説明

音声記録装置

【課題】記録音声にボタンの操作音が混入されるのを防止する。
【解決手段】シャッターボタン22の操作によって、音声付き動画の記録を開始するデジタルカメラ10において、タッチセンサ124によってシャッターボタン22への指の接触を検知する。シャッターボタン22への指の接触が検知されると、ノッチフィルタ172が作動され、マイクロフォン20から出力された音声信号からシャッターボタン22の操作時に発生する音の信号成分が除去される。これにより、記録音声にシャッターボタン22の操作音が混入されるのが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は音声記録装置に係り、特にボタンの操作音が記録されるのを防止する機能を備えた音声記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンパクトタイプのデジタルカメラの多くが、静止画の撮影機能に加えて音声付動画の撮影機能を備えている。このようなコンパクトタイプのデジタルカメラの場合、限られた設置スペースの中にマイクロフォンを組み込まなければならないため、レンズや絞りを駆動するモータの近傍にマイクロフォンが配置されてしまい、これらの駆動音が動画撮影中に音声とともに記録されてしまうという不具合があった。そこで、このような不具合を防止する提案も種々なされている(たとえば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2004−23502号公報
【特許文献2】特開2003−234954号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、デジタルカメラで動画の撮影を行う場合、通常、撮影開始と終了の指示はシャッターボタンの押下で行われるが、このシャッターボタンを押下すると、その押下時にシャッターボタンから操作音(クリック音、接触音等)が発生し、音声に混じって記録されてしまうという不具合があった。同様にズーム機能を備えたデジタルカメラの場合には、そのズーム操作をするためにズームボタンを押下すると、音声に混じってズームボタンの操作音が記録されてしまうという不具合があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、記録音声にボタンの操作音が混入されるのを防止できる音声記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、前記目的を達成するために、外部音声をマイクロフォンで電気信号に変換し、記憶媒体に記録する音声記録装置において、音声記録時に操作されるボタンへの指の接触を検知する接触検知手段と、前記電気信号から前記ボタンの操作時に発生する音の信号成分を除去するフィルタ手段と、前記接触検知手段で前記ボタンへの指の接触が検知されると、前記フィルタ手段を作動させる制御手段と、を備えたことを特徴とする音声記録装置を提供する。
【0006】
本発明によれば、音声記録時に指がボタンに接触すると、その接触が接触検知手段で検知され、ボタン操作時に発生する音(クリック音、接触音等)の信号成分をマイクロフォンから取り込んだ電気信号から除去するフィルタ手段が作動される。これにより、ボタンの操作音が記録音声に混入されるのを防止できる。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ボタンが複数備えられている場合において、各ボタンごとに前記接触検知手段が個別に設けられるとともに、各ボタンごとに対応する前記フィルタ手段が個別に設けられ、前記制御手段は、前記接触検知手段で接触が検知されると、接触が検知されたボタンに対応する前記フィルタ手段を個別に作動させることを特徴とする請求項1に記載の音声記録装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、ボタンが複数備えられている場合において、各ボタンごとに接触検知手段が設けられ、各ボタンごとに個別に指の接触が検知される。また、各ボタンごとに対応するフィルタ手段が設けられ、接触が検知されたボタンごとに対応するフィルタ手段が個別に作動される。これにより、より効果的にボタンの操作音が記録音声に混入されるのを防止できる。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記目的を達成するために、前記ボタンが複数備えられている場合において、各ボタンごとに前記接触検知手段が個別に設けられるとともに、前記フィルタ手段が、各ボタンごとに発生する音の信号成分を前記電気信号から選択的に除去可能に形成され、前記制御手段は、前記接触検知手段で接触が検知されると、前記フィルタ手段を作動させて、接触が検知されたボタンに対応する音の信号成分を前記電気信号から選択的に除去させることを特徴とする請求項1に記載の音声記録装置を提供する。
【0010】
本発明によれば、ボタンが複数備えられている場合において、各ボタンごとに個別に指の接触が検知され、各ボタンごとに発生する音の信号成分がフィルタ手段で選択的に除去される。これにより、より効果的にボタンの操作音が記録音声に混入されるのを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る音声記録装置によれば、記録音声にボタンの操作音が混入されるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に従って本発明に係る音声記録装置を実施するための最良の形態について説明する。
【0013】
図1、図2は、それぞれ本発明が適用されたデジタルカメラの正面斜視図と背面斜視図である。
【0014】
このデジタルカメラ10は、静止画と音声付動画の記録機能を備えたデジタルカメラであって、そのカメラボディ12は、横方向に細長く形成された矩形の箱状に形成されている。
【0015】
カメラボディ12の正面には、図1に示すように、撮影レンズ14、ファインダ窓16、ストロボ18、マイクロフォン20等が設けられており、上面には、シャッターボタン22、電源/モードスイッチ24、モードダイヤル26等が設けられている。
【0016】
また、カメラボディ12の背面には、図2に示すように、ファインダ接眼部28、液晶モニタ30、ズームボタン32、十字ボタン34、MENU/OKボタン36、DISPボタン38、BACKボタン40、スピーカ42等が設けられており、片側の側面には、USB端子44、電源端子46、AV出力端子48が設けられている。
【0017】
また、図示しないカメラボディ12の底面には、開閉自在なカバーを介してバッテリーを収納するためのバッテリー収納室と、メモリカードを装填するためのメモリカードスロットとが設けられている。
【0018】
シャッターボタン22は、いわゆる「半押し」と「全押し」とからなる2段ストローク式のスイッチで構成されている。デジタルカメラ10は、このシャッターボタン22を半押しすると、AE(Automatic Exposure:自動露出)、AF(Auto Focus:自動合焦)、AWB(Automatic White Balance :自動ホワイトバランス)が機能し、全押しすると、画像記録の処理を実行する(静止画撮影時)。また、動画撮影時は、このシャッターボタン22を全押しすると、画像の記録を開始し、更にもう一度全押しすると、画像の記録を停止する。
【0019】
電源/モードスイッチ24は、デジタルカメラ10の電源をON/OFFする電源スイッチとしての機能と、デジタルカメラ10のモードを設定するモードスイッチとしての機能を有しており、「OFF位置」、「再生位置」、「撮影位置」の間をスライド自在に設けられている。デジタルカメラ10は、この電源/モードスイッチ24を「再生位置」又は「撮影位置」に合わせることにより、電源がONになり、「OFF位置」に合わせることにより、電源がOFFになる。そして、電源/モードスイッチ24を「再生位置」に合わせることにより、「再生モード」に設定され、「撮影位置」に合わせることにより、「撮影モード」に設定される。
【0020】
モードダイヤル26は、デジタルカメラ10の撮影モードを設定する撮影モード設定手段として機能し、このモードダイヤルの設定位置により、デジタルカメラ10の撮影モードが、「オート撮影モード」、「動画撮影モード」、「人物撮影モード」、「スポーツ撮影モード」、「風景撮影モード」、「夜景撮影モード」、「プログラム撮影モード」、「絞り優先撮影モード」、「シャッタースピード優先撮影モード」、「マニュアル撮影モード」に設定される。
【0021】
液晶モニタ30は、カラー表示が可能な液晶ディスプレイで構成されている。この液晶モニタ30は、再生モード時に撮影済み画像を表示するための画像表示パネルとして利用されるとともに、各種設定時にユーザインターフェース表示パネルとして利用される。また、撮影時には必要に応じてスルー画像が表示されて、画角確認用の電子ファインダとして利用される。
【0022】
ズームボタン32は、望遠側へのズームを指示するズームテレボタン32Tと、広角側へのズームを指示するズームワイドボタン32Wとで構成され、このズームボタン32が操作されることにより、撮影画角が変化する。
【0023】
十字ボタン34は、上下左右4方向に押圧操作することができるようにされており、各方向の指示を入力するボタンとして機能する。
【0024】
MENU/OKボタン36は、各モードの通常画面からメニュー画面への遷移を指示するボタン(MENUボタン)として機能するとともに、選択内容の確定、処理の実行等を指示するボタン(OKボタン)として機能する。
【0025】
DISPボタン38は、背面表示パネルの表示内容の切り替えを指示するボタンとして機能し、BACKボタン40は、入力操作のキャンセル等を指示するボタンとして機能する。
【0026】
図3は、デジタルカメラ10の電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、デジタルカメラ10は、CPU110、操作部(シャッターボタン22、電源/モードスイッチ24、モードダイヤル26、ズームボタン32、十字ボタン34、MENU/OKボタン36、DISPボタン38、BACKボタン40等)112、ROM116、EEPROM118、メモリ(SDRAM)120、VRAM122、タッチセンサ124、光学ユニット126、フォーカスモータドライバ128、ズームモータドライバ130、アイリスモータドライバ132、撮像素子134、タイミングジェネレータ(TG)136、アナログ処理回路138、A/D変換器140、画像入力コントローラ142、画像信号処理回路144、圧縮・伸張処理回路146、メディアコントローラ148、記憶メディア(メモリカード)150、USBインターフェース152、LCD/ビデオエンコーダ154、OSD回路156、AE/AWB検出回路158、AF検出回路160、ストロボ制御回路162、音声信号処理回路164、D/A変換器166、アンプ(AMP)168、アンプ(AMP)170、ノッチフィルタ172、自動レベルコントローラ(ALC)174、A/D変換器176等で構成されている。
【0027】
CPU110は、デジタルカメラ10の全体の動作を制御する制御部として機能するとともに、各種の演算処理を行う演算手段として機能し、操作部112からの入力に基づき所定の制御プログラムに従って各回路を制御する。
【0028】
バス114を介して接続されたROM116には、CPU110が実行する制御プログラム及び制御に必要な各種データ等が格納されており、EEPROM118には、ユーザ設定情報等のデジタルカメラ10の動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0029】
メモリ(SDRAM)120は、CPU110の演算作業用領域として利用されるとともに、画像データの一時記憶領域として利用され、VRAM122は、表示用の画像データ専用の一時記憶領域として利用される。
【0030】
タッチセンサ124は、シャッターボタン22に設けられており、シャッターボタン22への指の接触を検知して、CPU110に出力する。
【0031】
光学ユニット126は、撮影レンズ14と絞り50とで構成されている。撮影レンズ14は、図示しないフォーカスモータに駆動されて光軸に沿って前後移動するフォーカスレンズ14Fと、図示しないズームモータに駆動されて光軸に沿って前後移動するズームレンズ14Zとを備えている。CPU110は、フォーカスモータドライバ128を介してフォーカスモータの駆動を制御することにより、撮影レンズ14のフォーカスを制御し、ズームモータドライバ130を介してズームモータの駆動を制御することにより、撮影レンズ14のズームを制御する。絞り50は、図示しないアイリスモータに駆動されることにより、開口量(絞り値)が変化する。CPU110は、アイリスモータドライバ132を介してアイリスモータの駆動を制御することにより、絞り50の絞り値を制御する。
【0032】
撮像素子134は、カラーCCDで構成されており、その受光面には多数のフォトダイオード(受光素子)が配列されている。光学ユニット126を介して撮像素子134の受光面に入射した光は、各フォトダイオードによって入射光量に応じた量の信号電荷に変換される。
【0033】
タイミングジェネレータ(TG)136は、CPU110からの指令に従い、主として撮像素子134を駆動するためのタイミング信号を生成する。撮像素子134は、このタイミングジェネレータ136から加えられるタイミング信号に従って各フォトダイオードに蓄積された信号電荷を電圧信号(画像信号)として出力する。
【0034】
アナログ処理回路138は、撮像素子134から順次出力される画像信号を相関二重サンプリング処理(撮像素子の出力信号に含まれるノイズ(特に熱雑音)等を軽減することを目的として、撮像素子の1画素毎の出力信号に含まれるフィードスルー成分レベルと画素信号成分レベルとの差をとることにより正確な画素データを得る処理)するとともに、増幅する。
【0035】
A/D変換器140は、アナログ処理回路138から出力されたR、G、Bのアナログの画像信号をそれぞれ12ビットのデジタルの画像信号に変換する。
【0036】
画像入力コントローラ142は、所定容量のラインバッファを内蔵し、A/D変換器140から出力された1画像分の画像信号を蓄積して、メモリ120に格納する。
【0037】
画像信号処理回路144は、同時化回路(単板CCDのカラーフィルタ配列に伴う色信号の空間的なズレを補間して色信号を同時式に変換する処理回路)、ホワイトバランス補正回路、ガンマ補正回路、輪郭補正回路、輝度・色差信号生成回路等を含み、CPU110からの指令に従って入力されたデジタル画像信号に所要の信号処理を施して、画像データを生成する。
【0038】
圧縮・伸張処理回路146は、CPU110からの指令に従って入力された画像データに圧縮処理を施し、所定フォーマットの圧縮画像データを生成する。また、入力された圧縮画像データに伸張処理を施し、非圧縮のデジタル画像データを生成する。
【0039】
メディアコントローラ148は、CPU110からの指令に従ってメディアスロットに装填された記憶メディア(メモリカード)150に対してデータの読み出し及び書き込みを制御する。
【0040】
USBインターフェース152は、CPU110からの指令に従ってUSB端子44を介して接続された外部機器(パソコンやプリンタ等)との間でUSB規格に従った通信を行う。
【0041】
LCD/ビデオエンコーダ154は、CPU110からの指令に従って画像データが示す画像を液晶モニタ30に表示するための信号を生成して、液晶モニタ30に出力する。また、画像データが示す画像をテレビに表示するための信号(たとえば、NTSC信号やPAL信号、SCAM信号)を生成して、AV出力端子48に出力する。
【0042】
OSD(On Screen Display )回路156は、CPU110からの指令に従って液晶モニタ等の画面上に表示する文字や図形を示す信号をLCD/ビデオエンコーダ154に出力する。
【0043】
AE/AWB検出回路158は、CPU110からの指令に従って、入力された画像信号からAE制御及びAWB制御に必要な物理量を算出する。たとえば、AE制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(たとえば16×16)に分割し、分割した各エリアごとにR、G、Bの画像信号の積算値を算出する。CPU110は、このAE/AWB検出回路158から得た積算値に基づいて被写体の明るさ(被写体輝度)を検出して、撮影に適した露出値(撮影EV値)を算出し、算出した撮影EV値と所定のプログラム線図から絞り値とシャッタースピードを決定する。また、AWB制御に必要な物理量として、1画面を複数のエリア(例えば、16×16)に分割し、分割した各エリアごとにR、G、Bの画像信号の色別の平均積算値を算出する。CPU110は、得られたRの積算値、Bの積算値、Gの積算値から各分割エリアごとにR/G及びB/Gの比を求め、求めたR/G、B/Gの値のR/G、B/Gの色空間における分布等に基づいて光源種判別を行う。そして、判別された光源種に適したホワイトバランス調整値に従って、たとえば各比の値がおよそ1(つまり、1画面においてRGBの積算比率がR:G:B≒1:1:1)になるように、ホワイトバランス調整回路のR、G、B信号に対するゲイン値(ホワイトバランス補正値)を決定する。
【0044】
AF検出回路160は、CPU110からの指令に従って、入力された画像信号からAF制御に必要な物理量を算出する。本実施の形態のデジタルカメラ10では、画像のコントラストによりAF制御を行うものとし、AF検出回路160は、入力された画像信号から画像の鮮鋭度を示す焦点評価値を算出する。CPU110は、このAF検出回路160で算出される焦点評価値が極大となるように、フォーカスモータドライバ128の駆動を制御し、フォーカスレンズ14Fの移動を制御する。
【0045】
ストロボ制御回路162は、CPU110からの指令に従ってストロボの発光を制御する。
【0046】
音声信号処理回路164は、CPU110からの指令に従ってスピーカ42から出力する音声信号を処理するとともに、マイクロフォン20から取り込まれた音声信号を処理する。
【0047】
音声信号処理回路164で所要の信号処理が施されたスピーカ出力用の音声信号は、音声信号処理回路164からD/A変換器166に加えられ、アナログの音声信号に変換されたのち、アンプ168で増幅されて、スピーカ42に出力される。
【0048】
音声を記録する場合は、外部音声がマイクロフォン20で電気信号(音声信号)に変換され、そのマイクロフォン20から出力された音声信号が、アンプ170で増幅されたのち、ノッチフィルタ172を介して自動レベルコントローラ(ALC)174に加えられる。そして、その自動レベルコントローラ174でレベル調整が行われたのち、A/D変換器176でデジタルの音声信号に変換され、音声信号処理回路164に入力されて、所要の信号処理が施される。
【0049】
ここで、ノッチフィルタ172は、入力信号から狭帯域信号(ある特定の周波数成分を含んだ信号)を除去して出力するもので、図4に示すように、狭帯域信号の周波数のゲインを0にし、それ以外の周波数に対してはゲインを1にするフィルタが用いられる。ここでは、音声信号からシャッターボタン22の操作音の信号成分(シャッターボタン22を押圧操作した際にシャッターボタン22から発生する音(クリック音や接触音)の周波数成分)を除去するように作用する。
【0050】
このノッチフィルタ172は、CPU110からの指令に従って作動し、CPU110は、タッチセンサ124でシャッタボタン22への指の接触を検知すると、ノッチフィルタ172を作動させる。
【0051】
前記のごとく構成された本実施の形態のデジタルカメラ10の作用は、次のとおりである。
【0052】
まず、静止画撮影時における処理動作について説明する。上記のように、デジタルカメラ10は、シャッターボタン22の半押しでAE、AF、AWBが機能し、全押しで画像記録が行われる。
【0053】
シャッターボタン22が半押しされると、CPU110にS1ON信号が入力され、このS1ON信号に応動して、CPU110はAE、AF、AWBの処理を実行する。
【0054】
まず、S1ON信号に応動して撮像素子134から出力された画像信号が、アナログ処理回路138、A/D変換器140を介して画像入力コントローラ142に取り込まれ、メモリ120に格納される。メモリ120に格納された画像信号は、AE/AWB検出回路158並びにAF検出回路160に加えられる。
【0055】
AE/AWB検出回路158は、入力された画像信号からAE制御及びAWB制御に必要な物理量を算出し、CPU110に出力する。CPU110は、このAE/AWB検出回路158からの出力に基づき、絞り値とシャッタースピードを決定するとともに、ホワイトバランス補正値を決定する。
【0056】
また、AF検出回路160は、入力された画像信号からAF制御に必要な物理量を算出し、CPU110に出力する。CPU110は、このAF検出回路160からの出力に基づきフォーカスモータドライバ128の駆動を制御し、フォーカスレンズ14Fの移動を制御して、撮影レンズ14のピントを主要被写体に合わせる。
【0057】
この後、シャッターボタン22が全押しされると、CPU110にS2ON信号が入力され、このS2ON信号に応動して、CPU110は画像の記録処理を実行する。
【0058】
まず、上記のAE処理で求めた絞り値、シャッタースピードで撮像素子134を露光し、記録用の画像信号の取り込みを行う。
【0059】
撮像素子134から出力された画像信号は、アナログ処理回路138、A/D変換器140を介して画像入力コントローラ142に取り込まれ、メモリ120に格納される。メモリ120に格納された画像信号は、CPU110の制御の下、画像信号処理回路144に加えられ、輝度データと色差データとからなる画像データ(YCデータ)に変換される。生成された画像データは、一旦、メモリ120に格納され、圧縮・伸張処理回路146に加えられる。圧縮・伸張処理回路146は、画像データを所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG)に従って圧縮し、圧縮された画像データは、再度、メモリ120に格納される。
【0060】
CPU110は、メモリ120に格納された圧縮画像データを所定フォーマットの静止画像ファイルとして、メディアコントローラ148を介して記憶メディア(メモリカード)150に記録される。
【0061】
次に、動画撮影時における処理動作について説明する。まず、モードダイヤル26によって、カメラの撮影モードを「動画撮影モード」に設定する。
【0062】
上記のように、動画撮影は、シャッターボタン22を全押しすると、画像の記録が開始され、更にもう一度全押しすると、記録が停止される。
【0063】
シャッターボタン22が全押しされると、CPU110にS2ON信号が入力され、このS2ON信号に応動して、CPU110は画像の記録処理を開始する。すなわち、AE制御、AF制御、AWB調整を連続的に行いながら、撮像素子134で連続的に画像を撮像する。撮像素子134から連続的に出力された画像信号は、アナログ処理回路138、A/D変換器140、画像入力コントローラ142を介して順次メモリ120に格納され、メモリ120から画像信号処理回路144に加えられて、画像データ(YCデータ)に変換される。画像信号処理回路144で生成された画像データは、メモリ120を介して順次圧縮・伸張処理回路146に加えられ、所定の圧縮フォーマット(たとえばJPEG)に従って圧縮されたのち、順次メモリ120に格納される。
【0064】
このように、撮像素子134から連続的に出力された画像信号を順次処理して画像データを生成し、順次メモリ120に格納する一方、マイクロフォン20で音声を収集し、そのマイクロフォン20から出力される音声信号を処理して音声データを生成し、順次メモリ120に格納する。
【0065】
マイクロフォン20から出力された音声信号は、CPU110の制御の下、アンプ170、ノッチフィルタ172、自動レベルコントローラ(ALC)174、A/D変換器176を介して音声信号処理回路164に加えられ、所要の信号処理が施されたのち、メモリ120に格納される。
【0066】
この際、CPU110は、タッチセンサ124でシャッタボタン22への指の接触を検知すると、ノッチフィルタ172を作動させ、アンプ170から出力された音声信号からシャッターボタン22の操作音の信号成分を除去して出力する。これにより、シャッターボタン22を操作した場合であっても、その操作音が音声に混入されるのを防止することができ、必要な音声のみが記録される。
【0067】
上記のように、シャッターボタン22が全押しされると、CPU110は、画像データと音声データの記録を連続的に行い、再度シャッターボタン22が全押しされたことを検出すると、画像データと音声データの記録を停止する。そして、メモリ120に格納された画像データと音声データを所定フォーマットの動画像ファイルとして、メディアコントローラ148を介して記憶メディア(メモリカード)150に記録する。
【0068】
記憶メディア150に記録された静止画像ファイル及び動画像ファイルは、カメラのモードを再生モードに設定することにより、液晶モニタ30で再生することができる。
【0069】
電源/モードスイッチ24を再生位置に合わせて、カメラのモードを再生モードに設定すると、CPU110は、メディアコントローラ148にコマンドを出力し、記憶メディア150に最後に記録された画像ファイルを読み出させる。
【0070】
最後に記録された画像ファイルが、静止画の画像ファイルの場合、読み出された画像ファイルの圧縮画像データは、圧縮・伸張処理回路146に加えられ、伸張処理が施されて非圧縮の画像データにされたのち、ビデオエンコーダ154を介してモニタ30に出力される。これにより、記憶メディア150に記録されている画像がモニタ30に再生表示される。
【0071】
画像のコマ送りは、十字ボタン34の左右のキー操作で行なわれ、右キーが操作されると、次の画像ファイルが記憶メディア150から読み出され、液晶モニタ30に再生表示される。また、十字ボタン34の左キーが操作されると、一つ前の画像ファイルが記憶メディア150から読み出され、液晶モニタ30に再生表示される。
【0072】
動画の画像ファイルの場合は、先頭フレームの画像がモニタ30に出力され、この状態でMENU/OKボタン36が押されると、再生が開始される。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態のデジタルカメラ10によれば、音声付き動画を記録する際、シャッタボタン22に指が触れると、ノッチフィルタ172が作動され、マイクロフォン20から取り込まれた音声信号からシャッターボタン22の操作音の信号成分を除去される。これにより、耳障りな音の混入を防止でき、必要な音声のみを記録することができる。
【0074】
なお、本実施の形態では、記録音声からシャッターボタン22の操作音を除去することとしているが、これは音声付き動画の記録時に操作されるボタンがシャッターボタン22であるためであり、他のボタンが操作される場合には、そのボタンの操作音を除去するように構成する。
【0075】
また、音声付き動画の記録時に複数のボタンが操作される場合には、各ボタンごとに個別に操作音を取り除くように構成することが好ましい。たとえば、音声付き動画の撮影時にズームボタンにてズーム操作が可能な場合には、ズームボタンの操作音も取り除くように構成する。
【0076】
図5は、このように複数のボタンの操作音を取り除く場合の音声信号処理部の構成を示すブロック図である。なお、同図はシャッターボタン22とズームボタン32(ズームテレボタン32Tとズームワイドボタン32T)の操作音を取り除く場合を示している。
【0077】
同図に示すように、シャッターボタン22、ズームテレボタン32T、ズームワイドボタン32Tの各ボタンには、それぞれ個別にタッチセンサ124A、124B、124Cが設けられており、各ボタンへの指の接触が個別に検知できるようにされている。
【0078】
また、アンプ170と自動レベルコントローラ174との間には、シャッターボタン22の操作音の信号成分を除去するノッチフィルタ172Aと、ズームテレボタン32Tの操作音の信号成分を除去するノッチフィルタ172Bと、ズームワイドボタン32Wの操作音の信号成分を除去するノッチフィルタ172Cとの3つのノッチフィルタが設けられており、CPU110からの指令に従って個別に作動するようにされている。
【0079】
CPU110は、たとえばタッチセンサ124Aでシャッタボタン22への指の接触を検知すると、シャッターボタン22の操作音の信号成分を除去するノッチフィルタ172Aを作動させ、音声信号からシャッターボタン22の操作音の信号成分を除去する。同様にタッチセンサ124Bでズームテレボタン32Tへの指の接触を検知すると、ズームテレボタン32Tの操作音の信号成分を除去するノッチフィルタ172Bを作動させて、音声信号からズームテレボタン32の操作音の信号成分を除去し、タッチセンサ124Cでズームテレボタン32Wへの指の接触を検知すると、ズームテレボタン32Wの操作音の信号成分を除去するノッチフィルタ172Cを作動させて、音声信号からズームワイドボタン32Wの操作音の信号成分を除去する。
【0080】
このように、音声信号から個別にボタンの操作音の信号成分を取り除くことにより、耳障りな操作音を混入させることなく、必要な音声のみを記録できる。
【0081】
図6は、複数のボタンの操作音を取り除く場合の音声信号処理部の他の構成を示すブロック図である。なお、上記同様にシャッターボタン22とズームボタン32(ズームテレボタン32Tとズームワイドボタン32T)の操作音を取り除く場合を示している。
【0082】
同図に示すように、シャッターボタン22、ズームテレボタン32T、ズームワイドボタン32Tの各ボタンには、それぞれ個別にタッチセンサ124A、124B、124Cが設けられており、各ボタンへの指の接触が個別に検知できるようにされている。
【0083】
一方、アンプ170と自動レベルコントローラ174との間に設けられたノッチフィルタ172Vは、入力信号から除去する周波数成分を可変できるように構成されており(図7参照)、CPU110の制御の下、シャッターボタン22の操作音の信号成分と、ズームテレボタン32Tの操作音の信号成分と、ズームワイドボタン32Wの操作音の信号成分とを選択的に除去する。
【0084】
CPU110は、たとえばタッチセンサ124Aでシャッタボタン22への指の接触を検知すると、シャッターボタン22の操作音の信号成分を除去するようにノッチフィルタ172Vを作動させる(シャッターボタン22を押圧操作した際にシャッターボタン22から発生する音の周波数成分を除去するように作動させる。)。また、タッチセンサ124Bでズームテレボタン32Tへの指の接触を検知すると、ズームテレボタン32Tの操作音の信号成分を除去するようにノッチフィルタ172Vを作動させ(ズームテレボタン32Tを押圧操作した際にズームテレボタン32Tから発生する音の周波数成分を除去するように作動させる。)、タッチセンサ124Cでズームワイドボタン32Wへの指の接触を検知すると、ズームワイドボタン32Wの操作音の信号成分を除去するようにノッチフィルタ172Vを作動させる(ズームワイドボタン32Wを押圧操作した際にズームワイドボタン32Wから発生する音の周波数成分を除去するように作動させる。)。
【0085】
このように、入力信号から除去する周波数成分を可変できるノッチフィルタ172Vを用いることによっても、音声信号から個別にボタンの操作音の信号成分を取り除くことができる。これにより、耳障りな操作音を混入させることなく、必要な音声のみを記録できる。
【0086】
なお、上記実施の形態では、撮影操作に関与するボタンから発生する操作音についてのみ音声信号から除去するようにしているが、撮影に関与しないボタンについても上記同様の構成で操作音を除去するようにしてもよい。これにより、動画撮影中に撮影に関与しないボタンに偶然手が接触したような場合であっても、これらのボタンから発生する操作音(接触音)を混入させることなく、音声を記録することができるようになる。
【0087】
また、上記実施の形態では、本発明をデジタルカメラに適用した場合について説明したが、本発明の適用は、これに限定されるものではなく、ボタン操作を伴って音声の記録動作を行う装置全般に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】デジタルカメラの正面斜視図
【図2】デジタルカメラの背面斜視図
【図3】デジタルカメラの電気的構成を示すブロック図
【図4】ノッチフィルタの特性を示すグラフ
【図5】複数のボタンの操作音を取り除く場合の音声信号処理部の構成を示すブロック図
【図6】複数のボタンの操作音を取り除く場合の音声信号処理部の構成を示すブロック図
【図7】特定の信号成分を選択的に除去するノッチフィルタの特性を示すグラフ
【符号の説明】
【0089】
10…デジタルカメラ、12…カメラボディ、14…撮影レンズ、16…ファインダ窓、18…ストロボ、20…マイク、22…シャッターボタン、24…電源/モードスイッチ、26…モードダイヤル、28…ファインダ接眼部、30…液晶モニタ、32…ズームボタン、34…十字ボタン、36…MENU/OKボタン、38…DISPボタン、40…BACKボタン、42…スピーカ、44…USB端子、46…電源端子、48…AV出力端子、50…絞り、110…CPU、112…操作部、114…バス、116…ROM、118…EEPROM、120…メモリ(SDRAM)、122…VRAM、124…タッチセンサ、124A…タッチセンサ(シャッターボタン用)、124B…タッチセンサ(ズームテレボタン用)、124C…タッチセンサ(ズームワイドボタン用)、126…光学ユニット、128…フォーカスモータドライバ、130…ズームモータドライバ、132…アイリスモータドライバ、134…撮像素子、136…タイミングジェネレータ(TG)、138…アナログ処理回路、140…A/D変換器、142…画像入力コントローラ、144…画像信号処理回路、146…圧縮・伸張処理回路、148…メディアコントローラ、150…記憶メディア(メモリカード)、152…USBインターフェース、154…LCD/ビデオエンコーダ、156…OSD回路、158…AE/AWB検出回路、160…AF検出回路、162…ストロボ制御回路、164…音声信号処理回路、166…D/A変換器、168…アンプ(AMP)、170…アンプ(AMP)、172…ノッチフィルタ、172A…ノッチフィルタ(シャッタボタン用)、172B…ノッチフィルタ(ズームテレボタン用)、172…ノッチフィルタ(ズームワイドボタン用)、172V…ノッチフィルタ(可変用)、174…自動レベルコントローラ(ALC)、176…A/D変換器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部音声をマイクロフォンで電気信号に変換し、記憶媒体に記録する音声記録装置において、
音声記録時に操作されるボタンへの指の接触を検知する接触検知手段と、
前記電気信号から前記ボタンの操作時に発生する音の信号成分を除去するフィルタ手段と、
前記接触検知手段で前記ボタンへの指の接触が検知されると、前記フィルタ手段を作動させる制御手段と、
を備えたことを特徴とする音声記録装置。
【請求項2】
前記ボタンが複数備えられている場合において、各ボタンごとに前記接触検知手段が個別に設けられるとともに、各ボタンごとに対応する前記フィルタ手段が個別に設けられ、前記制御手段は、前記接触検知手段で接触が検知されると、接触が検知されたボタンに対応する前記フィルタ手段を個別に作動させることを特徴とする請求項1に記載の音声記録装置。
【請求項3】
前記ボタンが複数備えられている場合において、各ボタンごとに前記接触検知手段が個別に設けられるとともに、前記フィルタ手段が、各ボタンごとに発生する音の信号成分を前記電気信号から選択的に除去可能に形成され、前記制御手段は、前記接触検知手段で接触が検知されると、前記フィルタ手段を作動させて、接触が検知されたボタンに対応する音の信号成分を前記電気信号から選択的に除去させることを特徴とする請求項1に記載の音声記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−39105(P2006−39105A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217228(P2004−217228)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】