうち3本がピックアップコア8を透過している。欠陥が無い場合と比較して、励磁コア6によって被検体7の内部に生じる磁束の本数が1本減少し、ピックアップコア8を透過する磁束の本数が1本増加しているが、これは、欠陥によって、被検体7の磁気抵抗が大きくなったことを示している。
【0063】
そうすると、被検体7の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差は、被検体7の測定部位に欠陥が存在している場合と存在していない場合とで異なることがわかる。非破壊検査装置20は、この原理を応用したものである。
【0064】
次に、図1に基づき、非破壊検査装置20の動作について説明する。マイクロコンピュータ1の指示により、信号発生器2は、プリアンプ3に電流を流し又は電圧を与える。この電流又は電圧は直流であっても良いし、交流であっても良い。
【0065】
なお、交流を用いる場合には、交流電流又は電圧の周波数を変化させて、表皮効果を利用(透過磁束の被検体表面からの深さを調節)することができ、測定側の被検体7の表面から亀裂深さなどの計測が可能となる。例えば、表皮効果については、磁束密度が表面部の約37%となる被検体7の測定面側の表面からの深さsが、周波数ωの関数であり、次式で与えられることがわかっている。
【0066】
【数2】

【0067】
ここで、ρは被検体の抵抗率、μは被検体の透磁率である。
【0068】
それゆえ、周波数ωを大きくすることにより、深さsを浅くし、周波数ωを小さくすることにより、深さsを深くすることができる。
【0069】
また、交流電流又は電圧の振幅は、次第に大きくした後、次第に小さくすることが好ましい。そうすると強い外部磁界を印加することによって、被検体7に生じた磁化を取り除くことができ、次の測定に際し、被検体7の磁化による影響を低減させることができる。
【0070】
信号発生器2から送られてきた電流又は電圧はプリアンプ3及び第1パワーアンプ4によって増幅され、第1コイル5に送られる。この電流又は電圧に応じて第1コイル5に磁界が発生する。すなわち、第1コイル5の電流又は電圧に応じて、発生する磁界の強さを変化させることができる。第1コイル5で発生した磁界は、励磁コア6により第1コイル5の内部の透磁率が高められているため、その強さが大きくなって外部磁界として被検体7に印加される。この励磁コア6は、第1コイル5の内部の透磁率を高めるような素材、例えば、アモルファスフェライトや高透磁率鋼などの高透磁率素材を用いて構成することが好ましい。
【0071】
励磁コア6によって被検体7に外部磁界が印加されると、被検体7の内部を透過する透過磁束が生じる。この透過磁束による磁位差は、ピックアップコア8、第4コイル9、第2積分器10、第2パワーアンプ11及び第3コイル12(以下、簡単のため「磁位差測定手段」と呼ぶことがある)によって測定することができる。
【0072】
具体的には、ピックアップコア8に、透過磁束が透過すると、第4コイル9の内部の磁束が変化するので、第4コイル9には電磁誘導によって誘導起電力が生じる。第2積分器10は、該誘導起電力を積分する。該積分の結果は第2パワーアンプ11によって増幅され第3コイル12にフィードバックされる。第3コイル12は、この電流又は電圧により、外部磁界と逆向きの磁界(逆磁界)を生じるようになっている。
【0073】
そうすると、第2パワーアンプ11の増幅率を適切な値に設定すれば、ピックアップコア8内に透過磁束の一部が透過しないように逆磁界を印加させることができる。このとき、ピックアップコア8内の磁束は0となる。ピックアップコア8内の磁束が0であるときの第3コイル12に流れる電流の大きさが、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差の大きさに対応するものとなる。
【0074】
よって、ピックアップコア8内の磁束が0であるときに、第2パワーアンプ11によって増幅された電流値又は電圧を測定すれば、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を測定したのと同等の結果となる。このアナログデータの電流値また電圧値は、A/Dコンバータ13によって、デジタルデータに変換されて、測定値としてマイクロコンピュータ1に送られる。
【0075】
この電流値又は電圧値は逆磁界の磁界の強さに応じたものであるから、上記電位差又は電圧値を測定することで、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差に対応する量を測定できることになる。したがって、被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を検知することと同等である。また、被検体7と磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、被検体7の内部の欠陥の存在を検知することができる。
【0076】
このように、非破壊検査装置20では、ピックアップコア8内に透過磁束の一部が透過しないようにしているので、ピックアップコア8及び非破壊検査装置20の磁気抵抗の影響を大幅に低減させることができる。このため、非破壊検査装置20と被検体7との距離が変化することによるリフトオフの影響をとり除くことができる。なお、「リフトオフの影響」とは、非破壊検査装置20と被検体7との距離が変化することによる検査結果への影響のことである。
【0077】
ここで、第2コイル14、及び第1積分器15の動作について説明する。励磁コア6が被検体7に印加する外部磁界は、励磁コア6と被検体7との距離が大きくなると、小さくなってしまう。すなわち、より正確な測定を行なおうとする場合には、リフトオフの影響可能な限り取り除くことが必要となる。
【0078】
第2コイル14、及び第1積分器15はこのリフトオフの影響を可能な限り除くために設けられている。励磁コア6と被検体7との距離が大きくなると、それに応じて、励磁コア6の磁束が変化する。すると、第2コイル14にはこの磁束の変化により誘導起電力が生じる。この誘導起電力は第1積分器15で積分されて、プリアンプ3に送られる。電磁誘導の法則によれば、第2コイル14は、励磁コア6内の磁束の変化に応じた誘導起電力が生じる。
【0079】
そこで、第1積分器15から出る電流又は電圧を第1コイル5に流れる電流又は電圧に適切に増幅してフィードバックさせれば、励磁コア6内の磁束を一定に保つことができる。すなわち、被検体7の外部から透過磁束を生じさせる外部磁界を一定に保つことができる。それゆえ、非破壊検査装置20において、非破壊検査装置20と被検体7との距離が変化することによるリフトオフの影響を取り除くことができる。
【0080】
以上より、非破壊検査装置20は、被検体7の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を用いて検査し、磁界の性質を利用しているので、非破壊検査装置20を被検体7に接触させる必要がない。また、磁位差を用いて検査する場合、被検体7の内部を透過する透過磁束の2点間における磁気抵抗のみを考慮すれば良いので、非破壊検査装置20と被検体7との距離が変化することによるリフトオフの影響をとり除くことができる。このため、安定して被検体7に存在する欠陥を評価することができる。
【0081】
さらに、透過磁束を被検体7の表面から深いところに透過させることで、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂を評価することも可能である。ここで「ニヤサイド亀裂」とは被検体7の測定面側にある表面亀裂のことであり、「ファーサイド亀裂」とは、被検体7の測定面の裏側にある表面亀裂のことである。また、「内部亀裂」とは、被検体7の内部の亀裂のことである。
【0082】
また、被検体7と磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知するだけで、被検体7の内部の欠陥の存在を検知できるので、短時間で被検体の評価可能である。それから、磁位差の変化を検知するため、被検体7の測定部位を磁気飽和させる必要が無く非破壊検査装置20の小型軽量化が可能である。さらに、磁位差を用いるという簡便な方法なので回路構成も簡単であり、低コストで非破壊検査装置20の作成ができる。
【0083】
以上より、非接触で被検体を検査することが可能であり、リフトオフの影響をとり除くことができるとともに、ニヤサイド亀裂、ファーサイド亀裂及び内部亀裂を比較的低コストかつ短時間で安定して評価でき、小型軽量化が可能な非破壊検査装置20を提供することができる。
【0084】
ここで、図4(a)・図4(b)と図5(a)・図5(b)との比較に基づき、実際に非破壊検査装置20に構成して、磁位差の変化を測定した結果について説明する。
【0085】
図4(a)は、被検体7に欠陥が無い場合のピックアップコア8の測定結果を示す図であり、図4(b)は、被検体7に欠陥が無い場合の励磁コア6の測定結果を示す図である。一方、図5(a)は、被検体に欠陥が存在する場合のピックアップコアの測定結果を示す図であり、図5(b)は、被検体に欠陥が存在する場合の励磁コアの測定結果を示す図である。但し、これらの図においては磁位差の変化ではなく、励磁コア6及びピックアップコア8における磁束の変化としてグラフ化したものである。横軸のTimeは時間を示し、縦軸のFlaxは、磁束を示している。
【0086】
図4(a)・図5(a)を比較すると、ピックアップコア8の測定結果に顕著な差異が見られる。図4(a)に示すように、欠陥(Crack)が無い場合の、ピックアップコア8内の磁束の変化の絶対値は2桁のオーダである。一方、図5(a)に示すように、欠陥がある場合の磁束の変化は、3桁のオーダである。このことは、ピックアップコア8内の磁束の変化、すなわち、対応する磁位差の変化を検知することで、被検体7内の欠陥を検知することが可能であることを示している。
【0087】
なお、図4(b)・図5(b)を対比してみると、励磁コア6内の磁束の変化はほとんど無く、ピックアップコア8の測定結果の差は、亀裂(欠陥)の有無に起因するものであることがわかる。
【0088】
次に、図6に基づき、第2コイル14及び第1積分器15(以下、簡単のため、「外部磁界補正部」と呼ぶことがある。)を非破壊検査装置20が備えている場合と備えていない場合とを比較した結果について説明する。
【0089】
横軸は、励磁コア6と被検体7との距離(空隙)であり、縦軸は励磁コア6の空隙の変化に対するコア磁束の比率である。実線は、外部磁界補正部によって制御されている場合を示し、破線は、外部磁界補正部によって制御されていない場合を示している。図6に示すように、非破壊検査装置20に外部磁界補正部を設けることにより、励磁コア6内の磁束がほぼ一定に保たれていることがわかる。
【0090】
次に、図7に基づき、図1の信号発生器2が流す電流として交流を用いた場合において、周波数を変化させたときの、ピックアップコア8による検出信号の感度の測定結果について説明する。図7では、被検体7が有する欠陥が、ファーサイド亀裂である場合についての測定結果を示している。
【0091】
横軸は、励磁コア6に与えられる交流電流の周波数であり、縦軸は、周波数を変化させていないときの磁束密度と、周波数を変化させたときの磁束密度との比(Bm/B0)であり、ピックアップコア8による検出信号の感度を示す。
【0092】
図7に示すように、周波数が小さくなるほど感度が大きくなっていることがわかる。
【0093】
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明は、船舶や橋梁等の溶接鋼構造物における亀裂損傷などの検出や、発電プラントや化学プラントにおける鋼材やマルテンサイト系ステンレスなどで作られた配管等の亀裂損傷などの検出など、磁性体で構成される被検体の亀裂損傷などを検出する検査装置などに広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明における非破壊検査装置の構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は前記非破壊検査装置の実施の形態を示す図であり、(b)は前記非破壊検査装置の他の実施の形態を示す図であり、(c)は前記非破壊検査装置のさらに他の実施の形態を示す図である。
【図3】(a)は被検体に欠陥が無い場合の前記非破壊検査装置に流れる磁束の状態を示す概略図であり、(b)は、被検体に欠陥がある場合の前記非破壊検査装置に流れる磁束の状態を示す概略図である。
【図4】(a)は、被検体に欠陥が無い場合のピックアップコアでの測定結果を示す図であり、(b)は、被検体に欠陥が無い場合の励磁コアでの測定結果を示す図である。
【図5】(a)は、被検体に欠陥が存在する場合のピックアップコアでの測定結果を示す図であり、(b)は、被検体に欠陥が存在する場合の励磁コアでの測定結果を示す図である。
【図6】励磁コアの磁束が一定値を取るように制御したときの状態を示す図である。
【図7】第1コイルに、交流電流を流し、その周波数を変化させたときの前記非破壊検査装置の感度を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 マイクロコンピュータ(周波数調整手段、欠陥検知手段)
2 信号発生器(外部磁界印加手段)
3 プリアンプ(外部磁界印加手段)
4 第1パワーアンプ(外部磁界印加手段)
5 第1コイル(外部磁界印加手段、コイル)
6 励磁コア(外部磁界印加手段)
7 被検体
8 ピックアップコア(磁路、磁位差測定手段)
9 第4コイル(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)
10 第2積分器(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)
11 第2パワーアンプ(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)
12 第3コイル(逆磁界印加手段、磁位差測定手段)
13 A/Dコンバータ(欠陥検知手段)
14 第2コイル(外部磁界補正手段)
15 第1積分器(外部磁界補正手段)
20 非破壊検査装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の内部の欠陥を検査するための非破壊検査装置であって、
前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定するための磁位差測定手段と、
前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する欠陥検知手段とを備えることを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項2】
前記2点間を結んで前記被検体の外部に設けられた磁路に、前記透過磁束の一部が透過しないように逆磁界を印加する逆磁界印加手段を備え、
前記磁位差測定手段は、
前記逆磁界の磁界の強さから前記2点間における磁位差を測定することを特徴とする請求項1に記載の非破壊検査装置。
【請求項3】
前記被検体の外部から前記透過磁束を生じさせる外部磁界を印加する外部磁界印加手段と、
前記透過磁束が一定となるように前記外部磁界の強さを補正する外部磁界補正手段とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の非破壊検査装置。
【請求項4】
前記外部磁界印加手段は、流れる電流に応じて磁界を発生するコイルと、
前記コイルの内部の透磁率を高め、前記外部磁界を前記被検体に印加させるための励磁コアとを備えることを特徴とする請求項3に記載の非破壊検査装置。
【請求項5】
前記電流が交流電流であることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項6】
前記交流電流の周波数を調整する周波数調整手段を備えることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項7】
前記交流電流の振幅を、次第に大きくした後、次第に小さくすることを特徴とする請求項5又は6に記載の非破壊検査装置。
【請求項8】
前記励磁コアの形状が、ドーナツ型の形状をm/n(m<nであり、m,nは1以上の整数とする)に分割したもののうちの一片が有する形状であることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項9】
前記励磁コアにおける前記被検体に対する測定部が、まるみを帯びていることを特徴とする請求項4に記載の非破壊検査装置。
【請求項10】
非破壊検査装置を用いて被検体の内部の欠陥を検査するための非破壊検査方法であって、
前記非破壊検査装置に備えられた磁位差測定手段により、前記被検体の内部を透過する透過磁束の2点間における磁位差を、前記被検体の外部から測定する磁位差測定ステップと、
前記非破壊検査装置に備えられた欠陥検知手段により、前記被検体と前記磁位差測定手段とを相対的に移動させたときに、前記磁位差測定手段が測定する磁位差の変化を検知することで、前記被検体の内部の欠陥の存在を検知する欠陥検知ステップとを備えることを特徴とする非破壊検査方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−48552(P2010−48552A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−337383(P2006−337383)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】