説明

面状照明装置およびそれを備えた表示装置

【課題】定電流が与えられる発光素子列を備えたバックライト装置において、装置のサイズを大型化させることなく、発熱による定電流素子の破損を抑制する。
【解決手段】バックライト装置は、直列に接続された複数のLED112と各LED112に並列に設けられたバイパススイッチ114とからなるLED列110と、バイパススイッチ114のオン/オフを切り換えるバイパススイッチ駆動回路128と、第1および第2のFET121,122、第1および第2の抵抗器123,124、電流センス抵抗器125、オペアンプ126からなる定電流制御駆動部とによって構成される。第1のFET121と第2のFET122とは並列に接続され、第1のFET121と電流センス抵抗器125との間および第2のFET122と電流センス抵抗器125との間にそれぞれ第1の抵抗器123および第2の抵抗器124が直列に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置のバックライト等として用いられる面状照明装置に関し、更に詳しくは、直列に接続された複数の発光素子(発光ダイオード等)からなり定電流が与えられる発光素子列を備えた面状照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示装置のバックライト用の光源としてLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)が採用されることが多くなっている。バックライト装置内では、直列に接続された複数のLEDからなるLED列が複数並列に配置され、それらのLEDが一定の輝度で発光するよう各LED列に定電流が与えられている。また、入力画像に基づきLEDの輝度を制御することにより、消費電力の低減や画質の改善が図られている。例えば、画面を複数のエリアに分割し、エリア内の入力画像に基づいて当該エリアに対応したLEDの輝度を制御することも行われている。このようなバックライト装置に関し、特開2005−310996号公報には、各LEDに並列にトランジスタを備え、それらのトランジスタのオン/オフをPWM信号で切り換えることにより個々のLEDの輝度を調整するようにした発明が開示されている。また、特表2002−507773号公報には、LED列に定電流を与えるための構成をオペアンプを用いて実現した例が開示されている。
【0003】
図14は、従来のバックライト装置の要部の構成例を示す概略図である。なお、図14には、複数のLED列のうちの1列分のみについての構成を示している。図14に示すように、このバックライト装置はLED列910とバックライト駆動回路92とによって構成されている。LED列910には、直列に接続された複数のLED912と各LED912に並列に設けられたトランジスタ914とが含まれている。バックライト駆動回路92には、FET(Field effect transistor :電界効果トランジスタ)921と抵抗器(電流センス抵抗器)922とオペアンプ923とバイパススイッチ駆動回路928とが含まれている。FET921については、ゲート端子はオペアンプ923の出力端子に接続され、ドレイン端子はLED列910に接続され、ソース端子は、一端が接地された抵抗器922の他端に接続されるとともに、オペアンプ923の反転入力端子に接続されている。オペアンプ923の非反転入力端子には基準電圧Vrefが与えられている。以上のような構成によりオペアンプ923には負帰還がかかるので、イマジナリショートによりオペアンプ923の非反転入力端子−反転入力端子間の電圧が0になるように当該オペアンプ923は動作する。このため、FET921のソース電位はVrefで一定となる。これにより、LED列910には、次式(1)で示す定電流Iが流れる。
I=Vref/Rcs ・・・(1)
ここで、Rcsは抵抗器922の抵抗値である。
【0004】
以上のようにして、FET921は定電流素子(定電流源)として機能し、LED列910内に定電流Iが流れる。また、バイパススイッチ駆動回路928は、各LED912に流れる電流をPWM制御するために、各LED912に並列に設けられたトランジスタ914のオン/オフを切り換える。トランジスタ914がオフ状態の時には、図15(a)に示すように、電流はLED912側を流れる。一方、トランジスタ914がオン状態の時には、図15(b)に示すように、電流はトランジスタ914側を流れる。このような電流の制御がLED912毎に行われることにより、LED912毎に輝度の調整が行われる。なお、図15(a)および(b)に示すように、各LED912に並列に設けられたトランジスタ914のオン/オフによって当該各LED912の電流の流れが制御されるので、それらトランジスタ914のことを以下「バイパススイッチ」という。
【特許文献1】特開2005−310996号公報
【特許文献2】特表2002−507773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記定電流Iとして比較的大きな電流が必要とされる場合や定電流素子としてのFET921のドレイン−ソース間の電圧が大きくなった時には、FET921での電力損失が大きくなる。そして、その電力損失がFET921の許容損失よりも大きくなると当該FET921は発熱により破損することがある。
【0006】
例えば、5個のLED912と5個のバイパススイッチ914とによってLED列910が構成されていて、図16(a)に示すように全てのバイパススイッチ914がオフにされた状態から図16(b)に示すように1つを除く全てのバイパススイッチ914がオンにされた状態に変化したと仮定する。このとき、各LED912に定電流が流れたときの各LED912における電圧降下をVFとすると、図16(a)に示す状態におけるノード(節点)Pzの電位(FET921のドレイン電位)Vz1は次式(2)で表される。
Vz1=Vcc−5×VF ・・・(2)
これに対し、図16(b)に示す状態におけるノードPzの電位Vz2は次式(3)で表される。
Vz2=Vcc−1×VF ・・・(3)
このように、図16(b)に示す状態においては、図16(a)に示す状態に比べてノードPzの電位が4×VFだけ高くなる。その結果、図16(b)に示す状態においては、FET921のドレイン−ソース間の電圧が大きくなり、FET921での電力損失が大きくなる。
【0007】
電力損失の増大に起因するFETの破損を防止する対策として、ヒートシンク(放熱器)等の放熱素子を備える構成にすることが考えられる。しかし、放熱素子を備える構成にすると、装置サイズが大きくなる傾向にあり、装置の小型化・薄型化を図るという観点から好ましくない。
【0008】
そこで本発明は、定電流が与えられる発光素子列を備えたバックライト装置において、装置のサイズを大型化させることなく、発熱による定電流素子の破損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、与えられた電流の大きさに応じて発光する直列に接続された複数の発光素子からなる発光素子列と、制御端子、第1の端子、および前記発光素子列に直接的または間接的に接続された第2の端子を有し前記発光素子列に直列に接続された第1のトランジスタを含み、前記発光素子列に定電流を与える定電流駆動制御部とを備える面状照明装置であって、
前記発光素子列の端部のうち前記第1のトランジスタの第2の端子に直接的または間接的に接続された端部である終端部と前記第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧を分圧し、前記第1のトランジスタの第2の端子と第1の端子との間の電圧を前記発光素子列の終端部と前記第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧よりも小さくすることによって、もしくは、前記発光素子列に流れる電流を分流し、前記第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間に流れる電流を前記発光素子列に流れる電流よりも小さくすることによって、前記第1のトランジスタで生じる電力損失を低減させる分圧/分流手段を備えることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、
前記複数の発光素子のそれぞれに並列に接続された第1のバイパススイッチと、
各発光素子に並列に接続された前記第1のバイパススイッチのオン/オフを切り換えるスイッチ制御部と
を更に備えることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記分圧/分流手段は、前記第1のトランジスタに直列に接続された第1の抵抗器と、前記第1のトランジスタに並列に接続された第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタに直列に接続された第2の抵抗器とからなり、
前記第2のトランジスタは、制御端子、第1の端子、および前記発光素子列に直接的または間接的に接続された第2の端子を有し、
前記第1のトランジスタの第1の端子は前記第1の抵抗器に接続され、
前記第2のトランジスタの第1の端子は前記第2の抵抗器に接続され、
前記定電流駆動制御部は、前記第1のトランジスタの制御端子と前記第2のトランジスタの制御端子とに等しい電圧を与えることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第1または第2の発明において、
前記分圧/分流手段は、制御端子、前記第1のトランジスタの第2の端子に接続された第1の端子、および前記発光素子列に接続された第2の端子を有し前記発光素子列と前記第1のトランジスタとに直列に接続された第2のトランジスタであって、
前記第2のトランジスタの制御端子には、所定の基準電圧が与えられていることを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第4の発明において、
前記第2のトランジスタの制御端子には、前記第2のトランジスタの第1の端子の電位が前記第2のトランジスタの第2の端子の最大電位の略2分の1の電位となるように前記所定の基準電圧が与えられていることを特徴とする。
【0014】
第6の発明は、第2の発明において、
前記分圧/分流手段は、前記発光素子列および前記第1のトランジスタに直列に接続されるように前記発光素子列と前記第1のトランジスタとの間に設けられた電圧降下用抵抗器と、前記電圧降下用抵抗器に並列に接続された第2のバイパススイッチとからなり、
前記スイッチ制御部は、各発光素子に並列に接続された前記第1のバイパススイッチのオン/オフの状態に応じて、前記第2のバイパススイッチのオン/オフを切り換えることを特徴とする。
【0015】
第7の発明は、第6の発明において、
前記第2のバイパススイッチと前記電圧降下用抵抗器とは、前記第1のバイパススイッチと1対1で対応するように設けられ、
前記スイッチ制御部は、或る第1のバイパススイッチの状態をオンにしたときには、当該或る第1のバイパススイッチに対応する第2のバイパススイッチの状態をオフにし、或る第1のバイパススイッチの状態をオフにしたときには、当該或る第1のバイパススイッチに対応する第2のバイパススイッチの状態をオンにすることを特徴とする。
【0016】
第8の発明は、表示装置であって、第1から第7までのいずれかの発明に係る面状照明装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上記第1の発明によれば、直列に接続された複数の発光素子からなる発光素子列と当該発光素子列に定電流を与えるために設けられたトランジスタ(第1のトランジスタ)とを備えた面状照明装置において、発光素子列の終端部と第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧の分圧もしくは発光素子列に流れる電流の分流を行う分圧/分流手段が設けられている。このため、発光素子列に定電流が与えられたときに、第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間の電圧が大きくなることもしくは第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間に流れる電流が大きくなることが抑制される。これにより、第1のトランジスタで生じる電力損失の増大が抑制され、電力損失がトランジスタの許容損失よりも大きくなって当該トランジスタが破損することが抑制される。また、許容損失の比較的小さなトランジスタやサイズの比較的小さなトランジスタを用いて、発光素子列に定電流を与えるための構成を実現することができる。
【0018】
上記第2の発明によれば、各発光素子に並列に接続されたスイッチ(第1のバイパススイッチ)をオン/オフすることにより個々の発光素子の輝度の調整を可能とした面状照明装置において、発光素子列の終端部と第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧の分圧または発光素子列に流れる電流の分流を行う分圧/分流手段が設けられている。このため、多数の第1のバイパススイッチがオン状態にされて発光素子列の終端部と第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧が大きくなっても、第1のトランジスタで生じる電力損失の増大が抑制される。
【0019】
上記第3の発明によれば、第1のトランジスタに並列に第2のトランジスタが設けられる。このため、発光素子列を流れた電流は、並列に設けられた2つのトランジスタに分流される。これにより、1つのトランジスタに多大な電流が流れることによる電力損失の増大が抑制され、電力損失がトランジスタの許容損失よりも大きくなって当該トランジスタが破損することが抑制される。また、並列に設けられたトランジスタにはそれぞれ抵抗器が直列に接続されている。このため、並列に設けられた2つのトランジスタの特性(閾値電圧など)が異なっていても、抵抗器の両端に生じる電圧によって、より大きな電流が流れている方のトランジスタへの電流の流れが抑制される。これにより、2つのトランジスタに流れる電流の大きさの差異が小さくなり、1つのトランジスタに多大な電流が流れることが効果的に抑制される。その結果、電力損失がトランジスタの許容損失よりも大きくなって当該トランジスタが破損することが効果的に抑制される。
【0020】
上記第4の発明によれば、発光素子列と第1のトランジスタとの間に第2のトランジスタが直列に設けられ、当該第2のトランジスタの制御端子には所定の基準電圧が与えられる。上記基準電圧を適当な値にすることにより、発光素子列内における電圧降下が小さくて発光素子列の終端部における電位が高くなっている時でも、第2のトランジスタの第1の端子における電位は一定となる。このため、第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間の電圧が大きくなることが抑制される。これにより、電力損失がトランジスタの許容損失よりも大きくなって当該トランジスタが破損することが抑制される。
【0021】
上記第5の発明によれば、第2のトランジスタの第1の端子の電位は、第2のトランジスタの第2の端子の最大電位の略2分の1の電位となる。このため、発光素子列の終端部における電位が極めて高くなっている時でも、効果的に電圧の分圧が行われる。これにより、第1のトランジスタと第2のトランジスタの双方において、電力損失の増大が抑制される。
【0022】
上記第6の発明によれば、発光素子列と第1のトランジスタとの間に抵抗器(電圧降下用抵抗器)が直列に設けられ、当該抵抗器に並列にスイッチ(第2のバイパススイッチ)が設けられる。上記第2のバイパススイッチは、各発光素子に並列に接続されたスイッチ(第1のバイパススイッチ)のオン/オフに応じて切り換えられる。このため、例えば「所定数以上の第1のバイパススイッチがオンになって発光素子列の終端部の電位が比較的高くなった時に第2のバイパススイッチをオフにする」ということができる。これにより、発光素子列の終端部の電位が比較的高くなった時には抵抗器で電圧降下が生じ、第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間の電圧が大きくなることが抑制される。これにより、電力損失がトランジスタの許容損失よりも大きくなって当該トランジスタが破損することが抑制される。
【0023】
上記第7の発明によれば、第1のバイパススイッチと第2のバイパススイッチとは1対1で対応するように設けられ、両者のオン/オフの状態は相反的になる。このため、発光素子列内における電圧降下の大きさに基づいて、電圧降下用抵抗器で電圧が降下する。これにより、第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間の電圧が安定化し、定電流性を高めつつ電力損失の増大に起因するトランジスタの破損を抑制することができる。
【0024】
上記第8の発明によれば、定電流素子としてのトランジスタの電力損失の増大に起因する(当該トランジスタの)破損が抑制される面状照明装置を備えた表示装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
【0026】
<1.第1の実施形態>
<1.1 全体構成および動作>
図2は、本発明の第1の実施形態に係るLEDバックライト装置を備えた液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。この液晶表示装置は、LEDバックライト装置100と、表示制御回路200と、ソースドライバ(映像信号線駆動回路)300と、ゲートドライバ(走査信号線駆動回路)400と、表示部500とを備えている。LEDバックライト装置100には、表示部500の背面から(当該表示部500に)光を照射するためのバックライトを構成する複数のLED列110からなる発光部11と、バックライトを駆動するバックライト駆動回路12とが含まれている。
【0027】
表示部500には、複数本(n本)のソースバスライン(映像信号線)SL1〜SLnと、複数本(m本)のゲートバスライン(走査信号線)GL1〜GLmと、それらソースバスラインSL1〜SLnとゲートバスラインGL1〜GLmとの交差点にそれぞれ対応して設けられた複数個(n×m個)の画素形成部とが含まれている。これらの画素形成部はマトリクス状に配置されて画素アレイを構成し、各画素形成部は、対応する交差点を通過するゲートバスラインにゲート端子が接続される共に当該交差点を通過するソースバスラインにソース端子が接続されたスイッチング素子であるTFT50と、そのTFT50のドレイン端子に接続された画素電極と、上記複数の画素形成部に共通的に設けられた対向電極である共通電極Ecと、上記複数の画素形成部に共通的に設けられ画素電極と共通電極Ecとの間に挟持された液晶層とからなる。そして、画素電極と共通電極Ecとにより形成される液晶容量により画素容量Cpが構成される。なお通常、画素容量に確実に電圧を保持すべく、液晶容量に並列に補助容量が設けられるが、補助容量は本発明には直接に関係しないのでその説明および図示を省略する。
【0028】
表示制御回路200は、外部から送られる画像信号DATおよび水平同期信号や垂直同期信号などのタイミング信号群TGを受け取り、デジタル映像信号DVと、表示部500における画像表示を制御するためのソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK、ラッチストローブ信号LS、ゲートスタートパルス信号GSP、およびゲートクロック信号GCKと、バックライトの輝度を制御するための輝度信号KSとを出力する。ソースドライバ300は、表示制御回路200から出力されるデジタル映像信号DV、ソーススタートパルス信号SSP、ソースクロック信号SCK、およびラッチストローブ信号LSを受け取り、各ソースバスラインSL1〜SLnに駆動用映像信号S(1)〜S(n)を印加する。ゲートドライバ400は、表示制御回路200から出力されるゲートスタートパルス信号GSPとゲートクロック信号GCKとに基づいて、アクティブな走査信号G(1)〜G(m)の各ゲートバスラインGL1〜GLmへの印加を1垂直走査期間を周期として繰り返す。バックライト駆動回路12は、表示制御回路200から出力される輝度信号KSを受け取り、バックライトを駆動する。これにより、表示部500の背面から光が照射される。
【0029】
以上のようにして、各ソースバスラインSL1〜SLnに駆動用映像信号が印加され、各ゲートバスラインGL1〜GLmに走査信号が印加され、表示部500にその背面から光が照射されることにより、表示部500に画像が表示される。
【0030】
<1.2 LEDバックライト装置の構成および動作>
図1は、本実施形態におけるLEDバックライト装置100の要部の構成を示す概略図である。図1に示すように、このLEDバックライト装置100は、LED列(発光素子列)110とバックライト駆動回路12とによって構成されている。LED列110には、直列に接続された複数のLED112と、各LED112に並列に設けられたトランジスタ114とが含まれている。バックライト駆動回路12には、第1のFET(第1のトランジスタ)121と第2のFET(第2のトランジスタ)122と第1の抵抗器123と第2の抵抗器124と電流センス抵抗器125とオペアンプ126とバイパススイッチ駆動回路128とが含まれている。なお、本実施形態においては、第1のFET121と第2のFET122と第1の抵抗器123と第2の抵抗器124と電流センス抵抗器125とオペアンプ126とによって定電流駆動制御部が実現されている。また、第2のFET122と第1の抵抗器123と第2の抵抗器124とによって分圧/分流手段が実現されている。さらに、バイパススイッチ駆動回路128によってスイッチ制御部が実現されている。
【0031】
第1のFET121および第2のFET122については、典型的にはMOSFET(Metal−Oxide−Semiconductor Field−Effect Transistor)が採用される。第1のFET121と第2のFET122とは互いに並列に接続されている。また、第1のFET121のソース端子(第1の端子)と一端が接地された電流センス抵抗器125の他端との間には、第1の抵抗器123が設けられている。同様に、第2のFET122のソース端子と電流センス抵抗器125の他端との間には、第2の抵抗器124が設けられている。
【0032】
第1のFET121については、ゲート端子(制御端子)はオペアンプ126の出力端子に接続され、ドレイン端子(第2の端子)はLED列110に接続され、ソース端子は第1の抵抗器123の一端に接続されている。第2のFET122については、ゲート端子はオペアンプ126の出力端子に接続され、ドレイン端子はLED列110に接続され、ソース端子は第2の抵抗器124の一端に接続されている。また、第1の抵抗器123の他端,第2の抵抗器124の他端,および電流センス抵抗器125の他端は、オペアンプ126の反転入力端子に接続されている。オペアンプ126の非反転入力端子には基準電圧Vrefが与えられている。
【0033】
以上のような構成によりオペアンプ126には負帰還がかかるので、イマジナリショートによりオペアンプ126の非反転入力端子−反転入力端子間の電圧が0になるように当該オペアンプ126は動作する。このため、電流センス抵抗器125の他端(ノードPb)の電位はVrefで一定となる。これにより、電流センス抵抗器125に流れる電流の大きさは一定となる。また、LED列110と電流センス抵抗器125とは回路的には直列に接続されているので、LED列110内を流れる電流の大きさも一定となる。ここで、第1のFET121および第1の抵抗器123(以下、「第1のFET側」ともいう)と第2のFET122および第2の抵抗器124(以下、「第2のFET側」ともいう)とは並列に接続されている。このため、LED列110内を流れる電流は、第1のFET側と第2のFET側とに分流される。
【0034】
バイパススイッチ駆動回路128は、各LED112に並列に設けられたバイパススイッチ(第1のバイパススイッチ)114のオン/オフを切り換える。これにより、各LED112に流れる電流の大きさが制御され、LED112毎に輝度の調整が行われる。
【0035】
<1.3 作用および効果>
次に、本実施形態における作用および効果について説明する。本実施形態においては、図1に示すように、第1のFET121のゲート端子および第2のFET122のゲート端子には、ともにオペアンプ126からの出力電圧が与えられる。ここで、LED列110に定電流が流れると、まず、第1のFET121および第2のFET122のうち閾値電圧の低い方のFETから電流が流れ始める。仮に第2のFET122の閾値電圧よりも第1のFET121の閾値電圧の方が低いとすると、まず第1のFET121に電流が流れる。このとき、当該電流は第1の抵抗器123にも流れるので、第1の抵抗器123の両端間に電圧が生じ、ノードPcの電位(第1のFET121のソース電位)が上昇する。これにより、第1のFET側への電流の流れが抑制され、第2のFET側へも電流が流れる。以上のように、LED列110を流れる電流は第1のFET側と第2のFET側とに分流され、しかも、一方のFETに大きな電流が流れることが抑制される。その結果、FETにおける電力損失の増大が抑制され、FETの発熱による破損が抑制される。
【0036】
ここで、本実施形態において第1のFET121と電流センス抵抗器125との間および第2のFET122と電流センス抵抗器125との間にそれぞれ第1の抵抗器123および第2の抵抗器124が設けられている理由について説明する。図3は、或る異なる3つのFETの特性を示す図である。なお、図の縦軸は(FETに流れる)ドレイン電流を表し、横軸は(FETの)ゲート−ソース間の電圧を表している。図3から把握されるように、各FETに同じ大きさのゲート−ソース間電圧を与えても、各FETには異なる大きさのドレイン電流が流れる。例えば、ゲート−ソース間電圧が1.0Vのとき、3つのFETのドレイン電流の大きさはそれぞれ24mA(符号81),17mA(符号82),10mA(符号83)である。このように、FET(特に外付けのFET)間には、比較的大きな特性のばらつきがみられる。このため、仮に図4(a)に示すように第1のFET121のソース端子および第2のFET122のソース端子と電流センス抵抗器125とが直接的に(抵抗器を介さず)接続された構成にした場合、第1のFET側に流れる電流の大きさと第2のFET側に流れる電流の大きさとの間に大きな差が生じることがある。これに対し、図4(b)に示すように第1のFET121と電流センス抵抗器125との間および第2のFET122と電流センス抵抗器125との間にそれぞれ第1の抵抗器123および第2の抵抗器124が設けられた構成にすると、より大きな電流が流れているFETのソース電位が(他方のFETのソース電位よりも)高くなって当該FETへの電流の流れが抑制されるので、第1のFET側に流れる電流の大きさと第2のFET側に流れる電流の大きさとの差は比較的小さくなる。これにより、一方のFETに大きな電流が流れることが抑制される。すなわち、並列接続された2つのFETの一方に多大な電流が流れることを抑制するために、第1の抵抗器123および第2の抵抗器124が設けられている。なお、図4において、矢印は電流の流れを模式的に示しており、矢印の幅は電流の大きさを模式的に示している。
【0037】
ところで、一般に、LED列に直列に接続されたFETにおける電力損失Pは次式(4)で表される。
P=I−LED×Vds ・・・(4)
ここで、I−LEDはLED列内を流れる電流であって、VdsはFETのドレイン−ソース間の電圧である。
上式(4)より、FETにおける電力損失は、LED列内を流れる電流すなわちFETを流れる電流が大きいほど大きくなり、FETのドレイン−ソース間の電圧が大きいほど大きくなることが把握される。ところで、LED列内の多数のバイパススイッチがオン状態になると、LED列内での電圧降下が小さくなるので、FETのドレイン電位は高くなる。このため、上記電力損失Pは大きくなる。ところが、本実施形態によれば、2つのFETが互いに並列に接続されており、LED列内を流れる電流は当該2つのFETに分流される。このため、個々のFETに着目すれば、LED列内を流れる電流よりも小さな電流が流れるので、電力損失の増大が抑制される。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、直列に接続された複数のLED112からなるLED列110と当該LED列110に定電流を与えるために設けられたFETとを備えたLEDバックライト装置100において、上記FETは並列に設けられる。このため、LED列110内を流れる電流は、並列に設けられた2つのFETに分流される。これにより、1つのFETに多大な電流が流れることによる電力損失の増大が抑制される。その結果、電力損失がFETの許容損失よりも大きくなって当該FETが破損することが抑制される。また、並列に設けられたFETにはそれぞれ抵抗器が直列に接続されている。このため、並列に設けられた2つのFETの特性が異なっていても、抵抗器の両端に生じる電圧によって、より大きな電流が流れている方のFETへの電流の流れが抑制される。これにより、2つのFETに流れる電流の大きさの差異が小さくなり、1つのFETに多大な電流が流れることが効果的に抑制される。その結果、電力損失がFETの許容損失よりも大きくなって当該FETが破損することが効果的に抑制される。さらに、逆の観点からいえば、許容損失の比較的小さなFET,サイズの比較的小さなFETを用いて、LED列に定電流を与えるための構成を実現することができる。以上より、装置のサイズを大型化させることなく、定電流素子としてのFETの発熱による破損を抑制することができる。
【0039】
<2.第2の実施形態>
<2.1 LEDバックライト装置の構成および動作の概要>
次に、本発明の第2の実施形態に係るLEDバックライト装置を備えた液晶表示装置について説明する。なお、この液晶表示装置の全体構成については、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。また、本実施形態においては、バックライト駆動回路を符号13で示している。
【0040】
図5は、本実施形態におけるLEDバックライト装置100の要部の構成を示す概略図である。図5に示すように、このLEDバックライト装置100は、LED列110とバックライト駆動回路13とによって構成されている。LED列110には、直列に接続された複数のLED112と各LED112に並列に設けられたトランジスタ114とが含まれている。バックライト駆動回路12には、第1のFET131と第2のFET132と電流センス抵抗器133とオペアンプ134とが含まれている。なお、本実施形態においては、第1のFET131と電流センス抵抗器133とオペアンプ134とによって定電流駆動制御部が実現されている。また、第2のFET132によって分圧/分流手段が実現されている。
【0041】
第1のFET131および第2のFET132については、典型的にはMOSFETが採用される。第1のFET131と第2のFET132とは互いに直列に接続されている。第1のFET131については、ゲート端子はオペアンプ134の出力端子に接続され、ドレイン端子は第2のFET132のソース端子に接続され、ソース端子は、一端が接地された電流センス抵抗器133の他端に接続されるとともに、オペアンプ134の反転入力端子に接続されている。オペアンプ134の非反転入力端子には第1の基準電圧Vref1が与えられている。第2のFET132については、ドレイン端子はLED列110に接続され、ソース端子は第1のFET131のドレイン端子に接続され、ゲート端子には第2の基準電圧Vref2が与えられている。図14に示した従来の構成と比較すると、本実施形態ではLED列と定電流素子としてのFETとの間に更にFETが設けられている点で従来の構成と異なっている。
【0042】
以上のような構成により、上記第1の実施形態と同様にオペアンプ134には負帰還がかかり、第1のFET131のソース電位は一定となる。これにより、電流センス抵抗器133に流れる電流の大きさは一定となり、LED列110内を流れる電流の大きさも一定となる。バイパススイッチ駆動回路138についても上記第1の実施形態と同様に動作し、LED列110内においてLED112毎に輝度の調整が行われる。
【0043】
<2.2 作用および効果>
次に、本実施形態における作用および効果について説明する。まず、図6に示すようにLED列110内の多数のバイパススイッチ114がオン状態にされているときの動作について説明する。バイパススイッチ114の状態が図6に示すような状態になっているとき、LED列110内において電流は符号71で示すように流れる。このとき、LED列110内における電圧降下は比較的小さくなるので、ノードPjの電位(第2のFET132のドレイン電位)は比較的高くなる。ここで、第2のFET132のゲート端子には一定の電圧である第2の基準電圧Vref2が与えられているので、第2のFET132のゲート−ソース間の電圧は一定となる。このため、ノードPjの電位にかかわらず、ノードPkの電位(第2のFET132のソース電位)Vkは次式(5)で表される電位で一定となる。
Vk=Vref2−Vgs ・・・(5)
ここで、Vgsは第2のFET132のゲート−ソース間の電圧である。
【0044】
以上のように、ノードPjの電位にかかわらずノードPkの電位は一定となるので、第1のFET131のドレイン−ソース間の電圧が大きくなることが抑制される。ところで、ノードPjの電位が上昇するにつれて第2のFET132における電力損失は大きくなる。そこで、ノードPkの電位がノードPjの最大電位のほぼ半分の値となるように第2の基準電圧Vref2の値を設定することが好ましい。
【0045】
次に、図7に示すようにLED列110内の全てのバイパススイッチ114がオフ状態にされているときの動作について説明する。全てのバイパススイッチ114がオフ状態になっているとき、LED列110内において電流は符号72で示すように流れる。このとき、LED列110内における電圧降下は大きくなるので、ノードPjの電位は低くなる。ノードPjの電位が低くなるのに伴いノードPkの電位も低くなるので、第2のFET132のゲート−ソース間の電圧は大きくなる。これにより、第2のFET132はスイッチとしてオンした状態となる。このとき、第2のFET132は抵抗値の小さな抵抗器と等価となるので、第2のFET132での電圧降下はごく僅かなものとなる。このように、ノードPjの電位が低くなったときには、第1のFET131および第2のFET132の双方について、ドレイン−ソース間の電圧が大きくなることはない。
【0046】
本実施形態によれば、LED列110と定電流素子としての第1のFET131との間に第2のFET132が直列に設けられ、当該第2のFET132のゲート端子には所定の電圧(第2の基準電圧Vref2)が与えられる。LED列110内における電圧降下が小さな時には、第2のFET132のソース電位は一定となる。このため、第1のFET131のドレイン−ソース間の電圧が大きくなることが抑制される。これにより、第1のFET131における電力損失が当該第1のFET131の許容損失よりも大きくなることが抑制される。また、LED列110内における電圧降下が大きな時には、第2のFET132のドレイン電位,ソース電位は低くなるので、第1のFET131のドレイン−ソース間の電圧が大きくなることはない。以上より、電力損失の増大に起因するFETの破損が抑制される。また、逆の観点からいえば、許容損失の比較的小さなFET,サイズの比較的小さなFETを用いて、LED列に定電流を与えるための構成を実現することができる。
【0047】
<3.第3の実施形態>
<3.1 LEDバックライト装置の構成および動作の概要>
次に、本発明の第3の実施形態に係るLEDバックライト装置を備えた液晶表示装置について説明する。なお、この液晶表示装置の全体構成については、上記第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。また、本実施形態においては、バックライト駆動回路を符号14で示している。
【0048】
図8は、本実施形態におけるLEDバックライト装置100の要部の構成を示す概略図である。図8に示すように、このLEDバックライト装置100は、LED列110とバックライト駆動回路14とによって構成されている。LED列110には、直列に接続された複数のLED112と各LED112に並列に設けられたトランジスタ114とが含まれている。バックライト駆動回路14には、FET141と、電流センス抵抗器142と、オペアンプ143と、電圧降下用抵抗器としてのドレイン電位制御用抵抗器144と、第2のバイパススイッチとしてのドレイン電位制御用スイッチ145とが含まれている。なお、本実施形態においては、FET141と電流センス抵抗器142とオペアンプ143とによって定電流駆動制御部が実現されている。また、ドレイン電位制御用抵抗器144とドレイン電位制御用スイッチ145とによって分圧/分流手段が実現されている。
【0049】
図8に示すように、LED列110およびFET141と直列になるように、ドレイン電位制御用抵抗器144がLED列110とFET141との間に設けられている。すなわち、ドレイン電位制御用抵抗器144の一端はLED列110に接続され、他端はFET141のドレイン端子に接続されている。また、ドレイン電位制御用抵抗器144に並列にドレイン電位制御用スイッチ145が設けられており、ドレイン電位制御用スイッチ145にはバイパススイッチ駆動回路148から制御信号Sが与えられる。FET141については、典型的にはMOSFETが採用される。また、FET141のゲート端子はオペアンプ143の出力端子に接続され、ドレイン端子はドレイン電位制御用抵抗器144の他端に接続され、ソース端子は、一端が接地された電流センス抵抗器142の他端に接続されるとともに、オペアンプ143の反転入力端子に接続されている。オペアンプ143の非反転入力端子には基準電圧Vrefが与えられている。図14に示した従来の構成と比較すると、本実施形態ではLED列と定電流素子としてのFETとの間に互いに並列接続されたドレイン電位制御用抵抗器144およびドレイン電位制御用スイッチ145が設けられている点で従来の構成と異なっている。
【0050】
以上のような構成により、上記第1の実施形態と同様にオペアンプ143には負帰還がかかり、FET141のソース電位は一定となる。これにより、電流センス抵抗器142に流れる電流の大きさは一定となり、LED列110に流れる電流の大きさも一定となる。バイパススイッチ駆動回路148は、上記第1の実施形態と同様、各LED112に並列に設けられたバイパススイッチ114のオン/オフを切り換える。これにより、LED列110内においてLED112毎に輝度の調整が行われる。バイパススイッチ駆動回路148は、また、ドレイン電位制御用スイッチ145のオン/オフを切り換える。本実施形態においては、LED列110内に設けられているバイパススイッチ114のうちの半数以上のバイパススイッチ114がオン状態になっている時にはドレイン電位制御用スイッチ145はオフ状態にされ、半数未満のバイパススイッチ114がオン状態になっている時にはドレイン電位制御用スイッチ145はオン状態にされる。
【0051】
<3.2 作用および効果>
次に、本実施形態における作用および効果について説明する。まず、図9に示すようにLED列110内の多数のバイパススイッチ114がオン状態にされているときの動作について説明する。バイパススイッチ114の状態が図9に示すような状態になっているとき、LED列110内のバイパススイッチ114のうち半数以上のバイパススイッチ114がオン状態であるので、ドレイン電位制御用スイッチ145はオフ状態となる。これにより、LED列110内およびバックライト駆動回路14内において電流は符号73で示すように流れる。このとき、LED列110内における電圧降下は比較的小さくなるので、ノードPmの電位(LED列110とドレイン電位制御用抵抗器144との間の電位)は比較的高くなる。ところが、ドレイン電位制御用抵抗器144に電流が流れることから、当該ドレイン電位制御用抵抗器144の両端間で電圧降下が生じ、ノードPnの電位(FET141のドレイン電位)はノードPmの電位よりも低くなる。このようにして、FET141のドレイン−ソース間の電圧が大きくなることが抑制される。
【0052】
次に、図10に示すようにLED列110内の全てのバイパススイッチ114がオフ状態にされているときの動作について説明する。全てのバイパススイッチ114がオフ状態になっているとき、ドレイン電位制御用スイッチ145はオン状態となる。これにより、LED列110内およびバックライト駆動回路14内において電流は符号74で示すように流れる。このとき、LED列110内における電圧降下は大きくなるので、ノードPmの電位は低くなる。また、ドレイン電位制御用抵抗器144には電流が流れないことから、ノードPnの電位はノードPmの電位と等しくなる。すなわち、FET141のドレイン−ソース間に電流が流れなくなるほどノードPnの電位が低くなることはない。
【0053】
本実施形態によれば、LED列110と定電流素子としてのFET141との間にドレイン電位制御用抵抗器144が直列に設けられ、当該ドレイン電位制御用抵抗器144に並列にドレイン電位制御用スイッチ145が設けられる。LED列110内における電圧降下が小さな時には、ドレイン電位制御用スイッチ145はオフ状態となり、ドレイン電位制御用抵抗器144に電流が流れる。このため、ドレイン電位制御用抵抗器144で電圧降下が生じ、FET141のドレイン−ソース間の電圧が大きくなることが抑制される。これにより、FET141における電力損失が当該FET141の許容損失よりも大きくなることが抑制される。また、LED列110内における電圧降下が大きな時には、ドレイン電位制御用スイッチ145はオン状態となり、ドレイン電位制御用抵抗器144には電流が流れない。このため、FET141のドレイン−ソース間に電流が流れなくなるほど当該ドレイン−ソース間の電圧が小さくなることはない。以上より、電力損失の増大に起因するFETの破損が抑制され、また、LED列110内の各LED112の点灯/非点灯の状態にかかわらず当該LED列110内には定電流が与えられる。また、逆の観点からいえば、許容損失の比較的小さなFET,サイズの比較的小さなFETを用いて、LED列に定電流を与えるための構成を実現することができる。
【0054】
<3.3 変形例>
上記実施形態においては、LED列110内のバイパススイッチ114のうちオン状態になっているバイパススイッチ114の数に応じてドレイン電位制御用スイッチ145のオン/オフが制御される構成となっているが、本発明はこれに限定されない。例えば図11に示すように、(LED列110内のバイパススイッチ114と1対1で対応するように)LED列110内のバイパススイッチ114の数に等しい数のドレイン電位制御用抵抗器144a〜144eおよび各ドレイン電位制御用抵抗器に並列に接続されたドレイン電位制御用スイッチ145a〜145eを備える構成とし、各ドレイン電位制御用スイッチのオン/オフの状態が当該各ドレイン電位制御用スイッチに対応するバイパススイッチのオン/オフの状態と逆になるようにしても良い。すなわち、LED列110内の或るバイパススイッチの状態がオンであれば、当該バイパススイッチに対応するドレイン電位制御用スイッチの状態はオフにされ、LED列110内の或るバイパススイッチの状態がオフであれば、当該バイパススイッチに対応するドレイン電位制御用スイッチの状態はオンにされると良い。これにより、FET141のドレイン−ソース間の電圧が安定化し、定電流性を高めつつ電力損失の増大に起因するFETの破損を抑制することができる。
【0055】
<4.その他>
上記各実施形態においては、各LED112に並列にバイパススイッチ114が接続されている構成を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、バイパススイッチ114を備えていない構成においても本発明を適用することができる。もっとも、定電流素子における電力損失が大きくなるという現象は、各LED112に並列にバイパススイッチ114が設けられた構成において多数のバイパススイッチ114がオン状態になったような場合に生じやすいので、各LED112に並列にバイパススイッチ114が設けられた構成のときに「発熱による定電流素子の破損を抑制する」という効果が得られやすい。
【0056】
また、上記各実施形態においては、LED列110に定電流を与えるための構成がオペアンプを用いて実現されているが、本発明はこれに限定されない。第2の実施形態や第3の実施形態のように分圧によって定電流素子における電力損失の増大を抑制する構成においては、LED列110に定電流を与えるための構成をカレントミラー回路を用いて実現することができる。この場合、上記第2の実施形態については例えば図12に示すような構成となり、上記第3の実施形態については例えば図13に示すような構成となる。
【0057】
さらに、上記各実施形態においては定電流素子としてFETが採用されている例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、FETに代えてバイポーラトランジスタを定電流素子として採用することもできる。
【0058】
さらにまた、上記各実施形態においては液晶表示装置に設けられたLEDバックライト装置を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されず、直列に接続された発光素子からなる発光素子列を備えたバックライト装置であれば、本発明を適用することができる。さらにまた、液晶表示装置以外の表示装置に設けられたバックライト装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るLEDバックライト装置の要部の構成を示す概略図である。
【図2】上記第1の実施形態に係るLEDバックライト装置を備えた液晶表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図3】FETの特性を示す図である。
【図4】上記第1の実施形態において、FETと電流センス抵抗器との間に抵抗器を備える理由について説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るLEDバックライト装置の要部の構成を示す概略図である。
【図6】上記第2の実施形態において、LED列内の多数のバイパススイッチがオン状態にされているときの動作について説明するための図である。
【図7】上記第2の実施形態において、LED列内の全てのバイパススイッチがオフ状態にされているときの動作について説明するための図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るLEDバックライト装置の要部の構成を示す概略図である。
【図9】上記第3の実施形態において、LED列内の多数のバイパススイッチがオン状態にされているときの動作について説明するための図である。
【図10】上記第3の実施形態において、LED列内の全てのバイパススイッチがオフ状態にされているときの動作について説明するための図である。
【図11】上記第3の実施形態の変形例について説明するための図である。
【図12】上記第2の実施形態の変形例に係る構成を示す概略図である。
【図13】上記第3の実施形態の変形例に係る構成を示す概略図である。
【図14】従来のバックライト装置の要部の構成例を示す概略図である。
【図15】従来例において、LED列内に流れる電流について説明するための図である。
【図16】従来例の課題について説明するための図である。
【符号の説明】
【0060】
11…発光部
12,13,14…バックライト駆動回路
100…LEDバックライト装置
110…LED列
112…LED(発光ダイオード)
114…バイパススイッチ(トランジスタ)
121,122,131,132,141…FET
123,124…抵抗器
125,133,142…電流センス抵抗器
126,134,143…オペアンプ
144…ドレイン電位制御用抵抗器
145…ドレイン電位制御用スイッチ
200…表示制御回路
300…ソースドライバ(映像信号線駆動回路)
400…ゲートドライバ(走査信号線駆動回路)
500…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
与えられた電流の大きさに応じて発光する直列に接続された複数の発光素子からなる発光素子列と、制御端子、第1の端子、および前記発光素子列に直接的または間接的に接続された第2の端子を有し前記発光素子列に直列に接続された第1のトランジスタを含み、前記発光素子列に定電流を与える定電流駆動制御部とを備える面状照明装置であって、
前記発光素子列の端部のうち前記第1のトランジスタの第2の端子に直接的または間接的に接続された端部である終端部と前記第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧を分圧し、前記第1のトランジスタの第2の端子と第1の端子との間の電圧を前記発光素子列の終端部と前記第1のトランジスタの第1の端子との間の電圧よりも小さくすることによって、もしくは、前記発光素子列に流れる電流を分流し、前記第1のトランジスタの第1の端子と第2の端子との間に流れる電流を前記発光素子列に流れる電流よりも小さくすることによって、前記第1のトランジスタで生じる電力損失を低減させる分圧/分流手段を備えることを特徴とする、面状照明装置。
【請求項2】
前記複数の発光素子のそれぞれに並列に接続された第1のバイパススイッチと、
各発光素子に並列に接続された前記第1のバイパススイッチのオン/オフを切り換えるスイッチ制御部と
を更に備えることを特徴とする、請求項1に記載の面状照明装置。
【請求項3】
前記分圧/分流手段は、前記第1のトランジスタに直列に接続された第1の抵抗器と、前記第1のトランジスタに並列に接続された第2のトランジスタと、前記第2のトランジスタに直列に接続された第2の抵抗器とからなり、
前記第2のトランジスタは、制御端子、第1の端子、および前記発光素子列に直接的または間接的に接続された第2の端子を有し、
前記第1のトランジスタの第1の端子は前記第1の抵抗器に接続され、
前記第2のトランジスタの第1の端子は前記第2の抵抗器に接続され、
前記定電流駆動制御部は、前記第1のトランジスタの制御端子と前記第2のトランジスタの制御端子とに等しい電圧を与えることを特徴とする、請求項1または2に記載の面状照明装置。
【請求項4】
前記分圧/分流手段は、制御端子、前記第1のトランジスタの第2の端子に接続された第1の端子、および前記発光素子列に接続された第2の端子を有し前記発光素子列と前記第1のトランジスタとに直列に接続された第2のトランジスタであって、
前記第2のトランジスタの制御端子には、所定の基準電圧が与えられていることを特徴とする、請求項1または2に記載の面状照明装置。
【請求項5】
前記第2のトランジスタの制御端子には、前記第2のトランジスタの第1の端子の電位が前記第2のトランジスタの第2の端子の最大電位の略2分の1の電位となるように前記所定の基準電圧が与えられていることを特徴とする、請求項4に記載の面状照明装置。
【請求項6】
前記分圧/分流手段は、前記発光素子列および前記第1のトランジスタに直列に接続されるように前記発光素子列と前記第1のトランジスタとの間に設けられた電圧降下用抵抗器と、前記電圧降下用抵抗器に並列に接続された第2のバイパススイッチとからなり、
前記スイッチ制御部は、各発光素子に並列に接続された前記第1のバイパススイッチのオン/オフの状態に応じて、前記第2のバイパススイッチのオン/オフを切り換えることを特徴とする、請求項2に記載の面状照明装置。
【請求項7】
前記第2のバイパススイッチと前記電圧降下用抵抗器とは、前記第1のバイパススイッチと1対1で対応するように設けられ、
前記スイッチ制御部は、或る第1のバイパススイッチの状態をオンにしたときには、当該或る第1のバイパススイッチに対応する第2のバイパススイッチの状態をオフにし、或る第1のバイパススイッチの状態をオフにしたときには、当該或る第1のバイパススイッチに対応する第2のバイパススイッチの状態をオンにすることを特徴とする、請求項6に記載の面状照明装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか1項に記載の面状照明装置を備えたことを特徴とする表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−92676(P2010−92676A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260384(P2008−260384)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】