説明

音響効果付与システム

【課題】ネットワークを介して接続された端末において取得された音声に対してリアルタイムで音響効果を付与することができる音響効果付与システムを提供する。
【解決手段】ユーザはカラオケ装置3においてエフェクト処理の種別と楽曲の選択を行い、選択したエフェクト処理種別と楽曲をカラオケ装置3からホストサーバ2へ要求する。カラオケ装置3は、ホストサーバ2から配信される楽曲データを再生すると共に、ユーザが歌唱した音声データをホストサーバ2へ遂次送信する。ホストサーバ2はカラオケ装置3から送信された歌唱音声データに要求されたエフェクト処理種別のエフェクト処理を行ってカラオケ装置3へ送信し、カラオケ装置3においてエフェクト処理された歌唱音声データと楽曲データの音声信号の音声を出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して接続された端末から送信された音声に音響効果を付与する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ある端末においてエフェクト処理された音声データとエフェクト処理時の音声制御パラメータを、その端末と通信網を介して接続された他の機器に送信し、その機器において、音声制御パラメータに基づいて、一部のエフェクト処理を解除した音声データを送信元の端末に送信する技術が下記の特許文献1に開示されている。この技術は、悪意者からのエフェクト処理された音声データをできるだけ元の音声に戻すことができるので犯罪等を未然に防止することに対して効果的に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−6900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、楽器の演奏音や歌声等にエコー等の音響効果をリアルタイムで付与して聞きたい場合、音響効果を付与するためのエフェクタ装置がなければこれを実現することはできない。上記従来技術は、エフェクト処理された音声を元の音声に戻す技術であり、通信網を介してリアルタイムでエフェクト処理を行うことはできない。
本発明は、ネットワークを介して接続された端末において取得された音声に対してリアルタイムで音響効果を付与することができる音響効果付与システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る音響効果付与システムは、ネットワーク接続された第1装置と第2装置を有する音響効果付与システムであって、前記第1装置は、オーディオ信号を遂次取得する取得手段と、前記取得手段により取得された前記オーディオ信号を順次符号化した第1のオーディオストリームデータを前記第2装置へ送信する送信手段と、前記送信手段により送信した前記第1のオーディオストリームデータにリアルタイムで所定の音響効果が付与された第2のオーディオストリームデータを前記第2装置から受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記第2のオーディオストリームデータを復号して出力する出力手段とを備え、前記第2装置は、前記第1装置から前記第1のオーディオストリームデータを受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記第1のオーディオストリームデータに対して前記所定の音響効果を付与し、前記第2のオーディオストリームデータを生成する音響効果付与手段と、前記音響効果付与手段により生成された前記第2のオーディオストリームデータを前記第1装置へ送信する送信手段とを備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1装置に音響効果付与手段を備えなくとも、ネットワークを介して接続された第2装置で第1のオーディオストリームデータに音響効果を付与した第2のオーディオストリームデータを第1装置において出力することができる。
【0007】
また、前記第1装置において、音響効果の種別を指示する指示手段を備え、前記送信手段は、前記指示手段により指示された前記音響効果の種別を示す種別情報と前記第1のオーディオストリームデータと共に前記第2装置へ送信し、前記第2装置において、前記音響効果付与手段により付与可能な前記音響効果の種別を記憶する記憶手段と、前記受信手段は、前記第1装置から前記第1のオーディオストリームデータと前記種別情報を受信し、前記音響効果付与手段は、前記受信手段により受信された前記種別情報に対応する、前記記憶手段に記憶されている前記種別の前記音響効果を前記第1のオーディオストリームデータに付与し、前記第2のオーディオストリームデータを生成することとしてもよい。この構成によれば、第1装置において所望する音響効果の種別を任意に指定することができる。
【0008】
また、前記第1装置において、前記所定の音響効果を付与するための音響効果付与プログラムを記憶する記憶手段を備え、前記送信手段は、前記第1のオーディオストリームデータと前記記憶手段に記憶されている前記音響効果付与プログラムを送信し、前記第2装置において、前記受信手段は、前記第1のオーディオストリームデータと前記音響効果付与プログラムとを受信し、前記音響効果付与手段は、前記受信手段により受信された前記音響効果付与プログラムを実行し、当該音響効果付与プログラムにおいて指定されている音響効果を前記第1のオーディオストリームデータに付与して前記第2のオーディオストリームデータを生成することとしてもよい。
この構成によれば、第2装置において音響効果付与プログラムを備えていない場合であっても、第1装置から送信された音響効果付与プログラムを用いて、第1装置から送信されたオーディオストリームデータに音響効果を付与することができる。
【0009】
また、前記第1装置において、前記第1のオーディオストリームデータには、前記所定の音響効果を付与する指示情報を含み、前記第2装置において、前記音響効果付与手段は、前記第1のオーディオストリームデータに含まれる前記指示情報に従って前記第2のオーディオストリームデータを生成することとしてもよい。
この構成によれば、オーディオストリームデータに予め設定された音響効果の指示情報に従って音響効果が付与されるので、オーディオストリームデータの内容に適応した音響効果を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る音響効果付与システムの構成例を示す図である。
【図2】実施形態に係るホストサーバ2とカラオケ装置3のブロック図である。
【図3】実施形態における楽曲データのデータ構成例を示す図である。
【図4】実施形態に係る音響効果付与システムの動作フロー図である。
【図5】実施形態における楽曲及びエフェクト処理種別選択画面の例を示す図である。
【図6】変形例におけるエフェクトポート番号情報のデータ例を示す図である。
【図7】変形例におけるホストサーバ2とカラオケ装置3のブロック図である。
【図8】変形例における音響効果付与システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の音響効果付与システムについて説明する。
<実施形態>
(構成)
図1は、本実施形態に係る音響効果付与システムの構成を示している。音響効果付与システム1は、第2装置として構成されたホストサーバ2、及び第1装置として構成されたカラオケ装置3を含み、ホストサーバ2とカラオケ装置3はIPネットワーク網のネットワーク4を介して接続されている。本実施形態では、ホストサーバ2は、ネットワーク4を介してカラオケの楽曲データをカラオケ装置3に提供すると共に、カラオケ装置3を用いてユーザが歌った音声にリバーブ等のエフェクト処理をリアルタイムで行うサービスを提供する。
【0012】
以下、音響効果付与システム1の詳細について図2を用いて説明する。図2は、本実施形態に係るホストサーバ2とカラオケ装置3のブロック図である。まず、ホストサーバ2について説明する。ホストサーバ2は、制御部200、記憶部210、エフェクト処理部220、及び通信I/F230を含んで構成されている。制御部200は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のメモリを含んで構成されており、RAMをワーキングエリアとしてROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部200と接続されている各部を制御する。
【0013】
記憶部210は、ハードディスク等の大容量記憶媒体で構成されており、複数の楽曲データ及びエフェクト処理部220によって実行されるエフェクト処理プログラムが記憶されている。ここで、楽曲データについて説明する。図3は、楽曲データのデータ構成例を示している。楽曲データ20は、楽曲ヘッダ20aと演奏情報20b及び歌詞情報20cを含んで構成されている。楽曲ヘッダ20aには、楽曲を一意に識別する曲番号、楽曲の曲名、楽曲の演奏時間の各々を示すデータが格納されている。また、演奏情報20bには、楽曲の演奏を行う各パートの楽器の演奏音や歌唱音声を示すWAVE形式やMP3(MPEG-1 Audio Layer-3)等の形式で表現された演奏データが記憶されている。また、歌詞情報20cには、楽曲の歌詞の内容を示す歌詞データと、歌詞データを表示するタイミングや表示位置等のデータが対応づけて記憶されている。
【0014】
図2に戻り説明を続ける。エフェクト処理部220は、DSP(Digital Signal Processor)等の信号処理機能を有するハードウェアで構成されており、制御部200の制御の下、記憶部210に記憶されている所定のエフェクト処理プログラムを実行し、予めエフェクト処理プログラムにおいて指定されているパラメータに従って入力される音声データに対してエフェクト処理を行う。なお、本実施形態ではリバーブとディレイのエフェクト処理を行うエフェクト処理プログラムが記憶されているが、これら以外のエフェクト処理を行うプログラムが記憶されていてもよい。
通信I/F230は、制御部200から送出されるデータのIPパケットを生成してネットワーク4に送信すると共に、ネットワーク4を介してカラオケ装置3からIPパケットを受信してIPパケット内のデータを制御部200へ送出する。
【0015】
次に、カラオケ装置3の構成について説明する。カラオケ装置3は、制御部300、音源装置310、音声処理部320、スピーカ321、マイク322、操作部330、表示部340、通信I/F350及び記憶部360を含んで構成されている。制御部300は、CPUと、ROM及びRAMのメモリを含んで構成されており、RAMをワーキングエリアとしてROMに記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部300と接続されている各部を制御する。
【0016】
音源装置310は、例えばMIDI音源であり、ホストサーバ2から配信される楽曲データに基づいて楽音データを生成して音声処理部320へ送出する。音声処理部320は、音源装置310から送出される楽音データと、制御部300から入力される音声データをアナログの音声信号に変換し、各音声信号をミキシングして増幅し、スピーカ321から出力すると共に、マイク322から入力される音声信号をデジタル変換した音声データを制御部300へ送出する。スピーカ321は、音声処理部320から入力される音声信号を出力し、マイク322はユーザの音声を収音して音声処理部320へ出力する。
【0017】
操作部330は、テンキーや方向キーなどの各種キースイッチを有する。ユーザは楽曲の選択やエフェクト処理の選択等をこれらのキーを用いて行い、ユーザによってなされたキー操作の情報が制御部300に送出される。
表示部340は、液晶等のディスプレイを有し、制御部300の制御の下、カラオケ装置3を操作するためのメニュー画面、楽曲及びエフェクト処理種別を選択するための楽曲・エフェクト処理種別選択画面、所定の背景画像に楽曲の歌詞を重ね合わせたカラオケ画面などの各種画面を表示する。
通信I/F350は、制御部300から送出される楽曲の曲番号とエフェクト処理種別を含む要求データや音声データを所定データ単位にパケット化してネットワーク4へ送信すると共に、ネットワーク4を介してホストサーバ2からIPパケットを受信してIPパケット内の楽曲データや音声データを制御部300へ送出する。記憶部360は、ハードディスク等の記憶媒体で構成されており、ホストサーバ2において提供されているエフェクト処理種別の情報(リバーブ、ディレイ)や、カラオケ画面を表示する際の背景画像データ等の各種データを記憶している。
なお、本実施形態においては、背景画像データを、カラオケ装置3の記憶部360に記憶する構成としているが、ホストサーバ2において背景画像データと楽曲データを記憶し、ネットワーク4を通じて、ホストサーバ2から背景画像データ及び楽曲データをリアルタイムでカラオケ装置3に送る構成としてもよい。また、ネットワーク4を介してカラオケ装置3と接続された他のサーバにおいて記憶されている背景画像データをカラオケ装置3に送信し、カラオケ装置3は、その他のサーバから送信された背景画像データをホストサーバ2から受信した楽曲データと共に再生して表示部340に表示するようにしてもよい。
【0018】
(動作)
次に、本実施形態に係る音響効果付与システム1の動作について説明する。図4は、音響効果付与システム1の動作フローを示す図である。カラオケ装置3において、ユーザが操作部330を用いて楽曲・エフェクト処理種別選択画面を表示する操作を行うと、制御部300は、記憶部360からエフェクト処理種別情報を読み出し、図5に示す楽曲・エフェクト処理種別選択画面30を表示部340に表示し、ユーザから楽曲の曲番号30a及びエフェクト処理種別30bを入力する操作を受付ける(ステップS10)。
【0019】
制御部300は、操作部330を介してユーザから楽曲の曲番号の入力とエフェクト処理種別を選択する操作を受付けると(ステップS11:YES)、入力された楽曲の曲番号とエフェクト処理種別のデータを含む要求データのIPパケットを通信部I/F350を介してホストサーバ2へ送信する(ステップ12)。
【0020】
ホストサーバ2の通信I/F230は、カラオケ装置3から要求データを含むIPパケットを受信し、IPパケット内の曲番号とエフェクト処理種別の各データを制御部200へ送出する(ステップ20)。制御部200は、通信I/F230から送出されたエフェクト処理種別データをRAMに記憶し、曲番号データが示す楽曲データを記憶部210の楽曲データ20から読み出し、その楽曲データを含むIPパケットを通信I/F部230を介してカラオケ装置3へ送信する(ステップS21)。
【0021】
カラオケ装置3の制御部300は、楽曲データを通信I/F部350を介してホストサーバ2から受信し、楽曲データをRAMに記憶する(ステップS13)。そして、制御部300は、RAMから楽曲データの演奏情報を順次読み出して音源装置310へ送出し、音源装置310により演奏情報に応じた楽音データを生成し、音声処理部320により楽音データをアナログ変換してスピーカ321から出力する。また、制御部300は、記憶部360に記憶されている背景画像データと楽曲データの歌詞情報を表示部340に送出し、表示部340により歌詞情報に基づく文字データと背景画像データとを重ね合わせたカラオケ画面を生成して表示する。これにより楽曲データの演奏が開始される。また、制御部300は、マイク322によって収音された音声信号を音声処理部320により順次デジタル変換して歌唱音声データを生成する (ステップS14)。
【0022】
制御部300は、音声処理部320において順次生成された歌唱音声データを所定の通信プロトコル(例えばRTPプロトコル)に従ってパケット化した歌唱音声パケットを生成する。そして、通信I/F350により歌唱音声パケットを含むIPパケットを順次ホストサーバ2へ送信する(ステップS15)。なお、この歌唱音声パケットのパケットヘッダには、送信先のホストサーバ2のIPアドレス、送信元のカラオケ装置3のIPアドレス、及びタイムスタンプ情報としてパケットの送信開始からの時刻を含めて送信する。
【0023】
ホストサーバ2の通信I/F230は、カラオケ装置3から歌唱音声パケットを含むIPパケットを順次受信し、その歌唱音声パケットを制御部200へ順次送出する(ステップS22)。
制御部200は、通信I/F230から送出される歌唱音声パケット内のタイムスタンプ情報をRAMに記憶し、歌唱音声パケット内の歌唱音声データをエフェクト処理部220に順次送出すると共に、RAMに記憶されているエフェクト処理種別に応じたエフェクト処理を行うことを指示するコマンドをエフェクト処理部220に送出する。エフェクト処理部220は、指示されたエフェクト処理種別に対応するエフェクト処理プログラムを記憶部210から読み出して実行し、制御部200から順次入力される歌唱音声データに対してエフェクト処理を行い、エフェクト処理後のエフェクト音声データを制御部200へ順次出力する(ステップS23)。
【0024】
制御部200は、エフェクト処理部220によって出力されたエフェクト音声データに対応するタイムスタンプ情報をRAMから読み出し、読み出したタイムスタンプ情報をエフェクト音声データに対応づけて通信I/F230に送出する。通信I/F230は、エフェクト音声データとタイムスタンプ情報を含むIPパケットを生成してカラオケ装置3へ送信する(ステップS24)。制御部200は、歌唱音声データの受信を終了するまで上記ステップS22以下の処理を繰り返し行い(ステップS25:NO)、歌唱音声データの受信を終了したときに処理を終了する(ステップS25:YES)。
【0025】
カラオケ装置3の通信I/F350は、ステップS24においてホストサーバ2から順次送信されるIPパケットを受信し、受信したIPパケット内のエフェクト音声データとタイムスタンプ情報を制御部300へ順次送出する(ステップS16)。制御部300は、通信I/F350から順次送信されてくるエフェクト音声データのタイムスタンプ情報を参照し、タイムスタンプ情報の時刻順となるようにエフェクト音声データを音声処理部320へ出力する。音声処理部320は、制御部300から入力されるエフェクト音声データをアナログ変換した音声信号と、音源装置310によって再生された楽音データの楽音信号とをミキシングして増幅し、スピーカ321から出力する(ステップS17)。これにより、ユーザが歌唱した音声にリバーブ等のエフェクト処理がなされた音声がスピーカ321から出力される。
【0026】
制御部300は、楽曲データの演奏が終了するまでステップS14以下の処理を繰り返し行い(ステップS18:NO)、演奏が終了したときに処理を終了する(ステップS18:YES)。また、ステップS11において、制御部300は、ユーザから楽曲の曲番号及びエフェクト処理種別の選択を受付けるまで楽曲及びエフェクト選択画面を表示して待機する(ステップS11:NO)。なお、本実施形態では、楽曲の曲番号と共にエフェクト処理種別の選択を行わなければ次のステップの処理を行わないように制御する例であるが、楽曲の曲番号のみを選択し、エフェクト処理種別の選択が行われなった場合には、選択された楽曲データをホストサーバ2から受信して通常のカラオケ演奏を行うようにしてもよい。
上述の本実施形態では、ホストサーバ2にアクセスし、ホストサーバ2によって提供されているエフェクト処理種別を選択するだけで、カラオケ装置3においてユーザが歌唱した音声がリアルタイムにエフェクト処理されて楽曲と共に出力される。従って、カラオケ装置3にエフェクト処理の機能が搭載されていない場合であっても、容易にユーザの音声にエコー等の音響効果を付与することができる。
【0027】
<変形例>
以下、本発明の変形例について説明する。
(1)上述した実施形態では、エフェクト処理種別の選択をカラオケ装置3の操作部330を用いて行う例であったが、楽曲データに予め設定されたエフェクト処理情報に従ってユーザの音声にエフェクト処理を行うようにしてもよい。この場合には、エフェクト処理を行う演奏タイミングとエフェクト処理種別を示すエフェクト処理情報を楽曲データのシーケンス情報として予め設定しておく。カラオケ装置3の音源装置310が楽曲データを再生する際にシーケンス情報を参照し、エフェクト処理種別が設定されている演奏タイミング時において、その演奏タイミングにおける楽音データとエフェクト処理種別を音声処理部320へ送出する。そして、音声処理部320は、その楽音データの音声信号をスピーカ321から出力すると共に、マイク322により収音した音声信号の歌唱音声データとエフェクト処理種別を制御部300に送出する。制御部300は、音声処理部320から送出された歌唱音声データとエフェクト処理種別を通信I/F部350を介してホストサーバ2へ送信する。ホストサーバ2の制御部200は、カラオケ装置3から受信した歌唱音声データとエフェクト処理種別をエフェクト処理部220に出力して、実施形態と同様に、エフェクト処理部220によりエフェクト処理を行い、エフェクト音声データをカラオケ装置3へ送信する。カラオケ装置3は、ホストサーバ2から受信したエフェクト音声データの音声信号と楽音データの音声信号を音声処理部320においてミキシングしてスピーカ321から出力する。
【0028】
(2)また、上述した実施形態では、カラオケ装置3においてユーザに選択されたエフェクト処理種別を要求データとしてホストサーバ2へ送信するものとしたが、カラオケ装置3からホストサーバ2へ歌唱音声データを送信する際にエフェクト処理種別を示す情報を付加して送信するようにしてもよい。この場合には、ホストサーバ2において予めエフェクト処理プログラムに対応するホストサーバ2のポート番号等の識別情報を設定し、カラオケ装置3においてエフェクトポート番号情報を予め記憶する。図6は、エフェクトポート番号情報40のデータ例を示している。図6に示すようにエフェクトポート番号情報40は、エフェクト処理プログラムを識別するエフェクト処理種別と、エフェクト処理プログラムに割当てられたポート番号とを対応づけて記憶している。
そして、カラオケ装置3において、ユーザによって指定されたエフェクト処理種別に対応するポート番号を歌唱音声データの送信パケットに含めて送信し、ホストサーバ2は、受信したパケットに含まれるポート番号に対応するエフェクト処理プログラムをエフェクト処理部220により実行して歌唱音声データにエフェクト処理を行うようにする。
【0029】
(3)また、上述した実施形態では、ホストサーバ2は予め設定されたエフェクト処理プログラムを実行してエフェクト処理を行う例であったが、カラオケ装置3からエフェクト処理プログラムをホストサーバ2に送信してエフェクト処理を行うようにしてもよい。この場合には、あらかじめカラオケ装置3においてエフェクト処理種別毎のエフェクト処理プログラムを記憶し、ユーザによって選択されたエフェクト処理種別のエフェクト処理プログラムを楽曲データの要求データと共にホストサーバ2に送信する。そして、ホストサーバ2の制御部200は、送信されたエフェクト処理プログラムを記憶部210に記憶し、カラオケ装置3から歌唱音声データが送信されてきた際に、記憶部210に記憶されているエフェクト処理プログラムを実行するコマンドと歌唱音声データをエフェクト処理部220に送出し、エフェクト処理部220によりエフェクト処理プログラムを実行して歌唱音声データにエフェクト処理を行うようにする。
【0030】
(4)また、上述した実施形態では、カラオケ装置3においてユーザの音声を収音し、その収音した音声にエフェクト処理を行う例について説明したが、楽器等を演奏したオーディオ信号を収音し、そのオーディオ信号のオーディオデータにエフェクト処理を行うように構成してもよい。この場合の構成例を図7に示す。図7において、PC等で構成された情報端末5は、実施形態のカラオケ装置3に設けられていた音源装置310を除く実線で示す各部を有し、楽器6のオーディオ信号をマイク322により収音する構成である。また、ホストサーバ2は、実施形態と同様の実線で示す各部を備えているものとする。このような構成において、ユーザは楽器6の演奏開始前に、操作部330を用いてホストサーバ2が提供するエフェクト処理の種別を選択する。制御部300は選択されたエフェクト処理種別の情報を通信I/F350を介してホストサーバ2に送信し、ホストサーバ2の制御部200は、情報端末5から送信されたエフェクト処理種別をRAMに記憶する。ユーザが楽器6の演奏を開始すると、マイク322により楽器6のオーディオ信号を収音し、制御部300は、収音されたオーディオ信号のオーディオデータを音声処理部320により順次生成してホストサーバ2に送信する。ホストサーバ2の制御部200は、実施形態と同様、エフェクト処理部220により、情報端末5から順次送信されてくるオーディオデータをRAMに記憶されているエフェクト処理種別に従ってエフェクト処理を行い、エフェクト処理後のオーディオデータを情報端末5に送信する。情報端末5は、ホストサーバ2から順次送信されてくるオーディオデータを音声処理部320によりアナログ変換してスピーカ321から出力する。
【0031】
また、楽器を演奏するための操作子を用いてエフェクト処理種別を指定するようにしてもよい。この場合には、情報端末5及びホストサーバ2は、図7の実線で示す構成に加えて破線で示した構成を備える。即ち、ホストサーバ2はMIDIデータを再生する音源装置240を備え、情報端末5には楽器7を接続し、楽器7からMIDI形式の演奏データを入力する。また、例えば、楽器7がMIDIキーボードである場合には、キーボードにエフェクト処理種別を選択するための選択ボタンを予め設定しておく。このような構成において、キーボードの演奏にエフェクト処理を行う場合、ユーザはキーボードの演奏中に選択ボタンを押下してエフェクト処理種別を指定する。制御部300は、エフェクト処理種別が割当てられたボタンが押下されている間は、演奏データに加えてそのエフェクト処理種別をホストサーバ2へ順次送信する。ホストサーバ2の制御部200は、送信されてくる演奏データを音源装置230により再生して楽音データを生成し、情報端末5から送信されたエフェクト処理種別に従ってエフェクト処理部220によりその楽音データにエフェクト処理を行い、エフェクト処理された楽音データを情報端末5に送信する。情報端末5の制御部300は、ホストサーバ2から送信されてくるエフェクト処理後の楽音データを音声処理部320においてアナログ変換してスピーカ321から出力する。
【0032】
また、情報端末5の機能を携帯電話機に設け、携帯電話機に内蔵されているマイクで収音したユーザの音声を、携帯電話網を介して接続されたホストサーバ2によりエフェクト処理を行うようにしてもよい。この場合には、ホストサーバ2が提供しているエフェクト処理種別を選択するための選択画面を携帯電話機に表示し、エフェクト処理種別の選択をユーザから受付ける。そして、携帯電話機においてユーザが選択したエフェクト処理種別とユーザの音声データとをホストサーバ2へ送信する。ホストサーバ2は携帯電話機から送信された音声データに対して指定されたエフェクト処理種別のエフェクト処理を行い、エフェクト処理後の音声データを携帯電話機へ送信する。携帯電話機は、ホストサーバ2から受信した音声データを携帯電話機に内蔵されているスピーカから出力してもよいし、その音声データを携帯電話機のメモリに記憶するようにしてもよい。このように構成することにより携帯電話機をボイスチェンジャーのように利用することができる。
【0033】
(5)また、上述した実施形態では、カラオケ装置3は、ホストサーバ2において提供されているエフェクト処理種別を予め記憶部360に記憶している例であったが、図4のステップS10の前に、カラオケ装置3からホストサーバ2にエフェクト処理種別を問い合わせる処理を行い、ホストサーバ2からエフェクト処理種別の情報を受信した後、楽曲・エフェクト処理種別画面を表示するようにしてもよい。
【0034】
(6)上述した実施形態では、ホストサーバ2は複数のエフェクト処理を行うよう構成されていたが、図8に示すように、提供するエフェクト処理が異なるホストサーバ2a〜2cを複数設置するようにしてもよい。この場合には、カラオケ装置3においてホストサーバ2a〜2cのIPアドレスと各ホストサーバに対応するエフェクト処理種別とを対応づけて記憶し、ユーザによって選択されたエフェクト処理種別に対応するホストサーバのIPアドレスやドメイン情報など、ホストサーバを識別する識別情報を指定してエフェクト処理の要求データをそのホストサーバに送信するように構成する。
【0035】
(7)上述した実施形態では、カラオケ装置3において再生されたカラオケの楽曲データの音声信号は、ネットワーク4のネットワーク遅延時間を考慮せずに出力する例であったが、ネットワーク遅延時間分だけ遅延させて楽曲データの音声信号をスピーカ321により出力してもよい。
【0036】
(8)また、所定のエフェクト処理機能を有するアンプ等のエフェクタ装置からホストサーバ2にアクセスし、エフェクタ装置において取得したオーディオデータに対して、エフェクタ装置が有する所定のエフェクト処理機能とは異なるエフェクト処理をホストサーバ2に要求し、ホストサーバ2においてエフェクト処理されたオーディオデータを取得して出力するようにしてもよい。この場合には、エフェクタ装置は、エフェクト処理種別を指定する指定手段と、楽器等のオーディオ信号を取得するオーディオ信号取得手段と、取得したオーディオ信号のオーディオデータに所定のエフェクト処理を行って第1のエフェクトオーディオデータを生成するエフェクト処理手段と、指定されたエフェクト処理種別と当該オーディオデータをホストサーバ2へ送信し、当該オーディオデータに対して指定したエフェクト処理種別のエフェクト処理がなされた第2のエフェクトオーディオデータをホストサーバ2から受信する通信手段と、受信した第2のエフェクトオーディオデータと第1のエフェクトオーディオデータを合成して出力する出力手段とを備えるように構成する。
【符号の説明】
【0037】
1・・・音響効果付与システム、2・・・ホストサーバ、3・・・カラオケ装置、4・・・ネットワーク、200、300・・・制御部、210,360・・・記憶部、220・・・エフェクト処理部、230,350・・・通信I/F、230,310・・・音源装置、320・・・音声処理部、321・・・スピーカ、322・・・マイク、330・・・操作部、340・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された第1装置と第2装置を有する音響効果付与システムであって、
前記第1装置は、
オーディオ信号を遂次取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記オーディオ信号を順次符号化した第1のオーディオストリームデータを前記第2装置へ送信する送信手段と、
前記送信手段により送信した前記第1のオーディオストリームデータにリアルタイムで所定の音響効果が付与された第2のオーディオストリームデータを前記第2装置から受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記第2のオーディオストリームデータを復号して出力する出力手段とを備え、
前記第2装置は、
前記第1装置から前記第1のオーディオストリームデータを受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記第1のオーディオストリームデータに対して前記所定の音響効果を付与し、前記第2のオーディオストリームデータを生成する音響効果付与手段と、
前記音響効果付与手段により生成された前記第2のオーディオストリームデータを前記第1装置へ送信する送信手段と
を備えることを特徴とする音響効果付与システム。
【請求項2】
前記第1装置において、
音響効果の種別を指示する指示手段を備え、
前記送信手段は、前記指示手段により指示された前記音響効果の種別を示す種別情報と前記第1のオーディオストリームデータと共に前記第2装置へ送信し、
前記第2装置において、
前記音響効果付与手段により付与可能な前記音響効果の種別を記憶する記憶手段と、
前記受信手段は、前記第1装置から前記第1のオーディオストリームデータと前記種別情報を受信し、
前記音響効果付与手段は、前記受信手段により受信された前記種別情報に対応する、前記記憶手段に記憶されている前記種別の前記音響効果を前記第1のオーディオストリームデータに付与し、前記第2のオーディオストリームデータを生成することを特徴とする請求項1記載の音響効果付与システム。
【請求項3】
前記第1装置において、
前記所定の音響効果を付与するための音響効果付与プログラムを記憶する記憶手段を備え、
前記送信手段は、前記第1のオーディオストリームデータと前記記憶手段に記憶されている前記音響効果付与プログラムを送信し、
前記第2装置において、
前記受信手段は、前記第1のオーディオストリームデータと前記音響効果付与プログラムとを受信し、
前記音響効果付与手段は、前記受信手段により受信された前記音響効果付与プログラムを実行し、当該音響効果付与プログラムにおいて指定されている音響効果を前記第1のオーディオストリームデータに付与して前記第2のオーディオストリームデータを生成することを特徴とする請求項1記載の音響効果付与システム。
【請求項4】
前記第1装置において、
前記第1のオーディオストリームデータには、前記所定の音響効果を付与する指示情報を含み、
前記第2装置において、
前記音響効果付与手段は、前記第1のオーディオストリームデータに含まれる前記指示情報に従って前記第2のオーディオストリームデータを生成することを特徴とする請求項1記載の音響効果付与システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−237442(P2010−237442A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−85395(P2009−85395)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】