面状体及びタッチスイッチ
【課題】視認性を向上させることができると共に、効率よく製造することができる面状体及びタッチスイッチを提供する。
【解決手段】複数の導体線Lによって網目状に形成される網目状電極12を基板11の一方面に備える面状体1であって、網目状電極12は、間隔をあけて配置される複数の導電部領域12aと、各導電部領域12aの間に配置される非導電部領域12bとに区画されており、非導電部領域12bは、導体線Lを切断する複数の切断部4を備えており、切断部4によって非導電部領域12bは、隣接する前記導電部領域間を絶縁する面状体1。
【解決手段】複数の導体線Lによって網目状に形成される網目状電極12を基板11の一方面に備える面状体1であって、網目状電極12は、間隔をあけて配置される複数の導電部領域12aと、各導電部領域12aの間に配置される非導電部領域12bとに区画されており、非導電部領域12bは、導体線Lを切断する複数の切断部4を備えており、切断部4によって非導電部領域12bは、隣接する前記導電部領域間を絶縁する面状体1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状体及びタッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューターや電子機器において、押しボタンを用いずにディスプレイの表示を利用した操作の開発が盛んである。その操作のために、ディスプレイの前面にタッチスイッチを配置して、タッチ位置を検出する。タッチスイッチの種類としては、抵抗膜式、表面弾性波式、赤外線方式などがあり、指のタッチや近接による静電容量の変化で位置を検出する静電容量式もある。例えば、特許文献1には、図10及び図11に示すようなマトリクス状の電極(X方向、Y方向の2層構造)の静電容量式タッチスイッチが記載されている。
【0003】
このような静電容量式タッチスイッチの構造を模式的に表した概略構成平面図である図12及びその断面図である図13を用いて説明すると、従来の静電容量式タッチスイッチ100は、基板101の一方面に帯状にパターニングされたITOなどからなる透明の第1電極102が形成された第1面状体103と、基板104の一方面に帯状にパターニングされたITOなどからなる透明の第2電極105が形成された第2面状体106とを備えており、第1面状体103と第2面状体106とは、それぞれの第1電極及び第2電極とが互いに対向するようにして、粘着層107を介して貼着されている。
【0004】
面状体の任意の位置に指などで触れると、電極102及び105は接触位置において人体の静電容量に基づく電圧等の変化を検出することによって、接触位置の座標が演算される。
【0005】
しかしながらITOの抵抗率は高く、200Ω/□〜1000Ω/□が一般的である。このため、タッチスイッチのサイズが大型化するとともに、電極の端子間抵抗値が増加し、これに伴い静電容量検出の感度が低下し、タッチスイッチとして動作させることが困難になる。
【0006】
また、特許文献2にはITOを使用しない静電容量式のタッチスイッチが開示されている。銅または銅合金からなる電極を網目状に形成することにより、電極の透過率を70%以上にしており、視認性を維持したまた低抵抗の電極を形成している。
【0007】
しかしながら、特許文献2の電極は基板の1面のみであり、特許文献1に記載されているような、第1電極及び第2電極の2層の電極で形成した場合、第1面状体及び第2面状体を重ね合わせた際に、網目密度のバラツキ(網目の偏り)が生じ、視認性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2006−511879号公報
【特許文献2】特開2006−344163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ITOを使用しない2層の電極を貼り合せたタッチパネルにおいて、視認性が低下しないタッチパネル及びこのようなタッチパネルを構成する面状体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、複数の導体線によって網目状に形成される網目状電極を基板の一方面に備える面状体であって、前記網目状電極は、間隔をあけて配置される複数の導電部領域と、前記各導電部領域の間に配置される非導電部領域とに区画されており、前記非導電部領域は、前記導体線を切断する複数の切断部を備えており、前記切断部によって前記非導電部領域は、隣接する前記導電部領域間を絶縁する面状体により達成できる。
【0011】
この面状体において、前記切断部は、前記網目状電極の交差部に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記網目状電極の網目ピッチは、100μm〜1000μmであることが好ましい。
【0013】
また、前記導電部領域は、両端部間の導通性を阻害しない範囲で前記導体線を切断する複数の切断部を備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の上記目的は、前記面状体を複数備え、各面状体は、粘着層を介して貼着される静電容量式のタッチスイッチにより達成される。
【0015】
また、このタッチスイッチにおいて、一方の面状体における前記導電部領域と、他方の面状体における前記導電部領域とが、互いに直交するように配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、視認性を向上させることができると共に、効率よく製造することができる面状体及びタッチスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチスイッチの概略構成要部断面図である。
【図2】図1に示すタッチスイッチが有する第1面状体の平面図である。
【図3】図1に示すタッチスイッチが有する第2面状体の平面図である。
【図4】(a)は図2の要部拡大図であり、(b)は要部拡大図である。
【図5】図2に示す第1面状体の網目状電極における導電部領域及び非導電部領域との境界を示す構成図である。
【図6】図3に示す第2面状体の網目状電極における導電部領域及び非導電部領域との境界を示す構成図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るタッチスイッチの平面図である。
【図8】第1面状体と第2面状体とを貼着した状体を示す平面図である。
【図9】本発明に係る面状体の変形例を示す平面図である。
【図10】従来のマトリクス状電極を有する静電容量式タッチスイッチの平面図である。
【図11】従来のマトリクス状電極を有する静電容量式タッチスイッチの平面図である。
【図12】従来の静電容量式タッチスイッチを模式的に表す概略構成平面図である。
【図13】図12の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチスイッチの概略構成要部拡大断面図である。このタッチスイッチ5は、静電容量式のタッチスイッチであり、図2及び図3に示すように、基板11の一方面に網目状電極12が形成された第1面状体1と、基板21の一方面に網目状電極22が形成された第2面状体2とを備えている。なお、図2は、第1面状体1の平面図であり、図3は、第2面状体2の平面図である。第1面状体1と第2面状体2とは、それぞれの網目状電極12,22が互いに対向するようにして、粘着層3を介して貼着されて一体化されている。なお、第1面状体1及び第2面状体2とは、後述する第1面状体1の導電部領域12aと、第2面状体2の導電部領域22aとが互いに直交するように貼着されている。
【0020】
基板11、21は誘電体基板である。基板11、21の材料は、ガラス、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレートなどの透明材料が挙げられる。ガラスであれば、厚みは約0.1〜3mmが好ましく、プラスチックフィルムであれば厚みは約10〜2000μmが好ましい。また、これらの材料を多層に積層してもよい。
【0021】
図2、図3及びこれらの要部拡大図である図4(a)(b)に示すように、第1面状体1及び第2面状体2の一方面にそれぞれ形成される網目状電極12,22は、複数の導体線Lによって網目状に形成される電極である。
【0022】
また、各網目状電極12,22は、所定間隔をあけて略並行に配置される複数の導電部領域12a,22aと、各導電部領域の間に配置される非導電部領域12b,22bとに区画されている。図5は、図2の導電部領域12a及び非導電部領域12bとの境界を示す構成図であり、図6は、図3の導電部領域22a及び非導電部領域22bとの境界を示す構成図である。両図共に、グレーに着色されている部分が導電部領域12a,22aを表している。導電部領域12a,22aは、導電性インクなどから成る引き廻し回路(図示せず)を介して外部の駆動回路(図示せず)に接続される。
【0023】
また、非導電部領域12b(22b)は、導体線Lを島状に切断する複数の切断部4を備えており、当該切断部4によって非導電部領域12b(22b)が、隣接する導電部領域間を絶縁できるように構成されている。本実施形態においては、切断部4は、網目状電極12,22を形成する複数の導体線Lの交差部に形成されている。切断部4の切断幅は、例えば、導体線Lの線幅と同程度か、あるいは、導体線Lの線幅の数倍程度である。
【0024】
このように非導電部領域12b,22bが導体線Lを切断する切断部4を備えているため、網目状電極12,22の非導電部領域12b,22bにおける絶縁性を確保することができる。これにより、第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせてタッチスイッチ5を構成した場合、第1面状体1又は第2面状体2のいずれか一方における網目状電極12(22)の非導電部領域12b(22b)が、他方の面状体の網目状電極22(12)のセンシングに悪影響を及ぼすことが無く、安定した静電容量検出が可能になる。
【0025】
導体線Lの線幅は、例えば、10〜30μmとなるように形成されている。また、各導体線Lのピッチは、100〜1000μmとなるように形成されている。導体線Lの厚みは、通常1〜30μm程度である。網目状電極12,22のパターン形状を目立ちにくくして視認性を向上させる観点からは、導体線Lの厚みはできる限り小さいことが好ましいが、薄くなりすぎると網目状電極12,22の必要な耐久性・耐候性を得ることが困難になることから、好ましくは10〜30μm程度である。このような寸法を有する網目状電極12,22は、各導体線Lの線幅が非常に細く、線幅に対するピッチが十分に大きいため目立ちにくい。
【0026】
網目状電極12,22を形成する導体線Lの形成方法は、(i)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板12の上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(ii)銅などの金属箔を透明基板12の上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。
【0027】
また、導体線Lの形成方法は、上記(i)、(ii)の形成方法に限定されることはない。上記(i)以外のグラビア印刷などの印刷法や上記(ii)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
【0028】
網目状電極12,22における導電部領域12a,22aの形状は、図2〜図6に示すように、複数の菱形状が直線状に連結された構成とし、各導電部領域12a,22aにおける菱形状導電部領域の連結方向が互いに直交し、且つ、図7に示すように、第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせた場合に、上下の菱形状導電部領域が重なり合わないように配置している。なお、導電部領域12a,22aの形状は、指などの接触ポイントを検出可能である限り、例えば直線状など任意の形状とすることが可能である。
【0029】
第1面状体1と第2面状体2との貼着は、空気層が介在しないように、粘着層3を全体に介在させて行うことが好ましい。粘着層3は、エポキシ系やアクリル系など、一般的な透明接着剤を用いることができ、ノルボルネン系樹脂の透明性フィルムからなる芯材を含むものであってもよい。粘着層3の厚みは、例えば500μm以下であることが好ましい。また、シート状粘着材を複数枚重ね合わせることにより粘着層3を形成してもよく、更に、複数種類のシート状粘着材を重ね合わせて形成してもよい。
【0030】
また、例えば、第1面状体1における網目状電極12の各網目の中心に、第2面状体2における網目状電極22の各網目の交点が配置されるように、かつ、網目状電極12の網目を形成する導体線Lが、網目状電極22の網目を形成する導体線Lと直交するように第1面状体1と第2面状体2とを貼着すると、図8に示すように、見た目が全体的に均一なメッシュパターンとなるので特に好ましい。なお、図8は、図4の(a)及び(b)を貼着した図に相当する。
【0031】
第1面状体1と第2面状体2とを貼着して形成されたタッチスイッチ5は、例えば、ブラックマトリクスが形成されているディスプレイに取り付けられて使用されるが、ディスプレイへの取り付けに際しては、ブラックマトリクスに対して、導電部領域12a,22a及び非導電部領域12b,22bの網目模様が斜方向になるようにするのが好ましい。ブラックマトリクスと網目模様が同方向に並ぶとモアレが発現するため、それを避けるためである。傾斜角は、実際に使用するディスプレイに合わせてモアレが発現しにくい角度に適宜調整する。
【0032】
以上の構成を備えるタッチスイッチ5において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチスイッチと同様であり、電極12a及び22bの接触位置において人体の静電容量に基づく電圧等の変化を検出することによって、接触位置の座標が演算される。
【0033】
本実施形態に係るタッチスイッチ5においては、第1面状体1及び第2面状体2が有する網目状電極12,22を、帯状の導電部領域12a,22aと非導電部領域12b,22bとに区画し、非導電部領域12b,22bが、導体線Lを断続的に切断する複数の切断部4を備えるように構成しているので、非導電部領域12b,22bの電気絶縁性を確保しつつ、第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせた際に、網目密度のバラツキが発生することを効果的に抑制することができる。網目密度のバラツキを抑制できる結果、網目状電極12,22のパターン形状を目立ちにくくすることができ、視認性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る網目状電極12,22は、所定のマスクパターンを有するマスクを用いて導電性を有する材料を含むインクにより印刷形成することができるので、第1面状体1及び第2面状体2を効率よく製造することが可能になる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、網目状電極12,22における非導電部領域12b,22bが有する切断部4を複数の導体線Lの交差部に設けるようにしているが、非導電部領域12b,22bにおける絶縁性が確保される位置であればどこに切断部4を設けてもよく、また、その長さも任意に設定できる。
【0036】
また、上記実施形態においては、非導電部領域12b,22bのみが導体線Lを切断する切断部4を備えるように構成しているが、各導電部領域12a,22aの両端部121,122(221,222)間での導通性を阻害しない範囲で、図9に示すように、導電部領域12a,22aにおける導体線Lを切断する切断部4aを部分的に設けるように構成してもよい。このような構成により、視認性の向上をより一層図ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 第1面状体
11 基板
12 網目状電極
12a 導電部領域
12b 非導電部領域
2 第2面状体
21 基板
22 網目状電極
22a 導電部領域
22b 非導電部領域
3 粘着層
4、4a 切断部
5 タッチスイッチ
L 導体線
【技術分野】
【0001】
本発明は、面状体及びタッチスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピューターや電子機器において、押しボタンを用いずにディスプレイの表示を利用した操作の開発が盛んである。その操作のために、ディスプレイの前面にタッチスイッチを配置して、タッチ位置を検出する。タッチスイッチの種類としては、抵抗膜式、表面弾性波式、赤外線方式などがあり、指のタッチや近接による静電容量の変化で位置を検出する静電容量式もある。例えば、特許文献1には、図10及び図11に示すようなマトリクス状の電極(X方向、Y方向の2層構造)の静電容量式タッチスイッチが記載されている。
【0003】
このような静電容量式タッチスイッチの構造を模式的に表した概略構成平面図である図12及びその断面図である図13を用いて説明すると、従来の静電容量式タッチスイッチ100は、基板101の一方面に帯状にパターニングされたITOなどからなる透明の第1電極102が形成された第1面状体103と、基板104の一方面に帯状にパターニングされたITOなどからなる透明の第2電極105が形成された第2面状体106とを備えており、第1面状体103と第2面状体106とは、それぞれの第1電極及び第2電極とが互いに対向するようにして、粘着層107を介して貼着されている。
【0004】
面状体の任意の位置に指などで触れると、電極102及び105は接触位置において人体の静電容量に基づく電圧等の変化を検出することによって、接触位置の座標が演算される。
【0005】
しかしながらITOの抵抗率は高く、200Ω/□〜1000Ω/□が一般的である。このため、タッチスイッチのサイズが大型化するとともに、電極の端子間抵抗値が増加し、これに伴い静電容量検出の感度が低下し、タッチスイッチとして動作させることが困難になる。
【0006】
また、特許文献2にはITOを使用しない静電容量式のタッチスイッチが開示されている。銅または銅合金からなる電極を網目状に形成することにより、電極の透過率を70%以上にしており、視認性を維持したまた低抵抗の電極を形成している。
【0007】
しかしながら、特許文献2の電極は基板の1面のみであり、特許文献1に記載されているような、第1電極及び第2電極の2層の電極で形成した場合、第1面状体及び第2面状体を重ね合わせた際に、網目密度のバラツキ(網目の偏り)が生じ、視認性が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2006−511879号公報
【特許文献2】特開2006−344163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、ITOを使用しない2層の電極を貼り合せたタッチパネルにおいて、視認性が低下しないタッチパネル及びこのようなタッチパネルを構成する面状体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の上記目的は、複数の導体線によって網目状に形成される網目状電極を基板の一方面に備える面状体であって、前記網目状電極は、間隔をあけて配置される複数の導電部領域と、前記各導電部領域の間に配置される非導電部領域とに区画されており、前記非導電部領域は、前記導体線を切断する複数の切断部を備えており、前記切断部によって前記非導電部領域は、隣接する前記導電部領域間を絶縁する面状体により達成できる。
【0011】
この面状体において、前記切断部は、前記網目状電極の交差部に形成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記網目状電極の網目ピッチは、100μm〜1000μmであることが好ましい。
【0013】
また、前記導電部領域は、両端部間の導通性を阻害しない範囲で前記導体線を切断する複数の切断部を備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の上記目的は、前記面状体を複数備え、各面状体は、粘着層を介して貼着される静電容量式のタッチスイッチにより達成される。
【0015】
また、このタッチスイッチにおいて、一方の面状体における前記導電部領域と、他方の面状体における前記導電部領域とが、互いに直交するように配置されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、視認性を向上させることができると共に、効率よく製造することができる面状体及びタッチスイッチを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係るタッチスイッチの概略構成要部断面図である。
【図2】図1に示すタッチスイッチが有する第1面状体の平面図である。
【図3】図1に示すタッチスイッチが有する第2面状体の平面図である。
【図4】(a)は図2の要部拡大図であり、(b)は要部拡大図である。
【図5】図2に示す第1面状体の網目状電極における導電部領域及び非導電部領域との境界を示す構成図である。
【図6】図3に示す第2面状体の網目状電極における導電部領域及び非導電部領域との境界を示す構成図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るタッチスイッチの平面図である。
【図8】第1面状体と第2面状体とを貼着した状体を示す平面図である。
【図9】本発明に係る面状体の変形例を示す平面図である。
【図10】従来のマトリクス状電極を有する静電容量式タッチスイッチの平面図である。
【図11】従来のマトリクス状電極を有する静電容量式タッチスイッチの平面図である。
【図12】従来の静電容量式タッチスイッチを模式的に表す概略構成平面図である。
【図13】図12の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実態形態について添付図面を参照して説明する。尚、各図面は、構成の理解を容易にするため、実寸比ではなく部分的に拡大又は縮小されている。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るタッチスイッチの概略構成要部拡大断面図である。このタッチスイッチ5は、静電容量式のタッチスイッチであり、図2及び図3に示すように、基板11の一方面に網目状電極12が形成された第1面状体1と、基板21の一方面に網目状電極22が形成された第2面状体2とを備えている。なお、図2は、第1面状体1の平面図であり、図3は、第2面状体2の平面図である。第1面状体1と第2面状体2とは、それぞれの網目状電極12,22が互いに対向するようにして、粘着層3を介して貼着されて一体化されている。なお、第1面状体1及び第2面状体2とは、後述する第1面状体1の導電部領域12aと、第2面状体2の導電部領域22aとが互いに直交するように貼着されている。
【0020】
基板11、21は誘電体基板である。基板11、21の材料は、ガラス、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレートなどの透明材料が挙げられる。ガラスであれば、厚みは約0.1〜3mmが好ましく、プラスチックフィルムであれば厚みは約10〜2000μmが好ましい。また、これらの材料を多層に積層してもよい。
【0021】
図2、図3及びこれらの要部拡大図である図4(a)(b)に示すように、第1面状体1及び第2面状体2の一方面にそれぞれ形成される網目状電極12,22は、複数の導体線Lによって網目状に形成される電極である。
【0022】
また、各網目状電極12,22は、所定間隔をあけて略並行に配置される複数の導電部領域12a,22aと、各導電部領域の間に配置される非導電部領域12b,22bとに区画されている。図5は、図2の導電部領域12a及び非導電部領域12bとの境界を示す構成図であり、図6は、図3の導電部領域22a及び非導電部領域22bとの境界を示す構成図である。両図共に、グレーに着色されている部分が導電部領域12a,22aを表している。導電部領域12a,22aは、導電性インクなどから成る引き廻し回路(図示せず)を介して外部の駆動回路(図示せず)に接続される。
【0023】
また、非導電部領域12b(22b)は、導体線Lを島状に切断する複数の切断部4を備えており、当該切断部4によって非導電部領域12b(22b)が、隣接する導電部領域間を絶縁できるように構成されている。本実施形態においては、切断部4は、網目状電極12,22を形成する複数の導体線Lの交差部に形成されている。切断部4の切断幅は、例えば、導体線Lの線幅と同程度か、あるいは、導体線Lの線幅の数倍程度である。
【0024】
このように非導電部領域12b,22bが導体線Lを切断する切断部4を備えているため、網目状電極12,22の非導電部領域12b,22bにおける絶縁性を確保することができる。これにより、第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせてタッチスイッチ5を構成した場合、第1面状体1又は第2面状体2のいずれか一方における網目状電極12(22)の非導電部領域12b(22b)が、他方の面状体の網目状電極22(12)のセンシングに悪影響を及ぼすことが無く、安定した静電容量検出が可能になる。
【0025】
導体線Lの線幅は、例えば、10〜30μmとなるように形成されている。また、各導体線Lのピッチは、100〜1000μmとなるように形成されている。導体線Lの厚みは、通常1〜30μm程度である。網目状電極12,22のパターン形状を目立ちにくくして視認性を向上させる観点からは、導体線Lの厚みはできる限り小さいことが好ましいが、薄くなりすぎると網目状電極12,22の必要な耐久性・耐候性を得ることが困難になることから、好ましくは10〜30μm程度である。このような寸法を有する網目状電極12,22は、各導体線Lの線幅が非常に細く、線幅に対するピッチが十分に大きいため目立ちにくい。
【0026】
網目状電極12,22を形成する導体線Lの形成方法は、(i)極微細な導電性粒子を含む導電性ペーストを透明基板12の上にスクリーン印刷する方法(特開2007−142334等参照)、(ii)銅などの金属箔を透明基板12の上に積層し、金属箔の上にレジストパターンを形成し、金属箔をエッチングする方法(特開2008−32884等参照)が挙げられる。
【0027】
また、導体線Lの形成方法は、上記(i)、(ii)の形成方法に限定されることはない。上記(i)以外のグラビア印刷などの印刷法や上記(ii)以外のフォトリソグラフィを使用してもよい。
【0028】
網目状電極12,22における導電部領域12a,22aの形状は、図2〜図6に示すように、複数の菱形状が直線状に連結された構成とし、各導電部領域12a,22aにおける菱形状導電部領域の連結方向が互いに直交し、且つ、図7に示すように、第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせた場合に、上下の菱形状導電部領域が重なり合わないように配置している。なお、導電部領域12a,22aの形状は、指などの接触ポイントを検出可能である限り、例えば直線状など任意の形状とすることが可能である。
【0029】
第1面状体1と第2面状体2との貼着は、空気層が介在しないように、粘着層3を全体に介在させて行うことが好ましい。粘着層3は、エポキシ系やアクリル系など、一般的な透明接着剤を用いることができ、ノルボルネン系樹脂の透明性フィルムからなる芯材を含むものであってもよい。粘着層3の厚みは、例えば500μm以下であることが好ましい。また、シート状粘着材を複数枚重ね合わせることにより粘着層3を形成してもよく、更に、複数種類のシート状粘着材を重ね合わせて形成してもよい。
【0030】
また、例えば、第1面状体1における網目状電極12の各網目の中心に、第2面状体2における網目状電極22の各網目の交点が配置されるように、かつ、網目状電極12の網目を形成する導体線Lが、網目状電極22の網目を形成する導体線Lと直交するように第1面状体1と第2面状体2とを貼着すると、図8に示すように、見た目が全体的に均一なメッシュパターンとなるので特に好ましい。なお、図8は、図4の(a)及び(b)を貼着した図に相当する。
【0031】
第1面状体1と第2面状体2とを貼着して形成されたタッチスイッチ5は、例えば、ブラックマトリクスが形成されているディスプレイに取り付けられて使用されるが、ディスプレイへの取り付けに際しては、ブラックマトリクスに対して、導電部領域12a,22a及び非導電部領域12b,22bの網目模様が斜方向になるようにするのが好ましい。ブラックマトリクスと網目模様が同方向に並ぶとモアレが発現するため、それを避けるためである。傾斜角は、実際に使用するディスプレイに合わせてモアレが発現しにくい角度に適宜調整する。
【0032】
以上の構成を備えるタッチスイッチ5において、タッチ位置の検出方法は、従来の静電容量式のタッチスイッチと同様であり、電極12a及び22bの接触位置において人体の静電容量に基づく電圧等の変化を検出することによって、接触位置の座標が演算される。
【0033】
本実施形態に係るタッチスイッチ5においては、第1面状体1及び第2面状体2が有する網目状電極12,22を、帯状の導電部領域12a,22aと非導電部領域12b,22bとに区画し、非導電部領域12b,22bが、導体線Lを断続的に切断する複数の切断部4を備えるように構成しているので、非導電部領域12b,22bの電気絶縁性を確保しつつ、第1面状体1及び第2面状体2を重ね合わせた際に、網目密度のバラツキが発生することを効果的に抑制することができる。網目密度のバラツキを抑制できる結果、網目状電極12,22のパターン形状を目立ちにくくすることができ、視認性を向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態に係る網目状電極12,22は、所定のマスクパターンを有するマスクを用いて導電性を有する材料を含むインクにより印刷形成することができるので、第1面状体1及び第2面状体2を効率よく製造することが可能になる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態においては、網目状電極12,22における非導電部領域12b,22bが有する切断部4を複数の導体線Lの交差部に設けるようにしているが、非導電部領域12b,22bにおける絶縁性が確保される位置であればどこに切断部4を設けてもよく、また、その長さも任意に設定できる。
【0036】
また、上記実施形態においては、非導電部領域12b,22bのみが導体線Lを切断する切断部4を備えるように構成しているが、各導電部領域12a,22aの両端部121,122(221,222)間での導通性を阻害しない範囲で、図9に示すように、導電部領域12a,22aにおける導体線Lを切断する切断部4aを部分的に設けるように構成してもよい。このような構成により、視認性の向上をより一層図ることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 第1面状体
11 基板
12 網目状電極
12a 導電部領域
12b 非導電部領域
2 第2面状体
21 基板
22 網目状電極
22a 導電部領域
22b 非導電部領域
3 粘着層
4、4a 切断部
5 タッチスイッチ
L 導体線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導体線によって網目状に形成される網目状電極を基板の一方面に備える面状体であって、
前記網目状電極は、間隔をあけて配置される複数の導電部領域と、前記各導電部領域の間に配置される非導電部領域とに区画されており、
前記非導電部領域は、前記導体線を切断する複数の切断部を備えており、
前記切断部によって前記非導電部領域は、隣接する前記導電部領域間を絶縁する面状体。
【請求項2】
前記切断部は、前記網目状電極の交差部に形成されている請求項1に記載の面状体。
【請求項3】
前記網目状電極の網目ピッチは、100μm〜1000μmである請求項1又は請求項2に記載の面状体。
【請求項4】
前記導電部領域は、両端部間の導通性を阻害しない範囲で前記導体線を切断する切断部を備える請求項1から3のいずれかに記載の面状体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の面状体を複数備え、
前記各面状体は、粘着層を介して貼着される静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項6】
一方の面状体における前記導電部領域と、他方の面状体における前記導電部領域とが、互いに直交するように配置されている請求項5に記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項1】
複数の導体線によって網目状に形成される網目状電極を基板の一方面に備える面状体であって、
前記網目状電極は、間隔をあけて配置される複数の導電部領域と、前記各導電部領域の間に配置される非導電部領域とに区画されており、
前記非導電部領域は、前記導体線を切断する複数の切断部を備えており、
前記切断部によって前記非導電部領域は、隣接する前記導電部領域間を絶縁する面状体。
【請求項2】
前記切断部は、前記網目状電極の交差部に形成されている請求項1に記載の面状体。
【請求項3】
前記網目状電極の網目ピッチは、100μm〜1000μmである請求項1又は請求項2に記載の面状体。
【請求項4】
前記導電部領域は、両端部間の導通性を阻害しない範囲で前記導体線を切断する切断部を備える請求項1から3のいずれかに記載の面状体。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の面状体を複数備え、
前記各面状体は、粘着層を介して貼着される静電容量式のタッチスイッチ。
【請求項6】
一方の面状体における前記導電部領域と、他方の面状体における前記導電部領域とが、互いに直交するように配置されている請求項5に記載の静電容量式のタッチスイッチ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−262529(P2010−262529A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−113755(P2009−113755)
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月8日(2009.5.8)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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