説明

顧客と販売業者の間の購入トランザクションを管理するための方法及びシステム

第1の広範形態では、本発明は、顧客と販売業者の間の現金購入から生ずる釣り銭を記憶する方法を提供し、その方法は、顧客の電子財布中に釣り銭を表す価値を電子的に入金するステップを含み、顧客の電子財布中に入金された釣り銭の価値をさらなる購入のために交換することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
顧客と販売業者の間の購入トランザクションを管理するための方法及びシステム。
【発明の背景】
【0002】
商品価格の上昇により、硬貨を作成するコスト及び硬貨の金属価値がその硬貨の額面価値を超える場合がある。
【0003】
多量にあると、硬貨は重くなりかさばるので、販売業者及び消費者にとって、硬貨を携帯し、扱うことは重荷にもなる。
【0004】
硬貨の使用を軽減したいという要望がある。また、購入トランザクションを完全なものにするためには、消費者に釣り銭を返却するために硬貨を使用しないことが望ましい可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来技術に関して上記で述べた問題の少なくとも1つを軽減しようとするものである。
【0006】
本発明は、いくつかの異なる広範形態(broad form)を含むことができる。本発明の諸実施形態は、本明細書で述べる異なる広範形態の1つ又は任意の組合せを含むことができる。
【0007】
第1の広範形態では、本発明は、顧客と販売業者の間の現金購入から生じた釣り銭を記憶する方法を提供し、その方法は、顧客の電子財布中にその釣り銭を表す価値を電子的に入金するステップを含み、顧客の電子財布中に入金された釣り銭の価値をさらなる購入ののために交換することができる。
【0008】
通常、現金購入は、顧客が、購入トランザクションの購入価格よりも大きい現金額を販売業者に支払うことを含むことがある。
【0009】
好ましくは、販売業者もまた、入金額を記憶するための電子財布を有することができる。通常、顧客の電子財布は、それに支払われるべき釣り銭の価値が入金された場合はいつも、等価な額を該当する販売業者の電子財布から引き落とすことができる。
【0010】
本発明は、コンピュータ化システムを用いて実施することができる。通常、コンピュータ化システムは、参加する販売業者の構内に物理的に位置することのできる複数の販売業者端末に通信可能に接続されたバックエンドサーバを含むことができる。販売業者端末は、通常、販売業者からの商品又はサービスに対する現金支払いの処理を可能にする販売時点情報管理(POS)装置(例えば、EFTPOSマシン、電子金銭登録器など)を含むことができる。POS装置は、以下のうちの少なくとも1つとの読取り及び/又は書込みに適合されたアクセス装置とインターフェースをとることができる。
(a)チップベースのカード(すなわち、「スマートカード」)、
(b)ストアドバリューカード(stored value card)、及び
(c)無線周波数識別(RFID)カード。
【0011】
通常、アクセス装置は、スマートカード読取り装置、及び/又はSAM(secure access module)を含む。すなわち、それは、スマートカードを認証するように、また販売業者の電子財布の安全を確保するように適合された専用の処理装置を有することができる。また通常、アクセス装置は、スマートカードと、非接触及び/又は接触ベースの対話を行うように適合され得る。
【0012】
アクセス装置は、好都合には、USBタイプコネクタ、ファイアワイヤコネクタ、又は任意の適切なシリアルタイプのコネクタを用いてPOS装置とインターフェースをとることができる。通常、アクセス装置は、好都合には、顧客の電子財布に釣り銭を入金させることに含まれる諸ステップを介して顧客を案内できる表示画面又はスピーカにより、顧客に対して説明を視覚的又は可聴的に出力するようにプログラムすることができる。例えば、アクセス装置は、最初に、顧客のスマートカードを、それが読み取られるようにアクセス装置の近傍に置くことを顧客に促すことができる。本発明は、既存の現金支払いインフラストラクチャを完全に置き換える必要はなく、既存の現金支払いシステムの上部に一体化することができると有利である。
【0013】
通常、バックエンドサーバは、特に、顧客及び販売業者の電子財布を記憶し、且つ処理するように適合することができる。通常、顧客の電子財布のミラーが、顧客のスマートカードにも記憶され得る。
【0014】
バックエンドサーバはまた、データベースを有するデスクトップPCなどを含むことができる。バックエンドサーバ及び販売業者端末は、WAN、インターネット、又は他の任意の適切で好ましい、ダイアルアップを介するNAC(Network Access Controller)の使用を含む安全なネットワーク化インフラストラクチャを介して通信可能に接続され得る。
【0015】
本発明は、顧客が以下のものを含む顧客のスマートカードを取得するステップを含むことが好ましい。すなわち、
・組込み型プロセッサ、
・組込み型プロセッサに動作可能に接続されたメモリ装置、及び
・メモリ装置中に記憶された顧客の電子財布。
【0016】
通常、顧客の電子財布は、電子財布の金銭的価値を表す情報を記憶するためのファイル又はメモリスロットの少なくとも一方で実装され得る。
【0017】
通常、顧客のスマートカードは、参加する販売業者などの発行者により、又は自動販売機から供給され得る。発行者は、顧客のスマートカードの発行に責任を持つだけではなく、スマートカード中に記憶された電子財布を無許可に改ざんすることを阻止するために、発行された顧客のスマートカードに対してセキュリティプロトコルを実施することに対する責任もあり得る。
【0018】
通常、顧客のスマートカードは、顧客特定のものとすることも、或いは「匿名」とすることもできる。顧客のスマートカードが顧客特定のものである場合、本発明は、特定の顧客識別を、発行された顧客のスマートカードと関連付ける手段を含む。例えば、これは、顧客が、発行された顧客のスマートカードに組み込まれた一意の識別子と共に、自分の個人的な細目を提示することにより、バックエンドサーバにスマートカードを登録する必要性を含み得る。このステップは、販売業者が、一意の識別子に対して、アクセス装置で顧客のスマートカードをスキャンし、次いで、このコードを、バックエンドサーバによって処理するために顧客の個人的な細目と共に提示することを含み得る。この情報を処理すると、一意の顧客の電子財布が、その顧客に関してデータベース中に作成され得る。
【0019】
顧客のスマートカードが「匿名」である場合、顧客のスマートカードの使用を意図しているはずの顧客の識別を登録及び/又は記録するその後のステップは何も必要とせずに、顧客のスマートカードを発行することができる。顧客は、自分の識別を検証する必要なく、単に、望むままにスマートカード中に組み込まれた電子財布を使用することができる。匿名の顧客のスマートカードの電子財布中に記憶されたいずれの金銭的価値も、ユーザの識別が検証される必要のある顧客特有のスマートカードとは反対に、無許可の人々によって、比較的容易に使用され得ることが理解されよう。
【0020】
同様に、各参加する販売業者はまた、バックエンドサーバのデータベース中で販売業者の電子財布を初期化させることが必要であり得る。アクセス装置は、それに組み込まれた一意の識別子を含むことができ、その識別子は、バックエンドサーバへと送信されて、販売業者の電子財布と関連付けることができる。
【0021】
通常、本発明は、顧客が、任意の時間に、自発的に自分の電子財布に入金できるようにするステップを提供することができる。これは、利用可能にした「トップアップ(top−up)」マシンにより容易に行うことができ、その「トップアップ」マシンは、WANを介してバックエンドサーバへと通信可能に接続され得る。顧客のスマートカードに入金する場合、「トップアップ」マシンは、顧客のスマートカード中に含まれる電子財布を読み取り、顧客からのクレジットカード又は現金支払いを処理し、次いで、支払いの検証の後、バックエンドサーバに、顧客により購入された入金額を用いて、対応する顧客の電子財布に、ある金額を入金するよう命令するように適合され得る。
【0022】
同様に、販売業者は、販売業者端末を用いて、直接その入金額を購入することにより、その販売業者の電子財布に入金することができる。販売業者端末は、例えば、販売業者のクレジットカードの細目を読み取り、このように支払いを行い、次いで、それに従って、バックエンドサーバのデータベース中の適切な販売業者の電子財布に入金するようにバックエンドサーバに命令することを可能にできる。販売業者の電子財布が、顧客に釣り銭を転送する場合に使用するための十分な入金額を含むことを保証するために、GIROなどのシステムを、販売業者が利用できるようにすることもできる。
【0023】
通常、使用において、顧客と販売業者の間で購入トランザクションが行われる場合、トランザクションは、従来、POS端末を介して行うことができる。アクセス装置は、POS端末が、現金支払いトランザクションに応じて、顧客に釣り銭を提供することになった場合を検出するようにプログラムすることができる。アクセス装置は、その後に、認証のために、アクセス装置の近傍にその顧客のスマートカードを置くように、顧客に促すようにプログラムすることができる。
【0024】
アクセス装置は、オンチッププロセッサに組み込まれた電子財布を読み取り、且つ検証することによって、顧客のスマートカードを認証することができる。アクセス装置は、その後、以下のものを含むトランザクションログを生成することができる。すなわち、
(a)入金される顧客の電子財布に関係する情報、
(b)引き落とされる販売業者の電子財布に関係する情報、及び
(c)販売業者から顧客に支払うべき釣り銭の額。
この場合、リアルタイムでの決済を可能にするために、トランザクションログをバックエンドサーバに送信することができる。
【0025】
その後、バックエンドサーバは、適切に識別された顧客の電子財布に、支払うべき釣り銭の額だけを入金することにより、また識別された販売業者の電子財布から等価な額を引き落とすことにより、リアルタイムで決済を行うことができる。
【0026】
通常、アクセス装置は、顧客のスマートカード中に記憶された顧客の電子財布に入金することもできる。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態では、遅延させて決済を行うことができる。これは、本発明を実施するために使用されるコンピュータ化システムに固有の、及び/又は意図的な動作手法としてのいくつかの制限による場合であり得る。
【0028】
前者に関しては、すべての販売業者端末が、(例えば通信及びトランザクションコストを低減するために)バックエンドサーバに通信可能に接続できないいくつかの場合に、遅延させる必要があり得る。バックエンドサーバに記憶された顧客及び販売業者の電子財布は、いくつかの販売業者端末により調整できない可能性があるので、顧客のスマートカード上に配置された顧客の電子財布の調整は、バックエンドサーバと顧客のスマートカードの記録の間で生ずる不一致を回避するために遅延される。
【0029】
後者の場合では、すべての販売業者端末が、バックエンドサーバに通信可能に接続されている場合であっても、比較的わずかな額の釣り銭がしばしば含まれるに過ぎない場合は特に、バックエンドサーバにおける各トランザクションを高い頻度で決済することは効率的ではない可能性がある。それに代えて、決済を行う前に検出されるべき所定の閾値条件、すなわち、例えば、顧客に支払うべき釣り銭の累積額が所定の閾値額(例えば、2.00ドル)を超えた場合を待つことがより効率的であり得る。代替的には、所定の閾値条件は、決済を行うことに進む前に、所定の時間期間が経過するのを単に待つことを含むことができる。
【0030】
通常、バックエンドと顧客のスマートカードの間で生ずる不一致の可能性により、本発明は、販売業者と顧客の間における任意の未決済の釣り銭の転送を追跡するように適合された顧客のスマートカード上にカウンタを提供するステップを含む。通常、カウンタは、スマートカードのメモリ装置中に記憶された読取り/書込み可能なデータファイルを含むことができる。カウンタは、少なくとも以下のものの細部を含むことができる。
(a)まだ決済が行われていない販売業者を識別する情報、
(b)販売業者により決済されていない釣り銭の額を詳細に記述する情報、
(c)販売業者(複数可)により顧客に支払われるべき釣り銭の累積額の詳細を記述する情報、
(d)顧客の電子財布の収支残高を詳細に記述する情報。
【0031】
通常、本発明が、遅延させた決済が行われるのを許容し得る場合、少なくともいくつかの販売業者端末は、顧客のスマートカードが提示された場合はいつも、自動的に顧客のスマートカードを読み取り、且つ何らかの未処理のトランザクションがカウンタにより記録されているかどうかを検出するようにプログラムされ得る。アクセス装置はさらに、所定の閾値条件が満たされる場合(例えば、釣り銭の累積額が所定の閾値額を超える場合)、いずれのこのような検出された未処理のトランザクションに対しても、決済を行うようにプログラムすることができる。販売業者端末は、したがって、未処理のトランザクションを決済するために、上記で述べたように、適切に書式化されたトランザクションログをバックエンドサーバに送信することができる。その後、行うことのできるさらなる諸ステップは、以下のものを含む。
(a)未処理のトランザクション(複数可)がいまや決済されたことを示すために、スマートカードのカウンタをリセットするステップ、及び
(b)バックエンドと顧客のスマートカードで一貫性があるように、顧客のスマートカード上に含まれるミラー電子財布を調整するステップ。
【0032】
本発明のさらに他の実施形態では、バックエンドサーバが全くないこともあり得る。この実施形態では、顧客の電子財布は、スマートカードそれ自体にだけ記憶することもでき、販売業者の電子財布は、例えば、販売業者端末のアクセス装置中に記憶することができる。この構成では、すべての販売業者端末のアクセス装置は、顧客のスマートカードの電子財布との安全な読取り/書込みを行うために、SAMを含むことができる。
【0033】
したがって、この構成で決済が(リアルタイムで、又は遅延させて)行われる場合、アクセス装置は、顧客のスマートカードの顧客の電子財布に直接入金することができ、またアクセス装置に記憶された販売業者の電子財布から引き落とすことができる。
【0034】
通常、本発明の方法ステップの少なくともいくつかを、アドミニストレータが実施することができる。通常、アドミニストレータは、本方法ステップ(複数可)を手動で実施する人物を含むことができるが、或いは本方法のステップ(複数可)を自動的に実施するようにプログラムされ得るコンピュータ化されたシステムを含むことができる。アドミニストレータは、コンピュータ化システムと組み合わせて働く人物を含み得ることが好ましい。通常、コンピュータ化システムは、バックエンドサーバを含む。
【0035】
有利には、本発明は、アドミニストレータに収益源(revenue stream)を生成する少なくとも1つの機会を提供することができる。例えば、アドミニストレータは、以下のものに対する料金を請求することができる。
(a)顧客のスマートカードを購入するための、また顧客の電子財布をホストするための料金、
(b)そのスキームに参加するための料金、及び各販売業者をホストするために、その電子財布をホストする料金、
(c)バックエンドサーバ上でトランザクションを決済するための料金、
(d)スマートカード上で利用可能な広告空間を作成するための料金、
(e)未決済金額(FLOAT)を管理するための料金。
【0036】
第2の広範形態では、本発明は、本発明の第1の広範形態による方法ステップの少なくとも1つを実施するようにプログラムされたコンピュータ化システムを提供する。
【0037】
第3の広範形態では、本発明は、本発明の第1の広範形態による方法ステップを実施するように適合されたコンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータ可読媒体を提供する。
【0038】
本発明は、添付の図面に関連して述べられた、好ましいが、限定することのない本発明の実施形態の以下の詳細な説明からさらに完全に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態の方法ステップに従って使用されるコンピュータ化システムの図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による方法を実施するのに必要なステップを広く示している流れ図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に従って、どのように決済がリアルタイムで行われるかを示す概念図である。
【発明の詳細な説明】
【0040】
ここで、図1〜3を参照して、本発明の第1の実施形態を説明する。以下の論議は、本発明を実施することのできる適切なコンピューティング環境の簡単な、概略的説明を提供することが意図されている。必須ではないが、本発明は、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレットコンピュータ、PDAなどのコンピュータによって実行されるプログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令の一般的なコンテキストで記述されることになる。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを行う、又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、記号、コンポーネント、データ構造を含む。当業者であれば理解されるように、本発明は、ハンドヘルド装置、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースの、又はプログラム可能な家庭用電子機器、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータなどを含む、他のコンピュータシステムコンフィギュレーションを用いて実行することができる。本発明はまた、通信ネットワークを介してリンクされた遠隔処理装置によりタスクが行われる分散コンピューティング環境中で行うこともできる。分散コンピューティング環境では、プログラムモジュールは、ローカルと遠隔のメモリ記憶装置の両方に位置することができる。
【0041】
まず、図1を参照すると、第1の実施形態は、標準のデスクトップPCを含むバックエンドサーバ(1)と、WAN(6)を介してバックエンドサーバ(1)に通信可能に接続された複数の販売業者端末(2)とを有するコンピュータ化システムを用いて実施される。
【0042】
販売業者端末(2)のそれぞれは、顧客により販売業者に提供される現金支払いを処理できる電子金銭登録器などのPOS装置(2a)を含む。POS装置(2a)は、USB接続を介して、又は代替的には、RS232C接続を介して、外部のスマートカード読取り装置(2b)とインターフェースをとることができる。スマートカード読取り装置(2b)は、非接触インターフェースを含み、したがって、それは非接触の顧客のスマートカード(5)との読取り/書込みを行うことができる。
【0043】
スマートカード読取り装置(2b)は、SAM(secure access module)を含む、すなわち、それは、顧客のスマートカード(5)と認証された対話を行うように適合された専用の処理装置である。これは、適切な暗号化プロトコルを含むことになる。
【0044】
スマートカード読取り装置(2b)は、顧客が、顧客の釣り銭をその電子財布に入金させるのに必要な諸ステップを介して案内されることを好都合に可能にする一体化された表示画面(2c)を介して、顧客に対して視覚的に命令を出力するようにプログラムされる。これは、説明の中でさらに例として論ずることになる。
【0045】
バックエンドサーバ(1)は、特に、決済中に顧客及び販売業者の電子財布を共に記憶し且つ処理するようにプログラムされる。各顧客の電子財布のミラーが、顧客のスマートカード(5)に記憶される。
【0046】
バックエンドサーバ(1)は、Oracle Corporationなどにより販売され得るものなど、任意の適切なソフトウェアスイートを用いて実装されたデータベース(1a)を有する標準のデスクトップPCなどを用いて実施することができる。
【0047】
第1の実施形態の方法は、顧客が、顧客のスマートカード(5)を、参加する販売業者から、又は自動販売機から取得する必要のあるステップを含む。顧客のスマートカード(5)を取得するためにコストが生ずるはずであり、これは、好都合には、システムのアドミニストレータにより利用されるさらなる収益源を生成することができる。顧客のスマートカード(5)は、組み込まれたプロセッサ(5a)、メモリ装置(5b)、及びそのメモリ装置に記憶される一意の識別子を含む。
【0048】
顧客のスマートカード(5)を購入すると、顧客は、自分をバックエンドサーバ(1)に登録する必要がある。これは、顧客のスマートカード(5)をスマートカード読取り装置(2b)でスキャンすることになる販売業者の支援のもとに行われ、それにより、顧客のスマートカード(5)中に組み込まれた一意の識別子は、顧客によって、手動で提示された個人的な細目と共にバックエンドサーバ(1)に送られる。バックエンドサーバ(1)は、バックエンドサーバ(1)のデータベース(1a)中に記憶された新しい顧客の電子財布を初期化することになる。
【0049】
販売業者もまた、自分自身の販売業者の電子財布を初期化することが必要であり、これらはまたバックエンドサーバ(1)のデータベース(1a)に記憶されることになる。販売業者の電子財布は、販売業者の構内における販売業者端末のアクセス装置(2b)中に組み込まれた一意の識別子を参照することにより識別される。販売業者は、概して、取引の過程中に、物理的に釣り銭を顧客に払う必要性に代えて、販売業者の電子財布からの入金額が、適切な顧客の電子財布に転送され得るように、自分の電子財布を満たしておくことになる。顧客は、バックエンドサーバ(1)とインターフェースがとられるべきであるGIROなどの電子支払いシステムインフラストラクチャを用いて、バックエンドサーバ(1)で自分の電子財布を直接満たすことができる。
【0050】
本発明の代替の実施形態では、顧客のスマートカードは、匿名で実施することができること、すなわち、スマートカードが顧客特有ではないことを理解されたい。この点に関して、スマートカードが発行されたとき、スマートカードを用いる顧客と顧客のスマートカードそれ自体との間に一意の関係を作成できるように、顧客の特定の細目を登録する必要性はない。
【0051】
顧客はまた、自発的に、任意の時間に自分の電子財布に入金することができる。顧客に対して、これは、「トップアップ」マシンを利用可能にすることによって容易に行うことができ、「トップアップ」マシンはまた、WAN(6)を介してバックエンドサーバ(1)に、通信可能に接続される。顧客のスマートカード(5)に入金する場合、「トップアップ」マシンは、顧客のスマートカード(5)に含まれる一意の識別子を読み取り、顧客からのクレジットカード又は現金支払いを処理し、次いで、支払いの検証の後、顧客によって購入された入金額を用いて、対応する顧客の電子財布にその金額を入金するように、バックエンドサーバに命令するように適合される。
【0052】
使用において、購入トランザクションが顧客と販売業者の間で行われた場合、図2でブロック(100)〜(300)により広く示されるように、そのトランザクションは、POS装置(2a)を用いて実行される。スマートカード読取り装置(2b)は、いつPOS装置(2a)が、現金支払いトランザクションに応じて顧客に釣り銭を提供するかを検出するようにプログラムされる。スマートカード読取り装置(2b)は、その後、表示画面(2c)を介して提示されたテキストベースの命令により、それが読み取って認証できるように、スマートカード読取り装置(2b)の近傍にその顧客のスマートカード(5)を置くように顧客を促すことになる。このステップは、図2のブロック(400)で広く示されている。
【0053】
ブロック(600)で示すように、スマートカード読取り装置(2b)は、次いで、スマートカード(5)に充てられた顧客の電子財布に入金し、その後、バックエンドサーバ(1)に送られるそのトランザクションに対するトランザクションログの生成へと進み、したがって、バックエンドサーバ(1)は、そのトランザクションをリアルタイムで決済することができる。トランザクションログは、以下の情報を含む。
(a)顧客のスマートカード(5)の一意の識別子、
(b)販売業者の一意の識別子、及び
(c)販売業者から顧客に支払うべき釣り銭の額。
【0054】
トランザクションログが生成された後、スマートカード読取り装置(2b)は、表示画面(2c)を介して提示されたテキストベースの命令により、顧客のスマートカード(5)をスマートカード読取り装置(2b)の近傍から取り除くことがいまや安全であることを顧客に助言する。これは、図2のブロック(700)によって広く示されている。
【0055】
その後、販売業者端末(2)は、図2のブロック(800)で示されるように、バックエンドサーバ(1)上でそのトランザクションの決済を開始する。これは、WAN(6)を介してトランザクションログをバックエンドサーバ(1)に送信することを含み、したがって、バックエンドサーバ(1)は、適切に識別された顧客の電子財布に、支払われるべき釣り銭の額だけを入金することにより、また識別された販売業者の電子財布から等価な額を引き落とすことにより、リアルタイムで決済を行うことができる。トランザクションログを送るステップ、及びバックエンドサーバ(1)で顧客及び販売業者の電子財布の決済を行うステップは、図2のブロック(900)及び(1000)で、それぞれ示されている。
【0056】
図3は、顧客が、3日間にわたり販売業者(A)、(B)及び(C)から連続して購入を行った場合に、顧客のスマートカード(5)の電子財布中の、またバックエンドサーバ(1)中の収支残高をリアルタイムで一致させることのできる相対的な容易さを示す。矢印(X)、(Y)及び(Z)は、バックエンドサーバ(1)へのトランザクションログのリアルタイム送信を表しており、顧客の電子財布の累積的収支残高はスマートカード(5)及びバックエンドサーバ(1)の両方で更新され、それは、各販売業者(A)、(B)及び(C)により行われるリアルタイムの決済により一貫性が保たれる。
【0057】
本発明の代替の実施形態では、バックエンドサーバ(1)におけるいくつかのトランザクションの決済は、遅延させて行うことも可能である。この点に関して、バックエンドサーバ(1)と顧客のスマートカード(5)中の電子財布の収支残高の間で生ずる不一致の可能性により、第1の実施形態は、販売業者と顧客の間における未処理の釣り銭の転送を追跡するように適合された、顧客のスマートカード(5)上に配置されたカウンタを提供する。通常、カウンタは、顧客のスマートカード(5)のメモリ装置(5b)に記憶された読取り/書込み可能なデータファイルを含む。より具体的には、カウンタは、少なくとも以下のものの細目を含む。
(a)まだ決済が行われていない販売業者(複数可)を識別する情報、
(b)各販売業者(複数可)により決済されていない釣り銭の額を詳述する情報、
(c)販売業者(複数可)により顧客に支払われ得る釣り銭の累積額を詳述する情報、
(d)顧客の電子財布の収支残高を詳述する情報。
【0058】
遅延させた決済に適合される場合、未処理のトランザクションをいつ決済すべきかを判定する基準点として使用される所定の閾値条件が設定される。
【0059】
例えば、所定の閾値条件を、少なくとも1人の販売業者から顧客に支払うべき釣り銭の累積額が特定のレベル(例えば、2.00ドル)を超えたことを検出したときはいつでも、未処理のトランザクション調整の精算がトリガされる、とすることもできる。したがって、顧客が、販売業者の端末で自分の顧客のスマートカード(5)を提示したときはいつでも、以下のステップを自動的に実施するように、アクセス装置がプログラムされる。
(i)顧客のスマートカード(5)を読み取り、且つカウンタ中に何らかの未処理のトランザクションが記録されているかどうかを検出するステップ、
(ii)所定の閾値条件が満たされている場合(例えば、釣り銭の累積額が、所定の閾値額の2ドルを超える場合)、検出されたこのような未処理のトランザクションのいずれに対しても決済を行うステップ、
(iii)決済が行われた後、未処理のトランザクション(複数可)がいまや決済されたことを示すために、顧客のスマートカード(5)のカウンタをリセットするステップ、及び
(iv)バックエンドサーバ(1)及び顧客のスマートカード(5)に一貫性があるように、顧客のスマートカード(5)上に含まれるミラー電子財布の収支残高を調整するステップ。
【0060】
本発明のさらに他の実施形態では、バックエンドサーバが全くないこともあり得る。この代替の実施形態では、顧客の電子財布は、スマートカードそれ自体中にだけ記憶され、また販売業者の電子財布は、販売業者端末のアクセス装置中に記憶される。この構成では、すべての販売業者端末のアクセス装置は、顧客のスマートカードの電子財布の安全な読取り及び書込みを可能にするためにSAMを含む。
【0061】
したがって、この構成で決済が(リアルタイムで、又は遅延させて)行われる場合、アクセス装置は、顧客のスマートカードの顧客の電子財布に直接入金することができ、またアクセス装置中に記憶された販売業者の電子財布から引き落とすことができる。
【0062】
この明細書において、任意の従前の刊行物(又はそれから引き出される情報)に対する、又は既に知られている任意の事項に対する参照は、その従前の刊行物(又はそれから引き出される情報)又は知られた事項が、この明細書が関係する努力の分野で、共通の一般的な知識の一部を形成することを同意若しくは自認、又は任意の形で示唆するものとして解釈されることはない、また解釈すべきではない。
【0063】
当業者であれば、本明細書で述べられた本発明は、本発明の範囲を逸脱することなく、具体的に述べられたもの以外の変形及び変更を容易に受けることができることを理解されよう。当業者にとっては明らかとなるこれらの変形及び変更のすべては、本明細書で前に広く述べた本発明の趣旨及び範囲に含まれるものと見なすべきである。本発明は、このような変形及び変更をすべて含むことを理解されたい。本発明はまた、本明細書で述べられ、又は示されたステップ及び機能のすべてを、個々に、又は集合的に含み、さらに前記ステップ又は機能のうちの任意の2つ以上の任意の組合せ、及びすべての組合せを含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客と販売業者の間の現金購入から生ずる釣り銭を記憶する方法であって、顧客の電子財布中に前記釣り銭を表す価値を電子的に入金するステップを含み、前記顧客の電子財布中に入金された前記釣り銭の前記価値をさらなる購入のために交換することができる方法。
【請求項2】
前記販売業者に入金額を記憶するための電子財布を提供するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記顧客の電子財布に入金された釣り銭の額に等価な額に応じて、前記販売業者の電子財布から引き落とすことを含む決済を行うステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、
販売時点情報管理装置と、可搬型記憶装置に対して読取り及び/又は書込みを行うように適合されたアクセス装置とを含む複数の販売業者端末に対して通信可能に接続されたバックエンドサーバ
を含むコンピュータ化システムを用いて実施される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記可搬型記憶装置が、
(a)チップベースのカード(すなわち、「スマートカード」)、
(b)ストアドバリューカード、及び
(c)無線周波数識別(RFID)カード
のうちの少なくとも1つを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記アクセス装置が、スマートカード読取り装置、及び/又はSAM(Secure Access Module)を含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記アクセス装置が、前記販売業者を認識するために使用される一意の識別子を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記アクセス装置がスマートカードを認証できるようにするために、前記スマートカードに充てられた一意の識別子を含む顧客のスマートカードを前記顧客に提供するステップを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記顧客の前記電子財布が、前記顧客のスマートカードに記憶される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記バックエンドサーバが、前記顧客の前記電子財布の複製、及び前記販売業者の前記電子財布の複製を記憶するように適合されたデータベースを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記顧客及び/又は販売業者がそれぞれの電子財布に自発的に入金するための手段を提供するステップを含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
現金購入を行う過程において、現金が前記販売業者から前記顧客に支払われる場合、以下のステップ、すなわち、
(i)前記アクセス装置が前記顧客のスマートカードを読み取り、且つ認証するステップと、
(ii)前記顧客のスマートカードに充てられた前記顧客の前記電子財布が、前記販売業者により入金されるステップと、
(ii)前記顧客の電子財布に入金されるべき釣り銭額の細目、前記販売業者の前記識別、及び前記顧客の前記識別を含むトランザクションログが、前記アクセス装置により生成されるステップと、
(iii)前記トランザクションログを前記バックエンドサーバに送信するステップであり、それにより、前記バックエンドサーバが、前記トランザクションログを参照することによって前記販売業者の電子財布から引き落としを行い、また前記顧客の電子財布に入金することができるステップと
が実行される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記決済が、リアルタイムで、又は遅延させて行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記顧客のスマートカードにカウンタを記憶するステップを含み、前記カウンタが、
(a)前記顧客がトランザクションを決済していない販売業者を識別する情報、
(b)前記販売業者との決済がされていない釣り銭の額を識別する情報、及び/又は
(c)すべての販売業者により前記顧客に支払われる釣り銭の累積額を識別する情報
のうちの少なくとも1つを記録するように適合される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
決済が遅延させて行われる場合、所定の閾値条件が検出されたときに決済が開始され、前記所定の閾値条件が、
(a)前記顧客に支払われるべき釣り銭の累積額が、所定の閾値レベルを超えた場合、
(b)所定の時間期間が経過した場合、及び/又は
(c)所定の時間になった場合
を含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項16】
バックエンドサーバが使用されず、また販売業者端末が、前記顧客のスマートカードに充てられた電子財布に入金するように、且つ前記アクセス装置に充てられた販売業者の電子財布から引き落とすように適合される、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法ステップを行うようにプログラムされたコンピュータ化システム。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法ステップを実施するように適合されたコンピュータプログラムを記憶するためのコンピュータ可読媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−503131(P2010−503131A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528208(P2009−528208)
【出願日】平成19年4月18日(2007.4.18)
【国際出願番号】PCT/SG2007/000103
【国際公開番号】WO2008/033097
【国際公開日】平成20年3月20日(2008.3.20)
【出願人】(509070795)コンシューマー キューブ プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】