説明

食品容器

【課題】 補助材容器を取り付け可能とし、即席食品に注ぎ込んだ湯を排出するための湯切り孔を設けた中蓋を具備した食品容器を提供すること。
【解決手段】 補助材容器を取り付けた中蓋を容器本体に被着し、上蓋によってシールされた食品容器であって、中蓋は、中央部に補助材容器の支持部を具え、支持部を挟んで、一方の上面に湯注入口を設け、他方の上面に湯切り孔を設けたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品容器、とくに、つゆ、たれ、具材等の補助材を収納した補助材容器を取着し、湯切り孔を設けた中蓋を具備した食品容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
乾燥麺、油揚げ麺等の即席麺を、具材、つけ汁等とともに、容器に収納した即席食品容器において、容器(1)のフランジ部(3)に基材(5)と表面材(6)とを剥離可能に積層した蓋材(2)をヒートシールし、基材(5)をハーフカット(13)により湯切り孔(14)を形成するようにし、使用にあたっては、基材(5)の一部分を容器(1)のフランジ部(3)から剥離して、湯を注入し、一定時間後に、湯切り孔(14)側のタブを引っ張って、表面材(6)を開口させて、湯を排出し、即席麺に具材やタレを混ぜ合わせて、食するようにした容器は、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−197018号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1記載の容器では、タレや具材は、小袋に入れて即席麺類とともに容器内に収納されているので、湯注入口の開封時に湯の注入前に手指を入れて小袋を取り出さなければならず、取扱いが面倒であるという問題があった。
また、蓋材は、表面材と基材とが剥離可能として積層されており、湯切り孔は、基材にハーフカットを施すことによって形成しており、蓋材自体の構成が複雑になるという問題があった。
【0004】
本発明は、上記問題点を解決することを課題として、補助材容器を取り付け可能とし、即席食品に注ぎ込んだ湯を排出するための湯切り孔を設けた中蓋を具備した食品容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するため、食品容器として、補助材容器を取り付けた中蓋を容器本体に被着し、上蓋によってシールされた食品容器であって、中蓋は、中央部に補助材容器の支持部を具え、支持部を挟んで、一方の上面に湯注入口を設け、他方の上面に湯切り孔を設けたことを特徴とする構成を採用する。
【0006】
中蓋の実施例として、中蓋が、周縁に沿って、フランジと側周壁を設け、側周壁の下端から補助材容器の支持部を支持する一対の支持板を連設していることを特徴とする構成を採用し、さらに付加して、補助材容器の支持部が、底壁と側周壁を具えており、支持板の両端部に縦板が立設され、側周壁に沿って支持板部を除いて円弧板が連設され、フランジと縦板、円弧板によって、湯注入口と複数の湯切り孔を穿設した上板が形成されていることを特徴とする構成を採用する。
【0007】
中蓋の位置合わせのために、容器本体と中蓋との間に、位置合わせ用の凸部と凹部を設けたことを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の食品容器は、補助材容器を取り付けた中蓋を容器本体に装着し、中蓋に湯注入口と湯切り孔を設けているので、上蓋を所定の位置まで開封するだけで、直ちに注湯を行うことができる。
注湯後に注湯口を閉じ、一定時間経過後に上蓋を所定の位置まで開封し湯切り孔を開くことによって湯切りが簡単にできるようになった。
また、補助材容器が、中蓋に取り付けられているので、容器本体に注入した熱湯によって温められるようになった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の食品容器について、図面を参照して説明する。
図1において、Aは容器本体、Bは中蓋、Cは補助材容器、Dは上蓋である。
容器本体A、中蓋B、補助材容器C等は合成樹脂製で、熱成形によって成形される。
上蓋Dは、単層、または積層の合成樹脂シート、または合成樹脂フィルムと紙との積層シートである。
【0010】
図2に示すように、容器本体Aは、上端を開口端1とした拡径部2と、拡径部2下端に成形された段部3と、胴部4、および底部5とからなっており、拡径部2の所定の位置には、位置合わせ用の凹溝6が設けられている。
【0011】
図1、3、4に示すように、中蓋Bは、周縁全周に容器本体Aの拡径部2に係合する側周壁7と、フランジ8を具えており、所定の位置には、側周壁7の凹溝6に係合する凸部9が設けられている。
実施例では、容器本体Aに凹溝6を設けたが、凹溝に代え、突条を設け、中栓Bの側に凹溝を設けるようにしてもよい。
【0012】
中蓋Bの中央部には、底壁10と側周壁11とからなる補助材容器Cの支持部12が形成されており、位置合わせ用の凸部9を中心とする約90度の範囲には、側周壁7の下端と、側周壁11の上端を連設する左右一対の支持板13a、13bが対向して設けられている。
【0013】
支持板13a、13bの端部には、前方側に縦板14a、14b、後方側に縦板15a、15bが立設され、縦板14a、14bの内側端部には、支持部12の側周壁11に沿って立設された円弧板14cが連設され、縦板15a、15bの内側端部には、側周壁11に沿って立設された円弧板15cが連設されている。
フランジ8と縦板14a、14b、円弧板14cとの間には、開口が形成され、湯注入口16が穿設されている。
フランジ8と縦板15a、15b、円弧板15cとの間には、上板17が形成され、該上板17には、複数の湯切り孔18が穿設されている。
【0014】
湯切り孔の形成にあたって、上板17に代え、湯切り孔を穿設した板体を、中蓋Bの成形時にインサート成形してもよい。
【0015】
図5に示すように、補助材容器Cは、上端にフランジ19を設けた側周壁20と底壁21とからなり、フランジ19には、シール蓋22が接着されるようになっている。
容器本体A、中栓B、補助材容器Cの肉厚は、図では厚くなっているが、熱湯注入時の容器の保形性があればよく、さらに薄肉にできる。
【0016】
図6に示すように、上蓋Dは、中蓋Bの上面を覆う円形のシート23であって、中蓋Bの湯注入口16の側には、開口用摘み24が設けられ、湯切り孔18の側には、湯切り孔用摘み25が設けられている。
湯注入口16、湯切り孔18を容易に開口させるために、所定の場所に、折り曲げライン26、弱化ライン27が設けられ、折り曲げライン26と弱化ライン27の間は、接着領域となっており、両ラインの外側は、剥離容易な領域である。
また、弱化ライン27の外側に、湯切り孔18を塞ぐ栓体を、上蓋Dに接着等により設けてもよい。
中蓋Bを取り付けた容器本体Aと上蓋Dは、シュリンクフィルムで覆って包装される。
【0017】
次に、本発明食品容器の使用態様と作用効果について説明する。
容器本体Aには、即席麺Nが収納されているが、即席食品として、焼きそば、ラーメン、スパゲッティ、うどん、米飯等を用いることができる。
次いで、別個につゆ、またはタレ、具材等を収容し、シール蓋22を接着した補助材容器Cを中蓋Bの支持部12に取り付け、該中蓋Bを容器本体Aに閉蓋し、その上から上蓋Dを被着して、中蓋Bのフランジ8と、上板17、湯注入口16、湯切り孔18を覆う。
【0018】
また、補助材容器Cにつゆ、またはタレ等を入れ、調味料、具材を収納した小袋を支持板13a、13bの上面に収納してもよい。
或いは、調味料、具材を支持板13a、13bとその両端に立設した縦板と、側周壁7によって形成される空間内に、直接収納させるようにしてもよい。
【0019】
その際、容器本体Aの位置合わせ用の凹溝6と、中蓋Bの凸部9を係合させて被嵌するので、湯切り孔18を一定の場所に位置させることができる。
次いで、上蓋Dの開口用摘み24を湯注入口16に一致させるように位置させ、シュリンクフィルムによって全体を包装する。
以上のようにして、本発明の食品容器が形成される。
【0020】
次に、使用方法について説明する。
まず、包装フィルムをはがして上蓋Dを露出させ、開口用摘み24を持って湯注入口16まで開蓋するように上蓋Dを剥離する。
次いで、容器本体Aに熱湯を注入し、再び上蓋Dを圧接し、湯注入口16を閉じる。
その際、補助材容器Cは、中蓋Bに装着されているので、容器本体Aから取り出す必要はなく、開封と同時に、湯注入口16から湯を注入することができる。
その際、補助材容器C内のつゆ、タレ、および支持板13a、13b上の補助材は、熱湯によって温められる。
【0021】
一定時間経過して即席食品を蒸らし終えると、湯切り孔用摘み25をもって湯切り孔18が開口するように弱化ライン27まで上蓋Dを剥離して、湯を排出する。
その後に、上蓋Dを剥離して、中蓋Bから取り除く。
次いで、補助材容器Cを取り外して、シール蓋22を開くとともに中蓋Bを開いて即席食品を取り出し、温められた補助材をつけて食するが、補助材を即席食品の中に混ぜて食べることができる。
【0022】
本発明の食品容器は、中蓋Bに補助材容器Cを取り付けたままで、上蓋Dの所定の部分を剥離することによって、湯注入口の開閉、湯切り孔の開封ができるので、使用は簡単となり、容器本体A内に注入した熱湯によって、補助材容器Cが温められるので、温かいつゆを即席食品に混ぜ合わせることができるようになった。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の食品容器は、補助材容器を取り付けた中蓋に、湯注入口と湯切り孔を設け、上蓋を所定の位置まで剥離するだけで、湯の注入、排出ができるので、即席麺を始め、あらゆる即席食品用の容器として広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の食品容器の一部断面立面図である。
【図2】容器本体の説明図で、(a)は上面図、(b)は一部断面立面図である。
【図3】中蓋の説明図で、(a)は上面図、(b)は一部断面立面図である。
【図4】中蓋の説明図で、(a)は側面立面図、(b)は底面図である。
【図5】補助材容器の断面立面図である。
【図6】上蓋の上面図である。
【符号の説明】
【0025】
A 容器本体
B 中蓋
C 補助材容器
D 上蓋
N 即席麺
1 開口端
2 拡径部
3 段部
4 胴部
5 底部
6 凹溝
7、11、20 側周壁
8、19 フランジ
9 凸部
10、21 底壁
12 支持部
13a,b 支持板
14a,b、15a,b 縦板
14c、15c 円弧板
16 湯注入口
17 上板
18 湯切り孔
22 シール蓋
23 シート
24 開口用摘み
25 湯切り孔用摘み
26 折り曲げライン
27 弱化ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
補助材容器を取り付けた中蓋を容器本体に被着し、上蓋によってシールされた食品容器であって、
中蓋は、中央部に補助材容器の支持部を具え、支持部を挟んで、一方の上面に湯注入口を設け、他方の上面に湯切り孔を設けたことを特徴とする食品容器。
【請求項2】
中蓋が、周縁に沿って、フランジと側周壁を設け、側周壁の下端から補助材容器の支持部を支持する一対の支持板を連設していることを特徴とする請求項1記載の食品容器。
【請求項3】
補助材容器の支持部が、底壁と側周壁を具えており、
支持板の両端部に縦板が立設され、側周壁に沿って支持板部を除いて円弧板が連設され、
フランジと縦板、円弧板によって、湯注入口と複数の湯切り孔を穿設した上板が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の食品容器。
【請求項4】
容器本体と中蓋との間に、位置合わせ用の凸部と凹部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の食品容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−132430(P2009−132430A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311642(P2007−311642)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】