説明

音声登録装置および音声登録方法

【課題】音声情報を、行先階の登録と最適な情報の表示とに利用し、さらなる有効活用を図る。
【解決手段】音声認識による情報に基づいて行先階登録を行う行先階登録モードと、表示すべき情報を選択して表示を行う情報表示モードとの2つのモードを備え、エレベータの運行状態に応じて、行先階登録モードと情報表示モードの一方に設定するモード切り替え手段4eと、行先階登録モードに設定されている場合に、音声認識手段4cによって取得した音声情報と予めビルの構造より登録されている階床データとを比較し、一致した場合に、一致した階床への呼びを登録する呼び登録手段4dと、情報表示モードに設定されている場合に、音声認識手段4cによる音声認識により取得した音声情報に基づいて、予め登録されている情報の中から、表示すべき情報を選択し、情報表示器5に表示を行う情報表示判定手段と4fとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は音声登録装置および音声登録方法に関し、特に、エレベータ等で使用される音声登録装置および音声登録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の音声登録装置が設置されたエレベータにおいて、音声登録装置の役割は行先階を登録するのみであった。例えば、特許文献1のように、特定キーワードにて音声認識を実施する方法などが提案されている。
【0003】
また、従来のエレベータに搭載された情報表示器においては、管理者側が設定した情報を表示するのみであった。例えば、特許文献2のように、時間帯によってエレベータ情報表示器の内容を変更する方法などや、特許文献3のように遠隔保守端末から通信線を通じて送られてくる文字情報をエレベータ情報表示器に表示する技術が公開されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−293274号公報
【特許文献2】特開平7−330234号公報
【特許文献3】特開平9−77398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように、従来のエレベータにおける音声登録装置では、音声情報を行先階の登録のみに使用しており、それほど有効活用はなされていなかった。
【0006】
また、従来のエレベータに搭載された情報表示器においては、管理者側が一方的に選定した情報を表示するのみであり、その乗客に合わせた最適な情報を表示することはできなかった。
【0007】
この発明では、かかる問題点を解決するためになされたものであり、音声情報を行先階登録に使用するモードと情報表示のための情報取得に使用するモードとの2つのモードを備え、音声情報を、行先階の登録だけでなく、エレベータ利用者に最適な情報を表示するためにも使用し、音声情報のさらなる有効活用を可能にする音声登録装置および音声登録方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、音声認識により取得した情報に基づいてエレベータ制御盤に行先階登録を行う行先階登録モードと、音声認識により取得した情報に基づいて表示すべき情報を選択して情報の表示を行う情報表示モードとの2つのモードを備えた音声登録装置であって、エレベータかご内に設置されて文字または画像の表示を行う情報表示器と、前記エレベータかご内に設置されて音声が入力される音声入力装置と、前記音声入力装置に入力された音声の音声認識を行う音声認識手段と、エレベータの運行状態に応じて、前記行先階登録モードと前記情報表示モードのいずれか一方にモードを切り替えるモード切り替え手段と、前記モード切り替え手段により前記行先階登録モードに設定されている場合に、前記音声認識手段による音声認識により取得した音声情報と予めビルの構造より登録されている階床データとを比較し、一致した場合に、一致した階床への呼びを登録する呼び登録手段と、前記モード切り替え手段により前記情報表示モードに設定されている場合に、前記音声認識手段による音声認識により取得した音声情報に基づいて、予め登録されている情報の中から表示すべき情報を検索し、前記情報表示器に当該情報の表示を行う情報表示判定手段とを備えたことを特徴とする音声登録装置である。
【発明の効果】
【0009】
この発明は、音声認識により取得した情報に基づいてエレベータ制御盤に行先階登録を行う行先階登録モードと、音声認識により取得した情報に基づいて表示すべき情報を選択して情報の表示を行う情報表示モードとの2つのモードを備えた音声登録装置であって、エレベータかご内に設置されて文字または画像の表示を行う情報表示器と、前記エレベータかご内に設置されて音声が入力される音声入力装置と、前記音声入力装置に入力された音声の音声認識を行う音声認識手段と、エレベータの運行状態に応じて、前記行先階登録モードと前記情報表示モードのいずれか一方にモードを切り替えるモード切り替え手段と、前記モード切り替え手段により前記行先階登録モードに設定されている場合に、前記音声認識手段による音声認識により取得した音声情報と予めビルの構造より登録されている階床データとを比較し、一致した場合に、一致した階床への呼びを登録する呼び登録手段と、前記モード切り替え手段により前記情報表示モードに設定されている場合に、前記音声認識手段による音声認識により取得した音声情報に基づいて、予め登録されている情報の中から表示すべき情報を検索し、前記情報表示器に当該情報の表示を行う情報表示判定手段とを備えたことを特徴とする音声登録装置であるので、音声情報を、行先階の登録だけでなく、エレベータ利用者に最適な情報を表示するためにも使用し、音声情報のさらなる有効活用を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1における音声登録装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1〜3における音声登録装置の使用状況を示すイメージ図である。
【図3】この発明の実施の形態1における音声登録装置の動作概要を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態2における音声登録装置の内部構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態2における音声登録装置の動作概要を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態3における音声登録装置の内部構成を示すブロック図である。
【図7】この発明の実施の形態3における音声登録装置の動作概要を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
上述のように、従来技術においては音声登録装置が設置されたエレベータにおいて、音声登録装置の役割は行先階を登録するのみであったが、この発明に係る音声登録装置は、音声認識による行先階の登録のみでなく、音声認識による情報表示機能が追加されている。この発明においては、音声認識により行先階を登録するモードと、音声認識により情報を選択して表示するモードとの二つのモードを併せ持ち、行先階登録終了後に、情報を表示するモードに切り替えることで、エレベータ利用者(以下、乗客とする。)の雑談などから情報を取得し、乗客が必要としている情報を表示することで、乗客に対するエレベータサービスを向上させることができる。
【0012】
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1に係る音声登録装置について詳細に説明する。
【0013】
図1は、この発明の実施の形態1に係る音声登録装置7を含む、エレベータ設備の全体構成を示すブロック図であり、図2は、この発明の実施の形態1における音声登録装置7の使用状況を示すイメージ図である。
【0014】
これらの図において、1はエレベータかご、2は、機械室などに設けられ、エレベータかご1の速度制御や運行管理制御などを行うエレベータ制御盤、3はエレベータの乗客の有無を判断するためにエレベータかご1内に設置された人感装置などの人検出装置である。人検出装置3は、図2に示すように、例えば、エレベータかご1の入口付近の縦枠内などに設けられ、光センサや赤外線センサなどを用いて、エレベータかご1に対して乗り降りする乗客を検知するものである。人検出装置3は、光や赤外線を出射する発光素子と、それを受信する受信素子とから構成され、図2に示すように、エレベータかごのドア付近の縦枠の一方に発光素子が設けられ、対向する縦枠の他方に受光素子が設けられていて、発光素子から出力された光や赤外線を受光素子で受光する構成となっている。このとき、ドアを通過してエレベータかごに乗り込む乗客がいると、当該乗客の身体により、発光素子から出射された光や赤外線が妨げられ、受光素子に到達しない。従って、受光素子による受光がない場合に、「乗客あり」として検知する。また、乗客が乗ったか、降りたかを検出するためには、水平方向に、発光素子および受光素子を複数個並べておき、それらの素子による検出順で、乗客の移動方向を見分けるようにすればよい。また、人検出装置3は、1つの高さだけに設置してもよいが、図2に示すように、高さの異なる複数の位置に設置するようにしてもよい。これは、例えば、大人と子供では身長差があるので、そのいずれをも精度高く検出するためである。また、人検出装置3としては、上記の場合に限らず、エレベータかごの床内に、エレベータの負荷を検出する重さ検出装置を設けておいて、重さが増加したときに、新たに乗り込んだ乗客ありと検出するようにしてもよい。
【0015】
また、4は、音声登録装置7のモードを切り替えるとともに、各モードごとにエレベータ制御盤2への行先階登録と情報表示器5への情報選択および表示指示との両方が行える音声認識装置、5は、エレベータかご1内に設けられ、乗客に対して音声認識装置4が動作中であること(すなわち、音声認識による行先階登録や、情報表示が可能であること)を表示したり、あるいは、エレベータかご1の現在位置を表示したり、あるいは、天気予報やニュースなどを表示する情報表示器である。情報表示器5は、メッセージなどの文字の表示だけでなく、画像の表示も行える構成としてもよい。情報表示器5は、図2に示すように、エレベータかご1内の、例えば、操作盤付近の操作盤の上方などに設けられる。なるべく高い位置に設置した方が、多くの乗客が見やすくなるため、望ましい。情報表示器5は、例えば、音声認識による行先階登録を行う行先階登録モードの場合には、乗客に対して、音声認識でも操作盤からでも行先階の登録が行えることを伝えるために、人検出装置3により乗客が検知されたときに、「このエレベータは、音声によっても、行先階の登録を行うことができます。」等の文字メッセージを画面表示する。また、音声認識による情報表示を行う情報表示モードに場合には、乗客に対して、音声認識により必要な情報の表示が行えることを伝えるために、「このエレベータは、音声により必要な情報の表示を行うことができますので、検索キーワードとなる言葉を言って下さい。」等の文字メッセージを画面表示する。
【0016】
6は、行先階の指定などの乗客の音声による音声情報を入力するために設置されたマイクロホンなどの音声入力装置である。音声入力装置6は、図2に示すように、エレベータかご1内の、例えば、操作盤内に設けられる。なお、この発明の実施の形態1に係る音声登録装置7は、図1に示すように、音声認識装置4と情報表示器5と音声入力装置6とから構成されている。また、図1において、8は、アラーム音などの警報を発するとともに、情報表示器5と共に音声認識装置4が動作中であることを音声にて報知するために設置されたスピーカなどの報知器8である。報知器8は、図2に示すように、エレベータかご1内の、例えば、操作盤内に設けられる。報知器8は、例えば、音声認識による行先階登録を行う行先階登録モードの場合には、乗客に対して、音声認識でも操作盤からでも行先階の登録が行えることを伝えるために、人検出装置3により乗客が検知されたときに、報知器8により、「このエレベータは、音声によっても、行先階の登録を行うことができます。」等の音声メッセージを発する。また、音声認識による情報表示を行う情報表示モードに場合には、乗客に対して、音声認識により必要な情報の表示が行えることを伝えるために、報知器8により、「このエレベータは、音声により必要な情報の表示を行うことができますので、検索キーワードとなる言葉を言って下さい。」等の音声メッセージを発する。
【0017】
音声認識装置4には、図1に示すように、人検出手段4a、呼び登録可能判定手段4b、音声認識手段4c、呼び登録手段4d、モード切り替え手段4e、及び、情報表示判定手段4fとが設けられている。以下に、各手段4a〜4fについて説明する。
人検出手段4aは、人検出装置3からの検出信号が入力され、当該検出信号に基づいて、音声登録装置7の使用者となる乗客を人検出装置3が検出したことを検知する。
呼び登録可能判定手段4bは、モード切り替え手段4eを介してエレベータ制御盤2から入力される情報や、人検出手段3の判定結果から、音声登録装置7の音声認識機能が使用可能であるかを判定するとともに、モード切り替え手段4eによって設定された音声登録装置7の現在のモードを判別する。
音声認識手段4cは、音声入力装置6より音声データが入力され、音声登録装置7が行先階登録モードに設定されている場合には、入力された音声データの内容を、各モードごとに、行先階へのかご呼び登録として認識し、音声登録装置7が情報表示モードに設定されている場合には、入力された音声データの内容を、情報表示器5への情報表示のための情報入力として認識する。
呼び登録手段4dは、音声認識手段4cの音声認識結果により、入力された音声データが行先階へのかご呼び登録として認識された場合に、要求された行先階への呼びを、エレベータ制御装置2へ登録する。
モード切り替え手段4eは、エレベータ制御装置2から入力される情報及び/またはエレベータの運行状態に基づいて、音声登録装置7のモードを、行先階を登録する行先階登録モードか、情報表示を表示する情報表示モードかの、いずれか一方に切り替える。
情報表示判定手段4fは、情報表示モードの際に、音声認識手段4cからの情報に基づいて、情報表示器5に表示すべき情報を、予め登録された情報の中から判定する。
なお、これらの各手段4a〜4fは、マイクロコンピュータ等のハードウェア上のソフトウェアによって構成されている。
【0018】
次に、この発明の実施の形態1における音声登録装置7の動作を、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0019】
図3に示すように、まず、ステップS−102にて、モード切り替え手段4eが、エレベータ制御盤2から、エレベータかご1の戸開閉状況、呼び登録状況、エレベータかご1への乗車負荷などのエレベータ運行状況に関するデータを入力し、ステップS−103に進む。なお、ステップS−102においては、音声登録装置7のモードは、音声認識による呼び登録を行う行先階登録モードに設定されている。
【0020】
ステップS−103では、音声認識装置4の人検出手段4aが、人検出装置3より、音声登録装置7の使用者となるエレベータかご1内の乗客の有無(現在の使用者状況)に関するデータを入力し、ステップS−104へ進む。
【0021】
ステップS−104では、音声登録装置7の使用時間が終了したか否かを判定し、終了していなければ、人検出手段4aにより、図2に示すようにエレベータかご1のドア付近に取り付けられた人検出装置3によりエレベータかご1への新たな乗客を検出したか否かを判定し、検出したと判定した場合には、ステップS−105へ進む。検出したと判定しなかった場合は、ステップS−114に進む。
【0022】
ステップS−105では、図2に示すようにエレベータかご1の操作盤に設けられたマイクロホンなどの音声入力装置6のスイッチを、乗客の音声データを入力するためにONにして、ステップS−106に進む。
【0023】
ステップS−106では、音声認識手段4cにより、音声入力装置6より入力された音声データを解析する。具体的には、入力された音声データと予め登録されている音声データパターンと比較し、音声データパターンの中に、入力された音声データに一致する階床名があるか否かを判定し、ステップS−107に進む。なお、当該音声データパターンは、エレベータが設置されたビルの構造より予め登録される、エレベータかご1の行先階となり得る各階床名の音声データパターンである。
【0024】
ステップS−107では、音声認識手段4cにより、ステップS−106の音声認識処理の結果に基づいて、音声データパターンの中に入力された音声データに一致する階床名があったか否かを判定し、行先階として認識された階床があれば、ステップS−108へ進み、認識された階床がなければステップS−106へ進み、行先階が認識されるまでステップS−106とステップS−107を繰り返す。なお、このとき、割り込み処理として、操作盤による呼び登録がなされた場合には、ステップS−109に進む。
【0025】
ステップS−108では、呼び登録手段4dにより、ステップS−107で認識された階床への呼びをエレベータ制御盤2へ出力して行先階登録を行い、ステップS−109に進む。
【0026】
ステップS−109では、モード切り替え手段4eが、エレベータ制御盤2からの信号を受けて、行先階登録が完了したことを検知したら、音声登録装置7のモードを、行先階を登録する行先階登録モードから情報表示をする情報表示モードに切り替え、ステップS−110に進む。
【0027】
ステップS−110では、音声認識手段4cが、音声入力装置6を介して入力される、乗客の雑談等の音声データから、情報収集を行う。例えば「5階に○○のお店があった」という乗客の会話から、「5階」という情報の収集に成功したならば、ステップS−111に進み、収集に失敗した、または、何も収集する情報がなかったならば、ステップS−112に進む。なお、情報収集は、予め、キーワードとなる単語を音声認識手段4cに登録しておき、乗客の会話の音声データの中から、当該キーワードと一致する音声データが含まれているか否かを比較判定して行う。
【0028】
ステップS−111では、情報表示判定手段4fが、ステップS−110で収集した情報を元に、予め登録されている情報の中から最適な情報を検索し、情報表示器5に当該情報の表示をする。例えば、ステップS−110で収集した情報が「5階」であったならば、「5階」をキーワードとして、それに関する情報を選択し、情報表示器5に表示を行い、ステップS−113に進む。なお、表示を行う情報は、キーワードごとに、予め、情報表示判定手段4fに登録されており、ビル内のイベント開催や季節などによってエレベータ管理者またはビル管理者等により適宜更新されるものとする。
【0029】
ステップS−112では、情報表示判定手段4fが、通常の情報、例えば天気予報の情報やエレベータかご1の現在位置の情報等の情報を情報表示器5に表示し、ステップS−113に進む。なお、通常の情報として、エレベータの現在の階床位置に応じた案内を表示してもよく、あるいは、呼び登録された階床に応じた案内にしてもよい。
【0030】
ステップS−113では、モード切り替え手段4eが、音声登録装置7のモードを、情報表示を行う情報表示モードから行先階を登録する行先階登録モードに切り替え、ステップS−102に戻り、再び、ステップS−102からステップS−113までの処理を繰り返す。但し、ステップS104の処理で、音声登録装置7の使用時間が終了していると判定された場合には、ステップS−114に進む。音声登録装置7の使用時間は24時間としてもよいが、省電力のために、所定の時間帯のみ行うことが望ましいので、使用時間を予め設定しておくことが望ましい。
【0031】
ステップS−114では、音声認識手段4cが、乗客の音声データ入力を中止して、誤認識による無駄なかご呼び登録を防止するために、音声入力装置6のスイッチをOFFにして、ステップS−115に進む。
【0032】
ステップS−115では、音声登録装置7が音声認識処理を終了して、音声入力装置6での呼び登録処理を終了する。
【0033】
以上のように、本実施の形態1に係る音声登録装置7においては、人検出装置3が新たにエレベータかご1内に乗客が乗り込んだことを検知したときに、まず、行先階登録モードで、音声認識による行先階への呼び登録を行い、それが完了したら、情報表示モードに切り替えて、乗客の会話からの音声データに基づいて音声認識を行い、音声認識により収集できた情報に基づいて、情報表示器5に表示すべき情報を検索して表示を行うようにしたので、音声情報を、行先階の登録だけでなく、エレベータ利用者に最適な情報を表示するためにも使用でき、音声情報のさらなる有効活用を可能にすることができる。
【0034】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、音声登録装置7のモードを切り替えるタイミングが、音声認識により行先階を登録完了した後に切り替わるようになっていたが、本実施の形態においては、これを、行先階の登録が完了し、かつ、戸閉よりエレベータ走行開始後に切り替えるようにすることで、行先階登録と情報表示の切り替えをよりスムーズにした実施形態について説明する。図4に、本実施の形態に係る音声登録装置7の音声認識装置4部分の構成を示す。なお、音声認識装置4以外の構成については、図1および図2に示した実施の形態1の構成と同じであるため、それらの図を参照することとし、その説明は省略し、図4では、音声認識装置の構成について説明する。
【0035】
図4に示すように、本実施の形態においては、図1の音声認識装置4の構成に、さらに、戸状態判別手段4gが追加されている。他の構成は図1と同じである。戸状態判別手段4gは、エレベータ制御盤2から、エレベータかご1の戸開閉状況とエレベータかご1の運行状態の情報を取得し、エレベータかご1が現在走行状態であるか否かを判別するものである。戸状態判別手段4gを、図4のように追加することで、行先階登録モードと情報表示モードの切り替えがスムーズになることを以下に説明する。
【0036】
なお、図4における各手段4a〜4fは、図1と同様に、マイクロコンピュータ等のハードウェア上のソフトウェアによって構成されている。
【0037】
次に、この発明の実施の形態2における音声登録装置の動作を、図5のフローチャートを用いて説明する。図5のフローチャートにおけるステップS−201〜S−205までの処理は、図3のステップS−109の代わりに行われる処理である。本実施の形態おいては、図3におけるS−109の処理以外の動作は、実施の形態1とすべて同じであるので詳述を省略し、図5では、ステップS−109の代わりに行われる、戸の状態によりモードを切り替える機能処理についてのみ説明する。
【0038】
まず、実施の形態1と同様に、図3に示すステップS−101からステップ108までの処理を行う。次に、図5に示すように、まず、ステップS−202にて、戸状態判別手段4gにより、エレベータ制御盤2から現在のエレベータかご1の戸開閉状況と運行状態の情報(エレベータかご1が現在走行中であるか否かの情報)を取得し、ステップS−203に進む。
【0039】
ステップS−203では、戸状態判別手段4gが、エレベータ制御盤2からの当該情報に基づいて、エレベータかご1の現在の状態が走行中であるか否かを判定し、走行状態であると判定した場合には、ステップS−204へ進み、一方、エレベータかご1が停止中であればステップS−202へ進む。
【0040】
ステップS−204では、モード切り替え手段4eが、音声登録装置7のモードを、行先階を登録する行先階登録モードから、情報表示をする情報表示モードに切り替え、ステップS−205へ進む。以降は、実施の形態1と同様に、図3のステップS−110からステップS−115までの処理を行う。
【0041】
以上のように、本実施の形態においては、上記の実施の形態1と同様の効果が得られるとともに、さらに、戸状態判別手段4gを設けて、音声登録装置7のモードを情報表示モードに切り替えるタイミングを、行先階の登録が完了し、かつ、戸閉よりエレベータ走行開始後にすることで、行先階登録と情報表示の切り替えをよりスムーズに行うことができる。すなわち、本実施の形態においては、エレベータかご1が戸開状態である場合は、複数の乗客からの呼び登録が次々とあるかもしれないので、それに対応するべく、情報表示モードに切り替えずに、行先階登録モードのままの状態を保持する。
【0042】
実施の形態3.
図6に、本実施の形態に係る音声登録装置7の音声認識装置4部分の構成を示す。なお、音声認識装置4以外の構成については、図1および図2に示した実施の形態1の構成と同じであるため、それらの図を参照することとし、その説明は省略し、図6では、音声認識装置4の構成について説明する。
【0043】
図6の構成においては、上記実施の形態2で示した図4の音声認識装置4の構成に設けられた戸状態判別手段4Gの代わりに、動体センサや負荷検出装置などの検出結果に基づいてエレベータかご1内の乗客数を判定するためのエレベータ負荷判別手段4hを設けている。他の構成については、実施の形態1(図1)および実施の形態2(図4)と同じである。本実施の形態においては、図6のようにエレベータ負荷判別手段4hを音声認識装置4に設けることで、多人数がエレベータを利用した際に音声認識率が下がると予想される状態で、音声認識装置を有効に活用することができる。
【0044】
エレベータ負荷判別手段4hは、動体センサや負荷検出装置などの機器により検出された結果を、エレベータ制御盤2を介して取得し、エレベータかご1内のおおよその乗客数を判定する。動体センサを用いる場合は、エレベータかご1内の天井などに動体センサを設けておき、動体センサにより取得する動体検出結果あるいは画像解析結果などにより、エレベータかご1内の乗客のおおよその数を判定する。また、負荷検出装置を用いる場合は、エレベータかご1の床内に負荷検出装置を設けておき、当該負荷検出装置により検出されたエレベータかご1内の全体の重量を、予め設定した一般的な乗客の平均体重(例えば60kg)で除算して、エレベータかご1内の乗客のおおよその数を算出する。なお、ここでは、おおよその乗客数を求める例について説明しているが、その場合に限らず、例えば、動体センサの精度を高くする、あるいは、負荷検出装置の検出結果と人検出手段4aの検出結果を組み合わせる等して、正確な乗客数が求められる構成としてもよいことは言うまでもない。
【0045】
なお、図6における各手段4a〜4f,4hは、図1および図4と同様に、マイクロコンピュータ等のハードウェア上のソフトウェアによって構成されている。
【0046】
次に、この発明の実施の形態3における音声登録装置の動作を、図7のフローチャートを用いて説明する。図7のフローチャートにおけるステップS−301〜S−310までの処理は、図3のステップS−102の代わりに行われる処理である。本実施の形態おいては、図3におけるS−102の処理以外の動作は、実施の形態1とすべて同じであるので詳述を省略し、図7では、ステップS−102の代わりに行われる、エレベータ負荷判別手段4hによるエレベータ負荷の判別に基づくモード切り替え処理についてのみ説明する。
【0047】
まず、図7に示すように、エレベータ負荷判別手段4hが、ステップS−302にて、エレベータ制御盤2から利用負荷を含めた運行状況の情報を取得し、ステップS−303に進む。
【0048】
ステップS−303では、エレベータ負荷判別手段4hが、ステップS−302で取得したエレベータ利用負荷を含めた運行状況の情報に基づいて、エレベータかご1内のおおよその乗客数を判定し、混雑状況を確認し、ステップS−304に進む。なお、推定したエレベータかご1内のおおよその乗客数が予め設定された所定の閾値(予め設定した一定数)を超えていた場合に、「混雑している」と判定し、一方、当該所定の閾値未満(一定数未満)の場合には、「混雑していない」と判定する。
【0049】
ステップS−304では、ステップS−303の判定結果を確認し、当該判定結果が、エレベータ負荷判別手段4hにより、エレベータかご1内が「混雑している」と判定されていた場合には、ステップS−305に進み、「混雑していない」と判別されていた場合には、ステップS−309に進む。
【0050】
ステップS−305では、ステップS−303,S−304で「混雑している」と判定された場合であるため、音声認識装置4の音声認識機能を情報表示にのみ使用することとし、モード切り替え手段4eにより、行先階登録モードから情報表示モードに変更し、ステップS−306へ進む。
【0051】
ステップS−306では、音声認識手段4cにより、乗客の雑談等の、例えば「「5階」に○○のお店があった」という会話の音声データから、「5階」という情報の収集に成功したならば、ステップS−307に進み、収集に失敗した、または、何も収集する情報がなかったならばS−308に進む。
【0052】
ステップS−307では、情報表示判定手段4fが、ステップS−306で収集した情報を元に最適な情報を検索し、表示をする。例えば、ステップS−306で収集した情報が「5階」であったならば、「5階」に関する情報を検索し、情報表示器5に当該情報の表示を行い、ステップS−302に進む。
【0053】
ステップS−308では、ステップS−306で情報の収集に失敗した、あるいは、情報収集できなかった場合であるので、通常の情報である、たとえば天気予報等を情報表示器5に表示を行い、ステップS−302に進む。
【0054】
ステップS−307かステップS−308の動作終了後にステップS−302に進み、ステップS−302からステップS−308までの処理を繰り返し、混雑状況が終了したら、ステップS−304からステップS−309に進むまでの処理を繰り返す。
【0055】
ステップS−309では、音声登録装置7のモードを、行先階登録モードに変更し、ステップS−310に進む。以降は、実施の形態1と同様に、図3のステップS−103からステップS115までの処理を行う。あるいは、実施の形態2と同様の処理としてもよい。
【0056】
なお、図7のステップS−306からS−308までの処理は、実施の形態1で説明した図1のステップS−110からS−112の処理と同じであるため、本実施の形態においては簡単に説明した。詳細については、実施の形態1の説明を参照されたい。
【0057】
以上のように、本実施の形態においては、上記の実施の形態1,2と同様の効果が得られるとともに、さらに、エレベータ負荷判別手段4hを設けて、上記のとおり混雑状況に応じてモードを切り替えるようにして、多人数がエレベータを利用した際の混雑時には音声認識率が下がると予想されるため、音声認識による呼び登録を中止し、誤認識を未然に防ぐことで、無駄な階に停止することなく、かつ、必要な情報を情報表示器5に表示できる回数が増えるので、音声認識装置4をさらに有効活用することができる。
【0058】
なお、上記の実施の形態1〜3において、音声登録装置7が情報表示モードである場合には、音声認識による行先階登録は行わないため、その場合には、エレベータかご1の操作盤の行先階登録釦を乗客が押下する操作を行うことにより、行先階登録が行われることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0059】
1 エレベータかご、2 エレベータ制御盤、3 人検出装置、4 音声認識装置、4a 人検出手段、4b 呼び登録可能判定手段、4c 音声認識手段、4d 呼び登録手段、4e モード切り替え手段、4f 情報表示判定手段、4g 戸状態判別手段、4h エレベータ負荷判別手段、5 情報表示器、6 音声入力装置、7 音声登録装置、8 報知器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声認識により取得した情報に基づいてエレベータ制御盤に行先階登録を行う行先階登録モードと、音声認識により取得した情報に基づいて表示すべき情報を選択して情報の表示を行う情報表示モードとの2つのモードを備えた音声登録装置であって、
エレベータかご内に設置されて文字または画像の表示を行う情報表示器と、
前記エレベータかご内に設置されて音声が入力される音声入力装置と、
前記音声入力装置に入力された音声の音声認識を行う音声認識手段と、
エレベータの運行状態に応じて、前記行先階登録モードと前記情報表示モードのいずれか一方にモードを切り替えるモード切り替え手段と、
前記モード切り替え手段により前記行先階登録モードに設定されている場合に、前記音声認識手段による音声認識により取得した音声情報と予めビルの構造より登録されている階床データとを比較し、一致した場合に、一致した階床への呼びを登録する呼び登録手段と、
前記モード切り替え手段により前記情報表示モードに設定されている場合に、前記音声認識手段による音声認識により取得した音声情報に基づいて、予め登録されている情報の中から表示すべき情報を検索し、前記情報表示器に当該情報の表示を行う情報表示判定手段と
を備えたことを特徴とする音声登録装置。
【請求項2】
前記モード切り替え手段は、前記エレベータ制御盤への行先階登録の処理が終了するまでは、前記行先階登録モードに設定し、当該処理が終了したときに、前記情報表示モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の音声登録装置。
【請求項3】
前記モード切り替え手段は、前記エレベータ制御盤への行先階登録の処理が終了し、かつ、エレベータの戸閉動作が終了するまでは、前記行先階登録モードに設定し、前記行先階登録の処理および前記エレベータの戸閉動作が終了したときに、前記情報表示モードに切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の音声登録装置。
【請求項4】
前記エレベータかご内の乗客数を判定するエレベータ負荷判別手段をさらに備え、
前記エレベータ負荷判別手段が求めた前記エレベータかご内の乗客数が、予め設定された一定数以上の場合に、前記モード切り替え手段は、前記情報表示モードに設定する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の音声登録装置。
【請求項5】
エレベータの運行状態に応じて、音声認識を行うモードを、音声認識により取得した情報に基づいてエレベータ制御盤に行先階登録を行う行先階登録モードと、音声認識により取得した情報に基づいて表示すべき情報を選択して前記情報表示器に表示を行う情報表示モードとのいずれか一方に設定するモード切り替えステップと、
前記モード切り替えステップにより前記行先階登録モードに設定されている場合に、前記音声認識により取得した音声情報と予めビルの構造より登録されている階床データとを比較し、一致した場合に、一致した階床への呼びを登録する呼び登録ステップと、
前記モード切り替えステップにより前記情報表示モードに設定されている場合に、前記音声認識により取得した音声情報に基づいて、予め登録されている情報の中から、表示すべき情報を検索し、前記情報表示器に当該情報の表示を行う情報表示判定ステップと
を備えたことを特徴とする音声登録方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−103767(P2013−103767A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246237(P2011−246237)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】