説明

風力発電設備のローターブレード

【課題】公知のローターブレードに比して効率の向上を図ることができるローターブレード断面を有するローターブレードおよび風力発電システムを提供する。
【解決手段】本発明に係る風力発電システム用のローターブレードは、概ね15%と40%との間に、好ましくは23%と28%との間に最大厚み位置を有し、断面の最大厚みは概ね20%と45%との間に、好ましくは32%と36%との間にあり、ローターブレードが根部において二部材構成を有し、ローターブレードの一部がハブライニングの外側に形成されており、ローターブレードの断面厚さとローター直径の比が概ね0.04ないし0.1であり、かつ、ローターブレードの断面厚さとスピナー直径の比が0.5と1との間にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電設備用のローターブレードおよび対応する風力発電設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術の関連する状況については、たとえば非特許文献1が挙げられる。この文献は、従来技術によるローターブレードを通る断面と共に、風力発電システム、そうしたシステム用のローターブレードのいくつかの例が開示されている。NACAによる空力的断面の幾何学的断面パラメータは102ページの図5.34に示されている。同図によれば、翼弦長に対応する断面厚さ、翼弦上の骨格線の最大高さを規定する最大キャンバー(すなわちキャンバー率)、最大キャンバーの位置すなわち断面厚さに対するローターブレードの横断面内での最大キャンバーの位置、内接円(その中心は骨格線上にある)の最大直径を規定する最大断面厚み、そして最大厚みの位置すなわちローターブレードの横断面が断面厚さ(奥行き)に対してその最大断面厚みを呈する位置によって、ローターブレードは記述される。さらに、下側および上側面の断面座標と同様、前縁半径は、ローターブレードの横断面を記述するのに使用される。とりわけ上記非特許文献1由来の用語は、本発明によるローターブレードの横断面の説明でも使用する。
【0003】
最新技術による他のローターブレードは、特許文献1ないし4に開示されている。
【0004】
ローターブレードの最適化は、いくつかの異なる様態で具現化できる。ローターブレードは静かに稼働するだけでなく、比較的低い風速で風力発電システムの運転を開始させ、そして公称速度すなわち風力発電システムが公称出力に可能な限り最低の風力で初めて達する速度に到達させるために最大動的性能を有するべきである。風速がその後増大した場合、ピッチ調整された風力発電システムのローターブレードを風に向ける調整をさらに行うことは目下のところ普通に行われている。これにより、公称出力が維持される一方で、風にさらされるローターブレードの表面積は、風力発電システム全体およびその部品を物理的損傷から保護するために低減される。どのような場合でも、風力発電システムのローターブレードのローターブレード断面の空力的特性は最も重要なものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許第103 07 682号明細書
【特許文献2】米国特許第5,474,425号明細書
【特許文献3】米国特許第6,068,446号明細書
【特許文献4】独国特許第694 15 292号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Erich Hau著、「Windkraftanlagen(風力発電システム)」、1996年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これまでに知られたローターブレードに比して効率の向上を図ることができるローターブレード断面を有するローターブレードおよび対応する風力発電システムを開示する目的に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、この目的は、独立請求項の特徴部に従ったローターブレード断面形状(翼形)を有するローターブレードによって具現化される。有利なさらなる展開は、従属請求項に規定されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による風力発電システムの正面斜視図である。
【図2】本発明による風力発電システムの後方斜視図である。
【図3】本発明による風力発電システムの側面図である。
【図4】本発明によるローターブレードをある方向から見た図である。
【図5】本発明によるローターブレードをある方向から見た図である。
【図6】本発明によるローターブレードをある方向から見た図である。
【図7】本発明によるローターブレードをある方向から見た図である。
【図8】本発明によるローターブレードをある方向から見た図である。
【図9】本発明による風力発電システムの拡大図である。
【図10】本発明によるローターブレードの図である。
【図11】本発明による風力発電システムの図である。
【図12】本発明による風力発電システムの図である。
【図13】本発明による風力発電システムの図である。
【図14】本発明による風力発電システムの図である。
【図15】本発明による風力発電システムの図である。
【図16】本発明による風力発電システムの図である。
【図17】本発明による風力発電システムの図である。
【図18】本発明によるローターブレードを通る(ハブ近傍領域における)断面図である。
【図19】本発明による風力発電システムの図である。
【図20】本発明によるローターブレードの平面図である。
【図21】本発明によるローターブレードの前部セクションの平面図である。
【図22】本発明によるローターブレードの第1の変形例を通る概略断面図である。
【図23】本発明によるローターブレードの第2の変形例を通る概略断面図である。
【図24a】本発明によるローターブレードの第3の変形例を通る概略断面図である。
【図24b】本発明によるローターブレードの第3の変形例を通る概略断面図である。
【図25】本発明によるローターブレードの第4の変形例を通る概略断面図である。
【図26】本発明によるローターブレードの第5の変形例を通る概略断面図である。
【図27a】本発明によるローターブレードの第6の変形例を通る簡略断面図である。
【図27b】本発明によるローターブレードの第6の変形例を通る簡略断面図である。
【図28a】本発明によるローターブレードの一つの発展的変形例の平面図である。
【図28b】本発明によるローターブレードの一つの発展的変形例の平面図である。
【図29a】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図29b】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図30a】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図30b】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図31a】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図31b】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図32a】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図32b】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【図33】本発明の他の有利な実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明について説明する。
【0011】
本出願で説明するローターブレード1の断面は、特に、ローターブレード1のマウント(ハブへの接続部)に隣接して存在するローターブレード1の領域に位置させられる。本出願で説明する断面は、好ましくは、その全長に対してローターブレード1の初めの三分の一に形成される。風力発電システムの公称出力に依存して、このブレードは、10mと70mの間の全長を有する。たとえば、Enercon E-112型の風力発電システム(直径おおよそ112m)は4.5MWの公称出力を有し、一方、Enercon E-30型の風力発電システムは300kWの公称出力を有する。
【0012】
本発明によるローターブレード1の断面のある特有の特徴は、最大断面厚みTRがローターブレード翼弦長の概ね25%〜45%、好ましくは32%〜36%である、ということである。図18において、最大断面厚みTRはローターブレード翼弦長の概ね34.6%である。図18に示す翼弦9は、ローターブレード後縁3の中心2からローターブレード前縁5の末端点4に向かって延びている。最大厚みTRの位置、すなわちブレード長に対する最大断面厚みの位置は、ローターブレード前縁5に関して翼弦長の概ね15%〜40%、好ましくは23%〜28%である。図示した実施形態では、最大厚みTRの位置は、ローターブレード前縁5に関して翼弦長の25.9%である。最大厚みTRは翼弦9に対して垂直に規定され、そして最大位置(25.9%)はローターブレード前縁5に対するものである。
【0013】
図18はまた、いわゆる骨格線7を示している。この骨格線7は所定の地点においてローターブレード1の厚みの半分をそれぞれ規定している。したがってこの骨格線7は真っ直ぐではなく、むしろローターブレード1の正圧面11とローターブレード1の負圧面10上の対向点間に正確に配置されている。骨格線7は、ローターブレード後縁3とローターブレード前縁5とにおいて翼弦9と交わる。
【0014】
本発明によるローターブレードの断面における最大そり位置は、ローターブレード前縁5に関して翼弦長の概ね50%〜70%、好ましくは55%〜70%、好ましくは59%〜63%に存在する。図18に示す実施形態における最大そりCの位置は、ローターブレード前縁5に関して翼弦長の概ね61.9%に存在する。この場合の最大そりCは翼弦長の概ね3%〜10%、好ましくは翼弦長の4%〜7%である。図18に示す実施形態では、そりは翼弦長の概ね5.87%である。
【0015】
本発明によるローターブレードの断面の他の明らかな特徴は、ローターブレード1の正圧面11が翼弦9とポイント12および13において2度「交わる」ことである。ゆえに、断面の正圧面11はこの領域では凹面状に具現化され、一方、前部断面領域ではこの正圧面11は凸面状に具現化される。正圧面11の凹面状領域において、負圧面は、この負圧面10上の関連する対向領域では略直線によって画定される。
【0016】
正圧面11を凹面状のそりによって具現化することあるいは負圧面10を真っ直ぐな境界線によって具現化することはよく知られているであろう。だが、特に、両手法の組み合わせは、本発明によるローターブレード1の断面および本発明によるローターブレード断面に関する特性に関して最も重要なものである。
【0017】
図示する断面のローターブレード後縁3はまた著しく厚みが大きなものである。だが、これは、ローターブレード後縁3における騒音の発生に関しては問題をはらまない。なぜなら、図示の断面はローターブレードチップによって形成される円の内側三分の一内に配置されており、この位置では経路速度はあまり高くないからである。
【0018】
ローターブレード1の空力的形状は、ローターブレード1がここでその最大厚みを有し、したがって大体において最適空力的形状に類似する概ね台形状(平面視で)であるようにローターブレード根部15の領域を設計することによって改善できる(たとえば図1、図3、図9、図11、図15)。その根部15のこの領域では、ローターブレード1は好ましくは、風力発電システムのナセル18に面するローターブレード根部15の縁部16が少なくとも一つの角位置においてナセル18の外部輪郭に適合させられるよう、たとえばローターブレード1がその基準風位置にあるとき、風力発電システムに面するローターブレード根部15の縁部16とナセル18の外部輪郭との間に概ね5mm〜100mmの幅を持った非常に小さな間隙Sが形成されるように適合させられるよう具現化される。
【0019】
上記特徴を備えたローターブレード1が、著しく、すなわちある場合には10%まで出力を増大させることを可能にすることが確認された。この予見されなかった出力増大によって、本発明による風力発電システムの電力アウトプットは、基準風速以下の所与の風速において増大する。さらに、本風力発電システムは、以前よりも一層迅速にその公称出力に達する。これは、システムへの機械的ストレスと共に放音を低減するために、より早くローターブレードを旋回(調整)できることを意味する。
【0020】
本発明は、今日使用されている従来型ローターブレード形状が風洞内で異なる速度で、ただし均一な気流で試験されるという考えに基づくものである。だが、自然風はめったにはそのように均一には吹かず、しかも確率の法則に支配されるので、従来型ローターブレードでは、特にローターハブ17近傍の内側ブレード領域(ここではブレードはもはや空力的に滑らかでかつ最適様式では具現化されていない)において、突風が流れの剥離を生じさせることがある。流れの剥離は、外側ローターブレード領域(ローターブレードチップ)の方向に、ある距離にわたって広がる。これは気泡状領域における流れの剥離に、そして出力の必然的な損失につながることになる。ローターブレード1を滑らかに設計することにより、本発明はまた、上記タイプの場合に、内側ローターブレード領域において効力を著しく増大させることを可能にする。
【0021】
従来の標準的断面が、本システムによって提案された実験的に確定された断面の代わりに使用された場合、ローターブレード1の空力的滑らかな設計は、下側ローターブレード領域(ハブ17近傍領域)において、概ね2倍の断面厚さ(これはローターブレード1の翼弦長に一致する)を必要とするであろう。しかしながら、前部領域におけるかなり大きな断面厚みは、安全な荷重伝達および2よりも大きな揚力係数Cを得るために必要とされる。
【0022】
最新のローターブレードは現在、ごく普通に、最大の材料節約が内側領域において達成されるよう製造されている。そうした最新のローターブレードの典型的な例は、Erich Hau著(1996年)の上記「Windkraftanlagen(風力発電システム)」の114および115ページに示されている。この例によれば、最大断面厚さは常に、ローターブレードマウントからある距離をおいて、すなわちローターブレード取付け領域(ここで材料は最新技術によってこのローターブレードにおいて節約される)近傍に存在している。だが、平面視で台形に似た最適形状を使用する場合、ローターブレードの最大幅はローターブレードマウントからある距離だけ離れて配置されるのではなく、正確にローターブレードマウント自体の領域に配置される。したがって、ローターブレードの内側領域では最大限の材料節約を実現できない。
【0023】
材料節約の理由は、ローターブレードの計算/開発において流れの状況の(上記)静的考察に見出すことができる。さらに、ローターブレード用の好評を得ている計算プログラムは、ローターブレード全体の評価を得るために、ローターブレードを個々のセクションに分割し、そして各ローターブレードセクションを別個に計算する。
【0024】
だが実際の状況は全く異なる。まず、風はある地表領域内で、均一にしかも全く変化しないようには吹かず、むしろ明らかに確率的な振る舞いをする。第二に、風速は、内側領域(すなわちローターハブ17近傍領域)におけるローターブレード1の遅い周速度により重要な因子であり、迎え角の変化はこの領域の瞬間風速に大いに依存する。この結果、境界層剥離がまたローターブレード1の内側領域で相応の頻度で生じる。
【0025】
ヒステリシスはそうした場合に有効である。たとえば突風の後、いったん風が以前の風速まで静まると、ローターブレード1上の境界層は直ちに回復しないだけでなく、ローターブレード表面上の境界層が回復するまで風速は初めにさらに低下しなければならない(すなわち迎え角がさらに調整される必要がある)。だが、風速がそれ以上低下しない場合、入射風にもかかわらず、長時間にわたってローターブレード1上にある力が加えられるであろう。なぜなら、ローターブレード1の表面の境界層がまだ回復していないからである。
【0026】
本発明によるローターブレード1の設計は境界層剥離のリスクを著しく低減する。この剥離のリスクはまた相対的に厚みのある断面の助けによっても低減される。効率の実質的向上に関する他の説明は、(従来型のローターブレードが使用された場合)いったん境界層剥離が生じてしまうと、ヒステリシス作用によって、出力の低下が、かなりの期間にわたって持続する、というものである。
【0027】
効率向上はまた、風が最小抵抗経路を利用することによって、ある程度説明可能である。ハブ17近傍の内側領域におけるローターブレード1の非常に薄い設計(かなり材料を節約する)は、ローターブレード1が通過するローター円取入れ領域の「スリップホール」と等価である。これによって空気は好んでこのスリップホールを通って流れる。これは、ローターブレードが通過する円形領域にわたる均一な分配を常に計算の基礎とする一般的な計算プログラムの欠点を別途示している。
【0028】
もし、この「スリップホール」がハブ17近傍の領域において台形設計のローターブレード1を利用することで「閉塞」される場合、空気流の分布が円形領域全体にわたって改善され、しかもモーターブレードの外側領域への作用がある程度増大させられる。この結果、上記「スリップホール」の「閉塞」は、本発明によるローターブレード1のパワー係数の改善に寄与する。
【0029】
これはまた、一般の計算プログラムのさらに他の弱点を示す。なぜなら、それはまた、完全に機能的なローターブレードセクションとして「スリップホール」に直接隣接配置されるローターブレードセクションを考慮に入れるからである。だが、これは特別な流れ状況(頻繁な境界層剥離に続く意図した流れ状況の回復)に起因する事例とはなり得ない。
【0030】
図11〜図17はそれぞれ、本発明による風力発電システムの正面図および側面図を示す。これらの図において、三つのローターブレードはハブ17近傍領域においてナセル18の外側輪郭へとほとんど継ぎ目なく移り変わっている。だが、これは、基準風ポジションに対応するローターブレードのポジションに適用されるに過ぎない。
【0031】
いったん風が基準風を超えて増大すると、ローターブレードは、ピッチング(ピッチ調整)によって従来様式で風から徐々に調整される。ここで図15は、これによって、その内側領域におけるローターブレード1の下側縁部16とナセル18との間に大きな幅の間隙が形成され得ることを示している。だが、図15はまた、ナセル18のフェアリングの外面が、その断面がハブ17の近傍領域においてローターブレード1の断面と概ね一致する構造体30を含むことを示している。この構造体30は、ハブ17の近傍領域においてこの構造体30とローターブレード1との間に狭い間隙のみが形成されるようローターブレード1が対応する迎え角へと調整される場合、基準速度においてはローターブレード1のすぐ下方に存在する。
【0032】
この結果、ナセル18の外側輪郭はまた、ローターブレードと一体部分を形成しないローターブレード1のセクション(すなわち構造体30)を含む。
【0033】
図18に示すローターブレード1の断面において、チップ半径は断面厚さの概ね0.146倍である。
【0034】
図18によれば、負圧面10はほとんど直線状のより長い領域14を含む。たとえば、この領域は次のように説明できる。断面厚さの38%と100%の間の領域において、その半径は断面厚さ長の1.19倍である。断面厚さの40%と85%の間の領域(図18参照)において、その半径は概ね断面厚さの2.44倍である。断面厚さの42と45%の間の領域において、その半径は断面厚さの概ね5.56倍である。
【0035】
断面厚さの36%と100%の間の領域において、理想直線からの最大偏差は断面長さの概ね0.012倍である。この値は確定的なものであり、なぜなら曲率半径は変化し、しかも個々の領域における最大曲率半径は既に決まっているからである。
【0036】
図示の例では、負圧面10の長さは断面厚さ長の概ね1.124倍であり、正圧面11の長さは断面厚さ長の1.112倍である。これは、負圧面10が正圧面11よりも僅かだけ長くなっているに過ぎないことを意味する。したがって、負圧面10の長さと正圧面11の長さとの間の比が1.2よりも、好ましくは1.1よりも小さいならば、あるいは1と1.03との間の範囲に存在するならば、非常に有利である。
【0037】
図は、ローターブレード1がその最大断面厚さを、まさにスピナーにおいて、すなわち風力発電システムのナセル18の外側で有することを示している。ローター直径が30mの風力発電システムでは、スピナーにおける断面厚さはたとえば概ね1.8ないし1.9、好ましくは1.84mであってもよい。スピナーが概ね3.2mの直径Dを有する場合、スピナーにおけるローターブレード1の断面厚さとスピナー直径Dとの間の比は概ね0.575である。それゆえ、断面厚さとスピナー直径Dとの間の比が0.4よりも大きいか、あるいは0.5ないし1の間の範囲に存在するならば非常に有利である。この点に関して、上記値の範囲内にあるいかなる値を選定してもよい。上記例では、断面厚さとローター直径との間の比は概ね0.061である。断面厚さとローター直径との間の比率が0.04と0.1との間、好ましくは0.055〜0.7の値、たとえば0.061よりも大きいならば、生じる「スリップホール」が最小限度に抑えられることは全く明白である。ここで、代表例の値はローターブレード1の効率に関して非常に有利であることが分かった。
【0038】
他の例において、ローターブレード1の最初の三分の一は、図18に示す翼形断面を有し、ここでスピナーにおける断面厚さは概ね4.35mであり、このスピナーは概ね5.4mの直径Dを有し、そしてローターは71mの全直径を有する。この例では、断面厚さとスピナー直径Dとの間の比は0.806であり、断面厚さとローター直径との間の比はもう一度繰り返すが0.061である。上で引用した値はピッチ調整可能な3枚ブレードローターに関するものである。
【0039】
上述したように、ローターの最も広いポイント(最大断面厚さを持つローターのポイント)は、ブレードマウントの領域に直接具現化できる。ブレードマウントという用語は、ローターブレード1が風力発電システムのハブ17に対して連結(接合、ねじ込み、その他)される領域を指している。さらに、ローターブレード1の下側縁部16、すなわち風力発電システムのナセル18に面する縁部は、長手方向にナセル18の外部輪郭に適合させられるか、あるいは概ねそれをたどる。したがって、フェザリングピッチポジションにあるローターブレード(実質的に、どの面ももはや風に向けて揃えられていない)はナセル18に面する下側縁部16と平行に存在し、しかも下側縁部16とナセル18の外部輪郭との間の距離は最小限度のもの、好ましくは50cm以下、特に20cm以下である。
【0040】
いま上記ローターブレード1が風に向けて調整される場合、それはまたローターブレード1の最内領域において最大サイズの表面を有する(スリップホールは非常に小さい)。Erich Hauによる上記用例は、最新のローターブレードがハブ近傍領域で連続的に縮小する(ローターブレードがその最大幅ポイントにおいてよりも、この位置においてより狭くなっている)ことを示している。本発明によるローターブレードの最大幅ポイントは、対照的に、この位置で風の潜在能力を十分に利用できるよう特にハブ近傍領域に存在する。
【0041】
非常に大きなローターブレードは特に、ハブ近傍領域において非常に大きなローターブレード幅を有することが知られている。ローターブレード1は、その輸送を実現するため、二つの部材から構成されてもよい(大型ローターブレード、すなわち30mを超える長さを持つローターブレードの幅は、ハブ近傍領域において5mと8mの間に極めて完全に収まっていてもよい)。二つの部材は輸送中は分離され、そしてローターブレードが構築現場に到着した後、組み立てることができる。この二つの部材は、ローターブレードが風力発電システムに取り付けられる際、たとえばネジ接続あるいは非分離接合(接着)によって相互連結される。これは特に大型ローターブレードの場合に問題を提起しない。なぜなら、そうしたローターブレードの内部はまた組立て作業中に手が届くからである。ローターブレードの外側は一様な外観を呈し、しかも組み立てられた部材間の分割線は、かろうじて認識できるかあるいは全く認識できない。
【0042】
本発明によるローターブレード設計によって、これまでに知られた従来型ローターブレードに比べて著しく効率を向上させることが可能になることを最初の測定が実証した。
【0043】
図1〜図17によれば、本発明による風力発電システムのローターブレードは次のように具現化される。それはハブ17の近傍領域でその最大断面厚さを有し、かつローターブレードは、ハブ17の近傍領域でその断面全体に沿って、風力発電システムの電力ハウスのナセル18のフェアリング(スピナー)の直近位置まで延在している。これによって、少なくともローターブレード1が基準風範囲までの風速に対応する角度へと調整されるポジションに関しては、ローターブレード1とナセル18のフェアリングとの間の間隙が非常に狭いものとなる。たとえば、図1、図2および図3においては、ローターブレードはまた、後部断面厚さ領域によって外部ナセル18のフェアリングの直近位置まで延在している。たとえば図11〜図17に示す代替変形例では、外側ナセル18のフェアリング自体はローターブレードセクション(構造体30)を備えるが、このセクション30はローターブレード1の全体の一体部分を形成していない。特に、図15および図17には、ナセル18の外部で具現化されたローターブレード部分が上記位置で固定され、かつ基準風速までローターブレード1の角位置に対応する角度で配置されることが示されている。これは、ローターブレード1の下側縁部16とナセル18との間に後部断面厚さ領域において、少なくとも基準風までの風速で、最小限の間隙のみがまた形成されることを意味する。
【0044】
図19はまた、本発明によるローターブレード設計がローター中心に風のための非常に小さな「スリップホール」を生じていることを極めて明確に示している。
【0045】
図18は、図17の線A−Aに沿った本発明によるローターブレード1を通る断面、すなわちハブ17近傍領域におけるローターブレード1の断面を示している。
【0046】
図17はまたスピナーの直径Dを指し示す表示を含む。
【0047】
ローター直径は、その回転中にローターが通り過ぎる円形領域の直径によって示される。
【0048】
図15および他の図によれば、ローターブレード1の部分(構造体30)は、回転可能なローターブレード1の一体部分を形成せず、むしろ外部ナセル18のフェアリングの一体部分を形成している。対応する部分はナセル18に螺着されてもよく、あるいはそれに一体的に連結または接着されてもよい。
【0049】
本出願によるローターブレード1が、かなり大きな長さおよび対応するローターブレード厚さ、すなわちブレード翼弦9を、ハブ17の近傍領域において有する場合、ローターブレード1の輸送を簡単にするため、この領域でブレードを二つ(あるいはそれ以上)の部分に分割するのが現実的であろう。この場合、ローターブレード1は、それが取付け現場に到着するまで再組立てされることはなく、この取付け現場において完全なローターブレード1がハブ17に取り付けられる。その場合、ローターブレード1の一部は、たとえば図20に示すように具現化できる。同図によれば、後方ブレード縁部領域において一部分が欠如している。図18に示す断面は、この欠如部分を取り付けることにより、この領域において復元することができる。
【0050】
二つの部材は、ネジ、接着あるいは他の固定方法によって相互連結可能である。
【0051】
ローターブレード1のこの領域でローターブレード1の表面のサイズを変更するための手段を設けることもまた考えられるであろう。対応する変形例が図21〜図33に示されているが、ここで、これらの図に示すローターブレード1の断面はただ象徴的なものとして理解されるべきである、ということに留意されたい(ローターブレードの断面は本質的に図18に示す断面と一致する)。
【0052】
図21〜図33に示す変形例によれば、もし必要なら、ローターブレード表面全体を削減できるという利点がある。これは、ローターブレードの輸送時と同様、猛烈な風が吹いている状況では実用的である。なぜなら、それによってローターブレードの輸送が可能となるか、あるいは少なくともそれが簡単になり、しかも猛烈な風が吹いている間は風力発電システムが過負荷から保護されるからである。
【0053】
本発明の特に好ましい一実施形態では、表面の一部は、クローズドレセプタクル(これは後部断面ボックスを形成する)の一部を形成する変形可能な材料からなる。このクローズドレセプタクルには、たとえば、所定圧力下にあるガス状媒体が充填されてもよい。これによって、ローターブレード輸送中あるいは猛烈な風が吹いている間は空にすることが可能であり、したがって小さなスペースしか必要とせず、しかも風圧に屈するような、ローターブレードの部分的に膨らませることが可能な表面が得られる。これによって、ローターブレードの有効表面積が減少し、したがって風を受ける表面が減少する。タワーを含む下流側構成材への荷重が同時に低減される。
【0054】
本発明の他の変形例では、ローターブレードは後部ボックスの領域に第2の翼構造体を備える(これは図20には示していない)。この翼構造体はその上および/またはその中に移動できる。変形可能な材料はこの第2の翼構造体の所定の位置に固定でき、しかも変形可能な材料の一方側は回転可能な巻取り要素に固定可能である。
【0055】
第2の翼構造体は風力発電システムの通常運転モードにおいて展張できる。すなわち展開アームを完全に開くことができ、あるいは伸縮アームを完全に伸長させることができる。変形可能な材料は回転可能な巻取り要素に一方側が固定されてもよい。ローターブレードの表面積を減少させなければならない場合、巻取り要素が回転させられ(天幕と同様に)、変形可能な材料は巻き取られる。折り畳みアームは同時に折り畳まれ、そして縮小可能な表面領域において第2の翼構造体のサイズを縮小させる。こうしてローターブレードの表面積は減少させられる。
【0056】
本発明の代替変形例では、ローターブレード表面の一部は薄板片からなり、これは、それ自身の長手方向軸線を中心に回動できるサポートレールにそれぞれ配置される。通常運転モードでは、これら薄板は、それらがローターブレードの空力的に有効な表面積を増大させるよう整列させられる。ローターブレードの輸送中および/または極度の負荷のもとでは、サポートレールは、対応する薄板がたとえば残りのローターブレードの風陰へと移動しそしてローターブレードの表面積がそれに応じて減少させられるよう回動可能である。
【0057】
本発明の特に好ましいさらなる展開では、空力的に有効なローターブレード表面の可動部分は、ローターブレード厚さ方向に変位可能な別個の平面要素からなる。通常運転モードでは、大きな空力的に有効な表面積を作り出すために、この平面要素は(好ましくは負圧面で)ローターブレードの表面積を増大させる。
【0058】
表面積を減少させるため、この平面要素は、航空機の翼のフラップシステムと同様に変位させることができる。この結果、それは、ローターブレード内に変位しかつローターブレードの残りの面によって覆われるか、またはローターブレード上に変位しかつその表面を覆う。いずれの場合でも、これによってローターブレードの表面積を減少させることができる。
【0059】
本発明の代替変形例では、この平面要素の一方側は、ローターブレードの第1の翼構造体または後縁に回動方式で連結される。ローターブレードの表面積は、この要素を、その軸線を中心として、ローターブレードの負圧面に向かってあるいは正圧面に向かって回動させることによって変えることができる。
【0060】
この平面要素が概ね90°だけ回動させられた場合、それはローターブレード上の気流の方向に対して実質的に垂直に起立し、そして相応の減速作用を生み出す。なぜなら、それは、ローターブレードの表面に沿って気流に対する障害物を形成するからである。
【0061】
以下、図20ないし図33を参照して、本発明のいくつかの変形例について、さらに詳しく説明する。
【0062】
図20は本発明による完全なローターブレードの概略平面図である。このローターブレード100は二つの部分に分割されている。その主要コンポーネントに関して、ローターブレード100は慣例的に設計されている。だが、ローターブレード根部120に隣接配置された領域、すなわち最大ブレード厚さを備えた領域には分割線を認識できる。この分割線はローターブレードの領域140を区画しており、もし望むのなら、それがもはや風の影響を受けないよう、その表面積を減少させることができる。
【0063】
図21はローターブレード100の固定部分を示し、その表面積は変化しないまま残る。この図は、明らかに、ローターブレード100の空力的に有効な表面積が、特に風が激しく吹いている状況で、負荷が慣例的に設計されたローターブレードのそれよりも非常に低いものとなるよう、著しく減少させられることを示している。
【0064】
図22は本発明の第1の変形例を通る概略断面を示す。この例では、ローターブレード100は前部領域110および後部ボックス140に分割されている。この後部ボック140は、前部領域110の後壁と共にクローズドレセプタクル160を形成する、2枚の変形可能な材料からなる部片180から構成される。ここで、このクローズドレセプタクル160に加圧されたガス状媒体が充填される場合、変形可能な材料180は、本発明によるローターブレード100の表面領域の一部を形成し、これは通常の運転モードにおいて空力的に有効である(しかも図20において参照符号140によって識別される)。
【0065】
ローターブレード100のこのセクションは、その通常の作用が通常の風条件のもとで明白なものとなるような安定性と共に具現化できる。だが、ローターブレード100のこの部分に加わる風圧は風が激しく吹いている状況では、外圧が内圧を上回るように高くなり、これによってそうした場合にローターブレードは後部ボックス140の領域で変形し、そしてローターブレードは外部の風圧に、ついには屈する。これは、この激しい風を受ける面を減少させるだけでなく、下流側構造体への負荷を低減する。
【0066】
後部ボックスのこの部分(その中には充填媒体が収容されている)は、たとえば所定の風速を超過した場合に、ローターブレードの表面積を減少させるために能動的に排気できる、ということにも留意すべきである。この能動排気によって、ローターブレードの形状が常に確定されるという利点がもたらされるが、後部ボックスが外圧に屈した場合には不確定な状況が起こり得る。
【0067】
レセプタクル160の損傷を抑止するために、たとえば(図示していない)、レセプタクル160内に生じた過大な圧力を逃がすことを可能にする圧力逃がし弁を設けることもできるであろう。
【0068】
通常運転モードに必要な圧力は圧縮機170を用いて回復できる。もし、(図示していない)制御バルブおよび/または圧力センサーを備える場合、もし風圧が絶えず変化しても最適運転条件が常に維持されるようレセプタクル160内の圧力を調整することもできる。
【0069】
図23は本発明の第2の変形例を示し、ここではローターブレード100の負圧面の表面は、完全な後部ボックス140を用いた場合よりも延在している。この延在部は、前部領域110の表面に隣接して存在する平面要素240からなる。
【0070】
この平面要素240は、空力的に有効な表面積を減少させるために矢印によって示す方向に変位させることができる。この変位は、たとえば、対応する液圧シリンダーによって液圧方式で、気圧シリンダーによって気圧方式で、電気駆動システムなどによって実現できる。当然、対応するポンプ、圧縮機あるいは駆動装置(アクチュエータ)を、この目的のために装備しなければならない(ただし概要を分かりやすくするために図示はしていない)。
【0071】
平面要素は前部領域へと変位可能であり、これによって前部領域110の表面が平面要素240を覆うようになる。これに代えて、平面要素を前部領域110の表面上に変位させることもでき、これによって表面要素240は前部領域110の対応する表面積を覆うようになる。ローターブレード110の空力的に有効な表面積は、いずれの場合でも減少させられる。
【0072】
図24aおよび図24bに本発明の第3の変形例を示す。図24aは変形可能な材料のリール200を示し、参照符号300は折り畳まれた状態で図示された折り畳みアームを指し示す。この機構は、天幕のそれと同様にして実現可能である。
【0073】
図24bは通常運転モードでのこの変形例を示す。折り畳みアーム300は伸長し、それに固定された変形可能な材料180は折り畳みアーム300の伸長中にリール200から巻き戻される。この結果、リール210は、もはや、巻き取られた材料の全てを支持してはいない。
【0074】
この巻き戻された状態では、変形可能な材料180は一方側がリール210に固定され、かつ他方側が図中右側を向いている折り畳みアーム300の端部に固定される。折り畳みアーム300の端部は、構造体の剛性を向上させかつ変形可能な材料を適所に固定するために、図示していないウェブに連結できる。
【0075】
変形可能な材料180がリール210と折り畳みアーム300の外側端部との間でたるむのを抑止するため、(図示していない)調整可能な格子に類似する装置を変形可能な材料180の下方に備えることができる。この格子は折り畳みアーム30と同期的に作動させられ、そして変形可能な材料180を展張状態で支持する。
【0076】
有効表面積はこのシーケンスを逆転させることによって、すなわち折り畳みアーム300および(図示していない)調整可能な格子を引っ込め(折り畳み)、そして変形可能な材料180を同時にリールコア210に巻くことで削減される。これによって最終的に図24aに示すリール200が得られ、ローターブレード100の有効表面積の削減がもたらされる。
【0077】
図25に示す本発明の第4の変形例において、平面要素240は前部領域(前方部位)110の後部側に旋回方式で連結されており、それは前部領域110の負圧面の延在部を形成する。
【0078】
この場合、平面要素240は、この平面要素240と前部領域110の支持構造体との間に配置された圧縮スプリング280によって支持される。
【0079】
通常運転モードでは、この圧縮スプリング280は、平面要素240を、それが所望の姿勢を維持するよう支持する。異常な風圧がローターブレード100の上面に作用した場合、平面要素240の表面に加わる圧力が増大し、スプリング280の力に打ち勝つ。これによって、図25に示す平面要素240は下方に押しやられ、風圧に屈する。これによって、空力的に有効な表面積の相応の減少が生じる。
【0080】
スプリング280を使う代わりに、平面要素を能動的に調整するための相応の伸縮要素、たとえば液圧式または気圧式装置または機械式装置を設けることも可能であろう。平面要素240を第1の所定の姿勢で保持しあるいは第2の所定の姿勢へと平面要素を変位させるために、たとえば、ネジロッドおよびウォーム装置などを使用することもまた可能であろう。当然ながら、概要を分かりやすくするために図示していない対応するポンプ、圧縮機あるいは駆動装置が、上記アクチュエータを作動させるために設けられなければならない。
【0081】
この例では、平面要素240上に作用する風荷重を特定することもでき、ここで、平面要素240は、瞬間運転条件に従って平面要素を最適調整するために、測定された風荷重の関数として旋回軸を中心として旋回させられる。
【0082】
図26は本発明の第5の変形例を示す。この第5の変形例では、平面要素240は前部領域110の後部側に旋回方式で連結されているのではなく、それ自身の長手方向軸線を中心として回動できるヒンジピン220に配設されている。図26に示すポジションでは、平面要素24はローターブレード110の空力的に有効な表面領域の延長部を形成している。
【0083】
この表面領域を削減するため、それに固定された平面要素240を備えたヒンジピン220が、平面要素240の外側端部が双頭矢印によって示される二つの方向のうちの一方に動くよう、その長手方向軸線を中心として回動させられる。これはまた、ローターブレード100の空力的に有効な表面積の低減に、したがってローターブレード100および風力発電システムの全ての下流側構成材に作用する風荷重の変化につながる。
【0084】
図27aおよび図27bには、図26に示す実施形態の変形例を示す。図26で参照符号240によって識別される平面要素は、図27aでは3枚の薄板状要素260へと分割されている。これら薄板状要素は、この分割を分かりやすくするため図27aにおいては意図的に離間させている。当然ながら、これら3枚の要素は、実際には、可能な限り滑らかにローターブレード100の前部領域110へと移行する概ね閉じた面を形成するように配置される。
【0085】
各薄板260はそれ自身のヒンジピンに配置される。各ヒンジピン280はそれ自身の長手方向軸線を中心として回動でき、これによって個々の薄板260は長手方向軸線を中心としてヒンジピン280を回動させることによって旋回させられる。
【0086】
図27bには本発明による装置を、上記薄板がローターブレード100の空力的に有効な表面領域を削減するような姿勢へと、この薄板が旋回させられた状況において示している。薄板260は、この例では、前部領域110の風陰に向かって旋回させられている。ゆえに、薄板はもはやローターブレード表面領域の一部を形成しておらず、したがってそれらはもはや風にさらされることがなく、それゆえ増大した荷重を受けることはない。
【0087】
そうした様態は、その長手方向軸線を中心とするヒンジピン280の回動に加えて、図の左側ヒンジピン280とローターブレード100の前部領域110との間の距離と、ヒンジピン280同士の相互距離とを減少させることによって実現される。
【0088】
負圧面の表面領域の延在部のみを図示しているが、これに代えてあるいはこれに加えて正圧面の表面領域のサイズを変更することも当然可能であろう。
【0089】
風力発電システムが上記ローターブレードを備えかつ激しい風が吹く状況が生じた場合、風速指示計器の助けのもと大きな風力を特定することだけでなく、対応する制御装置の助けによってローターブレード表面領域の寸法を著しく低減させることができる。図20および図21によれば、図20に示すローターブレードの表面領域は、図21に示すローターブレードの表面領域よりも10%以上大きなものである。ローターブレードは、風力発電システムが通常モードで、たとえば2〜20m/sの間の風速で稼働する際には、その通常サイズへと調整される。いったん風速が20m/s超の値まで増大すると、表面領域を減少させることができ、そのサイズは図21に示すように著しく小さなものとなる。
【0090】
制御装置はコンピューター支援様式で実現されるのが好ましく、それは、もし望むのであれば、ローターブレード表面領域のそれぞれ最適なサイズが正しく調整されることを保証する。
【0091】
図33は本発明によるローターブレードの他の変形例を示す。この例では、構造体は、変形可能なフィルムで覆われかつ支持ポイント340において回動可能に支持された回動式フープ320からなる。ローターブレードチップの方向(矢印)への移動の間、これらフープはたとえば、後部ボックス断面が変化するように支持ポイント340を中心として回動させられる。
【0092】
図28〜図33は、図22〜図27bの代替的および追加的な他の変形例を示す。
【0093】
図30b(図30aは実質的に図25に対応する)は図25の変形例を示し、このものは正圧面に追加要素250を備える。スプリング280の接点は、図25および図30aに関してそれぞれ変更がないので、要素240および250は、それらが連結ポイント260を中心として回動できるようブレード後縁に連結されなければならない。ある状況下では、それがこの変形例ではローターブレードの長さ(ローターブレードの長さは図1の参照符号Lで示す)に沿って要素250と重なり合うようローターブレードボックス110を具現化することが可能であろう。
【0094】
図31(図26および図31aそれぞれの拡張された変形例)はまた正圧面上の要素250を示しており、これは機械的連結部を介して負圧面上の要素240と同じシャフト120に連結されている。
【0095】
図32aおよび図32bは図27aおよび図27bによる変形例のさらなる発展を示す。この例では、別体シャフト280が正圧面上の対応する要素のために設けられる。図27aと同様に、図32aはローターブレードを通常運転モードで示している。図32bは、シャフト280を適当に回転または変位させることによって後部ボックスが無効にさせられた状況を示している。
【符号の説明】
【0096】
1 風力発電システム
2 ローターブレード後縁中心
3 ローターブレード後縁
4 末端点
5 ローターブレードチップ
7 骨格線
8 ローターブレード
9 正圧面
10 負圧面
30 ローターブレードセクション
100 ローターブレード
110 前部領域
120 ローターブレード根部
140 後部ボックス
160 クローズドレセプタクル
170 圧縮機
180 変形可能な材料
200 リール
210 リールコア
220 ヒンジピン
240 平面要素
250 追加要素
260 薄板状要素
280 圧縮スプリング
300 折り畳みアーム
320 回動式フープ
340 支持ポイント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電システム用のローターブレードであって、
前記ローターブレードの最大厚みの位置は概ね15%と40%との間に、好ましくは23%と28%との間に存在し、最大断面厚みは概ね20%と45%との間に、好ましくは32%と36%との間に存在し、前記ローターブレードは好ましくは二つの部材からなることを特徴とするローターブレード。
【請求項2】
ローターブレード横断面は骨格線によって表され、その最大そりは50°と70°との間に、好ましくは60°と65°との間に存在することを特徴とする請求項1に記載のローターブレード。
【請求項3】
前記最大そりは概ね3%〜10%、好ましくは4%〜7%であることを特徴とする請求項2に記載のローターブレード。
【請求項4】
前記横断面は好ましくは、ローターブレードマウントに隣接配置されたローターブレードの下側三分の一において具現化されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のローターブレード。
【請求項5】
正圧面および負圧面を有し、前記正圧面は凹状そりを備えた部分を含み、かつ略直線状部分が前記負圧面に設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のローターブレード。
【請求項6】
ハブフェアリングと共にローターハブに取り付けられた少なくとも一つのローターブレードを備えた風力発電システムであって、
ローターブレードのセクションは前記ハブフェアリングの外面上で具現化されると共にそれに堅固に連結されており、前記ローターブレードの前記セクションは風力発電システムの前記ローターブレードの一体部分を形成しないことを特徴とする風力発電システム。
【請求項7】
前記ハブフェアリング上で具現化された前記ローターブレードの前記断面は本質的に前記ハブ近傍の領域における前記ローターブレードの断面に対応することを特徴とする請求項6に記載の風力発電システム。
【請求項8】
前記ハブフェアリング上で具現化された前記ローターブレードの前記セクションは適所に固定され、かつ風速が基準風速以下でありかつローターブレードが基準風速のためのポジションに調整される場合に前記ハブ近傍の前記ローターブレードの領域の下方に直接位置するよう本質的に整列させられることを特徴とする請求項7に記載の風力発電システム。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の少なくとも一つのローターブレードを備えた風力発電システム。
【請求項10】
少なくとも一つのローターブレードを備えたローターを具備してなり、その最大断面厚さは前記ローターブレードハブの領域に存在し、前記断面厚さと前記ローター直径との間の比は、概ね0.04と0.1との間に、好ましくは0.055と0.7との間に存在する値、たとえば0.061という値を呈することを特徴とする特に請求項9に記載の風力発電システム。
【請求項11】
発電機を収容する電力ハウスと前記発電機に接続されたローターとを備えた、特に請求項9または請求項10に記載の風力発電システムであって、
前記ローターは少なくとも二つのローターブレードを具備し、前記ローターはフェアリング(スピナー)を備えたハブを含み、前記ローターブレードの断面厚さと前記スピナーの直径との間の比は0.4以上、好ましくは0.5と1との間であることを特徴とする風力発電システム。
【請求項12】
好ましくは一つ以上のローターブレードを具備してなるローターを備えた、特に請求項6ないし請求項11のいずれか1項に記載の風力発電システムであって、
前記ローターブレードは、最適空力形状に大体において類似する台形状を有し、前記ローターブレードはローターブレード根部の領域においてその最大幅を有し、風力発電システムのナセルに面する前記ローターブレード根部のエッジは、それが本質的に前記ナセルの外部輪郭を(長手方向に)たどるよう具現化されていることを特徴とする風力発電システム。
【請求項13】
前記ナセルに面する前記ローターブレードの下側エッジは、前記ローターブレードがフェザリングピッチポジションとなるよう回転させられた際、前記根部領域において前記ナセルの外部輪郭と略平行に存在することを特徴とする請求項12に記載の風力発電システム。
【請求項14】
前記ナセルに面する前記ローターブレードの下側エッジと前記ナセルの外部輪郭との間の距離は、フェザリングピッチポジションにおいては50cm以下であり、好ましくは20cm以下であることを特徴とする請求項13に記載の風力発電システム。
【請求項15】
前記ローターブレードは、前記根部領域において前記ローターブレードの主面から傾斜していることを特徴とする請求項6ないし請求項14のいずれか1項に記載の風力発電システム。
【請求項16】
前記ローターブレードは前記根部領域において二つの部材で具現化されており、その分割線は前記ローターブレードの長手方向に向けられていることを特徴とする請求項6ないし請求項15のいずれか1項に記載の風力発電システム。
【請求項17】
前記ローターブレードの前記二つの部材は、前記ローターブレードの、風力発電システムへの取り付けまで組み立てられないことを特徴とする請求項16に記載の風力発電システム。
【請求項18】
前記ローターブレードの前記部材は、輸送中、分離された状態のままであることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の風力発電システム。
【請求項19】
風力発電システムは、負圧面および正圧面によって特徴付けられる少なくとも一つのローターブレードを含み、前記負圧面の長さと前記正圧面の長さとの間の比は1.2よりも小さく、好ましくは1.1よりも小さく、特に1と1.03との間にあることを特徴とする特に請求項6ないし請求項18のいずれか1項に記載の風力発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24a】
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【図24b】
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【図25】
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【図26】
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【図27a】
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【図27b】
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【図28a】
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【図28b】
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【図29a】
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【図29b】
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【図30a】
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【図30b】
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【図31a】
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【図31b】
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【図32a】
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【図32b】
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【図33】
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【公開番号】特開2010−43650(P2010−43650A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−244773(P2009−244773)
【出願日】平成21年10月23日(2009.10.23)
【分割の表示】特願2006−504897(P2006−504897)の分割
【原出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【出願人】(500017944)アロイス・ヴォベン (107)
【Fターム(参考)】