説明

音響光学的構成素子の制御装置および制御方法

【課題】温度が変化してもエラーのない音響光学的構成素子の自動的動作が、システムの簡単な構成の下で可能であるように改善すること。
【解決手段】通過する光、とりわけ顕微鏡、有利には共焦点レーザ走査顕微鏡の光路中の照明光および/または検知光に作用を及ぼすための音響光学的構成素子(1)を制御する装置であって、該制御装置は前記音響光学的構成素子(1)にラジオ周波数を供給するためのラジオ周波数発生器(9)を備える形式の装置において、前記音響光学的構成素子(1)の温度変動に起因する機能異常(誤作動)が、ラジオ周波数の適合によって補償可能であることを特徴とする装置。さらに相応の方法ならびに使用法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通過する光、とりわけ顕微鏡、有利には共焦点レーザ走査顕微鏡の光路内の照明光および/または検知光に作用を及ぼすための音響光学的構成素子の制御装置に関するものであり、この制御装置は音響光学的構成素子にラジオ周波数を供給するためのラジオ周波数発生器を備える。さらに本発明は相応する方法、ならびにこの装置と方法の使用法ないし適用法に関する。
【背景技術】
【0002】
ここでは基本的に、通過する光を調整するための音響光学的構成素子の制御を考察する。通常、このような構成素子は音響光学的結晶を有し、この結晶に電気的トランスデューサが設けられている。このトランスデューサは通例、圧電材料と、その上下にある電極とからなる。2つの電極を、通常は30MHzから800MHzの領域にあるラジオ周波数と電気接続することによって圧電材料が発振され、これにより音響波が発生し、この音響波はトランスデューサの配置に基づいて結晶を通過する。音響波は光学的交互作用領域の通過後に、対向する結晶側で通常は吸収され、またはさらに反射される。ここに述べるような音響光学的素子に使用される音響光学的結晶は、発生する音波が結晶の光学的特性を変化させることを特徴とし、音波によって光学的グリッド(回折格子)またはそれと同等の、例えばホログラムの形態のような同等の光学的にアクティブな構造が誘起される。結晶を通過する光は、このようにして発生した光学的グリッド(回折格子)で回折(Beugung)を受け、光は種々異なる回折次数または回折方向に(回折)偏向される。
【0003】
ここで述べる音響光学的構成素子は、入射する光全体に波長に依存しないで多かれ少かれ影響する構成素子(例えばAOM、AODおよび周波数シフタ)と、例えばラジオ周波数に依存して個々の波長(複数)に選択的に作用する構成素子(例えばAOTF)とに分けられる。
【0004】
音響光学的構成素子は二重屈折結晶、例えば二酸化テルルからなることがしばしばである。ここでは光の入射面に対する結晶軸の位置(ないし配向状態)およびその偏光が音響光学的構成素子の光学的特性を決定する。
【0005】
具体的な適用例では、回折により影響を受けない光、種々異なる回折次数で(回折)偏向された光、または影響を受けずかつ偏向された光が選択的に使用される。
【0006】
実際から公知の音響光学的構成素子では、ラジオ周波数(RF)が通常は同軸ケーブルを介して音響光学的構成素子に供給される。そこで電子基板上でインピーダンス整合が行われる。その際RF反射が生じないことに注意すべきである。できるだけ大きなRF電力が、通例はRFケーブルとは異なるインピーダンスを有する結晶に達するべきである。電子基板から結晶上のトランスデューサにラジオ周波数がさらに伝達され、ここで音響波が形成される。
【0007】
過去においては上に述べた音響光学的構成素子、とりわけAOTFが、殆ど光強度を調整および制御するために使用された。最近では、スペクトル的に多少とも広帯域の光から光の所定の成分を「取り出す(ないし切り出す)」ために使用する相応の構成素子が必要である。これについては単に例として特許文献1を挙げておく。
【0008】
ここに述べる音響光学的構成素子は、とりわけ前に述べた適用の枠内で、所定のスペクトル成分を連続光源また広帯域光源から、照明目的で取り出すために使用される。これについては単なる例として、白色光レーザ、広帯域レーザ、ウルトラショートパルスレーザ、スーパールミネセンスLEDまたは他のスーパールミネセンス光源、ASE光源、白熱電球、点光源LEDおよび他のLED、太陽光または星の光等に関連する適用を挙げておく。光学的構成素子は検知目的のために、所定のスペクトル光成分を取り出すために用いられ、例えばプログラミング可能なスペクトルフィルタに使用される。音響光学的構成素子をプログラミング可能なビームスプリッタ(AOBS)内で使用することも重要である。さらに実際上、ここに述べる音響光学的構成素子は温度経過においてその特性が変化することが公知である。これはもっぱら、結晶中で音速が変化するためである。温度が変化しても音響光学的構成素子を使用したければ、温度変化により惹起される特性を補償することが必要である。相応の補償方法がすでに公知である。そこでは、温度変動に曝される結晶を加熱または冷却すること、すなわち結晶において温度を安定させることが提案される。このために特別の温度制御部が設けられている。これについては特許文献2を参照されたい。これによれば一種のダミーラジオ周波数が設けられており、本来のラジオ周波数が遮断されると常にこれに給電され、これにより結晶中で常に同じ温度をヒーターを介して維持することができる。
【0009】
前記の方法とは別法として特許文献3記載のように、測定された温度変化に相応してラジオ周波数が追従制御される。しかしこの場合、音響光学的構成素子の駆動のために必要な関連の補償パラメータおよびラジオ周波数自体が無数のパラメータに依存することをこれまで前提としていた。これらのパラメータは例えば、偏向(回折)すべき光の波長、結晶への光の入射角、結晶の取付け条件等である。したがってこれまで周波数変化の大きさを反復的な実験で検出するか、または波長および装置条件に依存して補償パラメータに対するテーブルを作成していた。この場合には個々の機器毎に補償パラメータを個別に規定する必要があった。これついてとりわけ特許文献3の段落[0014]を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】ドイツ共和国特許公開第10115488号
【特許文献2】欧州特許公開第0834762号
【特許文献3】ドイツ共和国特許第19827140号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
刊行された従来技術によるエラー補償の枠内で掛かる煩わしさないし複雑さは相当なものである。なぜなら使用される各レーザ波長と、場合により使用される各システムごとに固有の補正パラメータを記憶し、適用しなければならないからである。その上、関連する補償パラメータを使用できるようにするため、どのような具体的な波長と実験的パラメータが存在するかを定義する情報を駆動電子回路に与えることが必要である。したがって刊行された従来技術によれば、温度補償をラジオ周波数発生器によって直接行うことはできず、比較的高次の操作レベルによってサポートするか、または全体で温度補償を行わなければならない。なぜなら温度補償のためには、所要のシステム情報全体が流動的でなければならないからである。このことは、システムの簡単な操作性、ならびに小さなタイムスケールでの迅速な温度安定性に反するものである。したがい例えば共焦点顕微鏡では比較的高いソフトウエアレベルが設けられている。このソフトウエアレベルは、どのレーザ波長が結晶により偏向(回折)されるべきかという情報を有しており、これにより、ラジオ周波数発生器に所要の補償パラメータが提供され、ラジオ周波数発生器は周波数追従制御を正しく行うことができる。したがって刊行された従来技術による温度補償は、ラジオ周波数発生器により行われるのではなく、これを制御するコンピュータによって実行される。このコンピュータは(通常は一定の方法で)ラジオ周波数発生器に、すでに温度補償されたラジオ周波数目標値を設定する。このことは、システム全体に膨大な複雑性とエラー脆弱性を引き起こす。
【0012】
前述の状況に鑑み、本発明の基礎とする課題は、上述の概説形式の装置および方法において、温度が変化してもエラーのない自動的動作が、システムの簡単な構成の下で可能であるように改善することである。さらに温度に依存するエラー補償のために、ユーザが調整またはパラメータに関する決定を行う必要がないようにすることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題は、本発明の装置に関しては請求項1の特徴により、本発明の方法に関しては請求項14の特徴により解決される。
【0014】
本発明によれば、温度変動に起因する音響光学的構成素子の機能異常(誤作動)が、ラジオ周波数の適合によって簡単かつ理想的な仕方で補償されることが認識(知見)される。この知見は、関連の従来技術で必要であった煩わしさないし複雑さを前提としていた当業専門家にとっては驚くべきことである。とりわけ、ラジオ周波数追従制御のために必要な補償パラメータ(kHz/℃において)が可能なすべてのシステムパラメータ、例えば偏向(回折)すべき光の波長、結晶への光の入射角、結晶の取付け条件等、単に見かけ上でのみ任意(ランダム)に依存することは驚くべきことである。即ち、前記の依存性に関係なく、調整すべきラジオ周波数だけに補償パラメータを直接的に結び付けることができる。実際にはラジオ周波数は多数のパラメータに複雑に依存する。ここで適切な補償パラメータを設定するための基礎となる結合は、非常に簡単な、実質的に、小さな補正を含めた(bis auf)数学的線形関係にしたがう。
【0015】
本発明の前記知見は、請求される装置ならびに請求される方法に関して完全に首尾一貫している。本発明によれば、ラジオ周波数発生器のために設けられたラジオ周波数だけから、これに適合した補償値(kHz/℃において)を直接的に求めることができる。言い替えると、ラジオ周波数発生器は出力ラジオ周波数の知識だけによって、音響光学的構成素子に存する温度に相応して追従制御される。
【0016】
本発明の基礎となる知見は、ユーザにとって格別の軽減を意味する。なぜならユーザは、それぞれのシステムの運転時に、音響光学的構成素子の領域の温度、とりわけ結晶温度を気にする必要がないからである。それどころか、それぞれの音響光学的構成素子を駆動するために正しいラジオ周波数にシステムを較正することも、同様に本発明の温度補償の条件下で行うことができる。したがってユーザは、規定の基準温度を基準にして常に正しいラジオ周波数を調整することができ、この調整は較正の時点で音響光学的構成素子の実際の温度が何度であるかには拘らず行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】音響光学的構成素子の基本構造を示す概略図である。
【図2】本発明の装置の適用を共焦点顕微鏡の例で示す概略的ブロック図であり、ここでは全部で3つの音響光学的構成素子が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0018】
規定の温度での所望のラジオ周波数と所属の補正係数との数学的関係は有利には次のとおりである。
【0019】
補償係数(kHz/℃)=a0+a1*RF+a2*RF2+a3*RF3+...+an*RFn
ここでnは典型的には非常に小さく選択される(有利にはn<5、しかしn=1でも優れた温度補償が得られる)。通例a0はほぼ0である。したがってこの係数も省略することができ、極端な場合にはただ1つの係数をラジオ周波数発生器に記憶すればよいだけである。通常は、最高で5つまでの係数で十分である。これはデータ容量に関しても、刊行された従来技術による個別に較正すべきテーブルの場合よりも格段に簡単である。
【0020】
有利な形態においてラジオ周波数は、目標(Soll)ラジオ周波数から出発して、音響光学的構成素子で直接検出可能な温度に依存して適合される。音響光学的構成素子が、光学的特性の変化する結晶を含むことを前提にすれば、結晶における温度を直接検出することのできる温度センサを設けるとさら有利である。したがって音響光学的構成素子の実際の温度に相応する信号がラジオ周波数発生器に供給され、実際の温度を考慮して、極簡単な線形関係を用いて所望のラジオ周波数に対して直接そこで温度補償を行うことができる。
【0021】
すでに前に述べたように、本発明の装置は格別の利点を提供する。すなわちラジオ周波数の適合に用いられる補償係数を、もっぱら音響光学的構成素子の温度と目標ラジオ周波数に基づいて求めることができる。したがって音響光学的構成素子において実際温度が連続的に検出される。この際実際温度に相応する信号をラジオ周波数発生器に直接に、または前置接続されたプロセッサに供給することが考えられる。前置接続されたプロセッサに実際温度が供給される場合、このプロセッサはラジオ周波数発生器のための制御信号を生成するのに用いられる。結果として、プロセッサから提供される制御信号は、音響光学的構成素子におけるそれぞれの温度を基礎としてラジオ周波数を生成するために用いられる。
【0022】
とりわけ簡単には、音響光学的構成素子において連続的に検出される実際温度を制御信号の形態でラジオ周波数発生器に直接供給し、音響光学的構成素子におけるそれぞれの温度に基づいて適切なラジオ周波数を生成することも可能である。この際ラジオ周波数発生器にはプロセッサを介してデジタル情報だけが供給され、本来の補償はラジオ周波数発生器で行われる。この場合、プロセッサはもっぱらラジオ周波数発生器と通信し、ラジオ周波数発生器は温度センサを介してデータを受け取り、適合された所要のラジオ周波数を音響光学的構成素子の結晶に送出する。
【0023】
すでに述べたように、本発明の装置は複数の音響光学的構成素子を制御するために使用することができる。この場合、音響光学的構成素子の数に相応して複数のラジオ周波数発生器が設けられる。これらのラジオ周波数発生器には、共通のプロセッサを介してラジオ周波数を生成するための制御信号が、それぞれの音響光学的構成素子における温度を基礎として供給される。相応にして、種々異なる音響光学的構成素子をシステムに設けることも考えられる。この音響光学的構成素子はAOTF(acousto optical tunable filter、音響光学的波長可変フィルタ)、AOD(acousto optical deflector、音響光学的偏向器)、AOM(acousto optical modulator、音響光学的変調器)、プログラミング可能ビームスプリッタ内、すなわちAOTF内、の構成素子、周波数シフタ等とすることができる。
【0024】
統合モジュールの枠内で、ビーム統合(部)とAOTFを強度制御に用いることができる。この場合、これらの構成素子は共通のハウジングに配置することができる。2つ以上の音響光学的構成素子を、1つのAOBS(プログラミング可能ビームスプリッタ)にハウジング内でまとめる(統合する)こともできる。
【0025】
前記の特徴に相応して本発明の装置は、とりわけ請求された方法ステップを考慮して駆動される。
【0026】
本発明の装置の適用可能性に関しては制限がない。かくて、本発明の装置は、例えば共焦点レーザ走査顕微鏡での温度補償のために使用される。この場合、本発明の温度補償を行う第1の音響光学的構成素子により、好ましくはAOTFにより、照明ビームを導くことができる。ここで共焦点顕微鏡の制御ユニットは、共焦点顕微鏡の他に1つまたは複数のラジオ周波数発生器を制御し、該ラジオ周波数発生器が音響光学的構成素子(複数)に所要のラジオ周波数を供給する。第1の音響光学的構成素子で偏向(回折)され、選択された光は、好ましくは光導体を介してレーザ走査顕微鏡の走査ヘッドに導かれ、ここで照明のために用いられる。
【0027】
とりわけ有利な形態において、光は光学的スプリッタ(分岐手段:Weiche)、すなわち音響光学的ビームスプリッタ(AOBS)を介して顕微鏡に入力結合される。光学的スプリッタは同様に、相応にしてラジオ周波数発生器を介して行われる本発明の温度補償を含むことができる。
【0028】
本発明は、光学的コヒーレントトモグラフ、白色光干渉計、リソグラフにおける光学的ピンセット、距離/間隔測定にもさらに適用される。
【0029】
本発明の技術思想を有利な仕方で構成し、さらに展開するには種々の手段が存在する。これについては一方では請求項1の従属請求項を、他方では図面に基づく本発明の有利な実施例の以下の説明を参照されたい。図面に基づく本発明の有利な実施形態(実施例)の説明と関連して、一般的に有利な構成および展開形態も説明する。
【実施例】
【0030】
図1は、音響光学的構成素子の基本構造を概略的に示す。この音響光学的構成素子は本発明の装置により温度補償されるよう制御される。音響光学的構成素子1は、結晶ホルダ3上に配置された音響光学的結晶2を有する。結晶ホルダ3には温度センサ4が直接設けられており、この温度センサは好ましくはデジタル出力端を装備している。結晶ホルダ3とは反対の側の音響光学的結晶2上には、高周波を結晶2に入力結合するためのトランスデューサ5が設けられている。
【0031】
図2は、とりわけ3つの音響光学的構成素子1の制御に本発明の装置を使用することを概略的ブロック図に示す。ここで音響光学的構成素子1の内2つは1つのAOBS6を形成し、別の音響光学的構成素子1がマージモジュール(統合モジュール)7に配置されている。マージモジュール7内でビーム統合部およびAOTFが、3つのレーザ光源8から到来するレーザ光を共通のハウジング内で強度制御するために使用される。
【0032】
音響光学的構成素子1を制御するためにとりわけ3つのラジオ周波数発生器9が設けられており、これらのラジオ周波数発生器はプロセッサないしコンピュータ10の制御信号により制御される。
【0033】
ラジオ周波数発生器(複数)9は、一方ではコンピュータ10を介して制御信号を受け取り、他方では音響光学的構成素子1ないしはそこにある結晶2に配設された温度センサ4を介して温度特異的(spezifisch)な信号を受け取る。これによりそれぞれのラジオ周波数発生器9で、ラジオ周波数を温度補償のために適合することができる。
【0034】
図2に示された実施形態では、それぞれのラジオ周波数発生器9において、ラジオ周波数発生器9における規定の基準温度を参照(基礎と)して、コンピュータ10から提供される目標ラジオ周波数を考慮しつつ、もっぱら音響光学的構成素子1のそれぞれの温度のみを考慮して、音響光学的構成素子1の温度変動に起因する機能異常が補償される。真の温度が連続的に温度センサ4を介して検出され、ラジオ周波数発生器9に送信される。このラジオ周波数発生器は、連続的にラジオ周波数に対する新たな値を計算し、この値を所属の音響光学的構成素子1ないしそこにある結晶2に送信する。
【0035】
最後に、前記の実施形態の説明は、特許請求された技術思想の説明のためにだけ用いるものであり、当該技術思想は、この実施形態に制限されるものではないことを述べておく。
【符号の説明】
【0036】
1 音響光学的構成素子
2 音響光学的結晶
3 結晶ホルダ
4 温度センサ
5 トランスデューサ
6 AOBS
7 マージモジュール(統合モジュール)
8 レーザ光源
9 ラジオ周波数発生器
10 プロセッサ、コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通過する光、とりわけ顕微鏡、有利には共焦点レーザ走査顕微鏡の光路中の照明光および/または検知光に作用を及ぼすための音響光学的構成素子(1)を制御する装置であって、該制御装置は前記音響光学的構成素子(1)にラジオ周波数を供給するためのラジオ周波数発生器(9)を備える形式の装置において、
前記音響光学的構成素子(1)の温度変動に起因する機能異常(誤作動)が、ラジオ周波数の適合によって補償可能であることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記ラジオ周波数は、目標ラジオ周波数から出発して、前記音響光学的構成素子(1)で直接検出可能な温度に依存して適合されることを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記音響光学的構成素子(1)は光学的特性が可変である結晶(2)を有し、
前記結晶(2)における温度を直接検出する温度センサ(4)が設けられていることを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記音響光学的構成素子(1)における実際の温度に相応する信号が前記ラジオ周波数発生器(9)に供給可能であることを特徴とする請求項2または3記載の装置。
【請求項5】
前記ラジオ周波数の適合に用いられる補償係数は、もっぱら前記音響光学的構成素子(1)の温度と前記目標ラジオ周波数とから求めることができることを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記音響光学的構成素子(1)において連続的に実際の温度が検出され、該実際の温度に相応する信号がプロセッサ(10)に、前記ラジオ周波数発生器(9)に対する制御信号の生成のために供給され、
前記制御信号は、前記音響光学的構成素子(1)におけるそれぞれの温度に基づいてラジオ周波数を生成するために用いられることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
前記音響光学的構成素子(1)において連続的に実際の温度が検出され、該実際の温度に相応する制御信号が、前記音響光学的構成素子(1)におけるそれぞれの温度に基づいてラジオ周波数を生成するために、ラジオ周波数発生器(9)に供給されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項8】
前記光路には複数の音響光学的構成素子(1)が設けられており、
前記音響光学的構成素子(1)の数に相応して複数のラジオ周波数発生器(9)が設けられており、
該ラジオ周波数発生器(9)には共通のプロセッサ(10)を介して、それぞれの音響光学的構成素子(1)における温度に基づいてラジオ周波数を生成するための制御信号が供給されることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項記載の装置。
【請求項9】
前記音響光学的構成素子(1)はAOTF(音響光学的波長可変フィルタ)であることを特徴とする請求項1から8までのいずれか1項記載の装置。
【請求項10】
前記音響光学的構成素子(1)はAOD(音響光学的偏向器)であることを特徴とする請求項1から9までのいずれか1項記載の装置。
【請求項11】
前記音響光学的構成素子(1)はAOM(音響光学的変調器)であることを特徴とする請求項1から10までのいずれか1項記載の装置。
【請求項12】
前記音響光学的構成素子(1)は、プログラミング可能ビームスプリッタ内の構成素子であることを特徴とする請求項1から11までのいずれか1項記載の装置。
【請求項13】
前記音響光学的構成素子(1)は周波数シフタであることを特徴とする請求項1から12までのいずれか1項記載の装置。
【請求項14】
通過する光、とりわけ顕微鏡、有利には共焦点レーザ走査顕微鏡の光路中の照明光および/または検知光に作用を及ぼすための音響光学的構成素子(1)を制御する方法であって、前記音響光学的構成素子(1)にラジオ周波数を供給するためのラジオ周波数発生器(9)を備える、とりわけ請求項1から13までのいずれか1項に記載の装置の使用のための、方法において、
前記音響光学的構成素子(1)の温度変動に起因する機能異常(誤作動)が、ラジオ周波数の適合によって補償されることを特徴とする方法。
【請求項15】
前記ラジオ周波数は、目標ラジオ周波数から出発して、前記音響光学的構成素子(1)で直接検出可能な温度に依存して適合されることを特徴とする請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記音響光学的構成素子(1)が光学的特性が可変である結晶(2)を有し、
前記結晶(2)における温度を直接検出する温度センサ(4)が設けられている請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記音響光学的構成素子(1)における実際の温度に相応する信号が、前記ラジオ周波数発生器(9)に供給されることを特徴とする請求項15または16記載の方法。
【請求項18】
前記ラジオ周波数の適合に用いられる補償係数は、もっぱら前記音響光学的構成素子(1)の温度と前記目標ラジオ周波数とから求められることを特徴とする請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記音響光学的構成素子(1)において連続的に実際の温度が検出され、該実際の温度に相応する信号がプロセッサ(10)に、前記ラジオ周波数発生器(9)に対する制御信号の生成のために供給され、
前記制御信号は、前記音響光学的構成素子(1)におけるそれぞれの温度に基づいてラジオ周波数を生成するために用いられることを特徴とする請求項14から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
前記音響光学的構成素子(1)において連続的に実際温度が検出され、該実際温度に相応する制御信号が、前記音響光学的構成素子(1)におけるそれぞれの温度に基づいてラジオ周波数を生成するために、ラジオ周波数発生器(9)に供給されることを特徴とする請求項14から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
前記光路には複数の音響光学的構成素子(1)が設けられており、
前記音響光学的構成素子(1)の数に相応して複数のラジオ周波数発生器(9)が設けられており、
該ラジオ周波数発生器(9)には共通のプロセッサを介して、それぞれの音響光学的構成素子(1)における温度に基づいてラジオ周波数を生成するための制御信号が供給されることを特徴とする請求項14から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置を、場合により請求項14から21までのいずれか1項記載の方法を用いて光学的コヒーレントトモグラフに使用すること。
【請求項23】
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置を、場合により請求項14から21までのいずれか1項記載の方法を用いて白色光干渉計に使用すること。
【請求項24】
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置を、場合により請求項14から21までのいずれか1項記載の方法を用いてリソグラフでの光学的ピンセットに使用すること。
【請求項25】
請求項1から13までのいずれか1項記載の装置を、場合により請求項14から21までのいずれか1項記載の方法を用いて距離/間隔測定に使用すること。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−504244(P2011−504244A)
【公表日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532587(P2010−532587)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065052
【国際公開番号】WO2009/060027
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(505211385)ライカ ミクロジュステムス ツェーエムエス ゲーエムベーハー (25)
【Fターム(参考)】