説明

食品インジケータ、及び印刷装置

【課題】食品の温度管理が適正になされており鮮度が保たれていることを的確に判断することが可能な食品インジケータ、及びその食品インジケータの目盛りを印刷する印刷装置を提供する。
【解決手段】食品の包装に付加されて用いられ、時間経過と周囲温度とにより変化する食品インジケータであって、パン酵母、糖分、水分を含む酵母液体11と、その酵母液体11を封止した、酵母液体11を目視可能に透明な収容パッケージと12を備え、その収容パッケージ12は、目盛り12aを有する。目盛り12aは、食品の種類に応じて異なる間隔を有して決定されている。また、その目盛り12aは、一直線状にのびる形状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品の包装に付加されて用いられ、時間経過と周囲温度とにより変化する食品インジケータ、及びその食品インジケータに目盛りを印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜や食肉、あるいは惣菜などの食品については、食品処理工場においてパック詰めされたあと、販売店にて販売されるまでの間、品質を維持するため、所定値以下の温度環境を維持する必要がある。すくなくとも、所定値以上の温度環境に所定時間置かないよう管理する必要がある。
【0003】
従来から、搬送時などの流通過程における食品の温度管理が適正になされているか否かについては、各流通業者による自己申告に委ねられている。このため、食品の温度管理が適正になされているか否かを客観的かつ的確に判断することはできなかった。
【0004】
近年、食品の温度管理が適正であるか否かを客観的に判断可能なものとして、低温管理インジケータと呼ばれるものが提案されている(非特許文献1)。
【0005】
この低温管理インジケータは、所定値以上の温度環境下でガスを発生するパン酵母と糖とを含む反応溶液が収容された透明の小袋により構成され、食品の包装の外部に貼付されて使用される。そして、低温管理インジケータ内に発生しているガス量を目視することによって、温度管理が適正になされていたか否かが判定され、鮮度管理が適正であったか否かが判断される。
【0006】
【非特許文献1】川本 伸一著、“安全・簡便な温度管理用微生物センサーの開発”。[online]、[平成18年12月14日検索]、インターネット<URL:http://www.nfri.affrc.go.jp/guidance/katsudo/pdf/kanko_kouen16/54.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した非特許文献1に記載された従来の鮮度管理判定方法では、目視による経験則に基づき低温管理インジケータ内のガス量を推定するようにしているので、明確な基準等がなく、鮮度管理が適正であったか否かの判断にバラツキが生じるおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述した問題を解消し、食品の温度管理が適正になされており鮮度が保たれていることを的確に判断することが可能な食品インジケータ、及びその食品インジケータの目盛りを印刷する印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の食品ンジケータは、食品の包装に付加されて用いられ、時間経過と周囲温度とにより変化する食品インジケータであって、パン酵母、糖分、水分を含む酵母液体と、当該酵母液体を封止した、前記酵母液体を目視可能に透明な収容パッケージとを備え、当該収容パッケージは、前記酵母液体の状態変化量を測定するための目盛りを有することを特徴とする。
【0010】
上記のように構成したことで、食品インジケータは、透明な収容パッケージに目盛りが備えられているので、食品を管理する管理者は、その目盛りにより、酵母液体から生じた泡の量を的確に判断することができる。つまり、泡の量を的確に判断することにより、食品の温度管理が適正になされており鮮度が保たれていることを的確に判断することができる。
【0011】
前記目盛りは、前記食品の種類毎にその間隔が定められている構成としてもよい。また、前記目盛りは、一直線状にのびる形状、十文字型の形状、枡目形状、中心から円状に広がる形状としてもよい。
【0012】
また、本発明の印刷装置は、食品の包装に付加されて用いられ、時間経過と周囲温度とにより、パン酵母、糖分、水分を含む酵母液体を目視可能に透明な収容パッケージに封止した食品インジケータに当該酵母液体の状態変化量を測定するための目盛りを付す印刷装置であって、前記食品の種類に応じて前記目盛りの間隔を決定する目盛り間隔決定部と、前記決定した目盛り間隔にて前記食品インジケータに前記目盛りを付す印刷部とを備えることを特徴とする。
【0013】
上記のように構成したことで、印刷装置は、食品の種類に応じて目盛りの間隔を決定して目盛りを印刷するので、食品に応じてその鮮度を管理することができる。つまり、必要以上の鮮度管理による管理コストの上昇を防止することができる。
【0014】
印刷装置は、前記目盛り形状の種類の選択入力を受け付ける目盛り種類選択受付部を備える構成としてもよい。このような構成により、食品の品質を管理する管理者は、閲覧し易い目盛りの形状を適宜選択することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、食品の温度管理が適正になされており鮮度が保たれていることを的確に判断することが可能な食品インジケータ、及びその食品インジケータの目盛りを印刷する印刷装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0017】
[第一実施形態に係る食品インジケータ]
はじめに、本発明の第一実施形態における食品インジケータ1を説明する。図1は、第一実施形態における食品インジケータ1を示す上面図である。食品インジケータ1は、例えば、食品処理工場において、食品処理工場にて生産された食品がパック詰めされるときに、食品パッケージの内部あるいは外部に貼付などの方法によって添付されるものである。図1に示すように、食品インジケータ1は、主に、酵母液体11と、酵母液体を封止した収容パッケージ12とから構成されている。この食品インジケータ1は、食品の包装内、或いは包装及び食品を梱包する箱の側面や上面などの外部面に設置するものである。
【0018】
酵母液体11は、パン酵母、糖分、水分を含むものである。酵母液体11において、時間と温度によりパン酵母は、糖を発酵する際に気泡(二酸化炭素)を産生する。
【0019】
収容パッケージ12は、酵母液体を目視可能に透明な小袋である。例えば、収容パッケージ12は、ビニル製の小袋等であり、その他、伸縮可能な素材であれば、ビニル製でなくてもよい。また、収容パッケージ12は、食品を収納するパックに十分収容可能な程度の大きさである。この収容パッケージ12は、直線状に延びる目盛り12aを有している。目盛り12aの所定間隔は、食品インジケータ1を付する食品に応じて決定している。また、目盛り12aには、品質管理に注意が必要であることを示す「注意」、品質管理が十分に行われていないことを示す「警告」等の表示が印刷されている。
【0020】
次に、図2を参照して、食品インジケータ1の変化及びその測定方法を説明する。食品インジケータ1は、低温で管理されている間は図2(a)に示すような初期状態を維持するが、所定温度以上の状況下に置かれると、時間経過とともにガスが発生してきて図2(b)に示すように目視可能に気泡Bが収容パッケージ12の上方に集まる。さらに時間が経過すると、図2(c)に示すように気泡Bが収容パッケージ12の上方にさらに増加した状態となる。ここで、管理者等は、目盛り12aを用いて気泡Bの量を明確に測ることができる。
【0021】
[第二実施形態に係る食品インジケータ]
次に、図3を参照して、本発明の第二実施形態における食品インジケータ2を説明する。第二実施形態における食品インジケータ2は、第一実施形態と収容パッケージ22の構成のみが異なる。また、第二実施形態における食品インジケータ2は、食品の包装内、或いは包装及び食品を梱包する箱の上面に設置するものである。
【0022】
収容パッケージ2は、第一実施形態と同様に、その内部に酵母液体11を収容しており、その酵母液体11を目視可能に透明である。収容パッケージ2は、十文字型の目盛り22aを有している。目盛り22aの間隔は、食品インジケータ2を付する食品に応じて決定している。また、目盛り22aの所定位置には、品質管理に注意が必要であることを示す「注意」、品質管理が十分に行われていないことを示す「警告」等の表示が印刷されている。
【0023】
[第三実施形態に係る食品インジケータ]
次に、図4を参照して、本発明の第三実施形態における食品インジケータ3を説明する。第三実施形態における食品インジケータ3は、第一及び第二実施形態と収容パッケージ32の構成のみが異なる。また、第三実施形態における食品インジケータ3は、食品の包装内、或いは包装及び食品を梱包する箱の上面に設置するものである。
【0024】
収容パッケージ3は、第一実施形態と同様に、その内部に酵母液体11を収容しており、その酵母液体11を目視可能に透明である。収容パッケージ3は、枡目形状の目盛り32aを有している。目盛り32aの間隔は、食品インジケータ3を付する食品に応じて決定している。また、目盛り32aの所定位置には、品質管理に注意が必要であることを示す「注意」、品質管理が十分に行われていないことを示す「警告」等の表示が印刷されている。
【0025】
[第四実施形態に係る食品インジケータ]
次に、図5を参照して、本発明の第四実施形態における食品インジケータ4を説明する。第四実施形態における食品インジケータ4は、第一乃至第三実施形態と収容パッケージ42の構成のみが異なる。また、第四実施形態における食品インジケータ4は、食品の包装内、或いは包装及び食品を梱包する箱の上面に設置するものである。
【0026】
収容パッケージ4は、第一実施形態と同様に、その内部に酵母液体11を収容しており、その酵母液体11を目視可能に透明である。収容パッケージ4は、中心から同心円状に広がる目盛り42aを有している。目盛り42aの間隔は、食品インジケータ4を付する食品に応じて決定している。また、目盛り42aの所定位置には、品質管理に注意が必要であることを示す「注意」、品質管理が十分に行われていないことを示す「警告」等の表示が印刷されている。
【0027】
次に、図6を参照して、食品インジケータ4の変化及びその測定方法を説明する。食品インジケータ4は、低温で管理されている間は図6(a)に示すような初期状態を維持するが、所定温度以上の状況下に置かれると、時間経過とともにガスが発生してきて図6(b)に示すように子袋が膨張し、目視可能に気泡Bが収容パッケージ12の中央部上方に集まる。さらに時間が経過すると、図6(c)に示すように子袋がさらに膨張し、気泡Bが収容パッケージ12の中央部上方にさらに増加した状態となる。ここで、管理者等は、目盛り42aを用いて気泡Bの量を明確に測ることができる。
【0028】
以上に説明したように、上述した食品インジケータの一実施形態において、食品インジケータ1〜4は、時間経過と周囲温度とにより膨張変化すると共に気泡Bをその上部に集める構造である。そして、食品インジケータ1〜4は、その内部の気泡Bが目視可能に透明であり、目盛り12a〜42aが付されている。したがって、管理者等は、目盛り12a〜42aを用いて気泡Bの量を明確に測ることができる。つまり、泡の量を的確に判断することにより、食品の温度管理が適正になされており鮮度が保たれていることを的確に判断することができる。
【0029】
[一実施形態に係る印刷装置]
次に、図7〜図9を参照して、上述した食品インジケータ1〜4の目盛り12a〜42aを印刷する印刷装置5について説明する。
【0030】
図7は、本発明の一実施形態に係る印刷装置5を示す機能ブロック図である。図7に示すように、印刷装置5は、主として記憶部51、制御部52、入力部53、表示部54、通信部55、印刷部56を含む。
【0031】
記憶部51は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等であり、食品データベース(以下、食品DB)51a、各種データベース及びプログラム等を格納している。食品DB51aは、食品に対応する目盛りの間隔を含む目盛り間隔情報を有している。
【0032】
目盛り間隔情報は、図8に示すように、食品ID(437299,111859,004805等)、食品名(マグロ、サバ、イカ等)、縦置(直線状)目盛り間隔(4.00mm,4.50mm,5.00mm等)、横置(直線状)目盛り間隔(3.00mm,3.25mm,3.50mm等)、縦置(円状)目盛り間(2.80mm,3.05mm,3.30mm等)、その他各種情報を含む。本例においては、大型魚(例えば、マグロ等)の目盛り間隔は、小型魚(例えば、サバ等)の目盛り間隔と比較して、小さくなるように設定している。ここで、縦置(直線状)目盛りとは、縦置きのインジケータ1の目盛り12aである。また、横置(直線状)目盛りとは、横置きのインジケータ2,3の目盛り22a,32aであり、縦置(円状)目盛りとは、横置きのインジケータ4の目盛り42aである。
【0033】
制御部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等である。制御部52は、記憶部52からプログラムを読み出し実行し、印刷装置5を制御する機能を備えている。制御部52は、目盛り間隔決定部52aと、目盛り種類選択受付部51bとを有する。
【0034】
目盛り間隔決定部52aは、入力部53により受付けた情報に基づき、印刷する目盛りの間隔を決定する。ここで、受け付けた情報とは、食品ID、食品名などである。目盛り種類選択受付部52bは、入力部53より入力選択された目盛りの種類を受け付ける。ここで、目盛りの種類とは、上述した目盛り12a、22a、32a、42aのような直線、十文字、桝目、円形などの形状の種類である。
【0035】
入力部53は、例えば、キーボードやマウスなどの情報入力装置によって構成され、例えばインジケータを製造する管理者が各種の情報を入力する際に用いられる。表示部54は、例えばLCD(液晶表示装置)などの表示装置によって構成され、各種情報を表示するために用いられる。通信部55は、通信ネットワークを介して、各種の情報を送受する機能を有する。
【0036】
印刷部56は、制御部51からの制御情報に基づき、食品インジケータに目盛りを印刷する。
【0037】
次に、図9を参照して、印刷装置5の動作を説明する。図9は、印刷装置5の動作を説明するフローチャートである。図9に示すように、まず、目盛り種類選択受付部52bは、設置タイプ(縦置、横置)の入力を入力部53より受け付ける(ステップS101)。続いて、目盛り種類選択受付部52bは、印字タイプ(直線、桝目状、円形など)の入力を入力部53より受け付ける(ステップS102)。次に、目盛り間隔決定部52aは、食品(食品ID、食品名など)の入力を入力部53より受け付ける(ステップS103)。続いて、目盛り間隔決定部51aは、食品DB52aより目盛り間隔情報を読み出し、印刷する目盛り間隔を決定する(ステップS104)。そして、印刷部56は、目盛り間隔決定部52aにより決定された目盛り間隔を受けて、目盛りを印刷する(ステップS105)。以上で、印刷装置5の動作を終了する。
【0038】
以上に説明したように、一実施形態に係る印刷装置5は、食品の種類に応じて目盛りの間隔を決定して目盛りを印刷するので、食品に応じてその鮮度を管理することができる。つまり、必要以上の鮮度管理による管理コストの上昇を防止することができる。
【0039】
また、印刷装置は、一実施形態に係る印刷装置5は、目盛り形状の種類の選択入力を受け付けるので、食品の品質を管理する管理者は、閲覧し易い目盛りの形状を適宜選択することができる。
【0040】
なお、上述した一実施形態では、インジケータ1の目盛りは、食品の種類によって定められているものとして説明したが、食品の大きさ、食品の内容量、食品における物流過程の条件などによって定められるようにしてもよい。また、これらの任意の組み合わせによって、インジケータ1の目盛りが定められるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明によれば、食品の温度管理が適正になされており鮮度が保たれていることを的確に判断し、かつ、流通過程において温度管理が不適正に行われた部分を特定するのに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第一実施形態における食品インジケータを示す上面図である。
【図2】本発明の第一実施形態における食品インジケータの変化を示す図である。
【図3】本発明の第二実施形態における食品インジケータを示す上面図である。
【図4】本発明の第三実施形態における食品インジケータを示す上面図である。
【図5】本発明の第四実施形態における食品インジケータを示す上面図である。
【図6】本発明の第四実施形態における食品インジケータの変化を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態における印刷装置の機能ブロック図である。
【図8】目盛り間隔情報の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態における印刷装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0043】
1,2,3,4…食品インジケータ、11…酵母液体、12,22,32…収容パッケージ、12a,22a,32a,42a…目盛り、5…印刷装置、51…記憶部、51a…食品DB、52…制御部、52a…目盛り間隔決定部、52b…目盛り種類選択受付部、53…入力部、54…表示部、55…通信部、56…印刷部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品の包装に付加されて用いられ、時間経過と周囲温度とにより変化する食品インジケータであって、
パン酵母、糖分、水分を含む酵母液体と、
当該酵母液体を封止した、前記酵母液体を目視可能に透明な収容パッケージとを備え、
当該収容パッケージは、前記酵母液体の状態変化量を測定するための目盛りを有する
ことを特徴とする食品インジケータ。
【請求項2】
前記目盛りは、前記食品の種類、前記食品の大きさ、前記食品の内容量、前記食品における物流過程の条件のうち少なくともいずれか一つにより、その間隔が定められている
ことを特徴とする請求項1記載の食品インジケータ。
【請求項3】
前記目盛りは、一直線状にのびる形状、十文字型の形状、枡目形状、中心から円状に広がる形状のいずれかである
ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の食品インジケータ。
【請求項4】
食品の包装に付加されて用いられ、時間経過と周囲温度とにより、パン酵母、糖分、水分を含む酵母液体を目視可能に透明な収容パッケージに封止した食品インジケータに当該酵母液体の状態変化量を測定するための目盛りを付す印刷装置であって、
前記食品の種類に応じて前記目盛りの間隔を決定する目盛り間隔決定部と、
前記決定した目盛り間隔にて前記食品インジケータに前記目盛りを付す印刷部とを備える
ことを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
前記目盛り形状の種類の選択入力を受け付ける目盛り種類選択受付部を備える
ことを特徴とする請求項4記載の印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−148631(P2008−148631A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−340060(P2006−340060)
【出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(503396309)生活協同組合コープさっぽろ (144)
【Fターム(参考)】