説明

音響を考慮した居室構造

【課題】居室部の室内空間が狭くならないように吸音拡散体を配置した状態で、吸音率の周波数バランスを効果的に向上させることができる音響を考慮した居室構造を提供する。
【解決手段】本発明の音響を考慮した居室構造は、居室部の室内に向って開口面12aが開口する枠体12と、この枠体12の内部に多数の音響振動板13を所定の間隔をおいて平行に配置することで形成された、ランダムな深さを有する多数の共鳴振動溝14とからなる吸音拡散体10a,10bを、複数の吸音拡散体ユニット11を用いて設けることによって構成される。すなわち、居室部の天井面20に枠体12の開口面12aを下方に向けて天井部吸音拡散体10aを設けると共に、天井面20と垂直な居室部の側壁面21に枠体12の開口面12aを側方に向けて側壁部吸音拡散体10bを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響を考慮した居室構造に関し、特に、枠体と、該枠体の内部に多数の音響振動板を配置して形成された多数の共鳴振動溝とからなる吸音拡散体が設けられた音響を考慮した居室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンサートホールや劇場等の大規模空間を、音響効果に優れた空間とするための建築音響設計では、例えば吸音材料として、低音域の吸音特性に優れた共鳴器型の吸音材料、中音域の吸音特性に優れた板(膜)振動型の吸音材料、中高音域の吸音特性に優れた多孔質型の吸音材料等の各種の吸音材料を使用し、これらを適宜組み合わせて、低音域から高音域にわたる吸音率の周波数特性のバランスを図ることが行われている。
【0003】
これに対して、例えば住宅建築物等の一般の建物では、一部の居室部を音響効果に優れた居室空間としようとする場合、このような小規模空間である居室部においては、室内壁面に過度の凹凸を形成するための大きなスペースを確保することが難しく、低音域の吸音特性に優れた共鳴器型の吸音材料を、十分な大きさや形状で設けることは困難である。また、居室部等の小規模空間においては、平面間の繰り返し反射を原因として、低音域〜高音域にかけて吸音力の不足(残響過多)が生じ易く、特に中音域(500Hz帯域)での残響過多が突出し易くなる。さらに、低・中音域の響き過ぎが高音域をマスキングするため、高音域が一層聞き取り難くなる。
【0004】
また、例えば音楽用途の居室部においては、内装計画時の吸音設計として、中高音域の吸音特性に優れたグラスウール等の多孔質型の吸音材料を用いた設計が行なわれることが多いが、多孔質型の吸音材料を使用した場合には、特に例えば1kHz以上の高音域の吸音が過多になって、音源の持つ倍音《基本となる周波数(基音)の他に含まれる周波数で、基音の2倍、3倍、・・7倍(整数倍)・・の周波数を持つ》が不足し易くなる。
【0005】
さらに、空間の音響上の拡散性を高めることは、室内吸音率の周波数特性のバランスを図る上で重要であることが知られているが、一般の居室部では、意匠上の理由から、拡散性を高めるための過度の凹凸形状は嫌われるため、拡散性まで配慮して居室部を設計することは殆どなく、居室部は、過度の凹凸のない、すっきりとした空間構成が望まれている。
【0006】
一方、例えばコンサートホールや劇場等の大規模空間においては、空間の音響上の拡散性を高める構造体として、シュレーダ拡散体と呼ばれる拡散体が用いられる場合がある(例えば、非特許文献1参照)。シュレーダ拡散体は、平方剰余擬似ランダム配列による深さを有する剛な材料で仕切られた多数の溝を、開口部が平面をなすように並べて配置することで、音響インピーダンスの変化(不連続)を、吸音材料を用いることなく実現できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「室内音響学−建築の響きとその理論−」、著者、ハインリッヒ・クットルフ、翻訳者、藤原恭司、日高孝之、2003年8月12日、株式会社市ヶ谷出版社発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
シュレーダ拡散体は、拡散体としての機能の他、ランダムな容積を有する多数の溝によって、レゾネータ(共鳴器)としての機能をも備えるものと考えられる。したがって、シュレーダ拡散体を建物の居室部等の小規模空間に設置することにより、当該小規模空間の音響上の拡散性を高めることが可能になる他、吸音材料としての機能を発揮させることができるものと考えられる。また、シュレーダ拡散体に改良を加えて建物の居室部に用いることで、音響効果に優れた居室空間を形成できるようにした居室構造が、本願出願人の出願に係る特願2008−163615において開発されている。
【0009】
特願2008−163615の音響を考慮した居室構造は、居室部を形成する壁、天井、又は床による室内壁面に沿って、室内に向って開口面が開口する枠体と、この枠体の内部に多数の音響振動板を所定の間隔をおいて平行に配置することで形成された、ランダムな深さを有する多数の共鳴振動溝とからなる吸音拡散体を設置することにより、低音域から高音域にわたって吸音率をバランス良く向上させて、音響効果に優れた居室空間を形成できるようにするものであるが、居室部の室内壁面に沿って吸音拡散体を設置することで室内空間が狭くなるのを回避できるようにし、且つ吸音率の周波数バランスを効果的に向上させることが可能な吸音拡散体の居室部における具体的な配置について、さらに研究開発を行う必要がある。
【0010】
本発明は、居室部の室内空間が狭くならないように吸音拡散体を配置した状態で、吸音率の周波数バランスを効果的に向上させることのできる音響を考慮した居室構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、居室部の室内に向って開口面が開口する枠体と、該枠体の内部に多数の音響振動板を所定の間隔をおいて平行に配置することで形成された、ランダムな深さを有する多数の共鳴振動溝とからなる吸音拡散体が、居室部の天井面に前記枠体の開口面を下方に向けて設けられていると共に、前記天井面と垂直な居室部の側壁面に前記枠体の開口面を側方に向けて設けられている音響を考慮した居室構造を提供することにより、上記目的である、低音域から高音域にわたるバランスの良い吸音率と高い音響拡散性の実現を達成したものである。
【0012】
そして、本発明の音響を考慮した居室構造は、前記吸音拡散体が、居室部の天井面に埋設された状態で設けられていることが好ましい。
【0013】
また、本発明の音響を考慮した居室構造は、前記吸音拡散体が、居室部の側壁面に少なくとも一部が埋設された状態で設けられていることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明の音響を考慮した居室構造は、前記吸音拡散体の枠体が、200〜400mmの浅い奥行きを有していることが好ましい。
【0015】
さらにまた、本発明の音響を考慮した居室構造は、居室部の天井面に設けられた前記吸音拡散体が、天井面の全体の面積の20%以上の面積を占めるように設けられていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の音響を考慮した居室構造は、居室部の側壁面に設けられた前記吸音拡散体が、居室部の天井面に設けられた前記吸音拡散体の面積の50%以上の面積で設けられていることが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の音響を考慮した居室構造は、前記吸音拡散体の各音響振動板の両側縁部には、前記開口面側の端辺から前記共鳴振動溝の深さ方向に延設して切込みが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の音響を考慮した居室構造によれば、居室部の室内空間が狭くならないように吸音拡散体を配置した状態で、吸音率の周波数バランスを効果的に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の好ましい第1実施形態に係る音響を考慮した居室構造の構成を説明する部分斜視図である。
【図2】吸音拡散体の内部構造を説明する図1のA−Aに沿った断面図である。
【図3】吸音拡散体を構成する吸音拡散体ユニットの斜視図である。
【図4】吸音拡散体を形成する状況を説明する斜視図である。
【図5】音響振動板の両側縁部に形成される切込みを説明する平断面図である。
【図6】本発明の好ましい第2実施形態に係る音響を考慮した居室構造の構成を説明する、(a)は略示天面図、(b)は略示平面図である。
【図7】本発明の好ましい第3実施形態に係る音響を考慮した居室構造の構成を説明する、(a)は略示天面図、(b)は略示平面図である。
【図8】本発明の好ましい第4実施形態に係る音響を考慮した居室構造の構成を説明する、(a)は略示天面図、(b)は略示平面図である。
【図9】本発明の好ましい第5〜第8実施形態に係る音響を考慮した居室構造の構成を説明する、(a)は略示天面図、(b)〜(e)は略示正面図である。
【図10】本発明の好ましい第9実施形態に係る音響を考慮した居室構造の構成を説明する、(a)は略示天面図、(b)〜(e)は略示正面図である。
【図11】(a)は、比較例1の居室構造の構成を説明する略示天面図、(b)は、比較例2の居室構造の構成を説明する略示天面図である。
【図12】比較例3の居室構造の構成を説明する、(a)は略示天面図、(b)は略示平面図である。
【図13】(a)〜(c)は、実施例1〜3の居室構造について吸音率及び残響時間を測定した測定結果を示すチャートである。
【図14】(a)〜(d)は、実施例4〜7の居室構造について吸音率及び残響時間を測定した測定結果を示すチャートである。
【図15】実施例8の居室構造について吸音率及び残響時間を測定した測定結果を示すチャートである。
【図16】(a),(b)は、比較例1,2の居室構造について吸音率及び残響時間を測定した測定結果を示すチャートである。
【図17】比較例3の居室構造について吸音率及び残響時間を測定した測定結果を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に示す本発明の好ましい第1実施形態に係る音響を考慮した居室構造は、例えば住宅建築物における8畳程度の広さの洋室を、例えば音楽用途の居室部として使用できるようにするために採用されたものであり、従来よりコンサートホールや劇場等の大規模空間に使用されていたシュレーダ拡散体を、小規模空間である居室部に適用できるように吸音拡散体10a,10bとして改良すると共に、これらの吸音拡散体10a,10bを居室部の室内空間が狭くならないように取り付けることで、居室部における吸音率の周波数バランスを効果的に向上させるようにしたものである。
【0021】
すなわち、本第1実施形態の音響を考慮した居室構造は、居室部の室内に向って開口面12aが開口する枠体12と、この枠体12の内部に多数の音響振動板13を所定の間隔をおいて平行に配置することで形成された、ランダムな深さを有する多数の共鳴振動溝14とからなる吸音拡散体10a,10bが、複数の吸音拡散体ユニット11(図3参照)を用いて、居室部の天井面20に枠体12の開口面12aを下方に向けて天井部吸音拡散体10aとして設けられていると共に、複数の吸音拡散体ユニット11を用いて、天井面20と垂直な居室部の側壁面21に枠体12の開口面12aを側方に向けて側壁部吸音拡散体10bとして設けられている。
【0022】
また、本第1実施形態では、天井部吸音拡散体10a及び側壁部吸音拡散体10bにおける、多数の音響振動板13を平行に配置することで形成された多数の共鳴振動溝14の内部には、図2に示すように、奥部閉塞部材15がランダムな深さ位置に設けられており、これによって多数の共鳴振動溝14はランダムな深さを備えることになる。
【0023】
本第1実施形態では、天井部吸音拡散体10a及び側壁部吸音拡散体10bは、吸音拡散体ユニット11を用いて形成される。吸音拡散体ユニット11は、図3に示すように、横幅B1が例えば800mm程度、縦幅B2が例えば267mm程度、奥行きB3が例えば200mm程度の大きさの、全体として略直方体形状を有している。
【0024】
吸音拡散体ユニット11は、図4に示すように、例えば段ボール紙22と、発泡断熱材からなる棒状部材23とを用いて容易に形成することができる。すなわち、例えば200mm×800mm程度の大きさの矩形平面形状を有する、厚さが3mm程度の段ボール紙22を音響振動板13として、これの表面に、例えば縦40mm、横25mm程度の大きさの矩形断面を有する発泡断熱材からなる棒状部材23を、枠部材17及び奥部閉塞部材15として接着剤等を用いて所定の位置に取り付ける。より具体的には、200mm程度の長さに裁断した棒状部材23を枠部材17として、段ボール紙22の両側の短辺に沿って取り付ける。また、740mm程度の長さに裁断した棒状部材23を奥部閉塞部材15として、両端面を両側の枠部材17の内側面に当接接合しつつ、音響振動板13の開口面12a側の端辺13aとなる段ボール紙22の一方の長辺22aから、所定の間隔を置いた位置に取り付ける。
【0025】
さらに、取り付けた枠部材17及び奥部閉塞部材15の上面を覆って、上段の段ボール紙22を取り付け、同様の作業を繰り返して例えば6段に積み重ねることにより、各隣接する段ボール紙22による音響振動板13の間にランダムな深さの共鳴振動溝14が設けられた、軽量で且つ持ち運びや施工に適した大きさ及び形状を有する吸音拡散体ユニット11が、容易に形成されることになる(図3参照)。
【0026】
そして、本第1実施形態では、図1に示すように、例えば居室部の天井面20に形成された一対の縦長矩形形状の天井開口部24に、複数の吸音拡散体ユニット11を各々嵌め込むようにして、各列に例えば5〜6体づつ2列に横方向に吸音拡散体ユニット11を連設配置することによって、天井部吸音拡散体10aが、天井面20に埋設された状態で設けられる。これによって、天井開口部24の長辺部分に沿って配置される、段ボール紙22の側縁部を介在させつつ連続して一体として配置された各吸音拡散体ユニット11の両側の多数の枠部材17と、天井開口部24の短辺部分に沿って配置される、各列の両端部に配設された吸音拡散体ユニット11の端面部を構成する段ボール紙22’とによる矩形形状の外殻部分を、開口面12aを下方に向けて開口させた枠体12として、この枠体12の内部に、段ボール紙22による多数の音響振動板13を平行に配置してなる天井部吸音拡散体10aが、天井面20に2列に取り付けられることになる。
【0027】
また、本第1実施形態では、例えば居室部の側壁面21に設けた縦長矩形形状の側壁開口部25に、複数の吸音拡散体ユニット11を各々嵌め込むようにして、例えば5〜6体の吸音拡散体ユニット11を上下方向に積み重ねて連設配置することによって、側壁部吸音拡散体10bが、側壁面21に埋設された状態で設けられる。これによって、側壁開口部25の長辺部分に沿って配置される、段ボール紙22の側縁部を介在させつつ連続して一体として配置された各吸音拡散体ユニット11の両側の多数の枠部材17と、側壁開口部25の上下の短辺部分に沿って配置される、最上部及び最下部に配設された吸音拡散体ユニット11の上端面及び下端面を構成する段ボール紙22’とによる矩形形状の外殻部分を、開口面12aを側方に向けて開口させた枠体12として、この枠体12の内部に、段ボール紙22による多数の音響振動板13を平行に配置してなる側壁部吸音拡散体10bが、側壁面21に取り付けられることになる。
【0028】
ここで、本第1実施形態では、上述のように設置された天井部吸音拡散体10aや側壁部吸音拡散体10bは、図2に示すように、多数の共鳴振動溝14が、奥部閉塞部材15によって奥部が閉塞されていて、例えば0〜175mm程度のランダムな深さを有している。また、多数の共鳴振動溝14のランダムな深さは、好ましくは、平方剰余擬似ランダム配列による深さとなっている。平方剰余擬似ランダム配列は、例えば大規模空間に用いるシュレーダ拡散体を設計する際に採用される公知のものである。好ましくは平方剰余擬似ランダム配列による深さで多数の共鳴振動溝14が形成されていることにより、低音域から高音域にわたるバランスの良い拡散性が吸音拡散体10a,10bによって得られることになる。すなわち、共鳴振動溝14の容積がランダムな大きさとなることで、吸音拡散体10a,10bがレゾネータ(共鳴器)としての機能を発揮する際に、板(膜)振動による低〜中音域の吸音効果と、シュレーダ拡散体の形状に起因すると推定される中〜高音域の吸音効果とによって、低音域から高音域にわたるバランスの良い吸音率の向上を効果的に図ることが可能になる。なお、板(膜)振動による低〜中音域の吸音効果は、音響振動板13として厚さが3mm程度の薄い材料を用いたことで、各レゾネータ(共鳴器)の共振周波数に応じた板(膜)振動共振を生じさせることにより、低〜中音域の吸音機能を持たせたことによるものである。
【0029】
また、本第1実施形態では、図5に示すように、吸音拡散体10a,10bの各音響振動板13の両側縁部に、枠体12の開口面12a側の端辺13aから共鳴振動溝14の深さ方向に延設して、切込み18を形成しておくこともできる。切込み18が形成されていることにより、各音響振動板13の両側の切込み18によって挟まれる部分である本体部分は、奥部閉塞部材15側の一辺部のみによって支持された状態で片持ち梁状に張り出すことで、音響振動を生じやすくなる。これによって、上述の板(膜)振動による吸音率の向上をさらに効果的に図ることが可能になると共に、特に低音域における吸音率の向上を効果的に図ることが可能になる。なお、切込み18の共鳴振動溝14の深さ方向への切込み長さは、吸音率のバランス等を鑑みて適宜設定することができる。
【0030】
なお、本第1実施形態では、横方向或いは上下方向に連設配置される吸音拡散体ユニット11が隣接する部分における、各吸音拡散体ユニット11の端面に配置される段ボール紙22(音響振動板13)は、互いに密着して二重に配置されることになる。
【0031】
そして、本第1実施形態では、横幅B1が800mm程度、縦幅B2が267mm程度、奥行きB3が200mm程度の大きさの、略直方体形状を有する吸音拡散体ユニット11(図3参照)を連設配置して天井部吸音拡散体10aや側壁部吸音拡散体10bが設けられることで、天井部吸音拡散体10aや側壁部吸音拡散体10bは、その枠部材17及び端面の段ボール紙22’による枠体12が、200mm程度の浅い奥行きを有することになる。
【0032】
吸音拡散体10a,10bの枠体12が、200mm程度の浅い奥行きを有することにより、天井部吸音拡散体10aを、その全体を居室部の天井面20に埋設して、居室部の室内側に突出させない状態で容易に設置することが可能になる。また、側壁部吸音拡散体10bを、好ましくはその全体又は一部を側壁面21に埋設して、側壁面21に沿って居室部の室内側に極力突出させない状態で容易に設置することが可能になる。これらによって、居室部の室内空間が狭くなるのを効果的に回避することが可能になる。
【0033】
ここで、居室部の室内空間が狭くなるのを効果的に回避できるように吸音拡散体10a,10bを設置するには、吸音拡散体10a,10bの枠体12が、200〜400mm程度の浅い奥行きを有していることが好ましい。
【0034】
また、本発明では、居室部の天井面20に設けられた天井部吸音拡散体10aは、天井面20の全体の面積の20%以上の面積を占めるように設けられていることが好ましい。
【0035】
さらに、本発明では、居室部の側壁面21に設けられた側壁部吸音拡散体10bは、居室部の天井面20に設けられた天井部吸音拡散体10aの面積の50%以上の面積で設けられていることが好ましい。
【0036】
そして、上述の構成を有する本第1実施形態の音響を考慮した居室構造によれば、居室部の室内空間が狭くならないように吸音拡散体10a,10bを配置した状態で、吸音率の周波数バランスを効果的に向上させることが可能になる。
【0037】
すなわち、本第1実施形態によれば、天井部吸音拡散体10aを、拡散体の主要部分として、天井面20に沿って好ましくはその全体を天井面20に埋設した状態で設けることで、居室部の室内空間が狭くならないようにすることができると共に、天井面20に設けた天井部吸音拡散体10aの持つ1次元的な音響の拡散性に加えて、側壁面21に沿って設けた側壁部吸音拡散体10bによって2次元的な音響拡散性を持たせることで、居室部における吸音率の周波数バランスを効果的に向上させることが可能になる。これによって、音響の拡散機能と吸音機能とを兼ね備えた吸音拡散体10a,10bを用いることで、例えば63HZ帯域から8kHZ帯域に亘る広い範囲で、優れた吸音特性を、居室部に持たせることが可能になる。
【0038】
また、本第1実施形態では、吸音拡散体10a,10bとして、居室部への設置のし易さ等を鑑みて、200mm程度の浅い奥行きのものが用いれられており、シュレーダ理論によれば、浅い奥行きの吸音拡散体10a,10bは、低周波域では十分に音響を拡散しないと説明されているが、本第1実施形態では、天井部吸音拡散体10aと側壁部吸音拡散体10bとを、居室部の天井面20及びこれと垂直な側壁面21に沿って2次元的に配置することで、低周波に対する吸音率を効果的に高めることが可能になり、これによって、低周波域から高周波域に亘って音響吸収率のバランスの良い室内空間を作り上げることが可能になる。
【0039】
ここで、建築音響の教育や設計実務の初期の段階では、対称とする空間を一様拡散であると仮定して、残響計算(或いは平均吸音率計算)を行うようになっているが、現実には、計算用の残響室を除いて、一様拡散を満足する空間はあり得ない。空間が一様拡散でないことは、設置する吸音体及び拡散体の配置によって、吸音体の吸音効果が異なることを意味する。また、一般に、住宅の居室部は、平行平面によって形成されており、平行平面間の平面反射を繰り返すことによる中音域の残響過多(吸音率不足)を引き起こすことが知られている。さらに、空間の音響設計では、板振動型、共鳴器型、多孔質型といった3種の吸音材をバランスよく配置して設計するという煩雑な設計手順を踏むことになり、またその際に用いる、残響室法によって測定された周波数帯域毎の平均吸音率の公表データは、吸音材の吸音力が拡散の程度や材の配置によって影響を受けるため、公表通りの吸音率(または吸音力)を期待することができない。さらにまた、比較的小さな空間は、公共性が低いことや、主に意匠的な制約から、基本的な音響設計さえ行われないことが多く、また低音域を吸音するような奥行きのある吸音材(吸音デバイス)を設置することは難しくなっている。
【0040】
本第1実施形態によれば、吸音拡散体10a,10bが、自身の持つ高い拡散性によって自身の持つ吸音性能をより効果的に発揮させることで、低音域(例えば63HZ帯域)〜高音域(例えば8kHZ帯域)にわたって、バランスの良い吸音力を備えることから、幾種類もの吸音デバイスを用いることなく、吸音拡散体10a,10bのみを用いて、効果的な音響設計を行うことが可能になる。すなわち、板振動型、共鳴器型、多孔質型といった3種の吸音機構をバランスの良く設計するといった従来の煩雑な音響設計の手順を踏むことなく、簡便な設計手法によって、効果的な音響設計を行うことが可能になる。またシュレーダ提唱の設計手法に従えば、吸音拡散体10a,10bに高い拡散性を持たせることが可能になる。
【0041】
さらに、本発明によれば、吸音拡散体10a,10bの配置を工夫することで、低音域〜高音域にわたり、バランス良く効果的に居室部の吸音率を向上させることが可能になると共に、各周波数帯域の吸音力を、吸音拡散体10a,10bの使用面積に比例させることも可能になる。
【0042】
これらによって、本第1実施形態によれば、板振動吸音機能が付加されて拡散と吸音の両機能を併せ持つ吸音拡散体10a,10bを用いることで、吸音拡散体10a,10bが備える高い拡散性と、バランスの良い吸音率周波数特性との相乗効果によって、比較的小さな空間である居室部について、音場の拡散が吸音に及ぼす影響を配慮した、簡便で効果的な音響設計及び施工を行うことが可能になる。
【0043】
また、本発明によれば、吸音拡散体10a,10bは、上述の段ボール紙22や発泡断熱材からなる棒状部材23の他、合板、プラスチックダンボール、木材等の、身近で安価な材料を用いて、簡易に且つ容易に形成することが可能である。
【0044】
図6〜図8は、本発明の第2〜第4実施形態に係る音響を考慮した居室構造における、天井部吸音拡散体10a及び側壁部吸音拡散体10bの配置状態を略示図として示すものである。各実施形態において、居室部は、上述の第1実施形態と同様に、8畳程度の広さの洋室となっており、天井部吸音拡散体10aや側壁部吸音拡散体10bは、上述の第1実施形態と同様に、複数の吸音拡散体ユニット11を、適宜分散した状態で、天井面20や側壁面21に沿って連設配置することによって設けられている。
【0045】
また、図6〜図8において、(a)は、天井部を下方から見た略示天面図となっている。(b)は、床部を上方から見た略示平面図となっており、居室部は、4方を側壁面21によって囲まれた状態となっている。なお、天井部を下方から見た(a)では、天井面20を構成する天井仕上材が取り付けられる前の状態で示されており、天井部は、平行に延設して3本設けられた上階の床梁26によって、4つの領域に区画された状態となっている。
【0046】
図6(a),(b)に示す第2実施形態の居室構造では、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図6(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、一箇所の側壁面21の中央部分に沿って、2列6段に積み重ねられた状態で、本棚様に設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0047】
図7(a),(b)に示す第3実施形態の居室構造では、上記第2実施形態と同様に、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図7(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、隣接する2箇所の側壁面21に沿って、各々1列6段に積み重ねられた状態で、本棚様に設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0048】
図8(a),(b)に示す第4実施形態の居室構造では、上記第2実施形態と同様に、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図8(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、対向する2箇所の側壁面21に沿って、各々1列6段に積み重ねられた状態で、本棚様に設けらることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0049】
そして、図6〜図8に示す第2実施形態〜第4実施形態の居室構造によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0050】
図9(a)〜(e)は、本発明の第5〜第8実施形態に係る音響を考慮した居室構造における、天井部吸音拡散体10a及び側壁部吸音拡散体10bの配置状態を略示図として示すものである。各実施形態において、居室部は、上述の第1実施形態と同様に、8畳程度の広さの洋室となっており、天井部吸音拡散体10aや側壁部吸音拡散体10bは、上述の第1実施形態と同様に、複数の吸音拡散体ユニット11を、適宜分散した状態で、天井面20や側壁面21に沿って連設配置することによって設けられている。
【0051】
また、図9において、(a)は、各実施形態における天井部を下方から見た略示天面図となっている。(b)〜(e)は、各実施形態において、側壁面21に沿って側壁部吸音拡散体10bが配置された状態を説明する、上段は側壁部吸音拡散体10bの側方から略示正面図、下段は側壁部吸音拡散体10bの正面から見た略示正面図である。なお、天井部を下方から見た(a)では、天井面20を構成する天井仕上材が取り付けられる前の状態で示されており、天井部は、平行に延設して3本設けられた上階の床梁26によって、4つの領域に区画された状態となっている。
【0052】
図9(a),(b)に示す第5実施形態の居室構造では、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図9(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、図9(b)に示すように、12体の吸音拡散体ユニット11が、一箇所の側壁面21の中央部分に沿って、2列6段に積み重ねられた状態で、本棚様に設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0053】
図9(a),(c)に示す第6実施形態の居室構造では、上記第5実施形態と同様に、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図9(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、一箇所の側壁面21の両側の角部分に沿って、各々1列6段に積み重ねられた状態で、本棚様に設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0054】
図9(a),(d)に示す第7実施形態の居室構造では、上記第5実施形態と同様に、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図9(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、一箇所の側壁面21の上下方向中央部分(例えば床面から1060〜1850mm程度の高さの部分)を横断して3段に積み重ねられた状態で帯状に設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0055】
図9(a),(e)に示す第8実施形態の居室構造では、上記第5実施形態と同様に、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図9(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、一箇所の側壁面21の上下方向の上部(例えば床面から1690〜2480mm程度の高さの部分)を横断して3段に積み重ねられた状態で帯状に設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0056】
そして、図9(a)〜(e)に示す第5実施形態〜第8実施形態の居室構造によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0057】
図10(a)〜(c)は、本発明の第9実施形態に係る音響を考慮した居室構造における、天井部吸音拡散体10a及び側壁部吸音拡散体10bの配置状態を略示図として示すものである。本第9実施形態では、上記第7実施形態の居室構造と同様に、24体の吸音拡散体ユニット11が、分散した状態で天井面20に沿って図10(a)のように連設配置されると共に、天井面20の面積の40%の面積を占めるように設けられることで、天井部吸音拡散体10aを構成している。また、12体の吸音拡散体ユニット11が、一箇所の側壁面21の上下方向中央部分(例えば床面から1060〜1850mm程度の高さの部分)を横断して図10(b),(c)のように設けられることで、側壁部吸音拡散体10bを構成している。
【0058】
そして、図10(a)〜(c)に示す第9実施形態の居室構造によっても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0059】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、多数の音響振動板は、枠体の開口面と垂直に交差する方向に平行に配置されている必要は必ずしも無く、枠体の開口面と斜めに交差する方向に配置されていても良い。また、室内に向って開口面が開口する枠体の開口面は、矩形状に開口している必要は必ずしも無く、その他の種々の形状に開口していても良い。さらに、多数の共鳴振動溝のランダムな深さは、平方剰余擬似ランダム配列によるランダムな深さである必要は必ずしも無い。
【実施例】
【0060】
以下、実施例及び比較例により、本発明の音響を考慮した居室構造をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
〔実施例1〜実施例3〕
上記第2実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例1の居室構造とした。上記第3実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例2の居室構造とした。上記第4実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例3の居室構造とした。実施例1〜3の居室構造について、後述する平均吸音率と残響時間の測定方法により、平均吸音率と残響時間とを測定した。測定結果を図13(a)〜(c)に示す。なお、各図において、吸音拡散体を設置する前の各居室構造について測定した平均吸音率と残響時間の測定結果も併記している。
【0062】
〔実施例4〜実施例7〕
上記第5実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例4の居室構造とした。上記第6実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例5の居室構造とした。上記第7実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例6の居室構造とした。上記第8実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例7の居室構造とした。実施例4〜7の居室構造について、後述する平均吸音率と残響時間の測定方法により、平均吸音率と残響時間とを測定した。測定結果を図14(a)〜(d)に示す。なお、各図において、吸音拡散体を設置する前の各居室構造について測定した平均吸音率と残響時間の測定結果も併記している。
【0063】
〔実施例8〕
上記第9実施形態の音響を考慮した居室構造と同様の構成を備える居室構造を実施例8の居室構造とした。実施例8の居室構造について、後述する平均吸音率と残響時間の測定方法により、平均吸音率と残響時間とを測定した。測定結果を図15に示す。なお、図15において、吸音拡散体を設置する前の居室構造について測定した平均吸音率と残響時間の測定結果も併記している。
【0064】
〔比較例1、2〕
側壁部吸音拡散体10bを設けることなく、図11(a)に示すように、12体の吸音拡散体ユニット11を1列に連設配置して、天井面20の面積の20%の面積を占めるように天井部吸音拡散体10aを設けた居室構造を比較例1の居室構造とした。側壁部吸音拡散体10bを設けることなく、図11(b)に示すように、24体の吸音拡散体ユニット11を2列に連設配置して、天井面20の面積の40%の面積を占めるように天井部吸音拡散体10aを設けた居室構造を比較例2の居室構造とした。比較例1、2の居室構造について、後述する平均吸音率と残響時間の測定方法により、平均吸音率と残響時間とを測定した。測定結果を図16(a),(b)に示す。なお、各図において、吸音拡散体を設置する前の各居室構造について測定した平均吸音率と残響時間の測定結果も併記している。
【0065】
〔比較例3〕
図12(a),(b)に示すように、上記第2実施形態の居室構造の側壁部吸音拡散体10bを、枠体12の開口面12aを9mmの厚さの合板27によって覆うことで吸音拡散体として機能させないようにし、天井部吸音拡散体10aのみを機能させるようにした居室構造を比較例3の居室構造とした。比較例3の居室構造について、後述する平均吸音率と残響時間の測定方法により、平均吸音率と残響時間とを測定した。測定結果を図17に示す。なお、図17において、吸音拡散体を設置する前の居室構造について測定した平均吸音率と残響時間の測定結果も併記している。
【0066】
〔平均吸音率と残響時間の測定方法〕
平均吸音率と残響時間の測定は、デジタル式残響測定器(YAMAHA&株式会社アコー AS−2)と、マイクロフォンと、アンプ内蔵スピーカとを用いて行う。まず、デジタル式残響測定器によって計測した1/1オクターブ周波数帯域ごとの残響時間(音源停止後の音響エネルギー密度が定常状態の10-6倍(=−60dB)になるまでの時間)を求める。すなわち、デジタル式残響測定器から信号を発生し、スピーカから出力させると共に、マイクロフォンによって室内の数点で受音し、デジタル式残響測定器によって各点の平均値を求める。63Hz〜8kHzの1/1オクターブ中心周波数の8帯域にて測定を行い、それぞれの測定点ごとに平均値の算出を行って居室部の残響時間とする。つぎに、求めた残響時間、居室部容積、室内壁面の全体の面積をセービンの残響式にあてはめて、平均吸音率を算出する。なお、この残響時間測定器の原理(インパルス逆積分法)も、M.R.シュレーダーの発案に基づくものである。
【0067】
実施例1〜8、及び比較例1〜3の平均吸音率の測定結果によれば、居室部の天井面20に天井部吸音拡散体10aを設けると共に、居室部の側壁面21に側壁部吸音拡散体10bを設けた実施例1〜8の音響を考慮した居室構造は、吸音率の周波数バランスが効果的に向上していることが判明する。また、特に側壁部吸音拡散体10bが側壁面21の上下方向中央部分に、床面から好ましくは例えば1060〜1850mm程度の高さで帯状に設けられている実施例6及び実施例8の居室構造によれば、吸音率の周波数バランスがさらに効果的に向上していることが判明する。
【符号の説明】
【0068】
10a 天井部吸音拡散体
10b 側壁部吸音拡散体
11 吸音拡散体ユニット
12 枠体
12a 枠体の開口面
13 音響振動板
13a 音響振動板の開口面側の端辺
14 共鳴振動溝
15 奥部閉塞部材
20 天井面
21 側壁面
22,22’ 段ボール紙
22a 段ボール紙の一方の長辺
23 発泡断熱材からなる棒状部材
24 天井開口部
25 側壁開口部
26 床梁
27 合板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居室部の室内に向って開口面が開口する枠体と、該枠体の内部に多数の音響振動板を所定の間隔をおいて平行に配置することで形成された、ランダムな深さを有する多数の共鳴振動溝とからなる吸音拡散体が、居室部の天井面に前記枠体の開口面を下方に向けて設けられていると共に、前記天井面と垂直な居室部の側壁面に前記枠体の開口面を側方に向けて設けられている音響を考慮した居室構造。
【請求項2】
前記吸音拡散体が、居室部の天井面に埋設された状態で設けられている請求項1記載の音響を考慮した居室構造。
【請求項3】
前記吸音拡散体が、居室部の側壁面に少なくとも一部が埋設された状態で設けられている請求項1又は2記載の音響を考慮した居室構造。
【請求項4】
前記吸音拡散体の枠体が、200〜400mmの浅い奥行きを有している請求項1〜3のいずれかに記載の音響を考慮した居室構造。
【請求項5】
居室部の天井面に設けられた前記吸音拡散体は、天井面の全体の面積の20%以上の面積を占めるように設けられている請求項1〜4のいずれかに記載の音響を考慮した居室構造。
【請求項6】
居室部の側壁面に設けられた前記吸音拡散体は、居室部の天井面に設けられた前記吸音拡散体の面積の50%以上の面積で設けられている請求項5記載の音響を考慮した居室構造。
【請求項7】
前記吸音拡散体の各音響振動板の両側縁部には、前記開口面側の端辺から前記共鳴振動溝の深さ方向に延設して切込みが形成されている請求項1〜6のいずれかに記載の音響を考慮した居室構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−140779(P2011−140779A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−1164(P2010−1164)
【出願日】平成22年1月6日(2010.1.6)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】