説明

靴下類又は他の製品を編成する機械で開口した編地を製造する方法、及びこの方法で得られた開口した編地製品

【解決手段】この方法で得られる靴下類又は他の製品更に開口した編地製品を編成する機械で、開口した編地を製造する方法である。この方法は複数の針(1、2)により連続した編成列(A、B、C) を製造することで構成されており、穴を与えるオープンワークが実行され、第1針(1) が、第1編成列(A) の形成を担った後に、第1針(1) に隣接する第2針(2) へ第1編成列(A) のループ(1a)を移すことにより、ループ(1a)から解放される針(1、2)のグループによって、穴の各々は提供される。第1針(1) は、編成を再開すべく作動されて、第1列(A) に続く編成列(B) の新たなループ(1b)を形成する。対応するループを隣接する針へ移すことにより、複数の針を徐々に解放する、及び/又は編成列の数を変更し、その後対応するループから解放された針が編成を再開する、及び/又は、編成を再開する際これらの針によって製造されるステッチを変更することで、オープンワークにより与えられる穴の寸法及び/又は形状を変更することが任意で可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下類又は他の製品を編成する機械で開口した編地を製造する方法と、この方法で得られた開口した編地製品とに関する。
【背景技術】
【0002】
1本の針からこの針が形成したループを隣接する針へ移すことができる、靴下類又は他の製品を編成する機械が知られている。このタイプの機械は、例えば、公開特許文書である国際公開第02/070799号パンフレットに開示されている。
【0003】
編成された編物製品の製造の分野、特にニットウェア及び靴下類の分野では、装飾によって美的に向上された製品への絶え間ない要望があり、とりわけオープンワークが特に評価されている。それ故に、編成の専門家サイドでは、様々なサイズの穴を設けるオープンワークを考案するための新たな編成方法、また、画期的な美的効果を得るための新たな形状への絶え間ない調査を続けてきた。
【特許文献1】米国特許第3035427号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の意図は、1本の針から隣接する針へループを移す方法を、従来のステッチ形成と共に使用して、開口した編地を製造することができる方法を提供することにより、これらの要望を満たすことである。
【0005】
この意図の範囲内で、本発明の目的は、たいていの異なる美的要望を満たすことができる、様々なサイズ及び形状の穴を設けるオープンワークを可能にする方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、円形の機械及び直線の機械の両方において、編成された衣類製品を製造する上で実施できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この意図、並びにこれらの目的及び以下に明らかとなるその他の目的は、使用される機械の複数の針により編成列を連続して製造する、靴下類又は他の製品を編成する機械で開口した編地を製造する方法によって達成され、この方法は、穴(複数)を与えるオープンワークを実行する方法であり、第1針が、第1編成列の形成を担った後に、第1編成列のループを前記第1針に連続する第2針へ移すことによって、前記ループから解放され、前記第1針は、編成を再開できるように作動されて前記第1列に続く編成列の新たなループを形成する針のグループによって、前記穴の各々は提供されることを特徴とする。
【0008】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例として例証された、本発明に係る方法のいくつかの好ましい、しかしこれらに限定するものではない、実施形態の記述によって更に明瞭となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
図面を参照すると、本発明に係る方法では、編地を製造すべく編成列を連続して製造し、この列の編成中に、穴(複数)を与えるオープンワークが実施され、第1編成列の形成を担った後に、第1針が、第1針と隣接した第2針へ第1列の形成中に形成されたばかりのループを移して前記ループから解放される1グループの針によって、穴の各々は得られる。第1針が再び作動されて編成を再開し、第1編成列に続く編成列の形成の際に新たなループを形成する。
【0010】
第1針は、第1列の形成中、第1編成列の直後に続く編成列の形成中、又は、予め設定された数の中間編成列だけ第1編成列から離間した編成列の形成中に形成されたループを移した後に、編成を再開できる。
【0011】
更に、1本の針から隣接する針へのループの移転は、第1編成列に続く編成列を形成した後第1針に隣接する針にも作用し、より多くの針を徐々に解放することができる。
【0012】
対応するループを移すことによって解放された1又は複数本の針に関する編成再開の遅延、及び/又は対応するループを移すことによって解放される針の段階的増加により、穴の寸法が増加する。更に、編成再開時に前記針によって実施されるステッチのタイプにおけるこれらの解決方法及びあらゆる応用形によっても、穴の形状を変更することができる。
【0013】
図1〜図7は、本発明に係る方法で得られる7タイプの穴を一例として示す。
【0014】
以降の説明では、単純化及び更なる明瞭性のために、編成列の製造中に各針によって形成されるループは、1本の糸によってもたらされると仮定するが、本発明に係る方法は、針に同時に供給される2本以上の糸からなるループを形成することによっても実施することができる。
【0015】
図面には、編成列が大文字で示されている。説明を単純化する目的により、各針は、図面中同一の針で編成されたループのカラムを示す数字によって示される。各編成列の糸は、編成列を示す大文字と同一の小文字で示される。針により形成された編成列のループは、そのループが属しているループのカラムの数字と(つまり、前記ループのカラムを形成する針を示す数字と)、前記編成列を示す大文字と同一の小文字とで示される。
【0016】
以降の説明では、単純化の目的により、靴下類又は他の製品のための円形編機の針シリンダと同様に、編地を形成する針は垂直方向に配置されていると仮定し、従って、例えば針係合のための「針上昇」、ループ形成のための「針下降」という表現は、記述された様々なタイプの編成を、水平に配置された、あるいは垂直に対して様々に傾斜して配置された針によっても実施できるという事実を変更せずに使用される。
【0017】
図1に示す穴は、編地の形成中に、隣接した第1針1及び第2針2の2本の針によって構成される針のグループを使用して得られる。
【0018】
前記穴を形成するには、他の針と共に糸“a”で第1編成列Aの形成を担った後に、第1針1が、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aが第2針2上へ移されることによりループ1aから解放され、第2針2が自身のループ2a及びループ1aを携える方法で実行される。
【0019】
第1編成列Aの後に、第2編成列Bが、編成列Bの形成を担う他の針と共に、各々ループ1b及び2bを形成する第1針1及び第2針2を作動させることにより、糸“b”によって形成される。第1針1及び第2針2の両方は、糸“b”との係合中に、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1a及び2aが第2針2のラッチの下を通過することができる。針1の解放により針1が降下した結果形成されるループ1bは、実際にステッチを形成しないが、ループ2bの形成により、ループ2bが編み込まれたループ1a、2aを落とす際に、単にいわゆる“曲げ”を形成する。
【0020】
次に、第3編成列Cが糸“c”で形成されるが、編成列Cの形成を担う他の針によってだけでなく、ループ1b、2bが対応する針のラッチの下を通過できるように、ドロップ−ステッチレベルで糸“c”と係合するよう上昇させられた針1、2の両方によっても編成される。次に前記針1、2を降下させることにより、各々ループ1b、2bと編み込まれる2つのループ1c、2cが形成され、ループ1b、2bが前記針によって落とされる。この時点で、図1に示した穴が完了する。
【0021】
図2に示す穴は、編地の形成中に、やはり2本の針、すなわち隣接した第1針1及び第2針2によって構成される針のグループを使用して得られる。
【0022】
前記穴を形成するには、他の針と共に糸“a”を使用して第1編成列Aの形成を担った後に、第1針1を、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aが第2針2上へ移されることによりループ1aから解放し、第2針2が自身のループ2aとループ1aとを携える方法で実行される。
【0023】
第1編成列Aの後に、第2編成列Bが糸“b”によって形成される。第1針1は第2編成列Bの編成から除外され、一方で、第2針2が、編成列Bの形成を担う他の針と共に作動される。これにより、第1針の編成1にてブライドル1bが形成され、第2針2がループ2bを形成する。糸“b”との係合中に、第2針2がドロップ−ステッチレベルに上昇させられることにより、ループ1a、2aが第2針2のラッチの下を通過することができる。ループ2bの形成により、ループ2bが編み込まれたループ1a、2aが落とされる。
【0024】
次に、第3編成列Cが糸“c”で形成されるが、編成列Cの形成を担う他の針によってだけでなく、ループ2bが第2針2のラッチの下を通過できるよう、ドロップ−ステッチレベルで糸“c”と係合すべく上昇させられた針1、2の両方によっても編成される。次に、前記針1、2を降下させることにより2つのループ1c、2cが形成される。針1は解放されているため、針1の降下に続くループ1cの形成では実際のステッチは形成されないが、単にいわゆる“曲げ”が形成され、その一方で、ループ2cの形成によって、ループ2cが編み込まれたループ2bが落とされる。
【0025】
第3編成列Cの後に、第4編成列Dが糸“d”で形成されるが、編成列Dの形成を担う他の針によってだけでなく、ループ1c、2cが対応する針のラッチの下を通過できるように、ドロップ−ステッチレベルで糸“d”と係合すべく上昇させられた針1、2の両方によっても編成される。次に、前記針1、2を降下させることで、ループ1c、2cと各々編み込まれる2つのループ1d、2dが形成され、ループ1c、2cが前記針によって落とされる。この時点で、図2に示す穴が完成する。
【0026】
図3に示す穴は、編地の形成中に、やはり2本の針、すなわち隣接した第1針1及び第2針2によって構成される針のグループを使用して得られる。
【0027】
前記穴を形成するには、糸“a”で他の針と共に第1編成列Aの形成を担った後に、第1針1が、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aが第2針2上へ移されることによりループ1aから解放され、第2針2が自身のループ2aとループ1aとを携える方法で実行される。
【0028】
第1ループAの後に、編成列Bの形成を担う他の針と共に、ループ1b及び2bの各々を形成する第1針1及び第2針2を作動することで、糸“b”により第2編成列Bが形成される。第1針1及び第2針2は、糸“b”との係合中に、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1a、2aが第2針2のラッチの下を通過することができる。針1は解放されているため、針1を降下させた後にループ1bが形成されても、実際のステッチを形成せずに、単にいわゆる“曲げ”を形成し、その一方で、ループ2bの形成によって、ループ2bが編み込まれたループ1a、2aが落とされる。
【0029】
次に、第3編成列Cが、糸“c”で形成され、編成列Cの形成を担う他の針によってのみでなく、針1、2の両方によっても編成される。この編成列Cの形成中に、第1針1がタック−ステッチレベルで糸“c”と係合するように上昇させられるため、ループ1bがそのラッチの下を通過できず、一方で、第2針2がドロップ−ステッチレベルで糸“c”と係合すべく上昇させられるため、ループ2bがそのラッチの下を通過できる。次に、前記針1、2が降下することで、針1の側ではループ1bを重ねた状態でループ1cが形成され、針2の側ではループ2bを落としてループ2cが形成される。
【0030】
第3編成列Cの後に、第4編成列Dが、糸“d”で形成され、編成列Dの形成を担う他の針によってだけでなく、針1上のループ1b、1c、針2上のループ2cが各々対応する針のラッチの下を通過できるように、ドロップ−ステッチレベルで糸“d”と係合すべく上昇させられた針1、2によっても編成される。次に、前記針1、2を降下させることで、ループ1b、1c、2cと各々編み込まれる2つのループ1d、2dが形成され、ループ1b、1c、2cが前記針によって落とされる。この時点で、図3に示す穴が完了する。
【0031】
図4に示す穴は、編地の形成中に、隣接した第1針1、第2針2、第3針3の3本の針によって構成される針のグループを使用して得られる。
【0032】
前記穴の形成は、糸“a”を使用して他の針と共に第1編成列Aの形成を担った後に、第1針1が、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aが第2針2上へ移されることによりループ1aから解放され、第2針2が自身のループ2aとループ1aとを携え、第3針3が対応するループ3aを携える方法で実行される。
【0033】
第1編成列Aの後に、第2編成列Bが糸“b”により形成される。第1針1は第2編成列Bの編成から除外され、一方で、第2針2及び第3針3が、編成列Bの形成を担う他の針と共に作動される。これにより、ブライドル1bが第1針1にて形成される一方で、第2針2と第3針3とが各々ループ2b、3bを形成する。糸“b”との係合中に、ループ1a、2aが第2針2のラッチの下を通過できるように、第2針2がドロップ−ステッチレベルに上昇させられる。ループ2bの形成により、ループ2bが編み込まれるループ1a、2aを落とす。第2編成列Bの形成後に、更に第2針2が、第3針3上へ移されるループ2bから解放され、第3針3はループ2b及び3bを携える。
【0034】
次に、第3編成列Cが糸“c”で形成され、編成列Cの形成を担う他の針によってだけでなく、ループ2b、3bが第3針3のラッチの下を通過できるように、ドロップ−ステッチレベルで糸“c”と係合すべく上昇させられた針1、2、3によっても編成される。次に、針を降下させたことにより3つのループ1c、2c、3cを形成する。針1、2は解放されているため、前記針の降下により形成されたループ1c、2cは、2つの“曲げ”を形成し、一方で、ループ3cの形成により、第3針3がループ2b、3bを落とす。
【0035】
第3編成列Cの後に、第4編成列Dが、糸“d”で形成され、編成列Dの形成を担う他の針によってだけでなく、針1、2、3によっても編成される。針1、3は、ループ1c、3cが対応する針のラッチの下を通過できるように、糸“d”と結合すべくドロップ−ステッチレベルに上昇させられる。次に、前記針1、3を降下させると、ループ1c、3cと各々編み込まれる2つのループ1d、3dが形成され、ループ1c、3cが前記針によって落とされる。第2針2が、糸“d”と係合するためにタック−ステッチレベルに上昇させられることにより、ループ2cが前記針のラッチの下を通過しない。次に、第2針2を降下させると、ループ2cを前記針のビークに保持しながら、ループ2dが形成される。
【0036】
第4編成列Dの後に、第5編成列Eが糸“e”で形成され、編成列Eの形成を担う他の針によってだけでなく、針1、2、3によっても編成される。針1、2、3は、糸“e”と係合するために、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられ、ループ1d、2c、2d、3dが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、2、3を降下させると、ループ1d、ループ2c、2d及びループ3dと各々編み込まれる3つのループ1e、2e、3eが形成され、ループ1d、2c、2d及び3dが前記針によって落とされる。
【0037】
この時点で、図4に示した穴が完成する。
【0038】
図5に示す穴は、編地の形成中に、隣接した第1針1、第2針2、第3針3の3本の針によって構成される針のグループを使用して得られる。
【0039】
前記穴を形成するには、糸“a”で他の針と共に第1編成列Aの形成を担った後に、第1針1が、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aが第2針2上へ移されることによりループ1aから解放され、第2針2が自身のループ2aとループ1aとを携え、一方で、第3針3が対応するループ3aを携える方法で実行される。
【0040】
第1編成列Aの後に、第2編成列Bが、糸“b”によって形成される。第1針1は、第2編成列Bの形成から除外され、一方で、第2針2、第3針3が、編成列Bの形成を担う他の針と共に作動される。これにより、第1針1にてブライドル1bが形成され、一方で、第2針2、第3針3が各々のループ2b、3bを形成する。糸bとの係合中に、第2針2がドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1a、2aが第2針2のラッチの下を通過できる。ループ2bが形成されることで、ループ2bが編み込まれたループ1a、2aが落とされる。更に、第2編成列Bの形成の後に、第2針2が、第3針3上へ移されるループ2bから解放され、第3針3がループ2b及び3bを携える。
【0041】
次に、第3編成列Cが糸“c”で形成され、編成列Cの形成を担う他の針によってのみでなく、ループ2b及び3bが第3針3のラッチの下を通過できるよう、ドロップ−ステッチレベルで糸“c”と係合すべく上昇させられた針1、2、3によっても編成される。次に、針を降下させると、3つのループ1c、2c、3cが形成される。針1、2を降下させた後に編成のループ1c、2cが形成されることで、前記針は解放されているため、2つの“曲げ”が形成され、一方で、ループ3cが形成されることで、第3針3がループ2b、3bを落とす。
【0042】
第3編成列Cの後に、第4編成列Dが糸dで形成され、編成列Dの形成を担う他の針によってだけでなく、針1、3によっても編成され、一方、針2は、編成から除外され、そのビークに予め形成されたループ2cを保持する。針1、3は、糸dと係合するためにドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1c、3cが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、3を降下させることにより、ループ1c、3cと各々編み込まれる2つのループ1d、3dが形成され、ループ1c、3cが前記針によって落とされる。編成から除外された針2にて、ブライドル2dが形成される。
【0043】
第4編成列Dの後に、第5編成列Eが、糸eで形成され、編成列Eの形成を担う他の針によってだけでなく、針1、2、3によっても編成される。針1、2、3は、ドロップ−ステッチレベルで糸eと係合すべく上昇させられるため、ループ1d、2c、3dが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、2、3を降下させると、ループ1d、ループ2c、ループ3dと各々編み込まれる3つのループ1e、2e、3eが形成され、ループ1d、ループ2c、ループ3dが前記針によって落とされる。
【0044】
この時点で、図5に示した穴が完了する。
【0045】
図6に示す穴が、編地の形成中に、3本の針、つまり隣接した第1針1、第2針2、第3針3によって構成される1組の針を使用して得られる。
【0046】
前記穴を形成するには、糸“a”を使用した第1編成列Aの形成を他の針と共に担った後に、第1針1が、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aが第2針2上へ移されることで、ループ1aから解放され、第2針2が自身のループ2aとループ1aとを携え、一方で第3針3が対応するループ3aを携える方法で実行される。
【0047】
第1編成列Aの後に、第2編成列Bが糸“b”によって形成される。第1針1は、第2編成列Bの編成から除外され、一方、第2針2、第3針3が、編成列Bの形成を担う他の針と共に作動される。これにより、第1針1にてブライドル1bが形成され、一方で、第2針2、第3針3が各々ループ2b、3bを形成する。第2針が、糸“b”との係合中に、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1a、2aが第2針2のラッチの下を通過できる。ループ2bが形成されると、ループ2bが編み込まれるループ1a、2aが落ちる。第2ループBの形成後に、第2針2も第3針3上へ移されるループ2bから解放され、第3針3はループ2b、3bを携える。
【0048】
次に、第3編成列Cが糸“c”で形成され、編成列Cの形成を担う他の針によってのみでなく、第3針3のラッチの下をループ2b、3bが通過できるように、ドロップ−ステッチレベルで糸“c”と係合すべく上昇させられた針1、2、3によっても編成される。次に、針を降下させると、3つのループ1c、2c、3cが形成される。針1、2を降下させた結果ループ1c、2cが形成されると、前記針は解放されているため、2つの“曲げ”が形成され、その一方で、ループ3cが形成されると、第3針3がループ2b、3bを落とす。
【0049】
第3編成列Cの後に、第4編成列Dが糸“d”で形成され、編成列Dの形成を担う他の針によってのみでなく、針1、2、3によっても編成される。針2、3が、ドロップ−ステッチレベルにて糸“d”と係合するために上昇させられることで、ループ2c、3cが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針2、3を降下させると、各々ループ2c、3cと編み込まれる2つのループ2d、3dが形成され、ループ2c、3cが前記針によって落とされる。第1針1が、糸“d”と係合するために、タック−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1cが前記針のラッチの下を通過しない。次に、第1針1を降下させると、ループ1cが前記針のビークに保持されて、ループ1dが形成される。
【0050】
第4編成列Dの後に、第5編成列Eが糸“e”で形成され、編成列Eの形成を担う他の針によってのみでなく、針1、2、3によっても編成される。針1、2、3は、糸“e”と係合するために、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるので、ループ1c、1d、2d、3dが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、2、3を降下させると、ループ1c、1d、ループ2d、ループ3dと各々編み込まれる3つのループ1e、2e、3eが形成され、ループ1c、1d、ループ2d、ループ3dが前記針によって落とされる。
【0051】
この時点で、図6に示す穴が完了する。
【0052】
図7に示す穴は、編地の形成中に、4本の針、つまり隣接した第1針1、第2針2、第3針3、第4針4によって構成される針のグループを使用して得られる。
【0053】
前記穴を形成するには、糸“a”を使用して他の針と共に第1編成列の形成を担った後に、第1針1が、前記編成列Aの形成中に形成されたループ1aを第2針2上へ移すことによりループ1aから解放され、第2針2が自身のループ2aとループ1aとを携え、一方で、第3針3が対応するループ3を携え、第4針が対応するループ4aを携える方法で実行される。
【0054】
第1編成列Aの後に、第2編成列Bが、糸“b”によって形成される。第1針1は第2編成列Bの編成からは除外され、一方で、第2針2、第3針3及び第4針4が、編成列Bの形成を担う他の針と共に作動される。これにより、第1針1にてブライドル1bが形成され、第2針2、第3針3、第4針4が各々ループ2b、3b、4bを形成する。第2針2は、糸“b”との係合中に、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1a、2aが、第2針2のラッチの下を通過できる。ループ2bが形成されると、ループ2bが編み込まれているループ1a、2aを落とす。第2編成列Bの形成後に、第2針2もループ2bが第3針3上へ移されることでループ2bから解放され、第3針3がループ2b及び3bを携える。
【0055】
第2編成列Bの後に、第3編成列Cが、糸“c”によって形成される。第1針1は、第3編成列Cの編成から依然として除外され、第2針2も編成から除外され、一方で、第3針3及び第4針4が、編成列Cの形成を担う他の針と共に作動される。これにより、第1針1及び第2針2にてブライドル1c、2cが形成され、一方、第3針3、第4針4が各々ループ3c、4cを形成する。第3針3は、針“c”との係合中に、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ2b及び3bが第3針3のラッチの下を通過できる。ループ3cが形成されることで、ループ3cが編み込まれているループ2b、3bが落ちる。第3編成列Cの形成後に、更に第3針3が、ループ3cが第4針4上へ移されることにより、ループ3cから解放され、第4針4がループ3c及び4cを携える。
【0056】
次に、第4編成列Dが糸“d”で形成され、編成列Dの形成を担う他の針のみによってではなく、ループ3c、4cが第4針4のラッチの下を通過できるように、ドロップ−ステッチレベルで糸“d”と係合すべく上昇させられた針1、2、3、4によっても編成される。次に、針を降下させることで、4つのループ1d、2d、3d、4dが形成される。針1、2、3を降下させた後にループ1d、2d、3dが形成されることで、前記針は解放されているために、3つの“曲げ”が形成され、一方で、ループ4dが形成されることで、第4針4がループ3c、4cを落とす。
【0057】
第4編成列Dの後に、第5編成列Eが糸“e”で形成され、編成列Eの形成を担う他の針のみによってだけでなく、針1、2、3、4によっても編成される。針1、針4は、ドロップ−ステッチレベルで糸“e”と係合するように上昇させられるため、ループ1d、4dが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、4を降下させることにより、ループ1d、4dと各々編み込まれる2つのループ1e、4eが形成され、ループ1d、4dは前記針によって落とされる。第2針2、第3針3は、糸“e”と係合すべくタック−ステッチレベルに上昇させられるため、対応するループ2d、3dは前記針のラッチの下を通過しない。次に、前記針2、3を降下させることで、ループ2d、3dが前記針のビークに保持された状態で、ループ2e、3eが形成される。
【0058】
第5編成列Eの後に、第6編成列Fが糸“f”で形成され、編成列Fの形成を担う他の針によってだけでなく、針1、2、3、4によっても編成される。針1、2、4は、糸“f”と係合すべく、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1e、2d、2e、4eが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、2、4を降下させることで、ループ1e、ループ2d、2e、ループ4eと各々編み込まれた3つのループ1f、2f、4fが形成され、ループ1e、ループ2d、2e、ループ4eは前記針によって落とされる。第3針3は、糸“f”と係合すべく、タック−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ3d、3eが前記針のラッチの下を通過しない。次に、針3を降下させることで、ループ3d、3eが前記針のビークに保持された状態で、ループ3fが形成される。
【0059】
第6編成列Fの後に、第7編成列Gが糸“g”で形成され、編成列Gの形成を担う他の針によってだけでなく、針1、2、3、4によっても編成される。針1、2、3、4が、糸“g”と係合すべくドロップ−ステッチレベルに上昇させられるため、ループ1f、2f、3d、3e、3f、4fが対応する針のラッチの下を通過できる。次に、前記針1、2、3、4を降下させると、ループ1f、ループ2f、ループ3d、3e、3f、ループ4fと各々編み込まれた4つのループ1g、2g、3g、4gが形成され、ループ1f、ループ2f、ループ3d、3e、3f、ループ4fは前記針によって落とされる。
【0060】
この時点で、図7に示す穴が完成する。
【0061】
様々な穴を形成する方法の説明では、編成が再開されると、ループを隣接する針へ移すことで解放された針が、ドロップ−ステッチレベルに上昇させられると記載している。これは、新たなループを形成し、既に受け取った又は形成したループを落とす必要がある隣接した針に対して、前記針を多様な方法で作動させることを避けるので好ましい方法とされるが、義務的な態様ではなく、前記針は、解放されることにより既に形成又は受け取られたループを落とす又は保持する問題がないため、タック−ステッチレベルへの上昇によっても編成を再開できる。
【0062】
上述した実施形態は、単に、本発明の根底にある概念をより分かり易く説明するために、非限定的な例証によって提供されたものである。本発明が基づく教示に従うことにより、
− 徐々に解放される針の本数を、そのループを隣接する針へ移すことによって変更する、
− 前記針が編成から除外される間に編成列の数を変更する、
− 前記針が編成を再開すべく移動された際に、前記針によって形成されるステッチのタイプを変更する
ことによって穴の寸法及び形状を変更できるオープンワークを実施することが可能になる。
【0063】
上述した穴の実行に関する説明は、穴を形成するために使用される針のグループの作動に限定される。穴に隣接する編成領域を形成するための、様々な編成列の形成における機械の他の針の作動は、要望に応じた任意のものであってよいが、図面に示すように、穴の付近では平編みが好ましい。
【0064】
ニット製品の製造では、本発明に係る方法により得られる穴を、製品の製造中に数回繰り返すことが可能であり、形状及び/又は寸法の異なる穴を、所望の美的効果に応じて様々な方法で任意に組み合わせてもよい。
【0065】
本発明に係る方法は、公開特許文書である国際公開第02/070799号パンフレットに開示されたタイプの機械で実施することが好ましいが、どのような場合においても、ループを1本の針からこれに隣接する針へ移すことができる他の機械で実施することが可能である。
【0066】
実施において、本発明に係る方法は、ループを1本の針からこれに隣接する針へ移す技術を従来のステッチの形成と組み合わせて使用することで、意図する目標を完全に達成できることが分かっており、要望に応じた様々な寸法及び/又は形状の穴を設けた開口した編地を形成することが可能である。
【0067】
上述した実施形態の例では、特定の例に関連して提供された個々の特徴は、実際に、他の実施形態の例に伴う他の異なる特徴と相互交換することが可能である。
【0068】
このようにして考案された方法、及びこの方法によって得られた開口した編地製品には、その全てが添付した請求項の範囲内にある多くの修正及び変更を加えることができ、また細部の全ては、更に他の技術的に等価な要素に置き換えても良い。
【0069】
実際には、使用される糸及び糸の番手は、要望及び技術の状態に応じて如何なるものにしても良い。
【0070】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第MI2004A000303号における開示内容は、参照してここに盛り込まれる。
【0071】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照符号が続いているが、これらの参照符号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、このような参照符号により一例として識別される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。
【図2】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。
【図3】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。
【図4】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。
【図5】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。
【図6】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。
【図7】大幅に拡大され裏面から見た、本発明に係る方法の実施形態で得られた異なるタイプの穴を設けてある編地の各部分を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用される機械の複数の針(1、2)により編成列(A、B、C)を連続して製造する、靴下類又は他の製品を編成する前記機械で開口した編地を製造する方法において、
穴(複数)を与えるオープンワークを実行する方法であり、第1針(1)が、第1編成列(A)の形成を担った後に、第1編成列(A)のループ(1a)を前記第1針(1)に隣接する第2針(2)へ移すことによって、前記ループ(1a)から解放され、前記第1針(1)は、編成を再開できるように作動されて前記第1列(A)に続く編成列(B)の新たなループ(1b)を形成する針(1、2)のグループによって、前記穴の各々は提供されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1針(1)は、前記第1編成列(A)の直後に続く第2編成列(B)の形成中に、編成を再開すべく作動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1針(1)は、前記第1編成列(A)の直後に続く第2編成列(B)を形成する際に、前記第1針(1)にてブライドル(1b)を形成するために編成から除外され、前記第2編成列(B)に続く編成列(C)を形成する際に編成を再開すべく作動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1針(1)は、ループ(1b)を移した後に編成を再開すべく作動される際に、少なくとも1つのタックステッチを形成すべく作動されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記第1針(1)は、前記第1列(A)の直後に続く少なくとも1つの第2編成列(B)を形成する際に、前記第1針(1)にてブライドル(1a)を形成するために編成から除外され、
前記第2針(2)によって形成され、前記第2編成列(B)に属する前記ループ(2b)が、前記第2針(2)に隣接する第3針(3)へ移され、前記第2針も同様に解放され、前記第1針(1)及び前記第2針(2)は、前記第2編成列(B)に続く編成列(C)を形成する際に編成を再開すべく作動されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1針(1)は、前記第1編成列(A)の直後に続く少なくとも1つの第2編成列(B)を形成する際に、前記第1針(1)にてブライドル(1b)を形成するために編成から除外され、
前記第2針(2)によって形成され、前記第2編成列(B)に属するループが、前記第2針(2)に隣接する第3針(3)へ移され、前記第2針(2)も同様に解放され、
直前の列のループを受けた針に隣接する針へループを移す動作は、予め設定された列の数だけ繰り返され、各々の場合において針を解放し、一方で、直前の列のループを移すことによって解放された針が、予め設定された編成列数の形成中に編成から除外され、前記予め設定された列数の編成から除外された針は、前記予め設定された編成列数の後に、編成を再開して新たな編成列を形成することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ループを移すことにより解放された針での編成を再開する場合に、前記解放された針のうちの少なくとも1つがタックステッチを形成するために作動されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
ループを移すことにより解放された針は、連続した別の編成列を形成する際に、編成を再開するように作動されて新たなループを形成することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記穴に近接した領域は、平編みで編成されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
公開特許文書である国際公開第02/070799号パンフレットに開示されたタイプの機械で実行されることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに係る方法によって得られることを特徴とする開口した編地製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−525605(P2007−525605A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553472(P2006−553472)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000869
【国際公開番号】WO2005/080653
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(598014043)
【Fターム(参考)】