鞍乗型車両の収納構造
【課題】ドライブチェーンとサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス容量を増加できる鞍乗型車両の収納構造を提供する。
【解決手段】車両上下方向に関し、左右一対のサブフレーム45L、45Rのうちの一方のサブフレーム45Lにおけるドライブチェーン68との対向部45L1を、ドライブチェーン68における一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置するとともに、一方のサブフレーム45Lにおける収納ボックス81との対向部45L2よりも、左右一対のサブフレーム45L、45Rのうちの他方のサブフレーム45Rにおける収納ボックス81との対向部45R2を下方に配置して、その分収納ボックス81の容量を増加させる。
【解決手段】車両上下方向に関し、左右一対のサブフレーム45L、45Rのうちの一方のサブフレーム45Lにおけるドライブチェーン68との対向部45L1を、ドライブチェーン68における一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置するとともに、一方のサブフレーム45Lにおける収納ボックス81との対向部45L2よりも、左右一対のサブフレーム45L、45Rのうちの他方のサブフレーム45Rにおける収納ボックス81との対向部45R2を下方に配置して、その分収納ボックス81の容量を増加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗型車両の収納構造として、例えば特許文献1に見られるような構造が知られている。同文献の符号を借りて説明すると、この鞍乗型車両の収納構造は、ヘッドパイプ(3)と、このヘッドパイプ(3)から車両後方かつ下方へ延出するメインフレーム(4)と、このメインフレーム(4)の後部に設けられ、後輪(30)を揺動自在に懸架する懸架部としてのリヤフォーク(29)の揺動軸としてのピボット軸(28)が設けられるピボッ卜部としてのピボットプレート(12)と、前記メインフレーム(4)の下方にて前記メインフレーム(4)に懸架され前記後輪(30)を駆動するパワーユニットとしての内燃機関(34)と、前記メインフレーム(4)の前後方向中間部から車両後方へ延出される左右一対のサブフレームとしてのリヤフレーム(5、5)と、これら左右一対のリヤフレーム(5、5)の上部に少なくとも一部が配置される収納ボックス(50)とを備えている。
【0003】
また、例えば特許文献2に見られるように、左右一対のサブフレーム(3、4)のうちの一方のサブフレーム(3)の下方に配置され、内燃機関(19)の駆動力を後輪(18)に伝達するドライブチェーン(33)を備えた鞍乗型車両も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3380447号公報
【特許文献2】特開2001−278146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の鞍乗型車両ないしその収納構造では、左右一対のサブフレームのうちの一方のサブフレームの下方に、駆動源であるエンジンから後輪に動力を伝達するドライブチェーンが配置されている。後輪は車体フレームに対して、揺動自在に支持される懸架部に軸支されている。ドライブチェーンのチェーンラインは、懸架部の揺動に伴って上下動するため、サブフレームとチェーンラインとの干渉を回避するために、サブフレームとチェーンラインとの距離は十分に確保する必要がある。
【0006】
一方、収納ボックスは、その容量の増加が望まれるが、上記のようなサブフレームとドライブチェーンとの位置的制約下において、しかも、鞍乗型車両の限られた空間において、左右一対のリヤフレームの上部に少なくとも一部が配置される収納ボックスにあっては、その容量の増加を実現することは困難であった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ドライブチェーンとサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス容量を増加できる鞍乗型車両の収納構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の鞍乗型車両の収納構造は、ヘッドパイプと、このヘッドパイプから車両後方かつ下方へ延出するメインフレームと、このメインフレームの後部に設けられ、後輪を揺動自在に懸架する懸架部の揺動軸が設けられるピボッ卜部と、前記メインフレームの下方にて前記メインフレームに懸架され前記後輪を駆動するパワーユニットと、前記メインフレームの前後方向中間部から車両後方へ延出される左右一対のサブフレームと、これら左右一対のサブフレームのうちのいずれか一方のサブフレームの下方に配置され、前記パワーユニットの駆動力を後輪に伝達するドライブチェーンと、前記左右一対のサブフレームの上部に少なくとも一部が配置される収納ボックスとを備えた鞍乗型車両の収納構造において、
車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレームのうちの前記一方のサブフレームにおける前記ドライブチェーンとの対向部を、該ドライブチェーンにおける当該一方のサブフレームとの対向部よりも上方に離間させて配置するとともに、当該一方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部よりも、前記左右一対のサブフレームのうちの他方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部を下方に配置したことを特徴とする。
この鞍乗型車両の収納構造によれば、車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレームのうちの前記一方のサブフレームにおける前記ドライブチェーンとの対向部を、該ドライブチェーンにおける当該一方のサブフレームとの対向部よりも上方に離間させて配置したので、サブフレームとチェーンラインとの距離を確保することが可能である。
ここで、一方のサブフレームにおけるドライブチェーンとの対向部を、該ドライブチェーンにおける当該一方のサブフレームとの対向部よりも上方に離間させて配置した場合、従来技術によると、他方のサブフレームについても同様の配置となっていた。これに対し、本発明によれば、当該一方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部よりも、他方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部を下方に配置したので、その分、収納ボックスを下方に拡張させることが可能となり、容量を増加させることが可能となる。
すなわち、この発明によれば、ドライブチェーンとサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス容量を増加させることが可能となる。
しかも、左右一対のサブフレーム間を車幅方向へ広げることなく収納ボックス容量を増加させることができるから、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス容量を増加させることが可能である。
例えば、前記収納ボックスにおける前記一方のサブフレームとの対向部よりも、前記収納ボックスにおける前記他方のサブフレームとの対向部を下方に配置することによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス容量を増加させることが可能である。
また例えば、前記収納ボックスは、車幅方向中心を基準として、前記他方のサブフレーム側の収納容積を、前記一方のサブフレーム側の収納容積より大きくすることによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス容量を増加させることが可能である。
本発明の鞍乗型車両の収納構造は、前記収納ボックスの上方に、乗員が着座するシートを具備した構成とするとともに、前記収納ボックスは、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメットを、該楕円形状の長軸を収納ボックス下側において前記他方のサブフレーム側にオフセットさせた状態で収納する構成とすることができる。
このように構成すると、フルフェイスヘルメットを収納することができるにもかかわらず、収納ボックスの高さ方向をコンパクト化することができるため、シート高の低減を図ることができる。
前記ドライブチェーンには少なくとも上方を覆うチェーンカバーを設けるとともに、車両側面視で、前記他方のサブフレームを、少なくともチェーンカバーの一部と重なるように配置することができる。
このように構成すると、収納ボックスの容積をさらに確実に増加させることができる。
前記他方のサブフレームの断面積は、車両前後方向から見て、前記一方のサブフレームの断面積より大きくすることができる。
このように構成すると、他方のサブフレームを一方のサブフレームより長く形成した場合であっても、他方のサブフレームの断面積を大とすることで、車体フレームの強度・剛性を略均一にすることができる。
車両前後方向から見て、前記収納ボックスの底壁を断面水平形状に形成するとともに、該底壁の下方に前記他方のサブフレームを配置し、該他方のサブフレーム側における収納ボックスの側壁と前記底壁とが略直交するように形成することができる。
このように構成すると、角形状の荷物の収納性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の収納構造の一実施の形態を適用した自動二輪車の一例の左側面図。
【図2】車体フレームの左側面図。
【図3】車体フレームの平面図。
【図4】車体フレームの背面図。
【図5】車体フレームと収納ボックスとの関係を説明する断面図。
【図6】図5における部分省略VI−VI拡大断面図。
【図7】他方のサブフレームの断面形状の変形例の説明図。
【図8】主として収納ボックスの変形例を示す断面図。
【図9】メインフレームの凹み部と収納ボックスの底部との関係を説明する断面図。
【図10】図5の平面図。
【図11】本実施の形態の作用効果を説明する側面図。
【図12】本実施の形態の作用効果を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る鞍乗型車両の収納構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図および本願明細書に置いて、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0011】
図1に示す鞍乗型車両は自動二輪車である。この自動二輪車10は、車両前部に配置されハンドル11によって操向可能に設けた前輪12と、この前輪12の後方に配置される駆動源としてのパワーユニットであるエンジン13と、このエンジン13の後方に配置されエンジン13によって駆動される後輪14と、前輪12と後輪14の間に乗員が跨って座るシート15とを備え、このシート15に乗員が跨って座る形態の鞍乗り型車両である。
【0012】
この自動二輪車10は、車体カバー20によって覆われている。車体カバー20は、車両の前面を覆うフロントカバー21と、このフロントカバー21の後部から車両後方へ連続して設けられ車両後方へ延ばされ車両の側面を覆う左右のサイドカバー22L、22R(手前側の符号22Lのみ示す)と、サイドカバー22L、22Rの上部に設けられ車両の上部を覆うアッパーカバー25とを有している。
【0013】
サイドカバー22L、22Rは、後述するメインフレーム42(図2)及びエンジン13の左右の側方を覆う左右のメインフレームサイドカバー23L、23R(手前側の符号23Lのみ示す)と、これら左右のメインフレームサイドカバー23L、23Rの後縁から連続して車両後方へ延ばされる左右のリヤサイドカバー24L、24R(手前側の符号24Lのみ示す。)とを有している。
【0014】
前輪12の上方に、フロントフェンダ31が配置され、ハンドル11の周囲に、ハンドル11を囲うハンドルカバー26が配置され、このハンドルカバー26の前部にヘッドライト29が取付けられている。また、後輪14の上方に、リヤフェンダ32が配置され、リヤフェンダ32の上方にウインカ33およびテールライト35を一体に備えるテールライトユニットが設けられ、その上方にグラブレール34が配置されている。シート15の下方に、リヤセンタカバー36が配置されている。
【0015】
次に、自動二輪車10の車体フレームについて説明する。
図2〜図4に示すように、車体フレーム40は、ヘッドパイプ41と、このヘッドパイプ41から車両後方に且つ下方へ延出するメインフレーム42と、このメインフレーム42の後部に設けられるピボッ卜部44と、メインフレーム42の前後方向中間部43から車両後方へ延出されピボット部44の車両後方で上方及び車両後方に屈曲する左右一対のサブフレーム45L、45Rと、これらの左右一対のサブフレーム45L、45Rの屈曲部46L、46R近傍にて左右のサブフレーム45L、45R間に車幅方向に渡されるクロスメンバ47と、このクロスメンバ47とメインフレーム42の後端部48を連結する連結部材54と、サブフレーム45L、45Rの後端部から車両後方へ延びている左右のレール部材49L、49Rとを主要素とする。
【0016】
左右のサブフレーム45L、45Rと左右のレール部材49L、49Rの間に、クッションユニット50L,50R(図1において符号50Lのみ図示)の上端が連結されるブラケット60L、60R(図2,図4参照)が取付けられている。
【0017】
サブフレーム45L、45Rの屈曲部46L、46Rは、車両後方へ延びる長手部51L、51Rと、この長手部51L、51Rから各々上方へ延びる起立部52L、52Rとからなり、長手部51L、51Rと起立部52L、52Rに、各々、ガセット部材53L、53Rが渡される。サブフレーム45L、45Rには、前述した車体カバー(図1、符号20)が係合されるカバーステー59が固着される。
【0018】
左右のサブフレームの屈曲部46L、46Rに設けられている左右のガセット部材53L、53Rは、平面視(図3)で、車幅方向外方に膨出するように湾曲するU字状を呈する。左右のガセット部材53L、53Rは、断面U字形状の板状部材から構成され、屈曲部46L、46Rから上方に離間するように、前部が長手部51L、51Rに、後部が起立部52L、52Rに連結(溶接)される。
【0019】
レール部材49L、49Rの前端の間には、第1レールクロス部材57が渡され、レール部材49L、49Rの後端の間には、第2レールクロス部材58が渡される。
【0020】
ピボッ卜部44は、メインフレーム42に形成した凹み部71の車幅方向両端部72L、72Rから、各々、斜め下外方に延び、かつ後下方に延びている左右の一対の板状部材73L、73Rと、左右の板状部材73L、73Rの間に渡した補強板77と、左右の板状部材73L、73Rを貫通して車幅方向水平左右に延びているピボット軸74とを主要素とする。左右の板状部材73L、73Rはピボットプレートを構成しているので、左右の板状部材73L、73Rをピボットプレート73L,73Rともいう。ピボット軸74は、左右一対のピボットプレート73L,73R間を連結している。そのピボット軸74に、後輪を揺動自在に懸架する懸架部をなすスイングアーム(図1、符号62)が取付けられる。スイングアーム62は、その揺動軸であるピボット軸74に挿通されるボルト74b(図6参照)によって揺動自在に懸架される。ピボット軸74の下方にて板状部材(ピボットプレート)73L、73Rに、メインスタンド(図1、符号69)を支える支軸79が設けられている。
【0021】
左右の板状部材73L、73Rの上端は、メインフレーム42の後部に設けられている凹み部71の車幅方向両端部72L、72Rに各々連結されている。すなわち、凹み部71の車幅方向両端部72L、72Rに、ピボット部44の上部が固定される。凹み部71は、縦より横が大きくなるように形成される。すなわち、円断面状のメインフレームの前部の外径をD1(図4)、メインフレーム42の凹み部71の車幅方向外径をD2(図4)とするとき、D1<D2となるようにした。
【0022】
あるいは、ピボッ卜部44は、ピボットプレート73(L,R)を備え、このピボットプレート73(L,R)は、車幅方向外側に延出する張り出し部122(図4参照)と、この張り出し部122から下方に垂下する垂下部123とから構成されるともいえる。
D1<D2であるため、張り出し部122の延出量が抑制され、板状部材73L、73R間の距離を十分に離してピボット部44の剛性を向上させることができる。
【0023】
図1にて、前輪12を支えるフロントフォーク61は、ヘッドパイプ41(図2)によって操向可能に支持される。後輪14を支えるスイングアーム62L、62R(図1にて手前側の符号62Lのみ示す)は、メインフレーム42(図2)の後部に設けられるピボット部44によって上下揺動可能に支持されている。スイングアーム62L、62Rの後部とサブフレーム52L、52Rの後端部近傍の間にクッションユニット50L、50R(図1にて手前側の符号50Lのみ示す)が渡される。
【0024】
メインフレーム42(図2)の下方にてメインフレーム42に、シリンダ軸が車両前後方向に略水平に延びるようにパワーユニットとしてのエンジン13が配置され、このエンジン13のシリンダヘッド65上面に吸気装置66が接続されている。シリンダヘッド65下面に排気装置64が接続される。
【0025】
エンジン13は、エンジンステー67(図2)及びピボット部44によって懸架される。エンジン13は、メインフレーム42の下方にてメインフレーム42に懸架されているといえる。エンジン13は、ドライブチェーン(以下単にチェーンともいう)68を介して後輪14を駆動する。この実施の形態におけるチェーン68は、左右一対のサブフレーム45L,45Rのうちの左方のサブフレーム45Lの下方に配置されているが、右方のサブフレーム45Rの下方に配置されている場合にもこの発明は適用可能である。ピボッ卜部44にメインスタンド69が備えられている。
【0026】
次に、収納ボックスと、車体フレームとの関係等について説明する。
図5,図6に示すように、この鞍乗型車両の収納構造は、前記左右一対のサブフレーム45L,45Rの上部に少なくとも一部が配置される収納ボックス81を備えている。図示の収納ボックス81は、そのほとんどの部分が左右一対のサブフレーム45L,45Rの上部に配置されているが、収納ボックス81の少なくとも一部が左右一対のサブフレーム45L,45Rの上部に配置されていれば、この発明を適用可能である。
【0027】
主として図6に示すように、この鞍乗型車両の収納構造の主な特徴は、車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレーム45L,45Rのうちの前記一方のサブフレーム45Lにおける前記ドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置するとともに、当該一方のサブフレーム45Lにおける前記収納ボックス81との対向部45L2よりも、前記左右一対のサブフレーム45L,45Rのうちの他方のサブフレーム45Rにおける前記収納ボックス81との対向部45R2を下方に配置した点にある。図6において、一方のサブフレーム45Lに対し、他方のサブフレーム45Rにおける収納ボックス81との対向部45R2を下方に移動させた距離をL1で示す。
【0028】
この鞍乗型車両の収納構造によれば、車両上下方向に関し、前記一方のサブフレーム45Lにおける前記ドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置したので、サブフレーム45Lとチェーンライン(符号68参照)との距離を確保することが可能である。
【0029】
ここで、一方のサブフレーム45Lにおけるドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置した場合、従来技術によると、例えば図6に仮想線(45R’)で示すように、他方のサブフレーム45R’についても同様の配置となっていた。すなわち、従来技術によると、左右のサブフレーム45L,45R’の収納ボックス81’との対向位置は、上下方向に関し、同一高さとなっていた。
【0030】
これに対し、この実施の形態によれば、図6に示すように、一方のサブフレーム45Lにおける収納ボックス81との対向部45L2よりも、他方のサブフレーム45Rにおける前記収納ボックス81との対向部45R2を下方に配置したので、その分、収納ボックス81を、図6に矢印eで示すように、下方に拡張させることが可能となり、容量を増加させることが可能となる。
【0031】
すなわち、この実施の形態によれば、ドライブチェーン68とサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス81の容量を増加させることが可能となる。
しかも、左右一対のサブフレーム45L,45R間を車幅方向へ広げることなく収納ボックス81の容量を増加させることができるから、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス81の容量を増加させることが可能である。
例えば、この実施の形態の収納構造によれば、図6に示すように、収納ボックス81における前記一方のサブフレーム45Lとの対向部81Lよりも、収納ボックス81における前記他方のサブフレーム45Rとの対向部81Rを下方に配置することによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス81の容量を増加させることが可能である。
また例えば図6に示すように、収納ボックス81は、車幅方向中心Cを基準として、前記他方のサブフレーム45R側の収納容積を、前記一方のサブフレーム45L側の収納容積より大きくすることによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス81の容量を増加させることが可能である。
【0032】
図1,図6に示すように、この実施の形態の鞍乗型車両の収納構造は、収納ボックス81の上方に、乗員が着座するシート15を具備しており、収納ボックス81は、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメット80を、該楕円形状の長軸80cを収納ボックス81下側において前記他方のサブフレーム45R側にオフセット(矢印d参照)させた状態で収納する構成となっている。
このように構成すると、フルフェイスヘルメット80を収納することができるにもかかわらず、収納ボックス81の高さ方向をコンパクト化することができるため、シート15の高さ(路面からの高さ)15hの低減を図ることができる。
【0033】
より具体的に説明すると、前述したように、一方のサブフレーム45Lにおけるドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置した場合、従来技術によると、例えば図6に仮想線(45R’)で示すように、他方のサブフレーム45R’についても同様の配置となる。このため、従来技術による収納ボックス81’の底部形状は、図6に仮想線(81’)で示すように、車幅方向中心Cに関して基本的には左右対称形状となり、他方のサブフレーム45R’側の底部はサブフレーム45L側の底部に比べて低くはならない。
したがって、従来技術によると、図6に仮想線(80’)で示すように、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメット(80’)を、該楕円形状の長軸(80c’)を収納ボックス81下側において前記他方のサブフレーム46R側にオフセット(矢印d参照)させた状態で収納したとしても、同仮想線(80’)で示すように、その最上部の高さ(80h’)を低減させることはできない。そのため、シート(15’)の高さ(15h’)も低減させることはできない。
【0034】
これに対し、この実施の形態によれば、上述したように、一方のサブフレーム45Lにおける収納ボックス81との対向部45L2よりも、他方のサブフレーム45Rにおける前記収納ボックス81との対向部45R2が下方に配置されている(この実施の形態では、少なくとも、一方のサブフレーム45Lの上部よりも、他方のサブフレーム45Rにおける上部が下方に配置されている)ので、その分、他方のサブフレーム45R側における収納ボックス81の底部を下方に下げる(拡張する)ことができる。そのため、フルフェイスヘルメット80を、該楕円形状の長軸80cを収納ボックス81下側において前記他方のサブフレーム46R側にオフセット(矢印d参照)させた状態で収納することにより、その最上部の高さ80hを低減させることができ、その分、シート15の高さ15hも低減させることができる。低減された高さを図6においてh’で示す。
【0035】
図1,図6に示すように、ドライブチェーン68には、少なくともその上方を覆うチェーンカバー68cが設けられている。図6に示すように、車両側面視で(図6において左右方向から見て)、他方のサブフレーム45Rは、少なくともチェーンカバー68cの一部と重なるように配置する。重なり部を図6においてL2で示す。
このように構成すると、収納ボックス81の容積をさらに確実に増加させることができる。
【0036】
図6に示すように、前記他方のサブフレーム45Rの断面積は、車両前後方向から見て、前記一方のサブフレーム45Lの断面積より大きくすることができる。
このように構成すると、他方のサブフレーム45Rを一方のサブフレーム45Lより長く形成した場合であっても(図2参照)、他方のサブフレーム45Rの断面積を大とすることで、車体フレーム40の強度・剛性を略均一にすることができる。
他方のサブフレーム45Rの断面積は、図6に示すように、パイプの内外径の差を大きくすることで大きくすることもできるし、例えば図7(a)に示すように、ガセット53Rを大型化することによって全体として断面積を増大させることもできる。また、例えば図7(b)または(c)に示すように、断面形状を変更することによって断面積を増大させることもできる。
【0037】
図8に示すように、車両前後方向から見て、収納ボックス81の底壁81bは、断面水平形状に形成するとともに、該底壁81bの下方に前記他方のサブフレーム45Rを配置し、該他方のサブフレーム45R側における収納ボックス81の側壁81sと前記底壁81bとが略直交するように形成することができる。
このように構成すると、角形状の荷物の収納性を向上させることができる。
【0038】
図5、図6に示すように、収納ボックス81の底部82は、前述したメインフレーム42の凹み部71の上面84でかつ連結部材54の前面85に沿って配置することができる。また、収納ボックス81の底部82は、左右一対のサブフレーム45L、45Rの間に挟まれるようにして配置することができる。
メインフレーム42は、ピボッ卜部44より車両後方へ突出される突出部86を備え、このメインフレームの突出部86に連結部材54の一端54aが接続される。
【0039】
次に、前述したメインフレーム42の凹み部71と収納ボックス81の位置関係等について説明する。
図9に車幅方向中心における断面が示されている。
メインフレーム42の前後方向中間部43の車両後方にてメインフレーム42の上面76に、下方へ凹む凹み部71が備えられ、この凹み部71の上方にヘルメッ卜80やその他の物品等を収納する収納ボックス81が配置されている。収納ボックス81は、メインフレーム42に設けた凹み部71の上に、この凹み部71に沿って底部82が位置するように配置される。
【0040】
収納ボックス81の車両後方に燃料タンク83が隣り合うように設けられ、収納ボックス81及び燃料タンク83を覆うようにシート15が設けられている。シート15は、収納ボックス81の蓋を兼ねている。
【0041】
次に、収納ボックス81の支持構造について説明する。
図5、図10に示すように、収納ボックス81の前部底部87、87に、前孔部105、105が設けられ、収納ボックス81の後部上部の突片部88、88に、後孔部106、106が設けられている。
これらの前孔部105、105及び後孔部106、106に、各々、上から締結部材93が挿入され、車体フレーム40側に設けた前側固定部91及び後側固定部92に、収納ボックス81の前部底部87、87および突片部88、88が固定される。
【0042】
次に、収納ボックス81の前側固定部の詳細な構造について説明する。
図5に示すように、ピボッ卜部44の上部75に、収納ボックス81を支持する前ステー95L、95R(図2,図3参照)が固着され、この前ステー95L、95Rの下面にそれぞれナット96が固着される。前ステー95L、95Rの上面にそれぞれ弾性部材97が載置され、この弾性部材97、97に上方から収納ボックス81の前部底部87、87(図10参照)が載置され、上方から締結部材93、93を各々ナット96、96へねじ込むことで収納ボックス81の前部を取付ける。すなわち、前側固定部91、91となる前ステー95L、95Rに、収納ボックス81の前部底部87、87がラバーマウン卜支持されている。
【0043】
図10を併せて参照して、後側固定部92、92となる後ステー99L、99R(図2,図3参照)に、収納ボックス81の後部上部の突片部88、88がラバーマウント支持されている。収納ボックス81の後側固定部92の構造は、前側固定部91と大きく異なるところはなく、説明を省略する。
【0044】
すなわち、収納ボックス81は、前後のステー95L、95R、99L、99Rによってラバーマウント支持され、この収納ボックス81を覆うようにシート15が設けられているので、シート15に備えたクッション部16(図9)のクッション機能と相まって、乗員にかかる振動等を緩和させることができる。
【0045】
この実施の形態では、メインフレーム42における凹み部71の車幅方向の幅D2が凹み部71以外の幅D1よりも大きい(D1<D2)ため、板状部材73L、73Rの車幅方向外面からメインフレーム42までの距離が小さくなる。この距離が小さい程、ピボット部44は変形し難くなり、曲げ剛性やねじれ剛性が高まる。従って、凹み部71に沿わせるように収納ボックス81の底部82を配置することで、収納ボックス81底部82の容量を大きくすることができると共に、ピボッ卜部44の剛性を高めることができる。
尚、凹み部71はパイプ部材をつぶすことにより形成できるため、縮管等と比較して生産性を向上させながら上記のような副次的効果を奏することができる。
【0046】
また、凹み部71に固定したピボッ卜部44の上部は剛性に富んでいる。剛性に富んでいるピボッ卜部44の上部に、収納ボックス81の前側固定部91、91を載置したので、収納ボックス81の支持剛性を高めることができる。
【0047】
図9にて、収納ボックス81の上方にはシート15が配置されており、乗員の荷重がシート15を介して収納ボックス81で支持される。この収納ボックス81を、図5に示すように、車体フレーム40の支持剛性の高い部分に固定することで、車体フレーム40の支持剛性を増加させるためのガセットやクロスプレート等を省くことができ、車体フレーム40の軽量化を図ることができる。
【0048】
図11に示すように、メインフレーム42の前後方向中間部43の車両後方にてメインフレーム42の上面76に、下方へ凹む凹み部71が備えられ、収納ボックス81の底部82が凹み部71の上面84で且つ連結部材54の前面85に沿って配置されている。
【0049】
メインフレーム42の上面76に凹み部71が設けられているので、メインフレーム42の上面76に凹み部71が設けられていない場合に較べて、収納ボックス81の底部82を下方へ延ばすことができる。結果、前述した作用効果と相俟って、収納ボックス81底部82の全体を下方に延ばすことで収納ボックス81の容量を大きくすることができる。
【0050】
さらに、メインフレーム42をピボット部44よりも車両後方へ突出し、この突出部86に連結部材54を接続する。突出部86により連結部材54が車両後方へ移動する。この移動により、収納ボックス81の容量を大きくすることができる。
【0051】
次に、サブフレームの屈曲部に渡されるガセッ卜部材について説明する。
図12に示すように、サブフレーム45L、45Rの長手部51L、51Rと起立部52L、52Rに、ガセット部材53L、53Rが渡されるので、屈曲部46L、46Rの剛性を高めることができる。加えて、ガセット部材53L、53Rに、車幅方向外方に膨出するU字状を呈するU字部103L、103Rが形成されている。
【0052】
ガセット部材53L、53Rに、車幅方向外方に膨出するU字状を呈するU字部103L、103Rが形成されているので、収納ボックス81の車幅方向長さを大きく確保することができ、収納ボックス81の容量をより一層大きくすることができる。
【0053】
収納ボックス81の前後方向の大きさを確保するために、サブフレーム45L、45Rは、略水平方向後方に延出した後の屈曲部46L、46Rの位置をできるだけ車両後方に配置することが望まれる。しかし、サブフレームの屈曲部46L、46Rを車両後方に配置する場合、車両後方でのサブフレーム45L、45Rの高さを確保するために、サブフレーム45L、45Rの屈曲を大きくする必要があり、屈曲を大きくした上で剛性を確保するためには、ガセット等の補強部材をU字状の板状部材で形成すると共に、U字状の板状部材の中間部を開放して重量増加を回避する構造とすることが好ましい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。例えば、上記実施の形態では自動二輪車に適用したが、鞍乗り型三輪車にも適用可能であり、一般の鞍乗り型車両に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、収納ボックスが備えられている自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0056】
10…鞍乗り型車両(自動二輪車)、13…パワーユニット(エンジン)、14…後輪、41…ヘッドパイプ、42…メインフレーム、43…メインフレームの中間部、44…ピボット部、45L、45R…左右のサブフレーム、46L、46R…左右のサブフレームの屈曲部、47…クロスメンバ、48…メインフレームの後端部、51L、51R…長手部、52L、52R…起立部、53L、53R…ガセット部材、54…連結部材、54a …連結部材の一端、62…スイングアーム、68…ドライブチェーン、68c…チェーンカバー、71…凹み部、72L、72R…凹み部の車幅方向両端部、73L、74R…板状部材、76…メインフレームの上面、80…フルフェイスヘルメット、81…収納ボックス、82…収納ボックスの底部、84…凹み部の上面、85…連結部材の前面、86…メインフレームの突出部、91…収納ボックス81の前側固定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両の収納構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗型車両の収納構造として、例えば特許文献1に見られるような構造が知られている。同文献の符号を借りて説明すると、この鞍乗型車両の収納構造は、ヘッドパイプ(3)と、このヘッドパイプ(3)から車両後方かつ下方へ延出するメインフレーム(4)と、このメインフレーム(4)の後部に設けられ、後輪(30)を揺動自在に懸架する懸架部としてのリヤフォーク(29)の揺動軸としてのピボット軸(28)が設けられるピボッ卜部としてのピボットプレート(12)と、前記メインフレーム(4)の下方にて前記メインフレーム(4)に懸架され前記後輪(30)を駆動するパワーユニットとしての内燃機関(34)と、前記メインフレーム(4)の前後方向中間部から車両後方へ延出される左右一対のサブフレームとしてのリヤフレーム(5、5)と、これら左右一対のリヤフレーム(5、5)の上部に少なくとも一部が配置される収納ボックス(50)とを備えている。
【0003】
また、例えば特許文献2に見られるように、左右一対のサブフレーム(3、4)のうちの一方のサブフレーム(3)の下方に配置され、内燃機関(19)の駆動力を後輪(18)に伝達するドライブチェーン(33)を備えた鞍乗型車両も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3380447号公報
【特許文献2】特開2001−278146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の鞍乗型車両ないしその収納構造では、左右一対のサブフレームのうちの一方のサブフレームの下方に、駆動源であるエンジンから後輪に動力を伝達するドライブチェーンが配置されている。後輪は車体フレームに対して、揺動自在に支持される懸架部に軸支されている。ドライブチェーンのチェーンラインは、懸架部の揺動に伴って上下動するため、サブフレームとチェーンラインとの干渉を回避するために、サブフレームとチェーンラインとの距離は十分に確保する必要がある。
【0006】
一方、収納ボックスは、その容量の増加が望まれるが、上記のようなサブフレームとドライブチェーンとの位置的制約下において、しかも、鞍乗型車両の限られた空間において、左右一対のリヤフレームの上部に少なくとも一部が配置される収納ボックスにあっては、その容量の増加を実現することは困難であった。
【0007】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、ドライブチェーンとサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス容量を増加できる鞍乗型車両の収納構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の鞍乗型車両の収納構造は、ヘッドパイプと、このヘッドパイプから車両後方かつ下方へ延出するメインフレームと、このメインフレームの後部に設けられ、後輪を揺動自在に懸架する懸架部の揺動軸が設けられるピボッ卜部と、前記メインフレームの下方にて前記メインフレームに懸架され前記後輪を駆動するパワーユニットと、前記メインフレームの前後方向中間部から車両後方へ延出される左右一対のサブフレームと、これら左右一対のサブフレームのうちのいずれか一方のサブフレームの下方に配置され、前記パワーユニットの駆動力を後輪に伝達するドライブチェーンと、前記左右一対のサブフレームの上部に少なくとも一部が配置される収納ボックスとを備えた鞍乗型車両の収納構造において、
車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレームのうちの前記一方のサブフレームにおける前記ドライブチェーンとの対向部を、該ドライブチェーンにおける当該一方のサブフレームとの対向部よりも上方に離間させて配置するとともに、当該一方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部よりも、前記左右一対のサブフレームのうちの他方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部を下方に配置したことを特徴とする。
この鞍乗型車両の収納構造によれば、車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレームのうちの前記一方のサブフレームにおける前記ドライブチェーンとの対向部を、該ドライブチェーンにおける当該一方のサブフレームとの対向部よりも上方に離間させて配置したので、サブフレームとチェーンラインとの距離を確保することが可能である。
ここで、一方のサブフレームにおけるドライブチェーンとの対向部を、該ドライブチェーンにおける当該一方のサブフレームとの対向部よりも上方に離間させて配置した場合、従来技術によると、他方のサブフレームについても同様の配置となっていた。これに対し、本発明によれば、当該一方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部よりも、他方のサブフレームにおける前記収納ボックスとの対向部を下方に配置したので、その分、収納ボックスを下方に拡張させることが可能となり、容量を増加させることが可能となる。
すなわち、この発明によれば、ドライブチェーンとサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス容量を増加させることが可能となる。
しかも、左右一対のサブフレーム間を車幅方向へ広げることなく収納ボックス容量を増加させることができるから、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス容量を増加させることが可能である。
例えば、前記収納ボックスにおける前記一方のサブフレームとの対向部よりも、前記収納ボックスにおける前記他方のサブフレームとの対向部を下方に配置することによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス容量を増加させることが可能である。
また例えば、前記収納ボックスは、車幅方向中心を基準として、前記他方のサブフレーム側の収納容積を、前記一方のサブフレーム側の収納容積より大きくすることによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス容量を増加させることが可能である。
本発明の鞍乗型車両の収納構造は、前記収納ボックスの上方に、乗員が着座するシートを具備した構成とするとともに、前記収納ボックスは、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメットを、該楕円形状の長軸を収納ボックス下側において前記他方のサブフレーム側にオフセットさせた状態で収納する構成とすることができる。
このように構成すると、フルフェイスヘルメットを収納することができるにもかかわらず、収納ボックスの高さ方向をコンパクト化することができるため、シート高の低減を図ることができる。
前記ドライブチェーンには少なくとも上方を覆うチェーンカバーを設けるとともに、車両側面視で、前記他方のサブフレームを、少なくともチェーンカバーの一部と重なるように配置することができる。
このように構成すると、収納ボックスの容積をさらに確実に増加させることができる。
前記他方のサブフレームの断面積は、車両前後方向から見て、前記一方のサブフレームの断面積より大きくすることができる。
このように構成すると、他方のサブフレームを一方のサブフレームより長く形成した場合であっても、他方のサブフレームの断面積を大とすることで、車体フレームの強度・剛性を略均一にすることができる。
車両前後方向から見て、前記収納ボックスの底壁を断面水平形状に形成するとともに、該底壁の下方に前記他方のサブフレームを配置し、該他方のサブフレーム側における収納ボックスの側壁と前記底壁とが略直交するように形成することができる。
このように構成すると、角形状の荷物の収納性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の収納構造の一実施の形態を適用した自動二輪車の一例の左側面図。
【図2】車体フレームの左側面図。
【図3】車体フレームの平面図。
【図4】車体フレームの背面図。
【図5】車体フレームと収納ボックスとの関係を説明する断面図。
【図6】図5における部分省略VI−VI拡大断面図。
【図7】他方のサブフレームの断面形状の変形例の説明図。
【図8】主として収納ボックスの変形例を示す断面図。
【図9】メインフレームの凹み部と収納ボックスの底部との関係を説明する断面図。
【図10】図5の平面図。
【図11】本実施の形態の作用効果を説明する側面図。
【図12】本実施の形態の作用効果を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る鞍乗型車両の収納構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図および本願明細書に置いて、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」は、各々、車両に乗車する運転者から見た方向を示す。各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0011】
図1に示す鞍乗型車両は自動二輪車である。この自動二輪車10は、車両前部に配置されハンドル11によって操向可能に設けた前輪12と、この前輪12の後方に配置される駆動源としてのパワーユニットであるエンジン13と、このエンジン13の後方に配置されエンジン13によって駆動される後輪14と、前輪12と後輪14の間に乗員が跨って座るシート15とを備え、このシート15に乗員が跨って座る形態の鞍乗り型車両である。
【0012】
この自動二輪車10は、車体カバー20によって覆われている。車体カバー20は、車両の前面を覆うフロントカバー21と、このフロントカバー21の後部から車両後方へ連続して設けられ車両後方へ延ばされ車両の側面を覆う左右のサイドカバー22L、22R(手前側の符号22Lのみ示す)と、サイドカバー22L、22Rの上部に設けられ車両の上部を覆うアッパーカバー25とを有している。
【0013】
サイドカバー22L、22Rは、後述するメインフレーム42(図2)及びエンジン13の左右の側方を覆う左右のメインフレームサイドカバー23L、23R(手前側の符号23Lのみ示す)と、これら左右のメインフレームサイドカバー23L、23Rの後縁から連続して車両後方へ延ばされる左右のリヤサイドカバー24L、24R(手前側の符号24Lのみ示す。)とを有している。
【0014】
前輪12の上方に、フロントフェンダ31が配置され、ハンドル11の周囲に、ハンドル11を囲うハンドルカバー26が配置され、このハンドルカバー26の前部にヘッドライト29が取付けられている。また、後輪14の上方に、リヤフェンダ32が配置され、リヤフェンダ32の上方にウインカ33およびテールライト35を一体に備えるテールライトユニットが設けられ、その上方にグラブレール34が配置されている。シート15の下方に、リヤセンタカバー36が配置されている。
【0015】
次に、自動二輪車10の車体フレームについて説明する。
図2〜図4に示すように、車体フレーム40は、ヘッドパイプ41と、このヘッドパイプ41から車両後方に且つ下方へ延出するメインフレーム42と、このメインフレーム42の後部に設けられるピボッ卜部44と、メインフレーム42の前後方向中間部43から車両後方へ延出されピボット部44の車両後方で上方及び車両後方に屈曲する左右一対のサブフレーム45L、45Rと、これらの左右一対のサブフレーム45L、45Rの屈曲部46L、46R近傍にて左右のサブフレーム45L、45R間に車幅方向に渡されるクロスメンバ47と、このクロスメンバ47とメインフレーム42の後端部48を連結する連結部材54と、サブフレーム45L、45Rの後端部から車両後方へ延びている左右のレール部材49L、49Rとを主要素とする。
【0016】
左右のサブフレーム45L、45Rと左右のレール部材49L、49Rの間に、クッションユニット50L,50R(図1において符号50Lのみ図示)の上端が連結されるブラケット60L、60R(図2,図4参照)が取付けられている。
【0017】
サブフレーム45L、45Rの屈曲部46L、46Rは、車両後方へ延びる長手部51L、51Rと、この長手部51L、51Rから各々上方へ延びる起立部52L、52Rとからなり、長手部51L、51Rと起立部52L、52Rに、各々、ガセット部材53L、53Rが渡される。サブフレーム45L、45Rには、前述した車体カバー(図1、符号20)が係合されるカバーステー59が固着される。
【0018】
左右のサブフレームの屈曲部46L、46Rに設けられている左右のガセット部材53L、53Rは、平面視(図3)で、車幅方向外方に膨出するように湾曲するU字状を呈する。左右のガセット部材53L、53Rは、断面U字形状の板状部材から構成され、屈曲部46L、46Rから上方に離間するように、前部が長手部51L、51Rに、後部が起立部52L、52Rに連結(溶接)される。
【0019】
レール部材49L、49Rの前端の間には、第1レールクロス部材57が渡され、レール部材49L、49Rの後端の間には、第2レールクロス部材58が渡される。
【0020】
ピボッ卜部44は、メインフレーム42に形成した凹み部71の車幅方向両端部72L、72Rから、各々、斜め下外方に延び、かつ後下方に延びている左右の一対の板状部材73L、73Rと、左右の板状部材73L、73Rの間に渡した補強板77と、左右の板状部材73L、73Rを貫通して車幅方向水平左右に延びているピボット軸74とを主要素とする。左右の板状部材73L、73Rはピボットプレートを構成しているので、左右の板状部材73L、73Rをピボットプレート73L,73Rともいう。ピボット軸74は、左右一対のピボットプレート73L,73R間を連結している。そのピボット軸74に、後輪を揺動自在に懸架する懸架部をなすスイングアーム(図1、符号62)が取付けられる。スイングアーム62は、その揺動軸であるピボット軸74に挿通されるボルト74b(図6参照)によって揺動自在に懸架される。ピボット軸74の下方にて板状部材(ピボットプレート)73L、73Rに、メインスタンド(図1、符号69)を支える支軸79が設けられている。
【0021】
左右の板状部材73L、73Rの上端は、メインフレーム42の後部に設けられている凹み部71の車幅方向両端部72L、72Rに各々連結されている。すなわち、凹み部71の車幅方向両端部72L、72Rに、ピボット部44の上部が固定される。凹み部71は、縦より横が大きくなるように形成される。すなわち、円断面状のメインフレームの前部の外径をD1(図4)、メインフレーム42の凹み部71の車幅方向外径をD2(図4)とするとき、D1<D2となるようにした。
【0022】
あるいは、ピボッ卜部44は、ピボットプレート73(L,R)を備え、このピボットプレート73(L,R)は、車幅方向外側に延出する張り出し部122(図4参照)と、この張り出し部122から下方に垂下する垂下部123とから構成されるともいえる。
D1<D2であるため、張り出し部122の延出量が抑制され、板状部材73L、73R間の距離を十分に離してピボット部44の剛性を向上させることができる。
【0023】
図1にて、前輪12を支えるフロントフォーク61は、ヘッドパイプ41(図2)によって操向可能に支持される。後輪14を支えるスイングアーム62L、62R(図1にて手前側の符号62Lのみ示す)は、メインフレーム42(図2)の後部に設けられるピボット部44によって上下揺動可能に支持されている。スイングアーム62L、62Rの後部とサブフレーム52L、52Rの後端部近傍の間にクッションユニット50L、50R(図1にて手前側の符号50Lのみ示す)が渡される。
【0024】
メインフレーム42(図2)の下方にてメインフレーム42に、シリンダ軸が車両前後方向に略水平に延びるようにパワーユニットとしてのエンジン13が配置され、このエンジン13のシリンダヘッド65上面に吸気装置66が接続されている。シリンダヘッド65下面に排気装置64が接続される。
【0025】
エンジン13は、エンジンステー67(図2)及びピボット部44によって懸架される。エンジン13は、メインフレーム42の下方にてメインフレーム42に懸架されているといえる。エンジン13は、ドライブチェーン(以下単にチェーンともいう)68を介して後輪14を駆動する。この実施の形態におけるチェーン68は、左右一対のサブフレーム45L,45Rのうちの左方のサブフレーム45Lの下方に配置されているが、右方のサブフレーム45Rの下方に配置されている場合にもこの発明は適用可能である。ピボッ卜部44にメインスタンド69が備えられている。
【0026】
次に、収納ボックスと、車体フレームとの関係等について説明する。
図5,図6に示すように、この鞍乗型車両の収納構造は、前記左右一対のサブフレーム45L,45Rの上部に少なくとも一部が配置される収納ボックス81を備えている。図示の収納ボックス81は、そのほとんどの部分が左右一対のサブフレーム45L,45Rの上部に配置されているが、収納ボックス81の少なくとも一部が左右一対のサブフレーム45L,45Rの上部に配置されていれば、この発明を適用可能である。
【0027】
主として図6に示すように、この鞍乗型車両の収納構造の主な特徴は、車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレーム45L,45Rのうちの前記一方のサブフレーム45Lにおける前記ドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置するとともに、当該一方のサブフレーム45Lにおける前記収納ボックス81との対向部45L2よりも、前記左右一対のサブフレーム45L,45Rのうちの他方のサブフレーム45Rにおける前記収納ボックス81との対向部45R2を下方に配置した点にある。図6において、一方のサブフレーム45Lに対し、他方のサブフレーム45Rにおける収納ボックス81との対向部45R2を下方に移動させた距離をL1で示す。
【0028】
この鞍乗型車両の収納構造によれば、車両上下方向に関し、前記一方のサブフレーム45Lにおける前記ドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置したので、サブフレーム45Lとチェーンライン(符号68参照)との距離を確保することが可能である。
【0029】
ここで、一方のサブフレーム45Lにおけるドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置した場合、従来技術によると、例えば図6に仮想線(45R’)で示すように、他方のサブフレーム45R’についても同様の配置となっていた。すなわち、従来技術によると、左右のサブフレーム45L,45R’の収納ボックス81’との対向位置は、上下方向に関し、同一高さとなっていた。
【0030】
これに対し、この実施の形態によれば、図6に示すように、一方のサブフレーム45Lにおける収納ボックス81との対向部45L2よりも、他方のサブフレーム45Rにおける前記収納ボックス81との対向部45R2を下方に配置したので、その分、収納ボックス81を、図6に矢印eで示すように、下方に拡張させることが可能となり、容量を増加させることが可能となる。
【0031】
すなわち、この実施の形態によれば、ドライブチェーン68とサブフレームとの干渉を回避しながら、収納ボックス81の容量を増加させることが可能となる。
しかも、左右一対のサブフレーム45L,45R間を車幅方向へ広げることなく収納ボックス81の容量を増加させることができるから、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス81の容量を増加させることが可能である。
例えば、この実施の形態の収納構造によれば、図6に示すように、収納ボックス81における前記一方のサブフレーム45Lとの対向部81Lよりも、収納ボックス81における前記他方のサブフレーム45Rとの対向部81Rを下方に配置することによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス81の容量を増加させることが可能である。
また例えば図6に示すように、収納ボックス81は、車幅方向中心Cを基準として、前記他方のサブフレーム45R側の収納容積を、前記一方のサブフレーム45L側の収納容積より大きくすることによって、車幅方向をコンパクトに維持したまま収納ボックス81の容量を増加させることが可能である。
【0032】
図1,図6に示すように、この実施の形態の鞍乗型車両の収納構造は、収納ボックス81の上方に、乗員が着座するシート15を具備しており、収納ボックス81は、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメット80を、該楕円形状の長軸80cを収納ボックス81下側において前記他方のサブフレーム45R側にオフセット(矢印d参照)させた状態で収納する構成となっている。
このように構成すると、フルフェイスヘルメット80を収納することができるにもかかわらず、収納ボックス81の高さ方向をコンパクト化することができるため、シート15の高さ(路面からの高さ)15hの低減を図ることができる。
【0033】
より具体的に説明すると、前述したように、一方のサブフレーム45Lにおけるドライブチェーン68との対向部45L1を、該ドライブチェーン68における当該一方のサブフレーム45Lとの対向部68bよりも上方に離間させて配置した場合、従来技術によると、例えば図6に仮想線(45R’)で示すように、他方のサブフレーム45R’についても同様の配置となる。このため、従来技術による収納ボックス81’の底部形状は、図6に仮想線(81’)で示すように、車幅方向中心Cに関して基本的には左右対称形状となり、他方のサブフレーム45R’側の底部はサブフレーム45L側の底部に比べて低くはならない。
したがって、従来技術によると、図6に仮想線(80’)で示すように、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメット(80’)を、該楕円形状の長軸(80c’)を収納ボックス81下側において前記他方のサブフレーム46R側にオフセット(矢印d参照)させた状態で収納したとしても、同仮想線(80’)で示すように、その最上部の高さ(80h’)を低減させることはできない。そのため、シート(15’)の高さ(15h’)も低減させることはできない。
【0034】
これに対し、この実施の形態によれば、上述したように、一方のサブフレーム45Lにおける収納ボックス81との対向部45L2よりも、他方のサブフレーム45Rにおける前記収納ボックス81との対向部45R2が下方に配置されている(この実施の形態では、少なくとも、一方のサブフレーム45Lの上部よりも、他方のサブフレーム45Rにおける上部が下方に配置されている)ので、その分、他方のサブフレーム45R側における収納ボックス81の底部を下方に下げる(拡張する)ことができる。そのため、フルフェイスヘルメット80を、該楕円形状の長軸80cを収納ボックス81下側において前記他方のサブフレーム46R側にオフセット(矢印d参照)させた状態で収納することにより、その最上部の高さ80hを低減させることができ、その分、シート15の高さ15hも低減させることができる。低減された高さを図6においてh’で示す。
【0035】
図1,図6に示すように、ドライブチェーン68には、少なくともその上方を覆うチェーンカバー68cが設けられている。図6に示すように、車両側面視で(図6において左右方向から見て)、他方のサブフレーム45Rは、少なくともチェーンカバー68cの一部と重なるように配置する。重なり部を図6においてL2で示す。
このように構成すると、収納ボックス81の容積をさらに確実に増加させることができる。
【0036】
図6に示すように、前記他方のサブフレーム45Rの断面積は、車両前後方向から見て、前記一方のサブフレーム45Lの断面積より大きくすることができる。
このように構成すると、他方のサブフレーム45Rを一方のサブフレーム45Lより長く形成した場合であっても(図2参照)、他方のサブフレーム45Rの断面積を大とすることで、車体フレーム40の強度・剛性を略均一にすることができる。
他方のサブフレーム45Rの断面積は、図6に示すように、パイプの内外径の差を大きくすることで大きくすることもできるし、例えば図7(a)に示すように、ガセット53Rを大型化することによって全体として断面積を増大させることもできる。また、例えば図7(b)または(c)に示すように、断面形状を変更することによって断面積を増大させることもできる。
【0037】
図8に示すように、車両前後方向から見て、収納ボックス81の底壁81bは、断面水平形状に形成するとともに、該底壁81bの下方に前記他方のサブフレーム45Rを配置し、該他方のサブフレーム45R側における収納ボックス81の側壁81sと前記底壁81bとが略直交するように形成することができる。
このように構成すると、角形状の荷物の収納性を向上させることができる。
【0038】
図5、図6に示すように、収納ボックス81の底部82は、前述したメインフレーム42の凹み部71の上面84でかつ連結部材54の前面85に沿って配置することができる。また、収納ボックス81の底部82は、左右一対のサブフレーム45L、45Rの間に挟まれるようにして配置することができる。
メインフレーム42は、ピボッ卜部44より車両後方へ突出される突出部86を備え、このメインフレームの突出部86に連結部材54の一端54aが接続される。
【0039】
次に、前述したメインフレーム42の凹み部71と収納ボックス81の位置関係等について説明する。
図9に車幅方向中心における断面が示されている。
メインフレーム42の前後方向中間部43の車両後方にてメインフレーム42の上面76に、下方へ凹む凹み部71が備えられ、この凹み部71の上方にヘルメッ卜80やその他の物品等を収納する収納ボックス81が配置されている。収納ボックス81は、メインフレーム42に設けた凹み部71の上に、この凹み部71に沿って底部82が位置するように配置される。
【0040】
収納ボックス81の車両後方に燃料タンク83が隣り合うように設けられ、収納ボックス81及び燃料タンク83を覆うようにシート15が設けられている。シート15は、収納ボックス81の蓋を兼ねている。
【0041】
次に、収納ボックス81の支持構造について説明する。
図5、図10に示すように、収納ボックス81の前部底部87、87に、前孔部105、105が設けられ、収納ボックス81の後部上部の突片部88、88に、後孔部106、106が設けられている。
これらの前孔部105、105及び後孔部106、106に、各々、上から締結部材93が挿入され、車体フレーム40側に設けた前側固定部91及び後側固定部92に、収納ボックス81の前部底部87、87および突片部88、88が固定される。
【0042】
次に、収納ボックス81の前側固定部の詳細な構造について説明する。
図5に示すように、ピボッ卜部44の上部75に、収納ボックス81を支持する前ステー95L、95R(図2,図3参照)が固着され、この前ステー95L、95Rの下面にそれぞれナット96が固着される。前ステー95L、95Rの上面にそれぞれ弾性部材97が載置され、この弾性部材97、97に上方から収納ボックス81の前部底部87、87(図10参照)が載置され、上方から締結部材93、93を各々ナット96、96へねじ込むことで収納ボックス81の前部を取付ける。すなわち、前側固定部91、91となる前ステー95L、95Rに、収納ボックス81の前部底部87、87がラバーマウン卜支持されている。
【0043】
図10を併せて参照して、後側固定部92、92となる後ステー99L、99R(図2,図3参照)に、収納ボックス81の後部上部の突片部88、88がラバーマウント支持されている。収納ボックス81の後側固定部92の構造は、前側固定部91と大きく異なるところはなく、説明を省略する。
【0044】
すなわち、収納ボックス81は、前後のステー95L、95R、99L、99Rによってラバーマウント支持され、この収納ボックス81を覆うようにシート15が設けられているので、シート15に備えたクッション部16(図9)のクッション機能と相まって、乗員にかかる振動等を緩和させることができる。
【0045】
この実施の形態では、メインフレーム42における凹み部71の車幅方向の幅D2が凹み部71以外の幅D1よりも大きい(D1<D2)ため、板状部材73L、73Rの車幅方向外面からメインフレーム42までの距離が小さくなる。この距離が小さい程、ピボット部44は変形し難くなり、曲げ剛性やねじれ剛性が高まる。従って、凹み部71に沿わせるように収納ボックス81の底部82を配置することで、収納ボックス81底部82の容量を大きくすることができると共に、ピボッ卜部44の剛性を高めることができる。
尚、凹み部71はパイプ部材をつぶすことにより形成できるため、縮管等と比較して生産性を向上させながら上記のような副次的効果を奏することができる。
【0046】
また、凹み部71に固定したピボッ卜部44の上部は剛性に富んでいる。剛性に富んでいるピボッ卜部44の上部に、収納ボックス81の前側固定部91、91を載置したので、収納ボックス81の支持剛性を高めることができる。
【0047】
図9にて、収納ボックス81の上方にはシート15が配置されており、乗員の荷重がシート15を介して収納ボックス81で支持される。この収納ボックス81を、図5に示すように、車体フレーム40の支持剛性の高い部分に固定することで、車体フレーム40の支持剛性を増加させるためのガセットやクロスプレート等を省くことができ、車体フレーム40の軽量化を図ることができる。
【0048】
図11に示すように、メインフレーム42の前後方向中間部43の車両後方にてメインフレーム42の上面76に、下方へ凹む凹み部71が備えられ、収納ボックス81の底部82が凹み部71の上面84で且つ連結部材54の前面85に沿って配置されている。
【0049】
メインフレーム42の上面76に凹み部71が設けられているので、メインフレーム42の上面76に凹み部71が設けられていない場合に較べて、収納ボックス81の底部82を下方へ延ばすことができる。結果、前述した作用効果と相俟って、収納ボックス81底部82の全体を下方に延ばすことで収納ボックス81の容量を大きくすることができる。
【0050】
さらに、メインフレーム42をピボット部44よりも車両後方へ突出し、この突出部86に連結部材54を接続する。突出部86により連結部材54が車両後方へ移動する。この移動により、収納ボックス81の容量を大きくすることができる。
【0051】
次に、サブフレームの屈曲部に渡されるガセッ卜部材について説明する。
図12に示すように、サブフレーム45L、45Rの長手部51L、51Rと起立部52L、52Rに、ガセット部材53L、53Rが渡されるので、屈曲部46L、46Rの剛性を高めることができる。加えて、ガセット部材53L、53Rに、車幅方向外方に膨出するU字状を呈するU字部103L、103Rが形成されている。
【0052】
ガセット部材53L、53Rに、車幅方向外方に膨出するU字状を呈するU字部103L、103Rが形成されているので、収納ボックス81の車幅方向長さを大きく確保することができ、収納ボックス81の容量をより一層大きくすることができる。
【0053】
収納ボックス81の前後方向の大きさを確保するために、サブフレーム45L、45Rは、略水平方向後方に延出した後の屈曲部46L、46Rの位置をできるだけ車両後方に配置することが望まれる。しかし、サブフレームの屈曲部46L、46Rを車両後方に配置する場合、車両後方でのサブフレーム45L、45Rの高さを確保するために、サブフレーム45L、45Rの屈曲を大きくする必要があり、屈曲を大きくした上で剛性を確保するためには、ガセット等の補強部材をU字状の板状部材で形成すると共に、U字状の板状部材の中間部を開放して重量増加を回避する構造とすることが好ましい。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。例えば、上記実施の形態では自動二輪車に適用したが、鞍乗り型三輪車にも適用可能であり、一般の鞍乗り型車両に適用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、収納ボックスが備えられている自動二輪車に好適である。
【符号の説明】
【0056】
10…鞍乗り型車両(自動二輪車)、13…パワーユニット(エンジン)、14…後輪、41…ヘッドパイプ、42…メインフレーム、43…メインフレームの中間部、44…ピボット部、45L、45R…左右のサブフレーム、46L、46R…左右のサブフレームの屈曲部、47…クロスメンバ、48…メインフレームの後端部、51L、51R…長手部、52L、52R…起立部、53L、53R…ガセット部材、54…連結部材、54a …連結部材の一端、62…スイングアーム、68…ドライブチェーン、68c…チェーンカバー、71…凹み部、72L、72R…凹み部の車幅方向両端部、73L、74R…板状部材、76…メインフレームの上面、80…フルフェイスヘルメット、81…収納ボックス、82…収納ボックスの底部、84…凹み部の上面、85…連結部材の前面、86…メインフレームの突出部、91…収納ボックス81の前側固定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドパイプ(41)と、このヘッドパイプ(41)から車両後方かつ下方へ延出するメインフレーム(42)と、このメインフレーム(42)の後部に設けられ、後輪(14)を揺動自在に懸架する懸架部の揺動軸が設けられるピボッ卜部(44)と、前記メインフレーム(42)の下方にて前記メインフレーム(42)に懸架され前記後輪(14)を駆動するパワーユニット(13)と、前記メインフレーム(42)の前後方向中間部(43)から車両後方へ延出される左右一対のサブフレーム(45L、45R)と、これら左右一対のサブフレーム(45L、45R)のうちのいずれか一方のサブフレーム(45L)の下方に配置され、前記パワーユニット(13)の駆動力を後輪(14)に伝達するドライブチェーンと、前記左右一対のサブフレーム(45L、45R)の上部に少なくとも一部が配置される収納ボックス(81)とを備えた鞍乗型車両の収納構造において、
車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレーム(45L、45R)のうちの前記一方のサブフレーム(45L)における前記ドライブチェーン(68)との対向部(45L1)を、該ドライブチェーン(68)における当該一方のサブフレーム(45L)との対向部(68b)よりも上方に離間させて配置するとともに、当該一方のサブフレーム(45L)における前記収納ボックス(81)との対向部(45L2)よりも、前記左右一対のサブフレーム(45L、45R)のうちの他方のサブフレーム(45R)における前記収納ボックス(81)との対向部(45R2)を下方に配置したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記収納ボックス(81)における前記一方のサブフレーム(45L)との対向部(81L)よりも、前記収納ボックス(81)における前記他方のサブフレーム(45R)との対向部(81R)を下方に配置したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記収納ボックス(81)は、車幅方向中心(C)を基準として、前記他方のサブフレーム(45R)側の収納容積を、前記一方のサブフレーム(45L)側の収納容積より大きくしたことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項において、
前記収納ボックス(81)の上方に、乗員が着座するシート(15)を具備し、
前記収納ボックス(81)は、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメット(80)を、該楕円形状の長軸(80c)を収納ボックス(81)下側において前記他方のサブフレーム(45R)側にオフセット(d)させた状態で収納することを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項において、
前記ドライブチェーン(68)には少なくとも上方を覆うチェーンカバー(68c)を設けるとともに、車両側面視で、前記他方のサブフレーム(45R)を、少なくともチェーンカバー(68c)の一部と重なるように配置したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項において、
車両前後方向から見て、前記他方のサブフレーム(45R)の断面積を、前記一方のサブフレーム(45L)の断面積より大きくしたことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項において、
車両前後方向から見て、前記収納ボックス(81)の底壁(81b)を断面水平形状に形成するとともに、該底壁(81b)の下方に前記他方のサブフレーム(45R)を配置し、該他方のサブフレーム(45R)側における収納ボックス(81)の側壁(81s)と前記底壁(81b)とが略直交するように形成したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項1】
ヘッドパイプ(41)と、このヘッドパイプ(41)から車両後方かつ下方へ延出するメインフレーム(42)と、このメインフレーム(42)の後部に設けられ、後輪(14)を揺動自在に懸架する懸架部の揺動軸が設けられるピボッ卜部(44)と、前記メインフレーム(42)の下方にて前記メインフレーム(42)に懸架され前記後輪(14)を駆動するパワーユニット(13)と、前記メインフレーム(42)の前後方向中間部(43)から車両後方へ延出される左右一対のサブフレーム(45L、45R)と、これら左右一対のサブフレーム(45L、45R)のうちのいずれか一方のサブフレーム(45L)の下方に配置され、前記パワーユニット(13)の駆動力を後輪(14)に伝達するドライブチェーンと、前記左右一対のサブフレーム(45L、45R)の上部に少なくとも一部が配置される収納ボックス(81)とを備えた鞍乗型車両の収納構造において、
車両上下方向に関し、前記左右一対のサブフレーム(45L、45R)のうちの前記一方のサブフレーム(45L)における前記ドライブチェーン(68)との対向部(45L1)を、該ドライブチェーン(68)における当該一方のサブフレーム(45L)との対向部(68b)よりも上方に離間させて配置するとともに、当該一方のサブフレーム(45L)における前記収納ボックス(81)との対向部(45L2)よりも、前記左右一対のサブフレーム(45L、45R)のうちの他方のサブフレーム(45R)における前記収納ボックス(81)との対向部(45R2)を下方に配置したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記収納ボックス(81)における前記一方のサブフレーム(45L)との対向部(81L)よりも、前記収納ボックス(81)における前記他方のサブフレーム(45R)との対向部(81R)を下方に配置したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記収納ボックス(81)は、車幅方向中心(C)を基準として、前記他方のサブフレーム(45R)側の収納容積を、前記一方のサブフレーム(45L)側の収納容積より大きくしたことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか一項において、
前記収納ボックス(81)の上方に、乗員が着座するシート(15)を具備し、
前記収納ボックス(81)は、断面楕円形状を有するフルフェイスヘルメット(80)を、該楕円形状の長軸(80c)を収納ボックス(81)下側において前記他方のサブフレーム(45R)側にオフセット(d)させた状態で収納することを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか一項において、
前記ドライブチェーン(68)には少なくとも上方を覆うチェーンカバー(68c)を設けるとともに、車両側面視で、前記他方のサブフレーム(45R)を、少なくともチェーンカバー(68c)の一部と重なるように配置したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか一項において、
車両前後方向から見て、前記他方のサブフレーム(45R)の断面積を、前記一方のサブフレーム(45L)の断面積より大きくしたことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか一項において、
車両前後方向から見て、前記収納ボックス(81)の底壁(81b)を断面水平形状に形成するとともに、該底壁(81b)の下方に前記他方のサブフレーム(45R)を配置し、該他方のサブフレーム(45R)側における収納ボックス(81)の側壁(81s)と前記底壁(81b)とが略直交するように形成したことを特徴とする鞍乗型車両の収納構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−63704(P2013−63704A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203875(P2011−203875)
【出願日】平成23年9月17日(2011.9.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月17日(2011.9.17)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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