説明

音声に基づく装置制御

音声制御部100は、
オーディオ信号(103、105、107、109、111)をそれぞれ受け取る複数のマイクロホン(102、104、106、108、110)を有するマイクロホンアレイと、オーディオ信号から、ユーザ(U1)のクリーンな信号(117)を抽出するビーム形成モジュール(116)と、前記ユーザ(U1)により話された、オーディオ信号(111)により表された所定のキーワードを認識するキーワード認識システム(120)であって、前記認識に基づき前記ビーム形成モジュールを制御するように構成されたものと、前記音声信号(117)の認識された音声アイテムに基づき、前記装置(200)への命令を生成する音声認識部(118)とを有する。その結果、音声制御部(100)は、ユーザ(U1)により話された音声アイテムに対応するオーディオ信号の部分を、音声認識のためによりよく選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声に基づき装置を制御する音声制御部であって、
−オーディオ信号をそれぞれ受け取る複数のマイクロホンを有するマイクロホンアレイと、
−前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第1の方向からの発声を表すオーディオ信号の第1の成分を強調することにより、前記マイクロホンで受け取ったオーディオ信号から、ユーザの音声信号を抽出するビーム形成モジュールと、
−前記音声信号の認識された音声アイテムに基づき、前記装置への命令を生成する音声認識部とを有する音声制御部に関する。
【0002】
本発明はさらに、装置であって、
−音声に基づき前記装置を制御する上記音声制御部と、
−前記音声制御部により生成された前記命令を実行する処理手段とを有する装置に関する。
【0003】
本発明はさらに、音声に基づく装置制御方法であって、
−複数のマイクロホンを有するマイクロホンアレイによりオーディオ信号をそれぞれ受け取るステップと、
−前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第1の方向からの発声を表す前記オーディオ信号の第1の成分を強調することにより、前記マイクロホンで受け取った前記オーディオ信号から、ユーザの音声信号を抽出するステップと、
−前記音声信号の認識された音声アイテムに基づき、前記装置への命令を生成するステップとを有するに装置制御方法に関する。
【背景技術】
【0004】
口頭による自然言語は人間対人間のコミュニケーション手段として好まれている。近年、自動音声認識の発達により、口頭による自然言語は人間対機械のコミュニケーション手段としてもその有効性が認識されつつある。ユーザは、手と目を併せて使わなければならないキーボードとマウスの操作から解放されつつある。音声認識による人間対機械のコミュニケーションはハンズフリーであるという利点があり、ユーザが目と手を自由に使い、話しながら自由に動き回れなければならない状況で特に好ましい。しかし、現行システムでは、ハンドヘルド型や携帯型のマイクロホン、またはヘッドセットマイクロホン等の範囲限定型(tethered)のマイクロホンがオーディオ信号を捉え、音声認識部に入力するので、これらのマイクロホンは依然としてユーザの足手まといになる。その理由は、ほとんどの音声認識部が、ユーザとマイクロホンがすぐ近くにあるなど、マイクロホンのすぐ近くで話して入力したときにもっともよく動作するからである。既知の音声認識部は、「現実の世界」という環境で使われると、その性能は一般的に低下する。性能の低下は、ユーザがマイクロホンから遠いときに特に激しい。室内の反響は干渉雑音によりその性能低下が起こる。
【0005】
一般に、ヘッドセットマイクロホンを長い間頭につけているのは快適ではないが、ハンドマイクロホンはユーザの手を占有し自由を制限される。ユーザがより自由でいられる音声入力方式が必要とされている。ビーム形成モジュールと組み合わせたマイクロホンアレイは、上で説明した従来からの不都合を解消できるよいアプローチであると思われる。マイクロホンアレイは、一組の複数のマイクロホンであってそれぞれ異なる位置に配置されたものである。マイクロホンアレイのそれぞれのマイクロホンにより受け取られた複数のオーディオ信号はビーム形成モジュールに送られる。ビーム形成モジュールは較正されていなければならない。すなわち、音源の方向または位置をマイクロホンアレイに対して推定しなければならない。その音源は、人間の声に相当する所定周波数を有するなど、所定パラメータに対応するパラメータを有するサウンドを生成する、マイクロホンアレイの周囲の音源であるかも知れない。しかし、較正は、最も大きい音に基づきなされることが多い。すなわち、その音源は最も大きい音を生成する音源である。例えば、同じ環境にいる他のユーザと比較して最も大きな声で話しているユーザに基づき、ビーム形成モジュールを較正することができる。音源の方向または位置は、遅延総和法または相関関数に基づく方法を用いて、異なるマイクロホンからの信号の時間差から推定できる。これらの方法は、非特許文献1に開示されている。音源位置(または方向)を推定するパラメトリック法は、非特許文献2に開示されている。
【0006】
較正後、すなわち今の方向を推定した後、このマイクロホンの出力を合成処理することにより、ビーム形成モジュールは今の方向に相当する方向からの音を強調するように構成されている。ビーム形成モジュールの出力は、音声認識部に入力する信号として適当なクリーンな信号であり、エラーに強い音声認識ができると仮定する。これは、オーディオ信号の成分が処理され、ユーザの音声アイテムが抽出される。
【非特許文献1】U.Bub等著、「音声認識において音声を聴くべき人間を知る:視覚的にガイドされたビーム形成(Knowing Who to Listen to in Speech Recognition: Visually Guided Beamforming)」、ICASSP’95、848-851ページ、1995年
【非特許文献2】S.V.Pillai著、「アレイ信号処理(Array Signal Processing)」、Springer-Verlag、ニューヨーク、1989年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
マイクロホンアレイ、ビーム形成モジュール、音声認識部を有するシステムの実施形態は、欧州特許出願EP0795851A2により知られている。この出願は、音源位置や方向の推定と音声認識をシステムで達成することができることを開示している。このシステムの不都合は、ユーザが複数いる環境ではうまく動作しないことである。システムをユーザの第1の位置に合わせて較正したと仮定する。ユーザが動き始める。システムは音声を正しく認識できるように、再較正しなければならない。システムはオーディオ信号を必要とする、すなわち、ユーザは較正用の入力として何か話さなければならない。しかし、その間に他のユーザが話し始めると、再較正の結果は正しくなくなってしまう。システムはその話し始めた他のユーザに合わせてしまう。
【0008】
本発明の目的は、環境の中を動いているユーザの音声を、他のユーザが話しても、認識するように構成された、冒頭のパラグラフに記載したような音声制御部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のこの目的は、音声認識部が、前記ユーザにより話され、一オーディオ信号により表される所定のキーワードを認識するキーワード認識システムを有し、前記音声制御部は、前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第2の方位からの後続の発声を表す、前記オーディオ信号の第2の成分を強調するために、前記所定のキーワードの前記認識に基づき、前記ビーム形成モジュールを制御するように構成されたことを特徴とすることにより達成される。キーワード認識システムは、所定のキーワードを表す発声と、その所定のキーワードを表さない他の発声に関係するオーディオ信号を区別するように構成される。該音声制御部は、異なる方位から所定のキーワードに対応する音を受け取ったとき、再較正するように構成されている。好ましくは、この音は、制御される装置の注意スパン(図3も参照)を開始させたユーザにより生成されたものである。その所定のキーワードが認識されなければ、再較正は行わない。その結果、他の方位から話された音声アイテムであって前記所定のキーワードに先行されないものは破棄される。
【0010】
本発明による音声制御部の一実施形態において、前記キーワード認識システムは、他のユーザにより話された前記所定のキーワードを認識するように構成されており、前記音声制御部は、前記マイクロホンアレイに対して前記他のユーザの第3の方位から来る他の発声を表す、前記オーディオ信号の第3の成分を強調するために、前記認識に基づき前記ビーム形成モジュールを制御するように構成される。音声制御部のこの実施形態は、他のユーザにより話された前記所定のキーワードの認識に基づき再較正を行うように構成されている。一人のユーザを追いかけるほか、本実施形態は複数のユーザからの音に基づき較正するように構成される。すなわち、権限のあるユーザのみが認識され、すなわち、前記所定のキーワードを話した結果前記装置を制御する権限を有するユーザのみが認識され、そのユーザからの音声アイテムのみが装置への命令を生成するために受け入れられる。
【0011】
本発明による音声制御部の一実施形態において、前記マイクロホンアレイの第1のマイクロホンは、前記キーワード認識システムに前記オーディオ信号を供給するように構成されている。言い換えると、キーワードを認識するために用いる前記オーディオ信号は、前記マイクロホンアレイのマイクロホンにより受け取られたオーディオ信号の一つに相当する。マイクロホンを追加する必要がないという利点がある。
【0012】
本発明による音声制御部の一実施形態において、前記ビーム形成モジュールは前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第1の位置を決定するように構成される。方位の他に、ユーザとマイクロホンアレイとの間の距離も決定される。位置は方位と距離に基づき計算される。本発明のこの実施形態の利点は、音声制御部が相前後するユーザから来る音を識別するように構成されていることである。
【0013】
本発明のさらに別の目的は、冒頭のパラグラフに説明した種類の装置であって、他のユーザも話すかも知れない環境の中で動いているユーザにより制御されるように構成された装置を提供することである。
【0014】
本発明のこの目的は、請求項1に記載の音声制御部を有する装置により達成される。
【0015】
本発明による装置の一実施形態は、前記所定のキーワードが認識されたことを示すように構成されている。本発明のこの実施形態の利点は、ユーザが認識について通知されることである。
【0016】
前記所定のキーワードが認識されたことを示すように構成された、本発明による装置の一実施形態は、オーディオ信号を生成するオーディオ生成手段を有する。「ハロー」等のオーディオ信号を生成することにより、ユーザにはその装置がユーザからの音声アイテムを受け取る準備ができていることが分かる。この概念は、聴覚による挨拶としても知られている。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、他のユーザも話すかも知れない環境の中を動いているユーザの音声を認識可能とする、冒頭のパラグラフに説明した種類の方法を提供することである。
【0018】
本発明のこの目的は、一オーディオ信号に基づき、前記ユーザにより話された所定のキーワードを認識するステップを有し、前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第2の方位から来る後続の発声を表す、前記オーディオ信号の第2の成分を強調するために、前記認識に基づき、前記ユーザの前記音声信号の抽出を制御することを特徴とする方法により達成される。
【0019】
音声制御部の変更とその変形例は、上記の装置および方法の変更およびその変形例に一致してもよい。
【0020】
本発明による音声制御部、方法、装置の上記その他の態様は、添付した図面を参照して以下の実施形態から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
同じ参照数字は同様の構成部分を示すために用いられる。
【0022】
図1は、本発明による音声制御部100の一実施形態を示す概略図である。音声制御部100は、装置200の処理部202に命令を与えるように構成されている。この命令は音声制御部100の出力コネクタ122から出力される。その音声制御部100は、
−オーディオ信号103、105、107、109をそれぞれ受け取る複数のマイクロホン102、104、106、108、110を有するマイクロホンアレイと、
−前記マイクロホン102、104、106、108、110で受け取ったオーディオ信号103、105、107、109、111から、ユーザU1のクリーンな信号117、例えば音声信号を抽出するビーム形成モジュール116と、
−前記ユーザにより話された、オーディオ信号111により表された所定のキーワードを認識するキーワード認識システム120であって、前記認識に基づき前記ビーム形成モジュールを制御するように構成されたものと、
−前記音声信号117の認識された音声アイテムに基づき、前記装置200への命令を生成する音声認識部118とを有する。
【0023】
音声制御部100の動作は以下の通りである。音声制御部100は位置P1にいるユーザU1の発声に基づき較正されていると仮定する。その結果、音声制御部100のビーム形成モジュール116が方向αと実質的に一致する方向からの音に「同調」する。所定閾値より大きいが方向αとは異なる方向からの音は考慮されない。例えば、マイクロホンアレイに対し方向φである位置P2にいるユーザU2の音声は無視される。好ましくは、音声制御部100は、声の特性を有する音、すなわち音声、に対して感度が高く、他の音に対しては感度が高くない。例えば、スピーカS1により生成される音楽の音は、スピーカS1がユーザU1の近くにあるが、ビーム形成モジュール116によりフィルタされる。
【0024】
ユーザU1が位置P1に移動したとする。位置P1はマイクロホンアレイに対して方位βに対応する。音声制御部100は、再較正しなければ、より具体的にはビーム形成モジュール116がなければ、音声アイテムの認識はおそらく失敗するであろう。しかし、ユーザU1が所定のキーワードを話し始めたとき、音声制御部100は再較正される。ユーザU1が話すその所定のキーワードが認識され、再較正のために使用される。任意的には、第1のユーザU1が話す、そのキーワードに続く別の言葉も再較正に利用される。他のユーザ、例えばユーザU2がその所定のキーワードを最初に話すことなく話し始めると、そのユーザの発声は再較正には無関係であると認識され、スキップされる。結果として、音声制御部100は、ユーザU1が動いている間にもそのユーザU1に「同調」しているように構成されている。このユーザU1の音声信号はオーディオ信号103、105、107、109、111から抽出され、音声認識に利用される。他の音は装置の制御のためには考慮されない。
【0025】
以上、音声制御部100は特定のユーザU1を「追跡」するように構成されていることを説明した。このユーザにより、音声制御部の注意スパン(attention span)を最初に決めたユーザであるかも知れない。任意的に、その後音声制御部100は数人のユーザに同調するように構成されている。
【0026】
図1では、マイクロホン110はキーワード認識システム120とビーム形成モジュール116の両方に接続されている。これは任意的であって、マイクロホンを追加して使用することもできる。キーワード認識システム120は音声認識部118に含まれていてもよい。音声制御部100の構成要素116−120と装置200の処理部202とは、一つのプロセッサを用いて実施してもよい。通常、これら機能は両方ともソフトウェアプログラムプロダクトの制御の下に実行される。実行中は、そのソフトウェアプログラムプロダクトは通常、RAM等のメモリにロードされ、実行される。プログラムはROM、ハードディスク、磁気記憶、光記憶等のバックグラウンドメモリからロードされてもよく、またインターネット等のネットワークを介してロードされてもよい。任意的に、開示した機能を特定用途用集積回路で提供してもよい。
【0027】
図2は、本発明による装置200の実施形態を示す概略図である。装置200はオーディオ信号を生成する生成手段206を任意的に有する。例えば「ハロー」というオーディオ信号を生成することにより、装置がユーザから音声アイテムを受け取る準備ができていることがユーザには分かる。任意的に、生成手段206は複数の音を生成するように構成されている。その複数の音とは、例えば、装置が較正中の状態であることを示す第1の音と、装置が較正を完了し音声アイテムを認識できるアクティブな状態であることを示す第2の音である。生成手段206はサンプリングされたオーディオ信号を格納するメモリデバイスと、音生成器と、スピーカとを有する。任意的に、この装置はその状態の視覚的表現を表示する表示デバイス204も有する。
【0028】
本発明による音声制御部100は、好ましくは、テレビ、セットトップボックス、VCR、DVDプレーヤ、ゲームボックス等の多機能コンシューマエレクトロニクスシステムで用いられる。しかし、洗濯機や台所製品等の家庭用のコンシューマエレクトロニクス製品、コピー、プリンタ、多様なコンピュータワークステーション等のオフィス機器、医療セクターや業務用のエレクトロニクス製品、より複雑な電子情報システム等に用いてもよい。この他に、カーナビゲーションシステム等の、自動車その他の輸送手段で用いられるように特に設計された製品に用いられてもよい。本発明のコンテクストで使用している「多機能電子システム」は、より複雑な情報システムとともに家庭用や業務用の電子製品の多様性を含むが、本方法により制御される個々の機能の数は、通常は、妥当なレベル、一般的には2から100の異なる機能の範囲に限定されるであろう。テレビやオーディオシステム等の一般的なコンシューマ向け電子製品では、制御する必要がある機能の数はより限定されており、例えば5から20の機能である。これらの機能の例としては、ミュートを含むボリューム制御、トーン制御、チャンネル選択、インアクティブモードやスタンバイ状態からアクティブ状態への切替またはその逆等がある。これらの機能は、「もっと大きく」、「もっとソフトに」、「ミュート」、「低音」、「高音」、「チャンネル変更」、「スイッチオン」、「スイッチオフ」、「スタンバイ」等のコマンドを制御することにより使うことができる。
【0029】
本説明では、音声制御部100は制御される装置200の中にあると仮定する。しかし、このことは必ずしも必要はなく、本発明による制御方法は、機器や装置がネットワーク(ローカルエリアネットワークでもワイドエリアネットワークでもよい)を介して接続されていて、音声制御部100が制御される機器や装置とは異なる機器にあっても適用可能である。
【0030】
図3は、マイクロホン102、104、106、108、110により受け取られたオーディオ信号103、105、107、109に基づく命令318の生成を示す概略図である。オーディオ信号から音声アイテム304−308が抽出される。音声アイテム304−308が認識され、ボイスコマンド312−316がこの音声アイテム304−308に割り当てられる。ボイスコマンド312−316はそれぞれ、「ベロ (Bello)」、「チャンネル」、「次」である。これらのボイスコマンド312−316に基づき、処理部202が解釈可能な命令「周波数_帯域_広く(Increase_Frequency_Band)」が生成される。
【0031】
装置の制御を意図しない会話や発声が認識され抽出されることを防ぐため、音声制御部100は任意的に、ユーザが音声制御部100がアクティブな時間スパン、すなわち注意スパン以内に音声制御部100を起動することとしてもよい。例えば、「テレビ」や「機器、起動(Device-Wake-Up)」などのキーワードをユーザが話すことによって、声を介して上記の起動を実行してもよい。好ましくは、注意スパンを最初に決めるためのキーワードは、音声制御部を再較正するための所定のキーワードと同じである。
【0032】
擬人化したキャラクターを用いることにより、インターラクション(interaction)の障壁を取り除くことができる。例えば、犬のようなキャラクタに「ベロ(Bello)」と言うことにより、製品でなくキャラクターに向けて話す方がより自然である。さらにまた、製品は一つのオブジェクトを、いくつかの状態要素の結果として選ばれた見かけ上いくつかのものとして効果的に使用することもできる。例えば、眠っている動物の姿を用いて、音声制御部100がまだアクティブではないことを示すことができる。例えば、その動物が起きた姿など、第2グループの動物の姿を、音声制御部100がアクティブであるとき用いることもできる。注意スパンの広がりは、例えば耳の角度により、注意スパンの最初には最も高くし、最後には最も下げて表すことができる。同様な姿を用いて、「理解できた様子」と「分からなかった様子」とで、発声が理解できたかどうかも表すことができる。また、音声アイテムを認識したときには、「喜び」を表すほえ方などの耳で聞こえるフィードバックを組み合わせることもできる。ユーザは、システムの要素をすべて表す動物の姿を見ることにより、すべてのシステム要素へのフィードバックをすばやく把握することができる。例えば、耳を上げた「理解できた様子」や、耳を下げた「分からなかった様子」である。キャラクターの目の位置を用いて、システムがユーザの位置を推定しているかをフィードバックすることもできる。
【0033】
ユーザが注意スパンを開始すると、装置すなわち音声制御部100は、さらに別の音声アイテムを受け付ける状態になる。これらの音声アイテム304−308は認識され、ボイスコマンド312−316と関連づけられる。ボイスコマンド312−316が結合されて、装置に対する一つの命令318になる。例えば、第1の音声アイテムは「ベロ」に関連づけられており、テレビを起動させる。第2の音声アイテムは単語「チャンネル」に関連づけられており、第3の音声アイテムは単語「次」に関連づけられている。その結果、テレビは次の放送チャンネルにスイッチすなわち同調される。第1のユーザにより開始された注意スパンの間に他のユーザが話し始めても、そのユーザの発声は無視される。
【0034】
上記の実施形態は本発明を限定するものではなく例示するものであり、当業者は添付した請求項の範囲から逸脱することなく別の実施形態を設計することも可能であることに注意すべきである。請求項において、括弧に入った参照符号は請求項の範囲を限定するように解釈してはならない。「有する」という言葉は、請求項に列挙された構成要素やステップ以外の構成要素やステップの存在を排除するものではない。構成要素に付した「1つの」という言葉は、そのような構成要素が複数あることを排除するものではない。本発明は、いくつかの異なる要素を有するハードウェアによっても、好適にプログラムされたコンピュータによっても実施することができる。いくつかの手段を列挙したユニットクレームにおいて、これらの手段は1つの同一のハードウェアにより実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による音声制御部の一実施形態を示す概略図である。
【図2】本発明による装置の一実施形態を示す概略図である。
【図3】多数のオーディオ信号に基づく命令の生成を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声に基づき装置を制御する音声制御部であって、
オーディオ信号をそれぞれ受け取る複数のマイクロホンを有するマイクロホンアレイと、
前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第1の方向からの発声を表すオーディオ信号の第1の成分を強調することにより、前記マイクロホンで受け取ったオーディオ信号から、ユーザの音声信号を抽出するビーム形成モジュールと、
前記音声信号の認識された音声アイテムに基づき、前記装置への命令を生成する音声認識部とを有し、
前記音声認識部は、前記ユーザにより話され、一オーディオ信号により表される所定のキーワードを認識するキーワード認識システムを有し、
前記音声制御部は、前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第2の方向からの後続の発声を表す、前記オーディオ信号の第2の成分を強調するために、前記所定のキーワードの前記認識に基づき、前記ビーム形成モジュールを制御するように構成されたことを特徴とする音声制御部。
【請求項2】
請求項1に記載の音声制御部であって、
前記キーワード認識システムは、他のユーザにより話された前記所定のキーワードを認識するように構成されており、
前記音声制御部は、前記マイクロホンアレイに対して前記他のユーザの第3の方位から来る他の発声を表す、前記オーディオ信号の第3の成分を強調するために、前記認識に基づき前記ビーム形成モジュールを制御するように構成されたことを特徴とする音声制御部。
【請求項3】
請求項1に記載の音声制御部であって、
前記マイクロホンアレイの第1のマイクロホンは、前記キーワード認識システムに前記オーディオ信号を供給するように構成されたことを特徴とする音声制御部。
【請求項4】
請求項1に記載の音声制御部であって、前記ビーム形成モジュールは前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第1の位置を決定するように構成されたことを特徴とする音声制御部。
【請求項5】
装置であって、
音声に基づき前記装置を制御する、請求項1に記載の音声制御部と、
前記音声制御部により生成された前記命令を実行する処理手段とを有することを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、前記所定のキーワードが認識されたことを示すように構成されたことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、前記所定のキーワードが認識されたことを示すためにオーディオ信号を生成するオーディオ生成手段を有することを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項5に記載の前記装置を有するコンシューマエレクトロニクスシステム。
【請求項9】
音声に基づき装置を制御する方法であって、
複数のマイクロホンを有するマイクロホンアレイによりオーディオ信号をそれぞれ受け取るステップと、
前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第1の方位から来る発声を表すオーディオ信号の第1の成分を強調することにより、前記マイクロホンで受け取った前記オーディオ信号から、前記ユーザの音声信号を抽出するステップと、
前記音声信号の認識された音声アイテムに基づき、前記装置への命令を生成するステップとを有し、
一オーディオ信号に基づき、前記ユーザにより話された所定のキーワードを認識するステップを有し、
前記マイクロホンアレイに対する前記ユーザの第2の方位から来る後続の発声を表す、前記オーディオ信号の第2の成分を強調するために、前記認識に基づき、前記ユーザの前記音声信号の抽出を制御することを特徴とする方法。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2006−504130(P2006−504130A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546229(P2004−546229)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/IB2003/004203
【国際公開番号】WO2004/038697
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips Electronics N.V.
【住所又は居所原語表記】Groenewoudseweg 1,5621 BA Eindhoven, The Netherlands
【Fターム(参考)】