説明

音声映像多重信号記録システム、音声映像多重信号記録方法、データ転送プログラム、多重信号記録プログラムおよび音声映像多重信号記録装置

【課題】特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法でA/V多重信号を生成することを課題とする。
【解決手段】端末は、音声データおよびこの音声データに対応する映像データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、ストリームサーバに映像データおよび音声データを転送する。バッファサーバのA/V多重信号生成部は、端末から通知された転送サイズに基づいて、各バッファから映像データおよび音声データを順番に読み出し、読み出した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システム、当該音声映像多重信号記録システムに適用される音声映像多重信号記録方法、当該端末としてのコンピュータに実行させるデータ転送プログラム、および当該音声映像多重信号記録装置としてのコンピュータに実行させる多重信号記録プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、それぞれが別々に記録されたオーディオ(音声)信号およびビデオ(映像)からA/V多重信号を生成するとともに、生成したA/V多重信号を送り出す技術が存在する。また、この従来の技術は、A/V多重信号を生成しつつ実時間で送り出すために、特殊なハードウェアを用いた処理が行われるのが一般的である(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】“AJA video systems HD10AMA”、[online]、[平成19年1月19日検索]、インターネット<http://www.aja.com/html/products_converters.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の技術は、A/V多重信号を生成するために特殊なハードウェアを用いた処理が必要となり、汎用的な方法でA/V多重信号を生成するものではないという問題点があった。すなわち、この従来の技術は、ハイビットレートなA/V多重信号を生成しつつ実時間で送り出すために、特殊なハードウェアによる処理が必要不可欠となり、例えば、汎用のコンピュータやソフトウェアなどを用いた汎用的な方法ではないという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法でA/V多重信号を生成することが可能な音声映像多重信号記録システム、音声映像多重信号記録方法、データ転送プログラムおよび多重信号記録プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1に係る発明は、映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムであって、前記端末は、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に順次転送する転送手段を備え、前記音声映像多重信号記録装置は、前記端末から受信した映像データおよび音声データをそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積手段と、前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積手段により蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成手段と、前記多重信号生成手段により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムに適用される音声映像多重信号記録方法であって、前記端末は、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に順次転送する転送工程を含み、前記音声映像多重信号記録装置は、前記端末から受信した映像データおよび音声データをデータ蓄積部にそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積工程と、前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積工程によりデータ蓄積部にそれぞれ蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成工程と、前記多重信号生成工程により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録工程と、を含んだことを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムにおいて、当該端末としてのコンピュータに実行させるデータ転送プログラムであって、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に順次転送する転送手順をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムにおいて、当該音声映像多重信号記録装置としてのコンピュータに実行させる多重信号記録プログラムであって、前記端末から受信した映像データおよび音声データをデータ蓄積部にそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積手順と、前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積手順によりデータ蓄積部にそれぞれ蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成手順と、前記多重信号生成手順により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、上記の発明において、前記音声映像多重信号記録装置は、映像データおよび音声データの転送速度を変更させるように前記端末に対して当該転送速度の増減を通知する転送速度増減通知手段をさらに備え、前記端末は、前記転送速度増減通知手段により通知された転送速度の増減に応じて、映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に転送する際の転送速度を変更する転送速度変更手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に係る発明は、通信の制御が可能なネットワークで接続された端末から映像データおよび音声データを受信して、当該受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置であって、前記端末から受信した映像データおよび音声データをそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積手段と、前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積手段により蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成手段と、前記多重信号生成手段により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録手段と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、映像データおよび映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムにおいて、端末は、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを音声映像多重信号記録装置に順次転送し、音声映像多重信号記録装置は、端末から受信した映像データおよび音声データをそれぞれ順次蓄積するとともに、端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して音声映像多重信号を生成し、生成された音声映像多重信号を記録するので、特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法で音声映像多重信号(A/V多重信号)を生成して記録することが可能である。
【0013】
また、本発明によれば、A/V多重信号を記録しているので、A/V多重信号を送り出す際には実時間で送り出すことが可能であり、生成したA/V多重信号を記録することなく実時間で送り出してしまえば終わりであった従来の技術とは異なり、記録してあるA/V多重信号をいつでも利用することも可能である。
【0014】
また、本発明によれば、音声映像多重信号記録装置は、映像データおよび音声データの転送速度を変更させるように端末に対して転送速度の増減を通知し、端末は、音声映像多重信号記録装置から通知された転送速度の増減に応じて、映像データおよび音声データを音声映像多重信号記録装置に転送する際の転送速度を変更するので、音声映像多重信号記録装置のバッファが一杯になった時に、映像データおよび音声データを転送する際の端末の転送速度を調整することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る音声映像多重信号記録システム、音声映像多重信号記録方法、データ転送プログラムおよび多重信号記録プログラムの実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明に係る音声映像多重信号記録システムを実施例1として説明した後に、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【実施例1】
【0016】
以下の実施例1では、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの概要および特徴、音声映像多重信号記録システムの構成および処理を順に説明し、最後に実施例1による効果を説明する。
【0017】
[音声映像多重信号記録システムの概要および特徴(実施例1)]
まず最初に、図1を用いて、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの概要および特徴を説明する。図1は、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの概要および特徴を説明するための図である。
【0018】
実施例1に係る音声映像多重信号記録システムは、音声データ(Audio信号)および映像データ(Video信号)から音声映像多重信号(以下、適宜「A/V多重信号」と記す)を生成して記録することを概要とするが、特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法でA/V多重信号を生成することが可能である点に主たる特徴ある。
【0019】
この主たる特徴について具体的に説明すると、図1に示すように、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムは、音声データおよびこの音声データに対応する映像データをそれぞれ保存する端末と、この端末から受信した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成して記録するストリームサーバとを通信の制御が可能なデータ転送用ネットワーク(例えば、TCP/IP等のプロトコルを利用するネットワーク)で接続して構成される。
【0020】
また、ストリームサーバは、端末から受信した映像データおよび音声データを順番に蓄積して、蓄積した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成するバッファサーバと、バッファサーバにより生成されたA/V多重信号を記録するディスクサーバとで構成される。
【0021】
このようにして構成される実施例1に係る音声映像多重信号記録システムにおいて、端末は、音声データおよびこの音声データに対応する映像データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、ストリームサーバに映像データおよび音声データを転送する。例えば、端末は、音声データのビットレートおよび映像データのフレームサイズを転送サイズとしてストリームサーバに通知した上で、映像データおよび音声データを転送する。
【0022】
データ転送用ネットワークを介して端末から順番に送信されてくる映像データおよび音声データを受信すると、バッファサーバは、受信した順番に音声データ(例えば、音声データ(1)および音声データ(2)等)および映像データ(例えば、映像データ(1)、映像データ(2)、映像データ(3)等)を各バッファに蓄積する。
【0023】
そして、バッファサーバのA/V多重信号生成部は、端末から通知された転送サイズに基づいて、各バッファから映像データおよび音声データを順番に読み出し、読み出した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成する。
【0024】
具体的に説明すると、A/V多重信号生成部は、例えば、音声データのビットレートおよび映像データのフレームサイズからなる転送サイズに基づいて、各バッファから映像データおよび音声データを順番に読み出す。このようにして、例えば、映像データ(1)および映像データ(1)に対応する音声データ(1)、映像データ(2)および映像データ(2)に対応する音声データ(2)がシーケンシャルに読み出される。そして、A/V多重信号生成部は、各バッファからシーケンシャルに読み出した映像データおよび音声データごとに各A/V多重信号を生成する。例えば、各バッファから映像データおよび音声データを転送サイズに基づいて読み出すと、30フレームからなる映像データ、および映像データ30フレーム分の音声データを読み出される場合には、音声データの30分の1(すなわち、映像データの1フレーム分の音声データ)と、映像データの1フレームとを合成してA/V多重信号を生成する。
【0025】
このようにA/V多重信号生成部により各A/V多重信号を生成したバッファサーバは、生成した各A/V多重信号のデータを記録させるように、データ記録用ネットワークを介してディスクサーバに転送する。ディスクサーバは、バッファサーバから受信したA/V多重信号のデータをそれぞれ記録する。
【0026】
このようなことから、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムは、特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法でA/V多重信号を生成することが可能である。
【0027】
[音声映像多重信号記録システムの構成(実施例1)]
次に、図2を用いて、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの構成を説明する。図2は、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの構成を示すブロック図である。
【0028】
同図に示すように、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムは、映像データおよび映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末10と、この端末10から受信した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成して記録するストリームサーバ20とを通信の制御が可能なデータ転送用ネットワーク1(例えば、TCP/IP等のプロトコルを利用するネットワーク)で接続して構成される。
【0029】
端末10は、通信制御I/F部11と、記憶部12と、制御部13とから構成される。このうち、通信制御I/F部11は、データ転送用ネットワーク1を介してストリームサーバ20との間でやり取りする音声データや映像データに関する通信を制御する。
【0030】
記憶部12は、制御部13による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する記憶部であり、特に本発明に密接に関連するものとして、音声/映像データ記憶部12aを備える。この音声/映像データ記憶部12aは、映像データおよび映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する。
【0031】
制御部13は、所定の制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、データ転送部13aを備える。
【0032】
このデータ転送部13aは、音声/映像データ記憶部12aに保存されている映像データおよび音声データをデータ転送用ネットワーク1を介してストリームサーバ20に転送する処理部である。具体的に説明すると、映像データおよび対応する音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、ストリームサーバ20に映像データおよび音声データを転送する。例えば、データ転送部13aは、音声データの1秒分のデータサイズ(ビットレート)および映像データのフレームサイズを転送サイズとしてストリームサーバ20に通知する。
【0033】
ストリームサーバ20は、端末10から受信した映像データおよび音声データを順番に蓄積して、蓄積した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成するバッファサーバ30と、バッファサーバ30により生成されたA/V多重信号を記録するディスクサーバ40とをデータ記録用ネットワーク2で接続して構成される。
【0034】
このうち、バッファサーバ30は、通信制御I/F部31と、バッファ部32と、制御部33とから構成される。通信制御I/F部31は、データ転送用ネットワーク1を介して端末10との間でやり取りする音声データや映像データに関する通信や、データ記録用ネットワーク2を介してディスクサーバ40との間でやり取りするA/V多重信号データに関する通信を制御する。なお、バッファサーバ30は、映像データおよび対応する音声データの転送サイズをそれぞれ受け付けてから、映像データおよび音声データを端末10から受信する。
【0035】
バッファ部32は、端末から受信した映像データおよび音声データを順番に蓄積するデータ蓄積部である。
【0036】
制御部33は、所定の制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する処理部であり、特に本発明に密接に関連するものとしては、A/V多重信号生成部33aおよび信号記録部33bを備える。
【0037】
このうち、A/V多重信号生成部33aは、端末10から通知された転送サイズに基づいて、バッファ部32に蓄積された映像データおよび音声データを順番に読み出し、読み出した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成する処理部である。
【0038】
具体的に説明すると、A/V多重信号生成部33aは、音声データのビットレートおよび映像データのフレームサイズからなる転送サイズに基づいて、バッファ部32から映像データおよび音声データを順番に読み出す。このようにして、例えば、映像データ(1)および映像データ(1)に対応する音声データ(1)、映像データ(2)および映像データ(2)に対応する音声データ(2)がシーケンシャルに読み出される。
【0039】
次に、A/V多重信号生成部33aは、バッファ部32からシーケンシャルに読み出した映像データ、および対応する音声データごとに各A/V多重信号を生成する。例えば、1秒あたり30映像フレームの映像データの場合、バッファ部32から映像データおよび音声データを転送サイズに基づいて読み出すと、1フレームの映像データが30フレーム分、および映像データ30フレーム分の音声データが読み出され、音声データの30分の1(すなわち、映像データの1フレーム分の音声データ)と、映像データの1フレームとを所定のフォーマット(図3参照)に合わせて合成してA/V多重信号を生成する。そして、A/V多重信号生成部33aは、生成した各A/V多重信号のデータを信号記録部33bに送出する。なお、この例では、音声1秒、映像1フレームを転送サイズとしたが、音声サイズを30分の1秒としてもよい。ただし、音声データは、映像データと比べて、極めて小さく分割すると転送効率が悪くなる。本発明では、それぞれの転送サイズを転送前にネゴシエーションすることによって、音声データの転送効率を上げることが可能である。
【0040】
信号記録部33bは、A/V多重信号生成部33aにより生成されたA/V多重信号のデータを記録させるようにディスクサーバ40に転送する処理部である。具体的に説明すると、信号記録部33bは、A/V多重信号生成部33aから受け付けた各A/V多重信号のデータを記録させるように、データ記録用ネットワーク2を介してディスクサーバ40に転送する。
【0041】
ディスクサーバ40は、A/V多重信号記録部41を備え、バッファサーバ30から転送された各A/V多重信号のデータを受信して記録する。
【0042】
なお、端末10、ストリームサーバ20、バッファサーバ30およびディスクサーバ40は、既知のパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置に、上記した各機能を搭載することによって実現することもできる。
【0043】
[音声映像多重信号記録システムの処理(実施例1)]
続いて、図4を用いて、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの処理を説明する。図4は、実施例1に係るA/V多重信号生成記録処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
同図に示すように、バッファサーバ30のA/V多重信号生成部33aは、端末10から通知された転送サイズに基づいて、バッファ部32に蓄積された映像データおよび音声データをシーケンシャル(順番)に読み出す(ステップS401)。
【0045】
具体的に説明すると、A/V多重信号生成部33aは、音声データのビットレートおよび映像データのフレームサイズからなる転送サイズに基づいて、バッファ部32から映像データおよび音声データを順番に読み出す。このようにして、例えば、映像データ(1)および映像データ(1)に対応する音声データ(1)、映像データ(2)および映像データ(2)に対応する音声データ(2)がシーケンシャルに読み出される。
【0046】
次に、A/V多重信号生成部33aは、バッファ部32から読み出した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成する(ステップS402)。具体的に説明すると、A/V多重信号生成部33aは、バッファ部32からシーケンシャルに読み出した映像データ、および対応する音声データごとに各A/V多重信号を生成する。
【0047】
例えば、1秒あたり30映像フレームの映像データの場合、バッファ部32から映像データおよび音声データを転送サイズに基づいて読み出すと、1フレームの映像データが30フレーム分、および映像データ30フレーム分の音声データが読み出され、A/V多重信号生成部33aは、音声データの30分の1(すなわち、映像データの1フレーム分の音声データ)と、映像データの1フレームとを所定のフォーマット(図3参照)に合わせて合成してA/V多重信号を生成する。そして、A/V多重信号生成部33aは、生成した各A/V多重信号のデータを信号記録部33bに送出する。
【0048】
続いて、信号記録部33bは、A/V多重信号生成部33aにより生成されたA/V多重信号のデータを記録させるようにディスクサーバ40に転送する。具体的に説明すると、信号記録部33bは、A/V多重信号生成部33aから受け付けた各A/V多重信号のデータを記録させるように、データ記録用ネットワーク2を介してディスクサーバ40に転送する。
【0049】
ディスクサーバ40は、バッファサーバ30から転送された各A/V多重信号のデータを受信して記録する(ステップS403)。
【0050】
[実施例1による効果]
上述してきたように、実施例1によれば、映像データおよび映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末10と、端末10から受信した映像データおよび音声データからA/V多重信号を生成して記録するストリームサーバ20とを通信の制御が可能なデータ転送用ネットワーク1で接続して構成される音声映像多重信号記録システムにおいて、端末10は、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データをストリームサーバ20に順次転送し、ストリームサーバ20を構成するバッファサーバ30は、端末10から受信した映像データおよび音声データをそれぞれ順次蓄積するとともに、端末10から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出してA/V多重信号を生成し、生成されたA/V多重信号を記録するので、特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法でA/V多重信号を生成して記録することが可能である。
【0051】
また、実施例1によれば、ディスクサーバ40においてA/V多重信号を記録しているので、A/V多重信号を送り出す際には実時間で送り出すことが可能であり、生成したA/V多重信号を記録することなく実時間で送り出してしまえば終わりであった従来の技術とは異なり、記録してあるA/V多重信号をいつでも利用することも可能である。
【0052】
また、上記の実施例1において、ストリームサーバ20は、映像データおよび音声データの転送速度を変更させるように端末10に対して転送速度の増減を通知して、映像データおよび音声データを転送する際の端末の転送速度を変更させるようにしてもよい。この方式によって、ストリームサーバ20内のバッファサーバ30におけるデータ蓄積量が一杯になった時に、映像データおよび音声データを転送する際の端末10の転送速度を調整することが可能である。
【実施例2】
【0053】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0054】
(1)装置構成等
上記の実施例において、図2に示した音声映像多重信号記録システムの各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、音声映像多重信号記録システムの分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、例えば、バッファサーバ30とディスクサーバ40とを統合し、あるいは、バッファサーバ30のA/V多重信号生成部33aと信号記録部33bとを統合するなど、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0055】
また、上記の実施例において説明した音声映像多重信号記録システムにより実現される各処理は、システムにより実現される場合に限られるものではなく、例えば、端末10が、保存されている映像データおよび音声データを読み出し、A/V多重信号を生成して記録するようにしてもよい。さらに、実施例1に係る音声映像多重信号記録システムにて行なわれる各処理機能(図4等参照)は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0056】
(2)データ転送プログラムおよび多重信号記録プログラム
ところで、上記の実施例で説明した各種処理方法(図4等参照)は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、その一例として、図5および図6を用いて、上記の実施例と同様の機能を有するデータ転送プログラムおよび多重信号記録プログラムを実行するコンピュータを説明する。図5は、データ転送プログラムを実行するコンピュータを示す図であり、図6は、多重信号記録プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【0057】
まず、図5を用いて、データ転送プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。同図に示すように、端末としてのコンピュータ50は、通信制御I/F部51、HDD52、RAM53、ROM54およびCPU55をバス60で接続して構成される。なお、通信制御I/F部51は、図2に示した通信制御I/F部11に対応する。
【0058】
そして、ROM54には、上記の実施例に示した端末10(図2参照)と同様の機能を発揮するデータ転送プログラム、つまり、図5に示すように、データ転送プログラム34aがあらかじめ記憶されている。なお、ROM34は、不揮発性の「RAM」でもよい。
【0059】
そして、CPU55が、このプログラム54aをROM54から読み出して実行することで、図5に示すように、このプログラム54aは、データ転送プロセス55aとして機能するようになる。なお、このプロセス55aは、図2に示したデータ転送部13aに対応する。
【0060】
また、HDD52には、図5に示すように、音声/映像データテーブル52aが設けられる。この音声/映像データテーブル52aにおいて管理される情報は、図2に示した音声/映像データ記憶部12aに記憶される情報に対応する。そして、CPU55は、音声/映像データテーブル52aから音声/映像データ53aを読み出してRAM53に格納し、RAM53に格納された音声/映像データ53aに基づいて処理を実行する。
【0061】
なお、上記したプログラム54aについては、必ずしも最初からROM54に記憶させておく必要はなく、例えば、コンピュータ50に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータ50の内外に備えられるHDDなどの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ50に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ50がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【0062】
続いて、図6を用いて、多重信号記録プログラムを実行するコンピュータの一例を説明する。同図に示すように、バッファサーバとしてのコンピュータ70は、通信制御I/F部71、HDD72、RAM73、ROM74およびCPU75をバス80で接続して構成される。なお、通信制御I/F部71は、図2に示した通信制御I/F部31に対応する。
【0063】
そして、ROM74には、上記の実施例に示したバッファサーバ30(図2参照)と同様の機能を発揮する多重信号記録プログラム、つまり、図6に示すように、A/V多重信号生成プログラム74aおよび信号記録プログラム74bがあらかじめ記憶されている。なお、これらのプログラム74aおよび74bについては、図2に示したバッファサーバ30の各構成要素と同様、適宜統合または分散してもよい。なお、ROM74は、不揮発性の「RAM」でもよい。
【0064】
そして、CPU75が、これらのプログラム74aおよび74bをROM74から読み出して実行することで、図6に示すように、各プログラム74aおよび74bは、A/V多重信号生成プロセス75aおよび信号記録プロセス75bとして機能するようになる。なお、各プロセス75aおよび75bは、図2に示したA/V多重信号生成部33aおよび信号記録部33bにそれぞれ対応する。
【0065】
また、HDD72には、図6に示すように、音声/映像データテーブル72aが設けられる。この音声/映像データテーブル72aにおいて管理される情報は、図2に示したバッファ部32に記憶される情報に対応する。そして、CPU75は、音声/映像データテーブル72aから音声/映像データ73aを読み出してRAM73に格納し、RAM73に格納された音声/映像データ73aに基づいて処理を実行する。
【0066】
なお、上記した各プログラム74aおよび74bについては、必ずしも最初からROM74に記憶させておく必要はなく、例えば、コンピュータ70に挿入されるフレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」、または、コンピュータ70の内外に備えられるHDDなどの「固定用の物理媒体」、さらには、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ70に接続される「他のコンピュータ(またはサーバ)」などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ70がこれらから各プログラムを読み出して実行するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明に係る音声映像多重信号記録システム、音声映像多重信号記録方法、データ転送プログラム、多重信号記録プログラムおよび音声映像多重信号記録装置は、映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する場合に有用であり、特に、特殊なハードウェアを用いた処理を必要とすることなく、汎用的な方法でA/V多重信号を生成することに適する。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの概要および特徴を説明するための図である。
【図2】実施例1に係る音声映像多重信号記録システムの構成を示すブロック図である。
【図3】A/V多重信号フォーマットの構成例を示す図である。
【図4】実施例1に係るA/V多重信号生成記録処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】データ転送プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【図6】多重信号記録プログラムを実行するコンピュータを示す図である。
【符号の説明】
【0069】
1 データ転送用ネットワーク
2 データ記録用ネットワーク
10 端末
11 通信制御I/F部
12 記憶部
13 制御部
20 ストリームサーバ
30 バッファサーバ
31 通信制御I/F部
32 バッファ部
33 制御部
33a A/V多重信号生成部
33b 信号記録部
40 ディスクサーバ
41 A/V多重信号記録部
50 コンピュータ
51 通信制御I/F部
52 HDD(Hard Disk Drive)
52a 音声/映像データテーブル
53 RAM(Random Access Memory)
53a 音声/映像データ
54 ROM(Read Only Memory)
54a データ転送プログラム
55 CPU(Central Processing Unit)
55a データ転送プロセス
60 バス
70 コンピュータ
71 通信制御I/F部
72 HDD(Hard Disk Drive)
72a 音声/映像データテーブル
73 RAM(Random Access Memory)
73a 音声/映像データ
74 ROM(Read Only Memory)
74a A/V多重信号生成プログラム
74b 信号記録プログラム
75 CPU(Central Processing Unit)
75a A/V多重信号生成プロセス
75b 信号記録プロセス
80 バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムであって、
前記端末は、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に順次転送する転送手段を備え、
前記音声映像多重信号記録装置は、
前記端末から受信した映像データおよび音声データをそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積手段と、
前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積手段により蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成手段と、
前記多重信号生成手段により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録手段と、
を備えたことを特徴とする音声映像多重信号記録システム。
【請求項2】
映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムに適用される音声映像多重信号記録方法であって、
前記端末は、映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に順次転送する転送工程を含み、
前記音声映像多重信号記録装置は、
前記端末から受信した映像データおよび音声データをデータ蓄積部にそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積工程と、
前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積工程によりデータ蓄積部にそれぞれ蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成工程と、
前記多重信号生成工程により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録工程と、
を含んだことを特徴とする音声映像多重信号記録方法。
【請求項3】
映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムにおいて、当該端末としてのコンピュータに実行させるデータ転送プログラムであって、
映像データおよび音声データの転送サイズをそれぞれ通知した上で、保存している映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に順次転送する転送手順をコンピュータに実行させることを特徴とするデータ転送プログラム。
【請求項4】
映像データおよび当該映像データに対応する音声データをそれぞれ保存する端末と、当該端末から受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置とを通信の制御が可能なネットワークで接続して構成される音声映像多重信号記録システムにおいて、当該音声映像多重信号記録装置としてのコンピュータに実行させる多重信号記録プログラムであって、
前記端末から受信した映像データおよび音声データをデータ蓄積部にそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積手順と、
前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積手順によりデータ蓄積部にそれぞれ蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成手順と、
前記多重信号生成手順により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とする多重信号記録プログラム。
【請求項5】
前記音声映像多重信号記録装置は、映像データおよび音声データの転送速度を変更させるように前記端末に対して当該転送速度の増減を通知する転送速度増減通知手段をさらに備え、
前記端末は、前記転送速度増減通知手段により通知された転送速度の増減に応じて、映像データおよび音声データを前記音声映像多重信号記録装置に転送する際の転送速度を変更する転送速度変更手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の音声映像多重信号記録システム。
【請求項6】
通信の制御が可能なネットワークで接続された端末から映像データおよび音声データを受信して、当該受信した映像データおよび音声データから音声映像多重信号を生成して記録する音声映像多重信号記録装置であって、
前記端末から受信した映像データおよび音声データをそれぞれ順次蓄積するデータ蓄積手段と、
前記端末から通知された映像データおよび音声データの転送サイズに基づいて、前記データ蓄積手段により蓄積されている映像データおよび音声データを順次読み出して、音声映像多重信号を生成する多重信号生成手段と、
前記多重信号生成手段により生成された前記音声映像多重信号を記録する音声映像多重信号記録手段と、
を備えたことを特徴とする音声映像多重信号記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−300959(P2008−300959A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−142112(P2007−142112)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(591074585)エヌ・ティ・ティ アイティ株式会社 (21)
【出願人】(000102739)エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社 (265)
【Fターム(参考)】