説明

鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造

【課題】鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造において、ハンドルウェイトをリジッドマウントしながら、ハンドルパイプ内にダイナミックダンパを設けることを可能にする。
【解決手段】中空状のハンドルパイプ16と、ハンドルパイプ16の外側端16Cから挿入して設けられるとともに、車幅方向内側部にテーパー部64Aを有するボルト挿通孔62、及び、割り溝が設けられたハンドルウェイト55と、テーパー状に形成され、ハンドルウェイト55の前記割り溝側に係合するナット部材57と、ハンドルウェイト55のボルト挿通孔62に通され、ハンドルウェイト55とナット部材57とを締結するウェイトボルト56とを有する鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造において、ナット部材57に、ハンドルパイプ16内にフローティング支持されるダイナミックダンパ58の取り付け部材59が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両のハンドルパイプの端部に設けられるハンドルウェイトの取り付け構造において、割り溝が形成された筒形部を有するハンドルウェイトと、テーパー面を有する筒形ナットとを有し、筒形部に筒形ナットを押し込むことによるくさび作用でハンドルウェイトをハンドルパイプにリジッドに固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1では、筒形ナットに、車幅方向中央側に延びる振動吸収棒を一体に設けることで、防振性の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2899566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のハンドルウェイト取り付け構造では、ハンドルウェイトがハンドルパイプにリジッドマウントされているため、防振性を十分に確保し難い場合がある。ダイナミックダンパを設けることで防振性を向上させることができるが、上記の構成では、ハンドルパイプの内部にダイナミックダンパを設けることが難しい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造において、ハンドルウェイトをリジッドマウントしながら、ハンドルパイプ内にダイナミックダンパを設けることを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、中空状のハンドルパイプ(16)と、前記ハンドルパイプ(16)の外側端(16C)から挿入して設けられるとともに、車幅方向内側部にテーパー部(64A)を有するボルト挿通孔(62)、及び、割り溝(63)が設けられたハンドルウェイト(55)と、テーパー状に形成され、前記ハンドルウェイト(55)の前記割り溝(63)側に係合するナット部材(57)と、前記ハンドルウェイト(55)の前記ボルト挿通孔(62)に通され、前記ハンドルウェイト(55)と前記ナット部材(57)とを締結するボルト(56)とを有する鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造において、前記ナット部材(57)に、前記ハンドルパイプ(16)内にフローティング支持されるダイナミックダンパ(58)の取り付け部材(59)が取り付けられることを特徴とする。
この構成によれば、中空状のハンドルパイプと、ハンドルパイプの外側端から挿入して設けられるとともに、車幅方向内側部にテーパー部を有するボルト挿通孔、及び、割り溝が設けられたハンドルウェイトと、テーパー状に形成され、ハンドルウェイトの割り溝側に係合するナット部材と、ハンドルウェイトのボルト挿通孔に通され、ハンドルウェイトとナット部材とを締結するボルトとを有し、ナット部材に、ハンドルパイプ内にフローティング支持されるダイナミックダンパの取り付け部材が取り付けられるため、取り付け部材によってダイナミックダンパをハンドルパイプ内に支持できる。これにより、ハンドルウェイトをハンドルパイプにリジッドマウントしながら、ハンドルパイプ内にダイナミックダンパを設けることが可能となる。
【0006】
また、上記構成において、前記ナット部材(57)の車幅方向中央部側に溝部(71)が設けられ、前記取り付け部材(59)には、前記溝部(71)に係止される係止部(78)が設けられる構成としても良い。
この場合、ナット部材の車幅方向中央部側に溝部が設けられ、取り付け部材には、この溝部に係止される係止部が設けられるため、取り付け部材の係止部をナット部材の溝部に係止する簡単な構成で、ダイナミックダンパをナット部材にサブアセンブリできる。
また、前記ナット部材(57)には、前記割り溝(63)に係合する突起部(70)が形成されていても良い。
この場合、ナット部材が割り溝に係合することで、ナット部材を回り止めできるため、ハンドルウェイト及びダイナミックダンパを確実に固定できる。
【0007】
さらに、前記ボルト(56)の前記ナット部材(57)との螺合部(56B)に、接着剤が付着されても良い。
この場合、ボルトのナット部材との螺合部に接着剤が付着されるため、ボルトとナット部材との螺着を固定でき、ハンドルウェイトのハンドルパイプに対する固定をより安定させることができる。
また、前記ハンドルパイプ(16)の前方にナックルガード(50)が配され、前記ナックルガード(50)は、前記ハンドルパイプ(16)の車幅方向中央側と、前記ハンドルウェイト(55)とにリジッド支持される構成としても良い。
この場合、ナックルガードが、ハンドルパイプの車幅方向中央側とハンドルウェイトとにリジッド支持され、いわゆるクローズドタイプとなるため、ナックルガードを強固に固定できるとともに、ハンドルウェイト及びダイナミックダンパによって防振性も向上できる。
【0008】
また、前記ハンドルウェイト(55)の前記ボルト挿通孔(62)の車幅方向外側端部(62A)が、前記ハンドルウェイト(55)の外側面(60A)よりも外方に突出し、前記ナックルガード(50)は、樹脂製であるとともに、前記ボルト挿通孔(62)の前記車幅方向外側端部(62A)とインローで前記ボルト(56)によって締結される構成としても良い。
この場合、ハンドルウェイトのボルト挿通孔の車幅方向外側端部が、ハンドルウェイトの外側面よりも外方に突出し、ナックルガードは、ボルト挿通孔の車幅方向外側端部にインローでボルトによって締結されるため、ナックルガードを締結する部品の部品点数を削減できるとともに、ハンドルウェイトの車幅方向外側端部にナックルガードが締結されるため、ナックルガードを安定して支持できる。
【0009】
また、前記ナックルガード(50)の車幅方向外側の取り付け部(54)は、後方に開放して略U字状を成し、当該U字状部(95)の向かい合う両開放縁(96,96)に開放部側に突出する突出部(97,97)が設けられ、前記ナックルガード(50)の前記U字状部(95)の前記開放部を埋めるとともに、前記突出部(97,97)に係止される別体の後部部材(98)が設けられる構成としても良い。
この場合、ナックルガードの車幅方向外側の取り付け部は、後方に開放して略U字状を成し、このU字状部の向かい合う両開放縁に開放部側に突出する突出部が設けられ、ナックルガードのU字状部の開放部を埋めるとともに、突出部に係止される別体の後部部材が設けられ、ナックルガードに対して前方に大きな荷重がかかる場合、後部部材が外れるとともに、ナックルガードは、後方に開放するU字状部にハンドルウェイトを通すようにして前方に抜けることができる。これにより、ナックルガードの荷重を逃がすことができ、部品の交換コストを抑えることができる。
【0010】
さらに、前記ハンドルパイプ(16)には、レバー部材(25)と、前記レバー部材(25)のピボットをなすピボットボルト(26)と、前記ピボットボルト(26)に締結されるホルダ部材(35)とが設けられ、前記ナックルガード(50)は、前記ホルダ部材(35)の前面に設けられる締め付け部(39)に締め付けられ、前記ナックルガード(50)の後面には、前記ホルダ部材(35)側に突出する突出部(51A)が設けられるとともに、前記ホルダ部材(35)には前記突出部(51A)と係合する係合部(38A)が設けられる構成としても良い。
この場合、レバー部材のピボットボルトでホルダ部材をハンドルパイプに取り付け、ホルダ部材の前面の締め付け部にナックルガードが締め付けられるため、ナックルガードの取り付けのための部品点数を削減できるとともに、ナックルガードの後面の突出部がホルダ部材の係合部に係合することで、ナックルガードを回り止めできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造では、ハンドルウェイトの割り溝側に係合するナット部材ナット部材に、ハンドルパイプ内にフローティング支持されるダイナミックダンパの取り付け部材が取り付けられるため、取り付け部材によってダイナミックダンパをハンドルパイプ内に支持できる。これにより、ハンドルウェイトをハンドルパイプにリジッドマウントしながら、ハンドルパイプ内にダイナミックダンパを設けることが可能となる。
また、取り付け部材には、ナット部材の溝部に係止される係止部が設けられるため、取り付け部材の係止部をナット部材の溝部に係止する簡単な構成で、ダイナミックダンパをナット部材にサブアセンブリできる。
【0012】
また、ナット部材が割り溝に係合することで、ナット部材を回り止めできるため、ハンドルウェイト及びダイナミックダンパを確実に固定できる。
さらに、ボルトとナット部材との螺着を接着剤によって固定でき、ハンドルウェイトのハンドルパイプに対する固定をより安定させることができる。
さらにまた、ナックルガードが、ハンドルパイプの車幅方向中央側とハンドルウェイトとにリジッド支持され、いわゆるクローズドタイプとなるため、ナックルガードを強固に固定できるとともに、ハンドルウェイト及びダイナミックダンパによって防振性も向上できる。
また、ナックルガードは、ボルト挿通孔の車幅方向外側端部にインローでボルトによって締結されるため、ナックルガードを締結する部品の部品点数を削減できるとともに、ハンドルウェイトの車幅方向外側端部にナックルガードが締結されるため、ナックルガードを安定して支持できる。
【0013】
また、ナックルガードのU字状部の開放部を埋めるとともに、突出部に係止される別体の後部部材が設けられ、ナックルガードに対して前方に大きな荷重がかかる場合、後部部材が外れるとともに、ナックルガードは、後方に開放するU字状部にハンドルウェイトを通すようにして前方に抜けることができる。これにより、ナックルガードの荷重を逃がすことができ、部品の交換コストを抑えることができる。
さらに、レバー部材のピボットボルトでホルダ部材をハンドルパイプに取り付け、ホルダ部材の前面の締め付け部にナックルガードが締め付けられるため、ナックルガードの取り付けのための部品点数を削減できるとともに、ナックルガードの後面の突出部がホルダ部材の係合部に係合することで、ナックルガードを回り止めできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態に係る自動二輪車の前部を示す左側面図である。
【図2】バーハンドルを車両左側から見た左側面図である。
【図3】バーハンドルの左部を上方から見た平面図である。
【図4】バーハンドルの左部を後方から見た図である。
【図5】図3におけるV−V断面図である。
【図6】図3におけるVI−VI断面図である。
【図7】図3におけるVII−VII断面図である。
【図8】ハンドルウェイト取り付け構造を示すハンドルパイプの断面図である。
【図9】ハンドルウェイトを示す図である。
【図10】ナット部材の平面図である。
【図11】取り付け部材を示す図である。
【図12】ナックルガードの外側取付部の嵌合孔部の近傍を示す側面図である。
【図13】変形例1におけるナックルガードの取付部を示す図である。
【図14】変形例2におけるナックルガードの取付部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造について図面を参照して説明する。なお、以下の説明における前後左右等の向きは、特に記載が無ければ以下に説明する車両における向きと同一とする。また、図中において、矢印FRは車両の前方を示し、矢印UPは車両の上方を示し、矢印LHは車両の左方を示している。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る自動二輪車の前部を示す左側面図である。
自動二輪車1(鞍乗り型車両)は、車体前後方向の略中央にエンジン2が搭載され、エンジン2の前方に前輪3が配置され、エンジン2の後方に後輪(不図示)が配置される鞍乗型の車両である。
前輪3は左右一対のフロントフォーク4に回動可能に支持され、一対のフロントフォーク4の上部には、下側から順にボトムブリッジ5、トップブリッジ6が架設されている。ボトムブリッジ5とトップブリッジ6との間には、フロントフォーク4と平行に延びるステアリングシャフト8が設けられている。車体フレーム9の前端にはステアリングシャフト8を支持するヘッドパイプ10が設けられ、フロントフォーク4は、ステアリングシャフト8を介してヘッドパイプ10に回転可能に支持されている。
【0017】
車体フレーム9はヘッドパイプ10からエンジン2の上方を後下がりに延びるメインフレーム9Aを有し、燃料タンク7は、メインフレーム9Aの上方に設けられている。
ヘッドパイプ10及びメインフレーム9Aの前部は、周囲を左右一対のフロントカウル11によって覆われている。フロントカウル11の前部には、ヘッドライトユニット20が設けられ、フロントカウル11の上部には、上方に延びるウインドスクリーン21が設けられている。ヘッドライトユニット20の後方には、左右一対のウインカー22が設けられる。
【0018】
トップブリッジ6の上面にはハンドルホルダ12が設けられ、ハンドルホルダ12は、トップブリッジ6の上面に設けられるロアホルダ13と、ロアホルダ13の上部に取り付けられるアッパホルダ14とを備えて構成されている。車幅方向に延びるバーハンドル15は、ロアホルダ13とアッパホルダ14との間に狭持されてハンドルホルダ12に固定されている。前輪3を操舵するバーハンドル15は、車幅方向に一本で延びる金属製のパイプにより構成され、中央部をハンドルホルダ12に支持されて左右に延びている。
バーハンドル15の下方には、ハンドルホルダ12の周囲を覆うハンドルカバー11Aが設けられている。また、バーハンドル15には、左右一対のサイドミラー23が設けられている。
【0019】
図2は、バーハンドル15を車両左側から見た左側面図である。図3は、バーハンドル15の左部を上方から見た平面図である。図4は、バーハンドル15の左部を後方から見た図である。
図2及び図3に示すように、バーハンドル15は、ハンドルホルダ12に支持される中央部から左右にそれぞれ延びるハンドルパイプを有し、左側のハンドルパイプ16及び右側のハンドルパイプ(不図示)の端には、自動二輪車1の運転者が把持するグリップ40がそれぞれ取り付けられる。グリップ40は樹脂材料を円筒状に形成して構成され、ハンドルパイプ16の外端から挿通されてハンドルパイプ16の外周面18に取り付けられる。
【0020】
ハンドルパイプ16においてグリップ40の車幅方向内側には、ウインカースイッチ等の各種スイッチが収容されたスイッチハウジング41が、グリップ40に隣接して設けられている。
ハンドルパイプ16においてスイッチハウジング41の車幅方向内側には、油圧式クラッチのマスターシリンダー42が、スイッチハウジング41に隣接して設けられている。マスターシリンダー42は、マスターシリンダー42との間でハンドルパイプ16を挟むように設けられるマスターシリンダーホルダー43によってハンドルパイプ16に固定されている。マスターシリンダー42は、サイドミラー23が取り付けられるミラー締結部42Aと、クラッチレバー25(レバー部材)を支持するレバーホルダー部42Bとを有し、レバーホルダー部42Bには、クラッチレバー25の揺動のピボットとなるピボットボルト26が設けられる。
また、レバーホルダー部42Bには、レバーホルダー部42Bの上下及び前方を覆うホルダ部材35が、ピボットボルト26によって取り付けられている。
【0021】
ハンドルパイプ16の外端部16Aには、ハンドルパイプ16の振動を低減する円筒状のハンドルウェイト55が取り付けられている。ハンドルウェイト55を設けることで、ハンドルパイプ16の共振周波数を、振動の影響が少ない周波数に移動させることができ、防振を図ることができる。ハンドルウェイト55は金属製である。
【0022】
ハンドルパイプ16には、グリップ40を把持する運転者の手を前方から覆うナックルガード50が取り付けられている。ナックルガード50は、樹脂材料を一体成形して構成されている。ナックルガード50は、バーハンドル15の車幅方向中央側のホルダ部材35にリジッドに取り付けられて車幅方向外側に延びる内側固定部51と、内側固定部51から前方に膨出しつつ外側に延びる膨出部52と、膨出部52から後方に延びてハンドルパイプ16の外端部16A側のハンドルウェイト55にリジッドに固定される外側固定部53とを有している。詳細には、マスターシリンダー42は、内側固定部51によって前方を覆われ、クラッチレバー25及びグリップ40は、膨出部52及び外側固定部53によって前方及び側方を覆われている。
【0023】
すなわち、ナックルガード50は、外側固定部53がハンドルパイプ16の外端部16A側に固定されてハンドルパイプ16の側面側も覆う、いわゆるクローズドタイプのナックルガードである。外側固定部53は、車幅方向外側から挿通されるウェイト固定ボルト56によってハンドルウェイト55にリジッド支持される。
このように、クローズドタイプのナックルガード50を、ハンドルパイプ16の車幅方向中央側のホルダ部材35と外端部16A側のハンドルウェイト55とにリジッド支持するため、ナックルガード50を強固に固定できる。
【0024】
一方、上述の右側のハンドルパイプ(不図示)には、ハンドルパイプの外周に回転可能に設けられる円筒状のスロットルチューブ(不図示)、フロントブレーキのマスターシリンダー(不図示)、及び、スイッチボックス(不図示)等が設けられている。右側のハンドルパイプでは、グリップは上記スロットルチューブの外周に取り付けられることで、ハンドルパイプの外周に配されている。ナックルガードは、右側のハンドルパイプにおいても左側のハンドルパイプ16と同様に設けられ、グリップの前方を覆って右側のハンドルパイプの外端部側に固定されており、本実施の形態では右側のナックルガードの詳細な説明は省略する。
【0025】
図5は、図3におけるV−V断面図である。
図5に示すように、マスターシリンダー42のレバーホルダー部42Bは、クラッチレバー25の基端のピボット孔部25Aを上下から挟む上板部27及び下板部28を有し、上板部27及び下板部28には、ピボットボルト26が挿通される孔部27A,28Aがそれぞれ形成されている。下板部28の下面において孔部28Aの周囲には、下方に向けて出っ張る厚肉部28Bが形成されている。
【0026】
ピボットボルト26は、工具が嵌め込まれる六角形状の頭部29と、頭部29に連なる円柱状の上側支持部30と、上板部27の孔部27A及びクラッチレバー25のピボット孔部25Aに挿通されるピボット軸部31と、下板部28の孔部28Aに挿通されてナット24により固定される締結軸部32とを有している。ピボットボルト26は、軸部の中間部に段部33が形成された段付きのボルトであり、締結軸部32はピボット軸部31よりも小径に形成されている。ナット24と下板部28との間には、締結軸部32が挿通される円筒状のカラー34が介装されている。また、頭部29の下部には、径方向に突出するフランジ部29Aが形成されている。
【0027】
ピボットボルト26は、段部33が下板部28の上面に当接し、下板部28の下面側の締結軸部32にカラー34を介してナット24が締結されることで、下板部28を上下で挟み込むようにしてレバーホルダー部42Bに固定されている。ピボットボルト26の上部では、ピボット軸部31が孔部27Aに嵌合されて径方向に位置決めされているだけであり、上側支持部30の下面と上板部27の上面とは離間しており、上板部27にはピボットボルト26の軸方向の締結力が作用していない。このため、ピボットボルト26の固定によって上板部27と下板部28との間の距離が狭まることがなく、ピボット孔部25Aのフリクションを小さくできるため、クラッチレバー25の操作性が良い。
【0028】
図6は、図3におけるVI−VI断面図である。
図5及び図6に示すように、ホルダ部材35は、上板部27の上面側に設けられる上カバー部36と、下板部28の下面側に設けられる下カバー部37と、レバーホルダー部42Bの前方側で上カバー部36と下カバー部37とを繋ぐ前カバー部38とを有する。
上カバー部36はピボットボルト26の上側支持部30が挿通される係止孔36Aを有し、下カバー部37は締結軸部32が挿通される係止孔37Aを有している。
【0029】
上カバー部36は、係止孔36Aが上側支持部30に挿通されることでピボットボルト26の径方向に位置決めされ、係止孔36Aの周縁部がフランジ部29Aと上板部27の上面との間に挟まれることで軸方向に位置決めされている。フランジ部29Aと上板部27の上面との間の距離は、上カバー部36が圧縮されないように、段部33と下板部28との当接によって規制されている。
下カバー部37は、係止孔37Aがカラー34を介して締結軸部32に挿通されることでピボットボルト26の径方向に位置決めされ、係止孔37Aの周縁部が厚肉部28Bと円筒状のカラー34のフランジ部34Aとの間に挟まれることで軸方向に位置決めされている。
【0030】
図6に示すように、前カバー部38には、前カバー部38を貫通する係合孔38A(係合部)が形成されている。ナックルガード50の内側固定部51の後面には、前カバー部38側に突出する突出部51A(ホルダ部材側に突出する突出部)が形成されており、内側固定部51は、突出部51Aが前カバー部38の係合孔38Aに係合することでホルダ部材35に位置決めされる。
【0031】
図7は、図3におけるVII−VII断面図である。
図7に示すように、ホルダ部材35の前カバー部38には、係合孔38Aに隣接して、締め付け部39が設けられており、締め付け部39は、円筒部39Aにナット90を埋め込んで構成されている。ナット90は、フランジ部90Aが円筒部39Aの段部に当接することで軸方向に位置を規制される。
ナックルガード50の内側固定部51の前面には、円筒状のカラー91が嵌合される孔51Bが形成され、カラー91には、内側固定部51を前カバー部38に締め付けてリジッドに固定するボルト92が挿通される。ボルト92は、内側固定部51の前方から挿通されてナット90に締結され、内側固定部51の孔51Bの周縁部は、カラー91のフランジ部91Aとボルト92の頭部との間に狭持され、締め付け部39はフランジ部91Aの底面に当接する。
【0032】
このように、クラッチレバー25のピボットボルト26を利用してホルダ部材35をハンドルパイプ16に取り付け、ホルダ部材35の前カバー部38の締め付け部39にナックルガード50がボルト92によって締め付けられるため、ナックルガード50の取り付けのための部品の部品点数を削減できる。また、ナックルガード50の後面の突出部51Aがホルダ部材35の係合孔38Aに係合するため、ウェイト固定ボルト56及びボルト92を支点にしてナックルガード50を回動させる向きの力に対し、ナックルガード50を回り止めできる。
【0033】
図8は、ハンドルウェイト取り付け構造を示すハンドルパイプ16の断面図である。
図8に示すように、ハンドルパイプ16においてグリップ40が設けられた部分の内側には、ハンドルウェイト55及びウェイト固定ボルト56の一部と、ウェイト固定ボルト56に螺合されてハンドルウェイト55に係合されるナット部材57と、円柱状のダイナミックダンパ58と、ナット部材57とダイナミックダンパ58とを連結する取り付け部材59とが設けられている。
【0034】
図9は、ハンドルウェイト55を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は図9(a)のIX−IX断面図である。
図8及び図9に示すように、ハンドルウェイト55は、円筒状のウェイト本体60と、ウェイト本体60から軸方向に延びてハンドルパイプ16の内周部16Bに嵌合される円筒部61と、ウェイト本体60及び円筒部61を軸方向に貫通するボルト挿通孔62とを有している。
ボルト挿通孔62には、ウェイト固定ボルト56が外側から挿通される。円筒部61側のボルト挿通孔62の内径は、ナット部材57が係合可能なように、ウェイト本体60側のボルト挿通孔62の内径よりも大径に形成されている。
【0035】
ボルト挿通孔62の車幅方向外側に位置する円筒状端部62A(車幅方向外側端部)は、ウェイト本体60の外側面60Aよりも外方に突出している。ナックルガード50は、外側固定部53の後端の外側取付部54(車幅方向外側の取り付け部)に嵌合孔部54Aを有し、この嵌合孔部54Aが円筒状端部62Aにインローで嵌合された状態でウェイト固定ボルト56の頭部と外側面60Aとの間に狭持されることで固定される。円筒状端部62Aの高さは、嵌合孔部54Aの板厚と略等しく形成されている。また、ウェイト固定ボルト56の頭部と嵌合孔部54Aとの間には、ワッシャー56Aが介装される。
このように、ナックルガード50が、ハンドルウェイト55にインローで嵌合され、ウェイト固定ボルト56によってハンドルウェイト55に共締めされるため、ナックルガード50を締結する部品の部品点数を削減できる。また、ウェイト固定ボルト56の締め付け力の大部分は、金属製の円筒状端部62Aによって受けられることになるため、樹脂製の嵌合孔部54Aの周縁部が過度に締め付けられることを防止できる。
【0036】
円筒部61は、ウェイト本体60よりも小径かつ薄肉に形成され、軸方向に延びる複数の割り溝63が形成されることで複数の部分円筒部64に分割されており、ナット部材57がボルト挿通孔62に係合された場合に径方向の外側へ開くように構成されている。本実施の形態では、割り溝63は略90°間隔で4カ所に設けられており、部分円筒部64は4分割されている。ボルト挿通孔62内において車幅方向内側の先端部には、部分円筒部64の先端にかけて先細るテーパー部64Aが形成されている。
円筒部61の基端部には、ハンドルパイプ16の外側端16Cに当接する当接部65が形成されており、当接部65の一部には、外側端16Cに形成された切り欠き部16Dに係合する係止凸部65Aが形成されている。ハンドルウェイト55は、係止凸部65Aが切り欠き部16Dに係合することで回り止めされる。
【0037】
図10は、ナット部材57の平面図である。
円筒状に形成されたナット部材57は、外周部が軸方向の一端側に向けて先細るテーパー状に形成されたテーパー状筒部67と、他端側においてテーパー状筒部67の外径よりも小径に形成された筒部68と、ナット部材57を軸方向に貫通するねじ孔部69とを有している。
【0038】
ナット部材57のねじ孔部69は、ハンドルウェイト55のテーパー部64A側から突出したウェイト固定ボルト56の先端に螺合される。ナット部材57は、ナット部材57がテーパー状筒部67の先端からボルト挿通孔62に入る向きで配置され、ウェイト固定ボルト56が締め込まれることでボルト挿通孔62の内部に移動して部分円筒部64を押し広げ、くさび作用を生じさせる。すなわち、ハンドルウェイト55は、ナット部材57のくさび作用によって、部分円筒部64がハンドルパイプ16の内周部16Bに食い込むように押圧されることでハンドルパイプ16に固定される。
また、ウェイト固定ボルト56がねじ孔部69と螺合するウェイト固定ボルト56の先端の螺合部56Bには、接着剤が付着されており、螺合部56Bは接着剤の接着力も相まって、ねじ孔部69に強固に締結される。
【0039】
ナット部材57のテーパー状筒部67のテーパーは、ハンドルウェイト55の部分円筒部64のテーパー部64Aと略等しいテーパーに形成されており、テーパー状筒部67がテーパー部64Aに沿って導入されることで、ナット部材57が円筒部61のボルト挿通孔62にスムーズに係合される。
テーパー状筒部67の外周部には、径方向の外側に突出する一対の突起部70,70が形成されている。突起部70,70は、互いに対向するように配置されて一対の割り溝63,63に係合し、ナット部材57は溝63,63にガイドされて軸方向に移動する。これにより、ナット部材57がボルト挿通孔62の内部を移動する際のナット部材57の回転を防止できるため、ハンドルウェイト55を確実に固定できる。
ナット部材57の筒部68の外周部には、内周側に凹んだ一対のナット側溝部71,71(溝部)が形成されており、ナット側溝部71,71には取り付け部材59の一端が連結される。ナット側溝部71,71は、ナット部材57の車幅方向の中央部側に形成された溝部であり、外周部に二面幅を形成している。
【0040】
図8に示すように、ダイナミックダンパ58は、ハンドルパイプ16内で軸方向に延びる円柱状の内側ウェイト73と、内側ウェイト73の両端部に設けられた筒状の内端側ラバー部材74及び外端側ラバー部材75とを備えて構成されている。内端側ラバー部材74及び外端側ラバー部材75は、ゴムにより構成された弾性部材である。
【0041】
内側ウェイト73の両端部には、内端側ラバー部材74及び外端側ラバー部材75を支持する支持軸部73A,73Aが設けられており、内端側ラバー部材74及び外端側ラバー部材75は、支持軸部73A,73Aの外周部に嵌合される。内端側ラバー部材74及び外端側ラバー部材75は、内側ウェイト73よりも大径に形成されており、内側ウェイト73はハンドルパイプ16の内周部16Bに接触しないように、内端側ラバー部材74及び外端側ラバー部材75によってフローティング支持されている。ダイナミックダンパ58を設けることで、ハンドルパイプ16の共振周波数を振動の影響が少ない周波数に移動させることができ、防振を図ることができる。
ナット部材57に近接して配置される外端側ラバー部材75の外周部には、内周側に凹んだウェイト側溝部75Aが形成されており、ウェイト側溝部75Aには、取り付け部材59の他端が連結される。
【0042】
図11は、取り付け部材59を示す図であり、図11(a)は平面図、図11(b)は図11(a)のXI−XI断面図である。
図8及び図11に示すように、取り付け部材59は、平面視においてC型に形成されたリング状部材であり、C型リング状のリング本体部77と、リング本体部77の軸方向の一端から径方向内側に突出する一対の爪部78,78(係止部)と、リング本体部77の軸方向の他端から径方向内側に突出する一対の爪部79,79と、爪部79,79側のリング本体部77の外周部から径方向の外側に突出する一対の舌部80,80とを有している。
【0043】
取り付け部材59は、リング本体部77がハンドルパイプ16の内周部16Bに嵌合され、舌部80,80が内周部16Bに形成された一対の位置決め孔16E,16Eに係合されることで、ハンドルパイプ16内に固定される。
取り付け部材59の一端側の爪部78,78は、ナット側溝部71,71に嵌め込まれてナット部材57に係止され、他端側の爪部79,79は、外端側ラバー部材75のウェイト側溝部75Aに嵌め込まれて係止される。すなわち、ナット部材57と内側ウェイト73とは、ナット部材57と内側ウェイト73との間に配置される取り付け部材59によって連結されている。
【0044】
このように、ハンドルウェイト55を固定するナット部材57に取り付け部材59を連結し、取り付け部材59によってダイナミックダンパ58を支持するため、簡単な構成でハンドルパイプ16内にダイナミックダンパ58を設けることができ、ハンドルウェイト55をハンドルパイプ16にリジッドマウントで強固に固定しながら、ハンドルパイプ16内にダイナミックダンパ58を設けることが可能となる。また、爪部79,79を外端側ラバー部材75に連結するため、ダイナミックダンパ58の動作が取り付け部材59によって妨げられることを防止でき、防振性が良い。
また、ハンドルウェイト55に対してダイナミックダンパ58が独立して設けられているため、ダイナミックダンパ58を効果的に作用させることができ、防振性が良い。さらに、ハンドルウェイト55とダイナミックダンパ58とで個別に防振性を調整できるので、防振性の設定変更が容易である。
【0045】
ここで、図8を参照し、ハンドルウェイト55及びダイナミックダンパ58の取付けの手順について説明する。
まず、ナット部材57とダイナミックダンパ58とが取り付け部材59によって一体に連結されたサブアセンブリ体を形成する。次いで、上記サブアセンブリ体を外側端16C側からハンドルパイプ16内に挿入していき、取り付け部材59の舌部80,80と位置決め孔16E,16Eとを係合させる。この際、舌部80,80と位置決め孔16E,16Eとの周方向の位置合わせは、治具を用いて行われる。また、ナット部材57は、爪部78,78が二面幅状のナット側溝部71,71に係合することで、回転方向の位置を固定されている。
次に、ハンドルウェイト55をハンドルパイプ16内に挿入する。この際、円筒部61の一対の割り溝63はナット部材57の突起部70,70に係合される。
【0046】
その後、ナックルガード50の嵌合孔部54Aをハンドルウェイト55の円筒状端部62Aに嵌合させるとともに、ワッシャー56Aと共にウェイト固定ボルト56をボルト挿通孔62に挿通し、ウェイト固定ボルト56をナット部材57に螺合させていくことで、ナット部材57のくさび作用によってハンドルウェイト55がハンドルパイプ16に固定される。ハンドルウェイト55は、当接部65が外側端16Cに当接することでハンドルパイプ16の軸方向に位置決めされ、その結果、ナット部材57の軸方向の位置も固定される。また、ナット部材57の位置が固定されることで、ダイナミックダンパ58は、取り付け部材59を介して軸方向の位置を固定される。
ウェイト固定ボルト56をナット部材57に螺合させる際には、係止凸部65Aと切り欠き部16Dとの係合によってハンドルウェイト55が回り止めされ、突起部70,70と割り溝63,63との係合によってナット部材57が回り止めされるため、ウェイト固定ボルト56を簡単に締結できるとともに、ハンドルウェイト55を確実に固定できる。
【0047】
図12は、ナックルガード50の外側取付部54の嵌合孔部54Aの近傍を示す側面図である。
ナックルガード50の外側取付部54には、後方に開放したU字状部95が形成されており、U字状部95の向かい合う一対の開放縁96,96には、開放部側に突出する突出部97,97が形成されている。
U字状部95には、U字状部95の開放部を埋めるように設けられる後部部材98が取り付けられる。後部部材98は、ナックルガード50とは別体で設けられる。後部部材98には、U字状部95の突出部97,97が嵌まる係止穴99,99が形成されており、後部部材98は、係止穴99と突出部97,97とが嵌まることでU字状部95に係止されている。後部部材98は、円弧部98Aを有し、円弧部98Aは嵌合孔部54Aの周縁部の後部を構成している。
【0048】
後部部材98は、係止穴99と突出部97,97との係止の設定を調整することで、所定の設定値を超える荷重が作用した場合に、後方に外れるように構成されている。すなわち、ナックルガード50に対して前方に押圧する荷重が設定値を超えて作用した場合、後部部材98は、ハンドルウェイト55の円筒状端部62A(図8)の後部に押圧されて後方側に外れ、ナックルガード50は、U字状部95に円筒状端部62Aを通すようにして前方に抜けることができ、ナックルガード50の荷重が逃がされる。
【0049】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、中空状のハンドルパイプ16と、ハンドルパイプ16の外側端16Cから挿入して設けられるとともに、車幅方向内側部にテーパー部64Aを有するボルト挿通孔62、及び、割り溝63が設けられたハンドルウェイト55と、テーパー状に形成され、ハンドルウェイト55の割り溝63側に係合するナット部材57と、ハンドルウェイト55のボルト挿通孔62に通され、ハンドルウェイト55とナット部材57とを締結するウェイト固定ボルト56とを有し、ナット部材57に、ハンドルパイプ16内にフローティング支持されるダイナミックダンパ58の取り付け部材59が取り付けられるため、取り付け部材59によってダイナミックダンパ58をハンドルパイプ16内に支持できる。これにより、ハンドルウェイト55をハンドルパイプ16にリジッドマウントしながら、ハンドルパイプ16内にダイナミックダンパ58を設けることが可能となる。
【0050】
また、ナット部材57の車幅方向中央部側にナット側溝部71,71が設けられ、取り付け部材59には、ナット側溝部71,71に係止される爪部78,78が設けられるため、取り付け部材59の爪部78,78をナット部材57のナット側溝部71,71に係止する簡単な構成で、ダイナミックダンパ58をナット部材57にサブアセンブリできる。
また、ナット部材57が割り溝63に係合することで、ナット部材57を回り止めできるため、ハンドルウェイト55及びダイナミックダンパ58を確実に固定できる。
【0051】
さらに、ウェイト固定ボルト56のナット部材57との螺合部56Bに接着剤が付着されるため、ウェイト固定ボルト56とナット部材57との螺着を接着剤で固定でき、ハンドルウェイト55のハンドルパイプ16に対する固定をより安定させることができる。
さらにまた、ナックルガード50が、ハンドルパイプ16の車幅方向中央側のホルダ部材35とハンドルウェイト55とにボルト92によってリジッド支持され、いわゆるクローズドタイプとなるため、ナックルガード50を強固に固定できるとともに、ハンドルウェイト55及びダイナミックダンパ58によって防振性も向上できる。
【0052】
また、ハンドルウェイト55のボルト挿通孔62の車幅方向外側の円筒状端部62Aが、ハンドルウェイト55の外側面60Aよりも外方に突出し、ナックルガード50は、ボルト挿通孔62の円筒状端部62Aにインローでウェイト固定ボルト56によって締結されるため、ナックルガード50を締結する部品の部品点数を削減できるとともに、ハンドルウェイト55の車幅方向外側の円筒状端部62Aにナックルガード50が締結されるため、ナックルガード50を安定して支持できる。
【0053】
また、ナックルガード50の車幅方向外側の外側取付部54は、後方に開放して略U字状を成し、このU字状部95の向かい合う両方の開放縁96,96に開放部側に突出する突出部97,97が設けられ、ナックルガード50のU字状部95の開放部を埋めるとともに、突出部97,97に係止される別体の後部部材98が設けられ、ナックルガード50に対して前方に大きな荷重がかかる場合、後部部材98がU字状部95から外れるとともに、ナックルガード50は、後方に開放するU字状部95にハンドルウェイト55の円筒状端部62Aを通すようにして前方に抜けることができる。このため、ナックルガード50、ハンドルパイプ16及びハンドルウェイト55等に大きな荷重がかかることを防止でき、部品の交換コストを抑えることができる。
【0054】
また、クラッチレバー25のピボットボルト26でホルダ部材35をハンドルパイプ16に取り付け、ホルダ部材35の前カバー部38の前面の締め付け部39にナックルガード50がボルト92で締め付けられるため、ナックルガード50の取り付けのための部品点数を削減できるとともに、ナックルガード50の内側固定部51の後面の突出部51Aがホルダ部材35の係合孔38Aに係合することで、ナックルガード50を回り止めできる。
【0055】
なお、上記実施の形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
上記の実施の形態では、クラッチレバー25のピボットボルト26でホルダ部材35をハンドルパイプ16に取り付け、ホルダ部材35の前カバー部38の締め付け部39にナックルガード50がボルト92で締め付けられるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、レバー部材としてのブレーキレバーをブレーキのマスターシリンダー部に軸支するピボットボルトによってホルダ部材をハンドルパイプに取り付け、このホルダ部材の前面の締め付け部に、ナックルガードを締め付ける構成としても良い。
また、上記実施の形態では、本発明を適用した鞍乗り型車両を自動二輪車1としたが、本発明は、三輪車両や四輪のバギー車等の鞍乗り型車両にも適用できる。
【0056】
[変形例1]
図13は、実施の形態の変形例1におけるナックルガードの取付部を示す図である。なお、この変形例1において、上記実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
図13に示すように、ハンドルウェイト155は、ウェイト本体60及び円筒状端部62Aを有し、外側面60Aには、円筒状端部62Aの外周面から径方向に突出して前後に延びるリブ155A,155Bが形成されている。リブ155A,155Bの延長線は円筒状端部62Aの中心を通る。
【0057】
ナックルガード150は、外側取付部54及び嵌合孔部54Aを有し、外側取付部54の後部には、嵌合孔部54Aから後方に延びるスリット150Aが形成されている。嵌合孔部54Aの後部は、スリット150Aによって後方に開放されている。
ナックルガード150は、嵌合孔部54Aが円筒状端部62Aに嵌合されて、外側からワッシャー56A(図8)と共に挿通されるウェイト固定ボルト56(図8)によってハンドルウェイト155に取り付けられる。ハンドルウェイト155に取り付けられた状態では、後部のリブ155Bはスリット150Aに係合する。また、外側取付部54の内側面には、前部のリブ155Aが係合する溝(不図示)が形成されている。このように、リブ155A,155Bが外側取付部54に係合することで、ナックルガード150を位置決め及び回り止めできる。
【0058】
嵌合孔部54Aの近傍には、嵌合孔部54Aの周縁部から外側に突出する突出座部150Bが複数形成されている。ワッシャー56Aは、突出座部150Bによって受けられる。
ナックルガード150に設定値以上の前方に押圧する荷重が作用すると、ナックルガード150は、スリット150Aに円筒状端部62Aを通すようにして前方に抜けることができ、ナックルガード150の荷重が逃がされる。
【0059】
[変形例2]
図14は、実施の形態の変形例2におけるナックルガード50の取付部を示す図である。なお、この変形例2において、上記実施の形態と同様に構成される部分については、同符号を付して説明を省略する。
変形例2では、自動二輪車1が自動変速機等を備えており、油圧式クラッチのマスターシリンダー42及びクラッチレバー25を備えていない場合について説明する。
ハンドルパイプ16には、前方側に延びるアルミ合金製のミラーステー242が固定されており、ミラーステー242には、サイドミラー23(図1)が取り付けられる。ミラーステー242は前方に延びるホルダ部242Aを有し、ナックルガード50は、内側固定部51に挿通されるボルト(不図示)によってホルダ部242Aの前面にリジッドに締結される。
【符号の説明】
【0060】
1 自動二輪車(鞍乗り型車両)
16 ハンドルパイプ
16C 外側端
25 クラッチレバー(レバー部材)
26 ピボットボルト
35 ホルダ部材
38A 係合孔(係合部)
39 締め付け部
50 ナックルガード
51A 突出部(ホルダ部材側に突出する突出部)
54 外側取付部(車幅方向外側の取り付け部)
55 ハンドルウェイト
56 ウェイト固定ボルト(ボルト)
56B 螺合部
57 ナット部材
58 ダイナミックダンパ
59 取り付け部材
60A 外側面
62 ボルト挿通孔
62A 円筒状端部(車幅方向外側端部)
63 割り溝
64A テーパー部
70,70 突起部
71,71 ナット側溝部(溝部)
78,78 爪部(係止部)
95 U字状部
96,96 開放縁
97,97 突出部(開放部側に突出する突出部)
98 後部部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空状のハンドルパイプ(16)と、前記ハンドルパイプ(16)の外側端(16C)から挿入して設けられるとともに、車幅方向内側部にテーパー部(64A)を有するボルト挿通孔(62)、及び、割り溝(63)が設けられたハンドルウェイト(55)と、テーパー状に形成され、前記ハンドルウェイト(55)の前記割り溝(63)側に係合するナット部材(57)と、前記ハンドルウェイト(55)の前記ボルト挿通孔(62)に通され、前記ハンドルウェイト(55)と前記ナット部材(57)とを締結するボルト(56)とを有する鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造において、
前記ナット部材(57)に、前記ハンドルパイプ(16)内にフローティング支持されるダイナミックダンパ(58)の取り付け部材(59)が取り付けられることを特徴とする鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項2】
前記ナット部材(57)の車幅方向中央部側に溝部(71)が設けられ、前記取り付け部材(59)には、前記溝部(71)に係止される係止部(78)が設けられることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項3】
前記ナット部材(57)には、前記割り溝(63)に係合する突起部(70)が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項4】
前記ボルト(56)の前記ナット部材(57)との螺合部(56B)に、接着剤が付着されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項5】
前記ハンドルパイプ(16)の前方にナックルガード(50)が配され、前記ナックルガード(50)は、前記ハンドルパイプ(16)の車幅方向中央側と、前記ハンドルウェイト(55)とにリジッド支持されることを特徴とする請求項1記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項6】
前記ハンドルウェイト(55)の前記ボルト挿通孔(62)の車幅方向外側端部(62A)が、前記ハンドルウェイト(55)の外側面(60A)よりも外方に突出し、前記ナックルガード(50)は、樹脂製であるとともに、前記ボルト挿通孔(62)の前記車幅方向外側端部(62A)とインローで前記ボルト(56)によって締結されることを特徴とする請求項5記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項7】
前記ナックルガード(50)の車幅方向外側の取り付け部(54)は、後方に開放して略U字状を成し、当該U字状部(95)の向かい合う両開放縁(96,96)に開放部側に突出する突出部(97,97)が設けられ、
前記ナックルガード(50)の前記U字状部(95)の前記開放部を埋めるとともに、前記突出部(97,97)に係止される別体の後部部材(98)が設けられることを特徴とする請求項6記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。
【請求項8】
前記ハンドルパイプ(16)には、レバー部材(25)と、前記レバー部材(25)のピボットをなすピボットボルト(26)と、前記ピボットボルト(26)に締結されるホルダ部材(35)とが設けられ、
前記ナックルガード(50)は、前記ホルダ部材(35)の前面に設けられる締め付け部(39)に締め付けられ、前記ナックルガード(50)の後面には、前記ホルダ部材(35)側に突出する突出部(51A)が設けられるとともに、前記ホルダ部材(35)には前記突出部(51A)と係合する係合部(38A)が設けられることを特徴とする請求項5記載の鞍乗り型車両のハンドルウェイト取り付け構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2012−250589(P2012−250589A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123510(P2011−123510)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】