説明

顕微鏡装置

【課題】観察光源を選択的に切り替えて、観察性能を向上させることができる顕微鏡装置を提供する。
【解決手段】顕微鏡装置1は、複数の光源(2,3)と、この複数の光源(2,3)から発せられる光を結合する光結合手段(4a)とを備え、好ましくは、顕微鏡装置1は、光結合手段(4a)を、光源(2,3)から発せられる光の光路L中の位置とそこから退避した位置とに移動させる光源切替手段(4)とを更に備える構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の光源を備える顕微鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡の観察用光源としては、ハロゲン光源が多く使用されてきている。しかし、近年、LED光源は、高輝度化や低価格化により普及が著しく、顕微鏡用光源としてもそれは例外ではない。LEDは、長寿命・低消費電力で、また発熱量もハロゲンと比較すると少なく、非常に使い勝手の良い光源である。
【0003】
一方で、ハロゲンやLEDよりも高輝度な水銀キセノン光源や、赤外光を使ったIR観察用のランプハウスなどを使用するニーズもあり、光源を選択するバリエーションは非常に増えてきている。
【0004】
しかしながら、どの光源にも一長一短があり、一般的なハロゲン光源の代替を狙ったLED光源も、波長特性に特徴があったり、輝度不足で暗視野観察には不向きであったりといった短所も存在している。また、高輝度水銀キセノン光源も電圧による調光ができないため、使い勝手があまり良いとは言えない。
【0005】
そこで、2種類の光源を配置して、観察光源を選択的に切り替える方法が用いられている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−326544号公報
【特許文献2】特開2006−267432号公報
【特許文献3】特開2005−300614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等のフラットパネルディスプレイ(FPD:Flat Panel Display)用の基板や半導体ウエハ等の標本の観察性能は、年々高精度化が求められてきている。
【0008】
そのため、観察光源を選択的に切り替えるだけでは、標本の十分な観察を行うことができなくなってきている。
本発明の目的は、観察性能を向上させることができる顕微鏡装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の顕微鏡装置は、複数の光源と、これら複数の光源から発せられる光を結合する光結合手段と、を備える構成とする。
好ましくは、上記顕微鏡装置は、上記光結合手段を、上記光源から発せられる光の光路中の位置とそこから退避した位置とに移動させる光源切替手段を更に備える構成とする。
【0010】
より好ましくは、上記顕微鏡装置は、上記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源から発せられる光を偏向させる光偏向手段を更に備え、上記光源切替手段は、上記光偏向手段と上記光結合手段とを、上記光源から発せられる光の光路中に選択的に移動させる構成とする。
【0011】
好ましくは、上記顕微鏡装置は、複数のフィルタと、観察態様に応じて、これら複数のフィルタの少なくとも1つを上記光源から発せられる光の光路上に移動させるフィルタ切替手段と、を更に備える構成とする。
【0012】
好ましくは、上記複数の光源は、2種以上の光源から構成とする。
好ましくは、上記光結合手段は、ハーフミラーである構成とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、複数の光源から発せられる光を結合することで、単一の光源では困難な観察を行うことができる。
よって、本発明によれば、観察性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施の形態に係る顕微鏡装置の内部構成を示す概略平面図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る顕微鏡装置の内部構成を示す概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る顕微鏡装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る顕微鏡装置1の内部構成を示す概略平面図である。
【0016】
図2は、上記顕微鏡装置1の内部構成を示す概略正面図である。
顕微鏡装置1は、複数の光源としてのハロゲン光源2及びLED光源3と、光結合手段としてのハーフミラー4a及び光偏向手段としてのミラー4bを有する光源切替手段としてのミラー切替ユニット4と、複数のフィルタ5a(1つのみ図示)を有するフィルタ切替手段としてのフィルタ切替ユニット5と、図示しない制御コンピュータに接続された制御部6と、を備える。
【0017】
更には、顕微鏡装置1は、筐体7と、AS(明るさ絞り、Aperture Stop)ユニット8と、FS(視野絞り、Field Stop)ユニット9と、ポラライザ切替ユニット10と、キューブ切替ユニット11と、AF(Auto-Focus)ユニット12と、アナライザ切替ユニット13と、対物レンズ14と、レボルバ15と、レボルバ支持部材16と、レンズ17,18と、DIC(Differential Interference Contrast)プリズム切替ユニット19と、を備える。
【0018】
ハロゲン光源2は筐体7の右側面に配置され、LED光源3は筐体7の背面に配置されている。なお、ハロゲン光源2及びLED光源3は、ユニット化され、容易にキセノン光源のユニットと交換可能に構成されているものとする。
【0019】
ミラー切替ユニット4は、上記のハーフミラー4a及びミラー4bに加え、ターレット式のミラー保持部4c及びこのミラー保持部4cを回動させるモータ等の電動の駆動部4dを有する。ミラー保持部4cには、ハーフミラー4aを保持するための孔と、ミラー4bを保持するための孔と、光を通過させるようにミラーが保持されていない孔とを含む3つ以上(図2では4つ)の孔が形成されている。この3つ以上の孔は、ミラー保持部4cの回動軸に対し回転対称に形成されている。
【0020】
ハーフミラー4aは、ハロゲン光源2の光軸とLED光源3の光軸とが互いに直交する位置に、そのハーフミラー面が位置するように配置され、ハロゲン光源2から発せられる光を透過させると共にLED光源3から発せられる光を90度偏向させることで、ハロゲン光源2から発せられる光とLED光源3から発せられる光とを顕微鏡の光軸方向へ向かうよう結合する。一方、ミラー4bは、LED光源3から発せられる光を90度偏向させ顕微鏡の光軸方向へ向かわせるとともにハロゲン光源2からの光を遮光する。
【0021】
ミラー切替ユニット4の駆動部4dは、制御部6の制御により、ハーフミラー4a若しくはミラー4bを光路L上に移動させるか、又は、ハーフミラー4a及びミラー4bを光路L上から退避させるように即ちミラーが保持されていない孔を光路L上に移動させるように、ミラー保持部4cを回動させる。
【0022】
例えば、ミラー保持部4cは、観察光源としてハロゲン光源2及びLED光源3の両方を使用する場合にはハーフミラー4aを光路L上に移動させるように回動し、ハロゲン光源2のみを使用する場合にはミラーが保持されていない孔を光路L上に移動させるように回動し、LED光源3のみを使用する場合にはミラー4bを光路L上に移動させるように回動する。
【0023】
なお、ハロゲン光源2から発せられる紫外光による標本へのダメージを防ぐために、ミラー保持部4cに紫外線カットフィルタが配置可能である。その際、ハーフミラー4aの表面又は裏面に重ねて紫外線カットフィルタを配置するか、或いは、ミラー面の裏面に直接紫外線を遮光するコートを形成してもよい。また、後述するフィルタ切替ユニット5のフィルタ5aに紫外線カットフィルタ以外のフィルタ、例えばLBD(Light Balanced Daylight)フィルタを用いる場合は、自然な白色に近い色で顕微鏡観察することができる。
【0024】
フィルタ切替ユニット5は、上記の複数のフィルタ5a、ターレット式のフィルタ保持部5b、及び、このフィルタ保持部5bを回動させる駆動部5cを有する。フィルタ保持部5bには、複数のフィルタ5aを収容する複数の孔が、フィルタ保持部5bの回動軸に対し回転対称に形成されている。
【0025】
フィルタ5aには、例えば、LBDフィルタ、紫外線カットフィルタ等を用いることができる。例えば、観察光源としてハロゲン光源2のみを用いる場合には、LBDフィルタ又は紫外線カットフィルタを、LED光源3のみを用いる場合には、フィルタ無しの孔又は紫外線カットフィルタを、ハロゲン光源2及びLED光源3を用いる場合には、LBDフィルタ、紫外線カットフィルタ又はフィルタ無しの孔を、それぞれ光路L上に位置するように、制御部6の制御により、駆動部5cがフィルタ保持部5bを回動させる。
【0026】
なお、制御部6は、上述のように、ハロゲン光源2やLED光源3などの光源の使用状態に基づく観察態様に応じてフィルタ5aを切り換えるようにするほか、ユーザのフィルタ切替操作に基づく観察態様に応じてフィルタ5aを切り換えるようにしてもよい。
【0027】
AS(明るさ絞り、Aperture Stop)ユニット8及びFS(視野絞り、Field Stop)ユニット9は、ハロゲン光源2及びLED光源3から発せられる光の、ミラー切替ユニット4、レンズ17及びフィルタ切替ユニット5を経た光路L上に配置されている。また、ASユニット8及びFSユニット9は、制御部6の制御により、選択された対物レンズ14に合わせて予め設定された絞り径に自動制御される。
【0028】
ポラライザ切替ユニット10は、FSユニット9及びレンズ18を経た光の光路L上に配置されている。また、ポラライザ切替ユニット10は、ポラライザ10aを有し、制御部6の制御により、後述する微分干渉観察時にポラライザ10aを光路L上に移動させる。
【0029】
キューブ切替ユニット11は、ポラライザ切替ユニット10を経た光の光路L上に配置されている。また、キューブ切替ユニット11は、明視野キューブ11a及び暗視野キューブ11bを有し、制御部6の制御により、後述する暗視野観察時には暗視野キューブ11bを、それ以外の観察時には明視野キューブ11aを、光路L上に移動させる。
【0030】
DICプリズム切替ユニット19は、レボルバ15内において、キューブ切替ユニット11により鉛直(Z軸)下方に偏向された光の光路L上に配置されている。また、DICプリズム切替ユニット19は、DICプリズム19aを有し、制御部6の制御により、後述する微分干渉時にDICプリズム19aを光路L上に移動させる。
【0031】
レボルバ15には、複数の対物レンズ14が配置されている。レボルバ15は、レボルバ支持部材16により支持されている。このレボルバ支持部材16は、対物レンズ14及びレボルバ15と一体的にZ軸方向に上下動する。
【0032】
キューブ切替ユニット11のZ軸上方には、AFユニット12が配置され、更にその上方にはアナライザ切替ユニット13が配置されている。アナライザ切替ユニット13は、アナライザ13aを有し、後述する微分干渉観察時にアナライザ13aを光路L上に移動させる。
【0033】
アナライザ切替ユニット13のZ軸上方には、図示しない接眼鏡筒を直接設置して肉眼観察したり、TVカメラアダプタ及びCCDカメラを設置してTVモニタを介して顕微鏡画像を観察したりすることが可能となっている。
【0034】
以下、本実施の形態に係る顕微鏡装置1の動作について観察方法ごとに説明する。
<明視野観察>
まず、顕微鏡装置1の下方に位置する図示しないステージに標本が載置される。制御部6は、搬送された標本について事前に入手した観察倍率等の情報からレボルバ15を自動操作するか、又は、操作者が図示しない操作部において操作することにより、観察時の対物レンズ14を選択する。
【0035】
そして、ハロゲン光源2及びLED光源3の一方又は両方をONにする。
ハロゲン光源2及びLED光源3の両方をONにした場合、制御部6は、ミラー切替ユニット4の駆動部4dによりミラー保持部4cを回動させ、ハロゲン光源2から発せられる光とLED光源3から発せられる光とが交差する位置にハーフミラー4aを移動させる。
【0036】
この場合、ハーフミラー4aは、ハロゲン光源2から発せられる光を透過すると共にLED光源3から発せられる光を偏向させることにより、ハロゲン光源2から発せられる光とLED光源3から発せられる光とを結合する。これにより、ハロゲン光源2から発せられる光の波長とLED光源3から発せられる光の波長とで互いの波長特性を補うことができ、単一光源では観察しづらい標本の欠陥等の観察が可能になる。また、光を結合することにより、輝度を高めることや、単一光源での観察を要しない場合には光源の切替動作を省略することも可能になる。
【0037】
次に、ハロゲン光源2のみをONにした場合、制御部6は、ミラー切替ユニット4の駆動部4dによりミラー保持部4cを回動させ、ハロゲン光源2から発せられる光の光路L上に、ミラー保持部4cの、ミラーが保持されていない孔を移動させる。
【0038】
また、LED光源3のみをONにした場合、制御部6は、ミラー切替ユニット4の駆動部4dによりミラー保持部4cを回動させ、LED光源3から発せられる光の光路L上に、ミラー4bを移動させる。この場合、ミラー4bは、LED光源3から発せられる光を90度偏向させて光路Lをフィルタ切替ユニット5側に導く。
【0039】
制御部6は、上述のように、ハロゲン光源2やLED光源3などの光源の使用状態に基づく観察態様、或いは、図示しない操作部におけるユーザのフィルタ切替操作に基づく観察態様等の観察態様に応じて、例えば、LBDフィルタ、紫外線カットフィルタ等のフィルタ5a、或いはフィルタ無しの孔が、それぞれ自動で光路L上に移動するように、フィルタ切替ユニット5の駆動部5cによりフィルタ保持部5bを回動させる。
【0040】
レンズ17及びフィルタ切替ユニット5を経た光は、ASユニット8及びFSユニット9や、レンズ18を経てキューブ切替ユニット11に導かれる。なお、ASユニット8及びFSユニット9は、制御部6により、対物レンズ14に合わせて予め設定された絞り径に自動的に変更される。また、明視野観察時にはポラライザ切替ユニット10のポラライザ10aは、光路L上から退避している。
【0041】
キューブ切替ユニット11では、明視野観察時には明視野キューブ11aが光路L上に位置するように制御され、明視野キューブ11aによりZ軸下方に光が偏向される。DICプリズム切替ユニット19のDICプリズム19aは、明視野観察時には光路L上から退避しており、Z軸下方に偏向された光は対物レンズ14に導かれ、更に、この対物レンズ14の下方に位置する標本に導かれる。
【0042】
標本において反射した光は、Z軸上方に反射し、明視野キューブ11a及びAFユニット12を経て、図示しない接眼鏡筒或いは、TVカメラアダプタ及びCCDカメラに導かれ、観察される。なお、明視野観察時にはアナライザユニット13のアナライザ13aは光路L上から退避している。
【0043】
<暗視野観察>
上述の明視野観察と相違する点についてのみ説明する。
暗視野観察を中心とした観察を行う場合には、光源として、LED光源3に代えて、比較的高輝度な例えば水銀キセノン光源を選択し、事前に交換するとよい。水銀キセノン光源は、高輝度である一方、電圧可変による調光ができないといった欠点がある。そのため、LED光源3に代えて水銀キセノンを用いる場合には、フィルタ切替ユニット5のフィルタ5aとして、減光(ND:Neutral Density)フィルタを、例えば透過率75%、50%、25%のものなど複数配置するとよい。
【0044】
キューブ切替ユニット11では、制御部6の制御により、明視野キューブ11aに代えて暗視野キューブ11bを光路L上に移動させ、暗視野で標本を観察する。
<微分干渉観察>
上述の明視野観察と相違する点についてのみ説明する。
【0045】
ポラライザ切替ユニット10のポラライザ10a、アナライザ切替ユニット13のアナライザ13a、及び、DICプリズム切替ユニット19のDICプリズム19aを光路L上に移動させることで、標本の形状を擬似的な色及び凹凸を付けて観察する。
【0046】
観察の際には、DICプリズム19aを対物レンズ14の光軸方向(Z軸方向)と直交する平面(XY平面)において微調させることで色味や明るさが変化するので、標本を観察しやすい位置を探しながら観察するのが一般的である。
【0047】
例えば、標本として半導体用ベアウエハを用いる場合、非常に段差の低い表面層の欠陥検査を微分干渉観察で要求される場合がある。微分干渉では、上述のとおりDICプリズム19aを微調させることにより明るさが変化するが、一番凹凸が付いてコンストラスト良く観察できるのは最も暗い状態から少しだけDICプリズム19aを移動させた位置であることがわかっている。
【0048】
そのため、ベアウエハ検査でも高輝度光源を用いるのが効果的な場合がある。よって、光源としては、事前にLED光源3に代えて水銀キセノン光源を選択し交換しておき、ハロゲン光源2及び水銀キセノン光源の両方又は一方を使い分けながら使用するとよい。
【0049】
ところで、ユーザの要求によっては、前工程の自動欠陥検査装置からの欠陥位置情報に基づく標本の欠陥を顕微鏡装置1の視野内に移動させ、欠陥画像を自動取得するといったシステムを実現する場合もある。
【0050】
この場合、図示しない制御コンピュータを用いて、欠陥画像のコントラストを画像処理によってその都度判断しながら画像取得することが可能である。例えば、ハロゲン光源2での観察をデフォルトとしておき、予め設定しておいたコンストラスト値を満たして問題なく欠陥が確認できる場合はそのまま画像を取得し、欠陥が確認できない場合は、ハロゲン光源2に水銀キセノン光源を組み合わせて、或いは、ハロゲン光源2を水銀キセノン光源に切り替えて、NDフィルタの選択やDICプリズム19aの微調をしながら最もコントラストの付く条件で画像取得することも可能である。
【0051】
<線幅測定>
近年、液晶基板の検査で、顕微鏡画像を基にTFT(Thin Film Transistor)パターンの微小線幅を測定して、露光異常やレイヤーの重ね合わせ異常を製造工程にフィードバックするシステムが構築されている。
【0052】
線幅測定では、顕微鏡画像におけるパターンのエッジを画像処理によって認識させるため、パターンエッジのコントラストが高ければ高いほど、線幅測定の測定精度が良くなる。液晶基板では、フィルタ切替ユニット5のフィルタ5aとしてバンドパスフィルタを挿入すると顕微鏡画像のコントラストが変化する場合があり、ハロゲン光源2及びLED光源3を用いて、フィルタ5aとしてバンドパスフィルタを何種類か用意しておけば、検査工程によって予め調査しておいた一番コントラストの付く1つ又は2つの光源とバンドパスフィルタとの組み合わせで線幅計測を精度良く行うことができる。
【0053】
以上説明した本実施の形態では、ハロゲン光源2、LED光源3等の複数の光源から発せられる光を結合することで、単一の光源では困難な観察を行うことができる。よって、本実施の形態によれば、観察性能を向上させることができる。
【0054】
また、本実施の形態では、顕微鏡装置1は、ハーフミラー4aを、ハロゲン光源2及びLED光源3から発せられる光の光路L中の位置とそこから退避した位置とに移動させる光源切替手段としてのミラー切替ユニット4を備える。
【0055】
また、本実施の形態では、顕微鏡装置1は、複数の光源のうちの少なくとも1つの光源としてのLED光源3から発せられる光を偏向させる光偏向手段としてのミラー4bを備え、ミラー切替ユニット4は、ハーフミラー4aとミラー4bとを、光路L中に選択的に移動させる。
【0056】
これらの構成により、ハロゲン光源2及びLED光源3の両方を用いた観察に加え、ハロゲン光源2及びLED光源3の一方を用いた観察を行うことができ、観察性能を一層向上させることができる。
【0057】
また、本実施の形態では、顕微鏡装置1は、観察態様に応じて複数のフィルタ5aの少なくとも1つを光路L上に移動させるフィルタ切替手段5を備える。そのため、ハロゲン光源2及びLED光源3の両方を用いる場合や、一方を用いる場合において自動で最適なフィルタ5aを選択することができ、したがって、観察性能を一層向上させることができる。
【0058】
また、本実施の形態では、複数の光源としてハロゲン光源2及びLED光源3の2種の光源を採用している。そのため、光源の欠点を互いに補うことができ、したがって、観察性能を一層向上させることができる。
【0059】
また、本実施の形態では、ハロゲン光源2及びLED光源3から発せられる光を結合する光結合手段としてハーフミラー4aを採用している。そのため、簡素な構成で観察性能を向上させることができる。
【0060】
なお、本実施の形態では、光源として、主にハロゲン光源2及びLED光源3を例に説明したが、上述の水銀キセノンや、赤外光源(例えば、ハロゲン光源2で熱線吸収フィルタを外して構成する)など他の光源を用いることも可能であり、所望の観察や検査に応じて配置するとよい。
【0061】
また、本実施の形態では、ハロゲン光源2から発せられる光とLED光源3から発せられる光とを結合する例に説明したが、例えばハーフミラーの数を増やして3種以上の光源から発せられる光を結合するようにしても、互いに同一の光源を用いた2以上の光源から発せられる光を結合するようにしてもよい。
【0062】
また、ミラー保持部4cに複数のハーフミラー4aを設置し、各ハーフミラー4aのミラー面ではない側の面それぞれに適宜、ダイクロイックフィルタ、赤外カットフィルタ、紫外カットフィルタ等の波長選択フィルタ等を形成することにより、或いは、表面・裏面のいずれかに上述の各種フィルタを重ねて配置することにより、フィルタ切替手段を省略することもできる。
【符号の説明】
【0063】
1 顕微鏡装置
2 ハロゲン光源
3 LED光源
4 ミラー切替ユニット
4a ハーフミラー
4b ミラー
4c ミラー保持部
4d 駆動部
5 フィルタ切替ユニット
5a フィルタ
5b フィルタ保持部
5c 駆動部
6 制御部
7 筐体
8 ASユニット
9 FSユニット
10 ポラライザ切替ユニット
10a ポラライザ
11 キューブ切替ユニット
11a 明視野キューブ
11b 暗視野キューブ
12 AFユニット
13 アナライザ切替ユニット
13a アナライザ
14 対物レンズ
15 レボルバ
16 レボルバ支持部材
17,18 レンズ
19 DICプリズム切替ユニット
19a DICプリズム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
該複数の光源から発せられる光を結合する光結合手段と、
を備えることを特徴とする顕微鏡装置。
【請求項2】
前記光結合手段を、前記光源から発せられる光の光路中の位置とそこから退避した位置とに移動させる光源切替手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡装置。
【請求項3】
前記複数の光源のうちの少なくとも1つの光源から発せられる光を偏向させる光偏向手段を更に備え、
前記光源切替手段は、前記光偏向手段と前記光結合手段とを、前記光源から発せられる光の光路中に選択的に移動させる、
ことを特徴とする請求項2に記載の顕微鏡装置。
【請求項4】
複数のフィルタと、
観察態様に応じて、該複数のフィルタの少なくとも1つを前記光源から発せられる光の光路上に移動させるフィルタ切替手段と、
を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項5】
前記複数の光源は、2種以上の光源からなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。
【請求項6】
前記光結合手段は、ハーフミラーであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の顕微鏡装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−164854(P2010−164854A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−8165(P2009−8165)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】