説明

音声証書データ生成方法及びシステム

【課題】商取引における正当性、証拠性及び利便性を向上させる。
【解決手段】本音声証書データ生成方法は、顧客との通話において、顧客特定に係る通話区間、顧客認証に係る通話区間、契約内容に係る通話区間及び顧客の意思確認に係る通話区間を特定するためのタグデータと顧客との通話の録音データとを、通話データ格納部に格納する録音工程と、通話データ格納部に格納されたタグデータ及び録音データに対して電子署名を付与して電子署名付きタグデータ及び録音データを生成する工程と、電子署名付きタグデータ及び録音データに対して時刻認証に係るデータを生成させる工程と、電子署名付きタグデータ及び録音データと時刻認証に係るデータとを音声証書データとして音声証書データ格納部に登録する工程とを含む。録音工程に示したようなタグデータを保存することによって後に商取引の証拠となる部分を再生することが容易になり利便性が高まる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声データを取引データとして用いるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正式な商取引においては書面による契約(申し込みなどを含む)が必要とされる場合が多い。しかし、書面による契約を行う場合には、その授受及び保管などに時間とコストがかかってしまうという問題がある。一方、電話で取引を行っている場合においても、社会通念上許容できる内容、金額などについて、企業側がリスクをとって契約成立として業務を行っていた。すなわち、電話による取引は、口頭での約束であって、その正当性については非常に弱いものであった。
【0003】
なお、例えば特開2004−194306号公報には、音声デジタル録音装置がデジタル変換前の通話音声記録および/またはファクシミリデータに時刻信号を埋め込み通話音声記録とする時刻信号埋め込み手段を有し、時刻信号埋め込み通話音声記録をデジタル変換して記録し、通話音声記録の交換記録データをデジタル音声記録と関連づけ記録する交換記録データ保有手段と、オペレータの端末の操作記録データをデジタル音声記録と関連づけて記録する端末操作記録手段と、デジタル音声記録を取得しデジタル音声記録に関連する交換記録データと操作記録データを取得し全てのデータの一方向関数値をタイムススタンプサーバへ送りデジタル証明書を取得し保管するタイムスタンプ取得手段とを設ける技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−194306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上で述べた従来技術では、音声データなどにタイムスタンプを付すような技術は開示されているが、実際の業務に必要なデータが付されていないため、その利用にコストがかかってしまう。特に、音声データには通常一覧性はなくその内容を確認するには多くの時間がかかってしまうが、その点については何ら考慮されていない。
【0005】
従って、本発明の目的は、商取引における正当性、証拠性及び利便性を向上させる音声データの生成技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る音声証書データ生成方法は、契約に係る顧客に対して顧客認証処理を実施するステップと、顧客との通話において、顧客特定(例えば顧客名、IDなど)に係る通話区間、顧客認証(音声認証のみならずパスワードや知識を確認するような他の認証であってもよい)に係る通話区間、契約内容に係る通話区間及び顧客の意思確認(契約内容に対する同意)に係る通話区間を特定するためのタグデータと顧客との通話の録音データとを、通話データ格納部に格納する録音ステップと、通話データ格納部に格納されたタグデータ及び録音データに対して電子署名を付与して電子署名付きタグデータ及び録音データを生成する電子署名ステップと、電子署名付きタグデータ及び録音データに対して時刻認証に係るデータを生成させる時刻認証ステップと、電子署名付きタグデータ及び録音データと時刻認証に係るデータとを音声証書データとして音声証書データ格納部に登録する登録ステップとを含む。
【0007】
録音ステップに示したようなタグデータを保存することによって後に商取引の証拠となる部分を再生することが容易になり利便性が高まる。また、電子署名ステップによって、録音データなどに対する作成元保証が与えられるようになる。さらに、時刻証明ステップによって、契約成立などの時刻が証明されるようになる。そして、以上のような処理が行われることによって音声証書データが生成され、当該音声証書データによって音声データであっても商取引における正当性及び証拠性を向上させることができるようになる。
【0008】
また、上記電子署名ステップが、タグデータ及び録音データを暗号化するステップを含むようにしても良い。この場合、タグデータ及び録音データについての改ざんなどがより強固に防止される。また情報の漏洩にも対処可能となる。
【0009】
さらに、本発明の音声証書データ構造は、電子署名付き通話録音データファイルと、電子署名付き通話録音データファイルのハッシュ値に対するタイムスタンプファイルと、顧客との通話における、顧客特定に係る通話区間、顧客認証に係る通話区間、契約内容に係る通話区間及び顧客の意思確認に係る通話区間を特定するためのタグデータの電子署名付きデータファイルと、タグデータの電子署名付きデータファイルのハッシュ値に対するタイムスタンプファイルとを含む。
【0010】
なお、本発明に係る音声証書データ生成方法を実行させるためのプログラムを作成することができ、この場合、当該プログラムは、例えばフレキシブル・ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、半導体メモリ、ハードディスク等の記憶媒体又は記憶装置に格納される。また、当該プログラムはネットワークを介してデジタル信号として配信されることもある。なお、処理途中のデータについては、コンピュータのメモリに一時保管される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、商取引における正当性、証拠性及び利便性を向上させる音声データを生成することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1に本発明の一実施の形態に係る技術の概要を示す。図1に示すように、本実施の形態において最終的に生成される音声証書は、顧客と事業者(例えば企業)との契約内容(申込内容)と、顧客本人による契約であることの確認(本人確認)及び顧客本人による契約意思の確認と、例えば外部の時刻認証業務を行うタイムスタンプ局による完全性証明及び存在証明と、通話録音データの改ざん防止及び作成元保証といった要素を含む。契約内容並びに本人確認及び契約意思の確認については、顧客と事業者との通話録音データに音声データとして含まれると共に、以下で説明するように通話録音データの中でどの部分が該当するかについてのタグデータテーブルによって特定される。また、完全性証明及び存在証明は、通話録音データ等に対するタイムスタンプのデータによる。さらに、改ざん防止及び作成元保証については、通話録音データ等に対する、事業者側の電子署名及び暗号化によってなされる。
【0013】
このような要素を含む音声証書は、電話でのやりとりのみで、書面による契約と同等以上の正当性及び証拠力を保持させることができるようになるので、書面による契約に比して契約成立までの時間を短縮化させることができ、さらに保存などの点においても利便性が高まっている。
【0014】
次に、図2乃至図9を用いて図1に示した音声証書を生成するためのシステムについて説明する。公衆回線網1には、複数の顧客電話機3が接続されており、さらに本実施の形態に係る事業者側システムも接続されている。事業者側システムは、図示しないPBX(Private Branch Exchange)等を介して公衆回線網1に又は直接公衆回線網1に接続される事業者側電話機5と、同じく間接的に又は直接的に公衆回線網1に接続され且つ顧客からの電話の応対を行う受付者により操作される受付者端末7と、受付者の管理者により操作される管理者端末9と、所定の認証処理を実施する認証サーバ11と、通話録音データの管理を行う通話録音データ管理サーバ13と、外部の時刻認証サーバ21とのやりとりを行うためのタイムスタンプサーバ15と、最終的に生成された音声証書データを管理する音声証書管理サーバ17とを有する。なお、受付者端末7、管理者端末9、認証サーバ11、通話録音データ管理サーバ13、タイムスタンプサーバ15及び音声証書管理サーバ17は、事業者側のLAN(Local Area Network)23に接続されている。
【0015】
また、タイムスタンプサーバ15は、例えばインターネットなどのネットワーク19を介して外部のタイムスタンプ局が設けた時刻認証サーバ21に接続されている。
【0016】
さらに、受付者端末7は、受付者等と顧客との通話を録音する通話録音部71と、例えば受付者の指示によって所定の通話に対してタグ付けを行う通話タグ付け部73とを有する。また、管理者端末9は、通話録音データの再生を行う通話再生部91と、電子署名などの処理を実施する電子署名処理部93とを含む。
【0017】
また、認証サーバ11は、認証に必要なデータを格納するユーザDB111を管理している。さらに、通話録音データ管理サーバ13は、受付者端末7により生成された通話録音データを格納する通話録音DB131を管理している。タイムスタンプサーバ15は、図示していないが、所定の一方向関数によってハッシュ値を生成する機能、時刻認証サーバ21と例えばSSL(Secure Socket Layer)で通信を行う機能などを有する。音声証書管理サーバ17は、音声証書データを格納する音声証書DB171を管理している。
【0018】
なお、時刻認証サーバ21は、周知の時刻認証のための処理を実施するサーバである。
【0019】
また、図2の構成に限定されず、例えば公衆回線網1にCTI(Computer Telephony Integration)システムを接続して受付者端末7の機能を保持させると共に、認証サーバ11と直接連携させるようにしてもよい。その他、以下で述べる処理を実現するように、システム構成を変更することが可能である。
【0020】
次に、図3乃至図9を用いて図2に示したシステムの処理フローを説明する。まず、顧客電話機3から公衆回線網1を介して事業者側電話機5で着信すると、受付者端末7の通話録音部71は、通話録音を開始する(ステップS1)。受付者が受付者端末7の通話録音部71に指示を行って録音を開始するようにしても良い。そして、通話録音部71で録音を行いつつ、事業者側の受付者、認証サーバ11等は、顧客との通話を実施する(ステップS3)。この処理については図4を用いて説明する。
【0021】
まず、申し込みを行う顧客を特定するための処理を実施し、それに対応して通話タグ付け部73により区間Aタグ付け処理を実施する(ステップS21)。例えば、受付者等(受付者端末7の代わりに設けられたCTIシステムに含まれる自動音声応答機構の場合もある。又、CTIシステムと受付者の組み合わせの場合もある。以下同じ。)は、顧客の氏名やユーザIDなどの発話を顧客に促したり、顧客電話機3のプッシュボタン等によるユーザIDを示すDTMF(Dial Tone Multi Frequency)信号の送出を顧客に促し、受付者等は顧客電話機3から顧客の氏名やユーザIDなどの音声データやDTMF信号などを受信する。また、受付者等は、通話タグ付け部73に対して顧客を特定するための処理の開始及び終了を指示し、通話タグ付け部73は、顧客を特定するための処理の開始時間(録音開始からの経過時間。以下同じ。)と終了時間(録音開始からの経過時間。以下同じ。)とを区間Aタグとしてタグデータテーブルに登録する。
【0022】
図5に区間の概念図を示す。通話録音データ500は、顧客及び受付者等の発話などを含むが、通話録音データ500の後の利用における利便性向上のため、所定の事項についての音声データ等が含まれる時間を特定しておく。具体的には、顧客(申込者)特定のための時間を区間Aとして特定し、顧客認証(本人確認)のための時間を区間Bとして特定し、契約内容(申込内容)について告知している時間を区間Cとして特定し、顧客本人の意思確認のための時間を区間Dとして特定する。区間A乃至Dのためのデータはタグデータとして、図6に示すようなタグデータテーブルに登録される。図6には、1つの通話につき、区間A乃至Dのそれぞれの開始時間及び終了時間が登録されるテーブルが示されている。同じ業務を実施している場合には通常区間A乃至Dの定義及び出現順序は常に同じであり、区間特定の順番にデータを保存すればよい。タグデータテーブルはファイルとして保存される。なお、業務が異なれば区間A乃至Dの定義及び出現順序は図6に示されたものではなくなる場合もある。また、処理を行う都度に、タグの定義を決定して区別できるように登録する場合もある。受付者によってタグ付けの指示が行われる場合には、このように可変的なタグデータテーブルを用いるようにしても良い。
【0023】
次に、顧客認証処理を実施し、それに対応して通話タグ付け部73により区間Bタグ付け処理を実施する(ステップS23)。例えば、受付者等は、認証サーバ11に顧客認証処理を実行させる。顧客認証処理は、例えばパスワード認証であってもよいし、音声認証であってもよいし、母親の旧姓などを問う知識認証であってもよいし、それらを組み合わせるようにしても良い。ユーザDB111には、実施する認証に応じて、ID及びパスワードの対、ID及び音声モデルデータ、ID及び知識データなどが登録されている。例えば認証サーバ11により、認証に必要なデータの発話を顧客に促し、顧客電話機3のプッシュボタン等による認証に必要なデータを示すDTMF信号の送出を顧客に促し、顧客電話機3から認証に必要なデータの音声データやDTMF信号などを受信する。その後周知の認証処理を実施し、受付者等に認証処理結果を通知する。さらに、受付者等又は認証サーバ11は、認証結果を音声データとして顧客電話機3に送出する。顧客電話機3は、認証結果の音声出力を行う。さらに、受付者等又は認証サーバ11は、通話タグ付け部73に対して、認証処理の開始及び終了を指示し、通話タグ付け部73は、顧客認証処理の開始時間と終了時間とを区間Bタグとしてタグデータテーブルに登録する。
【0024】
その後、契約内容の出力処理を実施し、それに対応して通話タグ付け部73により区間Cタグ付け処理を実施する(ステップS25)。例えば、受付者等は、顧客からの申し出に応じて、契約内容を特定し、確定すべき契約内容の音声データを顧客の確認のための顧客電話機3に出力する。携帯電話機3は、契約内容の音声データを出力する。また、受付者等は、通話タグ付け部73に対して契約内容を告知するするための処理の開始及び終了を指示し、通話タグ付け部73は、契約内容を告知するための処理の開始時間と終了時間とを区間Cタグとしてタグデータテーブルに登録する。
【0025】
さらに、契約意思確認処理を実施し、それに対応して通話タグ付け部73により区間Dタグ付け処理を実施する(ステップS27)。例えば、受付者等は、ステップS25において出力された契約内容に対して音声にて肯定又は否定の応答を行うように顧客に促し、又は顧客電話機3のプッシュボタン等により肯定又は否定の応答を示すDTMF信号の送出を顧客に促し、受付者等は顧客電話機3から肯定又は否定の応答に係る音声データやDTMF信号などを受信する。また、受付者等は、通話タグ付け部73に対して契約意思確認の開始及び終了を指示し、通話タグ付け部73は、契約意思確認処理の開始時間と終了時間とを区間Dタグとしてタグデータテーブルに登録する。
【0026】
そして、受付者等又は顧客が通話を終了させることに応答して、通話録音部71は、録音を終了させる(ステップS29)。さらに、通話録音部71は、通話録音データを通話録音データファイルとして通話録音データ管理サーバ13により通話録音DB131に登録させると共に、通話タグ付け部73は、タグデータテーブルをタグテーブルファイルとして通話録音データ管理サーバ13により通話録音DB131に登録させる(ステップS31)。そして元の処理に戻る。
【0027】
このように初期的には通話録音データファイルとタグテーブルファイルとが生成され、以下の処理に用いられる。
【0028】
なお、上では順調に認証処理及び契約意思の確認がなされた場合を示しているが、所定回数顧客認証に失敗した場合には、以降の処理を行わず処理を終了させ、契約内容の意思確認が所定時間内に得られなかったり意思確認の回数が所定回数以上となった場合にも、以降の処理を行わず処理を終了させる。
【0029】
図3の説明に戻って、管理者が、管理者端末9を操作して、取引内容承認処理を実施する(ステップS5)。例えば、管理者端末9の通話再生部91は、新たに通話録音DB131に登録された通話録音データファイル及びタグテーブルファイルを通話録音データ管理サーバ13から取得し、それらのファイルを用いて通話録音データを再生する。なお、管理者が確認すべき事項は、顧客特定、顧客認証、契約内容の通知及び契約意思確認であり、それらが適切に行われたかを確認する。
【0030】
管理者が取引内容等に問題が無く契約を確定させてよいと判断した場合には、管理者端末9に承認指示を入力し、当該承認指示に応答して電子署名処理部93は、電子署名処理及び暗号化処理を実施し、処理結果を音声証書管理サーバ17に出力し、例えば音声証書DB171に登録させる(ステップS7)。保存先は通話録音DB131であってもよい。図7に示すように、通話録音DB131から取得した通話録音データファイルに対して、電子署名処理部93が、周知の電子署名付与処理を実施した後、さらに例えば公開鍵による周知の暗号化を行い、暗号化通話録音データファイルを生成する。同じように、通話録音DB131から取得したタグテーブルファイルに対して、電子署名処理部93が、周知の電子署名付与処理を実施した後、さらに例えば公開鍵による周知の暗号化を行い、暗号化タグテーブルファイルを生成する。このようにして生成された暗号化通話録音データファイル及び暗号化タグテーブルファイルを、音声証書管理サーバ17によって音声証書DB171に登録させる。
【0031】
そして、タイムスタンプサーバ15は、音声証書DB171に新たに暗号化通話録音データファイル及び暗号化タグテーブルファイルが登録されると、これらのファイルのそれぞれについてタイムスタンプ取得処理を実施する(ステップS9)。具体的には、図8に示すように、タイムスタンプサーバ15は、暗号化通話録音データファイルからそのハッシュ値を算出する。同様に、暗号化タグテーブルファイルからそのハッシュ値を算出する。そして、それらをネットワーク19を介して時刻認証サーバ21に送信する。時刻認証サーバ21は、2つのハッシュ値を受信すると、それらに対してそれぞれ時刻認証データを付して、通話録音データファイルについてのタイムスタンプファイルと、タグテーブルファイルについてのタイムスタンプファイルとを生成し、タイムスタンプサーバ15に返信する。タイムスタンプサーバ15は、ネットワーク19を介して2つのタイムスタンプファイルを受信し、音声証書管理サーバ17に出力する。
【0032】
音声証書管理サーバ17は、タイムスタンプサーバ15から2つのタイムスタンプファイルを受け取り、図9に示すように、元となる暗号化通話録音データファイル及び暗号化タグテーブルファイルに対応付けて音声証書DB171に登録することによって、音声証書データ登録を行う(ステップS11)。図9に示すように、暗号化通話録音データファイルは暗号化タグテーブルファイルに関連しており、さらに通話録音データファイルについてのタイムスタンプファイルに関連している。また、暗号化タグテーブルファイルは、タグテーブルファイルについてのタイムスタンプファイルに関連する。本実施の形態では、このような4つのファイルによって音声証書データが構成される。
【0033】
以上のような処理を実施することによって、音声証書データが生成される。音声証書データに含まれる暗号化通話録音データファイルについては、正しい秘密鍵によって復号化することによって、通話録音データファイルを得ることができる。また、通話録音データファイルについての電子署名についても、例えば正しい公開鍵による復号化によってその真正性を確認することもできる。同様に、音声証書データに含まれる暗号化タグテーブルファイルについては、正しい秘密鍵によって復号化することによって、タグテーブルファイルを得ることができる。また、タグテーブルファイルについての電子署名についても、正しい公開鍵による復号化によってその真正性を確認することもできる。
【0034】
なお、暗号化通話録音データファイルに対して再度ハッシュ値を算出すれば、通話録音データファイルについてのタイムスタンプファイルに含まれるハッシュ値と照合してその真正性が確認できる。タイムスタンプファイルに含まれる時刻認証データについてもタイムスタンプ局で真正性を確認することができる。同様に、暗号化タグテーブルファイルに対して再度ハッシュ値を算出すれば、タグテーブルファイルについてのタイムスタンプファイルに含まれるハッシュ値と照合してその真正性が確認できる。同じように、タイムスタンプファイルに含まれる時刻認証データについてもタイムスタンプ局で真正性を確認することができる。
【0035】
また、e−文書法に準拠することにより、事業者は、音声証書データを電子的な書類として扱い、保管することが可能となり、書類の保管費用を低減させることができるようになる。
【0036】
通話録音データファイル及びタグテーブルファイルを用いれば、顧客特定、顧客認証、契約内容及び契約意思確認を簡単に再確認することも可能である。
【0037】
以上本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、管理者端末9で承認処理を行わないような構成であっても良い。その場合であっても、電子署名処理部93については例えば通話録音データ管理サーバ13等に設けて、電子署名付与処理などを実施する。また、図2のようなサーバ構成は一例であって、更に多くのサーバに機能分割しても良いし、より少ないサーバに機能統合を行っても良い。
【0038】
さらに、受付者端末7を用いずに全てCTIシステムで自動音声応答を行うようにしても良い。通話タグ付け部73についての処理は、通話が完全に終了してから、受付者により又は図示しない音声認識機能などを用いて実施するようにしても良い。
【0039】
なお、受付者端末7、管理者端末9、認証サーバ11、通話録音データ管理サーバ13、タイムスタンプサーバ15、時刻認証サーバ21、音声証書管理サーバ17は、図10のようなコンピュータ装置であって、メモリ2501(記憶装置)とCPU2503(処理装置)とハードディスク・ドライブ(HDD)2505と表示装置2509に接続される表示制御部2507とリムーバブル・ディスク2511用のドライブ装置2513と入力装置2515とネットワークに接続するための通信制御部2517とがバス2519で接続されている。オペレーティング・システム(OS:Operating System)及び本実施の形態における処理を実施するためのアプリケーション・プログラムは、HDD2505に格納されており、CPU2503により実行される際にはHDD2505からメモリ2501に読み出される。必要に応じてCPU2503は、表示制御部2507、通信制御部2517、ドライブ装置2513を制御して、必要な動作を行わせる。また、処理途中のデータについては、メモリ2501に格納され、必要があればHDD2505に格納される。本発明の実施の形態では、上で述べた処理を実施するためのアプリケーション・プログラムはリムーバブル・ディスク2511に格納されて頒布され、ドライブ装置2513からHDD2505にインストールされる。インターネットなどのネットワーク及び通信制御部2517を経由して、HDD2505にインストールされる場合もある。このようなコンピュータ装置は、上で述べたCPU2503、メモリ2501などのハードウエアとOS及び必要なアプリケーション・プログラムとが有機的に協働することにより、上で述べたような各種機能を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態に係る音声証書の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るシステム概要を説明するための図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるメイン処理フローを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態における顧客の通話処理の処理フローを示す図である。
【図5】通話録音データと区間タグを説明するための図である。
【図6】タグデータテーブルの一例を示す図である。
【図7】電子署名処理部の処理の概要を示す図である。
【図8】タイムスタンプサーバ及び時刻認証サーバの処理の概要を示す図である。
【図9】音声証書データの構造を示す図である。
【図10】コンピュータの機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
1 公衆回線網 3,5 電話機
7 受付者端末 9 管理者端末
11 認証サーバ 13 通話録音データ管理サーバ
15 タイムスタンプサーバ 17 音声証書管理サーバ
19 ネットワーク 21 時刻認証サーバ 23 LAN
71 通話録音部 73 通話タグ付け部
91 通話再生部 93 電子署名処理部
111 ユーザDB 131 通話録音DB
171 音声証書DB

【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約に係る顧客に対して顧客認証処理を実施するステップと、
顧客との通話において、顧客特定に係る通話区間、顧客認証に係る通話区間、契約内容に係る通話区間及び前記顧客の意思確認に係る通話区間を特定するためのタグデータと前記顧客との通話の録音データとを、通話データ格納部に格納するステップと、
前記通話データ格納部に格納された前記タグデータ及び前記録音データに対して電子署名を付与して電子署名付きタグデータ及び録音データを生成する電子署名ステップと、
前記電子署名付きタグデータ及び録音データに対して時刻認証に係るデータを生成させるステップと、
前記電子署名付きタグデータ及び録音データと前記時刻認証に係るデータとを音声証書データとして音声証書データ格納部に登録するステップと、
を含み、コンピュータに実行される音声証書データ生成方法。
【請求項2】
前記電子署名ステップが、
前記タグデータ及び録音データを暗号化するステップ
を含む請求項1記載の音声証書データ生成方法。
【請求項3】
契約に係る顧客に対して顧客認証処理を実施する手段と、
顧客との通話において、顧客特定に係る通話区間、顧客認証に係る通話区間、契約内容に係る通話区間及び前記顧客の意思確認に係る通話区間を特定するためのタグデータと前記顧客との通話の録音データとを、通話データ格納部に格納する手段と、
前記通話データ格納部に格納された前記タグデータ及び前記録音データに対して電子署名を付与して電子署名付きタグデータ及び録音データを生成する電子署名手段と、
前記電子署名付きタグデータ及び録音データに対して時刻認証に係るデータを生成させる手段と、
前記電子署名付きタグデータ及び録音データと前記時刻認証に係るデータとを音声証書データとして音声証書データ格納部に登録する手段と、
を有する音声証書データ生成システム。
【請求項4】
電子署名付き通話録音データファイルと、
前記電子署名付き通話録音データファイルのハッシュ値に対するタイムスタンプファイルと、
顧客との通話における、顧客特定に係る通話区間、顧客認証に係る通話区間、契約内容に係る通話区間及び前記顧客の意思確認に係る通話区間を特定するためのタグデータの電子署名付きデータファイルと、
前記タグデータの電子署名付きデータファイルのハッシュ値に対するタイムスタンプファイルと、
を含む音声証書データ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−135120(P2007−135120A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328299(P2005−328299)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(595061705)株式会社アニモ (5)
【Fターム(参考)】