説明

顔料分散液、カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルター、並びに液晶表示装置

【課題】顔料分散性と顔料分散の経時安定性に優れ、インクにした後、硬化膜にしわやクラックが生じ難いカラーフィルター用インクジェットインク用顔料分散液、及びそれを用いたカラーフィルター用インクジェットインクを提供することを主目的とする。
【解決手段】顔料、顔料分散剤、分散補助樹脂、及び溶剤を含有する顔料分散液であって、前記分散補助樹脂が特定の脂環式エポキシ樹脂であることを特徴とする、カラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素部(着色層)のような所定パターンの硬化層を形成するのに用いられるカラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェット用インクの製造方法、当該インクジェット用インクを用いたカラーフィルター、並びに当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることからコストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルターに対するコストダウンの要求が高い。
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルターの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて着色層(画素部)を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−75205号公報
【特許文献2】特開2003−113224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット方式でインクを正確なパターンに合わせて吹き付けて画素を形成するためには、吐出ヘッドから吐出する際の直進性、安定性が求められる。カラーフィルターの着色剤としては顔料を用いることが多いが、カラーフィルター用インクジェットインクの顔料分散性が悪いと、顔料粒子同士の凝集により吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす。従って、着色剤として顔料を用いる場合には、顔料分散性もインクの吐出性能に影響を与える。また、顔料分散性が不十分な場合には、カラーフィルターとした後に輝度やコントラストが低くなる場合がある。
【0005】
顔料分散性を良好にするために、予め顔料分散剤によって顔料を分散して顔料分散液を調製し、その後顔料分散液にバインダー成分を混合してインクが形成されることがある。しかしながら使用する顔料分散剤によっては、インクに調製した後、当該インクを用いて着色層等の硬化膜を作製した場合に、しわやクラックが入り易いという問題があった。特に、液晶表示パネル等の表示パネル用のカラーフィルターの着色層を、インクジェットインクを用いて形成する場合には、基板上に着色層を形成後、必要によってこの上に保護膜を形成し、その後透明電極膜を形成するが、この際に透明電極膜の表面にしわが発生するという問題が起こる。透明電極膜の形成方法は、真空蒸着法、スパッタ法やイオンプレーティング法など、いずれも減圧雰囲気下で基板を加熱することが必要である。たとえば、透明電極膜として代表的なITO膜の真空蒸着成膜を行う場合には、下地となる着色層や保護膜は高温及び真空による超低圧にさらされる。インクから形成された着色層等の硬化膜がこのような超低圧高温条件にさらされると、硬化膜が熱膨張収縮してしわを発生するために、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面にしわやクラックが発生すると考えられる。透明電極膜表面のしわやクラックが起こると、発生箇所で局所的な抵抗率が高くなり断線し、残像が起こったり、ひいては表示不良の原因となる。
【0006】
一方、特許文献2には、熱重合架橋剤として多官能脂環式エポキシ化合物が含まれる光硬化性組成物が開示されている。しかしながら特許文献2には、多官能脂環式エポキシ化合物を顔料分散液に用いる点や、顔料分散性を向上する点や、硬化膜のしわやクラックを防止する点については一切記載されていない。
【0007】
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、顔料分散性と顔料分散の経時安定性に優れ、インクにした後、硬化膜にしわやクラックが生じ難い顔料分散液を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、顔料分散性、経時安定性に優れ、硬化膜にしわやクラックが生じにくく、隣接する層にしわやクラックが生じ難いカラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するインクジェットインクを用いて製造された表示不良が低減した高輝度なカラーフィルターを提供することにある。
また、本発明の第四の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターの製造方法を用いた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液は、顔料、顔料分散剤、分散補助樹脂、及び溶剤を含有する顔料分散液であって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0009】
【化1】

【0010】
(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0011】
【化2】

【0012】
本発明に係るインクジェットインク用顔料分散液は、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いることにより、顔料分散剤のみを用いた場合に比べて、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性が向上し、なお且つインクジェットインクを調製後カラーフィルターに適用したときに、インクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなる。上記分散補助樹脂の添加によりインクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなることから、従来硬化膜にしわが発生するために使用できなかったような顔料分散剤も使用可能になり、顔料分散剤を選択する幅が広まるというメリットもある。
【0013】
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液においては、前記下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂におけるn1〜nkの和が4〜30であることが、膜強度及び分散性の点から好ましい。
【0014】
また、本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液においては、前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して5〜80重量部であることが好ましい。前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して5重量部未満だと、顔料分散性向上効果やインクにして硬化膜作製後の膜強度が不充分となる恐れがある。一方、前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して80重量部超過だと、顔料分散性、及び顔料分散経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0015】
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液においては、前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して50重量%以上の割合で含有すること、インクジェットインクにしたときにヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、効率よく乾燥させることができる点から好ましい。
【0016】
また上記主溶剤が、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上であることが、インクジェットインクにしたときにヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができる点から好ましい。
【0017】
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料、顔料分散液、分散補助樹脂、バインダー系、及び溶剤を含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0018】
【化3】

【0019】
(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0020】
【化4】

【0021】
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、上記本発明に係る顔料分散液を調製後、少なくともバインダー系を添加してなることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いることにより、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性が向上するため、カラーフィルターに適用したときに輝度やコントラストが向上する。更に、インクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなり、透明電極膜等の隣接する層にしわやクラックを生じさせ難くい。また、耐黄変性に優れ、カラーフィルターに適用したときの色純度が良くなる。
【0022】
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記バインダー系が、硬化性として、熱硬化性のみを有することが好ましい。本発明に係るインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、必ずしも露光現像が可能な光硬化性バインダーを用いなくても良く、光硬化性を利用しない場合には、光照射装置を始めとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いというメリットがある。また、エポキシ樹脂等の熱硬化性バインダー系のみを用いる場合には、上記分散補助樹脂として用いる特定のエポキシ樹脂との相乗効果により、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の配合重量比(P/V比)をより高くした場合であっても、硬化膜の耐溶剤性、密着性、超低圧高温下でもしわやクラックが発生し難くなる等、画素の膜物性を良好にすることができる。
【0023】
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記分散補助樹脂が、前記バインダー系100重量部に対して5〜70重量部であることが、好ましい。前記分散補助樹脂が、前記バインダー系100重量部に対して5重量部未満だと、顔料分散性向上効果やインクにして硬化膜作製後の膜強度が不充分となる恐れがある。一方、前記分散補助樹脂が、前記バインダー系100重量部に対して70重量部超過だと、顔料分散性、及び顔料分散経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0024】
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの製造方法は、少なくとも顔料、顔料分散剤及び下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を少なくとも含有する分散体調製溶剤に混合し、分散して顔料分散液を調製する工程と、
【0025】
【化5】

【0026】
(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0027】
【化6】

【0028】
下記1)〜3)のいずれかの方法により溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が60重量%以上になるように調節する工程を有することを特徴とする。
1)得られた上記顔料分散液、及び少なくともバインダー系を、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合する。
2)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
【0029】
また、本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素が、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの硬化膜であることを特徴とする。
また、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液は、上記分散補助樹脂の作用により、顔料分散性と顔料分散の経時安定性に優れ、インクにした後、硬化膜にしわやクラックが生じ難い。本発明に係るインクジェットインク用顔料分散液は、従来硬化膜にしわが発生するために使用できなかったような顔料分散剤を用いても、上記分散補助樹脂の作用によりインクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなることから、顔料分散剤を選択する幅が広まるというメリットもある。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料分散性、経時安定性に優れ、硬化膜にしわやクラックが生じにくく、隣接する層にしわやクラックが生じ難いものである。また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、耐黄変性に優れ、カラーフィルターに適用したときの色純度が良くなる。更に、顔料分散性に優れるので、カラーフィルターに適用したときの輝度及びコントラストが向上する。
【0031】
発明に係るカラーフィルターによれば、上記目的を達成するインクジェットインクを用いて製造されるため、表示不良が低減した高輝度なカラーフィルターを得ることができる。
また、本発明に係る液晶表示装置によれば、より性能の良いカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下において本発明を詳しく説明する。なお本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルのいずれかであることを意味する。
【0033】
以下、本発明について、顔料分散液、カラーフィルター用インクジェットインク、及びその製造方法、カラーフィルター、及び液晶表示装置を順に説明する。
1.顔料分散液
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液は、顔料、顔料分散剤、分散補助樹脂、及び溶剤を含有する顔料分散液であって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0034】
【化7】

(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0035】
【化8】

【0036】
本発明に係るインクジェットインク用顔料分散液は、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いることにより、顔料分散剤のみを用いた場合に比べて、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性が向上し、なお且つインクジェットインクを調製後カラーフィルターに適用したときに、インクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなる。本発明に係るインクジェットインク用顔料分散液は、従来硬化膜にしわが発生するために使用できなかったような顔料分散剤を用いても、上記分散補助樹脂の作用によりインクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなることから、顔料分散剤を選択する幅が広まるというメリットもある。
【0037】
なお、顔料分散液とは、後述のインクジェットインクを調製する前段階において、予備調製されるP/V比(組成物中の顔料分/組成物中の顔料以外の固形分)の高い顔料組成物である。具体的には、P/V比は1.0以上である。顔料分散液と少なくともバインダー系を混合することにより、顔料分散性の高いインクジェットインクを調製することができる。
以下、本発明に係る顔料分散液に用いられる成分を説明する。
【0038】
(顔料)
着色剤としての顔料は、画素(画素部)のR、G、B等や遮光部の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
【0039】
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;
【0040】
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
【0041】
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
【0042】
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
【0043】
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0044】
カラーフィルターの基板上に、本発明のインクジェットインクを用いて遮光部のパターンを形成する場合には、インクジェットインク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。
【0045】
本発明に係るカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液においては、顔料の分散平均粒子径が100nm以下であることが好ましい。このような場合には、顔料分散性、顔料分散経時安定性が良好であり、インクジェットインクを調製後にカラーフィルターに適用したときに輝度やコントラストが向上する。また、インクにした時の吐出安定性も良好になる。
ここで、顔料の分散平均粒子径は、粒度分布計(例えば、日機装社製MICROTRAC UPA MODEL9230)で動的光散乱法(ドップラー散乱光解析)により23℃にて測定されるものである。また、ここでの平均粒子径は、50%平均粒子径、すなわち体積基準中位径である。
本発明に係る顔料分散液においては、顔料の含有量が溶媒を含む顔料分散液全量に対し5〜40重量%であることが、顔料分散性、顔料分散経時安定性の点から好ましい。更に好ましくは、10〜30重量%である。
【0046】
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるために配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
【0047】
また、顔料分散剤の市販品として、Disperbyk−110、116、130、140、160、161、162、163、164、165、166、169、170、171、174、180、182、183、184、185、2000、2001、2020、2050、2070、2090、2091、2095、2096、2150等(以上、BYKchemie社製);EFKA−4008、4009、4010、4047、4050、4055、4080、4400、4401、4402、4403、4406、4500、4510、4520、4530、4540、4550、4560、4702、4747、5010、5044、5054、5055、5063、5064、5065、5066、5071、5207、5244、5744等(以上、Efka CHEMICALS社製);SOLSPERSE5000、11200、12000、13240、13650、13940、16000、17000、18000、20000、21000、22000、24000SC、24000GR、26000、27000、28000、31845、32000,32500、32550、32600、33500、34750、35100、35200、36000、36600、37500、38500、39000等(以上、日本ルーブリゾール社製);ディスパロン#2150、#1210、KS−860、KS−873N、#7004、#1830、#1850、#1860、DA−400、DA703−50、DA−705、DA−725等(以上、楠本化成株式会社製);アジスパーPB−821、PB−822、PB−824、PB−827等(味の素ファインテクノ株式会社製)などを挙げることができる。
本発明の顔料分散液において、顔料分散剤の含有量は、顔料分散性及び顔料分散経時安定性の点から、顔料100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜80重量部である。
【0048】
(分散補助樹脂)
本発明に係る顔料分散液においては、上記顔料分散剤の他に、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂を分散補助樹脂として用いることを特徴とする。
【0049】
【化9】

【0050】
(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0051】
【化10】

【0052】
ここで分散補助樹脂とは、顔料分散剤の作用を増強する働きを有し、顔料分散剤のみを用いたときよりも顔料分散性を向上する補助機能を有するものである。本発明に用いられる上記分散補助樹脂は、各種顔料分散剤の作用を増強し、高い顔料分散性を達成し得る機能と共に、反応性が高い末端エポキシ基を有しているため反応性が高い熱硬化性樹脂としての機能を有する。そのため、顔料分散剤のみを用いた場合には硬化膜にしわやクラックが発生するような顔料分散剤と共に用いても、当該しわやクラックの発生を防止することができる。また、上記特定のエポキシ樹脂は脂環式骨格を有するため、二重結合を有するようなアクリル系骨格や、芳香環骨格を有する場合に比べて、耐黄変性が向上する。
【0053】
上記式(1)におけるR1は、活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基であるが、その前駆体である活性水素を有する有機物としては、アルコール類、フェノール類、カルボン酸類、アミン類、チオール類等があげられる。アルコール類としては、1価のアルコールでも多価アルコールでもよい。
【0054】
例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等の脂肪族アルコール、ベンジルアルコールのような芳香族アルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、シクロヘキサンジメタノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコール等がある。
【0055】
フェノール類としては、フェノール、クレゾール、カテコール、ピロガロール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビスフェノールS、フェノール樹脂、クレゾールノボラック樹脂等がある。
カルボン酸類としてはギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、動植物油の脂肪酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、ドデカン2酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ポリアクリル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等がある。
また,乳酸、クエン酸、オキシカプロン酸等、水酸基とカルボン酸を共に有する化合物もあげられる。
【0056】
アミン類としてはモノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、プロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、オクチルアミン、ドデシルアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、イソホロンジアミン、トルエンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、エタノールアミン等がある。
チオール類としてはメチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、フェニルメルカプタン等のメルカプト類、メルカプトプロピオン酸あるいはメルカプトプロピオン酸の多価アルコールエステル、例えばエチレングリコールジメルカプトプロピオン酸エステル、トリメチロールプロパントリメルカプトプロピオン酸、ペンタエリスリトールテトラメルカプトプロピオン酸等があげられる。
【0057】
さらにその他、活性水素を有する化合物としてはポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル部分加水分解物、デンプン、セルロース、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、ヒドロキシエチルセルロース、アクリルポリオール樹脂、スチレンアリルアルコール共重合樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、アルキッド樹脂、ポリエステルポリオール樹脂、ポリエステルカルボン酸樹脂、ポリカプロラクトンポリオール樹脂、ポリプロピレンポリオール、ポリテトラメチレングリコール等がある。
また、活性水素を有する化合物は、その骨格中に不飽和2重結合を有していても良く、具体例としては、アリルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、3−シクロヘキセンメタノール、テトラヒドロフタル酸等がある。
これら活性水素を有する化合物であればどのようなものでも用いることが出来、それらは2種以上を混合してもよい。
【0058】
一般式(1)において、n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。上記和が100を超える場合には生産性や分散液の保存安定性に問題が生じる恐れがある。kは1〜100の整数を表わす。n1、n2・・・nkはそれぞれ2〜10、更に3〜6が好ましく、kは2〜6が好ましい。上記n1〜nkの和は、4〜30であることが好ましい。n1〜nkの和が4未満だと、硬化後の架橋密度が低くなり十分な膜強度が得られ難い。一方、n1〜nkの和が30超過だと溶剤に溶け難い傾向があり、材料のハンドリング性が悪くなる恐れがある。更に4〜20であることが、膜強度及び分散性の点から好ましい。k個あるAはそれぞれ同一であっても異なっていても良い。
また、Aとしては、式(3)の構造であることがより好ましい。
【0059】
【化11】

【0060】
一般式(1)におけるAの置換基Xの中でも、式(4)の構造が樹脂中に少なくとも1個以上含まれることが必須であるが、多ければ多いほど好ましい。特に、式(6)の構造は少なければ少ないほど好ましい。すなわち、本発明において、置換基Xは式(4)の構造が主なものである。
【0061】
【化12】

【0062】
本発明に用いられる上記式(1)で表されるエポキシ樹脂は、特公平7−119270号におけるように、前記活性水素 を有する化合物を開始剤にして5−ビニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−2−オキシドまたは4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシドとエポキシ基を1個有する化合物との混合物を開環重合させることによって得られるポリエーテル樹脂、すなわち、ビニル基側鎖とノルボルネン骨格またはビニル基側鎖とシクロヘキサン骨格を有するポリエーテル樹脂を過酢酸や過酸化水素などでエポキシ化することにより製造される。
【0063】
本発明に用いられる上記式(1)で表されるエポキシ樹脂の市販品としては、ダイセル化学工業株式会社製、EHPE3150(n1〜nkの和が平均15)を好適なものとして挙げられる。
【0064】
当該分散補助樹脂は、前記顔料分散剤100重量部に対して5〜80重量部、更に10〜60重量部であることが好ましい。前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して5重量部未満だと、顔料分散性向上効果やインクにして硬化膜作製後の膜強度が不充分となる恐れがある。一方、前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して80重量部超過だと、顔料分散性、及び顔料分散経時安定性が悪くなる恐れがある。
【0065】
(溶剤)
本発明に係る顔料分散液には、分散体を調製するための溶剤として、溶剤を含有する。顔料分散液に用いられる溶剤は、顔料分散性を向上させる点も重要であるが、一方で、顔料分散液をインクジェットインクにした場合の溶剤としての性能も考慮する必要がある。
本発明の顔料分散液には、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、特に0.1mmHg以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を分散体調製溶剤の全量に対して50重量%以上の割合で配合するのが好ましい。
【0066】
沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分は適度な乾燥性及び蒸発性を有している。そのため、このような溶剤成分を高い配合割合で含有する単独溶剤又は混合溶剤を用いると、インクジェットインクが吐出ヘッドのノズル先端において急速には乾燥しないので、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで済む。それと共に、被吐出面に吹き付けた後は乾燥が適度な速度で進行するので、インクが被塗布面になじんで塗工膜表面が水平且つ滑らかになってから、自然乾燥又は一般的な加熱工程によってインクを速やかに且つ完全に乾燥させることができる。湿潤剤や極めて沸点の高い溶剤を用いる場合と比べて、乾燥工程後の塗膜中に溶剤が残留するおそれも少ない。主溶剤として用いられる溶剤成分は、上記した沸点と蒸気圧を有する溶剤であれば1種であっても又は2種以上の混合溶剤であっても良い。
【0067】
また、主溶剤の23℃での表面張力は、28mN/m以上であることが、パターニング時に親疎インク部へのインクの流出を低減できる点から好ましい。なお、主溶剤が2種以上の混合溶剤である場合には、混合溶剤全体として上記表面張力を有することが好ましい。
基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域に本発明のインクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させる場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上、好ましくは30°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを選択して用いてもよい。
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。その結果、微細且つ精緻なインク層のパターンをインクジェット方式により形成できるようになる。
【0068】
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや親水化処理したガラス表面等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
【0069】
主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる:エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類。
また、主溶剤としては、インクにした時の経時安定性の点から、水酸基を含有しないものを用いることが好ましい。
【0070】
主溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の要求を満たしているだけでなく、分子中に水酸基を有していない点でも好ましい。さらに、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散液の調製に用いられている分散性の高い溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散液を調製することができる。
【0071】
好ましいものとして例示した上記溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。従って、これらの溶剤は、基板表面に濡れ性可変層を設けて露光し、露光部分と未露光部分の間の濡れ性の差を利用してインクジェットインクを選択的に付着させる場合にも、主溶剤として好適に用いることができる。
【0072】
また、溶剤中に水分が混入している場合も溶剤中に水分子の水酸基が存在することになるので、水酸基を有する溶剤を用いる場合と同様の問題を生じるおそれがある。従って、水分を実質的に排除するために、水との混和性の低い有機溶剤を用いて顔料分散液を調製するのが好ましい。かかる観点から、顔料分散液を調製する溶剤の水に対する溶解性は、液温が20℃の水100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
具体例として挙げた上記主溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
【0073】
溶剤は、顔料分散性やインク調製後の性能の点から、主溶剤以外の溶剤成分(副溶剤)を含有していても良い。しかしながら、その場合でも、上記した沸点と蒸気圧を有する主溶剤を溶剤全量に対して50重量%以上の割合で使用することが好ましい。主溶剤の割合が溶剤全量の50重量%以上の場合には、当該顔料分散液を用いて後述のインクジェットインクにした時に、主溶剤の割合を高くし易く、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を得ることができ、インクジェットの間欠吐出安定性が向上する。
【0074】
上記主溶剤と組み合わせて用いる副溶剤としては、沸点が130℃以上180℃未満の溶剤成分であることが端部に厚膜部分が生じ難く、且つ表面ムラが低減された良好な塗膜が得られ易い点から好ましい。このような沸点を有する副溶剤は、上記主溶剤よりも適切に低い沸点を有するので、適量組み合わせることにより、インクジェットヘッドのノズル先端においては急速に乾燥しないが、インク層乾燥時に溶質が流動することを抑制し、乾燥速度を適切に調整することが可能になる成分である。副溶剤として用いられる溶剤成分は、上記沸点を有する溶剤であれば単独で又は2種以上混合して用いても良い。
中でも、副溶剤に用いられる各溶剤成分の沸点は、更に、140℃〜180℃であることが、特に140℃〜175℃であることが好ましい。
【0075】
また、前記副溶剤の23℃での粘度は、0.5〜6mPa・sであることが好ましい。このような場合には、副溶剤が含まれることにより、上記主溶剤が奏する効果を阻害することなくインクの粘度を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上する結果、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。その結果、多様化している基板に対しても、着弾したインクが遮光部の際部分にまで濡れ広がることが可能になり、画素の色抜けや輝度低下を防止できる。領域の隅にインクを付着させるために領域の端の方にインクを着弾させる方法もあるが、この方法だと遮光部の間隙からインクが流出する恐れがある。それに対し、本発明のようにインク自体によって遮光部の際部分にまで濡れ広がらせることは、インク流出の恐れがなくより望ましい方法である。前記副溶剤の23℃での粘度は、更に0.5〜3mPa・sであることが好ましい。副溶剤が2種以上混合して用いられる場合には、単独では上記範囲外であっても混合溶剤の粘度が上記範囲であれば、好適に用いられる。ここで、本発明における23℃での粘度は、回転振動型粘度計(例えば、山一電機社製、回転振動型粘度計ビスコメイトVM−1Gなど)により測定することができる。
【0076】
前記副溶剤の23℃での表面張力は、35mN/m以下であれば好適に用いることができる。中でも、前記副溶剤の23℃での表面張力が28mN/m以下である場合には、上記主溶剤が奏する効果を阻害することなく表面張力を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上するため、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。ここで、本発明における23℃での表面張力は、表面張力計(ウィルヘルミ法)(例えば、協和界面科学社製、自動表面張力計CBVP−Zなど)により測定することができる。
【0077】
また、前記副溶剤としては、上記沸点を有する溶剤であれば良いが、主溶剤との相溶性に優れる溶剤を適宜選択して用いることが好ましい。
前記副溶剤としては、具体的には、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールエーテル類や、グリセリン1,3−ジメチルエーテルのようなグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類を含むグリコールエステル類や、グリセリン1−モノアセタートのようなグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類;イソ吉草酸、イソ酪酸、プロピオン酸、酪酸のようなカルボン酸類;イソ吉草酸エチル、蟻酸ヘキシル、酢酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、乳酸メチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチルのような脂肪族エステル類;3−エトキシプロピオン酸エチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸メチルのようなケトカルボン酸エステル類;n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、2−エチルブタノール、グリシドール、n−ヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−オクタノール、シクロヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−ヘプタノールのような1価アルコール類;ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールのようなエーテル類;エチル−n−ブチルケトン、ジイソブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ヘキシルケトン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコールのようなケトン類;ノナン、デカン等のアルカン類等が挙げられる。
【0078】
中でも、グリコールエーテル類やグリセリンエーテル類などの多価アルコールエーテル類を含むエーテル類、およびグリコールエステル類やグリセリンエステル類などの多価アルコールエステル類、脂肪族エステル類、アルコキシカルボン酸エステル類、ケトカルボン酸エステル類を含むエステル類よりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。上記のようなエステル類、およびエーテル類を用いる場合には、バインダー成分等に反応性が高い樹脂を用いた場合であっても、インクの安定性を良好に維持しやすいという利点がある。また、グリコールエーテル類、グリコールエステル類を用いる場合には、ガラス基材に対する濡れ性が向上し、インク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなり、画素の色抜け防止に効果的である。
前記副溶剤としては中でも特にエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、グリセリン1,3−ジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセト酢酸メチル、蟻酸ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸ブチル、酪酸ブチル、クエン酸トリブチル、シュウ酸ジメチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジイソアミルエーテル、及び1、8−シネオールよりなる群から選択される1種以上である溶剤が好適に用いられる。
【0079】
本発明に係る顔料分散液は、以上のような分散体調製溶剤を、当該溶剤を含む顔料分散液の全量に対して、通常は60〜85重量%の割合で用いて調製する。溶剤が少なすぎると、粘度が上昇し、顔料分散性や顔料分散経時安定性が低下しやすい。また、溶剤が多すぎると、顔料濃度が低下し、インクを調製後目標とする色度座標に達成することが困難な場合がある。
【0080】
(顔料分散液の製造方法)
本発明に係る顔料分散液は、上記の顔料、顔料分散剤、上記分散補助樹脂、及び、必要に応じてその他の成分を、任意の順序で有機溶剤に混合し、ニーダー、ロールミル、アトライタ、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の公知の分散機を用いて分散させることによって顔料分散液を調製することができる。
顔料を分散させる際には、ジルコニアビーズ等を適宜加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)等を用いて数時間分散を行うことが好ましい。また、分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過することが好ましい。
このようにして、顔料粒子の分散性に優れた顔料分散液が得られる。この顔料分散液は、顔料分散性に優れたカラーフィルター用インクジェットインクを調製するための予備調製物として用いられる。
【0081】
2.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料、顔料分散液、分散補助樹脂、バインダー系、及び溶剤を含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする。
【0082】
【化13】

【0083】
(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0084】
【化14】

【0085】
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、上記本発明に係る顔料分散液を調製後、少なくともバインダー系を添加してなることを特徴とする。
【0086】
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いることにより、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性が向上するため、カラーフィルターに適用したときに輝度やコントラストが向上する。また、上記特定のエポキシ樹脂は脂環式骨格を有するため、二重結合を有するようなアクリル系骨格や、芳香環骨格を有する場合に比べて、耐黄変性が向上し、その結果、カラーフィルターに適用したときの色純度が良くなる。
【0087】
更に、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いることにより、インクの硬化膜にしわやクラックが生じ難くなり、透明電極膜等の隣接する層にしわやクラックを生じさせ難くい。すなわち、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、上記特定のエポキシ樹脂を含有することにより、熱膨張収縮が極めて小さい塗膜を形成できると推測される。当該インクジェットインクにより形成された硬化後の塗膜は、熱硬化工程又はその前後の工程での加熱処理、或いは製品となった後での高温環境に曝されても、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜に積層された隣接層のしわ等を来たすといった塗膜不良の問題が生じない。
【0088】
特に、液晶表示パネル等の表示パネル用のカラーフィルターの画素や遮光部等の着色層を、本発明に係るインクジェットインクを用いて形成する場合には、透明電極膜や配向膜を形成する工程において、下地となる画素は高温及び真空による超低圧に曝されるが、この場合であっても画素部分のパターンが熱膨張収縮することが少ないために、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生し、断線するという問題が起こらない。従って、本発明に係るインクジェットインクを用いて形成されたカラーフィルターや表示パネルは、表示不良が低減する。
【0089】
本発明に係るインクジェットインクに含まれる各成分のうち、顔料、顔料分散剤、上記特定の分散補助樹脂、及び溶剤については、前記顔料分散液に用いるものと同様のものを用いることができるので、ここでの説明を省略する。
【0090】
(バインダー系)
本発明に用いるインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダー系を含有する。本発明において、バインダー系とはインク中に含まれる、画素を所定の位置に付着させ、固定するために含有させる液状混合物であり、後の硬化プロセスにおいて反応性を有する硬化性化合物の他、それ自体反応性を有さない化合物も含むものである。
【0091】
本発明に用いるインクは、インクジェット方式に用いるインクであるため、所定のパターンを形成するためには、所定のパターン形成領域にのみインクを選択的に付着させて固化すれば形成することができ、露光及び現像を行なうことによりパターンを形成する必要がない。従って、バインダー系としては、必ずしも露光現像が可能な光硬化性バインダー系を用いなくても良く、非硬化性の熱可塑性樹脂組成物を用いても良いが、硬化性の樹脂を含むバインダー系を用いることが硬化皮膜に充分な硬度を付与するため好ましい。
【0092】
硬化性バインダー系としては、例えば、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダー系や、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー系、更には、熱硬化性バインダー及び光硬化性バインダーの両方を含むものを用いることができる。
本発明においては、前記バインダー系が、硬化性として、熱硬化性のみを有し、非光硬化性であることが好ましい。本発明に係るインクは、上述のように必ずしも露光現像が可能な光硬化性バインダーを用いなくても良く、光硬化性を利用しない場合には、光照射装置を始めとする特別な附帯設備が不要となり、生産性が高いというメリットがある。また、エポキシ樹脂等の熱硬化性バインダー系のみを用いる場合には、上記分散補助樹脂として用いる特定のエポキシ樹脂との相乗効果により、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の配合重量比(P/V比)をより高くした場合であっても、硬化膜の耐溶剤性、密着性、超低圧高温下でもしわやクラックが発生し難くなる等、画素の膜物性を良好にすることができる。
【0093】
(1)熱硬化性バインダー系
熱硬化性バインダー系としては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に含有させても良い。
【0094】
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、インクジェットの吐出安定性、及びインクジェットインクにより形成された画素の耐溶剤性、密着性、ITO耐性等の膜物性の点から、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が好適に用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
【0095】
エポキシ化合物としては、硬化膜に耐溶剤性や耐熱性を付与するために、比較的分子量の高い重合体と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させるために、比較的分子量の低い化合物とを併用することが好ましい。
【0096】
i)1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物
通常バインダー系成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(A)で表される構成単位及び下記式(B)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
【0097】
【化15】

(R11は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
【0098】
【化16】

(R13は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(A)で表される構成単位は、下記式(C)で表されるモノマーから誘導される。
【0099】
【化17】

(R11およびR12は式(A)と同じである。)
【0100】
式(C)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明のインクジェットインクから形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(C)において、R12は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
【0101】
上記式(C)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
【0102】
式(C)において、R11として好ましいのは水素またはメチル基であり、R12として好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(C)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
重合体中の式(B)で表される構成単位は、下記式(D)で表されるモノマーから誘導される。
【0103】
【化18】

(R13は式(B)と同じである。)
【0104】
式(D)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有するインクジェットインクは保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(B)または式(D)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(D)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、インクジェットインクの粘度が上昇しやすい。
【0105】
式(D)において、R13として好ましいのは水素またはメチル基である。式(D)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
【0106】
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルターの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(A)あるいは式(B)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
【0107】
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(A)の構成単位と式(B)の構成単位の含有量は、式(A)の構成単位を誘導する単量体と式(B)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(A)を誘導する単量体:式(B)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。
【0108】
式(A)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(B)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
【0109】
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。一方、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、インクジェット方式で吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
【0110】
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあり、少なくともグリシジルメタクリレート(GMA)及びメチルメタクリレート(MMA)を用いて重合させたGMA/MMA系共重合体を用いるのが特に好ましい。なお、GMA/MMA系共重合体は本発明の目的を達成し得るものである限り、他のモノマー成分を含有して重合させたものであってもよい。
【0111】
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、例えば、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら140℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(C)で表されるモノマー、上記式(D)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、110℃に降温して触媒を追加し3時間反応させ、130℃に昇温し2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。
【0112】
本発明に用いる熱硬化性バインダー系には、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいものを用いても良い。中でも、上述のように上記バインダー性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。
【0113】
上記バインダー性エポキシ化合物には、エポキシ基(グリシジル基)が式(B)で表される構成単位によって導入されているため、上記共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。インクジェットインクに比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、インクジェットインク中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
【0114】
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物をインクジェットインクに配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
【0115】
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
【0116】
より具体的には、商品名jER828(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名jER157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名jER154(ジャパンエポキシレジン社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名jER1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名jER1031S(ジャパンエポキシレジン社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名jER190P(ジャパンエポキシレジン社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
【0117】
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名jER157S70(ジャパンエポキシレジン社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
【0118】
<エポキシ化合物の配合割合>
上記バインダー性エポキシ化合物と、必要に応じて配合される多官能エポキシ化合物の配合割合は、重量比ではバインダー性エポキシ化合物を10〜80重量部と多官能エポキシ化合物を10〜60重量部の割合で配合するのが好ましく、バインダー性エポキシ化合物を20〜60重量部と多官能エポキシ化合物を20〜50重量部の割合で配合するのが更に好ましく、バインダー性エポキシ化合物を30〜40重量部と多官能エポキシ化合物を25〜35重量部の割合で配合するのが特に好ましい。
【0119】
ii)硬化剤
本発明に用いられる熱硬化性バインダー系には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
【0120】
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
【0121】
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物と、上記分散補助樹脂として用いられる特定の式(1)で表されるエポキシ樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができないおそれがある。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るおそれがある。
【0122】
iii)触媒
本発明に用いられる熱硬化性バインダー系には、硬化層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR’はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
【0123】
(2)光硬化性バインダー系
i)重合体
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダー系においては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始材、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダー系を構成する。
【0124】
それ自体は重合反応性のない重合体を比較的分子量の高い重合体として用いる場合には、バインダー系に、2官能以上の多官能モノマー、オリゴマーのような多官能重合性成分を配合する。この場合、バインダー系内において、多官能重合性成分が光照射によりそれ自体が自発的に重合するか、或いは、光照射により活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用により重合して塗工膜中にネットワーク構造を形成し、当該ネットワーク構造内に重合反応性のない樹脂や顔料などの成分が包み込まれて硬化する。
【0125】
そのような重合反応性のない重合体としては、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:(メタ)アクリル酸(以後、この表現はアクリル酸とメタクリル酸の両方を総称するものとする。)、メチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
【0126】
それ自体が重合反応性を有する重合体としては、重合反応性のない重合体の分子に重合性の官能基を導入してなるオリゴマー又はオリゴマーよりも高分子量のポリマーであって、光照射を受けてそれ自体が重合反応を生じるか、或いは、光照射を受けて活性化した光重合開始剤などの他の成分の作用により重合反応を誘起するものを用いることができる。
各種のエチレン性二重結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUVインクジェットインクに配合されているプレポリマーは、本発明における比較的分子量の高い重合体として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
【0127】
この中で、ラジカル重合型プレポリマーは、市場において最も容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類などを例示できる。
【0128】
中でも、本発明において好適に用いることができる比較的分子量の高い重合体としては、以下のグラフトポリマーが挙げられる。
本発明において好適に用いられるグラフトポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であり、且つ、主鎖及びグラフト部分のうちの一方がスチレン系モノマー単位を含有するスチレン系ポリマー鎖により構成され、他方がメタクリレート系モノマー単位を含有するメタクリレート系ポリマー鎖により構成されるグラフトポリマーである。
【0129】
上記グラフトポリマーは、スチレン系ポリマー鎖により主鎖(幹部)が構成され、メタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良いし、逆に、メタクリレート系ポリマー鎖により主鎖が構成され、スチレン系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良い。上記したうちでも、スチレン系ポリマー鎖により主鎖が構成され、メタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有するものの方が好ましい。
【0130】
スチレン系ポリマー鎖は、スチレン系モノマーを主成分とするポリマー鎖であって、ただ1種類のスチレン系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種類以上のスチレン系モノマーの共重合体であってもよいし、スチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0131】
スチレン系モノマーとは、スチレンの他、アルキル置換スチレン(メチルスチレン、エチルスチレン、トリメチルスチレン、オクチルスチレンなど)、メトキシスチレン、αメチルスチレン等の、置換基が付いたスチレンモノマーを含む。
スチレン系モノマーと共重合させることができるモノマーとしては、各種の(メタ)アクリレートモノマーや、アクリロニトリル、アミド系モノマー等が挙げられる。
【0132】
本発明に用いるインクジェットインクにおいては、顔料分散性の観点からスチレン系ポリマー鎖は、スチレン系モノマー単位を50重量%以上の割合で含有するのが好ましく、さらには60重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
メタクリレート系ポリマー鎖は、メタクリレートを主成分とするポリマー鎖であり、ただ1種類のメタクリレートの単独重合体であってもよいし、2種類以上のメタクリレートの共重合体であってもよいし、メタクリレートと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0133】
メタクリレート系モノマーとしては、アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n‐ブチルメタクリレート、iso‐ブチルメタクリレート、tert‐ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなど)、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフタルイミドエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、等が挙げられる。Tgが30℃以上のグラフトポリマーが得られるようにメタクリレート系モノマーを選択して用いるのが好ましい。Tgが30℃未満のグラフトポリマーは、硬化後の皮膜硬さが低下するため、好ましくない。
【0134】
また、メタクリレートと共重合させるモノマーとしては、アルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アミドモノマー、イミド基含有モノマー、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、ダイセル化学製の商品名プラクセルFMシリーズ等を用いることができる。
メタクリレート系ポリマーは、比較的高いTgを有し、且つ、スチレンとミクロ相分離を起こすことから硬度・分散性の点で優れている。かかる観点から、メタクリレート系ポリマー鎖はメタクリレート系モノマー単位を50重量%以上の割合で含有するのが好ましく、さらに70重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
【0135】
上記グラフトポリマーは、エチレン性不飽和結合やエポキシ基等の光重合性官能基を有していてもよい。上記グラフトポリマーに光重合性官能基を導入することによって、光硬化性を付与することができる。当該光重合性官能基が導入されたグラフトポリマーは、架橋点が向上して表面硬度が向上する点から、本発明において比較的分子量が高い光硬化性樹脂として好適に用いることができる。グラフトポリマーの重合性官能基がエチレン性不飽和結合である場合には、光ラジカル重合反応により硬化可能であり、当該重合性官能基がエポキシ基である場合には、光カチオン重合が可能である。特に、エチレン性不飽和結合を有するグラフトポリマーは、(メタ)アクリル系モノマー等のエチレン性不飽和結合含有モノマー及び/又はオリゴマーと組み合わせて用いることにより、硬化の反応性に優れるインクジェットインクを得ることができる。光重合性官能基は、スチレン系ポリマー鎖又はメタクリレート系ポリマー鎖の一方又は両方に導入してよく、或いは、主鎖又はグラフト部の一方又は両方に導入してよい。
【0136】
中でも、上記グラフトポリマーとしては、エチレン性不飽和結合をエチレン性不飽和結合当量で1200g/eq以下の割合で有し、且つ、主鎖及びグラフト部分のうちの一方がスチレン系モノマー単位を含有するスチレン系ポリマー鎖により構成され、他方がベンジルメタクリレートから誘導されるモノマー単位を含有するベンジルメタクリレート系ポリマー鎖により構成されるグラフトポリマーが好ましいグラフトポリマーとして挙げられる。メタクリレートモノマーの中でも、ベンジルメタクリレートは特に顔料分散性に優れているため、画素等を形成するためのカラーフィルター用インクジェットインクに用いられることが好ましいからである。
【0137】
当該グラフトポリマーは、スチレン系ポリマー鎖により主鎖(幹部)が構成され、ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良いし、逆に、ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖により主鎖が構成され、スチレン系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良い。上記したうちでも、スチレン系ポリマー鎖により主鎖が構成され、ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有するものの方が好ましい。
当該グラフトポリマーのベンジルメタクリレート系ポリマー鎖は、ベンジルメタクリレートを主成分とするポリマー鎖であり、ベンジルメタクリレートの単独重合体であってもよいし、ベンジルメタクリレートと上述したような他のモノマーとの共重合体であってもよい。
ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖は、ベンジルメタクリレートモノマー単位を30重量%以上の割合で含有するのが好ましく、50重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
【0138】
当該グラフトポリマーは、主鎖又はグラフト部分の少なくとも一方がエチレン性不飽和結合を有しており、光又は熱ラジカル重合反応により硬化可能である。当該グラフトポリマーのエチレン性不飽和結合当量は、1200g/eq以下である必要があり、700g/eq以下であるのが好ましい。ここで、エチレン性不飽和結合当量とは、グラフトポリマーの重量平均分子量を一分子中に含有されるエチレン性不飽和結合の数で除した値である。グラフトポリマーのエチレン性不飽和結合当量が1200g/eqを超える場合には、硬化後の皮膜硬度、及び耐溶剤性が不充分となる場合があり好ましくないからである。一方、エチレン性不飽和結合当量が1200g/eq以下のグラフトポリマーは、一分子中に含まれるエチレン性不飽和結合が多いので耐溶剤性、硬度、強度、密着性などの諸物性に優れるからである。そして、吐出性を向上させるために分子量が比較的小さいグラフトポリマーを用いる場合でも、エチレン性不飽和結合当量が1200g/eq以下であれば充分に硬化させることができるので、吐出性に優れたインクが得られ、且つ、諸物性に優れる硬化皮膜を形成できるからである。
【0139】
グラフトポリマーのグラフト(枝)部分/主鎖(幹)部分の重量比は、20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30であることが好ましい。グラフト部分の重量比が20%を下回ると溶解性、粘度、流動性、吐出性等が悪くなるため、好ましくない。また主鎖部分の重量比が20%を下回ると、顔料分散性が悪くなり好ましくない。
さらに、上記グラフトポリマーの酸価やアミン価を変えることによって、インクの溶剤に対する溶解性、皮膜の耐溶剤性、顔料の分散安定性、染色性、膜硬度、膜強度、などの諸物性を調節できる。
【0140】
上記グラフトポリマーの製造方法としては、(1)ポリマーとパーオキサイド触媒下で、モノマーを重合させて水素引き抜きによりグラフトする方法、(2)片末端に官能基がついたポリマーと他の官能基がついたポリマーを付加反応させる方法、及び、(3)重合性ポリマー(マクロモノマー)とモノマーを共重合させる方法などを利用できるが、生成物の純度が高い点で、マクロモノマー法が好ましい。上記グラフトポリマーの合成手順としては、特開2002−201387号公報の段落番号0094〜0105の具体例を参考にすることができる。
【0141】
なお、本発明に用いるインクはインクジェット方式に用いられるインクであるため、インクの粘度が高すぎて吐出ヘッドからの吐出性に悪影響を及ぼさないように、比較的分子量の高い重合体の分子量は、重量平均分子量で25,000以下であることが好ましい。
比較的分子量の高い重合体は、インクジェットインクの固形分全量に対して、1〜50重量%の割合で配合するのが好ましい。
【0142】
ii)多官能重合性成分
それ自体が重合硬化できる重合性を有する比較的分子量の高い重合体を用いる場合にも、塗膜の強度や基盤に対する密着性を向上させるためには、多官能のモノマーやオリゴマーなどの多官能重合性成分を配合するのが好ましい。重合性を有する比較的分子量の高い重合体の分子は、比較的分子量の高い重合体同士で重合するだけでなく、多官能モノマー等の他の重合性成分とも重合してネットワークを形成し、硬化する。
塗工膜のネットワーク構造を形成する多官能重合性成分としては、2官能以上のモノマー又はオリゴマーを用いることができる。光硬化性樹脂に十分な膜強度や密着性を付与するために、通常は4官能以上のモノマーやオリゴマーが用いられている。
【0143】
しかしながら、特に、本発明に用いるインクはインクジェット方式のインクとして用いるため、比較的分子量の高い重合体以外の重合性成分としては、官能基数が比較的少ない2官能乃至3官能のモノマー又はオリゴマーやモノマーを主体として用いるのが好ましく、粘度が100cps以下の2乃至3官能モノマーを用いるのが特に好ましい。インクジェット方式の吹き付け作業中に、ヘッドの先端での粘度上昇が起こり難くなり、ヘッドの目詰まりが発生せず、作業中におけるインクの吐出性が安定するため、インクの吐出量や吐出方向が安定し、インクを基板上に所定のパターン通り正確に、且つ、均一に付着させることができるからである。
【0144】
2官能乃至3官能のモノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、3−ブチレングリコールジメタクリレート等を例示することができる。
【0145】
本発明に用いるインクジェットインクにおいて、2乃至3官能モノマーの配合割合は、インクジェットインクの固形分全量に対して、20〜70重量%の割合で配合することが好ましい。
2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクジェットインクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがあるからである。
【0146】
ただし、インクジェットインク中に配合される多官能モノマーが全て2乃至3官能性モノマーである場合には、インクの乾燥による粘度上昇が起こり難いので、インクジェットヘッドの吐出性が安定するが、その反面、インク層を硬化して得られた硬化層の膜強度、基板に対する密着性、耐溶剤性等が不十分となる場合がある。そこで、上記の2乃至3官能モノマーと共に、4官能以上の多官能モノマーやオリゴマーを適量配合することにより架橋密度を上げて、硬化層のパターンに十分な膜強度と密着性を付与することができる。
4官能以上の多官能モノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
【0147】
4官能以上の多官能成分は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合することが好ましい。本発明に係るインクジェットインクは、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、望ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とするのが好ましい。
4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがあるからである。
【0148】
iii)単官能重合性成分
また、光硬化性バインダー系には、必要に応じて、単官能のモノマー、オリゴマーを配合してもよい。
単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
【0149】
iv)光重合開始剤
光硬化性バインダー系には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、樹脂や多官能モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)や、各材料の種類を考慮して適宜選択されるが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メチルベンゾイルホルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を用いることができる。
【0150】
なお、光重合開始剤の含有量は、固形分全体に対して0.1〜5重量%、更に固形分全体に対して0.5〜2重量%であることが好ましい。
また、硬化したインク層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占めるバインダー系成分の合計割合を25重量%以上とするのが好ましい。
【0151】
(その他の成分)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)増感剤:例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエートなど。
b)硬化促進剤(連鎖移動剤):例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、
c)高分子化合物からなる光架橋剤又は光増感剤:高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤あるいは光増感剤として機能しうる官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−(メタ)アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
d)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
e)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
f)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
g)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
【0152】
(インクにおける各成分の配合割合)
顔料は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(通常は0.5〜2.5μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料分散液と同様に、顔料分散性及び顔料分散経時安定性の点から、顔料100重量部に対して5〜100重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜80重量部である。
【0153】
分散補助樹脂の含有量は、上記顔料分散液と同様に、顔料分散性及びインク調製後の硬化膜の耐熱性の点から、顔料分散剤100重量部に対し5〜80重量部であることが好ましく、更に好ましくは10〜60重量部である。また、分散補助樹脂の含有量は、前記バインダー系100重量部に対して5〜70重量部であることが好ましい。
バインダー系は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常は20〜80重量%の割合で配合する。
【0154】
また、本発明に係るインクジェットインクにおいて、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.1〜1.2であることが好ましい。
中でも、前記顔料として、C.I.ピグメントレッド254(PR254)、C.I.ピグメントレッド177(PR177)、及びC.I.ピグメントイエロー150(PY150)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、赤色用インクである場合には、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.1〜1.2であることが好ましい。
また、前記顔料として、C.I.ピグメントグリーン36(PG36)、C.I.ピグメントグリーン7(PG7)、C.I.ピグメントイエロー150(PY150)、及びC.I.ピグメントイエロー138(PY138)よりなる群から選択される1種以上の顔料が含まれ、緑色用インクである場合には、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.5〜1.2であることが好ましい。
更に、前記顔料として、C.I.ピグメントブルー15:6(PB15:6)及び/又はC.I.ピグメントバイオレット23(PV23)が含まれ、青色用インクである場合には、顔料以外の固形分(V)に対する前記顔料(P)の配合重量比(P/V)が、0.1〜0.6であることが好ましい。
【0155】
本発明に係るインクジェットインクにおいて、溶剤は、主溶剤の割合が溶剤全量の60重量%以上である。この場合には、後述のインクジェットインクにした時に、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を得ることができ、インクジェットの間欠吐出安定性が向上する。顔料分散性、顔料分散経時安定性、及びインクの濡れ広がり性の点から、主溶剤の割合は、溶剤全量の70〜95重量%、更に溶剤全量の75〜95重量%、より更に溶剤全量の80〜92重量%とするのが好ましい。また、副溶剤の割合は、溶剤全量の5〜30重量%、更に溶剤全量の5〜25重量%、より更に溶剤全量の8〜20重量%とするのが好ましい。
【0156】
このような溶剤は、当該溶剤を含むインクの全量に対して、通常は40〜95重量%、更に、70〜95重量%の割合で用いて吐出させるインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクの粘度が高く、インクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が十分でないうちに、当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲へはみ出し、さらには、隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不十分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い十分な透過濃度を得ることができなくなる。
【0157】
(インクの製造方法)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの製造方法は、少なくとも顔料、顔料分散剤及び下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を少なくとも含有する分散体調製溶剤に混合し、分散して顔料分散液を調製する工程と、
【0158】
【化19】

【0159】
(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【0160】
【化20】

【0161】
下記1)〜3)のいずれかの方法により溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が60重量%以上になるように調節する工程を有することを特徴とする。
1)得られた上記顔料分散液、及び少なくともバインダー系を、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合する。
2)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
【0162】
本発明のインクの製造方法においては、顔料分散液を調製する際に、分散補助樹脂として上記特定のエポキシ樹脂を用いるので、顔料分散性及び顔料分散経時安定性に優れた顔料分散液を得ることができる。その結果、カラーフィルターに適用したときに輝度やコントラストが向上するインクを調製することができる。
【0163】
また、バインダー系や必要に応じて他の成分は、上記1)のように、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合しても良いが、上記2)や上記3)のように、予めバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製した後に、予め得られた顔料分散液と混合した方が、顔料分散性や顔料分散経時安定性を良好に維持する点から好ましい。バインダー溶液を調製するのに用いる溶剤は、用いるバインダーに合わせて前記主溶剤のみでも、副溶剤のみでも、主溶剤及び副溶剤の混合溶媒であっても良い。
【0164】
予めバインダー溶液を調製する場合であっても、最終的に、インクの溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が60重量%以上になるように調節する。そのために残部の溶剤がある場合には、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液やバインダー溶液の調製に用いた溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクジェットインクを完成させても良い。上記3)のように、バインダー溶液と顔料分散液の混合溶液に、更に必要に応じて主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
【0165】
(用途)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素や遮光部等、所定のパターンを有する膜を形成するのに特に好適に用いられる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
【0166】
3.カラーフィルター
次に、本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素が、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの硬化膜であることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターは、前記画素が、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを硬化させて形成したものであることから、上述のようにしわやクラックが生じにくく、着色パターンの変形、塗膜のクラック、密着性の悪化、或いは、該塗膜に積層された隣接層のしわ等を来たすといった塗膜不良の問題が生じない。画素部分のパターンが熱膨張収縮することが少ないために、透明電極膜等の隣接層を歪ませて、その表面に皺が発生し、断線するという問題が起こらない。従って、本発明に係るインクジェットインクを用いて形成されたカラーフィルターや表示パネルは、表示不良が低減する。
【0167】
図1は、本発明に係るカラーフィルターの一例(カラーフィルター101)を示す縦断面図である。このカラーフィルター101は、透明基板1に所定のパターンで形成された遮光部2から形成されるカラーフィルター用基板と、当該カラーフィルター基板上の遮光部2の開口部に所定のパターンで形成した画素7(7R,7G,7B)と、当該画素を覆うように形成された保護膜8を備えている。また、保護膜8上に液晶駆動用の透明電極膜9が形成されている。カラーフィルター101の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成されている。
【0168】
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、遮光部2が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所(図1では4箇所)に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは画素7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター101においては、保護膜8上に透明電極膜9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極膜9を形成しても良い。また、カラーフィルターが遮光部を備えていない場合には、画素を形成していない領域に柱状スペーサーを形成することができる。
【0169】
(透明基板)
透明基板1としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
【0170】
(遮光部)
遮光部2は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。上記遮光部は後述する基材上に形成され、開口部を有するものである。
遮光部としては、通常、同一の形状を有する開口部が等間隔で規則的に形成されたものが用いられる。ここで、上記開口部の具体的な大きさや配置態様は特に限定されるものではなく、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができる。
遮光部としては、所望の遮光性を有する材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、通常、遮光材料および樹脂から構成されるもの、または、金属材料からなるものが用いられる。
【0171】
上記遮光部が遮光材料および樹脂から構成されるものである場合、上記遮光材料としては、一般的にカラーフィルターに用いられる樹脂製遮光部に用いられる材料を用いることができる。このような遮光材料としては、例えば、カーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子等を挙げることができる。
【0172】
上記樹脂としては、例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−ビニル共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、ABS樹脂、ポリメタクリル酸樹脂、エチレン−メタクリル酸樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩素化塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアミック酸樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂等を例示することができる。
【0173】
一方、上記遮光部が金属材料からなるものである場合、上記金属材料としては、所望の遮光性を有する金属であれば特に限定されないが、一般的にはクロム材料が用いられる。
【0174】
また、上記遮光部には撥液性を示す撥液性材料が含有されても良い。このような撥液性材料が含有されることにより、後述する撥液化工程を実施することなく、撥液性に優れた遮光部を有するカラーフィルター用基板を得ることができる。
本発明に用いられる撥液性材料としては、遮光部を形成した際に所望の撥液性を発現できるものであれば特に限定されるものではない。このような撥液性材料としては、例えば、フッ素含有化合物、および、低表面エネルギー物質の微粒子等を挙げることができる。
【0175】
上記フッ素含有化合物としては、例えば、下記式(11)または(12)で表される化合物のモノマーまたはオリゴマー等を例示することができる。
一般式(11):Rf−X−Rf’
一般式(12):(Rf−X−R)−Y−(R’−X’−Rf’)
ここで、上記式(11)または(12)において、RfおよびRf’はフルオロアルキル基、RおよびR’はアルキレン基を表し、RfとRf’また、RとR'は同一でも異なっていても良い。また、X、X’およびYは、−COO−、−OCOO−、−CONR”−、−OCONR”−、−SONR”−、−SO−、−SOO−、−O−、−NR”−、−S−、−CO−、OSOO−、−OPO(OH)O−のうちのいずれかを表し、X、X’およびYは同一でも異なっていても良い。R”はアルキル基または水素を表す。
また、上記フッ素含有化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、パーフルオロエチレンプロピレン樹脂、パーフルオロアルコキシ樹脂等も用いることができる。
【0176】
一方、上記低表面エネルギー物質の微粒子としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン、フルオロオレフィンビニルエーテル系共重合体、3フッ化エチレン−フッ化ビニリデン共重合体等からなる微粒子や、シリコーン微粒子等を挙げることができる。
【0177】
上記遮光部を製造する方法としては、所望の態様で配置された遮光部を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、例えばクロム等の金属を用いたスパッタ法により形成する方法、遮光性粒子を含有させた樹脂組成物を用いたフォトリソグラフィー法、および、上記樹脂組成物を用いた熱転写法等を挙げることができる。また、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクであって黒色顔料などの遮光性粒子を配合してなる遮光部形成用インクを調製し、この遮光部形成用インクを、基板の表面の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を所定のパターン状に形成し、当該インク層を電離放射線照射などの方法で硬化させ、必要に応じてベークすることによって遮光部を形成してもよい。
【0178】
上記遮光部は、インクジェット法により画素部となる着色層を形成する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、着色層の厚さに近い厚さであることが好ましい。遮光部の厚みは適宜選択され、特に限定されないが、具体的には、金属薄膜の場合は1000Å〜2000Å程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
【0179】
(画素)
本発明に係るカラーフィルターの画素は、前記本発明に係るインクジェットインクを用いて形成された硬化膜であることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの画素は、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを硬化させて形成したものであることから、上述のようにしわやクラックが生じにくい。また、顔料の分散性と顔料分散の経時安定性に優れるため、画素の輝度やコントラストが向上する。また、上記特定のエポキシ樹脂は脂環式骨格を有するため、二重結合を有するようなアクリル系骨格や、芳香環骨格を有する場合に比べて、耐黄変性が向上し、その結果、色純度の良い、コントラスト性能が向上した画素とすることができる。
【0180】
当該画素は、上記本発明に係るインクジェットインクを用いてインクジェット方式により形成されることが好ましい。インクジェット方式を用いる場合には、高精細に画素を形成することができる上、コスト低減や歩留まり向上を実現可能というメリットを有する。
【0181】
本発明に係るカラーフィルターの画素は、通常、インクジェット方式を用いて形成されるため、厚みが画素の領域内で不均一となりやすい。すなわち、当該透明基板上の遮光部に囲まれた領域にインクジェット方式により画素が形成されると、そのインクと遮光部表面との親和性や遮光部の高さ、吐出するインキ量などの関係から、遮光部に囲まれた開口部における画素の形状は、該画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの小さい部分を有し、且つ当該厚みの小さい部分よりも画素の中心側に厚みの最大部を有するような形状となったり、逆に、該画素の外縁部又はその近傍に沿って厚みの大きい部分を有し、且つ当該厚みの大きい部分よりも画素の中心側に厚みの最小部を有するような形状となったり、さらに、その表面が凹凸形状になりやすい。ここで、画素の外縁部とは、画素の平面形状を規定している縁部である。また、画素の外縁部又はその近傍に沿ってとは、少なくとも外縁部又はその近傍の一部に沿って厚みの小さい部分を有していれば良い旨を言う。また、画素の厚みとは、基板からの高さをいう。
本発明に係るカラーフィルターの画素は、上記本発明に係る顔料分散性の良好なインクジェットインクを用いて形成されるため、当該画素が上記のように例えば中央部付近が盛り上がった断面形状を有していても、輝度が高く、且つコントラストが高いものとしやすい。
【0182】
画素は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
画素の厚みは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚みを変えて、各色ごとに最適な厚みに設定してもよい。
【0183】
(保護膜)
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、画素7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、遮光部6及び画素7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。
保護膜8の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。
【0184】
(スペーサー)
凸状スペーサーは、カラーフィルター101をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
【0185】
凸状スペーサーは、例えば、硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。通常、スペーサーを形成するためのインクジェットインクは光硬化性インクジェットインクが好適に用いられるため、次に、この樹脂層を凸状スペーサー用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、この凸状パターンを必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベーク)することによって凸状スペーサーが形成される。
【0186】
凸状スペーサーは、カラーフィルター上に直接又は他の層を介して間接的に設けることができる。例えば、カラーフィルター上にITO等の透明電極又は保護膜を形成し、その上に凸状スペーサーを形成しても良いし、カラーフィルター上に保護膜と透明電極をこの順に形成し、さらに透明電極上に凸状スペーサーを形成しても良い。
【0187】
(透明電極)
透明電極9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて形成することができる。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
【0188】
(その他の層)
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。例えば配向膜などその他の部材においては、通常カラーフィルターに用いられるものを用いて、通常の方法で形成することができる。
【0189】
(カラーフィルターの製造方法)
カラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させて着色層を形成する着色層形成工程を含むことが好ましい。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの基板上の所定領域に、上記カラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を形成し、当該インク層を硬化させることによって、画素部や遮光層などの着色層を形成することができる。
上記カラーフィルターの製造方法は、インクジェット方式を用いるため、コスト低減や歩留まり向上を実現可能であり、生産性の高い製造方法である。
【0190】
インクジェット方式によってインクを選択的に付着させる方法としては、基板上の所定領域に所望の厚みの着色層を形成することができる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、通常、インクジェットヘッドを用い、インクジェットヘッドまたは基板を移動させながら基板上の所定領域にカラーフィルター用インクジェットインクを滴下する方法が用いられる。
【0191】
インクジェットヘッドは、後述する遮光部が備える開口部内の基材表面上に、所望量のインクジェットインクを滴下できるものであれば特に限定されるものではない。このようなインクジェットヘッドとしては、例えば、帯電したインクジェットインクを連続的に吐出し磁場によって吐出量を制御する吐出方式のもの、圧電素子を用いて間欠的にインクジェットインクを吐出する吐出方式のもの、または、インクジェットインクを加熱しその発泡現象を利用して間欠的に吐出する吐出方式のもの等の一般的なインクジェットヘッドを用いることができる。
【0192】
上記カラーフィルターの製造方法の一例を、図2を用いて説明する。
まず、画素として赤色、緑色、及び青色着色層を形成するための各色の前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインク、並びに、基材1上に形成された遮光部2とを有するカラーフィルター用基板3を用意する。そして、図2の2(A)に示すように、基材1上に形成された遮光部2とを有するカラーフィルター用基板3において画成された各色の着色層形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の各着色層形成用インクジェットインクをそれぞれインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、前記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料分散経時安定性が高く、ヘッド5の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の着色層形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色のカラーフィルター用インクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、各色ごとに着色層を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
【0193】
次に、図2の2(B)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させる。中でも、本発明においては、通常のプリベーク段階の前に前記インク層を減圧乾燥する工程を更に含むことが、インク層の表面の形状を良好にすることが出来る点から好ましい。減圧乾燥の条件としては、例えば、0.1〜20Torrで1〜20分間減圧乾燥することが挙げられる。その際に、20℃〜60℃の温度範囲内で基板温度を制御することが好ましい。そして、減圧乾燥後に、例えば、60〜165℃のホットプレート上で3〜80分間のプリベークを行う。また、加熱と減圧乾燥を同時に行っても良い。その後インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂が架橋反応を起こし、インク層が硬化し着色層である画素部(7R、7G、7B)が形成される。
【0194】
次に、図2の2(C)に示すように、透明基板の画素部(7R、7G、7B)を形成した側に、保護層8を形成する。
また、保護膜上には、透明電極膜を、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成する(図示せず)。必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとすることができる。この透明電極の厚みは20nm〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とする。
【0195】
本発明のカラーフィルターの製造において、当該透明電極膜を形成する工程は、180℃以上という高温の加熱工程を含むものであっても、上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いているため、当該透明電極膜にはしわやクラックが生じにくい。また、本発明のカラーフィルターの製造によって得られる透明電極膜の表面粗度(Ra)は、10nm以下、更に8nm以下であることが好ましい。ここで、表面粗度(Ra)は、下記式で求められる算術平均粗さをいう。
【0196】
【数1】

【0197】
式中、Nは測定の際の基準長さに対する分割数であり、Rnは、表面に対する厚み方向を高さとした時の、分割した区画nの平均高さからの偏差である。表面粗度(Ra)は、AFM(atomic force microscope;原子間力顕微鏡)により測定することができる。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
【0198】
本発明のカラーフィルターの製造方法は、更に他の工程を有するものであっても良い。このような他の工程としては、本発明により製造されるカラーフィルターの用途等に応じて任意に決定することができるが、なかでも本発明においては上記着色層(画素部)形成工程の前に上記カラーフィルター用基板に用いられる基材の表面を親液化する親液化工程を有することが好ましい。このような親液化工程を有することにより、遮光部によって囲まれた開口部内に、インクジェットインクを満遍なく濡れ拡げることが容易になるため、上記開口部内に着色層が形成されない部位が生じることを防止できるからである。
以下、本発明に用いられる親液化工程について説明する。
【0199】
本発明に用いられる親液化工程において上記基材の表面を親液化する方法としては、上記基材の表面の上記インクジェットインクに対する親液性を向上できる方法であれば特に限定されない。このような方法としては、上記基材の表面に親液性の高い層を形成する方法および、基材表面自体の撥液性を高くする方法等を例示することができる。
【0200】
上記親液性の高い層を上記基材表面に形成する方法としては、上記基材表面に上記インクジェットインクに対して所望の親液性を示す層を形成できる方法であれば特に限定されない。なかでも本工程においては上記カラーフィルター用基板の上記遮光部および基材表面を覆うように、光触媒およびオルガノポリシロキサンを含有する光触媒含有層を形成した後、基材側からエネルギーを照射する方法を挙げることができる。このような方法によれば、上記光触媒含有層は、エネルギー照射に伴う光触媒の作用により液体との接触角を低下する機能を有するものであり、上記基材側からエネルギー照射を行うことにより、上記開口部上に形成された光触媒含有層のみに、エネルギー照射を行うことができるため、上記基材表面上に形成された光触媒含有層のみ上記インクジェットインクに対する親液性を向上させることができるため、上記基材表面上に上記インクジェットインクに対する濡れ性に優れた光触媒含有層を形成することができる。
【0201】
ここで、上記光触媒含有層や、エネルギー照射方法等については、特開2004−361426公報に記載されているものと同様とすることができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0202】
一方、上記基材の表面自体の親液性を高くする方法としては、例えば、基材表面にプラズマ等を照射する方法を挙げることができる。このようなプラズマを照射する方法としては、上記遮光部の開口部内の基材に存在する残渣をドライエッチングにより除去できる方法であれば特に限定されるものではなく、一般的に有機物をドライエッチングにより除去するために用いられるプラズマ照射方法を用いることができる。中でも本工程においては、上記プラズマ照射方法として、酸素と、窒素、ヘリウム、または、窒素からなる群から選択される少なくとも1種のガスとの存在下においてプラズマを照射する方法を用いることが望ましい。
【0203】
本発明に用いられる上記親液化工程において上記基材表面が親液化される程度としては、表面張力40mN/mの液体との接触角が、10°未満となる程度であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましく、なかでも表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましい。
【0204】
上記親液化工程以外に本発明に用いられる他の工程としては、上記着色層形成工程の前に、上記カラーフィルター用基板の遮光部を撥液化する撥液化工程を挙げることができる。このような撥液化工程を有することにより、遮光部によって囲まれた開口部に吐出されたインクジェットインクが、隣接する開口部へ漏出することを効果的に防止できるため、本発明により製造されるカラーフィルターに混色が生じることを防止できる。
以下、このような撥液化工程について説明する。
【0205】
本発明に用いられる撥液化工程において上記遮光部を撥液化する方法としては、上記遮光部の撥液性を相対的に上記カラーフィルター用基板に用いられる基材表面の撥液性よりも高くできる方法であれば特に限定されるものではない。ここで、上記撥液性とは、上記インクジェットインクに対する撥液性を意味するものである。
このような撥液化方法としては、例えば、上記遮光部自体の撥液性を高くする方法や、上記遮光部上に撥液性の高い層を形成する方法等を挙げることができる。
【0206】
上記遮光部自体の撥液性を高くする方法としては、例えば、上記遮光部にフッ素を導入する方法を挙げることができる。このような方法としては、上記遮光部に、相対的に上記開口部内の基板表面よりも多量のフッ素を導入できる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、遮光部を構成する材料として樹脂材料を用い、かつ、上記基材を構成する材料として無機材料が用いられたカラーフィルター用基板を用い、上記遮光部上からフッ素化合物を導入ガスとしたプラズマを照射する方法を挙げることができる。このような方法は有機物にのみ上記フッ素化合物を導入することができるため、上記遮光部のみに選択的にフッ素を導入できる結果、上記遮光部の撥液性を上記開口内の基板表面のそれよりも容易に高くすることができる。
【0207】
ここで、上記プラズマ照射を行った際の、上記遮光部におけるフッ素の存在は、X線光電子分光分析装置(XPS:ESCALAB 220i−XL)による分析において、遮光部の表面より検出される全元素中のフッ素元素の割合を測定することにより確認することができる。
また、上記プラズマ照射に用いられる導入ガスのフッ素化合物としては、例えばフッ化炭素(CF)、窒化フッ素(NF)、フッ化硫黄(SF)等を挙げることができる。
【0208】
また、上記プラズマ照射の方法は、フッ素化合物を導入ガスとして用いてプラズマを照射し、上記遮光部を撥液化することが可能であれば特に限定されるものではなく、減圧下でプラズマ照射してもよく、また大気圧下でプラズマ照射してもよい。なかでも、本発明においては特に大気圧下でプラズマ照射が行われることが好ましい。これにより、減圧用の装置等が必要なく、コストや製造効率等の面から好ましいものとすることができるからである。
【0209】
上記大気圧プラズマの照射条件としては、例えば、以下のようなものとすることができる。電源出力としては、一般的な大気圧プラズマの照射装置に用いられるものと同様とすることができる。また、この際、照射されるプラズマの電極と、上記遮光部との距離は、0.2mm〜20mm程度、なかでも0.4mm〜5mm程度とされることが好ましい。
また、上記導入ガスとして用いられるフッ素化合物の流量は1L/min〜100L/minの範囲内であることが好ましく、なかでも3L/min〜50L/minの範囲内であることが好ましい。
【0210】
一方、上記遮光部上に撥液性の高い層を形成する方法としては、上記遮光部上に、上記基材表面よりも相対的に撥液性の高い層を形成できる方法であれば特に限定されるものではない。このような方法としては、例えば、上述した光触媒含有層を形成する方法を挙げることができる。
【0211】
上記撥液化工程において、上記遮光部が撥液化される程度としては、相対的に上記開口部よりも撥液性が高いものとされれば特に限定されない。なかでも本発明においては上記撥液性が40mN/mの液体との接触角が、10°以上となる程度であることが好ましく、特に表面張力30mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましく、さらには表面張力20mN/mの液体との接触角が10°以上となる程度であることが好ましい。また、純水との接触角が11°以上となる程度であることが好ましい。
【0212】
一方、上記開口部の撥液性としては、上記遮光部の撥液性よりも低くければ特に限定されないが、40mN/mの液体との接触角が10°未満となる程度であることが好ましく、特に表面張力50mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましく、さらには表面張力60mN/mの液体との接触角が10°以下となる程度であることが好ましい。
【0213】
なお、上記液体との接触角は、種々の表面張力を有する液体との接触角を接触角測定器(協和界面科学(株)製CA−Z型)を用いて測定(マイクロシリンジから液滴を滴下して30秒後)した値を用いるものとする。また測定に用いる種々の表面張力を有する液体としては、純正化学株式会社製のぬれ指数標準液が用いるものとする。
【0214】
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
【0215】
4.液晶表示装置
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、上述のように表示不良が低減した高輝度なカラーフィルターを用いることから、高品質で且つ生産性の高い液晶表示装置とすることができる。
【0216】
上記のようにして得られるカラーフィルター101(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
【0217】
本発明の液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【実施例】
【0218】
(製造例1:分散補助樹脂2の製造)
トリメチロールプロパン134g(1モル)、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド3726g(30モル)を60℃で混合し、ガスクロマトグラフィー分析で4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシドの転化率が98%になるまで反応させ、得られた反応液に酢酸エチルを加えて水洗いし、次に酢酸エチル層を濃縮して粘稠な透明液を得た。さらに、この化合物573gを酢酸エチルに溶解して反応器に仕込み、これに過酢酸387gを酢酸エチル溶液として2時間かけて滴下した。この間反応温度は40℃に保った。過酢酸の仕込み終了後、40℃で更に4時間熟成した。反応粗液に酢酸エチルを追加し、炭酸ソーダ416gを含むアルカリ水で洗い、蒸留水でよく洗浄した。酢酸エチル層を濃縮し、粘稠な透明液を得た。
【0219】
(製造例2:分散補助樹脂3の製造)
製造例1と同様の操作でアリルアルコール25g(1モル)、4−ビニルシクロヘキセン−1−オキシド868g(7モル)及びBF3エーテラート4.7gを反応させ粘稠な液状の生成物を得た。さらに製造例1と同様にこの化合物492gと過酢酸395gの反応を行い、粘稠な透明液を得た。
【0220】
(製造例3:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
【0221】
(製造例4:バインダー性エポキシ化合物の合成)
溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を溶剤ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、ECAと示すことがある。)に変更した以外は、製造例3と同様にしてバインダー性エポキシ化合物を得た。
【0222】
【表1】

【0223】
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
【0224】
(実施例DB1〜DB4、比較例DB1〜DB5:カラーフィルター用青色インクジェットインク用(B15:6)顔料分散液)
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表2に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色(B15:6)顔料分散液を得た。
【0225】
【表2】

【0226】
*表2〜10において、略号は以下のとおりである。
Disperbyk2000:商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製
Disperbyk161:商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製
分散補助樹脂1:商品名EHPE−3150(2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−(2−オキシラニル)シクロヘキサン付加物)、分子内エポキシ官能基数(n1〜nkの和)平均15、エポキシ当量179g/eq、ダイセル化学工業(株)製
分散補助樹脂2:製造例1(分子内エポキシ官能基数(n1〜nkの和)平均10)、エポキシ当量
182g/eq
分散補助樹脂3:製造例2(分子内エポキシ官能基数(n1〜nkの和)平均7)エポキシ当量
185g/eq
YDPN−638:商品名、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、東都化成(株)製、エポキシ当量179g/eq
SR−16H:商品名、1,6−ヘキサンジオール型エポキシ樹脂、阪本薬品工業(株)製、エポキシ当量157g/eq
EPPN−502H:商品名、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、日本化薬工業(株)製、エポキシ当量168g/eq
jERYX−4000:商品名、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製、エポキシ当量180〜192g/eq
BCA:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
ECA:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
EEP:3−エトキシプロピオン酸エチル
【0227】
[評価]
得られた顔料分散液について、顔料分散性及び顔料分散経時安定性を以下の方法に従って調べた。その結果も合わせて表2に示す。
1.平均粒子径
各顔料分散液の調製直後、及び1週間後の平均粒子径を測定した。平均粒子径は、各顔料分散液を各主溶剤で100倍に希釈した後、粒度分布計(日機装社製、MICROTRAC UPA)を用いて、動的光散乱法により、23℃で、測定時間を360秒として測定した。ここでの平均粒子径は、50%平均粒子径、すなわち体積基準中位径である。
【0228】
2.粘度
各顔料分散液の調製直後、及び、密閉容器中に25℃保存で1日後、1週間後の粘度を測定した。粘度は山一電機社製回転振動型粘度計 ビスコメイトVM-1Gで23℃にて測定した。
【0229】
(実施例DB5〜DB8、比較例DB6〜DB10:カラーフィルター用青色インクジェットインク用(V23)顔料分散液)
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表3に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、青色(V23)顔料分散液を得た。
【0230】
【表3】

【0231】
表2及び表3の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製した実施例DB1〜DB8は顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性に優れるものであった。それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例DB1、DB2、DB4、DB6、DB7、DB9、分散補助樹脂を全く用いない比較例DB5、DB10は、顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性が劣るものであった。一方、比較例DB3、DB8は顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性が良好であった。
【0232】
(実施例DR1〜DR9、比較例DR1〜DR6:カラーフィルター用赤色インクジェットインク用顔料分散液)
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表4に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、赤色インクジェットインク用顔料分散液を得た。
【0233】
【表4】

【0234】
表4の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製した実施例DR1〜DR9は顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性に優れるものであった。それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例DR1〜DR6は、顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性が劣るものであった。
【0235】
(実施例DG1〜DG12、比較例DG1〜DG8:カラーフィルター用緑色インクジェットインク用顔料分散液)
顔料、顔料分散剤、顔料分散補助樹脂及び有機溶剤を表5及び表6に示す割合で混合し、直径0.5mmのジルコニアビーズを300重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて3時間分散を行った。分散後、5.0ミクロンのメンブランフィルターで濾過し、緑色インクジェットインク用顔料分散液を得た。
【0236】
【表5】

【0237】
【表6】

【0238】
表5及び表6の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製した実施例DG1〜DG12は顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性に優れるものであった。それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例DG1〜DG8は、顔料分散性、及び顔料分散液の経時安定性が劣るものであった。
【0239】
(実施例B1〜B7及び比較例B1〜B10:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
(1)熱硬化性バインダー溶液の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例3に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤BCAを加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。なお、実施例B4においては、製造例3のバインダー性エポキシ化合物の代わりに製造例4のバインダー性エポキシ化合物を用い、更に希釈溶剤としてBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の代わりにECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を用いた。
[熱硬化性バインダー溶液の配合割合]
・製造例3のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):62.5重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名jER157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):12.5重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:6.25重量部
・トリメリット酸:12.5重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):6.25重量部
【0240】
(2)光硬化性及び熱硬化性バインダー溶液の調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って共重合体、多官能アクリレート等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[光及び熱硬化性バインダー溶液の配合割合]
・ベンジルメタクリレート−メタクリル酸共重合体(商品名アロニックス M−308、東亜合成化学工業株式会社製):14.4重量部
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名アロニックス M−450、東亜合成化学工業株式会社製:3.2重量部
・ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(商品名KAYARAD SR−399E、日本化薬株式会社製):5.1重量部
・重合開始剤(商品名イルガキュア369、チバスペシャルティケミカルズ社製):5.1重量部
・無水マレイン酸:0.6重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名jER157S70、ジャパンエポキシレジン(株)製):1.6重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)又はECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート):70重量部
【0241】
(3)インクジェットインクの調製
表7及び表8に示されるような配合割合となるように、上記で得られた実施例DB1〜DB8、又は比較例DB1〜DB10の青色用顔料分散液と、上記熱硬化性バインダー溶液、又は上記光及び熱硬化性バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、実施例B1〜B7及び比較例B1〜B10のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
【0242】
[評価方法]
<評価用塗膜の作成>
各インクジェットインクを用いて評価するための塗膜を作成した。
厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)上に、スピンコートにより乾燥膜厚が赤色インクジェットインクは1.61μm、緑色及び青色インクジェットインクは1.65μmとなるように、上記各インクジェットインクを塗布した。
その後、90℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分間加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、着色層を形成した。
【0243】
1.ITO耐性
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用塗膜を形成した基板を、イソプロピルアルコールに5分間浸漬させ、次いでイソプロピルアルコール蒸気にて乾燥を行い洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。180℃、60分間の耐熱試験後において、下記基準に従って評価した。また、成膜されたITO膜の表面粗度(Ra)をAFMで測定した。AFMは日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
[ITO耐性の評価基準]
○:ITO電極にしわやクラックなどの異常が観測されなかった。
△:ITO電極にしわやクラックなどの異常が数点観測された。
×:ITO電極にしわやクラックなどの異常が全面に観測された。
【0244】
2.黄変性
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用吐膜を形成した基板を、240℃で1時間加熱し、加熱前後の色差ΔEabをCIE1976規格に基づき算出して評価した。色差ΔEabの測定は、オリンパス光学工業(株)製 顕微分光測定装置 OSP200を用いた。
[評価基準]
○:ΔEab<3
×:3≦ΔEab
【0245】
3.密着性
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用塗膜を形成した基板に、カッターで直交する縦横11本ずつの切り傷を1mm間隔でつけた。さらに、セロハンテープをパターンに指で軽く密着させすばやくテープを剥がし、傷の状態を観察し、以下の基準で判定した。
[評価基準]
8点:切り傷の交線にわずかな剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%未満。
6点:切り傷の交線に剥がれがあり、欠損部の面積は全正方形面積の5%以上15%未満。
4点:切り傷による剥がれの幅が広く、欠損部の面積が全正方面積の15%以上35%未満。
2点:切り傷による剥がれの幅が4点より広く、欠損部の面積は全正方形面積の35%以上65%未満。
0点:剥がれの面積は、全正方形面積の65%以上。
【0246】
4.耐溶剤性
上記青色インクジェットインクを用いて上記評価用塗膜を形成した基板を、液温40℃のN−メチルピロリドンに1時間浸漬させ、浸漬前後の色差ΔEabをCIE1976規格に基づき算出した。測定は、オリンパス光学工業(株)製 顕微分光測定装置 OSP200を用いた。
[評価基準]
○:ΔEab<1
△:1≦ΔEab<3
×:3≦ΔEab
【0247】
5.インク保存安定性
各インクジェットインクの調製直後、及び、密閉容器中に25℃保存で1ヵ月後の粘度と平均粒子径を測定した。粘度及び平均粒子径は上記顔料分散液と同様に測定した。
【0248】
【表7】

【0249】
【表8】

【0250】
*インクの組成を示す際には、顔料分散液やバインダー成分等は固形分のみの重量部を表示し、インク中に含まれる溶剤は全て最下段に計上した。
表7及び表8の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例B1〜B7は、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れるものであった。また、耐黄変性に優れ、硬化膜の耐溶剤性及び密着性に優れ、超低圧高温下でITO膜を形成してもITO膜にしわやクラックが発生せず、膜物性が良好であった。
それに対し、分散補助樹脂を全く用いない比較例B5及びB10は、顔料分散性、及びインクの経時安定性がかなり劣っていた。また、比較例B5及びB10は、超低圧高温下ITO膜を形成した際にITO膜にしわやクラックが発生し、硬化膜の耐溶剤性及び密着性にも劣り、膜物性が悪いものであった。
また、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例B1〜B4及びB6〜B9はいずれも、耐黄変性、及び/又は、ITO耐性、密着性、耐溶剤性、顔料分散性、及びインクの経時安定性が劣るものであった。
また、ITO耐性評価後の実施例B1の評価用塗膜表面の写真を図3に、ITO耐性評価後の比較例B5の評価用塗膜表面の写真を図4に示す。
【0251】
(実施例R1〜R3及び比較例R1〜R2:カラーフィルター用赤色インクジェットインクの調製)
バインダー溶液は、実施例B1の青色インクジェットインクで用いたバインダー溶液と同じ組成のものを用いた。なお、実施例R3においては、製造例3のバインダー性エポキシ化合物の代わりに製造例4のバインダー性エポキシ化合物を用い、更にBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の代わりにECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を用いた。
上記で得られた実施例及び比較例の赤色用顔料分散液と、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、表9に示されるような配合割合を有する実施例R1〜R3及び比較例R1〜R2のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
【0252】
【表9】

【0253】
*インクの組成を示す際には、顔料分散液やバインダー成分等は固形分のみの重量部を表示し、インク中に含まれる溶剤は全て最下段に計上した。
表9の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例R1〜R3は、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れるものであった。また、耐黄変性に優れ、硬化膜の耐溶剤性及び密着性に優れ、超低圧高温下でITO膜を形成してもITO膜にしわやクラックが発生せず、膜物性が良好であった。
それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例R1及びR2はいずれも、耐黄変性、及び/又は、ITO耐性、密着性、耐溶剤性、顔料分散性、及びインクの経時安定性が劣るものであった。
また、ITO耐性評価後の実施例R1の評価用塗膜表面の写真を図5に、ITO耐性評価後の比較例R2の評価用塗膜表面の写真を図6に示す。
【0254】
(実施例G1〜G3及び比較例G1〜G2:カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
バインダー溶液は、実施例B1の青色インクジェットインクで用いたバインダー溶液と同じ組成のものを用いた。なお、実施例G3においては、製造例3のバインダー性エポキシ化合物の代わりに製造例4のバインダー性エポキシ化合物を用い、更にBCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート)の代わりにECA(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート)を用いた。
上記で得られた実施例及び比較例の緑色用顔料分散液と、上記バインダー溶液と、更に溶剤を加えて、充分に混合し、表10に示されるような配合割合を有する実施例G1〜G3及び比較例G1〜G2のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
【0255】
【表10】

【0256】
*インクの組成を示す際には、顔料分散液やバインダー成分等は固形分のみの重量部を表示し、インク中に含まれる溶剤は全て最下段に計上した。
表10の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例G1〜G3は、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れるものであった。また、耐黄変性に優れ、硬化膜の耐溶剤性及び密着性に優れ、超低圧高温下でITO膜を形成してもITO膜にしわやクラックが発生せず、膜物性が良好であった。
それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例G1及びG2はいずれも、耐黄変性、及び/又は、ITO耐性、密着性、耐溶剤性、顔料分散性、及びインクの経時安定性が劣るものであった。
また、ITO耐性評価後の実施例G1の評価用塗膜表面の写真を図7に、ITO耐性評価後の比較例G2の評価用塗膜表面の写真を図8に示す。
【0257】
(インクジェットインクの輝度及びコントラストの評価)
上記で得られた実施例B1、B2及び比較例B1、B2の青色インクジェットインク;実施例R1、R2及び比較例R1、R2の赤色インクジェットインク;実施例G1、G2及び比較例G1、G2の緑色インクジェットインクについて、以下のように輝度及びコントラストを評価した。各評価結果を表11に示す。
【0258】
[評価方法]
各インクジェットインクを用いて上記と同様に評価用塗膜(着色層)を作製した。
(1)輝度
顕微分光測定器(オリンパス(株)製、OSP200)を使用して測定した。
【0259】
(2)コントラスト
厚み0.7mmのガラス基板(NHテクノグラス(株)製、NA35)40上に、偏光フィルム42(日東電工製 NPF-SEG1425DU)を貼り合わせて偏光板43を形成した。図9に示すように、上記ガラス基板40上に着色層41を形成したものに対して、偏光フィルム42側が外側になるように、2枚の偏光板43を直交、或いは平行となるように挟んで測定試料44とした。測定試料44の構成において、偏光板43と着色層41との距離lを9.3mm、偏光板43とガラス基板40との距離lを0mmとした。
図10に示すように、コントラスト測定における輝度測定を行った。測定試料44にバックライト45を点灯し、輝度を測定した。偏光板を直交、続いて平行にセットして測定試料を準備し、それぞれの輝度の測定を行った。コントラスト値は、直交時の輝度に対する平行時の輝度(平行時の輝度/直交時の輝度)で算出した。試料において輝度を測定する位置は、カラーフィルター層において膜厚が均一な位置にした。コントラスト測定における輝度を測定するための装置46としては、輝度計(コニカミノルタセンシング(株)製 LS-100)にクローズアップレンズ(No.153)47を装着したもの用いた。輝度計の視角は1°を用いた。クローズアップレンズ47から測定試料44までの距離Lは、710mmで行った。
【0260】
【表11】

【0261】
表11の結果より、本発明に係る分散補助樹脂を用いて顔料分散液を調製したインクジェットインクである実施例B1、B2、R1、R2、G1、及びG2はいずれも、顔料分散性、及びインクの経時安定性に優れ、耐黄変性に優れるものであったため、硬化膜の輝度とコントラストが向上した。それに対し、本発明とは異なる分散補助樹脂を用いた比較例B1、B2、R1、R2、G1、及びG2はいずれも、実施例に比べて、硬化膜の輝度とコントラストが劣るものであった。
【0262】
(実施例1:カラーフィルターの作製)
カラーフィルター用ガラス材として用いられている厚み0.7mm、横370mm、縦470mmのCorning社製EAGLE2000を用意し、このガラス基材上にフォトリソグラフィー法にて樹脂製のブラックマトリクスを形成することによりカラーフィルター用基板を作製した。このとき、ブラックマトリクスは開口部が100μm×300μm、遮光部分の線幅が20μmとなるように形成し、横方向に120μmピッチ、縦方向に320μmピッチにて縦480画素、横1320画素ずつ配置されるものとした。またこの際、遮光部分の膜厚は平均2.2μmとした。
上記カラーフィルター用基板に対し、フッ素化合物を導入ガスとしたプラズマ処理を加えることにより、ブラックマトリクスの表面を撥液性に、それ以外の領域(着色層形成領域)を親液性とした。このとき表面張力40mN/mの液体との接触角を接触角測定器(協和界面化学(株)製CA−Z型)を用いて測定した結果、ブラックマトリクス上で65°、着色層形成領域で9°であった。
【0263】
上記基板の遮光部により区画された青色画素形成部に、実施例B1の青色インクジェットインクをインクジェット方式によって、正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の緑色画素形成部に、実施例G1の緑色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の赤色画素形成部に、実施例R1の赤色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
その後、25℃のホットプレート上にて120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に240℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚としてRが2.1μm、GとBが2.15μmのRGB3色の画素パターンを形成した。平均膜厚は、光干渉方式の三次元非接触表面形状計測装置(米国マイクロマップ製 製品名Micromap557N)を用いて画素形成領域(1画素)の全エリアの膜厚を1μm毎に測定し、それらの平均を求めたものである。
【0264】
RGB画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行ない洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。このITO成膜を行った基板を更にIPAに5分間浸漬し、IPAで蒸気洗浄を行った後、ポリイミドをスピンコートし、180℃、60分間の焼成を行って配向膜を形成し、カラーフィルターを得た。
【図面の簡単な説明】
【0265】
【図1】本発明に係るカラーフィルターの一例を示す模式的縦断面図である。
【図2】本発明のインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の一例を説明する図である。
【図3】ITO耐性評価後の実施例B1の評価用塗膜表面を示す写真である。
【図4】ITO耐性評価後の比較例B5の評価用塗膜表面を示す写真である。
【図5】ITO耐性評価後の実施例R1の評価用塗膜表面を示す写真である。
【図6】ITO耐性評価後の比較例R2の評価用塗膜表面を示す写真である。
【図7】ITO耐性評価後の実施例G1の評価用塗膜表面を示す写真である。
【図8】ITO耐性評価後の比較例G2の評価用塗膜表面を示す写真である。
【図9】本発明におけるコントラストの測定における試料を説明する図である。
【図10】本発明におけるコントラストの測定方法を説明する図である。
【符号の説明】
【0266】
101 カラーフィルター
1 透明基板
2 遮光部
3 カラーフィルター用基板
6(6R、6G、6B) インク層
7(7R、7G、7B) 着色層(画素部)
8 保護膜
9 透明電極膜
10 配向膜
12 柱状スペーサー
40 ガラス基板
41 着色層
42 偏光フィルム
43 偏光板
44 測定試料
45 バックライト
46 輝度を測定するための装置
47 クローズアップレンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、顔料分散剤、分散補助樹脂、及び溶剤を含有する顔料分散液であって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする、カラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
【化1】

(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【化2】

【請求項2】
前記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂におけるn1〜nkの和が4〜30であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
【請求項3】
前記分散補助樹脂が、前記顔料分散剤100重量部に対して5〜80重量部であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
【請求項4】
前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して50重量%以上の割合で含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
【請求項5】
前記主溶剤が、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載のカラーフィルターに用いるインクジェットインク用顔料分散液。
【請求項6】
顔料、顔料分散液、分散補助樹脂、バインダー系、及び溶剤を含有するカラーフィルター用インクジェットインクであって、前記分散補助樹脂が下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂であることを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインク。
【化3】

(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【化4】

【請求項7】
前記請求項1乃至5のいずれかに記載の顔料分散液を調製後、少なくともバインダー系を添加してなることを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインク。
【請求項8】
前記バインダー系が、硬化性として、熱硬化性のみを有することを特徴とする、請求項6又は7に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
【請求項9】
前記分散補助樹脂が、前記バインダー系100重量部に対して5〜70重量部であることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
【請求項10】
少なくとも顔料、顔料分散剤及び下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を少なくとも含有する分散体調製溶剤に混合し、分散して顔料分散液を調製する工程と、
【化5】

(ただし、Raはk個の活性水素を有する有機化合物中の活性水素を除いた残基である。n1、n2・・・nkはそれぞれ0又は1〜100の整数で、その和が1〜100である。kは1〜100の整数を表わす。Aは置換基Xを有するオキシノルボルネン骨格または置換基Xを有するオキシシクロヘキサン骨格であり、次式で表される。)
【化6】

下記1)〜3)のいずれかの方法により溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が60重量%以上になるように調節する工程を有することを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインクの製造方法。
1)得られた上記顔料分散液、及び少なくともバインダー系を、新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に混合する。
2)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液を混合する。
3)少なくともバインダー系を新たに用意した前記主溶剤及び/又は副溶剤に溶解乃至分散してバインダー溶液を調製後、当該バインダー溶液、上記顔料分散液、更に主溶剤及び/又は副溶剤を混合する。
【請求項11】
透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素が、前記請求項6乃至9のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインクの硬化膜であることを特徴とする、カラーフィルター。
【請求項12】
表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記請求項11に記載のカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−76832(P2008−76832A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−257055(P2006−257055)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】