説明

鞍乗型車両

【課題】駆動モータユニットの駆動モータの温度上昇を防止することができる鞍乗型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗型車両10は、走行風導入口81から走行風を導入し、点火プラグ75の周辺を冷却しつつ走行風排出口82,83から走行風を排出する冷却風通路80を有するシリンダヘッド54と、シリンダヘッド54の後面に形成される吸気ポートに接続される吸気通路60と、吸気通路60に設けられるスロットル弁70を開閉する駆動モータ73を有する駆動モータユニット72と、を備え、駆動モータ73が、走行風排出口83に対してオフセットして配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両のスロットルバイワイヤ方式のスロットル制御装置の駆動モータユニットの配置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の鞍乗型車両として、シリンダヘッドの前面に形成される走行風導入口から走行風を導入し、点火プラグの周辺を冷却しつつ、シリンダヘッドの側面及び後面に形成される走行風排出口から走行風を排出する冷却風通路を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−159703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に記載の鞍乗型車両では、走行風排出口の後方に吸気通路が配置されているため、この吸気通路にスロットル弁を開閉する駆動モータユニットを設ける場合、暖まった排風が駆動モータユニットの駆動モータに直接当たり、駆動モータの温度が上昇してしまう。このため、駆動モータの熱対策を行う必要が生じ、駆動モータが大型化してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、前述した課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、駆動モータユニットの駆動モータの温度上昇を防止することができる鞍乗型車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、走行風導入口から走行風を導入し、点火プラグの周辺を冷却しつつ走行風排出口から走行風を排出する冷却風通路を有するシリンダヘッドと、シリンダヘッドの後面に形成される吸気ポートに接続される吸気通路と、吸気通路に設けられるスロットル弁を開閉する駆動モータを有する駆動モータユニットと、を備える鞍乗型車両において、駆動モータが、走行風排出口に対してオフセットして配置されることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の構成に加えて、シリンダヘッドの後方にエアクリーナが配置され、吸気通路は、シリンダヘッドの吸気ポートから後方に延設され、シリンダヘッド、吸気通路、及びエアクリーナで囲まれた空間に駆動モータが配置されることを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、走行風排出口は、シリンダヘッドの側面及び後面にそれぞれ設けられることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、シリンダヘッドの上方に燃料タンクが配置され、シリンダヘッド、吸気通路、及び燃料タンクの底板で囲まれた空間に駆動モータが配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、燃料タンクの底板の後部に燃料が溜まる下方延出部が形成され、下方延出部とシリンダヘッドとの間に駆動モータが配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の構成に加えて、駆動モータユニットの全体が、シリンダヘッド及びシリンダブロックの後方に配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の構成に加えて、駆動モータユニットは、駆動モータと、駆動モータの回転をスロットル弁に伝達する減速ギヤ部と、を備え、減速ギヤ部がシリンダヘッド側に配置され、駆動モータがシリンダヘッドから離間する側に配置されることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の構成に加えて、駆動モータユニットは、シリンダヘッドの後方且つエアクリーナの前方であって、シリンダヘッド及びエアクリーナの車幅方向内側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、駆動モータユニットの駆動モータが、走行風排出口に対してオフセットして配置されるため、駆動モータの温度上昇を防止することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、シリンダヘッド、吸気通路、及びエアクリーナで囲まれた空間に駆動モータが配置されるため、デッドスペースを有効利用することができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、走行風排出口が、シリンダヘッドの側面及び後面にそれぞれ設けられるため、シリンダヘッドの後面の走行風排出口に流れる冷却風を減らすことができる。これにより、駆動モータ側に排出される排風を減らすことができるので、駆動モータの温度上昇を更に防止することができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、シリンダヘッド、吸気通路、及び燃料タンクの底板で囲まれた空間に駆動モータが配置されるため、シリンダヘッドと燃料タンクの底板との間を通過する走行風で駆動モータを冷却することができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、燃料タンクの下方延出部とシリンダヘッドとの間に駆動モータが配置されるため、燃料タンクの下方延出部の下方を通過する走行風で駆動モータを冷却することができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、駆動モータユニットの全体が、シリンダヘッド及びシリンダブロックの後方に配置されるため、駆動モータユニットを保護することができる。
【0020】
請求項7の発明によれば、減速ギヤ部がシリンダヘッド側に配置され、駆動モータがシリンダヘッドから離間する側に配置されるため、駆動モータを高温になるシリンダヘッドから離すことができ、駆動モータの温度上昇を更に防止することができる。
【0021】
請求項8の発明によれば、駆動モータユニットは、シリンダヘッドの後方且つエアクリーナの前方であって、シリンダヘッド及びエアクリーナの車幅方向内側に配置されるため、走行風排出口からの排風がエアクリーナの前方で車幅方向側方に流れて、内側に配置された駆動モータユニットに排風が更に当たり難くなり、駆動モータの温度上昇を更に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る鞍乗型車両の第1実施形態を説明する左側面図である。
【図2】図1に示す鞍乗型車両の平面図である。
【図3】図1に示す燃料タンク、エンジン、及び吸気通路の周辺の拡大左側面図である。
【図4】図3に示すシリンダヘッドの横断面図である。
【図5】図3に示すシリンダヘッドの後面図である。
【図6】本発明に係る鞍乗型車両の第2実施形態を説明する左側面図である。
【図7】図6に示す鞍乗型車両の平面図である。
【図8】図6に示す燃料タンク、エンジン、及び吸気通路の周辺の拡大左側面図である。
【図9】図8に示すシリンダヘッドの横断面図である。
【図10】図8に示すシリンダヘッドの後面図である。
【図11】第2実施形態の変形例を説明する図9に対応する横断面図である。
【図12】本発明に係る鞍乗型車両の第3実施形態を説明する右側面図である。
【図13】図12に示すエンジンの左側面図である。
【図14】図13に示すシリンダヘッドの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る鞍乗型車両の各実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとし、以下の説明において、前後、左右、上下は、操縦者から見た方向に従い、図面に車両の前方をFr、後方をRr、左側をL、右側をR、上方をU、下方をD、として示す。
【0024】
(第1実施形態)
まず、図1〜図5を参照して、本発明に係る鞍乗型車両の第1実施形態について説明する。
【0025】
本実施形態の自動二輪車(鞍乗型車両)10は、図1及び図2に示すように、車体フレーム11を、前端に設けられるヘッドパイプ12と、ヘッドパイプ12から後方に延設される1本のメインフレーム13と、メインフレーム13の後部から下方に延設される後部メインフレーム13Rと、後部メインフレーム13Rの下端部から下方に延設されるピボットフレーム14と、メインフレーム13の後部から後上がりに延設されるシートフレーム15と、ピボットフレーム14とシートフレーム15との間を連結するサブフレーム16と、ヘッドパイプ12及びメインフレーム13の前部から下方に延設されるダウンフレーム17と、から構成し、ピボットフレーム14及びダウンフレーム17にエンジン50が取り付けられる。
【0026】
また、自動二輪車10は、ヘッドパイプ12に操向自在に支持されるフロントフォーク21と、フロントフォーク21の下端部に回転可能に支持される前輪WFと、フロントフォーク21の上端部に取り付けられる操舵用のハンドル22と、ピボットフレーム14に揺動可能に支持されるスイングアーム23と、スイングアーム23の後端部に回転可能に支持される後輪WRと、ヘッドパイプ12の前方に設けられるヘッドライト25と、シートフレーム15の上面に支持されるシート26と、シート26の前方に配置される燃料タンク27と、を備える。
【0027】
エンジン50は、空冷式の単気筒エンジンであり、図1及び図2に示すように、その外殻は、主に、クランクケース51と、クランクケース51の前部から上方に向けて突設され、シリンダブロック53、シリンダヘッド54、及びシリンダヘッドカバー55からなるシリンダ52と、クランクケース51の左側面の開口を覆うACG(発電機)カバー56と、クランクケース51の右側面の開口を覆うクラッチカバー57と、によって構成される。
【0028】
また、図2及び図3に示すように、シリンダヘッド54の後面に形成される不図示の吸気ポートには、インレットパイプ61、スロットルボディ62、及びコネクティングチューブ63からなる吸気通路60が後方に向けて接続され、コネクティングチューブ63の後端部には、エアクリーナ64が接続されている。また、シリンダヘッド54の前面に形成される不図示の排気ポートには、排気管65を介してマフラー66が接続される。
【0029】
また、吸気通路60は、車体中心CLに対して車幅方向右側にオフセットして配置されると共に、シリンダヘッド54の吸気ポートからエアクリーナ64にかけて、後部メインフレーム13Rの右側方を通るように、車両平面視において斜めに配置される。
【0030】
また、スロットルボディ62には、吸気通路60を開閉するバタフライ式のスロットル弁70が弁軸71で揺動自在に支持されている。そして、弁軸71の左端部には、スロットル弁70を開閉する駆動モータユニット72が設けられている。
【0031】
駆動モータユニット72は、駆動モータ73と、駆動モータ73の回転を弁軸71に伝達する減速ギヤ部74と、を備える。なお、駆動モータユニット72は、スロットル制御装置の一部を構成しており、このスロットル制御装置は、それぞれ不図示の右側スロットルグリップ、スロットルケーブル、アクセルポジションセンサ(APS)、各信号ケーブル、電子制御装置(ECU)、及び駆動モータユニット72から構成される。
【0032】
また、本実施形態では、駆動モータユニット72の減速ギヤ部74は、スロットルボディ62の車幅方向内側(左側面)に配置され、駆動モータ73は、スロットルボディ62の下面側に配置される。
【0033】
また、本実施形態では、エンジン50のシリンダヘッド54、吸気通路60、及びエアクリーナ64で囲まれた空間に、駆動モータユニット72の駆動モータ73が配置されている。
【0034】
また、図4及び図5に示すように、シリンダヘッド54の内部には、シリンダヘッド54の前面に形成される走行風導入口81から走行風を導入し、点火プラグ75の周辺を冷却しつつ、シリンダヘッド54の右側面及び後面にそれぞれ形成される走行風排出口82,83から走行風を排出する冷却風通路80が形成されている。
【0035】
そして、本実施形態では、駆動モータユニット72の駆動モータ73は、シリンダヘッド54の後面の走行風排出口83に対して下方にオフセットして配置されている。なお、図3の矢印Xは、シリンダヘッド54の後面の走行風排出口83から排出される排風の流れを表している。
【0036】
また、図4及び図5に示すように、駆動モータ73は、走行風排出口82,83に対して下方にオフセットして配置されると共に、車両平面視において、走行風排出口82,83と対向しない位置に配置されている。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車10によれば、駆動モータユニット72の駆動モータ73が、シリンダヘッド54の後面の走行風排出口83に対して下方にオフセットして配置されるため、駆動モータ73の温度上昇を防止することができる。
【0038】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、シリンダヘッド54、吸気通路60、及びエアクリーナ64で囲まれた空間に駆動モータ73が配置されるため、デッドスペースを有効利用することができる。
【0039】
また、本実施形態の自動二輪車10によれば、シリンダヘッド54の右側面及び後面に走行風排出口82,83がそれぞれ形成されるため、シリンダヘッド54の後面の走行風排出口83に流れる冷却風を減らすことができる。これにより、駆動モータ73側に排出される排風を減らすことができるので、駆動モータ73の温度上昇を更に防止することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、図6〜図11を参照して、本発明に係る鞍乗型車両の第2実施形態について説明する。
【0041】
本実施形態の自動二輪車(鞍乗型車両)110は、図6及び図7に示すように、車体フレーム111を、前端に設けられるヘッドパイプ112と、ヘッドパイプ112から後方に延設される1本のメインフレーム113と、メインフレーム113の後部から下方に延設される後部メインフレーム113Rと、後部メインフレーム113Rの下端部から下方に延設されるピボットフレーム114と、メインフレーム113の後部に連結され後上がりに延設される左右一対のシートフレーム115と、ピボットフレーム114とシートフレーム115との間を連結するサブフレーム116と、ヘッドパイプ112から下方に延設されるダウンフレーム117と、から構成し、ピボットフレーム114及びダウンフレーム117にエンジン150が取り付けられる。
【0042】
また、自動二輪車110は、ヘッドパイプ112に操向自在に支持されるフロントフォーク121と、フロントフォーク121の下端部に回転可能に支持される前輪WFと、フロントフォーク121の上端部に取り付けられる操舵用のハンドル122と、ピボットフレーム114に揺動可能に支持されるスイングアーム123と、スイングアーム123の後端部に回転可能に支持される後輪WRと、ヘッドパイプ112の前方に設けられるヘッドライト125と、シートフレーム115の上面に支持されるシート126と、シート126の前方に配置される燃料タンク127と、を備える。また、燃料タンク127は、後述するシリンダヘッド154の上方に配置されている。
【0043】
エンジン150は、空冷式の単気筒エンジンであり、図6及び図7に示すように、その外殻は、主に、クランクケース151と、クランクケース151の前部から上方に向けて突設され、シリンダブロック153、シリンダヘッド154、及びシリンダヘッドカバー155からなるシリンダ152と、クランクケース151の左側面の開口を覆うACG(発電機)カバー156と、クランクケース151の右側面の開口を覆うクラッチカバー157と、によって構成される。
【0044】
また、図7及び図8に示すように、シリンダヘッド154の後面に形成される不図示の吸気ポートには、インレットパイプ161、スロットルボディ162、及びコネクティングチューブ163からなる吸気通路160が後方に向けて接続され、コネクティングチューブ163の後端部には、エアクリーナ164が接続されている。また、シリンダヘッド154の前面に形成される不図示の排気ポートには、排気管165を介してマフラー166が接続される。
【0045】
また、吸気通路160は、車体中心CLに対して車幅方向右側にオフセットして配置されると共に、シリンダヘッド154の吸気ポートからエアクリーナ164にかけて、後部メインフレーム113Rの右側方を通るように、車両平面視において斜めに配置される。
【0046】
また、スロットルボディ162には、吸気通路160を開閉するバタフライ式のスロットル弁170が弁軸171で揺動自在に支持されている。そして、弁軸171の左端部には、スロットル弁170を開閉する駆動モータユニット172が設けられている。
【0047】
駆動モータユニット172は、駆動モータ173と、駆動モータ173の回転を弁軸171に伝達する減速ギヤ部174と、を備える。なお、駆動モータユニット172は、スロットル制御装置の一部を構成しており、このスロットル制御装置は、それぞれ不図示の右側スロットルグリップ、スロットルケーブル、アクセルポジションセンサ(APS)、各信号ケーブル、電子制御装置(ECU)、及び駆動モータユニット172から構成される。
【0048】
また、本実施形態では、駆動モータユニット172の減速ギヤ部174は、スロットルボディ162の車幅方向内側(左側面)に配置され、駆動モータ173は、スロットルボディ162の上面側に配置される。
【0049】
また、本実施形態では、エンジン150のシリンダヘッド154、吸気通路160、及び燃料タンク127の底板127aで囲まれた空間に、駆動モータユニット172の駆動モータ173が配置されている。
【0050】
また、本実施形態では、燃料タンク127の底板127aの後部に燃料が溜まる下方延出部127bが形成されており、この下方延出部127bとエンジン150のシリンダヘッド154との間に、駆動モータユニット172の駆動モータ173が配置されている。
【0051】
また、図9及び図10に示すように、シリンダヘッド154の内部には、シリンダヘッド154の前面に形成される走行風導入口181から走行風を導入し、点火プラグ175の周辺を冷却しつつ、シリンダヘッド154の右側面及び後面にそれぞれ形成される走行風排出口182,183から走行風を排出する冷却風通路180が形成されている。
【0052】
そして、本実施形態では、駆動モータユニット172の駆動モータ173は、シリンダヘッド154の後面の走行風排出口183に対して上方にオフセットして配置されている。なお、図8の矢印Xは、シリンダヘッド154の後面の走行風排出口183から排出される排風の流れを表している。
【0053】
また、図9及び図10に示すように、駆動モータ173は、走行風排出口182,183に対して上方にオフセットして配置されると共に、車両平面視において、走行風排出口182,183と対向しない位置に配置されている。
【0054】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車110によれば、駆動モータユニット172の駆動モータ173が、シリンダヘッド154の後面の走行風排出口183に対して上方にオフセットして配置されるため、駆動モータ173の温度上昇を防止することができる。
【0055】
また、本実施形態の自動二輪車110によれば、シリンダヘッド154の右側面及び後面に走行風排出口182,183がそれぞれ形成されるため、シリンダヘッド154の後面の走行風排出口183に流れる冷却風を減らすことができる。これにより、駆動モータ173側に排出される排風を減らすことができるので、駆動モータ173の温度上昇を更に防止することができる。
【0056】
また、本実施形態の自動二輪車110によれば、シリンダヘッド154、吸気通路160、及び燃料タンク127の底板127aで囲まれた空間に駆動モータ173が配置されるため、シリンダヘッド154と燃料タンク127の底板127aとの間を通過する走行風で駆動モータ173を冷却することができる。
【0057】
また、本実施形態の自動二輪車110によれば、燃料タンク127の下方延出部127bとシリンダヘッド154との間に駆動モータ173が配置されるため、燃料タンク127の下方延出部127bの下方を通過する走行風で駆動モータ173を冷却することができる。
【0058】
なお、本実施形態の変形例として、図11に示すように、シリンダヘッド154の後面の走行風排出口をなくし、シリンダヘッド154の側面のみに走行風排出口192を形成する。また、駆動モータユニット172の減速ギヤ部174を、スロットルボディ162の車幅方向外側(右側面)に配置し、駆動モータ173を、スロットルボディ162の上面側に配置してもよい。このため、シリンダヘッド154の後方に駆動モータ173を配置して、駆動モータ173の車幅方向外方への突出を抑制することができる。
【0059】
(第3実施形態)
次に、図12〜図14を参照して、本発明に係る鞍乗型車両の第3実施形態について説明する。
【0060】
本実施形態の自動二輪車(鞍乗型車両)210は、図12に示すように、車体フレーム211を、前端に設けられるヘッドパイプ212と、ヘッドパイプ212から後方に延設されるメインフレーム213と、メインフレーム213の後端部から下方に延設される左右一対のセンターフレーム213Rと、左右一対のセンターフレーム213Rの下端部に設けられる左右一対のピボットフレーム214と、左右一対のピボットフレーム214から後上がりに延設されるシートフレーム215と、ヘッドパイプ212から下方に延設される左右一対のダウンフレーム217と、から構成し、ピボットフレーム214及びダウンフレーム217にエンジン250が取り付けられる。
【0061】
また、自動二輪車210は、ヘッドパイプ212に操向自在に支持されるフロントフォーク221と、フロントフォーク221の下端部に回転可能に支持される前輪WFと、フロントフォーク221の上端部に取り付けられる操舵用のハンドル222と、ピボットフレーム214に揺動可能に支持されるスイングアーム223と、スイングアーム223の後端部に回転可能に支持される後輪WRと、ヘッドパイプ212の前方に設けられるヘッドライト225と、シートフレーム215の上に設けられるシート226と、シート226の前方に配置される燃料タンク227と、を備える。
【0062】
エンジン250は、空冷式の並列4気筒エンジンであり、図12及び図13に示すように、その外殻は、主に、クランクケース251と、クランクケース251の前部から上方に向けて突設され、シリンダブロック253、シリンダヘッド254、及びシリンダヘッドカバー255からなるシリンダ252と、クランクケース251の左側面の開口を覆うACG(発電機)カバー256と、クランクケース251の右側面の開口を覆う不図示のクラッチカバーと、によって構成される。
【0063】
また、図13及び図14に示すように、シリンダヘッド254の後面に形成される4個の吸気ポート254aには、インレットパイプ261、スロットルボディ262、及びコネクティングチューブ263からなる吸気通路260が後方に向けてそれぞれ接続され、4本のコネクティングチューブ263の後端部には、1個のエアクリーナ264が接続されている。また、図12に示すように、シリンダヘッド254の前面に形成される不図示の排気ポートには、排気管265を介してマフラー266が接続される。
【0064】
4個のスロットルボディ262には、吸気通路260を開閉するバタフライ式のスロットル弁270がそれぞれ設けられており、この4個のスロットル弁270は、1本の弁軸271で回動自在に支持されている。そして、右側2気筒のスロットルボディ262の下方には、4個のスロットル弁270を開閉する駆動モータユニット272が設けられている。
【0065】
駆動モータユニット272は、駆動モータ273と、駆動モータ273の回転を弁軸271に伝達する減速ギヤ部274と、を備える。なお、駆動モータユニット272は、スロットル制御装置の一部を構成しており、このスロットル制御装置は、それぞれ不図示の右側スロットルグリップ、スロットルケーブル、アクセルポジションセンサ(APS)、各信号ケーブル、電子制御装置(ECU)、及び駆動モータユニット272から構成される。
【0066】
また、本実施形態では、駆動モータユニット272の減速ギヤ部274は、エンジン250のシリンダヘッド254側(前方側)に配置され、駆動モータ273は、シリンダヘッド254から離間する側(後方側)に配置される。
【0067】
また、本実施形態では、駆動モータユニット272の全体は、エンジン250のシリンダヘッド254及びシリンダブロック253の後方に配置される。
【0068】
さらに、本実施形態では、駆動モータユニット272は、シリンダヘッド254の後方且つエアクリーナ264の前方であって、シリンダヘッド254及びエアクリーナ264の車幅方向内側に配置される。
【0069】
また、図14に示すように、シリンダヘッド254の右側2気筒部分(左側2気筒部分)の内部には、シリンダヘッド254の前面に形成される2個の走行風導入口281から走行風を導入し、点火プラグ275の周辺を冷却しつつ、シリンダヘッド254の右側面(左側面)及び後面にそれぞれ形成される走行風排出口282,283から走行風を排出する冷却風通路280が形成されている。
【0070】
そして、本実施形態では、駆動モータユニット272の駆動モータ273は、シリンダヘッド254の後面の走行風排出口283,283に対して下方にオフセットして配置されている。なお、図13の矢印Xは、シリンダヘッド254の後面の走行風排出口283,283から排出される排風の流れを表している。
【0071】
以上説明したように、本実施形態の自動二輪車210によれば、駆動モータユニット272の駆動モータ273が、シリンダヘッド254の後面の走行風排出口283,283に対して下方にオフセットして配置されるため、駆動モータ273の温度上昇を防止することができる。
【0072】
また、本実施形態の自動二輪車210によれば、シリンダヘッド254の右側面(左側面)及び後面に走行風排出口282,283がそれぞれ形成されるため、シリンダヘッド254の後面の走行風排出口283に流れる冷却風を減らすことができる。これにより、駆動モータ273側に排出される排風を減らすことができるので、駆動モータ273の温度上昇を更に防止することができる。
【0073】
また、本実施形態の自動二輪車210によれば、駆動モータユニット272の全体が、シリンダヘッド254及びシリンダブロック253の後方に配置されるため、駆動モータユニット272を保護することができる。
【0074】
また、本実施形態の自動二輪車210によれば、減速ギヤ部274がシリンダヘッド254側に配置され、駆動モータ273がシリンダヘッド254から離間する側に配置されるため、駆動モータ273を高温になるシリンダヘッド254から離すことができ、駆動モータ273の温度上昇を更に防止することができる。
【0075】
また、本実施形態の自動二輪車210によれば、駆動モータユニット272は、シリンダヘッド254の後方且つエアクリーナ264の前方であって、シリンダヘッド254及びエアクリーナ264の車幅方向内側に配置されるため、シリンダヘッド254の後面の走行風排出口283,283からの排風がエアクリーナ264の前方で車幅方向側方に流れて、内側に配置された駆動モータユニット272に排風が更に当たり難くなり、駆動モータ273の温度上昇を更に防止することができる。
【0076】
なお、本発明は上記各実施形態に例示したものに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、上記第1実施形態では、減速ギヤ部がスロットルボディの左側面に配置され、駆動モータがスロットルボディの下面側に配置されているが、これに限定されず、減速ギヤ部がスロットルボディの右側面に配置され、駆動モータがスロットルボディの下面側に配置されていてもよい。
また、上記第2実施形態では、減速ギヤ部がスロットルボディの左側面に配置され、駆動モータがスロットルボディの上面側に配置されているが、これに限定されず、駆動モータがスロットルボディの下面側に配置されていてもよい。さらに、減速ギヤ部がスロットルボディの右側面に配置され、駆動モータがスロットルボディの上面側又は下面側に配置されていてもよい。
また、上記第3実施形態では、駆動モータユニットが右側2気筒側に配置されているが、これに限定されず、左側2気筒側に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0077】
10,110,210 自動二輪車(鞍乗型車両)
50,150,250 エンジン
52,152,252 シリンダ
53,153,253 シリンダブロック
54,154,254 シリンダヘッド
55,155,255 シリンダヘッドカバー
60,160,260 吸気通路
61,161,261 インレットパイプ
62,162,262 スロットルボディ
63,163,263 コネクティングチューブ
64,164,264 エアクリーナ
70,170,270 スロットル弁
71,171,271 弁軸
72,172,272 駆動モータユニット
73,173,273 駆動モータ
74,174,274 減速ギヤ部
75,175,275 点火プラグ
80,180,280 冷却風通路
81,181,281 走行風導入口
82,182,282 走行風排出口
83,183,283 走行風排出口
127 燃料タンク
127a 底板
127b 下方延出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行風導入口(81,181,281)から走行風を導入し、点火プラグ(75,175,275)の周辺を冷却しつつ走行風排出口(82,83,182,183,282,283)から走行風を排出する冷却風通路(80,180,280)を有するシリンダヘッド(54,154,254)と、
前記シリンダヘッドの後面に形成される吸気ポートに接続される吸気通路(60,160,260)と、
前記吸気通路に設けられるスロットル弁(70,170,270)を開閉する駆動モータ(73,173,273)を有する駆動モータユニット(72,172,272)と、を備える鞍乗型車両(10,110,210)において、
前記駆動モータが、前記走行風排出口に対してオフセットして配置されることを特徴とする鞍乗型車両。
【請求項2】
前記シリンダヘッド(54)の後方にエアクリーナ(64)が配置され、
前記吸気通路(60)は、前記シリンダヘッドの前記吸気ポートから後方に延設され、
前記シリンダヘッド、前記吸気通路、及び前記エアクリーナで囲まれた空間に前記駆動モータ(73)が配置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗型車両(10)。
【請求項3】
前記走行風排出口(82,83,182,183,282,283)は、前記シリンダヘッドの側面及び後面にそれぞれ設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の鞍乗型車両(10,110,210)。
【請求項4】
前記シリンダヘッド(154)の上方に燃料タンク(127)が配置され、
前記シリンダヘッド、前記吸気通路(160)、及び前記燃料タンクの底板(127a)で囲まれた空間に前記駆動モータ(173)が配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両(110)。
【請求項5】
前記燃料タンク(127)の底板(127a)の後部に燃料が溜まる下方延出部(127b)が形成され、
前記下方延出部と前記シリンダヘッド(154)との間に前記駆動モータ(173)が配置されることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗型車両(110)。
【請求項6】
前記駆動モータユニット(272)の全体が、前記シリンダヘッド(254)及びシリンダブロック(253)の後方に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の鞍乗型車両(210)。
【請求項7】
前記駆動モータユニット(272)は、前記駆動モータ(273)と、前記駆動モータの回転を前記スロットル弁に伝達する減速ギヤ部(274)と、を備え、
前記減速ギヤ部が前記シリンダヘッド(254)側に配置され、前記駆動モータが前記シリンダヘッドから離間する側に配置されることを特徴とする請求項6に記載の鞍乗型車両(210)。
【請求項8】
前記駆動モータユニット(272)は、前記シリンダヘッド(254)の後方且つ前記エアクリーナ(264)の前方であって、前記シリンダヘッド及び前記エアクリーナの車幅方向内側に配置されることを特徴とする請求項6又は7に記載の鞍乗型車両(210)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−207545(P2012−207545A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71576(P2011−71576)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】